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JP5655116B2 - 伸縮性不織布 - Google Patents

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JP5655116B2
JP5655116B2 JP2013141997A JP2013141997A JP5655116B2 JP 5655116 B2 JP5655116 B2 JP 5655116B2 JP 2013141997 A JP2013141997 A JP 2013141997A JP 2013141997 A JP2013141997 A JP 2013141997A JP 5655116 B2 JP5655116 B2 JP 5655116B2
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Description

本発明は、伸縮性不織布に関する。
従来、不織布は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品、ワイパー等の清掃用品、マスク等の医療用品と、幅広い分野において使用されている。このように不織布は、異なる様々な分野で使用されるが、実際に各分野の製品に使用される場合には、それぞれの製品の用途に適した性質や構造となるよう製造されることが必要である。
例えば、吸収性物品に使用するには、使用される不織布は、装着者に違和感を生じさせることなく装着者の着用時又は着用中の身体の動きに合わせて伸縮することが要求される。さらに、例えば、使い捨ておむつとして使用する場合においては、不織布は、伸縮性を維持しながらも伸長時にシートが破断しないような強度を有すると共に、肌触り及び通気性がよいことも要求される。
ここで、部分的に融着した混合繊維に延伸加工を施すことによって、感触、伸縮性を向上させた不織布が開示されている。特許文献1に開示の不織布は、2以上のニップロールを用いて、このニップロールの回転速度を装置の流れ方向の順に速くすることにより部分的に融着した混合繊維を延伸させたものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−244791号公報
しかしながら、特許文献1に開示の延伸加工前の不織布(潜在伸縮性不織布)は、繊維径が24から26μmと大きく、特許文献1には開示されていない50g/m以下といった低坪量の不織布を延伸しようとすると部分的に坪量の低い部分が発現していた。このように、部分的に坪量の低い部分が発現することにより、さらに高倍率で延伸しようとすると前述の理由により不織布が破断することとなり、着用物品に使用できるような所定の伸度を発現させることができなかった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、坪量の低い不織布においても使用時において高い伸縮範囲を有し、延伸処理時に生じうる破断や強度低下を抑制するとともに、肌触り(クッション性)に優れた通気性の高い不織布を提供することを目的とする。
本発明者らは、伸長性の繊維と伸縮性の繊維とを混合又は積層して形成した伸縮性不織布において、繊維径を小さくした伸長性繊維が所定の部位に配置されるように形成することにより、肌触り(クッション性)に優れ、通気性の高い不織布を得られ、かつ、坪量の低い不織布においても、使用時に高い伸縮範囲を有し、延伸処理時による破断、強度低下を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のような不織布を提供する。
(1) 縦方向と前記縦方向に直交する横方向とを有し、両面に前記縦方向に伸びる複数の帯状疎領域と複数の帯状密領域とが前記横方向に交互に連続して形成されると共に、一の面における前記帯状密領域と他の面における前記帯状密領域とが前記横方向に交互に形成される伸縮性不織布であって、該伸縮性不織布は、混合又は積層された伸長性繊維と伸縮性繊維とからなり、前記伸長性繊維は、前記一の面における前記帯状密領域と前記他の面における前記帯状密領域との間において、部分的に伸長された伸長性繊維を含み、前記部分的に伸長された伸長性繊維を構成する繊維の平均繊維径は、12〜21μmである伸縮性不織布。
(2) 前記伸縮性不織布は、坪量が50g/m以下である(1)に記載の伸縮性不織布。
(3) 前記伸長性繊維は、前記伸縮性繊維の最大強度における伸びよりも小さな伸びで塑性変形を起こす(1)または(2)に記載の伸縮性不織布。
(4) 前記伸長性繊維は、熱可塑性ポリオレフィン繊維である(1)から(3)のいずれかに記載の伸縮性不織布。
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の該伸縮性不織布に、非伸縮性不織布を接着剤により貼り合わせた複合シート。
(6) (1)から(4)のいずれかに記載の該伸縮性不織布に、該伸縮性不織布以外の不織布およびフィルムから選ばれる少なくとも1種の物品を積層した複合シート。
(7) 少なくとも吸収体と、(1)から(4)に記載の伸縮性不織布と、を備える吸収性物品。
(8) 少なくとも吸収体と、(5)又は(6)に記載の前記複合シートと、を備える吸収性物品であって、前記複合シートは、該吸収性物品の装着時における肌当接面側に配置される吸収性物品。
