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JP5503975B2 - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、搬送方向に対して横方向のみに一軸延伸されたフィルムの連続的な製造方法に関する。本発明は、特に、光学特性の均一性に優れた位相差フィルムを好適に製造する製造方法に関する。
例えば、特許文献1に記載されているように、フィルムの両側をクリップで把持して搬送しながら、両側のクリップ間の距離を広げることで、フィルムを幅方向に引き延ばすフィルム延伸機が公知である。
特許文献1に開示されたフィルム延伸機において、フィルムを把持する従来のクリップは、フィルムの載置面に対して先端が当接可能に揺動するフラッパを有し、フィルムの張力がフラッパを載置面に押圧する方向に作用するように、フラッパの載置面に対する当接角度が設定される。
ここで一般に、フラッパの把持部分はフィルムを平面形状に把持できるように、平面で形成されている。
特開2005−104081号公報 特開平4−230704号公報 特開平5−11111号公報 特開平5−11114号公報 特開平5−288931号公報 特開平5−288932号公報
ところで近年、液晶表示装置の大画面化に伴い、液晶表示装置の視野角改善やコントラスト改善に使用される位相差補償フィルムへの要求品質が急速に高まってきている。特に、光軸角度精度や位相差バラツキがフィルムの大面積にわたり良好であることが求められている。
また、液晶表示装置が世の中に広く普及していくためには、液晶表示装置に使用される部材の革新的低コスト化、即ち、構造・材料・作り方・供給等の革新や、標準化による生産性の向上が必要である。
位相差補償フィルムが液晶表示装置の視野角やコントラストを適切に改善するためには、高度に制御されたフィルム面内およびフィルム厚み方向の複屈折が要求される。上記フィルムの複屈折を高度に制御しつつ付与する方法としては、縦延伸法、横延伸法、縦横の逐次延伸からなる逐次二軸延伸法等が一般的に採用される。
ここでフィルムを搬送方向に延伸する縦延伸法では、フィルムは横方向には自由に収縮できるため、縦方向の一軸のみに延伸されたフィルムを得ることが容易である。
しかし、液晶パネルを設計する際には、異なる延伸方向の位相差フィルムを組み合わせる必要があるため、横方向に一軸に延伸されたフィルムを製造する必要もある。
搬送方向に対して横方向にフィルムを延伸する際には、特許文献1に記載されているように、フィルムの両側をクリップで保持して搬送しながら、両側のクリップの距離を広げることで、フィルムを幅方向に引き延ばすフィルム延伸機が公知である。また、クリップの代わりに、テンターピンで固定する場合もある。
フィルムを把持する従来のクリップは、フィルムの載置面に対して先端が当接可能に揺動するフラッパを有し、フィルムの張力がフラッパを把持部分に押圧する方向に作用するように、フラッパの把持部分の当接角度が設定される。一般に、フラッパの把持部分はフィルムを平面形状に把持できるように、平面で形成されている。
フィルムは、応力が作用することで、分子配列が変化して、偏光特性などが付与されるので、これを制御することで所望の光学特性を得ることが延伸技術の目的である。しかし、単純にフィルムを搬送方向に対して横方向に延伸すると、その搬送方向に収縮しようとするので、クリップなどにより両端が固定されたフィルムには搬送方向にも引っ張り応力が作用する。かかる搬送方向への応力が作用すると、フィルムは横方向への延伸と同時に縦方向にも延伸されてしまうことになり、横方向のみへの一軸延伸が実現できず、フィルムに望まざる特性を付与してしまう結果となる。
また、横方向への延伸をする際には、いわゆるボーイングと呼ばれる現象が発生し、横方向に分子の配向方向の不均一化が起こる。これらの現象のため、液晶配向を精緻に補償しうる位相差補償フィルムを得ることは難しく、かかる位相差補償フィルムを用いて液晶パネルを作製すると、液晶画面の色ムラが大きく視認性が悪化するという問題があった。
このような問題点を解決するための技術が、例えば、特許文献2、3、4、5に開示されている。特許文献2、3、4、5に開示された技術は、横延伸工程で縦方向にも延伸されたフィルムを得た後に、フィルムの熱収縮を利用して縦方向への延伸を緩和させる方法である。しかし、この方法では、横延伸工程と緩和工程の二つの工程が必要となり、効率が悪いという課題があった。
特許文献6では、フィルムの両端部を波形に賦形した状態を保ちながら、横方向に延伸する技術が開示されている。この方法であれば、横方向のみへの一軸延伸を可能とすることができ、且つ横方向へのボーイング現象を緩和することが可能となる。しかし、特許文献6には、波形に賦形する方法や延伸方法が記載されておらず、特にフィルムの生産に最も重要である連続的に延伸処理を施す手段やフィルムを連続的に波形に賦形する手段が全く開示されておらず、実用性に乏しいものであった。
本発明は、連続的に供給されるフィルムの両端を搬送装置に固定し、搬送方向に対して横方向に延伸する方法を改良するものであり、横方向に選択的に一軸延伸された延伸フィルムの製造方法に関する。
本発明者は上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、以下の特徴点を備えた発明を完成するに至った。
その第一の特徴点は、フィルムを波形にした(たるませた)状態で搬送方向に対して横方向に延伸するために、フラッパ方式のクリップの上下の保持部材の内の少なくとも一方を波形の形状とするものである。前記第一の特徴点においては、原則として波形形状のクリップでフィルムを挟むことによってフィルムを波打たせる様に賦形する。ここで「賦形」の意義であるが、フィルムを塑性変形させるのではなく、フィルムを平面状ではなく波うち状にするという意味である。
更に第二の特徴点は、上記の波形の保持部材でのフィルムの挟み込みと搬送とを円滑に且つ確実に実施し、連続的に横方向に選択的に一軸延伸された延伸フィルムを製造するための手段を提供するものである。
即ち、フラッパ方式のクリップの保持部材を波形にすると、フィルムをフラッパに把持する際に平坦なフィルムに当接した保持部材の上歯(突起)と下歯(突起)とを咬合させる過程で上流側からフィルムを引き込む必要がある。このとき、保持部材の上歯および下歯とフィルムとの間には大きな摩擦力が作用するため、相当に大きな力でフラッパを回動させなければ、クリップでフィルムを波型に把持することが出来ないという問題がある。
また、保持部材の先端が波形の頂点に載置したフィルムに当接してから、フィルムを波形の底に押し込んでフィルムを上下方向に完全に把持するまでに、正弦と余弦との関係に従い、保持部材とフィルムとの間の摩擦力が、フィルムを不規則に中央方向にひだ寄せるようなしわを発生させたり、フィルムを損傷させたりする原因にもなる。
特許文献1等に開示されたフラッパは、振り子の如く揺動してフィルム載置面に近接・離反するものであり、その揺動方向は、フィルムの搬送方向に対して垂直である。そのためフラッパは、当初フィルムの側辺の外側にあり、円弧軌跡を描いて揺動し、フィルムの中心に向かって移動する。そして遂にはフラッパの先端がフィルムと接する。その後にもフラッパは円弧軌跡を描いて揺動を続けるので、フラッパはフィルムと接した後にもフィルムの中心に向かって揺動し、フィルムの表面を押さえるだけでなく、内側方向にも力を加えてしまう。
この様にフラッパは、フィルムの幅方向に移動しつつフィルムを押さえるものである。特許文献1等に開示されたフラッパは、前記した様に平面形状であるが、前記した第一の特徴点を実現するためにこれを波形に改造すると、フィルムとの間の摩擦力が増大する。そのため波形に改造したフラッパは、フィルムとの間に相当の摩擦力が生じるから、フィルムの端辺部がフラッパの横方向移動に伴って中央方向に移動し、フィルムにしわを発生させたり、フィルムを損傷することがあった。
したがって、フィルムとクリップとの間に摩擦力を発生させないようにするためには、クリップの咬合力によってフィルムを上流側から引き込むのではなく、クリップの把持形状に合わせて波打つようにフィルムをオーバーフィードすればよい。
そこで、第二の特徴点は、フィルムを波形に賦形しながらオーバーフィードできるフィルムオーバーフィード装置を使用することにより、フィルムを無理なく波形に把持できるフィルム延伸方法を提供するものである。
第二の特徴点では、主としてフィルムオーバーフィード装置によってフィルムを波形に賦形する。「賦形」の意義は前述した通りであり、フィルムを塑性変形させるのではなく、フィルムを平面状ではなく波うち状にするという意味である。
第二の特徴点を実施する際には、第一の特徴点と共に実施することが望ましいが、第二の特徴点だけを実施することもできる。即ちフィルムを波形に賦形しながらオーバーフィードできるフィルムオーバーフィード装置を使用する場合には、上下の保持部材の内の少なくとも一方が波形をしたクリップでフィルムを保持してフィルムを延伸することが推奨されるが、他の公知のクリップでフィルムを保持してフィルムを延伸することも可能である。
