本発明に係る制御装置の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る制御装置4は、駆動装置1を制御対象とする駆動装置用制御ユニットである。ここで、本実施形態に係る駆動装置1は、車輪15の駆動力源として内燃機関11及び回転電機12の双方を備えた車両(ハイブリッド車両)6を駆動するための車両用駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)である。以下、本実施形態に係る制御装置4について、詳細に説明する。
なお、以下の説明では、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を意味し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。ここで、「駆動力」は「トルク」と同義で用いている。
また、「係合圧」は、摩擦係合装置の一方の係合部材と他方の係合部材とを相互に押し付け合う圧力を表す。「解放圧」は、当該摩擦係合装置が定常的に解放状態となる圧を表す。「解放境界圧」は、当該摩擦係合装置が解放状態とスリップ係合状態との境界のスリップ境界状態となる圧(解放側スリップ境界圧)を表す。「係合境界圧」は、当該摩擦係合装置がスリップ係合状態と直結係合状態との境界のスリップ境界状態となる圧(係合側スリップ境界圧)を表す。「完全係合圧」は、当該摩擦係合装置が定常的に直結係合状態となる圧を表す。
1.駆動装置の構成
本実施形態に係る制御装置4による制御対象となる駆動装置1の構成について説明する。本実施形態に係る駆動装置1は、いわゆる1モータパラレル方式のハイブリッド車両用の駆動装置として構成されている。この駆動装置1は、図1に示すように、内燃機関11に駆動連結される入力軸Iと車輪15に駆動連結される出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上に回転電機12を備えていると共に、回転電機12と出力軸Oとの間に変速機構13を備えている。入力軸Iと回転電機12との間には第一クラッチCL1が設けられている。また、変速機構13には後述するように第一クラッチCL1とは別の変速用の第二クラッチCL2が備えられている。これにより、駆動装置1は、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路に、内燃機関11及び入力軸Iの側から順に、第一クラッチCL1、回転電機12、及び第二クラッチCL2、を備えている。これらの各構成は、駆動装置ケース(図示せず)内に収容されている。
内燃機関11は、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機である。内燃機関11としては、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等を用いることができる。内燃機関11は入力軸Iと一体回転するように駆動連結されている。本例では、内燃機関11のクランクシャフト等の出力軸が入力軸Iに駆動連結されている。内燃機関11は、第一クラッチCL1を介して回転電機12に駆動連結されている。
第一クラッチCL1は、内燃機関11と回転電機12との間の駆動連結を解除可能に設けられている。第一クラッチCL1は、入力軸Iと中間軸M及び出力軸Oとを選択的に駆動連結するクラッチであり、内燃機関切り離し用クラッチとして機能する。第一クラッチCL1としては、湿式多板クラッチや乾式単板クラッチ等を用いることができる。本実施形態では、第一クラッチCL1が本発明における「第一摩擦係合装置」に相当する。
回転電機12は、ロータとステータとを有して構成され(図示せず)、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果たすことが可能とされている。回転電機12のロータは中間軸Mと一体回転するように駆動連結されている。回転電機12は、インバータ装置27を介して蓄電装置28に電気的に接続されている。蓄電装置28としては、バッテリやキャパシタ等を用いることができる。回転電機12は、蓄電装置28から電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関11が出力するトルクや車両6の慣性力により発電した電力を蓄電装置28に供給して蓄電させる。中間軸Mは、変速機構13に駆動連結されている。すなわち、回転電機12のロータの出力軸(ロータ出力軸)としての中間軸Mは、変速機構13の入力軸(変速入力軸)となっている。
変速機構13は、本実施形態では、変速比の異なる複数の変速段を切替可能に有する自動有段変速機構である。変速機構13は、これら複数の変速段を形成するために、遊星歯車機構等の歯車機構と、この歯車機構の回転要素の係合又は解放を行い、変速段を切り替えるためのクラッチやブレーキ等の複数の摩擦係合装置とを備えている。ここでは、変速機構13は変速用の複数の摩擦係合装置のうちの1つとして、第二クラッチCL2を備えている。本実施形態では、第二クラッチCL2は、湿式多板クラッチとして構成されている。第二クラッチCL2は、中間軸Mと変速機構13内に設けられた変速中間軸Sとを選択的に駆動連結する。本実施形態においては、第二クラッチCL2が本発明における「第二摩擦係合装置」に相当する。変速中間軸Sは、変速機構13内の他のクラッチ等や軸部材を介して出力軸Oに駆動連結されている。
変速機構13は、複数のクラッチ等の係合状態に応じて形成される各変速段についてそれぞれ設定された所定の変速比に基づいて、中間軸Mの回転速度を変速するとともにトルクを変換して出力軸Oに伝達する。変速機構13から出力軸Oに伝達されたトルクは、出力用差動歯車装置14を介して左右2つの車輪15に分配されて伝達される。これにより、駆動装置1は、内燃機関11及び回転電機12の一方又は双方のトルクを車輪15に伝達させて車両6を走行させることができる。
本実施形態においては、駆動装置1は、中間軸Mに駆動連結されたオイルポンプ(図示せず)を備えている。オイルポンプは、駆動装置1の各部に油を供給するための油圧源として機能する。オイルポンプは、回転電機12及び内燃機関11の一方又は双方の駆動力により駆動されて作動し、油圧を発生させる。オイルポンプからの油は、油圧制御装置25により所定油圧に調整されてから、第一クラッチCL1や第二クラッチCL2等に供給される。このオイルポンプとは別に、専用の駆動モータを有するオイルポンプを備えた構成としても良い。
図1に示すように、この駆動装置1が搭載された車両6の各部には、複数のセンサSe1〜Se5が備えられている。入力軸回転速度センサSe1は、入力軸Iの回転速度を検出するセンサである。入力軸回転速度センサSe1により検出される入力軸Iの回転速度は、内燃機関11の回転速度に等しい。中間軸回転速度センサSe2は、中間軸Mの回転速度を検出するセンサである。中間軸回転速度センサSe2により検出される中間軸Mの回転速度は、回転電機12のロータの回転速度に等しい。出力軸回転速度センサSe3は、出力軸Oの回転速度を検出するセンサである。制御装置4は、出力軸回転速度センサSe3により検出される出力軸Oの回転速度に基づいて、車両6の走行速度である車速を導出することもできる。