(9) 前身頃と、後身頃とを有するシャーシと、液保持性の吸収体と、を少なくとも備える吸収性物品であって、前記シャーシは、少なくとも前記伸縮性不織布または前記複合シートにより構成される(7)または(8)に記載の吸収性物品。
(10) 結晶化度が57%以下である伸長性繊維と伸縮性繊維とを混合または積層した潜在伸縮性不織布に、伸長性繊維の融点以下であって、40℃以上の熱量を加えた後、機械的延伸を行う伸縮性不織布の製造方法。
(11) 前記製造方法によって製造される(10)に記載の伸縮性不織布。
(12) (11)に記載の伸縮性不織布を用いた吸収性物品。
本発明によれば、伸長性の繊維と伸縮性の繊維とを混合又は積層して形成した伸縮性不織布において、繊維径を小さくした伸長性繊維が所定の部位に配置されるように形成することにより、肌触り(クッション性)に優れ、通気性の高い不織布を得られ、かつ、坪量の低い不織布においても、使用時に高い伸縮範囲を有し、延伸処理時による破断、強度低下を抑制することができる不織布を提供することができる。
本発明に係る伸縮性不織布1の斜視図である。 伸縮性不織布1の繊維状態を使用する断面図である。 延伸処理後の伸縮性不織布1の伸縮範囲と延伸処理前の不織布シート2に付与すべき延伸処理倍率との関係を示す図である。 伸縮性不織布1の横方向における伸度に対するポリオレフィン繊維の構成を示す図である。 結晶化度とポリオレフィン繊維の単繊維100%サイクル後の歪み率との関係を示す図である。 伸縮性不織布1の製造方法を説明する図である。 (A)は、不織布シート2をギア延伸加工した状態を説明する図であり、(B)は、(A)における噛み合わせ部の部分拡大図である。 伸縮性不織布1における繊維径及び坪量と圧縮仕事率との関係を示す図である。 伸縮性不織布1における繊維径及び坪量と通気抵抗値との関係を示す図である。 不織布シート2の横方向における強度と加工速度の関係を示す図である。 不織布シート2の横方向における強度と不織布シート2の温度との関係を示す図である。 本発明の伸縮性不織布1を非伸縮性不織布と貼り合わせた複合シート4を使用した吸収性物品の一例であるパンツ型の使い捨ておむつ50を示す正面図である。 使い捨ておむつ50の展開図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、伸長性繊維と伸縮性繊維とを混合し、伸長性繊維及び伸縮性繊維の相互間が、一定の間隔を置いて配置された多数の融着部において、軟化又は溶融による自己融着によって固定される潜在伸縮性不織布である不織布シートに対し延伸加工を行い、伸縮性不織布を形成したものである。なお、伸長性繊維とは、例えば、伸縮性繊維の最大強度における伸びよりも小さな伸びで塑性変形を起こす繊維を含む。例えば、伸長性繊維とは、非弾性的に伸張可能な繊維であり、伸縮性繊維とは、弾性的に伸長可能な繊維を含む。
また、本実施形態においては、後述のギア延伸加工において不織布シート2を加熱することから、伸長性繊維として熱可塑性のポリオレフィン繊維を用いて説明する。
図1は、本発明に係る伸縮性不織布1の斜視図である。図2は、伸縮性不織布1の繊維状態を使用する断面図である。図3は、延伸処理後の伸縮性不織布1の伸縮範囲と延伸処理前の不織布シート2に付与すべき延伸処理倍率との関係を示す図である。図4は、伸縮性不織布1の横方向における伸度に対するポリオレフィン繊維の構成を示す図である。図5は、結晶化度とオレフィン繊維の単繊維100%サイクル後の歪み率との関係を示す図である。図6は、伸縮性不織布1の製造方法を説明する図である。図7(A)は、不織布シート2をギア延伸加工した状態を説明する図であり、(B)は、(A)の噛み合い部分を示す部分拡大図である。図8は、伸縮性不織布1における繊維径及び坪量と圧縮仕事率との関係を示す図である。図9は、伸縮性不織布1における繊維径及び坪量と通気抵抗値との関係を示す図である。図10は、伸縮性不織布1の横方向における強度と不織布シート2の加工速度との関係を示す図である。図11は、伸縮性不織布1の横方向における強度と不織布シート2の温度との関係を示す図である。図12は、本発明の伸縮性不織布1を非伸縮性不織布と貼り合わせた複合シート4を使用した吸収性物品の一例であるパンツ型の使い捨ておむつ50を示す正面図である。図13は、使い捨ておむつ50の展開図である。
[伸縮性不織布]
図1及び図2により、本実施形態に係る伸縮性不織布1について説明する。
図1に示すように、伸縮性不織布1は、縦方向と横方向を有し、シート状に形成されている。また、伸縮性不織布1は、伸長可能な熱可塑性のポリオレフィン繊維21と伸縮可能な熱可塑性のエラストマ繊維22とを混合させることにより形成されており、その両面において、縦方向に伸びる複数の帯状疎領域である疎領域11と縦方向に伸びる複数の帯状密領域である密領域12とが交互に形成されている。そして、一の面における密領域12と、他の面における密領域12とは、伸縮性不織布1の横方向において、一の面及び他の面に設けられる密領域12がそれぞれ交互になるように形成されている。同様に、一の面における疎領域11と、他の面における疎領域11とは、伸縮性不織布1の横方向において、一の面及び他の面に設けられる疎領域11がそれぞれ交互になるように形成されている。