上記した知見に基づいて完成された発明は、フィルムの両端を保持部材で挟みながら搬送し、搬送と共に両端の保持部材同士の間隔を広げてフィルムを搬送方向に対して横方向に延伸する延伸フィルムの製造方法において、保持部材は一対の保持部材片を有し、保持部材片同士の間でフィルムの端部を挟むものであり、前記一対の保持部材片の少なくとも一方に凸形部又は凹形部の少なくともいずれかを有しており、前記保持部材によってフィルムの一部領域又は全域をたるませるか、あるいは前記保持部材でフィルムの両端を挟む以前に、あるいは前記保持部材でフィルムの両端を挟む際に、フィルムの一部領域又は全域をたるませ、たるんだ状態のままでフィルムを横方向に延伸する延伸フィルムの製造方法に関する。
ここで「たるむ」という状態は、搬送状態において特定間隔に存在するフィルムの実際の長さが前記した特定間隔よりも長い状態を言う。フィルムが過剰供給された状態であるとも言える。
「たるむ」状態の形状を外観すると、例えば波打った状態が考えられる。「波打った状態」は山・谷の形状や周期が不規則である状態であってもよいが、品質を均一にする目的から、山・谷の形状や周期が規則的であることが望ましい。
「たるむ」状態の形の中で推奨されるものとして、サインカーブの様な山と谷とが規則的に存在する状態の他、脈動状態の様に、山だけが存在する状態や谷だけが存在する状態が挙げられる。また微細振動状であってもよい。
本発明は、フィルムを例えば波形に賦形した状態となる様にたるませて横方向に延伸するものであるが、フィルムをたるませる(波形に賦形する)方策は任意である。一つの方策として、保持部材片自体によってフィルムを波形に賦形することができる。即ち双方ともに凹凸形状をした一対の保持部材片を使用し、保持部材片の間で挟んでフィルムをたるませる。
本態様では、双方の保持部材片がそれぞれ凸形部と凹形部を有している。凹凸形状としては、特に限定は無く、山頂部や谷底部の形状が丸いものや、平坦なものが考えられる。凹凸形状の具体例としては、サインカーブの様な山と谷とが交互に出現するものがあるが、山又は谷だけが存在して外観状凹凸形状に見えるものも含まれる。また針状形状のものも凹凸形状に含む。
最も推奨される凹凸形状は、サインカーブの様な山と谷とを有する波形形状である。
前記した様に双方ともに凹凸形状をした一対の保持部材片を使用して保持部材片の間で挟んでフィルムを波打った状態にすることが推奨されるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。即ち一方だけが凹凸形状をした保持部材片を使用し、保持部材片でフィルムを押さえることによってフィルムを波形に賦形することもできる。本態様では、一方の保持部材片が凸形部と凹形部を有している。
さらに一方の保持部材片が凸形部だけを有していたり、一方の保持部材片が凹形部だけを有しているものを使用してフィルムを波形に賦形することもできる。
さらにはフィルムを波形に賦形するための装置を別途用意し、この装置によってフィルムを波形に賦形してもよい。
かかる構成により、フィルムをたるませた状態(好ましくは波形に賦形した状態)で横方向に延伸するができる。その結果、延伸時にフィルムの中央を搬送方向に自由に収縮させ、搬送方向へのフィルムの延伸を抑制し、横方向にのみ選択的に延伸されたフィルムを製造することが可能となる。
本発明の別の態様は、フィルムの両端を保持部材で挟みながら搬送し、搬送と共に両端の保持部材同士の間隔を広げてフィルムを搬送方向に対して横方向に延伸する延伸フィルムの製造方法において、前記保持部材でフィルムの両端を挟む以前に、あるいは前記保持部材でフィルムの両端を挟む際に、フィルムの少なくとも一方の面を搬送方向に間隔をあけて押圧することによってフィルムの一部領域又は全域をたるませ、たるんだ状態のままでフィルムを横方向に延伸する延伸フィルムの製造方法に関する。
ここで「フィルムの少なくとも一方の面を搬送方向に間隔をあけて押圧する」とはフィルムの一部を押し、さらにそれから搬送方向に離れた位置を押すことである。例えば波形の様な凹凸形状が設けられた部材同士の間でフィルムを挟むことによって「フィルムの少なくとも一方の面を搬送方向に間隔をあけて押圧する」ことができる。
即ち凹凸形状が設けられた部材は、凸部分が一定の間隔をあけて形成されているから、凹凸形状が設けられた部材同士の間でフィルムを挟むと、フィルムの両面が搬送方向に間隔をあけて押圧される。
また凸形状のみを有する部材でフィルムを押してもよい。
また「たるむ」状態の代表的な外観形状は、前記した様に波打った状態である。
かかる構成により、連続的に供給されるフィルムを予めたるませた状態で(好ましくは波形に賦形してから)、保持部材に挟み込むことが可能となり、波形に賦形されたフィルムを横方向への連続的に且つ円滑に延伸することが可能となる。かかる延伸を行なうことにより、横方向への延伸と同時に搬送方向へフィルムが延伸されることを防止し、横方向にのみ選択的に延伸されたフィルムを製造することができる。
凹凸形状が設けられた部材として、フィルムに向かって互い違いに突出する過給突起を備えた波状把持部材があげられる。前記波状把持部材は、咬合時に、前記フィルムの厚みより大きな隙間を形成するものを採用することが望ましい。
この方法によれば、フィルムの中央部に過剰な圧力を加えてキズを付けたり、供給過多によりフィルムに皺を形成することがない。
本発明のさらに別の態様は、連続的に供給されるフィルムを両端を保持しながら搬送し、フィルムを搬送しつつ搬送方向に対してフィルムを幅方向に延伸する延伸フィルムの製造方法において、凹凸形状が設けられた部材によってフィルムの両端をたるませる工程と、たるんだ状態のフィルムの両端を搬送装置に保持する保持工程と、前記搬送装置によってフィルムを搬送させながら搬送方向に対して横方向に拡幅することによりフィルムを横方向に延伸する延伸工程を含むことを特徴とする延伸フィルムの製造方法に関する。
かかる構成により、連続的に供給されるフィルムを予めたるませてから(好ましくは波形に賦形してから)、たるんだ状態(好ましくは波形)を維持しながら搬送装置に把持することが可能となり、波形に賦形されたフィルムを横方向へ連続的に且つ円滑に延伸することが可能となる。かかる延伸を行なうことにより、横方向への延伸と同時に搬送方向へフィルムが延伸されることを防止し、横方向にのみ選択的に延伸されたフィルムを製造することができる。
本発明の好ましい態様は、たるませる工程(好ましくは波打たせる工程、以下同じ)が、凹凸形状が設けられた部材をフィルムに徐々に押しつける工程である前記延伸フィルムの製造方法に関する。
ここで「徐々に」とは動作の開始から完了までにある程度の時間がかかる状況を言い、目視で動く状況が確認できる程度の動作速度で凹凸形状が設けられた部材が動作する状況をさす。たるませる工程(波打工程)の開始から完了までの間に、1秒以上を要することが望ましい。
また他の好ましい態様は、たるませる工程が、凹凸形状が設けられた部材同士の間でフィルムを徐々に挟む工程である前記延伸フィルムの製造方法に関する。
上記した二つの態様により、連続的に供給されるフィルムをより円滑に波形に賦形することが可能となる。
本発明の更に好ましい態様は、凹凸形状が設けられた部材同士の距離を変化させることにより、たるませる工程において賦形されるフィルムの波の形状を変化させる前記延伸フィルムの製造方法に関する。
かかる態様により、フィルムのたるみ状態、例えば波形の形状を自由に調整することができ、搬送方向へのフィルムの延伸を抑制する効果を自由に制御することが可能となる。
本発明の更に好ましい態様は、例えば波形に賦形されたフィルムの両端を搬送装置に保持する工程が、近接・離反する部材を有する保持部材で挟み込む工程である前記延伸フィルムの製造方法に関する。
「近接・離反する部材を有する保持部材」の代表的な例としてクリップがあげられる。かかる態様により、例えば波形に賦形されたフィルムの形状を維持しつつ搬送装置に保持することが可能となる。
本発明の更に好ましい態様は、保持部材は一対の保持部材片を有し、保持部材片同士の間でフィルムの端部を挟むものであり、前記一対の保持部材片がいずれも凹凸形状をしている前記延伸フィルムの製造方法に関する。
かかる態様により、例えば波形に賦形されたフィルムの波形を確実に維持しつつ搬送装置に保持することが可能となる。
本発明の別の好ましい態様は、保持部材は一対の保持部材片を有し、保持部材片同士の間でフィルムの端部を挟むものであり、前記一対の保持部材片の一方が凹凸形状であり、他方が平面形状である前記延伸フィルムの製造方法に関する。
かかる態様により、例えば予め波形に賦形されたフィルムの波形の大小や波の周期にかかわらず、確実に搬送装置に固定することが可能となる。
またたるませる工程(波打工程)はフィルムオーバーフィード装置を使用して行うことが推奨される。
ここで推奨されるフィルムオーバーフィード装置は、
フィルム延伸部と組み合わされてフィルム延伸機を構成するフィルムオーバーフィード装置において、
前記フィルム延伸部は搬送状態のフィルムの側端を保持してフィルムを幅方向に引っ張る構成を備え、フィルムオーバーフィード装置は、前記フィルム延伸部の上流側または前記フィルム延伸部と同等の位置に配置されるものであり、
表側把持片と裏側把持片を有する波状把持部材を有し、表側把持片と裏側把持片にはそれぞれ過給突起が有り、表側把持片の過給突起と裏側把持片の過給突起はフィルムの搬送方向に互い違いの位置にあって表側把持片と裏側把持片とが近接した状態においては過給突起同士が咬み合い姿勢となり、
前記表側把持片と裏側把持片はフィルムの表裏両側に対向して配置され、波状把持部材はフィルムの搬送方向に移動しながら表側把持片と裏側把持片の間で前記フィルムを挟み込んでフィルムをたるませるフィルムオーバーフィード装置である。
