JP5515442B2 - 熱間工具鋼及びこれを用いた鋼製品 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、JIS SKD61に代わり得る焼入性やクリープ特性に優れた熱間工具鋼として、C:0.30〜0.38重量%、Si:0.10〜0.40重量%、Mn:0.60〜0.80重量%、Cr:5.40〜5.70重量%、Mo:1.50〜1.70重量%、V:0.70〜0.85重量%を必須成分として含み、残部がFeと不可避的不純物から成る鋼が開示されている。
また、特許文献1〜10に開示された鋼は、本発明が達成しようとする被削性、熱伝導率及び衝撃値を全て兼ね備えたものではない。
例えば、特許文献1では、熱伝導率については示唆も開示もない上、過剰Vによる衝撃値劣化が懸念される。また、特許文献1では、過少Siによる被削性劣化が著しく、金型形状への加工が難しいことが懸念される。
特許文献2では、過剰Siによる熱伝導率の低下や、過少Siによる被削性劣化が懸念される。また、特許文献2では、過少Mn、過少Crによる衝撃値の低下が懸念される。
特許文献3〜5もまた、熱伝導率については示唆も開示もない。特許文献3では、過少Mnによる焼入性の不足、衝撃値の低下が懸念される。特許文献4では、過少Siによる被削性劣化が懸念される。また、特許文献4では、過少Cr、過少・過剰Vによる衝撃値の低下が懸念される。特許文献5では、過少Mnによる焼入性の不足、衝撃値の低下、過少Moによる高温強度の低下、過少・過剰Vによる衝撃値の低下が懸念される。
特許文献6〜8では、過少Crによる焼入性の低下、硬さや衝撃値の低下が懸念される。
特許文献9、10では、過少Siによる被削性劣化、過剰Siによる熱伝導率の低下、又は、過少Crによる衝撃値の低下が懸念される。
そこで、本発明者は、被削性を汎用金型鋼と同等以上に維持しながら、熱伝導率を汎用金型鋼より向上させ、更に、汎用金型鋼よりも衝撃値を高めるべく、鋭意研究を行った。その結果、本発明者は、
(a)Si量を調整することにより、被削性の劣化を防止しつつ熱伝導率を高めながら、
(b)Mn量、Cr量、Mo量、及び、V量を調整することにより、汎用金型鋼よりも高い熱伝導率を維持しつつ、汎用金型鋼よりも衝撃値を高めることができることを知見するに至った。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
0.20≦C≦0.42質量%、
0.40<Si<0.75質量%、
0.65≦Mn≦1.50質量%、
5.24≦Cr≦9.00質量%、
1.08<Mo≦2.50質量%、及び、
0.30<V<0.70質量%を含み、
残部がFe及び不可避的不純物からなることを要旨とする。
ここで、不可避的不純物としては、例えば、W<0.30質量%、Co<0.30質量%、Nb<0.004質量%、Ta<0.004質量%、Ti<0.004質量%、Zr<0.004質量%、Al<0.004質量%、N<0.004質量%、Cu<0.15質量%、Ni<0.15質量%、B<0.0010質量%、S<0.010質量%、Ca<0.0005質量%、Se<0.03質量%、Te<0.005質量%、Bi<0.01質量%、Pb<0.03質量%、Mg<0.005質量%、O<0.0080質量%等がある。
0.30≦W≦4.00質量%を含むものでもよい。
0.30≦Co≦3.00質量%を含むものでもよい。
0.004≦Nb≦0.100質量%、
0.004≦Ta≦0.100質量%、
0.004≦Ti≦0.100質量%、
0.004≦Zr≦0.100質量%、
0.004≦Al≦0.050質量%、及び、
0.004≦N≦0.024質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むものでもよい。
0.15≦Cu≦1.50質量%、
0.15≦Ni≦0.96質量%、及び、
0.0010≦B≦0.0100質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むものでもよい。
0.010≦S≦0.500質量%、
0.0005≦Ca≦0.2000質量%、