伸縮性不織布1は、不織布シート2に機械的延伸であるギア延伸加工を施すことにより、伸縮性が与えられる。具体的には、伸縮性不織布1は、後述のギア延伸加工における一対のギアロール31、32の間隙に不織布シート2を通すことにより形成さる。すなわち、ギアロール31、32に形成されるギア歯31t、32tによって、不織布シート2が3点曲げ状に圧搾され、これにより、ポリオレフィン繊維21及びエラストマ繊維22が伸長される。そして、互いに噛み合わされたギア歯31t、32tの頂点部分により圧搾された伸縮性不織布1には、密領域12が形成される。これにより、密領域12には、ギア歯31t、32tにより圧搾され、伸長されなかったポリオレフィン繊維21が配置される。
また、伸縮性不織布1におけるギア歯31t、32tにより圧搾されない部分(ギア歯31t、32t同士の側面に接する部分)には、噛み合わされたギア歯31t、32tにより、ポリオレフィン繊維21が引き伸ばされ、疎領域11が形成される。すなわち、疎領域11には、後述のギア延伸加工により伸長されたポリオレフィン繊維21が配置される。
これにより、密領域12には、伸長されなかったポリオレフィン繊維21が疎領域11よりも多く含まれ、疎領域11には、後述のギア延伸加工により伸長されたポリオレフィン繊維21が密領域12よりも多く含まれる。
また、図2に示すように、疎領域11におけるエラストマ繊維22は、ギア延伸加工後であっても収縮して元の繊維長に戻るが、ギア延伸加工によって伸長されたポリオレフィン繊維21は元の繊維長に戻らず、ギア延伸加工によって少なくとも部分的に引き伸ばされる。そして、引き伸ばされた分だけ融着部23を中心に厚さ方向に膨らんだ状態となる。つまり、疎領域11は、伸縮性不織布1としての厚みが厚くなる。これは、ポリオレフィン繊維21が伸長したため伸縮性不織布1における空隙がギア延伸加工前よりも大きくなるためである。
このようにして形成された伸縮性不織布は、伸長した状態から開放されると、エラストマ繊維22の伸縮性と伸長したポリオレフィン繊維21とにより伸びしろが形成され、これにより伸長可能になる。また、疎領域11において、空隙による厚みが厚くなり、肌触り(クッション性)が向上する。
また、伸長したポリオレフィン繊維21は、その伸長した部分において、繊維径が小さくなる。伸長したポリオレフィン繊維の繊維径としては、12〜21mmに形成されることが好ましい。例えば、12μm以下の細さであると、ポリオレフィン繊維21が使用時に切れてしまうおそれがあり、21μm以上であると伸縮性不織布の密度が高くなるため、クッション性や通気性が低下してしまうおそれがあるためである。
伸縮性不織布1としては、前述の繊維構成で形成され、弛緩時における坪量が50g/m以下の不織布に用いることができる。具体的には、50〜15g/mの不織布に用いることができる。例えば、伸縮性不織布1の坪量が15g/m以下であると、形成後の伸縮性不織布1が容易に破断するおそれがあり、また、伸縮性不織布1を非伸縮性シートと貼り合わせて複合シートとして使用する場合に、貼り合わせ時に使用する接着剤が滲み出るおそれがあるためである。
また、伸縮性不織布1におけるポリオレフィン繊維21の弛緩時の坪量は、4〜40g/mの範囲が例示できる。4g/m未満の場合には良好な風合いが得られ難く、40g/mより大きい場合には、伸縮性不織布1として剛く仕上がってしまうためである。また、伸縮性不織布1におけるエラストマ繊維22の坪量は、3〜38g/mが例示できる。3g/m未満の場合には伸縮性不織布1として十分な伸縮性が得られ難く、38g/mより大きい場合には、伸縮性不織布1として使用時に伸縮応力が強すぎて使用しにくくなるためである。
さらには、上記のような条件で伸縮性不織布1を形成する場合には、伸縮性不織布1の100%サイクル試験での歪み量が20%以下であることが好ましい。歪み量が20%を超える場合には、製品の縮み寸法が安定せず、伸縮性不織布1を吸収性物品に使用する際に着用感のばらつきが発生する可能性があるためである。
また、本実施形態における熱可塑性のポリオレフィン繊維21としては、例えば、ポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維などの単独繊維やポリプロピレンやポリエチレンからなる芯鞘構造の複合繊維などを用いることができる。
また、伸縮性不織布1に用いられるエラストマ繊維22としては、例えば、ウレタン系エラストマ、ポリスチレン系エラストマ、ポリオレフィン系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、等の繊維を使用することができる。具体的には、ポリウレタン系エラストマを用いることができる。
また、ポリオレフィン繊維21とエラストマ繊維22との混率(重量比)は、80:20〜25:75を例示できる。ポリオレフィン繊維21の混率が80%より大きくなると、伸縮性不織布1の歪みが大きくなる場合があり、逆にエラストマ繊維22の混率が75%より大きくなると、触感にべたつきが生じてしまう場合があるためである。
次に、本発明に係る伸縮性不織布1を吸収性物品である使い捨ておむつ50に使用することを目的とした場合について説明する。図12は、本発明の伸縮性不織布1を非伸縮性不織布と貼り合わせた複合シート4を使用した吸収性物品の一例であるパンツ型の使い捨ておむつ50を示す正面図であり、図13は、使い捨ておむつ50の展開図である。使い捨ておむつ50は、本体を形成するシャーシ54と、シャーシ54の肌当接面側に配置される液透過性の表面シート51と、シャーシ54の非肌当接面側に配置される液不透過性の裏面シート53と、該表面シート51とシャーシ54との間に挟まれた液保持性の吸収体コア52と、を備える。