ここで咬み合い姿勢とは、歯車の様に嵌合する状態の他、凹凸形状が向き合って一方の凹の中に他方の凸が入り込んでいる状態をさす。
本発明で採用されるフィルムオーバーフィード装置は、平面的に送られてきたフィルムを一時的に波打たせ、この波打ち状態でフィルムをフィルム延伸部に供給することができる。
即ち本発明のフィルムオーバーフィード装置は、フィルム延伸部の上流側または前記フィルム延伸部と同等の位置に配置されるものであり、フィルム延伸部がフィルムを保持する以前か、或いはフィルム延伸部がフィルムを保持するのと同時に機能する。
以下、説明を簡単にするためにフィルム延伸部がフィルムを保持する以前にフィルムオーバーフィード装置が機能することとして説明する。
本発明のフィルムオーバーフィード装置は、表側把持片と裏側把持片を有する波状把持部材を有し、フィルム延伸部がフィルムを保持するのに先立って、フィルムを挟む。
そして本発明のフィルムオーバーフィード装置では、表側把持片と裏側把持片の双方に過給突起が有り、表側把持片の過給突起と裏側把持片の過給突起はフィルムの搬送方向に互い違いの位置にあって表側把持片と裏側把持片とが近接した状態においては過給突起同士が咬み合い姿勢となる。
そのため表側把持片と裏側把持片を有する波状把持部材でフィルムを挟むと、フィルムが波打つ。
そのため本発明のフィルムオーバーフィード装置によると、フィルムを予め波打たせて、フィルム延伸部に供給することができる。
他の態様のフィルムオーバーフィード装置は、フィルムの表裏両側に対向して配置され、前記フィルムの搬送方向に移動しながら前記フィルムを挟み込む波状把持部材を有し、前記波状把持部材は、前記フィルムの搬送方向に配列され、前記フィルムの幅方向に延伸するように前記フィルムに向かって互い違いに突出する過給突起を備えるものとする。
この構成によれば、波状把持部材でフィルムを挟み込むことで過給突起がフィルムを上流側から引き込んでゆるませる。これによって、フィルムをフィルム延伸機が把持する形状にして供給できるので、フィルム延伸機が無理なくフィルムを波状に把持できる。
また、前記波状把持部材は、前記フィルムの搬送面に直交する平面内を周回する環状の無端部材に等間隔で複数保持されていてもよい。
こうすることによって、複数の波状把持部材を、フィルムを一定間隔で表裏から挟み込むように規則正しく周回させられる。
また、本発明のフィルムオーバーフィード装置において、前記波状把持部材は、前記フィルムを徐々に挟み込み、挟み込んだフィルムを一定時間把持して搬送した後に解放してもよい。
この構成によれば、波状把持部材がゆっくりとフィルムを挟み込むことでフィルムを上流側から無理なく引き込んで波打たせることができる。また、フィルムを把持している間にフィルム延伸機にフィルムの両側端を無理なく把持させることができる。
また、本発明のフィルムオーバーフィード装置において、前記波状把持部材は、咬合時に、前記フィルムの厚みより大きな隙間を形成してもよい。
この構成によれば、フィルムの中央部に過剰な圧力を加えてキズを付けたり、供給過多によりフィルムに皺を形成することがない。
また、フィルム延伸機は、前記フィルムオーバーフィード装置の前記波状把持部材と等しい速度で前記フィルムの両側をそれぞれ周回し、前記フィルムの側端を把持する複数のクリップを有し、前記クリップは、前記波状把持部材の過給突起と対応する波形に咬合して前記フィルムを把持する歯部を備え、前記波状把持部材に挟み込まれているときに前記フィルムの側端を把持するものとする。
この構成によれば、波状把持部材で波打たせたフィルムを把持形状が波形のクリップで把持するので、クリップがフィルムを無理なく把持でき、フィルムにしわやキズができない。
本発明の別の構成において、フィルムが熱可塑性樹脂である。
かかる構成により、横方向にのみ延伸され、且つ所望の延伸倍率を有するフィルムを製造することが可能となる。
本発明の最も本質的な部分は、長尺状のフィルムを長手方向に搬送しつつ搬送方向に対して横方向に延伸する延伸フィルムの製造方法において、フィルムの一部領域又は全域をあらかじめ長手方向にたるませた状態で横方向の延伸を開始することを特徴とする延伸フィルムの製造方法である。
また前記フィルムの少なくとも一方の面を搬送方向に間隔をあけて押圧することによってフィルムの一部領域又は全域をあらかじめ長手方向にたるませることができる。
前記フィルムの一方の面と他方の面とを互い違いに押圧することによってフィルムの一部領域又は全域をあらかじめ長手方向にたるませることが推奨される。
また凹凸形状が設けられた部材同士の間でフィルムを挟むことによってフィルムを押圧し、フィルムの一部領域又は全域をあらかじめ長手方向にたるませることも可能である。
フィルムの幅方向の中央部分を押圧することによってフィルムの一部領域又は全域をあらかじめ長手方向にたるませることが推奨される。
即ちフィルムの幅方向の内の両端部分を器具で挟んでフィルムをたるませても良いが、端以外の部分(中央部分)を器具で挟んでフィルムをたるませる方が、全体を均一にたるませやすい。
また長尺状のフィルムを搬送手段で搬送し、当該フィルムを当該フィルムに搬送手段に対して搬送方向の自由度を付与した状態にしておいてフィルムの一部領域又は全域を波打ち状態となる様にたるませることが推奨される。
本発明では、フィルムに搬送手段に対して搬送方向の自由度を持つから、器具でフィルムを挟んだ際に、搬送方向の上流側又は下流側のフィルムを引き込み易い。例えばフィルムの両端を挟む保持部材に凹凸形状を設け、保持部材でフィルムの両端を挟むことによってフィルムをたるませる構成を採用する場合に本発明を併用することが望ましい。
またフィルムの一部領域又は全域をあらかじめ長手方向にたるませた状態でフィルムの両端を保持し、長手方向に搬送しつつ搬送方向に対して横方向に延伸することが推奨される。
また位相差補償フィルム等を製造する方法は、前述した延伸フィルムの製造方法で製造された横方向に延伸する長尺状の延伸フィルムと、長手方向に延伸した長尺状の縦延伸フィルムとを同一方向に搬送しつつ貼り合わせるフィルムの製造方法である。
上記のフィルムの製造方法によると、位相差補償フィルム等を連続的に製造することができる。
またもう一つの方法は、前述した延伸フィルムの製造方法で製造された横方向に延伸する長尺状の延伸フィルムと、偏光板とを貼り合わせるフィルムの製造方法である。
またさらにもう一つの方法は、前述した延伸フィルムの製造方法で製造された横方向に延伸する長尺状の延伸フィルムと、長尺状の偏光板とを同一方向に搬送しつつ貼り合わせるフィルムの製造方法である。
長尺状の偏光板は、例えば長手方向に延伸されたPVAフィルム(ポリビニルアルコール polyvinyl alcohol) とTACフィルム(トリアセチルセルロース Triacetylcellulose)を貼り合わせたフィルムである。
またフィルムに関する発明は、幅が600mm以上の長尺状延伸フィルムであって、中心線上の部位と、両端からそれぞれ100mmの位置から採取した3片の採取片のNz係数がいずれも1.4以下であることを特徴とするフィルムである。
またもう一つのフィルムに関する発明は、フィルムの一方の面と他方の面とを互い違いに押圧することによってフィルムの一部領域又は全域をあらかじめ長手方向にたるませた状態で、長尺状のフィルムを長手方向に搬送しつつ横方向に延伸して製造された幅が600mm以上の長尺状延伸フィルムであって、中心線上の部位と、両端からそれぞれ100mmの位置から採取した3片の採取片のNz係数がいずれも1.4以下であることを特徴とするフィルムである。
長尺状フィルムとは、幅に対して全長が著しく長いフィルムをいう。全長が幅の何倍を越えれば長尺状であるかという点に関しては、明確な基準はない。しかしながら、少なくとも全長が幅の10倍を越えれば長尺状であるといえる。
フィルムは、通常、横方向に延伸した後、幅方向の両端を切除して出荷される。また必要に応じて幅方向に分割される。
前記した分割前におけるフィルムの幅には各種のものがあり、1330mm〜1450mm程度のものもある。1330mm〜1450mmの様な幅の広いフィルムでは、幅に応じてNz係数を測定する部位を変更するべきである。例えば幅方向の両端を切除した状態を基準として、端部から中心に向かって100mmの位置から採取した採取片のNz係数を測定する。具体的には、中心部から採取した採取片と、右端から100mmの位置から採取した採取片と、左端から100mmの位置から採取した採取片のNz係数を測定し、これらがいずれも1.4以下であることを特徴とするフィルムである。
さらにもう一つのフィルムに関する発明は、少なくとも2層の延伸フィルムが積層された幅が600mm以上の継ぎ目の無い長尺フィルムであって、前記2層の延伸フィルムの延伸方向が交差し、且つ前記2層の延伸フィルムは、いずれの部位においてもNz係数が1.4以下であることを特徴とするフィルムである。
本発明によると、連続的に供給されるフィルムを円滑に波形に賦形し、その波形の形状を維持しながら搬送装置に固定することが可能となることにより、横方向にのみ選択的に延伸され、且つ横方向の各位置において均一に延伸されたフィルムを連続的に製造することができる。