0.03≦Se≦0.50質量%、
0.005≦Te≦0.100質量%、
0.01≦Bi≦0.30質量%、及び、
0.03≦Pb≦0.50質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むものでもよい。
ここで、「鋼製品」とは、例えば、ダイカスト用金型、熱間鍛造用金型、温熱間鍛造用金型をいうがこれらに限定されるものではない。
詳細には、本発明に係る熱間工具鋼は、汎用金型鋼よりも優れた熱伝導率が得られ、かつ、汎用金型鋼と同等以上の被削性を確保できるようにSi量が最適化され、更に、Mn量、Cr量、Mo量、V量が最適化されている。従って、本発明に係る熱間工具鋼は、優れた被削性、高い熱伝導率を備えるだけでなく、高い焼入れ性と、高い衝撃値を備えるという効果がある。そのため、本発明に係る熱間工具鋼は、金型加工にかかるコストが汎用金型鋼よりも高くなることは無い。また、本発明に係る熱間工具鋼は、焼付きやヒートチェックが生じにくい。その結果、長い金型寿命が得られ、ダイカストや温熱間鍛造の製造コスト低減や生産性向上が達成される。
(熱間工具鋼の成分組成及びその限定理由)
本実施形態に係る熱間工具鋼は、必須元素として、C、Si、Mn、Cr、Mo、及び、Vを含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる。本実施形態に係る熱間工具鋼は、不可避的不純物として、例えば、W、Co、Nb、Ta、Ti、Zr、Al、N、Cu、Ni、B、S、Ca、Se、Te、Bi、Pb、Mg、及び、O等を含む。
Cは、鋼の強度調整に必要な必須元素である。C量が0.20質量%未満では、必要な硬さ36HRC以上を得にくい。C量が0.50質量%を超えると、硬さが飽和傾向であると同時に炭化物量が過度となり、疲労強度や衝撃値を劣化させる。そこで、C量は、0.20≦C≦0.50質量%とする。C量は、硬さと疲労強度と衝撃値のバランスに優れた0.24≦C≦0.46質量%がより好ましく、0.28<C≦0.42質量%が更に好ましい。
Siは、鋼の被削性調整に必要な必須元素である。Si量が0.40質量%以下では汎用金型鋼と同等以上の被削性の確保が困難になる。Si量が0.75質量%以上になると、熱伝導率の低下が大きい。そこで、Si量は、0.40<Si<0.75質量%とする。Si量は、被削性と熱伝導率のバランスが良い0.44≦Si≦0.70質量%がより好ましく、0.48≦Si≦0.65質量%が更に好ましい。
Mnは、焼入性を向上させるための必須元素である。Mn量が0.50質量%以下では焼き入れ性が不足し、硬さや衝撃値の確保が困難である。Mn量が1.50質量%を超えると、かえって衝撃値が低下するだけでなく、高い熱伝導率の維持が困難となる。そこで、Mn量は、0.50<Mn≦1.50質量%とする。また、Mn量は、硬さと衝撃値を確保でき、かつ高い熱伝導率が得られる0.55≦Mn≦1.35質量%がより好ましく、0.65≦Mn≦1.20質量%が更に好ましい。
Crは、焼入性を向上させるだけでなく、炭化物を形成して鋼を高強度化するための必須元素である。Cr量は、5.24質量%未満では焼き入れ性が不足し、硬さと衝撃値が充分に得られない。また、腐食環境に晒されるダイカスト金型に求められる耐食性は、Cr量の多い方が高くなる。一方で、Cr量が9.00質量%を超えると、高い熱伝導率の維持が困難となる。そこで、Cr量は、5.24≦Cr≦9.00質量%とする。また、Cr量は、硬さと衝撃値と耐食性を確保でき、かつ高い熱伝導率が得られる5.40<Cr≦8.40質量%がより好ましく、5.55≦Cr≦7.80質量%が更に好ましい。
Moは、焼入性を向上させるだけでなく、炭化物を形成して鋼を高強度化するため、特に高温強度を高めるための必須元素である。Mo量は、1.08質量%以下では、充分な高温強度が得られない。一方で、Mo量が2.99質量%以上では、高温強度が飽和傾向であると同時に、著しいコスト増となって経済性を阻害する。そこで、Mo量は、1.08<Mo<2.99質量%とする。また、Mo量は、1.15<Mo≦2.80質量%がより好ましく、1.20≦Mo≦2.50質量%が更に好ましい。