アクセル開度検出センサSe4は、アクセルペダル17の操作量を検出することによりアクセル開度を検出するセンサである。充電状態検出センサSe5は、SOC(state of charge:充電状態)を検出するセンサである。制御装置4は、充電状態検出センサSe5により検出されるSOCに基づいて蓄電装置28の蓄電量を導出することもできる。これらの各センサSe1〜Se5による検出結果を示す情報は、制御装置4へ出力される。
2.制御装置の構成
本実施形態に係る制御装置4の構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る制御装置4は、駆動装置制御ユニット40を備えている。駆動装置制御ユニット40は、主に回転電機12、第一クラッチCL1、及び変速機構13を制御する。また、車両6には、駆動装置制御ユニット40とは別に、主に内燃機関11を制御する内燃機関制御ユニット30が備えられている。
内燃機関制御ユニット30と駆動装置制御ユニット40とは、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。また、内燃機関制御ユニット30及び駆動装置制御ユニット40に備えられる各機能部も、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。また、内燃機関制御ユニット30及び駆動装置制御ユニット40は、各センサSe1〜Se5による検出結果の情報を取得可能に構成されている。
内燃機関制御ユニット30は、内燃機関制御部31を備えている。
内燃機関制御部31は、内燃機関11の動作制御を行う機能部である。内燃機関制御部31は、内燃機関11の出力トルク(内燃機関トルクTe)及び回転速度の制御目標としての目標トルク及び目標回転速度を決定し、この制御目標に応じて内燃機関11を動作させる。本実施形態では、内燃機関制御部31は、車両6の走行状態に応じて内燃機関11のトルク制御及び回転速度制御を切り替えることが可能である。トルク制御は、内燃機関11に目標トルクを指令し、内燃機関トルクTeをその目標トルクに一致させる(追従させる)制御である。回転速度制御は、内燃機関11に目標回転速度を指令し、内燃機関11の回転速度をその目標回転速度に一致させるように出力トルクを決定する制御である。
駆動装置制御ユニット40は、走行モード決定部41、要求トルク決定部42、回転電機制御部43、第一クラッチ動作制御部44、変速機構動作制御部45、発進制御部46、及び油圧調整制御部47を備えている。
走行モード決定部41は、車両6の走行モードを決定する機能部である。走行モード決定部41は、例えば出力軸回転速度センサSe3の検出結果に基づいて導出される車速や、アクセル開度検出センサSe4により検出されるアクセル開度、充電状態検出センサSe5の検出結果に基づいて導出される蓄電装置28の蓄電量等に基づいて、駆動装置1が実現すべき走行モードを決定する。その際、走行モード決定部41は、メモリ等の記録装置に記憶して備えられたモード選択マップ(図示せず)を参照する。
本例では、走行モード決定部41が選択可能な走行モードには、電動走行モード、パラレル走行モード、及びスリップ走行モード(第一スリップ走行モードと第二スリップ走行モードを含む)が含まれる。電動走行モードでは、第一クラッチCL1が解放状態とされ、回転電機12の出力トルク(回転電機トルクTm)のみにより車両6を走行させる。パラレル走行モードでは、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2の双方が直結係合状態とされ、少なくとも内燃機関トルクTeにより車両6を走行させる。
第一スリップ走行モードでは、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2の双方がスリップ係合状態とされ、少なくとも内燃機関トルクTeが車輪15に伝達されている状態で車両6を走行させる。第二スリップ走行モードでは、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2のうちの一方(本例では第一クラッチCL1)が直結係合状態、他方(本例では第二クラッチCL2)がスリップ係合状態とされ、少なくとも内燃機関トルクTeが車輪15に伝達されている状態で車両6を走行させる。パラレル走行モードやスリップ走行モードでは、回転電機12は、必要に応じて正の回転電機トルクTm(>0)を出力して内燃機関トルクTeによる駆動力を補助し、或いは負の回転電機トルクTm(<0)を出力して内燃機関トルクTeによって発電する。なお、ここで説明したモードは一例であり、これら以外の各種モードを備える構成を採用することも可能である。
要求トルク決定部42は、車両6を駆動するために必要とされる車両要求トルクTdを決定する機能部である。要求トルク決定部42は、出力軸回転速度センサSe3の検出結果に基づいて導出される車速と、アクセル開度検出センサSe4により検出されるアクセル開度とに基づいて、所定のマップ(図示せず)を参照する等して車両要求トルクTdを決定する。本実施形態では、車両要求トルクTdが本発明における「要求駆動力」に相当する。決定された車両要求トルクTdは、内燃機関制御部31、回転電機制御部43、及び油圧調整制御部47等に出力される。
回転電機制御部43は、回転電機12の動作制御を行う機能部である。回転電機制御部43は、回転電機トルクTm及び回転速度の制御目標としての目標トルク及び目標回転速度を決定し、この制御目標に応じて回転電機12を動作させる。本実施形態では、回転電機制御部43は、車両6の走行状態に応じて回転電機12のトルク制御及び回転速度制御を切り替えることが可能である。
回転電機制御部43は、このようなトルク制御及び回転速度制御を実行可能とするべく、目標トルク決定部43aと回転速度制御部43bとを備えている。目標トルク決定部43aは、回転電機12の目標トルクTmfを決定する機能部である。そして、回転電機制御部43は、目標トルク決定部43aにより決定された目標トルクTmfを回転電機12に指令し、回転電機トルクTmをその目標トルクTmfに一致させるようにフィードフォワード的に回転電機12のトルク制御を実行することが可能である。回転速度制御部43bは、回転電機12に目標回転速度Nmtを指令し、回転電機12の回転速度をその目標回転速度Nmtに一致させるように出力トルクを決定する回転速度制御を実行する機能部である。本実施形態においては、このような回転電機12の回転速度制御が本発明における「回転速度フィードバック制御」及び「回転状態制御」に相当する。なお、回転電機制御部43は、目標トルク決定部43aと回転速度制御部43bとを協働的に働かせて、回転電機トルクTmをフィードフォワード的に制御しつつ回転電機12の回転速度をフィードバック的に制御することも可能である。
第一クラッチ動作制御部44は、第一クラッチCL1の動作を制御する機能部である。第一クラッチ動作制御部44は、油圧制御装置25を介して第一クラッチCL1に供給される油圧を制御し、第一クラッチCL1の係合圧を制御することにより、当該第一クラッチCL1の動作を制御する。例えば、第一クラッチ動作制御部44は、第一クラッチCL1に対する油圧指令値を出力し、油圧制御装置25を介して第一クラッチCL1への供給油圧を解放境界圧未満とすることにより、第一クラッチCL1を解放状態とする。また、第一クラッチ動作制御部44は、油圧制御装置25を介して第一クラッチCL1への供給油圧を係合境界圧以上とすることにより、第一クラッチCL1を直結係合状態とする。また、第一クラッチ動作制御部44は、油圧制御装置25を介して第一クラッチCL1への供給油圧を、解放境界圧以上係合境界圧未満のスリップ係合圧とすることにより、第一クラッチCL1をスリップ係合状態とする。