(a)は第一の実施形態におけるクリップの側面図(破線は波状把持部材)、(b)はクリップとフィルムとの関係を示す説明図(b)。 (a)は第二の実施形態におけるクリップの側面図(破線は波状把持部材)、(b)はクリップとフィルムとの関係を示す説明図(b)。 本発明の実施形態のフィルム延伸機の概略平面図。 クリップと波状把持部材との正面図。 図3のフィーダチェインと波状把持部材との側面図。 図3のフィーダチェインと波状把持部材との部分拡大側面図。 本発明の実施形態のフィルム延伸機の斜視図。 フィルムを保持している状態におけるフィルム延伸機の断面斜視図。 第一の実施形態におけるクリップの斜視図 (a)は、第一の実施形態におけるフィルムFを保持する直前におけるクリップの正面図、(b)は、第一の実施形態におけるフィルムFを保持する直前におけるクリップの側面図。 (a)は、第一の実施形態におけるフィルムFを保持した状態におけるクリップの正面図、(b)は、第一の実施形態におけるフィルムFを保持した状態におけるクリップの側面図。 本実施形態で採用する波状把持部材の斜視図 第一の実施形態におけるフィルムの位置と、クリップ及び波状把持部材の姿勢との関係を示す説明図 第二の実施形態におけるクリップの斜視図 (a)は、第二の実施形態におけるフィルムFを保持する直前におけるクリップの正面図、(b)は、第二の実施形態におけるフィルムFを保持する直前におけるクリップの側面図。 (a)は、第二の実施形態におけるフィルムFを保持した状態におけるクリップの正面図、(b)は、第二の実施形態におけるフィルムFを保持した状態におけるクリップの側面図。 第二の実施形態におけるフィルムの位置と、クリップ及び波状把持部材の姿勢との関係を示す説明図 第一の実施形態におけるクリップでフィルムを保持する際におけるフィルムの挙動を示す断面図。 第二の実施形態におけるクリップでフィルムを保持する際におけるフィルムの挙動を示す断面図。 凹凸形状が設けられた部材の変形例を示す正面図。 凹凸形状が設けられた部材の他の変形例を示す正面図。 フィーダチェインと波状把持部材の変形例を示す側面図。 フィルムFを波打たせる方法の変形例を示す概念図。 フィルムFを波打たせる方法の他の変形例を示す概念図。 フィルムFを波打たせる方法のさらに他の変形例を示す概念図。 位相差補償フィルム63を製造する方法を示す概念図。
本発明は、特定の形状の保持部材2,55でフィルムFを保持することにより、フィルムFを波形に賦形した状態で搬送方向に対して横方向に延伸するものであり、フィルムFは横方向に延伸されつつ搬送方向への延伸を防止することができ、横方向にのみ選択的に延伸されたフィルムFを製造できることを基本的な考え方とするものである。
更に、本発明の別の要点は、前記延伸操作を連続的に且つ円滑に実現するために、フィルムFの供給工程、フィルムFを搬送方向に沿って連続的に波形に賦形する工程、波形に賦形されたフィルムFの両端を搬送装置に把持する工程、フィルムFを搬送しながら横方向に延伸する工程を連続的に実施することにある。
本発明の具体的な方法および使用する装置について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明において、フィルムFを波型に賦形した状態で搬送方向に対して横方向に延伸するための保持部材2の好ましい態様としては、保持部材2の上歯と下歯が咬合する凹凸の形状をしたクリップがあげられる。かかる構造のクリップを用いれば、フィルムFを波型に賦形することが可能であり、且つその状態を維持しつつ、フィルムFを搬送方向に対して横方向に延伸することが可能となる。フィルムFを咬合する凹凸の形状の周期や大きさは、フィルムFの物性や延伸倍率に従って任意に選択される。
前記クリップ型の保持部材2の1例を図1に示す。保持部材2のフィルムFを挟む面は、互いに咬合する波形の上歯部(保持部材片)12と下歯部(保持部材片)11からなる。かかるクリップで把持されたフィルムFは波型の形状を形成するため、本発明の目的を達成することが可能となる。
フィルムFを波型に賦形した状態で搬送方向に対して横方向に延伸するための保持部材の別の好ましい態様としては、図2に示すように保持部材55の様に保持部材片56,57の片方が凹凸形状を有しており他方が平面状である構造のクリップがあげられる。かかる構造のクリップは、フィルムFを任意の高さや周期の波形に賦形して延伸することが可能となり好ましい。更に、前述のフィルムオーバーフィード装置等のフィルムFを連続的に波形に賦形する装置を用いる場合には、賦形されたフィルムFの波形の周期や高さが一定でなくても、フィルムF端部を確実に挟み込むことが可能であり、最も好ましい実施形態となる。
保持部材55のフィルムFを挟む面の上面は波型の凹凸形状をした上歯部(保持部材片)56である。これに対して下面は平面57である。かかるクリップを用いて、後述するフィルムオーバーフィード装置などで波形に賦形されたフィルムFを把持すると、フィルムFは波形の形状を維持しながら横方向に延伸することが可能となる。
次に本発明を実施するためのフィルム延伸機1についてその概要を説明する。
図3に、本発明の1つの実施形態のフィルム延伸機1を示す。フィルム延伸機1は、フィルムFの両側端を把持するクリップ2が等間隔で設けられたテンタチェイン3と、テンタチェイン3に把持されたフィルムFを熱風によって加熱する加熱炉4とを有し、フィルムFを把持するテンタチェイン3の間隔を広げることでフィルムFを幅方向に延伸するものである。また、フィルム延伸機1は、フィルムFの表裏でそれぞれ、フィルムFの搬送方向に平行で、フィルムFの搬送面(水平面)に垂直な平面内をそれぞれ周回する2対のフィーダーチェイン(無端部材)5と、フィーダーチェイン5にクリップ2と等しい間隔で保持され、フィルムFを表裏から挟み込む波状把持部材6aおよび6bとを備えるフィルムオーバーフィード装置7を有する。
本発明に用いるフィルムFを搬送方向に沿って連続的に波形に賦形する装置は、フィルムFを連続的に波形に賦形することができる装置であれば、その構造は特に限定されない。例えば、図3で示したようなフィルムオーバーフィード装置7は、フィルムFに無理な摩擦や張力を与えることが無く、円滑に波形を賦形させることが可能であり、好ましい。
図5にフィルムオーバーフィード装置7を側面から見た図を示す。このフィルムオーバーフィード装置7では、フィルムFの表裏両面に対向して配置され、前記フィルムFの搬送方向に移動しながら前記フィルムFを挟み込む波状把持部材(表側把持片と裏側把持片)6a,6bを有し、前記波状把持部材6は、前記フィルムFの搬送方向に配列され、互いに突出する過給突起15を備えるものである。
フィルムオーバーフィード装置7の波状把持部材(表側把持片と裏側把持片)6a、6bは、上下のフィーダチェイン5のコマにそれぞれ等間隔に固定されている。また、図10,11に示すように、波状把持部材(表側把持片と裏側把持片)6a,6bには、フィルムFの搬送方向にクリップ2の下歯部11および上歯部12の波形の周期と同じピッチで互い違いに、フィルムFの幅方向(搬送方向と直角)に延伸するようにフィルムFに向かって突出する過給突起15が形成されている。波状把持部材(表側把持片と裏側把持片)6a,6bは、上下のフィーダチェイン5がフィーダガイド16,17によって接近させられることで咬合するようになっている。
ただし、波状把持部材(表側把持片と裏側把持片)6a、6bは、過給突起15を受け入れあうように再接近したときにも、互いに当接せず、フィルムFの厚みよりも十分に大きな隙間を残すように咬合する。これにより、フィルムFの中央部に過剰な圧縮応力を作用させて傷つけることがないようにしている。
なお過給突起15は、フィルムFの面を搬送方向に間隔をあけて押圧することによってフィルムの全域をあらかじめ長手方向にたるませるものである。
また、本発明に用いるフィルムオーバーフィード装置7においては、前記波状把持部材(表側把持片と裏側把持片)6a、6bは、前記フィルムFの搬送面に直行する平面内を周回する環状の無端部材に等間隔に複数保持されていても良い。
波状把持部材6の互いに吐出する過給突起15の凹凸の高さ、幅、形状、周期、上下の過給突起15が近づく早さ等は、フィルムFを収縮させるために必要な長さ、フィルムFの破損を避けるための最小曲げ半径等から自由に選択することが可能である。
以上の構成からなるフィルム延伸機1は、クリップ2がフィルムFを把持する前に、まず、フィルムオーバーフィード装置7の波状把持部材6a、6bが徐々にフィルムFを上下面から挟み込んで行く。即ち過給突起15が、フィルムFの面を徐々に押圧する。
クリップ2は、フィルムオーバーフィード装置7が波状把持部材6a、6bを接近させてフィルムFを挟み込んでいる間に、フィルムFの両側端を保持部材2で把持するようになっている。
波状把持部材6で、フィルムFを上下から挟み込む位置は任意であるが、フィルムFの端部より内側でフィルムFを挟み込む必要がある。即ち、フィルムFの波形を維持しつつ、波形のフィルムFの端部を搬送装置に保持させる必要があるためである。具体的なフィルムFを挟み込む位置としては、フィルムFの両端部に近すぎると保持部材(クリップ)2等と干渉してしまうため両端部から5mm以上内側を挟むことが好ましく、フィルムFをクリップ2に確実に固定する観点から両端部から10mm以上内側を挟むことがより好ましい。一方、フィルムFを上下から挟み込む位置が、フィルム両端部から離れすぎていると,保持部材(クリップ)2で挟み込む部分の波形が弱くなるし、フィルムFの無駄が生じるので、両端部から20mm以内の位置であることが好ましい。