Vは、焼入性を向上させるだけでなく、炭化物を形成して鋼を高強度化するため、特に高温強度を高めるための必須元素である。V量が0.30質量%以下では、焼入れ時の結晶粒が粗大化しやすく、衝撃値を低下させる。一方で、V量が0.70質量%以上では、粗大炭化物の量が過度となり、衝撃値を劣化させる。そこで、V量は、0.30<V<0.70質量%とする。また、V量は、軟化抵抗を確保でき、かつ疲労強度と衝撃値が充分に得られる0.40≦V≦0.67質量%がより好ましく、0.50≦V≦0.64質量%が更に好ましい。
W、Co、Nb、Ta、Ti、Zr、Al、N、Cu、Ni、B、S、Ca、Se、Te、Bi、Pb、Mg、及び、O等が上記量の範囲である場合には、これらの元素は、不可避的不純物として含まれる。
(a)W、
(b)Co、
(c)Nb、Ta、Ti、Zr、Al、及び、Nからなる群から選ばれる少なくとも1種以上、
(d)Cu、Ni、及び、Bからなる群から選ばれる少なくとも1種以上、及び/又は、
(e)S、Ca、Se、Te、Bi、及び、Pbからなる群から選ばれる少なくとも1種以上、を含むものでもよい。
Wは、炭化物の析出によって強度を上げるため(析出硬化)、添加することができる選択元素である。W量が0.30質量%未満では高強度化の効果が小さい。一方で、W量が4.00質量%を超えると効果の飽和と著しいコスト増を招く。そこで、W量は、0.30≦W≦4.00質量%とする。
Coは、母材への固溶によって強度を上げるため(固溶硬化)、添加することができる選択元素である。Co量が0.30質量%未満では高強度化の効果が小さい。一方で、Co量が3.00質量%を超えると効果の飽和とコストの著しい増加を招く。そこで、Co量は、0.30≦Co≦3.00質量%とする。
0.004≦Ta≦0.100質量%、
0.004≦Ti≦0.100質量%、
0.004≦Zr≦0.100質量%、
0.004≦Al≦0.050質量%、及び、
0.004≦N≦0.050質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上
Nb、Ta、Ti、Zr、Al、及び、Nは、結晶粒を微細化(結晶粒微細化)して強度と靭性を上げるため、添加することができる選択元素である。いずれの元素も、所定量未満では強度と靭性の改善効果が小さい。また、所定量を超えると炭化物や窒化物や酸化物が過度に生成し、かえって靭性の低下を招く。
0.15≦Ni≦1.50質量%、及び、
0.0010≦B≦0.0100質量%、からなる群から選ばれる少なくとも1種以上
Cu、Ni、及び、Bは、焼入れ性を向上させるため(焼入性向上)、添加することができる選択元素である。いずれの元素も、所定量未満では焼入れ性の改善効果が小さい。また、所定量を超えると効果が飽和して実益に乏しい。特に、Cu、及び、Niは、過度の添加が熱伝導率を低下させる。
0.0005≦Ca≦0.2000質量%、
0.03≦Se≦0.50質量%、
0.005≦Te≦0.100質量%、
0.01≦Bi≦0.30質量%、及び、
0.03≦Pb≦0.50質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上
S、Ca、Se、Te、Bi、及び、Pbは、被削性を向上させるため(被削性向上)、添加することができる選択元素である。いずれの元素も、所定量未満では被削性の改善効果が小さい。また、所定量を超えると熱間加工性が著しく劣化するため、塑性加工における割れが多発して生産性と歩留まりを低下させる。
本実施形態に係る鋼は、例えば、以下の手順により得ることができるが、これに限定されるものではない。
上記所定成分となるように配合された原料を溶解させ、溶湯を鋳型に鋳込んでインゴットを得る。
得られたインゴットの成分を均一化させ、かつ、鋳造組織を破壊するために均質化熱処理及び熱間加工を行う。均質化熱処理及び熱間加工の条件は、それぞれ、成分に応じて最適な条件を選択するのが好ましい。
均質化熱処理は、通常、インゴットを1100〜1500℃で10〜30時間程度保持することにより行われる。
熱間加工は、通常、1000〜1300℃で行われ、加工終了後は空冷される。