シャーシ54は、前身頃55と後ろ身頃56とでパンツ型に形成され、前身頃55の端部を形成する前ウエストギャザー57と、後身頃56の端部を形成する後ウエストギャザー58を有する。そしてシャーシ54における縦方向の両縁であって、横方向の略中央を頂点とした、該シャーシ54の内側に略U字状の切り込み部59が形成される。当該切り込み部59は、シャーシ54の前身頃55と後身頃56とが接合部63により互いに接合されてパンツ型となった場合に、レッグ開口部60を形成する。また、前身頃55と後身頃56とが互いに接合されることによりウエスト開口部61が形成される。
そして、本実施形態においては、シャーシ54として伸縮性を有する複合シート4が用いられており、後述の流れ方向が、図13の幅方向となるように配置されている。このため、ウエストギャザー57、58部分には糸ゴム等の弾性部材は配置されておらず、このようなシャーシ54における前身頃55と後身頃56とを接合してパンツ型となった場合に、前身頃55及び後身頃56は、複合シート4により、パンツの外周に沿って伸縮性を有する。したがって、使い捨ておむつ50は、装着動作や着用時の身体の動きに合わせて伸縮性を有することになる。このように弾性部材を不要とすることで肌への物理的な刺激を減らすことができる。もちろん、本発明においては、必要に応じて弾性部材をウエストギャザーやレッグギャザーに配置してもよい。
なお、この実施形態においては、複合シート4は、伸縮性不織布1が肌当接面となるように配置されており、図10に示すように非伸縮性シートによる皺が表面に現れている。複合シート4をこのように配置することで、肌への接触面積率がより高くすることが可能になる。
ここで、例えば、使い捨ておむつに伸縮性不織布1を使用する場合には、伸縮性不織布1は、より低い強度(75%伸長時の強度が10N/50mm)で伸縮する必要があるため、坪量を50g/m以下にすることが好ましい。また、少なくとも延伸処理後の伸縮性不織布1において、1.7倍以上(70%)の伸縮範囲を必要とする。図3に、延伸処理後の伸縮性不織布1の伸縮範囲(%)と延伸処理前の不織布シート2に付与すべき延伸処理倍率(%)との関係を示す。
図3に示すように、延伸処理後の伸縮性不織布1の伸縮範囲をより多くするためには、不織布シート2をより多く伸長可能に形成する必要がある。つまり、延伸処理前の不織布シート2に高延伸が可能な延伸処理を実施する必要がある。例えば、延伸処理後の伸縮性不織布1において、1.8倍(80%)以上の伸縮範囲をもたせるには、少なくとも延伸前の不織布シート2に2.6倍(160%)の延伸処理を実施する必要がある。
しかしながら、延伸処理前の不織布シート2に高延伸の延伸処理を実施する場合、例えば、不織布シート2を構成する材料がウレタン繊維等のエラストマ繊維22とポリオレフィン繊維21である場合においては、エラストマ繊維22とは伸度が高いため延伸可能であるが、ポリオレフィン繊維21は、エラストマ繊維22よりも繊維伸度が低く、強度が高いため、ポリオレフィン繊維21とエラストマ繊維22との融着部分である融着部23等で繊維切れや融着部分の破壊が発生するおそれがある。これにより、切れた繊維により毛羽が発生しやすくなると共に、延伸加工後の伸縮性不織布1においては、強度が低下したり、加工中に破断するおそれもある。したがって、高延伸処理を実施するためには、高い伸度を有するオレフィン繊維及び不織布シート2、が必要となる。
このような伸長性の高いオレフィン繊維を得るためには、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂を用いて比較的紡糸速度が低い繊維を得る方法や、結晶化度の低い、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体や、ポリプロピレンにポリエチレンをドライブレンドしたり、オレフィン系エラストマを使用して、紡糸することにより繊維を得ることができる。
また、不織布シート2の伸度を増加させるために、エラストマ繊維22とポリオレフィン繊維21との融着部23において、エンボス面積率を減少させてもよく、熱融着ではなく、繊維を機械的に絡合させるスパンレース法やニードルパンチ法により製造してもよい。
また、図4に示すように、伸縮性不織布1の伸縮範囲は、ポリオレフィン繊維21の伸長後の歪みを高くすることによっても、高くすることができる。図4は伸縮性不織布1の横方向における伸度(%)に対するポリオレフィン繊維21の構成を示す。さらに、伸縮性不織布1の伸縮範囲は、以下の数式に示すように、ポリオレフィン繊維21の弾性回復を小さくすることによっても、低延伸倍率においても、伸縮範囲を効率よく得ることができる。
(数1)
伸縮範囲=延伸倍率−エラストマ繊維(ウレタン繊維)の歪み−ポリオレフィン繊維の弾性回復
ポリオレフィン繊維の弾性回復=延伸倍率−ポリオレフィン繊維の歪み
さらに、図5に示すように、ポリオレフィン繊維21の弾性回復を小さくし、歪みを大きくするためには、ポリオレフィン繊維21の結晶化度を小さくしてもよい。図6は、ポリオレフィン繊維の結晶化度とポリオレフィン繊維の単繊維100%サイクル後の歪み率との関係を示したものである。結晶化度が57%以上となると、ポリオレフィン繊維の歪みが低下し、伸縮範囲が得られにくくなり、かつ、繊維強度が増加するため、不織布シート2のシート伸度が低下しやすくなる。
