以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置1は、光ディスク媒体に記録された情報を読み取る装置であって、図1に示すように、媒体支持部11と、スピンドルモータ12と、光学ピックアップ13と、三軸アクチュエータ14と、送りモータ15と、駆動回路16と、RFアンプ17と、サーボ信号処理部18と、記録信号処理部19と、制御部20と、サーミスタ21と、を備えている。
なお、光ディスク装置1による情報読み出しの対象となる光ディスク媒体Mは、情報が記録されるデータ記録層と、その両側からデータ記録層を保護する保護層と、が積層されて構成される。以下では、データ記録層の表面を信号面という。また、光ディスク装置1は、光ディスク媒体Mに記録された情報を読み取るだけでなく、光ディスク媒体Mに対して情報を書き込み可能に構成されてもよい。さらに、光ディスク装置1は、CDや、DVD、Blu−ray Discなど、複数種類の光ディスク媒体Mに記録された情報を読み取り可能に構成されてもよい。
媒体支持部11は、光ディスク媒体Mを回転可能に支持する。また、この媒体支持部11は、スピンドルモータ12から伝達される動力によって光ディスク媒体Mを回転させる。
光学ピックアップ13は、光ディスク媒体Mに対して光を照射し、照射した光の光ディスク媒体Mでの反射光を検出して、検出した反射光に応じた出力信号を出力する。この光学ピックアップ13は、三軸アクチュエータ14によって光ディスク媒体Mの径方向、及び光ディスク媒体Mの表面に垂直な方向(すなわち、光ディスク媒体Mの回転軸に沿った方向)の2つの方向に移動可能になっており、さらに、光学ピックアップ13の光ディスク媒体Mに対する相対的な傾きを変更可能になっている。三軸アクチュエータ14が光学ピックアップ13を媒体表面に垂直な方向に沿って移動させることにより、光学ピックアップ13に備えられた対物レンズから光ディスク媒体Mの表面までの距離が変化する。
図2は、光学ピックアップ13の内部構成の一例を示す図である。この図の例においては、光学ピックアップ13は、発光素子31と、偏光ビームスプリッタ32と、コリメータレンズ33と、コリメータレンズ駆動部34と、立ち上げミラー35と、対物レンズ36と、フォトディテクタ37と、を備えている。
発光素子31は、所定波長のレーザー光を出力する半導体レーザー素子である。発光素子31から出射された出射光は、偏光ビームスプリッタ32及びコリメータレンズ33を通過した後、立ち上げミラー35で反射される。さらに、立ち上げミラー35で反射された出射光は、対物レンズ36によって、対物レンズ36から焦点距離Fだけ離れた焦点位置(フォーカス位置)に集光され、光ディスク媒体Mによって反射される。
光ディスク媒体Mにより反射された反射光は、対物レンズ36を通過した後、立ち上げミラー35で反射され、偏光ビームスプリッタ32によってフォトディテクタ37側に導かれる。フォトディテクタ37は、例えばN×Nのマトリクス状に配置された複数の受光素子を備えており、偏光ビームスプリッタ32によって導かれた反射光がこれらの受光素子に到達すると、フォトディテクタ37は、複数の受光素子のそれぞれが受光した光の強度に応じた信号を出力信号として出力する。
また、コリメータレンズ駆動部34は、アクチュエータ等により構成され、コリメータレンズ33を、レーザー光の光軸方向に沿って前後に駆動する。コリメータレンズ駆動部34がコリメータレンズ33を光軸方向に沿って移動させることにより、対物レンズ36の球面収差補正が可能となる。
送りモータ15は、光学ピックアップ13及び三軸アクチュエータ14の全体を、光ディスク媒体Mの径方向に沿って移動させる。この送りモータ15の駆動によって、光学ピックアップ13は、光ディスク媒体Mの中心近傍の位置から外周近傍の位置まで移動可能になっている。
駆動回路16は、サーボ信号処理部18から入力される制御信号に従って、コリメータレンズ駆動部34、三軸アクチュエータ14、スピンドルモータ12、及び送りモータ15を駆動する駆動信号を出力する。この駆動回路16からの駆動信号に応じて、スピンドルモータ12の回転速度が変化することによって、光ディスク媒体Mの回転速度が制御される。また、この駆動回路16からの駆動信号に応じて三軸アクチュエータ14及び送りモータ15が駆動することによって、対物レンズ36の媒体回転軸からの径方向に沿った距離、及び対物レンズ36の媒体表面までの距離が制御される。
RFアンプ17、サーボ信号処理部18、記録信号処理部19、及び制御部20は、例えば、光学ピックアップ13からの出力信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、及び当該変換により得られたディジタル信号を処理するDSP(Digital Signal Processer)やマイクロコンピュータなどによって実現される。