本実施形態に係る鋼は、比較的良好な焼入性を備えているので、熱間加工後の空冷時にベイナイト変態やマルテンサイト変態が生じ、硬化している場合が多い。そのため、熱間加工後、焼戻し及び球状化焼鈍を行って素材を軟化させた後、粗加工を行うとよい。
焼戻し条件は、成分に応じて最適な条件を選択するのが好ましい。焼戻しは、通常、600〜750℃で1〜10時間程度保持することにより行われる。
球状化焼鈍は、鋼の硬さが90〜97HRB程度になるように行うのが好ましい。球状化焼鈍は、通常、800〜950℃で1〜10時間程度保持した後、1時間あたり5〜30℃の速度で冷却することにより行われる。
粗加工は、軟化させた素材を所定形状になるように機械加工することにより行われる。
調質(焼入れ・焼戻し)は、粗加工された素材を所望の硬さにするために行う。焼入れ条件及び焼戻し条件は、それぞれ、成分及び要求特性に応じて最適な条件を選択するのが好ましい。
焼入れは、通常、1000〜1050℃で0.5〜5時間保持した後、急冷することにより行われる。急冷方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法を選択するのが好ましい。急冷方法としては、例えば、水冷、油冷、衝風冷却がある。
焼戻しは、通常、500〜650℃で1〜10時間保持することにより行われる。
以上(1)〜(4)の工程を経ることにより、被削性を汎用金型鋼(JIS SKD61)と同等以上に維持しながら、汎用金型鋼よりも熱伝導率に優れ、かつ、汎用金型鋼よりも衝撃値が高い鋼が得られる。
仕上げ加工は、所望の硬さに調質された素材に対して行われる。
この(5)の工程を経ることにより、本実施形態に係る熱間工具鋼を用いた鋼製品が得られる。
本実施形態に係る熱間工具鋼は、Si量が最適化されているので、汎用金型鋼と同等以上の被削性を確保でき、かつ、汎用金型鋼よりも優れた熱伝導率が得られる。また、本実施形態に係る熱間工具鋼は、Mn量、Cr量、Mo量、V量が最適化されているので、汎用金型鋼と同等以上の被削性を確保しながら、汎用金型鋼よりも熱伝導率に優れ、かつ、衝撃値が高い。そのため、本発明に係る熱間工具鋼は、金型加工にかかるコストが汎用金型鋼よりも高くなることは無い。また、本発明に係る熱間工具鋼は、焼付きやヒートチェックが生じにくい。その結果、長い金型寿命が得られ、ダイカストや温熱間鍛造の製造コスト低減や生産性向上が達成される。
下記実施例Bの各発明鋼を作製するために、好ましいSi量、Mn量、Cr量、Mo量、V量を調査すべく実施例1〜5を行った。
好ましいSi量を調査したので図1及び図2を参照して説明する。
図1は、0.35質量%C−0.82質量%Mn−5.73質量%Cr−1.21質量%Mo−0.62質量%V−x質量%Si鋼を切削した場合に、切削工具が寿命となるまでに削った距離をSi量に対して示す。ここで、図1及び図2の各プロット点の数値は、上側の数値がx値(質量%)を示し、下側の数値がその削った距離(mm)を示す。被削性評価用試験片は、55mm×55mm×200mmの角棒(下記実施例Bと同様の手順で作製したものであり球状化焼鈍で90〜97HRBまで軟化させたもの)であり、切削工具の横逃げ面最大磨耗量が300μmとなった時点を寿命と判定した。切削距離が大きいほど、良く削れて好ましい。
図1によれば、Si量の増加に伴い切削距離が大きくなることから、被削性向上の観点では、Si量が多いほどよい。図1によれば、Si量が0.40質量%以下では、切削距離の減少が目立つ。従って、Si量は、被削性を向上させるとの観点によれば、0.40質量%超が好ましく、0.44質量%以上がより好ましく、0.48質量%以上が更に好ましい。一方、Si量が0.75質量%以上になると改善効果が顕著ではない。
図2によれば、Si量の増加に伴い熱伝導率が低下し、Si量が0.80質量%を超えると、熱伝導率は汎用金型鋼(JIS SKD61(熱伝導率24W/m/K))と比較して、それほど差がない程度にまで低下する。このため、汎用金型鋼(JIS SKD61(熱伝導率24W/m/K))以上の熱伝導率を得るという観点から、Si量の上限として0.75質量%未満を選択した。