なお、繊維の結晶化度を低くするためには、紡糸時の繊維ドラフト比を小さくしたり、高温で紡糸してもよい。また、使用する樹脂については、比較的低配向性のポリオレフィンコポリマーやポリプロピレンとポリエチレンをブレンドしたもの、オレフィン系のエラストマ等を用いることができる。結晶化度が低い繊維は、弾性回復を小さく、繊維伸度が高くなるため、このような繊維から構成された不織布シート2は、シート伸度が高くなり、延伸時に強度低下が発現しにくいため好ましい。
[製造方法]
次に、伸縮性不織布1の製造方法について説明する。
図6に、伸縮性不織布1の製造方法を説明する図を示す。図6に示すように、伸縮性不織布1の製造方法は、不織布ロール(材料となる不織布シートがロール状に巻き取られたもの)からから、不織布シート2を連続的にシート状態で流れ方向に沿って繰り出す繰り出し工程と、繰り出された不織布シート2を流れ方向に移動させながら加熱する加熱工程と、加熱されて温度上昇した不織布シート2に対して流れ方向に所定の張力を付与して不織布シート2を予備的に延伸させる予備延伸工程と、予備的に延伸されている不織布シート2を、更にギアロールによって流れ方向に延伸するギア延伸工程と、ギアロールにより延伸された不織布シート2(伸縮性不織布1)を冷却する冷却工程と、冷却された不織布シート2である伸縮性不織布1をロール状に巻き取る巻き取り工程と、を有する。
まず、繰り出し工程においては、繰り出し用のリール装置が設けられた不織布ロールから不織布シート2が繰り出される。これにより、繰り出された不織布シート2は、所定の基準速度V1で搬送され、連続的にシート状態で流れ方向における下流に設けられる加熱工程に送られる。
加熱工程には、搬送される不織布シート2を加熱するヒータが設けられている。具体的には、4つの加熱ローラ33が配置されている。不織布シート2は、シート状態で各加熱ローラ33の平滑な外周面に略S字状に巻き付きながら各加熱ローラ33へと順次送られていく。そして、不織布シート2は、これらの加熱ローラ33の平滑な外周面と接触している間に加熱ローラ33の外周面により加熱される。
各加熱ローラ33の内部には、その外周面を加熱するための発熱体が設けられており、この発熱体の発熱量の調整により、外周面の温度調整が可能になると共に、不織布シート2の温度も調節可能となる。外周面の温度及び不織布シート2の温度は、不織布シート2の繊維構成により異なるが、熱可塑性ポリオレフィン繊維の場合、ポリオレフィン繊維の融点に基づいてその融点以下の温度に調整される。例えば、不織布シート2の温度は、ポリオレフィン繊維の融点以下であり、40℃以上にすることが好ましい。40℃以下では、繊維の伸長性が悪く、強度が低下しやすい。また、オレフィン繊維の融点以上になると、繊維が加熱ローラ33やギアロール31、32に貼り付き、不織布シート2が延伸処理時に溶けて切断されるおそれがあるためである。
加熱工程により加熱された不織布シート2は、予備延伸工程に送られる。ここで、予備延伸は、加熱工程における加熱ローラ33の周速と、後述のギア延伸工程におけるギアロール31、32の周速とをそれぞれ異なる速さにすることにより行われる。すなわち、予備延伸用の張力を不織布シート2に付与すべく、ギアロール31、32における周速を加熱ローラ33における周速よりも速く設定する。
なお、本実施形態においては、加熱ローラ33とギアロール31、32との間に、不織布シート2をギアロール31、32のロール間隙に誘導するようにガイドローラ34が配置されている。不織布シート2は、このガイドローラ34に所定の巻き付け角度だけ巻き付くことにより、その流れ方向がギアロール31、32のロール間隙に向くように構成される。
また、予備延伸工程においては、上述の加熱ローラ33とギアロール31、32との周速差により、不織布シート2は、例えば、流れ方向に対し1.1〜1.8倍に延伸されている。なお、この延伸倍率は、大きくすると不織布シート2に作用する張力が大きくなり、破断のおそれが生じる。しかしながら、本実施形態においては、前述の加熱工程において、不織布シート2を予め加熱しており、不織布シート2の温度は高まっている。また、不織布シート2には、熱可塑性のポリオレフィン繊維が含まれているため、温度によってポリオレフィン繊維が塑性変形し易くなっている。これにより、予備延伸工程における不織布シート2の破断を防ぐことができる。なお、予備延伸工程における延伸倍率は、他の諸条件に応じて適宜変更してもよい。
ギア延伸工程においては、予備延伸工程において延伸された延伸量に追加して、不織布シート2をギアロール31、32によって更に流れ方向に延伸させる。ここで、ギア延伸について説明する。図7(A)に示すように、ギア延伸は、外周面において、周方向に波状に所定のピッチPで形成されたギア歯31t、32tを有する一対のギアロール31、32を用いて行われる。すなわち、ギア延伸は、これらギアロール31、32の間隙に不織布シート2を通し、その際に互いに噛み合う上ギアロール31のギア歯31tと下ギアロール32のギア歯32tとによって、不織布シート2を3点曲げ状に変形させて、不織布シート2を流れ方向に延伸させる。
そして、このロール間隙に不織布シート2が通されるときには、ギア延伸前の長さが前述のピッチPである不織布シート2の一部が、互いに噛み合うギア歯31t、32tによって図7(B)に示すように、3点曲げ状に変形されて延伸する。この状態の変化は、以下の数式によって、ギア延伸による不織布シート2の延伸倍率Mg、ギア歯31t、32tのピッチP、ギア歯31tとギア歯32tとの噛み合い代Lとの関数によって表すことができる。
(数2)
Mg=2×√(L+(P/2))/P