第一クラッチCL1のスリップ係合状態では、入力軸Iと中間軸Mとが相対回転する状態で、これらの間で駆動力が伝達される。なお、第一クラッチCL1の直結係合状態又はスリップ係合状態で伝達可能なトルクの大きさは、第一クラッチCL1のその時点での係合圧に応じて決まる。このときのトルクの大きさを、第一クラッチCL1の「伝達トルク容量Tc1」とする。本実施形態では、第一クラッチ動作制御部44は、第一クラッチCL1に対する油圧指令値に応じて比例ソレノイド等で第一クラッチCL1への供給油量及び供給油圧の大きさを連続的に制御することにより、係合圧及び伝達トルク容量Tc1の増減を連続的に制御可能である。なお、第一クラッチCL1のスリップ係合状態で当該第一クラッチCL1を介して伝達されるトルクの伝達方向は、入力軸Iと中間軸Mとの間の相対回転の向きに応じて決まる。つまり、入力軸Iの回転速度が中間軸Mの回転速度よりも高い場合には、第一クラッチCL1を介して入力軸I側から中間軸M側にトルクが伝達され、入力軸Iの回転速度が中間軸Mの回転速度よりも低い場合には、第一クラッチCL1を介して中間軸M側から入力軸I側にトルクが伝達される。
また、本実施形態では、第一クラッチ動作制御部44は、車両6の走行状態に応じて第一クラッチCL1のトルク容量制御及び回転速度制御を切り替えることが可能である。トルク容量制御は、第一クラッチCL1の伝達トルク容量Tc1を所定の目標伝達トルク容量に一致させる制御である。回転速度制御は、第一クラッチCL1の一方の係合部材に連結された回転部材(本例では、入力軸I)の回転速度と他方の係合部材に連結された回転部材(本例では、中間軸M)の回転速度との間の回転速度差を所定の目標差回転速度に一致させるように、第一クラッチCL1への油圧指令値又は第一クラッチCL1の伝達トルク容量を決定する制御である。第一クラッチCL1の回転速度制御では、例えば中間軸Mの回転速度が所定値に制御された状態で上記回転速度差を所定の目標差回転速度に一致させることで、入力軸Iの回転速度を所定の目標回転速度に一致させるように制御することが可能である。
変速機構動作制御部45は、変速機構13の動作を制御する機能部である。変速機構動作制御部45は、アクセル開度及び車速に基づいて目標変速段を決定すると共に、変速機構13に対して決定された目標変速段を形成させる制御を行う。その際、変速機構動作制御部45は、メモリ等の記録装置に記憶して備えられた変速マップ(図示せず)を参照する。変速マップは、アクセル開度及び車速に基づくシフトスケジュールを設定したマップである。変速機構動作制御部45は、決定された目標変速段に基づいて、変速機構13内に備えられる所定のクラッチ及びブレーキ等への供給油圧を制御して目標変速段を形成する。
上記のとおり、変速機構13には変速用の第二クラッチCL2が備えられている。この第二クラッチCL2は、例えば同じく変速機構13に備えられる所定のブレーキと協働して第1速段を形成する。この第二クラッチCL2も、当然に変速機構動作制御部45の制御対象に含まれる。ここでは、第二クラッチCL2の動作を制御する機能部を、特に第二クラッチ動作制御部45aとする。第二クラッチ動作制御部45aは、油圧制御装置25を介して第二クラッチCL2に供給される油圧を制御し、第二クラッチCL2の係合圧を制御することにより、当該第二クラッチCL2の動作を制御する。第二クラッチ動作制御部45aによる第二クラッチCL2の動作制御に関しては、制御対象及びそれに付随する事項が一部異なるだけで、第一クラッチ動作制御部44による第一クラッチCL1の動作制御と基本的には同様である。
発進制御部46は、発進制御を実行する機能部である。発進制御部46は、例えば車両6の停止中に運転者による発進操作を検知した場合に発進制御を実行する。ここで「発進操作」は、車両6の運転者による車両発進を意図した操作であり、本例では車両6をクリープ発進させ得る、ブレーキペダル(図示せず)の解除操作とされている。なお、アクセルペダル17の踏み込み操作を「発進操作」として検知する構成としても良い。発進制御部46は、発進制御を実行することで、内燃機関制御部31、回転電機制御部43、第一クラッチ動作制御部44、及び第二クラッチ動作制御部45a等を協調制御して車両6を適切に発進させる。
本実施形態では、発進制御部46は、所定の低車速状態にある期間、発進制御を実行する。ここで、「低車速状態」は、変速機構13において第1速段が形成されている場合において第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2の双方が直結係合状態であると仮定した場合における入力軸I(内燃機関11)の推定回転速度が低車速判定閾値Th1(図示せず)以下となる状態である。入力軸Iと一体回転するように駆動連結された内燃機関11は、所定の内燃機関トルクTeを出力して自立運転を継続するためには一定速度以上で回転する必要がある。また、こもり音や振動の発生を抑制する点からも、内燃機関11は一定速度以上で回転する必要がある。そのため、本例ではこれらの点を考慮して低車速判定閾値Th1が設定されている。
本実施形態では、発進制御部46は、発進制御中、車両6の走行モードを第一スリップ走行モード、第二スリップ走行モードの順に順次実現する。すなわち、発進制御部46は、発進制御においてまず、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2の双方をスリップ係合状態とする。そして発進制御部46は、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2の双方のスリップ係合状態で、第一スリップ走行モードにて内燃機関トルクTeを車輪15に伝達させて車両6を発進させる。その際、発進制御部46は回転速度制御部43bに回転電機12の回転速度制御を実行させ、決定された目標回転速度Nmtに一致するように回転電機12の回転速度をフィードバック制御する。
本実施形態では、特定発進制御中における回転電機12の目標回転速度Nmtは、変速機構13において第1速段が形成されていると仮定した場合における出力軸Oの回転速度に応じた中間軸Mの回転速度よりも高く、且つ、少なくとも自立運転を継続している内燃機関11の回転速度よりも低い値となるように設定される。なお、回転電機12の目標回転速度Nmtを決定するに際しては、車両6に備えられる補機類であって電力を用いて駆動されるもの(例えば、車載用エアコンディショナーのコンプレッサや灯火類等)の定格消費電力又は実消費電力を考慮しても良い。或いは、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2のそれぞれの差回転速度に基づく発熱量等を考慮しても良い。また或いは、駆動装置1に備えられる全ての油圧駆動式の摩擦係合装置(第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2を含む)に必要とされる供給油圧を確保可能なオイルポンプ(図示せず)の回転速度を考慮しても良い。
本例では、第一スリップ走行モードにおける回転電機12の目標回転速度Nmtは、車速に応じて設定されている(図4を参照)。図示の例では、車両6が停止したままの状態では目標回転速度Nmtが一定値に維持されており、車速が上昇し始めた後は車速に比例する変速中間軸Sの回転速度に応じて回転電機12の目標回転速度Nmtも一定の時間変化率で上昇している。そして、回転電機12の回転速度は、上記のような目標回転速度Nmtに追従して一定の時間変化率で上昇している。なお、このとき各時点において回転電機12の回転速度を目標回転速度Nmtに向かって変化させるためのトルク(イナーシャトルク)を、本願では「回転変化トルクTmi」と称する。