また、図2によれば、Si量が0.10〜0.40質量%の範囲では28.3W/m/K以上の高い熱伝導率が得られ、Si量が0.10〜0.70質量%の範囲では26W/m/K以上の良好な熱伝導率が得られる。
以上のことから、Si量が増加すると熱伝導率が低下するが、汎用金型鋼と比較の観点では、Si量は0.75質量%未満の範囲を上限とすればよい。熱伝導率を高めるとの観点によれば、Si量は0.70質量%以下がより好ましく、0.65質量%以下が更に好ましい。
好ましいMn量を調査したので図3及び図4を参照して説明する。
図3は、0.32質量%C−0.42質量%Si−5.03質量%Cr−1.22質量%Mo−0.60質量%V−x質量%Mn鋼の室温における衝撃値をMn量に対してプロットしたものである。ここで、図3の各プロット点の数値は、上側の数値がx値(質量%)を示し、下側の数値が衝撃値(J/cm2)を示す。衝撃値測定用供試材は、11mm×11mm×55mmの角棒(下記実施例Bと同様の手順で作製したものであり球状化焼鈍で90〜97HRBまで軟化させたもの)を1030℃に加熱して急冷、焼戻して49HRCに調質したものである。この角棒から10mm×10mm×55mmのJIS 3号衝撃試験片を作製し、衝撃値を室温で測定した。衝撃値が大きいほど、金型となった場合に割れにくいため好ましい。
図3によれば、Mn量が0.50質量%以下では、衝撃値が相対的に低くなっていることがわかる。また、図3によれば、衝撃値は、Mn量が増加するにつれて向上するものの、1.50質量%を超えると低下することがわかる。
図3によれば、Mn量を0.45質量%、0.55質量%とすれば、衝撃値として30J/cm2以上が得られることがわかった。そこで、Mn量は、0.45と0.55の間である0.50質量%をMn量の下限値とした。また、図3によれば、Mn量を0.65質量%以上とすれば、衝撃値として31J/cm2以上が得られる。但し、図3によれば、Mn量が1.50質量%を超えると、衝撃値は良好ではあるが低下する。
尚、熱伝導率の測定は、実施例1と同様にレーザーフラッシュ法によって行った。
図4によれば、Mn量の増加に伴い熱伝導率が低下する。図4によれば、Mn量は、熱伝導率として、JIS SKD61(熱伝導率24W/m/K)と比較して冷却能が改善する26W/m/K以上を得るには、1.50質量%以下とすればよく、更に冷却能が改善する26.4W/m/K以上を得るには、1.35質量%以下とすればよく、更に冷却能が改善する26.8W/m/Kを得るには、1.20質量%以下とすればよい。
好ましいCr量を調査したので図5及び図6を参照して説明する。
図5は、49HRCに調質した0.35質量%C−0.51質量%Si−0.84質量%Mn−1.22質量%Mo−0.61質量%V−xCr質量%鋼の室温における衝撃値をCr量に対してプロットしたものである。ここで、図5の各プロット点の数値は、上側の数値がx値(質量%)を示し、下側の数値が衝撃値(J/cm2)を示す。また、試験片の作製及び衝撃値の測定は、実施例2と同様にして行った。
図5によれば、Cr量の増加に伴い衝撃値が増加し、特にCr量が5質量%を超えるとその効果が顕著である。図5によれば、Cr量は、衝撃値として、27.2J/cm2以上を得るには5.24質量%以上とすればよいことがわかった。よって、衝撃値確保の観点からCr量の下限を5.24質量%以上とした。また、図5によれば、Cr量が5質量%未満の場合、衝撃値の低下が顕著である。
図6によれば、Cr量の増加に伴い熱伝導率が低下する。図6によれば、Cr量は、熱伝導率として、JIS SKD61(熱伝導率24W/m/K)と比較して冷却能が改善する25W/m/K以上を得るには9.00質量%以下とすればよく、冷却能が改善する25.6W/m/K以上を得るには8.40質量%以下とすればよく、更に冷却能が改善する26.3W/m/K以上を得るには7.80質量%以下とすればよい。また、図6によれば、Cr量は、熱伝導率として、JIS SKD61と比較して冷却能が飛躍的に改善する28W/m/K以上を得るには6.70質量%以下とすればよい。
好ましいMo量を調査したので図7を参照して説明する。