RFアンプ17は、光学ピックアップ13が出力する、複数の受光素子それぞれの出力信号に基づいて、各種の信号を出力する。具体的に、RFアンプ17は、各受光素子からの出力信号を所与のゲインで増幅してデータ再生用のRF信号として出力するとともに、この増幅された全ての受光素子の出力信号を全加算したプルイン信号(PI信号)を出力する。このPI信号のレベルが、光学ピックアップ13が出力する出力信号全体のレベルを表している。
また、RFアンプ17は、光ディスク媒体Mの信号面に対する、対物レンズ36のフォーカス位置のずれを示すフォーカスエラー信号(FE信号)を算出し、出力する。一例として、FE信号は、複数の受光素子のうち、所定の対角線方向に沿って配列している受光素子の出力信号の和から、当該対角線と交差する対角線方向に沿って配列している受光素子の出力信号の和を減じることによって算出される。さらに、RFアンプ17は、データ記録層内において情報が記録されるトラックの位置と、対物レンズ36のフォーカス位置と、の間の光ディスク媒体Mの径方向のずれを示すトラッキングエラー信号(TE信号)を算出して、出力する。
サーボ信号処理部18は、RFアンプ17が出力するPI信号、FE信号、TE信号などに基づいて、サーボ制御用の各種の信号を生成し、制御部20に出力する。また、サーボ信号処理部18は、制御部20から入力される指示に従って、駆動回路16に対して三軸アクチュエータ14やコリメータレンズ駆動部34、送りモータ15、スピンドルモータ12を駆動させるための制御信号を出力する。
また、サーボ信号処理部18は、制御部20からの指示に応じてサーボ制御を実行する。具体的に、サーボ信号処理部18は、制御部20からサーボ制御開始の指示が入力されると、RFアンプ17から入力されるFE信号に応じて三軸アクチュエータ14を制御する制御信号を出力することにより、光学ピックアップ13の媒体表面に垂直な方向の位置調整を行うフォーカスサーボ制御を行う。これにより、対物レンズ36のフォーカスが光ディスク媒体Mの信号面に一致する状態が維持される。また、RFアンプ17から入力されるTE信号に応じて三軸アクチュエータ14を制御する制御信号を出力することにより、光学ピックアップ13の径方向の位置を変化させるトラッキングサーボ制御を行う。これにより、対物レンズ36のフォーカスがデータ記録層内のトラックに追従するように、光学ピックアップ13が媒体表面に対して相対移動する。このように、サーボ信号処理部18が実行するサーボ制御によって、光ディスク媒体Mの表面に対する光学ピックアップ13の相対位置が制御されることにより、光学ピックアップ13が光ディスク媒体Mから情報を読み取り可能な状態が維持され、その間に情報の読み出しが行われる。なお、サーボ信号処理部18は、外乱の影響などによってサーボエラーが生じる(すなわち、サーボ制御が続行できない状態になる)と、サーボエラー発生を通知する信号を制御部20に対して出力する。
記録信号処理部19は、RFアンプ17が出力するRF信号に基づいて、光ディスク媒体Mに記録された情報を示すディジタル信号を復調して、制御部20に出力する。また、記録信号処理部19は、光学ピックアップ13による光ディスク媒体Mに記録された情報の読み取り精度に関する評価値(RF振幅やジッター値など)を算出し、制御部20に対して出力する。以下では具体例として、記録信号処理部19は、基準クロックに対するRF信号波形の立ち上がりタイミングの時間的なずれを示すジッター値を測定し、制御部20に対して出力することとする。
制御部20は、例えばマイクロコンピュータによって構成され、実行モジュールと記憶素子とを含む。この制御部20の記憶素子には、実行するべきプログラムや各種パラメタが格納され、実行モジュールは、当該記憶素子に格納されたプログラムに従って処理を行う。具体的に、制御部20は、サーボ信号処理部18から入力される信号(PI信号のピーク検出の結果に関する信号や、FE信号に対して所定の判定を行った結果を示す信号)等の入力を受けて、これらの信号に基づき、対物レンズ36のフォーカスが信号面に合う位置を検出し、当該位置に光学ピックアップ13と光ディスク媒体Mとの距離を設定する処理(フォーカス検出処理)を実行する。この処理によってフォーカス検出がなされると、その状態を維持するため、制御部20は、サーボ信号処理部18に対してフォーカスサーボ制御開始を指示する命令を出力する。