発進制御中における第一スリップ走行モードでは、内燃機関制御部31は内燃機関11をトルク制御し、第一クラッチ動作制御部44は、内燃機関11と回転電機12とが同期して直結係合状態となるまではスリップ係合状態にある第一クラッチCL1を回転速度制御する。回転速度制御部43bは上記のとおり回転電機12の回転速度制御を実行し、油圧調整制御部47は第二クラッチCL2を対象として油圧調整制御を実行する。油圧調整制御部47による油圧調整制御の詳細な内容については後述する。
本実施形態では、内燃機関制御部31は、車両要求トルクTdから回転電機12の目標トルクを減算した値を発進制御中の目標トルクに設定し、内燃機関トルクTeがその目標トルクに一致するように内燃機関11をトルク制御する。なお、回転電機12が発電を行う場合には、内燃機関制御部31は、車両要求トルクTdと発電ためのトルク(発電トルク)との加算値を発進制御中の目標トルクに設定し、内燃機関トルクTeがその目標トルクに一致するように内燃機関11をトルク制御する。
第一クラッチ動作制御部44は、第一クラッチCL1のスリップ係合状態で、入力軸I(内燃機関11)の目標回転速度を設定し、入力軸I(内燃機関11)の回転速度(回転状態の一種)がその目標回転速度に一致するように第一クラッチCL1の伝達トルク容量Tc1を制御する回転速度制御を実行する。この第一クラッチCL1の回転速度制御では、内燃機関トルクTeがそのまま回転電機12側に伝達される。なお、第一クラッチCL1が直結係合状態となった後も、内燃機関トルクTeはそのまま回転電機12側に伝達される。第二クラッチCL2は、スリップ係合状態で基本的には車両要求トルクTdに応じたトルクを伝達するようにトルク容量制御される。
本実施形態では、回転電機12の回転速度が上昇し、やがて内燃機関11の回転速度に一致すると、第二クラッチCL2をスリップ係合状態に維持したままで第一クラッチ動作制御部44は第一クラッチCL1を直結係合状態とし、第二スリップ走行モードで内燃機関トルクTeを車輪15に伝達させて車両6を走行させる。発進制御部46は、第二スリップ走行モードでも回転速度制御部43bに回転電機12の回転速度制御を実行させ、決定された目標回転速度Nmtに一致するように回転電機12の回転速度をフィードバック制御する。本例では、第二スリップ走行モードにおける回転電機12の目標回転速度Nmtは、変速中間軸Sの回転速度との差回転速度を徐々に低下させるように、変速中間軸Sの回転速度の時間変化率よりも小さい一定の時間変化率で上昇している(図4を参照)。
発進制御中における第二スリップ走行モードでは、内燃機関制御部31は引き続き内燃機関11をトルク制御し、直結係合状態にある第一クラッチCL1を介して内燃機関トルクTeがそのまま回転電機12側に伝達される。回転速度制御部43bは引き続き回転電機12の回転速度制御を実行し、油圧調整制御部47は引き続き第二クラッチCL2を対象として油圧調整制御を実行する。これらの各制御に関しては、第一スリップ走行モード中の各制御と同様である。変速中間軸Sの回転速度が上昇し、やがて回転電機12の回転速度に一致すると、第二クラッチ動作制御部45aは第二クラッチCL2を直結係合状態とする。第二クラッチCL2が直結係合状態となった後は、回転電機12の回転速度は車輪15の回転速度に応じて一意に定まる状態となり、もはや回転速度制御を維持できなくなる。この場合、回転電機制御部43は、目標トルク決定部43aにより決定された目標トルクTmfを出力させるように回転電機12をトルク制御する。
このように本実施形態では、発進制御中、第二クラッチCL2は、基本的にはスリップ係合状態とされると共に、伝達トルク容量Tc2が車両要求トルクTdに応じたトルクとなるように制御される。これにより、安定的に自立運転を継続できる回転速度で内燃機関11を駆動しながら、車両要求トルクTdを満足させて適切に車両6を駆動することができる。車両6の発進後、車速が十分に高くなると、第二クラッチCL2はスリップ係合状態から直結係合状態へと移行されてパラレル走行モードで走行する状態となる。
ところで、発進制御中における回転電機12の目標トルクTmfは、車両要求トルクTdから内燃機関11の目標トルクを減算した値となる。なお、この回転電機12の目標トルクTmfは、発進制御の終了後(パラレル走行モードでの走行中)も維持される。
発進制御中、上述したような各制御が精確に実行される理想状態では、図2(a)に示すように、入力軸I及び第一クラッチCL1を介して回転電機12に伝達されるトルクは内燃機関11の目標トルク(ここではこれを「Te0」とする)に完全に一致し、スリップ係合状態にある第二クラッチCL2を介して出力軸Oに伝達されるトルクは、車両要求トルクTd(ここではこれを「Td0」とする)に完全に一致する。この場合、発進制御に伴う回転電機12の回転速度制御中における回転電機12の目標トルクTmf(ここではこれを「Tm0」とする)は、車両要求トルクTd0から内燃機関11の目標トルクTe0を減算した値に完全に一致する(Tm0=Td0−Te0)。そのため、発進制御が終了して回転電機12のトルク制御が開始されたとしても、第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態へと移行する前後で回転電機12の目標トルクTmfはTm0のまま維持され、出力軸Oにトルク変動が伝達されることはない。なお、ここではモデルを単純化して説明を簡略化するべく、第1速段での変速比を「1」としている。
しかし現実的には、図2(b)に示すように入力軸I及び第一クラッチCL1を介して回転電機12に伝達される内燃機関11のトルク(ここではこれを「Te1」とする)は内燃機関11の目標トルクTe0に完全には一致せず、目標トルクTe0に対して所定の差分ΔTeを有する場合がある(Te1=Te0+ΔTe)。この場合、回転速度制御された回転電機12のトルク(ここではこれを「Tm1」とする)は、内燃機関トルクTeのうちの目標トルクTe0に対する差分ΔTeを打ち消すように目標トルクTm0から減算される(Tm1=Tm0−ΔTe)。その結果、スリップ係合状態にある第二クラッチCL2を介して出力軸Oに伝達されるトルクは、車両要求トルクTd0に一致する。
一方、発進制御が終了して第二クラッチCL2が直結係合状態となり、パラレル走行モードで回転電機12のトルク制御が開始されると、回転電機12のトルクは瞬時的且つ強制的に目標トルクTm0に戻される。その結果、直結係合状態となった第二クラッチCL2を介して出力軸Oに伝達されるトルク(ここではこれを「Td1」とする)は、内燃機関トルクTe1(=Te0+ΔTe)と回転電機12の目標トルクTm0(=Td0−Te0)とを加算した値となる(Td1=Td0+ΔTe)。このように、内燃機関11が実際に出力するトルクの誤差(差分ΔTe)に起因して、発進制御が終了して回転電機12のトルク制御が開始される際(第二スリップ走行モードからパラレル走行モードへの切り替えの際)に、第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態へと移行する前後で、第二クラッチCL2を介して出力軸Oに伝達されるトルクがTd0からTd1(=Td0+ΔTe)へと変化する。すなわち、出力軸Oに伝達されるトルクには、内燃機関トルクTeのうちの目標トルクTe0に対する差分ΔTeに相当する分のトルク段差が生じる。このようなトルク段差が生じると、車両6の乗員にショックを感じさせる可能性があるので好ましくない。