図7は、0.35質量%C−0.47質量%Si−0.83質量%Mn−5.74質量%Cr−0.59質量%V−x質量%Mo鋼の高温強度(600℃での変形抵抗)をMo量に対して示す。ここで、図7の各プロット点の数値は、上側の数値がx値(質量%)を示し、下側の数値が高温強度(MPa)を示す。変形抵抗測定用供試材は、φ15mm×50mmの丸棒(下記実施例Bと同様の手順で作製したものであり球状化焼鈍で90〜97HRBまで軟化させたもの)を1030℃に加熱して急冷し、焼戻して45HRCに調質したものである。この丸棒からφ14mm×21mmの変形抵抗測定用試験片を作製し、試験片を5℃/sで600℃に加熱して100sの保持後、ひずみ速度10s−1で加工して変形抵抗を測定した。
図7によれば、高温強度は、Mo量の増加に伴い増加し、特にMo量が1.08質量%(JIS SKD61の含有量に相当する)超の範囲では高温強度の増加により比較的高い高温強度(>930MPa)が得られる。図7によれば、Mo量が1.25質量%以上3質量%以下では高温強度の増加が緩やかになり、Mo量が3質量%以上では高温強度の増加が飽和する。そこで、高温強度の増加傾向が緩やかになるMo量1.25質量%以下においては、例えば、Mo量は、1.15質量%超がより好ましく、1.20質量%以上が更に好ましい。
また、図7によれば、Mo量は、高温強度として、950MPa以上を得るには1.23質量%以上、970MPa以上を得るには2.5質量%以上とすればよい。ただし、Mo量が3質量%以上の範囲では、著しいコスト増を招来する。そのため、Mo量は、コスト低減の観点から、2.99質量%未満が好ましく、2.80質量%以下がより好ましく、2.50質量%以下が更に好ましい。
好ましいV量を調査したので図8を参照して説明する。
図8は、48HRCに調質した0.34質量%C−0.49質量%Si−0.82質量%Mn−5.75質量%Cr−1.23質量%Mo−x質量%V鋼の衝撃値をV量に対して示す。ここで、図8の各プロット点の数値は、上側の数値がx値(質量%)を示し、下側の数値が衝撃値(J/cm2)を示す。また、ここで、試験片の作製及び衝撃値の測定は、実施例2と同様にして行った。
図8によれば、V量を0.1〜1質量%の範囲で変化させた場合には、どの値でも良好な衝撃値(20J/cm2以上)が得られる。図8によれば、V量が0.30質量%付近とV量0.70質量%付近が変曲点となっている。従って、V量を0.30質量%超0.70質量%未満とすれば、焼入性向上や炭化物形成による鋼の高強度化に寄与すると考えられる。一方、図8によれば、V量が0.30質量%以下になると衝撃値の低下が顕著であり、V量が0.70質量%以上になると衝撃値の低下に加えて素材コストの上昇が工業的に大きな問題となる。従って、V量は、0.30<V<0.70質量%が好ましい。図8によれば、V量は、衝撃値として、31J/cm2以上を得るには0.40質量%以上の範囲、34J/cm2以上を得るには0.50質量%以上の範囲とすればよいことがわかる。
実施例Aの調査結果に基づいて、各発明鋼及び各比較鋼を作製し、評価したのでこれについて説明する。
表1及び表2に示す各実施例及び各比較例(比較鋼A11はJIS SKD61)について、各鋼種を真空中で溶解し、溶湯を鋳型に鋳込んで6tonのインゴットとした。
このインゴットを1240℃で均質化処理した。その後、断面が310mm×660mmの矩形ブロックを熱間鍛造で製造した。
次いで、その矩形ブロックを700℃で焼戻した後、更に900℃へ加熱して徐冷した。これにより、その矩形ブロックを90〜97HRBまで軟化させた。そして、この矩形ブロックから700kg程度のダイカスト型を削りだした。
このダイカスト型を真空中で1030℃まで加熱し、1Hrの保持後に窒素ガスを噴射して焼入れた。引き続き、580〜610℃で焼戻して42HRC程度に調質した。
調質後、そのダイカスト型から各種試験片を切り出した。また、そのダイカスト型に仕上げの機械加工を施して約650kgのダイカスト型を製造した。
ダイカスト型から切出した各試験片を用いて、基礎特性(高温強度・熱伝導率・衝撃値・耐食性・コスト)を測定・調査した。