ギア延伸工程において、延伸された不織布シート2(伸縮性不織布1)は、ギアロール31、32により延伸された不織布シート2(伸縮性不織布1)を冷却する冷却工程に送られる。冷却工程には、延伸された不織布シート2を冷却装置37に誘導するためのガイドローラ35、36と、延伸された不織布シート2をシート状に搬送しながらこれを冷却するための冷却装置37と、冷却された伸縮性不織布1をロール状に巻き取る巻き取り工程に誘導するためのガイドローラ38、39と、が配置されている。
ここで、延伸された不織布シート2は、この冷却装置37によって速やかに常温近傍まで冷却されるため、延伸後における伸縮性不織布1の伸縮性の発現に寄与する伸縮性繊維、すなわちポリウレタン繊維の塑性変形は有効に抑制される。その結果、ギア延伸後の伸縮性不織布1には、有効に伸縮性が付与される。
冷却工程において、冷却された伸縮性不織布1は、巻き取り用のリール装置によりロール状に巻き取られ、伸縮性ロールシートとして搬出される。
このように、延伸処理前の不織布シート2に熱を加えると、ポリオレフィン繊維内の結晶構造が変化し、繊維の配向性が変化する。これにより、繊維伸度が増加し、不織布シート2における伸度が増加し易くなる。また、不織布シート2を加熱することにより、各延伸工程における不織布シート2の破断を防ぐことができる。
また、オレフィン繊維の結晶化度が低く、オレフィン繊維の歪み率が大きいことから、高い伸縮範囲を得られやすい。更に、繊維伸度が高く、シート伸度が高い不織布シート2が得られるため、ギア延伸加工時に高い延伸倍率が付与でき、高い伸縮範囲が得られると共に、シート強度が低下しない。これにより、例えば、使い捨ておむつに使用した場合においても、着用時における引き上げ時等におむつが破れ等を防止することができる。
また、坪量の低い伸縮性不織布を使用可能となるため、例えば、使い捨ておむつに使用する場合においても、伸縮時の強度が低くなることにより、使い捨ておむつを広げるときに広げやすくなると共に、着用時においてはギャザーによる締め付けを低減させることができ、より装着性の高いおむつを製造することができる。
また、ギア延伸加工後は、オレフィン繊維の繊維径が細くなり、繊維長が増加し、伸縮性不織布の密度が低下するため、クッション性が良く、通気性に優れた伸縮性不織布を得ることができる。
また、延伸処理前の不織布シート2に加熱処理を加え、延伸性を増加させることにより、不織布シート2の強度の低下を減少させることができる。これにより、例えば、高速で高倍率の延伸加工を行う場合においても、毛羽立ち等を発現させることなく実施することができる。
なお、本実施形態においては、不織布シート2に熱を加える手段として、発熱体が設けられた加熱ローラ33に不織布シート2を通過させることにより熱を加えたが、例えば、高周波エネルギを不織布シート2に加えることにより熱を加えるようにしてもよい。
また、伸縮性不織布1の伸縮方向は、伸縮性不織布1の使用目的により任意に形成することができる。すなわち、ギア延伸加工を行う際にギア歯31t、32tが配置される方向に対し、不織布シート2を横方向又は縦方向のいずれかに配置することにより、横方向又は縦方向のいずれか一方に伸長可能となる。
例えば、ギア延伸加工を行う際にギア歯31t、32tが配置される方向に対し、ギア延伸加工前における不織布シート2を横方向に配置した場合、伸縮性不織布1は、横方向に伸縮可能な伸縮性不織布1を形成することができる。同様に、ギア延伸加工を行う際にギア歯31t、32tが配置される方向に対し、ギア延伸加工前における不織布シート2を縦方向に配置した場合、伸縮性不織布1は、縦方向に伸縮可能な伸縮性不織布1を形成することができる。さらには、ギア延伸加工を横方向及び縦方向に行うことにより、双方に延伸可能な伸縮性不織布1を形成することができる。
以下、本発明に係る実施例を説明する。なお、以下の実施例は、本発明を好適に説明するための例示にすぎず、何ら本発明を限定するものではない。
<実施例1>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が27g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が50%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが4.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が30.38g/mであり、伸縮範囲は、62.1%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、20μmであった。
(伸縮性不織布1の繊維径、坪量の違いによるクッション性の変化)
得られた伸縮性不織布を試験片として、カトーテック(株) KES−FB3−AUTO−A を用いて圧縮性の試験を行った。試験は、加圧面積2cm、SENS2、圧縮速度50sec/mmで測定し、圧縮課程における圧縮仕事量WCを算定した。
(伸縮性不織布1の繊維径、坪量の違いによる通気性の変化)
得られた不織布を試験片として、カトーテック(株) KES−F8−AP1 を用いて通気抵抗値を測定した。測定は、φ28mmの円筒部に試験片を取り付け、排気3sec、吸気3sec後の通気抵抗値を測定した。
Figure 0005655116