そこで、このような課題の解決を図るべく、本実施形態では発進制御と並行して油圧調整制御を実行する油圧調整制御部47を備える構成を採用している。以下では、油圧調整制御部47により実行される油圧調整制御の詳細について、図2〜図4を参照して説明する。
3.油圧調整制御の内容
本実施形態に係る油圧調整制御の内容について説明する。なお、この油圧調整制御は、発進制御の開始と同時に開始される。本例では、油圧調整制御は、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2の双方のスリップ係合状態で第一クラッチCL1の回転速度制御が実行されつつ内燃機関トルクTeが車輪15に伝達されている状態で実行される。より具体的には、油圧調整制御は、車両6の発進時に第二クラッチCL2がスリップ係合状態となった後、当該第二クラッチCL2をスリップ係合状態から直結係合状態に移行させるまでの間に実行される。本実施形態では、油圧調整制御は、第二クラッチCL2がスリップ係合状態となった後、当該第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態に移行するまでの間、継続的に実行される。
図2(c)にその基本概念を示すように、油圧調整制御では、回転電機12の目標トルクをTm1(=Tm0−ΔTe)からTm0に向かって連続的に(徐々に)変化させると共に、第二クラッチCL2を介して出力軸Oに伝達されるトルクをTd0からTd1(=Td0+ΔTe)に向かって連続的に変化させる。
図3は、回転電機制御部43(目標トルク決定部43aと回転速度制御部43bとを含む)及び油圧調整制御部47の構成を示すブロック図である。
目標トルク決定部43aには、内燃機関トルク指令Ceと車両要求トルクTdとが入力される。本実施形態では、内燃機関トルク指令Ceは、内燃機関11のトルク制御における目標トルクの指令値であり、内燃機関制御部31により決定される。車両要求トルクTdは、要求トルク決定部42により決定される。目標トルク決定部43aは目標トルク演算器51を備えている。目標トルク演算器51は、車両要求トルクTdから内燃機関トルク指令Ceを減算する演算を行い、その演算結果としての減算値(Td−Ce)を目標トルクTmfとして出力する。
第一クラッチCL1が回転速度制御されている状態では、内燃機関トルク指令Ceに応じた内燃機関トルクTeが、入力軸I及び第一クラッチCL1を介してそのまま回転電機12側に伝達される。すなわち、第一クラッチCL1の伝達トルク容量Tc1の誤差の影響が排除された状態で、内燃機関トルク指令Ceに応じた内燃機関トルクTeが回転電機12側に伝達される。従って、目標トルク決定部43aは、車輪15を駆動するための車両要求トルクTdと入力軸Iを介して回転電機12に伝達されるトルクの指令値となる内燃機関トルク指令Ceとの差分に基づいて回転電機12の目標トルクTmfを決定する。なお、このようにして算出される目標トルクTmfは、フィードフォワード的に決定されるフィードフォワードトルク指令である。
回転速度制御部43bには、回転電機12の目標回転速度Nmtと実回転速度Nmrとが入力される。回転電機12の目標回転速度Nmtは、上記で説明したように設定される。回転電機12の実回転速度Nmrは、中間軸回転速度センサSe2により検出される。目標回転速度Nmtと実回転速度Nmrとは減算器61に入力され、実回転速度Nmrと目標回転速度Nmtとの差分(Nmr−Nmt)が回転速度偏差ΔNmとして出力される。回転速度偏差ΔNmは補正トルク演算器52に入力される。
補正トルク演算器52は、入力された回転速度偏差ΔNmに基づいて、当該回転速度偏差ΔNmをゼロとするような補正トルクTmbを算出して出力する。補正トルク演算器52は、公知の比例制御、積分制御、及び微分制御の1つ以上を適宜組み合わせた演算を行う構成とすることができる。本実施形態では、補正トルク演算器52は比例積分制御(PI制御)演算を行う構成とされている。補正トルク演算器52は、その演算結果を、目標トルクTmfに対する補正トルクTmbとして出力する。なお、このようにして算出される補正トルクTmbは、フィードバック的に決定されるフィードバックトルク指令である。
目標トルク演算器51により算出された目標トルクTmfと補正トルク演算器52により算出された補正トルクTmbとは加算器62に入力され、目標トルクTmfと補正トルクTmbとの加算値(Tmf+Tmb)が、回転電機トルク指令Cmとして回転電機制御部43から出力される。回転電機制御部43は、この回転電機トルク指令Cmに基づいて回転電機12の動作を制御する。
油圧調整制御部47には、少なくとも車両要求トルクTdが入力される。また、油圧調整制御部47は目標トルク容量演算器53を備えている。目標トルク容量演算器53は、入力された車両要求トルクTdに基づいて、当該車両要求トルクTdに応じた目標トルク容量Tcfを算出して出力する。なお、このようにして算出される目標トルク容量Tcfは、フィードフォワード的に決定されるフィードフォワードトルク容量指令である。このような目標トルク容量Tcfがそのまま第二クラッチトルク容量指令Cc2として算出され、この第二クラッチトルク容量指令Cc2に応じた第二クラッチ油圧指令Pc2に基づいて第二クラッチCL2の動作が制御される場合の構成は、本発明における前提構成であって従来公知である。
本実施形態では、油圧調整制御部47には、補正トルク演算器52により算出された補正トルクTmbと、中間軸回転速度センサSe2により検出された回転電機12の実回転速度Nmrとが更に入力される。また、油圧調整制御部47は、回転変化トルク演算器54とトルク容量補正量演算器55と油圧指令生成器56とを備えている。回転変化トルク演算器54は、入力された実回転速度Nmrに基づいて、回転電機12のロータの回転変化トルクTmiを算出する演算を行う。ここで回転変化トルクTmiは、回転電機12の回転速度制御に際して目標回転速度Nmtに向かって実回転速度Nmrを変化させるためのトルク(イナーシャトルク)である。回転変化トルク演算器54は、回転電機12のロータのイナーシャJmと実回転速度Nmrの時間微分とを乗算し、その乗算値(Jm・(dNmr/dt))を回転変化トルクTmiとして出力する。
補正トルク演算器52により算出された補正トルクTmbと回転変化トルク演算器54により算出された回転変化トルクTmiとは減算器63に入力され、補正トルクTmbと回転変化トルクTmiとの差分(Tmb−Tmi)がトルク誤差ΔTとして出力される。このトルク誤差ΔTは、内燃機関11が実際に出力する内燃機関トルクTeの誤差に起因するものであり、「回転変化トルクTmi相当分を除外して算出した補正トルクTmb」であるとも言える。回転電機12の実回転速度Nmrが既に目標回転速度Nmtに一致している状態では回転変化トルクTmiはゼロであり、トルク誤差ΔTは補正トルクTmbに一致する。このトルク誤差ΔTはトルク容量補正量演算器55に入力される。