フィルムFを搬送しながら横方向に延伸する装置は、従来の延伸装置を特に制限無く使用することができる。テンター炉(加熱炉4)の中に二組のチェーンを通し、チェーンに前述のフィルムFの両端部を固定する装置を取り付け、チェーンが移動するに従い二組のチェーンの間隔が拡幅するものが一般的であり、本発明にも適している。
テンター炉の温度、フィルムFの延伸倍率、延伸ステップ等の条件は任意であり、フィルムFの物性に合わせて最適値を選択することができる。
フィルムFの種類は、任意のものを使用することができる。熱可塑性の樹脂は、加熱することで容易に延伸することができることから好ましい。具体的には、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂などが、光学位相差フィルムとして有効であり、好ましい。
次に本発明を実施するためのフィルム延伸機1の具体的構造について説明する。
図3,7に、本発明の1つの実施形態のフィルム延伸機1を示す。
本実施形態のフィルム延伸機1は、フィルム延伸部20と、加熱炉4と、フィルムオーバーフィード装置7によって構成されている。
またフィルム延伸部20は、二系統のテンタチェイン3a,3bを有し、当該テンタチェイン3a,3bにフィルムFの両側端を把持するクリップ2が等間隔で設けられている。
テンタチェイン3a,3bは、いずれも駆動側スプロケット21a,21bと従動側スプロケット22a,22bに懸架されている。
テンタチェイン3a,3bを懸架する4個のスプロケット21a,21b,22a,22bは、図3,7の様にいずれも同一平面に配置されている。図3,7を基準に説明すると、テンタチェイン3a,3bを懸架する4個のスプロケット21a,21b,22a,22bは、いずも紙面に対して垂直方向に回転軸があり、4個のスプロケット21a,21b,22a,22bはいずれも紙面に対して平行な平面に配置されている。
2系統のテンタチェイン3a,3bは、図3,7の様に一方の走行面を互いに対向して配置されている。そして2系統のテンタチェイン3a,3bの対向する走行面が延伸作用部27として機能する。
2系統のテンタチェイン3a,3bの対向する走行面(延伸作用部27)は、導入側直線部23,傾斜部24,及び末端側直線部25によって構成されている。
そしてテンタチェイン3a,3bの走行面(延伸作用部27)は、導入側直線部23と末端側直線部25が、対向するテンタチェイン3a,3bの導入側直線部23及び末端側直線部25と平行である。また対向するテンタチェイン3a,3bの傾斜部24によってテーパー部が形成されている。
テンタチェイン3a,3bには、クリップ(保持部材)2が等間隔で設けられており、当該クリップ2によってフィルムFの両側端が把持される。
クリップ2の形状については後記する。
加熱炉4は、テンタチェイン3a,bに把持されたフィルムFを熱風によって加熱するものである。
次にフィルムオーバーフィード装置7について説明する。
フィルムオーバーフィード装置7は、2対(4系統)のフィーダチェイン5a,5b,5c,5dによって構成されている。
フィーダチェイン5a,5b,5c,5dは、図7の様にフィーダチェイン5a,5bが一組となっており、フィーダチェイン5c,5dがもう一つの組を形成している。
一組のフィーダチェイン5a,5bを懸架する4個のスプロケット30,31,32,33は、図3,7の様にいずれも同一平面に配置されている。ただし4個のスプロケット30,31,32,33が構成する平面は、前記したテンタチェイン3a,3bを懸架する4個のスプロケット21a,21b,22a,22bが構成する平面に対して直行する平面である。
なお前記した4個のスプロケット30,31,32,33の内、スプロケット30,32は駆動側スプロケットであり、スプロケット31,33は従動側スプロケットである。
また他方の対のフィーダチェイン5c,5dは、前記したフィーダチェイン5a,5bと平行に配されている。
また一方の対に含まれるスプロケット30,31,32,33と、他方の対に含まれるスプロケット30’,31’,32’,33’は、対応するスプロケット同士が共通の軸36,37,38,39で連通されている。従って各スプロケット30,31,32,33は同期的に回転し、フィーダチェイン5c,5dについても同期的に走行する。
2対(4系統)のフィーダチェイン5a,5b,5c,5dの内、図7を基準として上側のフィーダチェイン5a,5cには、表側把持片6aが等間隔に複数取り付けられている。一方、図7を基準として下側のフィーダチェイン5b,5dには、裏側把持片6bが等間隔に複数取り付けられている。
上側のフィーダチェイン5a,5cに取り付けられた表側把持片6aと、下側のフィーダチェイン5b,5dに取り付けられた裏側把持片6bは、一対となって波状把持部材6を構成する。表側把持片6aと、裏側把持片6bの形状については後記する。
前記した2対(4系統)のフィーダチェイン5a,5b,5c,5dは、いずれもフィルム延伸部20のテンタチェイン3a,3bで略囲まれる領域にある。
ただしフィルムオーバーフィード装置7のフィーダチェイン5a,5b,5c,5dの長さ(スプロケットの軸間距離)は、フィルム延伸部20のテンタチェイン3a,bよりも短い。
そのためフィルムオーバーフィード装置7のフィーダチェイン5a,5b,5c,5dの始端部は、フィルム延伸部20のテンタチェイン3a,bの始端部はよりも僅かに上流側にあり、フィーダチェイン5a,5b,5c,5dの終端部は、導入側直線部23の終端部にある。
またフィルムオーバーフィード装置7のフィーダチェイン5a,5b,5c,5dと、テンタチェイン3a,3bは同期的に走行する。
また加熱炉4は、フィルム延伸部20におけるテンタチェイン3a,bの傾斜部24,の位置に設けられている。
次に、テンタチェイン3a,3bに取り付けられたクリップ(保持部材)2について説明する。
図1、図2は、クリップの側面図である。図4は、クリップと波状把持部材との正面図である。
また図8は、フィルムFを保持している状態におけるフィルム延伸機1の断面斜視図である。図9は、クリップ2の斜視図である。図10は、フィルムFを保持する直前におけるクリップの側面図及び正面図であり、図11は、フィルムFを保持した状態におけるクリップの側面図及び正面図である。
クリップ2は、図4、9、10,11の様にベース8を介してテンタチェイン3に取り付けられている。即ち公知の手段によってテンタチェイン3のピンにベース8が固定され、当該ベース8上にクリップ2が載置されている。
クリップ2は、図4、9、10,11の様に、フィルムF側に開放した概略コの字型をなすフレーム9を有し、当該フレーム9にフラッパ10が取り付けられたものである。
即ちフレーム9は、上辺40と垂直辺41及び下辺42を有するコの字形状である。そしてフレーム9の下辺42の上面(内面)は、フィルム載置面45として機能するものであり、本実施形態では、波形(下歯部11)をしている。即ち保持部材片たるフィルム載置面45は、波形をしていて凸形部と凹形部の双方を備えている。またフィルム載置面45は、凸形部が一定の間隔をあけて設けられたものであるともいえる。
またフラッパ10は、棹部46と押圧部47を有し、棹部46の中間部がフレーム9の上辺40に軸止めされており、フラッパ10は振り子の如く揺動する。フラッパ10の揺動方向は、フィルムFの幅方向である。即ちフラッパ10の押圧部47は、円弧軌跡を描いて移動する。そのため図10の様に揺動して棹部46が斜め姿勢にあるときには、押圧部47はフィルム載置面45から離れる。一方、棹部46が垂下姿勢であるときには押圧部47の下面がフィルム載置面45に近接してフィルム載置面45を押圧する。
ここで本実施形態のフラッパ10では、押圧部47の下面が波形(上歯部12)をしている。即ち保持部材片たる押圧部47についても波形をしていて凸形部と凹形部の双方を備えている。また押圧部47についても、凸形部が一定の間隔をあけて設けられたものであるともいえる。
そして棹部46が垂下姿勢となったとき、押圧部47の下面の波形形状(上歯部12)と、フィルム載置面45の波形形状(下歯部11)が合致する。
前記した様にフラッパ10は、棹部46の中間部がフレーム9の上辺に軸止めされているから、棹部46の上端はフレーム9の上辺40よりも上に突出する。
そのため、棹部46の上端を横方向に押圧することによってフラッパ10を揺動させることができ、前記した様にフラッパ10の押圧部47をフィルム載置面45に近接・離反させることができる。
なお本実施形態では、テンタチェイン3a,3bの近傍に長尺状のクリップガイド14を設け、クリップガイド14に棹部の上端を接触させている。そしてクリップガイド14とフレーム9の位置関係が場所ごとに変わる様に設計されており、クリップガイド14で棹部46の上端を押圧してフラッパ10を揺動させている。
図4には、フィルムFを保持している状態のクリップ2と、波状把持部材6との詳細が示されている。クリップ2は、テンタチェイン3のコマに等間隔に取り付けられたベース8に固定され、フィルムF側に開放した概略コの字型をなすフレーム9と、フレーム9の上辺先端に揺動可能に枢支されたフラッパ10とを有する。フラッパ10は、先端に、フレーム9の下辺先端に設けた下歯部11と咬合する上歯部12が設けられている。また、フラッパ10は、フレームの上方に延伸するアーム部13がクリップガイド14に案内されて揺動するようになっている。クリップ2は、フラッパ10の揺動によって、下歯部11と上歯部12とでフィルムFの側端を把持または解放する。