また、制御部20は、パーソナルコンピュータや、家庭用ゲーム機本体、ビデオデコーダなどのホストに接続され、ホストからの要求に応じて、送りモータ15や三軸アクチュエータ14を駆動させる命令をサーボ信号処理部18に出力し、対物レンズ36のフォーカス位置(すなわち、光ディスク媒体M上における情報の読み取り位置)を光ディスク媒体M上の所望の位置へ移動させる。また、併せてスピンドルモータ12の回転速度を変更する命令をサーボ信号処理部18に出力し、光ディスク媒体Mの回転速度を調整する。そして、その状態において記録信号処理部19が出力する、光ディスク媒体Mから読み取られた信号から復調された信号を、ホスト側へ出力する。
サーミスタ21は、光学ピックアップ13の近傍に配置されており、光ディスク装置1内部の温度を測定する測定部として機能する。本実施形態では、光学ピックアップ13内の対物レンズ36はプラスチックレンズであって、そのレンズ特性が温度によって変化する。そこで、サーミスタ21は、対物レンズ36の温度特性に応じた補正を行うために、光学ピックアップ13周辺の温度を測定し、その測定結果を制御部20に対して出力する。
本実施形態において、光ディスク装置1は、光ディスク媒体Mから情報を読み取る読み取り動作の際の動作条件を規定する所定の制御パラメタについて、その望ましい設定値(調整値)を算出する初期調整処理を行う。具体的に、この初期調整処理において、光ディスク装置1は、精度よく光ディスク媒体Mに記録された情報を読み出すことができると想定される制御パラメタの調整値を算出する。そして、この初期調整処理によって算出された調整値を制御パラメタに対して設定し、設定された値に応じた動作条件で読み取り動作を実行する。これにより、光ディスク装置1は、読み取りエラーを生じさせずに、精度よく光ディスク媒体Mからの情報の読み出しを行うことができる。
この制御パラメタの初期調整処理は、例えば光ディスク装置1に新たに光ディスク媒体Mがセットされた場合や、光ディスク装置1の電源が投入された場合などに実行される。光ディスク媒体Mの種別や個体差などによって、制御パラメタの最適な設定値が異なるからである。
以下では、このような制御パラメタの一例として、対物レンズ36の球面収差補正に用いられるコリメータレンズ33の位置に関するパラメタ(以下、SAパラメタという)を調整する場合について、説明する。SAパラメタの設定値が変更されると、光ディスク装置1は、コリメータレンズ駆動部34を制御して、当該設定値に応じた位置にコリメータレンズ33を移動させる。このコリメータレンズ33の位置を適切に調整することによって、光学ピックアップ13は、対物レンズ36の球面収差を補正して、精度よく情報の読み出しを行うことができる。
ここで、初期調整処理の具体例について説明する。制御パラメタの設定値と、読み取り精度の評価値(ここではジッター値)との間には、二次曲線で近似可能な関係が成立する。図3は、このような制御パラメタの設定値とジッター値との間の関係の一例を示すグラフである。この図においては、横軸(X軸)が制御パラメタの設定値を、縦軸(Y軸)がジッター値を、それぞれ示している。ここでは評価値としてジッター値を用いているので、その値が小さいほど読み取り精度が高いことを示している。この図3においては、制御パラメタの設定値とジッター値との関係が下に凸の放物線によって表されており、最も読み取り精度を向上できる制御パラメタの設定値(以下、最適値Soという)は、放物線の頂点に対応するX軸の値になる。そのため、放物線の頂点近傍の位置に対応するX軸の値を制御パラメタの設定値として設定することによって、評価値を小さくする(すなわち、情報の読み取り精度を向上させる)ことができる。
そこで、光ディスク装置1は、サンプルデータとして、制御パラメタを少なくとも互いに異なる3個以上の設定値のそれぞれに設定した状態で、ジッター値を測定する。ここで、3個以上のサンプルデータが必要となるのは、放物線上において、図3で例示されるような、接線の傾きが負になる点Pa、接線の傾きが0に近くなる点Pb、及び接線の傾きが正になる点Pcの少なくとも3点が特定されないと、精度よく二次曲線の近似を行うことができないからである。3個以上のサンプルデータが測定されると、光ディスク装置1は、最小二乗法などの手法でこれらのサンプルデータを近似する二次曲線を算出し、その頂点位置に対応する制御パラメタの値を、調整値として算出する。このようにして初期調整処理が実行されると、光ディスク装置1は、当該算出された調整値に基づいてコリメータレンズ駆動部34を駆動し、コリメータレンズ33の位置を調整する。
さらに、本実施形態に係る光ディスク装置1は、以上説明したような初期調整処理によってSAパラメタの調整値を算出し、光ディスク媒体Mに対する読み取り動作を開始した後も、所定のタイミングでSAパラメタの設定値を補正することとする。このようなSAパラメタの補正を行わない場合、前述したように、時間とともに装置内の温度が上昇して対物レンズ36のレンズ特性が変化し、SAパラメタの最適値Soと初期調整処理により設定された調整値との間にずれが生じる結果、読み取りエラーが発生するおそれがあるからである。