トルク容量補正量演算器55は、入力されたトルク誤差ΔTに基づいてトルク容量補正量Tcbを算出する。本実施形態では、トルク容量補正量演算器55は、トルク誤差ΔTをゼロに近づけるようなトルク容量補正量Tcbを算出して出力する。トルク容量補正量演算器55は、公知の比例制御、積分制御、及び微分制御の1つ以上を適宜組み合わせた演算を行う構成とすることができる。本実施形態では、トルク容量補正量演算器55は積分制御(I制御)演算を行う構成とされている。すなわち、トルク容量補正量演算器55は、トルク誤差ΔTを時間積分した演算値に基づいて、トルク容量補正量Tcbを算出する。トルク容量補正量演算器55は、その演算結果を、目標トルク容量Tcfに対するトルク容量補正量Tcbとして出力する。なお、このようにして算出されるトルク容量補正量Tcbは、フィードバック的に決定されるフィードバックトルク容量指令である。
目標トルク容量演算器53により算出された目標トルク容量Tcfとトルク容量補正量演算器55により算出されたトルク容量補正量Tcbとは減算器64に入力され、目標トルク容量Tcfからトルク容量補正量Tcbを減算した減算値(Tcf−Tcb)が、第二クラッチトルク容量指令Cc2として算出される。
油圧指令生成器56は、算出された第二クラッチトルク容量指令Cc2に基づいて、第二クラッチCL2に対する供給油圧の指令値である第二クラッチ油圧指令Pc2を生成する。生成された第二クラッチ油圧指令Pc2は、油圧調整制御部47から油圧制御装置25に対して出力される。油圧制御装置25は、第二クラッチ油圧指令Pc2に応じた油圧を第二クラッチCL2に供給する。
このように本実施形態では、スリップ係合状態にある第二クラッチCL2の回転速度制御が実行されている状態で回転電機12の回転速度制御が実行されると共に、第二クラッチCL2がスリップ係合状態となった後、当該第二クラッチCL2のスリップ係合状態から直結係合状態への移行までの間に継続的に実行される油圧調整制御により、回転電機12の回転速度制御中におけるトルク誤差ΔT(補正トルクTmbを含む)に基づいて第二クラッチCL2への供給油圧が制御される。具体的には、油圧調整制御部47にはトルク容量補正量演算器55が備えられ、油圧調整制御部47は、スリップ係合状態にある第二クラッチCL2が直結係合状態へと移行する際に、回転電機12の回転速度制御におけるトルク誤差ΔT(補正トルクTmbを含む)をゼロとするようなトルク容量補正量Tcbを決定する。また、本実施形態では、油圧調整制御部47は、決定したトルク容量補正量Tcbを、同じく油圧調整制御部47に備えられる目標トルク容量演算器53により算出された目標トルク容量Tcfから減算することによって第二クラッチトルク容量指令Cc2を決定する。油圧調整制御部47は、この第二クラッチトルク容量指令Cc2に基づいて第二クラッチ油圧指令Pc2を生成し、この第二クラッチ油圧指令Pc2に基づいて第二クラッチCL2の伝達トルク容量Tc2を制御する。
このような構成を採用したことにより、仮に実際の内燃機関トルクTeがある程度の誤差を有していたとしても、それに起因して生じるトルク誤差ΔT(補正トルクTmb)を連続的に(徐々に)小さくすることができる。そして、そのトルク誤差ΔT(補正トルクTmb)を、第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態へと移行する時点において十分にゼロに近づけることができる。よって、第二スリップ走行モードからパラレル走行モードへのモード切替時に、第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態へと移行する際におけるトルク段差の発生を抑制することができる。従って、車両6の乗員にショックを感じさせることを極力回避することができる。
また、油圧調整制御部47には回転変化トルク演算器54及び減算器63が備えられ、油圧調整制御部47は、回転電機12の実回転速度Nmrを目標回転速度Nmtに向かって変化させるための回転変化トルクTmi相当分を除外して算出した補正トルクTmb(すなわち、上述したトルク誤差ΔT)に基づいて油圧調整制御を実行する。このような構成を採用したことにより、油圧調整制御において、内燃機関トルクTeの誤差による定常的な誤差のみを考慮して第二クラッチトルク容量指令Cc2及びそれに応じた第二クラッチ油圧指令Pc2を適切に決定することができ、トルク段差の発生を有効に抑制することができる。このような構成は、本実施形態における時刻T02以降のように、回転電機12の回転速度制御における目標回転速度Nmtが経時変化し、それに応じた回転変化トルクTmiの出力が必要となるような構成では特に有効である。
4.具体例
本実施形態に係る発進制御及び油圧調整制御の具体例について、図4のタイムチャートを参照して説明する。なお、本例では、車両6が停車中に発電を行っている状態から、第一スリップ走行モード及び第二スリップ走行モードをこの順に経て、最終的にパラレル走行モードに切り替えられる状況を想定している。
車両6の停車中に内燃機関トルクTeを用いて回転電機12が発電を行っている状態で、時刻T01において車両6の運転者による発進動作が検知されると発進制御が開始され、第一スリップ走行モードが実現される。この第一スリップ走行モードでは、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2の双方のスリップ係合状態で内燃機関トルクTeが車輪15に伝達される。時刻T01において、内燃機関制御部31は内燃機関11のトルク制御を開始すると共に、第一クラッチ動作制御部44は第一クラッチCL1の回転速度制御を開始する。ここで、第一クラッチCL1の回転速度制御では、本例では入力軸Iの回転速度を目標回転速度に一致させるように、第一クラッチCL1の伝達トルク容量Tc1が制御される。この第一クラッチCL1の回転速度制御では、内燃機関トルクTeがそのまま回転電機12側に伝達される。また、時刻T01において、回転速度制御部43bは回転電機12の回転速度制御を開始する。
本実施形態では、発進制御の開始と同時に油圧調整制御が開始されている。すなわち、第一クラッチCL1が直結係合状態となるよりも前から油圧調整制御が実行されている。本実施形態では第一クラッチCL1は回転速度制御され、内燃機関トルクTeがそのまま回転電機12側に伝達されるので、第一スリップ走行モードが実現された時刻T01において直ちに油圧調整制御が開始されている。
また図示の例では、第一スリップ走行モードにおける回転電機12の目標回転速度は、車速に応じて設定されている。すなわち、車両が停止したままの状態では目標回転速度が一定値に維持されており、車速が上昇し始める時刻T02以降、変速中間軸Sの回転速度に応じて回転電機12の目標回転速度も上昇している。回転電機12及び中間軸Mの回転速度が上昇し、やがて時刻T03において第一クラッチCL1によって係合される2つの(第一クラッチCL1の両側の)係合部材間の差回転速度(本例では回転電機12と内燃機関11との間の差回転速度に等しい)が所定の第一同期判定閾値Th2以下となると、第一クラッチ動作制御部44は、第一クラッチCL1がスリップ係合状態から直結係合状態になったと判定する。第一クラッチCL1の直結係合状態への移行判定後、第一クラッチ動作制御部44は第一クラッチCL1への供給油圧を徐々に上昇させ、所定時間経過後の時刻T04においてステップ的に完全係合圧まで上昇させて第一クラッチCL1を直結係合状態とする。