図5に示すように、クリップ2の下歯部11と上歯部12とは、フィルムFの搬送方向に所定ピッチで周期的に上下する波形に咬合するようになっている。
次に、フィーダチェイン5a,5b,5c,5dに取り付けられた表側把持片6a、及び裏側把持片6bについて説明する。
前記した様に4個のフィーダチェイン5a,5b,5c,5dは、2対に分かれて配置されており、それぞれ一対のフィーダチェイン(5a,5b)(5c,5d)は、上下に並べて配置されている。図5は、その内の一対のフィーダチェイン5a,5bを図示したものである。また図6は、図5の一部を拡大したものであり、表側把持片6aと裏側把持片6bによって構成される波状把持部材6を図示している。
本実施形態では、図5の様にフィーダチェイン5a,5b(又は5c,5d)の対向する走行面がフィード作用部50として機能する。
そして本実施形態では、上側に位置するフィーダチェイン5aで囲まれる領域であって、フィード作用部50側の走行路に、フィーダガイド16が設けられている。フィーダガイド16は、フィード作用部50側の走行路の略全域に渡る長さを持つ。そしてフィーダガイド16は、走行路の中間部分を外側(図を基準にすると下側)に張り出す形状となっている。より具体的には、フィーダガイド16はガイド面が緩やかに傾斜しており、走行路の終端近傍が外側に張り出している。
また下部に位置するフィーダチェイン5bについても同様にフィーダガイド17が設けられている。フィーダガイド17はガイド面が緩やかに傾斜しており、走行路の終端近傍が外側に張り出している。
そして本実施形態では、上部側のフィーダチェイン5aに表側把持片6aが取り付けられ、下側のフィーダチェイン5bに裏側把持片6bが取り付けられている。
フィーダチェイン5aに設けられた表側把持片6aは、図12の様に下面に過給突起15が3個形成されている。
過給突起15は、フィルムF側に向かって突出するものであり、リブ状であって、峰に長さを持つ。即ち一つの過給突起15は、表側把持片6aの全幅に渡って延びる。過給突起15の峰の方向は、フィルムFの幅方向に沿っている。
過給突起15が存在しない部位、即ち過給突起15の谷の部位は、平坦である。過給突起15の幅Wは、過給突起15同士の間隔wよりも小さい。
表側把持片6aは、過給突起15が、一定の間隔をあけて設けられたものであると言える。なお本実施形態では、推奨される構成として過給突起15の間隔を一定としたが、過給突起15の間隔は不規則であってもよい。後記する裏側把持片6bについても同様である。
なお表側把持片6aの下面をサインカーブの様な波打ち面としてもよい。
本実施形態では、上部側のフィーダチェイン5aに表側把持片6aが複数等間隔に設けられている。この点からも過給突起15が、一定の間隔をあけて設けられたものであると言える。
表側把持片6a同士の間隔は、前記したクリップ2の間隔と等しい。
下側のフィーダチェイン5bに設けられた裏側把持片6bについても、過給突起15がが設けられている。
裏側把持片6bについても、過給突起15が、一定の間隔をあけて設けられたものであると言える。
下側の裏側把持片6bに設けられた過給突起15の形状及び間隔は、先に説明した表側把持片6aと同一である。しかしながら、先に説明した表側把持片6aでは、過給突起15を3個有していたのに対し、下側の裏側把持片6bでは、過給突起15を4個有している。
本実施形態では、下側のフィーダチェイン5bに裏側把持片6bが複数等間隔に設けられている。
この点からも過給突起15が、一定の間隔をあけて設けられたものであると言える。
裏側把持片6b同士の間隔は、前記した表側把持片6aのそれと等しい。
上側に位置するフィーダチェイン5aと、下部に位置するフィーダチェイン5bは同期的に走行し、両者が対向する走行面(フィード作用部)50においては、表側把持片6aと裏側把持片6bとの軸心が常に一致する。
ただし前記した様にフィーダチェイン5a,5bには、それぞれフィーダガイド16,17が設けられており、フィーダチェイン5a,5bの走行軌跡は、中央が外側に膨らんでいるから、表側把持片6aと裏側把持片6bとの相対距離は、フィーダチェイン5a,5bの走行位置によって変化する。
即ちフィーダガイド16,17は、いずれもフィーダチェイン5a,5bのフィード作用部50の終端部を外側に張り出すから、フィーダチェイン5a,5bのフィード作用部50の終端部に表側把持片6aと裏側把持片6bとが移動した時に両者の距離が最も近づく(図13 C列)。
これに対してフィード作用部50の始端部においては、図8のA列、図13のA列の様に表側把持片6aと裏側把持片6bとの間が開いている。
従ってフィーダチェイン5a,5bが走行し、表側把持片6aと裏側把持片6bが周回してフィード作用部50(対向する走行面)側に至ると、表側把持片6aと裏側把持片6bが対向することとなり、以後、表側把持片6aと裏側把持片6bは対向姿勢のままでフィード作用部50を走行する。
そしてフィード作用部50の始端部においては、図13のA列の様に、表側把持片6aと裏側把持片6bの間が大きく開いている。
具体的には、表側把持片6aの峰と裏側把持片6bの峰とは図13のA列の様に上下方向に離れている。そしてフィード作用部50を走行するに連れて両者の間隔が図13のB列の様に狭まり、表側把持片6aの峰と裏側把持片6bの峰とが咬みあう。
そしてフィード作用部50を走行するにつれて両者の間隔がますます近づき、表側把持片6a及び裏側把持片6bがフィルムFの表面を押圧する。ここで、表側把持片6a及び裏側把持片6bには、互い違いの位置に過給突起15があるから、例えば表側把持片6a側の過給突起15の先端がフィルムFの表面を図面下側に押圧する際の反力が、対向する位置にある裏側把持片6bの過給突起15で保持される。
そのためフィルムFは、全体的に上下することなく、波状把持部材6で挟まれた部位だけが波形に賦形される。
前記した様に表側把持片6a及び裏側把持片6bは、共に過給突起15が、一定の間隔をあけて設けられたものであると言えるから、フィルムFの表裏面が搬送方向に間隔をあけて押圧されたと考えることもでき、その結果、波状把持部材6で挟まれた部位だけがたるんで波形に賦形される。
また表側把持片6aと裏側把持片6bは、フィーダチェイン5a,5bの走行に伴って徐々に近接するので、フィルムFは表側把持片6aと裏側把持片6bの間に徐々に挟み込まれることとなる。
そして表側把持片6aと裏側把持片6bとが、フィード作用部50の終端部近傍に至った時に、表側把持片6aと裏側把持片6bとが最も近接する。
表側把持片6aと裏側把持片6bとが、フィード作用部50の終端部近傍に至ると、図8のC列、図13C列に示すように表側把持片6aと裏側把持片6bとが咬み合い姿勢となるが、表側把持片6aと裏側把持片6bとは接触しない。
より具体的に説明すると、表側把持片6aと裏側把持片6bとが最も近接しても、表側把持片6aの峰は、裏側把持片6bの谷と接触せず、表側把持片6aの谷は、裏側把持片6bの山と接触しない。
また過給突起15の幅Wは、過給突起15同士の間隔wよりも小さいから、表側把持片6aの過給突起15と裏側把持片6bの過給突起15が入れ子状態になるものの、両者が接触することはない。
テンタチェイン3とフィーダチェイン5とは、同じ周速で周回するようになっており、図3,図8に示すように、クリップ2と波状把持部材6a,6bとは、両者がフィルムFを把持する時点で、フィルムFの搬送方向に同じ位置になるように、等しい間隔で配設されている。また、波状把持部材6a,6bの過給突起15は、それぞれ、クリップ2の下歯部11および上歯部12の波形の頂点と対応して同じ数だけ設けられている。
次に本実施形態のフィルム延伸機1の作用について説明する。
先ず、最初に、フィルムFは、フィルムオーバーフィード装置7の波状把持部材6a,6bに挟み込まれ、過給突起15が互い違いに上下から圧接されるので、各過給突起15を頂点とする波形を形成する(図8,13のB列参照)。即ちたるむ。このとき、フィルムFは、波打つ分だけ余分に長さが必要になるので、フィルムオーバーフィード装置7は、フィーダチェイン5の搬送速度(例えば15m/sec)よりも速い速度(例えば1.2倍の18m/sec)で上流側からフィルムFを引き込むことになる。
フィルムオーバーフィード装置7の搬送速度は、前記した様にフィーダチェイン5の搬送速度よりも速いことが望ましく、適正な速度範囲は、フィーダチェイン5の搬送速度の1.05倍以上1.50倍以下である。
フィルムオーバーフィード装置7が上流側からフィルムFを引き込む際、フィルムFが過給突起15を擦過することになるため、過給突起15は、フィルムFとの摩擦が小さくなるような材質で形成することが望ましい。また、過給突起15をそれぞれ独立して回転可能なローラにしてもよい。
また、波状把持部材6a,6bの間に挟み込んだフィルムFの長さが、クリップ2の下歯部11および上歯部12の咬合形状の長さと完全に一致することが理想的であるが、フィルムFがクリップ2の把持形状よりも過剰に供給されていると、クリップ2によってフィルムFにひだを形成してしまうおそれがある。本実施形態では、波状把持部材6a,6bの間に挟み込んだフィルムFの長さが、クリップ2の把持形状の長さよりも僅かに短くなるように調整されており、クリップ(保持部材)2は、フィルムFを把持する際に、フィルムFをさらに上流側から引き込む。しかしながら、クリップ2がフィルムFを引き込む長さはごく僅かであるため、クリップガイド14に過剰な力が加わったり、フィルムFを傷つけることはない。