高温強度は次のようにして測定した。ダイカスト型からφ14mm×21mmの試験片を切り出した。その試験片を5℃/sで600℃に加熱して100sの保持後、ひずみ速度10s−1で加工して変形抵抗を測定した。その結果は表3に示す通りである。
熱伝導率は次のようにして測定した。ダイカスト型からφ10mm×2mmの試験片を切り出した。レーザーフラッシュ法によって室温でその試験片の熱伝導率を測定した。その結果は表3に示す通りである。
衝撃値は次のようにして測定した。ダイカスト型から10mm×10mm×55mmのJIS 3号衝撃試験片を切り出した。室温でその試験片の衝撃値を測定した。その結果は表3に示す通りである。
耐食性は次のようにして測定した。ダイカスト型から試験片を切り出し、その試験片に孔を設けた。そして、この孔の内部に30℃の工業用水を5.0リットル/minで24Hr通水した。通水後の孔内面における錆びの発生状況を目視で評価した。その結果は表3に示す通りである。
高温強度は、920MPa以上を良好(表3で「○」で示す)、それ以外のものを不良(表3で「×」で示す)と評価した。熱伝導率は、26W/m/K以上を良好(表3で「○」で示す)、それ以外のものを不良(表3で「×」で示す)と判断した。衝撃値は、20J/cm2超を良好(表3で「○」で示す)、それ以外のものを不良(表3で「×」で示す)と評価した。耐食性は、JIS SKD61(比較鋼A11)を基準として、それよりも錆が発生していないものを良好(表3で「○」で示す)、それと同等に錆が発生したものをやや不良(表3で「△」で示す)、それよりも錆が発生したものを不良(表3で「×」で示す)と評価した。
発明鋼は全項目において良好な特性を示した。また、発明鋼の被削性は、汎用金型鋼(JIS SKD61)より悪くなることは無かった。尚、被削性の評価は、実際にダイカスト金型を切削した時の作業効率と切削工具の損耗状態から判断している。被削性が悪い鋼を切削すると、切削工具には局部的な異常磨耗や欠けを生じやすいため、切削工具の頻繁な交換による作業効率の低下と、多量の切削工具を使うことによるコストの増加を余儀なくされる。発明鋼を切削した際の作業効率や切削工具の損耗状態は汎用鋼の場合と同等であり、発明鋼の被削性は汎用鋼と同等であることが実際の金型加工において確認できた。
熱伝導率が27W/m/Kを超えた発明鋼は、Si量が0.55質量%以下(発明鋼A12を除くとSi量が0.52質量%以下)、Mn量が0.81〜1.04質量%(発明鋼A12を除くと0.81〜0.95質量%、更に発明鋼A11を除くと0.81〜0.84質量%)、Cr量が5.55〜5.74質量%(発明鋼A12を除くと5.63〜5.74質量%、更に発明鋼A11を除くと5.71〜5.74質量%)だった。
衝撃値が34J/cm2以上となった発明鋼は、Mn量が0.51〜1.42質量%(発明鋼A05を除くと0.51〜0.83質量%)、Cr量が5.25〜8.61質量%(実施例A01を除くと5.25〜8.08質量%)、V量が0.57〜0.69質量%だった。
他の比較鋼は、一部の評価項目では比較鋼A11(JIS SKD61)より良好であるが、全項目が「○」となる鋼種はなかった。
比較鋼A02は、過剰C、過剰Vのため炭化物量が過剰となり、衝撃値が低下した。また、比較鋼A02は、Si及びMnが比較的多めだったため、熱伝導率が低下した。更に、比較鋼A02は、Cr及びMoが比較的少なめだったため、耐食性が悪く、過剰Vのためコスト高となった。
比較鋼A03は、過剰Siのため熱伝導率が低下した。
比較鋼A04は、過少Siであるにも係わらず、Mn及びCrが比較的多めだったため、熱伝導率が低下した。
比較鋼A06は、過剰Mnのため熱伝導率が低下した。また、比較鋼A06は、衝撃値が良好と判断されたが、その値は判断基準をかろうじて満たす程度だった。更に、比較鋼A06は、C量が多いことからCr炭化物も多量に形成され,この結果として固溶Cr量が減ったため、耐食性が悪かった。
比較鋼A07は、過少Crのため焼入性が不足し、衝撃値が低下した。また、比較鋼A07は、過少Crのため、耐食性が悪かった。
比較鋼A08は、過剰Crのため熱伝導率が低下した。