これにより第一スリップ走行モードから第二スリップ走行モードへのモード切替が行われるが、この第二スリップ走行モードでも内燃機関11のトルク制御及び回転電機12の回転速度制御はそのまま継続して実行される。また、第二クラッチCL2の油圧調整制御もそのまま継続して実行される。この油圧調整制御の詳細に関しては、上述したとおりである。図4には、発進制御が開始される時刻T01から、第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態へと移行する時刻T05までの期間において、回転電機12の目標トルクTmfに対する補正トルクTmbがゼロに向かって徐々に低下するように、第二クラッチCL2の目標トルク容量Tcfに対するトルク容量補正量Tcbが適宜増減される様子が示されている。
車速の上昇に伴って変速中間軸Sの回転速度が上昇し、やがて時刻T05において第二クラッチCL2の両側の係合部材間の差回転速度(本例では回転電機12及び中間軸Mと変速中間軸Sとの間の差回転速度に等しい)が所定の第二同期判定閾値Th3以下となると、第二クラッチ動作制御部45aは第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態になったと判定する。第二クラッチCL2の直結係合状態への移行判定後、第二クラッチ動作制御部45aは第二クラッチCL2への供給油圧を徐々に上昇させ、所定時間経過後の時刻T06においてステップ的に完全係合圧まで上昇させて第二クラッチCL2を直結係合状態とする。これにより第二スリップ走行モードからパラレル走行モードへのモード切替が行われ、時刻T06以降、パラレル走行モードでの走行が開始される。本実施形態では、これまで説明してきたような油圧調整制御を実行することにより、仮に実際の内燃機関トルクTeがある程度の誤差を有していたとしても、第二スリップ走行モードからパラレル走行モードへのモード切替時に、第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態へと移行する際におけるトルク段差の発生を抑制することができる。従って、車両6の乗員にショックを感じさせることを極力回避することが可能である。
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係る制御装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、第二スリップ走行モードでは、第一クラッチCL1が直結係合状態とされると共に第二クラッチCL2がスリップ係合状態とされ、第二クラッチCL2の油圧調整制御により、第二スリップ走行モードからパラレル走行モードへのモード切替時におけるトルク段差の発生を抑制する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば第二スリップ走行モードにおいて、第二クラッチCL2が直結係合状態とされると共に第一クラッチCL1がスリップ係合状態とされる構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、第二スリップ走行モードでは、回転電機12は目標トルク決定部43aにより決定された目標トルクTmfに従ってトルク制御される。
この場合における発進制御及び油圧調整制御を実行する際のタイムチャートを図5に示している。本例でも、発進制御の開始と同時に油圧調整制御が開始されている。本例では、回転電機12及び中間軸Mの回転速度が上昇し、やがて時刻T13において第二クラッチCL2の両側の係合部材間の差回転速度(本例では回転電機12及び中間軸Mと変速中間軸Sとの間の差回転速度)が第三同期判定閾値Th4以下となると、第二クラッチ動作制御部45aは第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態になったと判定する。第二クラッチCL2の直結係合状態への移行判定後、第二クラッチ動作制御部45aは第二クラッチCL2への供給油圧を徐々に上昇させ、所定時間経過後の時刻T14においてステップ的に完全係合圧まで上昇させて第二クラッチCL2を直結係合状態とする。この場合、発進制御中における第一スリップ走行モードから第二スリップ走行モードへのモード切替時に、上記の実施形態と同様の課題が生じ得る。しかし、そのような場合でも、本例では第二クラッチCL2の油圧調整制御を実行することにより、第二クラッチCL2がスリップ係合状態から直結係合状態へと移行する際におけるトルク段差の発生を抑制することができ、車両6の乗員にショックを感じさせることを極力回避することが可能である。
第二スリップ走行モードにおいて、車速の上昇に伴って変速中間軸S及び回転電機12の回転速度が上昇し、やがて時刻T15において第一クラッチCL1の両側の係合部材間の差回転速度(本例では回転電機12と内燃機関11との間の差回転速度)が第四同期判定閾値Th5以下となると、第一クラッチ動作制御部44は、第一クラッチCL1がスリップ係合状態から直結係合状態になったと判定する。第一クラッチCL1の直結係合状態への移行判定後、第一クラッチ動作制御部44は第一クラッチCL1への供給油圧を徐々に上昇させ、所定時間経過後の時刻T16においてステップ的に完全係合圧まで上昇させて第一クラッチCL1を直結係合状態とする。これにより第二スリップ走行モードからパラレル走行モードへのモード切替が行われる。
(2)上記の実施形態では、実際の内燃機関トルクTeの誤差に起因して生じるトルク誤差ΔT(補正トルクTmb)が、油圧調整制御により第二クラッチCL2の直結係合状態への移行時においてゼロとなり、回転電機12の制御状態が回転速度制御から直ちにトルク制御へと移行される場合を例として説明した。しかし、場合によっては、油圧調整制御が実行されても第二クラッチCL2の直結係合状態への移行時においてトルク誤差ΔTが完全にゼロとはならない場合もある(図6の時刻T23を参照)。このような場合には、回転電機制御部43は、回転速度制御からトルク制御への移行に際して、回転電機トルクTmを、回転速度制御中のトルク(Tmf+Tmb)から、トルク制御における目標トルクTmfまで徐々に変化させる移行トルク制御を実行する構成とすると好適である。図6には、時刻T23〜T24にかけて実行される移行トルク制御(「移行制御」と表示)において、回転電機トルクTmが一定の時間変化率で徐々に変化して最終的に目標トルクTmfに一致する様子が示されている。このような移行トルク制御を実行する構成とすることで、トルク誤差ΔTがゼロでない状態で第二クラッチCL2が直結係合状態に移行した場合であっても、回転電機トルクTmを目標トルクTmfまで徐々に変化させ、トルク段差の発生を抑制することができる。