クリップ2がフィルムFの両端を完全に保持する位置に至ると、図13のD列の様に波状把持部材6a,6b同士が離間し、波状把持部材6a,6bがフィルムFを開放する。
フィルム延伸機1は、フィルムオーバーフィード装置7の波状把持部材6a,6bがフィルムFを解放した後も、クリップ(保持部材)2でフィルムFを波打たせて把持して搬送する。即ちフィルム延伸機1は、フィルムFの一部領域をあらかじめ長手方向にたるませた状態で横方向の延伸を開始する。
フィルム延伸機1は、加熱炉4内でテンタチェイン3の間隔を広げることで、フィルムFを幅方向に延伸する。
フィルム延伸機1は、各クリップ(保持部材)2がフィルムFを波打たせて保持するので、加熱炉4の中でフィルムFを幅方向に(例えば1,2倍に)延伸したとき、フィルムFの中央の有効部分を縦方向(搬送方向)に自由に収縮させることができ、縦方向に引っ張り応力が発生しない。これによって、フィルムFの配向軸(分子鎖の向き)を幅方向に効率よく揃えることができる。なお、クリップ2で把持されるフィルムFの両側端近傍は、縦方向に応力が作用するので、後工程において切除される。
図3以下に図示したフィルムオーバーフィード装置7では、フィルムFの端部を保持するクリップ2を有し、当該クリップ2は、押圧部47側とフィルム載置面45の双方の表面が波形をしている。即ち先の実施形態における図9、10,11,13では、押圧部47側とフィルム載置面45の双方の表面が波形をしているクリップ(保持部材)2を例示した。
しかしながらクリップ2は、押圧部47側とフィルム載置面45の双方が波形のものに限定されるのではなく、前記した図2の様に、いずれか一方だけが波形や歯形等であり、他方が平板状であってもよい。
図14,15,16,17は、押圧部47側だけが波形であり、他方が(フィルム載置面53)が平板状のクリップ55を採用した場合の外観形状や動作を示したものである。即ち図14は図9に相当するクリップの斜視図であり、図15は、図10に相当するクリップの側面図及び平面図であり、図16は、図11に相当するクリップの側面図及び平面図であり、図17は、図13に相当する説明図である。
クリップ55は、一方の保持部材片だけに凸形部と凹形部の双方を備えている。クリップ55は、一方の保持部材片に凸形部が一定の間隔をあけて設けられたものであるともいえる。
ただし、先の実施形態の図13では、クリップ2が波状把持部材6aおよび6bの動作と同期して、ゆっくりと閉じる様に図示したが、図17に示す実施形態では、波状把持部材6が完全に咬合うまで、クリップ2は全開状態であり、波状把持部材6が完全に咬合った後に、瞬間的な動作によって閉じ、フィルムFを保持するものとして図示している。
クリップ55に関する他の構成は、前述したクリップ2と同一であるから、同一の部材に同一の番号を付して重複した説明を省略する。
図1,9、10,11,13に示した様な双方に波形を有するクリップ2と、図2,14,15,16,17の様な片側だけが波形であって、他方が平板状であるクリップ55とを比較すると、次の様な得失がある。
即ち前者の様に双方が波形である場合は、フィルムFを広い面積で保持して延伸するので、フィルムFに掛かる引っ張り力がより均一となる。
一方、前者の様に双方が波形である場合は、クリップ2でフィルムFを保持する前に、フィルムFの波形が崩れた場合に、フィルムFに皺が発生する懸念がある。
即ち先の実施形態では、クリップ2でフィルムFを保持する前に、フィルムオーバーフィード装置7でフィルムFを波形に賦形する。賦形された波形は、クリップ2と完全に一致することが理想であるが、フィルムFの厚さや材質によって両者の形状が僅かに異なってしまう場合がある。例えばごくまれに、図18(a)の様に、フィルムFの波形状の一部が崩れる場合があり、この様な状態で、双方に波形が設けられたクリップ2でフィルムFを挟むと、図18(b)の様に波の一部が二重に挟まれ、フィルムFに皺が生じてしまう。
これに対して図2,14,15,16,17の様な片側だけが波形のクリップ2では、図19の様に押圧部47とフィルム載置面46との間に空隙52があるので、波形状の一部が崩れていても、当該部分が空隙52に逃げ、フィルムFが二重に挟まれる事態が回避される。
以上説明した実施形態では、フィルムFをたるませ、波打たせるための装置として、表側把持片6aと裏側把持片6bからなる波状把持部材6を採用し、これでフィルムFを挟むことによってフィルムFを波状に賦形した。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、例えば図20の様なラック58と歯車59に似た構造の凹凸形状が設けられた部材を利用し、ラック様部材と、歯車様部材の間にフィルムFを挟む構成を採用してもよい。
また図21の様な2個の歯車様部材(凹凸形状が設けられた部材)60の間でフィルムFを挟む構成を採用してもよい。
図20,21の態様によっても、フィルムFは双方の面が搬送方向に間隔をあけて押圧され、フィルムの一部領域又は全域が長手方向にたるむ。
また前述した実施形態では、フィルムオーバーフィード装置7は、波状把持部材(表側把持片と裏側把持片)6a,6bを有し、当該波状把持部材6a,6bでフィルムFを挟む構成を採用したが、図22に示す様に、一つの突起だけを有するブロック61を設け、このブロック61で、フィルムFは双方の面を押圧してもよい。図22の態様によっても、フィルムFは双方の面が搬送方向に間隔をあけて押圧され、フィルムの一部領域又は全域が長手方向にたるむ。
またチェーンによらず、シリンダー62によってフィルムFの表面を押圧してもよい。図22は、シリンダー62によってフィルムFの表面を押圧する構成を示している。
図22に示す構成では、フィルムFの搬送経路にダンサーロール63が配され、シリンダー62の下部のフィルムFは、搬送手段(図示せず)に対して搬送方向に自由度がある。即ちフィルムFは、昇降自在に設けられたロール(ダンサーロール63)によって一定の張力が付与されている。ただしダンサーロール63は、昇降方向に自由度があるから、フィルムFに外力を掛けて進行方向に引くと、図23(b)の様にダンサーロール63が上昇し、フィルムFを下流側に繰り出す。
本実施形態では、図23(b)の様に、シリンダー62によってフィルムFの表面を押圧すると、ダンサーロール63が上昇してフィルムFが繰り出され、フィルムFがたるむ。シリンダー62は、一定の時間間隔で昇降し、フィルムFは表面側が搬送方向に間隔をあけて押圧され、フィルムの一部領域又は全域が長手方向にたるむ。
またフィルムオーバーフィード装置7によらず、クリップ(保持部材)2でフィルムFを挟むことによって波打たせてもよい。
クリップ(保持部材)2でフィルムFを挟むことによって波打たせる場合には、図24に示すようにフィルムFの搬送経路にダンサーロール63を配し、フィルムFに搬送方向に自由度を付与させることが望ましい。
フィルムFを波打たせる(たるませる)ためのさらに他の方策として、フィルムFを過剰に供給する方法が考えられる。例えば図25の様に送り装置75を複数配し、当該送り装置75でフィルムFを矢印方向に送る。そして各ロールの送り速度を下流に至る程遅くする。その結果、図25の様にフィルムFは次第に波打つ。
上記した製造方法によって作られた延伸フィルムは、横方向に延伸された長尺状のフィルムであるから、例えば、図26の様に長尺状の偏光板に積層することによって光学補償フィルム付き位相差板63を製造することができる。
即ち本製造方法によって作られた延伸フィルムFは、ロール状に巻かれている。
一方、長尺状の偏光板についてもロール状に巻かれている。ここで、一般的に偏光板は長尺状のTAC(トリアセチルセルロース)フィルムと長手方向に延伸した長尺状のPVA(ポリビニルアルコール)フィルムとを貼り合わせたフィルムである。
そして横方向に延伸された長尺状のフィルムFのロール70と、長尺状の偏光板66のロール71から、図26の様にそれぞれフィルムF、66と繰出し、当該フィルムF、66を上下平行に走行させて一対の押圧ロール72の間で挟む。また延伸フィルムFや長尺状の偏光板に、離型紙が積層されている場合は、この間に、離型紙を剥離すると共に、必要に応じてフィルムF、66の一方に接着剤を塗布しておく。
本方策によると、偏光板66に横方向に延伸されたフィルムFが積層された光学補償フィルム付き位相差板を連続的に製造することができる。
また図26の方策によって製造された位相差補償フィルムは、いずれの部位においてもNz係数が小さく、具体的には、いずれの部位においてもNz係数が1.4以下である。図26の方策によって製造すれば、いずれの部位においても少なくともNz係数が1.2以下にすることが可能であり、また諸条件を良く調整すれば、いずれの部位においてもNz係数が1.1以下とすることができる。
以下に、本発明の方法の実施例をあげて具体的に説明するが、本実施例は本発明を限定するものではない。
(実験1)
(1)実施例1(実施例1−1から実施例1−3)
図2に示したクリップと図3に示した延伸装置および図4〜5に示したフィルムオーバーフィード装置を使用して、フィルム幅600mm、フィルム厚み60μmのポリカーボネートフィルムを摂氏150度(℃)で搬送方向に対して横方向に延伸した。実験に使用した原反フィルムは、「エルメック R−フィルム無延伸品」(株式会社カネカ製)である。