<実施例2>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が27g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が50%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが6.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が31.43g/mであり、伸縮範囲は、125.5%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、17μmであった。
得られた伸縮性不織布を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例3>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が27g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が50%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが7.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が28.15g/mであり、伸縮範囲は、164%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、16μmであった。
得られた伸縮性不織布を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例4>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が35g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が50%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが4.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が38.45g/mであり、伸縮範囲は、64.5%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、20μmであった。
得られた伸縮性不織布を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例5>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が35g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が50%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが6.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が38.51g/mであり、伸縮範囲は、120.9%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、17μmであった。
得られた伸縮性不織布を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例6>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が35g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が50%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが7.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が35.67g/mであり、伸縮範囲は、155.7%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、16μmであった。
得られた伸縮性不織布を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例7>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が50g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が40%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが4.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が52.13g/mであり、伸縮範囲は、49.5%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、20μmであった。
得られた伸縮性不織布を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例8>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が50g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が40%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが6.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が55.98g/mであり、伸縮範囲は、119.5%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、17μmであった。
得られた伸縮性不織布を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例9>
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維(PP)とポリウレタン繊維(TPU)とから構成され、坪量が50g/m、ポリウレタン繊維(TPU)の混率が40%とした不織布シートを作製した。
次に、この不織布シートにギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが7.0mmのギアロールを用いて、不織布のシート温度を45℃、加工速度を50m/minとして不織布シートについてギア延伸加工を行い、伸縮性不織布を得た。伸縮性不織布は、坪量が50.34g/mであり、伸縮範囲は、149.5%であった。また、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径は、16μmであった。
得られた伸縮性不織布を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
<評価>
図8に示すように、オレフィン繊維の繊維径が変化することにより、伸縮性不織布1の密度が変化し、坪量が同一でも伸縮性不織布1の空隙が多くなる。これにより、圧縮仕事量WCも増加し、伸縮性不織布が圧縮しやすくなることより、クッション性が増加することが分かる。
図9に示すように、オレフィン繊維の繊維径が変化することにより、伸縮性不織布1の密度が変化するため、坪量が同一でも伸縮性不織布1の通気性が変化する。そして、オレフィン繊維の繊維径が低下することにより、伸縮性不織布1の内部において、空隙が多くなり、通気抵抗値が減少する。したがって、通気度が増加することが分かる。
<実施例10>
(ギア延伸加工時の条件における強度変化)
繊維径が23μmのポリプロピレン繊維60%とポリウレタン繊維40%から構成され、坪量が35g/mの不織布シートを作製した。次に、ギア延伸加工として、ピッチPが4.9mm、噛み合い代Lが6.2mmのギアロール31、32を用いて、当該不織布シート2について流れ方向(MD方向)にギア延伸加工を行い、伸縮性不織布1を得た。なお、加熱工程は、不織布シートを加熱ローラ33を通過させることにより、シート温度が48℃になるように調節した。また、不織布シートは、MD方向に係る最大点強度が45.9N/50mmであった。
また、不織布を製造する際の設備の流れ方向とは、Machine Directoin(MD)のことである。
このとき、加工速度を変えながら、各速度で伸縮性不織布1を得た。得られた伸縮性不織布1は、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径が16μmであった。得られた伸縮性不織布1を用いて、MD方向に係る最大点強度を試験した。
同様に、不織布シートのシート温度を変えながら伸縮性不織布1を得た。得られた伸縮性不織布1は、疎領域11におけるポリプロピレン繊維(PP)の繊維径が16μmであった。得られた伸縮性不織布1を用いて、MD方向に係る最大点強度を試験した。
<評価>
図10に示すように、ギア延伸加工においては、加工速度が50m/min以上になると、流れ方向における強度がギア延伸加工前の不織布シートよりも低下することが分かる。しかしながら、図11に示すように、ギア延伸加工時における不織布シート2を加熱することにより、加工速度が53m/minであっても、流れ方向における強度を増加させることが可能になることが分かる。
1 伸縮性不織布
2 不織布シート(潜在伸縮性不織布)
4 複合シート
11 疎領域
12 密領域
21 ポリオレフィン繊維(伸長性繊維)
22 エラストマ繊維(伸縮性繊維)
23 融着部
31、32 ギアロール
31t、32t ギア歯
50 使い捨ておむつ
P ピッチ
L 噛み合い代

Claims (5)

  1. 縦方向と前記縦方向に直交する横方向とを有し、
    両面に前記縦方向に伸びる複数の帯状疎領域と複数の帯状密領域とが前記横方向に交互に連続して形成されると共に、一の面における前記帯状密領域と他の面における前記帯状密領域とが前記横方向に交互に形成される伸縮性不織布であって、
    該伸縮性不織布は、混合又は積層された伸長性繊維と伸縮性繊維とからなり、
    前記伸長性繊維は、前記一の面における前記帯状密領域と前記他の面における前記帯状密領域との間において、部分的に伸長された伸長性繊維を含み、
    前記帯状疎領域は平坦に形成され、前記帯状密領域よりも厚みが厚く、
    前記伸長性繊維の坪量は4〜40g/mであり、
    前記伸縮性繊維の坪量は3〜38g/mである伸縮性不織布。
  2. 前記伸縮性不織布は、坪量が15〜50g/mである請求項1に記載の伸縮性不織布。
  3. 伸縮範囲が1.7倍以上である請求項1又は2に記載の伸縮性不織布。
  4. 通気抵抗値が、0.0101〜0.0265Kpa・sec/mである請求項1〜3のいずれかに記載の伸縮性不織布。
  5. 圧縮仕事量が、0.78〜1.44N・m/mである請求項1〜4のいずれかに記載の伸縮性不織布。
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