(3)上記の実施形態では、第一クラッチCL1及び第二クラッチCL2の双方のスリップ係合状態で第一クラッチCL1の回転速度制御が実行され、内燃機関トルクTeが車輪15に伝達されている状態で油圧調整制御が実行される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば第一クラッチCL1の直結係合状態且つ第二クラッチCL2のスリップ係合状態で内燃機関トルクTeが車輪15に伝達されている状態でも、内燃機関トルクTeがそのまま回転電機12側に伝達される。そのような状況下で油圧調整制御を実行する構成としても、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(4)上記の実施形態では、油圧調整制御部47が、発進制御の開始と同時に油圧調整制御を開始する場合、言い換えれば、第二クラッチCL2がスリップ係合状態となった後、当該第二クラッチCL2が直結係合状態に移行するまでの間、継続的に油圧調整制御を実行する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、油圧調整制御部47は、少なくとも第二クラッチCL2がスリップ係合状態となった後、当該第二クラッチCL2が直結係合状態に移行するまでの間に油圧調整制御を実行すれば良く、例えば発進制御の開始時を基準として所定時間の経過後に油圧調整制御を開始する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(5)上記の実施形態では、油圧調整制御部47が、車両6の発進時に油圧調整制御を実行する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばパラレル走行モードでの走行中に車速が低下して「低車速状態」となった場合等にもスリップ走行モードを実現可能な構成とし、油圧調整制御部47がそのスリップ走行モードでの走行時に油圧調整制御を実行する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このような場合であっても、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(6)上記の実施形態では、油圧調整制御部47が、回転変化トルクTmi相当分を除外して算出した補正トルクTmb(トルク誤差ΔT)に基づいて油圧調整制御を実行する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、油圧調整制御部47が、回転変化トルクTmi相当分を除外することなく補正トルク演算器52により算出された補正トルクTmbをそのまま用いて油圧調整制御を実行する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(7)上記の実施形態では、実際の内燃機関トルクTeの誤差に起因して発生し得るトルク段差を抑制するべく油圧調整制御を実行する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、回転電機12の回転速度制御中に何らかの要因(例えば、第二クラッチCL2における実際の伝達トルク容量Tc2の誤差等)に基づいて補正トルクTmbが算出される場合には、上記の実施形態と同様に第二クラッチCL2の直結係合状態への移行時にトルク段差が発生する可能性がある。この場合であっても、本発明の油圧調整制御によれば、発生要因によらずにトルク段差を抑制することが可能である。
(8)上記の実施形態では、追従性高く油圧調整制御を実行可能とするべく、油圧調整制御部47が目標トルク容量演算器53及びトルク容量補正量演算器55の双方を備え、それぞれ算出される目標トルク容量Tcfとトルク容量補正量Tcbとに基づいて第二クラッチトルク容量指令Cc2を決定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば油圧調整制御部47が、目標トルク容量演算器53を備えることなくトルク容量補正量演算器55のみを備え、当該トルク容量補正量演算器55で算出されたトルク容量補正量Tcbをそのまま第二クラッチトルク容量指令Cc2として決定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このような構成でも、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(9)上記の実施形態では、制御装置4による制御対象となる駆動装置1に備えられる「第一摩擦係合装置」としての第一クラッチCL1や「第二摩擦係合装置」としての第二クラッチCL2が、供給される油圧に応じて係合圧が制御される、油圧駆動式の摩擦係合装置とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一摩擦係合装置及び第二摩擦係合装置は、係合圧の増減に応じて伝達トルク容量を調整可能であれば良く、例えばこれらのうちの一方又は双方が、発生される電磁力に応じて係合圧が制御される、電磁式の摩擦係合装置として構成されることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(10)上記の実施形態では、制御装置4による制御対象となる駆動装置1において、変速機構13に備えられる複数の摩擦係合装置のうちの1つである変速用の第二クラッチCL2が「第二摩擦係合装置」とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば変速機構13に備えられる他のクラッチ、ブレーキ等が「第二摩擦係合装置」とされた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。なお、第二摩擦係合装置が変速機構13内のブレーキとされる場合には、当該ブレーキの一方の係合部材には駆動装置ケース等の非回転部材が連結され、当該一方の係合部材の回転速度は常にゼロとなる。
(11)上記の実施形態では、制御装置4による制御対象となる駆動装置1において、変速機構13に備えられる変速用の第二クラッチCL2が「第二摩擦係合装置」とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上で回転電機12と出力軸Oとの間に設けられた摩擦係合装置であれば、変速機構13に備えられる変速用のクラッチ等とは別のクラッチを「第二摩擦係合装置」とすることも可能である。例えば回転電機12と変速機構13との間にトルクコンバータ等の流体伝動装置を備える場合において、当該トルクコンバータが有するロックアップクラッチが「第二摩擦係合装置」とされた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、例えば回転電機12と変速機構13との間、又は変速機構13と出力軸Oとの間に設けられる専用の伝達クラッチが「第二摩擦係合装置」とされた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。これらの場合には、変速機構13として、自動有段変速機構に代えて、自動無段変速機構、手動有段変速機構、及び固定変速機構等を用いることもできる。また、変速機構13の位置も任意に設定することができる。
(12)上記の実施形態では、主に内燃機関11を制御するための内燃機関制御ユニット30と、主に回転電機12、第一クラッチCL1、及び変速機構13を制御するための駆動装置制御ユニット40(制御装置4)とが個別に備えられている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば単一の制御装置4が内燃機関11、回転電機12、第一クラッチCL1、及び変速機構13等の全てを制御する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、制御装置4が、回転電機12を制御するための制御ユニットと、それ以外の各種構成を制御するための制御ユニットとを更に個別に備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、上記の各実施形態で説明した機能部の割り当ては単なる一例であり、複数の機能部を組み合わせたり、1つの機能部をさらに区分けしたりすることも可能である。
(13)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。