その結果を表1に示す。本実施例では、図5中の波状把持部材(表側把持片と裏側把持片)6a,6bの間隔を変化させることにより、表側把持片6aと裏側把持片6bの咬み込み量を変化させることも試みた。表側把持片6aと裏側把持片6bの咬み込み量については表1に大小のみを記載する。
ここで位相差値は、レターデーション値とも称され、異方性結晶中を通過して偏光された光線において、異なる二つの方向の位相の差であり、測定波長(550nm)で規格化して長さの単位で表される。
フィルムFが横方向に選択的に延伸されたか否かについては、Nz係数を測定することにより判断した。即ち、Nz係数が1に近ければ、フィルムFは横方向に選択的に延伸されており、フィルムFが横方向と共に縦方向にも延伸されている場合には、Nz係数は1から離れた値となる。
即ちフィルムから、50mm角のサンプルを切り出した。サンプルの切り出し部位は、合計3か所であり、内訳は、幅方向中央が一か所、中央から左右に200mmの位置が2か所である。なおフィルム幅が600mmであるから、前記した「中央から左右に200mmの位置」は、両端から中心に向かってそれぞれ100mmの位置である。
そして自動屈折計(製品名KOBRA−WR 王子計測機器株式会社製)を用いて複屈折値nx,ny,nzおよび面内位相差Re(nm)を測定した。なお測定波長はいずれの実施例及び比較例についても同一であり、550nmである。また資料の厚さは、アンリツ株式会社製の電子マイクロメータを利用した。
測定機器及び測定条件については、以下の実施例及び比較例についても同一である。
表1中の位相差値(面内位相差)は、前記した3か所の測定値の平均値である。また表1中のNz係数は、それぞれの位置(中央、左、右)における一点の測定値である。
Nz係数は前記した自動屈折計(製品名KOBRA−WR 王子計測機器株式会社製)で測定された複屈折値nx,ny,nzを次の式に代入することによって算出した。
Figure 0005503975
(2)比較例1(比較例1−1、比較例1−2)
比較例1は、フィルムオーバーフィード装置を使用しなかった場合の例である。即ち実施例2として、フィルムオーバーフィード装置と本発明のクリップを使用せず、ポリカーボネートフィルムを弛ませずに搬送方向に対して横方向に延伸した。
なお比較例1で使用した原反フィルムFは、前記した実施例と同一であり、「エルメック R−フィルム無延伸品」(株式会社カネカ製)である。
(3)実施例1と比較例1の相違
表1より、本発明のクリップとフィルムオーバーフィード装置を用いた場合(実施例1)には、Nz係数は0.96〜1.38であり、横方向に選択性をもって延伸されていることがわかる。
一方、フィルムオーバーフィード装置と本発明のクリップを使用せずに、延伸をした場合(比較例)には、Nz係数が1.51〜1.60であり、横方向と共に縦方向にも延伸されていることが分かる。
更に、実施例1と比較例1とで同じ延伸倍率での位相差値を比較すると、実施例の方が大きな位相差値を示している。このことは、実施例では、横方向に延伸されることで位相差が発現しているが、比較例では縦方向にも延伸されることにより発現した位相差が相殺されていることが原因と考えられる。このことからも、実施例では選択的に横方向に延伸されていることが分かる。
また、フィルムオーバーフィード装置の嵌合部材の咬込量を変化させることにより、位相差値やNz係数を変化させることが可能であることがわかる。
Figure 0005503975
(実験2)
(1)実施例2(実施例2−1,実施例2−2)
図2に示したクリップと図3に示した延伸装置および図4〜5に示したフィルムオーバーフィード装置を使用して、フィルム幅600mm、フィルム厚み60μmのノルボルネン系樹脂を摂氏140度(℃)で、搬送方向に対して横方向に延伸した。実験に使用した原反フィルムFは、「ゼオノアZ F14」(株式会社オプテス製)である。
その結果を表2に示す。
フィルムFが横方向に選択的に延伸されたか否かについては、Nz係数を測定することにより判断した。即ち、Nz係数が1に近ければ、フィルムFは横方向に選択的に延伸されており、フィルムFが横方向と共に縦方向にも延伸されている場合には、Nz係数は1から離れた値となる。
(2)比較例2(比較例2−1,比較例2−2)
比較例として、フィルムオーバーフィード装置を使用せず、フィルムFを弛ませずに搬送方向に対して横方向に延伸した結果も併記する。
(3)実施例2と比較例2の相違
表2より、本発明のクリップとフィルムオーバーフィード装置を用いた場合(実施例2)には、Nz係数は1.14〜1.33であり、横方向に選択的に延伸されていることがわかる。一方、フィルムオーバーフィード装置と本発明のクリップを使用せずに、延伸をした場合(比較例2)には、Nz係数が1.37〜1.59であり、横方向と共に縦方向にも延伸されていることが分かる。
更に、実施例2と比較例2とで同じ延伸倍率での位相差値を比較すると、実施例の方が大きな位相差値を示している。このことは、実施例では、横方向に延伸されることで位相差が発現しているが、比較例では縦方向にも延伸されることにより発現した位相差が相殺されていることが原因と考えられる。このことからも、実施例では選択的に横方向に延伸されていることが分かる。
Figure 0005503975

Claims (5)

  1. フィルムの両端を保持部材で挟みながら搬送し、搬送と共に両端の保持部材同士の間隔を広げてフィルムを搬送方向に対して横方向に延伸する延伸フィルムの製造方法において、凹凸形状が設けられた部材同士の間でフィルムを挟んでフィルムの一部領域又は全域をたるませ、たるんだ状態のままでフィルムを横方向に延伸するものであり、
    前記凹凸形状が設けられた部材は、フィルムに向かって互い違いに突出する過給突起を備えた波状把持部材であり、前記波状把持部材は、咬合時に、前記フィルムの厚みより大きな隙間を形成するものであることを特徴とする延伸フィルムの製造方法。
  2. たるませる工程はフィルムオーバーフィード装置を使用して行われ、前記フィルムオーバーフィード装置は、表側把持片と裏側把持片を有する波状把持部材を有し、表側把持片と裏側把持片にはそれぞれ過給突起が有り、表側把持片の過給突起と裏側把持片の過給突起はフィルムの搬送方向に互い違いの位置にあって表側把持片と裏側把持片とが近接した状態においては過給突起同士が咬み合い姿勢となり、前記表側把持片と裏側把持片はフィルムの表裏両側に対向して配置され、波状把持部材はフィルムの搬送方向に移動しながら表側把持片と裏側把持片の間で前記フィルムを挟み込んでフィルムをたるませるものであることを特徴とする請求項に記載の延伸フィルムの製造方法。
  3. たるませる工程はフィルムオーバーフィード装置を使用して行われ、前記フィルムオーバーフィード装置は、
    フィルムの表裏両側に対向して配置され、前記フィルムの搬送方向に移動しながら前記フィルムを挟み込む波状把持部材を有し、
    前記波状把持部材は、前記フィルムの搬送方向に配列され、前記フィルムの幅方向に延伸するように前記フィルムに向かって互い違いに突出する過給突起を備えるフィルムオーバーフィード装置であることを特徴とする請求項に記載の延伸フィルムの製造方法。
  4. フィルムの両端を保持部材で挟みながら搬送し、搬送と共に両端の保持部材同士の間隔を広げてフィルムを搬送方向に対して横方向に延伸する延伸フィルムの製造方法において、凹凸形状が設けられた部材同士の間でフィルムを挟んでフィルムの一部領域又は全域をたるませ、たるんだ状態のままでフィルムを横方向に延伸するものであり、
    たるませる工程はフィルムオーバーフィード装置を使用して行われ、前記フィルムオーバーフィード装置は、表側把持片と裏側把持片を有する波状把持部材を有し、表側把持片と裏側把持片にはそれぞれ過給突起が有り、表側把持片の過給突起と裏側把持片の過給突起はフィルムの搬送方向に互い違いの位置にあって表側把持片と裏側把持片とが近接した状態においては過給突起同士が咬み合い姿勢となり、前記表側把持片と裏側把持片はフィルムの表裏両側に対向して配置され、波状把持部材はフィルムの搬送方向に移動しながら表側把持片と裏側把持片の間で前記フィルムを挟み込んでフィルムをたるませるものであることを特徴とする延伸フィルムの製造方法。
  5. フィルムの両端を保持部材で挟みながら搬送し、搬送と共に両端の保持部材同士の間隔を広げてフィルムを搬送方向に対して横方向に延伸する延伸フィルムの製造方法において、凹凸形状が設けられた部材同士の間でフィルムを挟んでフィルムの一部領域又は全域をたるませ、たるんだ状態のままでフィルムを横方向に延伸するものであり、
    たるませる工程はフィルムオーバーフィード装置を使用して行われ、前記フィルムオーバーフィード装置は、
    フィルムの表裏両側に対向して配置され、前記フィルムの搬送方向に移動しながら前記フィルムを挟み込む波状把持部材を有し、
    前記波状把持部材は、前記フィルムの搬送方向に配列され、前記フィルムの幅方向に延伸するように前記フィルムに向かって互い違いに突出する過給突起を備えるフィルムオーバーフィード装置であることを特徴とする延伸フィルムの製造方法。
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