比較鋼A09は、過少Moのため高温強度が低下した。
比較鋼A10は、過剰Moのため著しいコスト高だった。
比較鋼A11は、過剰Siのため熱伝導率が低下し、過少Mn、過剰Vのため衝撃値が低下した。
ダイカスト型を用いた実機試験を次のようにして行った。作製したダイカスト型をマシンに組み付け、アルミ合金の鋳造を行った。アルミ合金には、ADC12を用い、溶解保持炉の温度は680℃とした。また、ダイカスト品の重量は約5kg、1サイクルは60sである。10000ショットの鋳造後、金型表面のヒートチェックと、内部冷却回路の腐食亀裂を評価した。また、10000ショットの鋳造が完了するまでの間、顕著な焼付きが発生したか、内部冷却回路の割れによる水漏れがあったかについても評価した。表4は、実機試験の結果を示す。尚、表4の熱伝導率及び衝撃値は、表3に示したものをそのまま掲載している。
ヒートチェック、焼付き、摩耗、水孔の割れは、目視で判断し、それぞれ、発生しなかったものを良好(表4で「○」で示す)、若干発生したものをやや不良(表4で「△」で示す)、発生したものを不良(表4で「×」で示す)と評価した。
発明鋼は全項目において良好な特性を示したのに対し、比較鋼はいずれかの項目において評価基準を満たさないものがあった。その理由は、発明鋼は上記成分組成を備え、熱伝導率及び衝撃値が高いことによるが、比較鋼は上記成分組成を備えておらず熱伝導率及び/又は衝撃値が低いためである。
熱伝導率と衝撃値が共に低い鋼種(比較鋼A02,A11)はヒートチェックが発生しやすい。また、熱伝導率が低い鋼種(比較鋼A02,A03,A04,A06,A08,A11)では焼付が頻発した。耐食性が低い鋼種(比較鋼A01,A02,A05,A06,A07)では、内部冷却回路の腐食もかなり深刻で、腐食部を基点とした割れも散発した。内部高温強度が低い鋼種(比較鋼A01,A09)では、磨耗が目立つ。比較鋼A10は、Mo含有量が高いため、コストや省資源化の観点から推奨できる材料ではない。
Claims (7)
- 0.20≦C≦0.42質量%、
0.40<Si<0.75質量%、
0.65≦Mn≦1.50質量%、
5.24≦Cr≦9.00質量%、
1.08<Mo≦2.50質量%、及び、
0.30<V<0.70質量%を含み、
残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする熱間工具鋼。 - 更に、
0.30≦W≦4.00質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱間工具鋼。 - 更に、
0.30≦Co≦3.00質量%を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱間工具鋼。 - 更に、
0.004≦Nb≦0.100質量%、
0.004≦Ta≦0.100質量%、
0.004≦Ti≦0.100質量%、
0.004≦Zr≦0.100質量%、
0.004≦Al≦0.050質量%、及び、
0.004≦N≦0.024質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱間工具鋼。 - 更に、
0.15≦Cu≦1.50質量%、
0.15≦Ni≦0.96質量%、及び、
0.0010≦B≦0.0100質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱間工具鋼。 - 更に、
0.010≦S≦0.500質量%、
0.0005≦Ca≦0.2000質量%、
0.03≦Se≦0.50質量%、
0.005≦Te≦0.100質量%、
0.01≦Bi≦0.30質量%、及び、
0.03≦Pb≦0.50質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱間工具鋼。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の熱間工具鋼を用いたことを特徴とする鋼製品。
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