以下、このSAパラメタの補正処理を実行するために本実施形態に係る光ディスク装置1が実現する機能について説明する。光ディスク装置1は、機能的に、図4に示すように、第1補正処理部41と、第2補正処理部42と、補正制御部43と、を含んで構成される。これらの機能は、制御部20が内蔵された記憶素子に格納しているプログラムを実行することによって実現される。このプログラムは、各種のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてよい。以下に詳しく説明するように、第1補正処理部41及び第2補正処理部42は、互いに異なる方法によりSAパラメタの補正処理を行う。どのようなタイミングでどちらの補正処理部による補正処理を実行するかは、補正制御部43によって決定される。
第1補正処理部41は、互いに異なる複数個のSAパラメタの設定値のそれぞれについて、当該設定値が設定された状態で光ディスク媒体Mからの情報の読み取り精度を評価することにより、SAパラメタの値を補正する。以下、第1補正処理部41が実行する補正処理を第1補正処理という。具体的に、第1補正処理部41は、前述した初期調整処理と同様の処理を第1補正処理として実行することによって、SAパラメタの最適値Soを再度算出し、当該算出した最適値Soに応じてSAパラメタの設定値を補正する。この第1補正処理によって、光ディスク媒体Mの個体差などに関わりなく、補正処理を実行した時点の装置環境における最適値Soにほぼ一致する値を、補正値として設定することができる。
第2補正処理部42は、サーミスタ21により測定された温度と、予め定められた定数値と、に応じて、SAパラメタの値を補正する。以下、第2補正処理部42が実行する補正処理を第2補正処理という。対物レンズ36周囲の温度と、SAパラメタの最適値Soと、の間には、略線形な関係が成立する。そこで、第2補正処理部42は、最初の初期調整処理、又は直近の過去に第1補正処理部41が実行した補正処理によって設定されたSAパラメタの値(以下、基準設定値Srという)と、当該基準設定値Srが設定された時点においてサーミスタ21により測定された温度(以下、基準温度Trという)を基準として、新たに設定すべきSAパラメタの値(以下、補正値Sという)を算出する。具体的に、第2補正処理部42は、基準設定値Sr、基準温度Tr、定数値A、及び当該補正処理の実行時における現在温度Tに基づいて、補正値Sを以下の計算式により算出する。
S=A・(T−Tr)+Sr
ここで、第2補正処理部42は、定数値Aとして、予め装置内に記憶された値を読み出して用いることとする。
上記計算式から明らかなように、定数値Aは、温度Tと補正値Sとの間の線形関係における傾きに相当する。この定数値Aは、例えば以下のような方法により決定される。すなわち、様々な光ディスク媒体M及び光ディスク装置1の組み合わせにおいて、SAパラメタの最適値Soの温度依存特性を測定し、温度変化に対する最適値Soの変化の比(傾き)を算出する。そして、算出された複数の傾きの平均値を、第2補正処理に用いる定数値Aとして決定し、光ディスク装置1内の記憶素子に格納しておく。この場合の定数値Aは、平均的な光ディスク媒体M及び光ディスク装置1の組み合わせにおける、温度変化に対する最適値Soの変化の比を示すことになる。
なお、定数値Aは、光ディスク媒体Mの種類ごとに異なる値であってもよい。この場合、光ディスク装置1はまず装置にセットされた光ディスク媒体Mの種別を判定する処理を実行し、その判定結果に応じて、第2補正処理に用いる定数値Aを予め記憶された複数の候補値の中から選択する。また、複数のデータ記録層を備える光ディスク媒体Mにおいては、当該複数のデータ記録層のそれぞれについて、互いに異なる定数値Aが用意されることとしてもよい。
補正制御部43は、光ディスク媒体Mからの情報の読み取りを開始した後、所定のタイミングごとに、第1補正処理部41及び第2補正処理部42のいずれかによる制御パラメタの値の補正処理を選択的に実行させる制御を行う。ここでは具体的に、補正制御部43は、サーミスタ21により測定された温度の変化に応じて、補正処理を実行するタイミング、及び当該タイミングにおいて第1補正処理と第2補正処理のどちらを実行するかを決定する。
初期調整処理と同様の処理によってSAパラメタの調整値を算出するためには、前述したように、SAパラメタの設定値を変化させて、3個以上の設定値のそれぞれに対応したジッター値を測定する必要がある。このとき、SAパラメタの設定値変更に応じて、複数回コリメータレンズ33の位置を変更する機械的な制御が行われる。そのため、第1補正処理は、第2補正処理と比較して時間がかかってしまう。その代わり、第1補正処理によれば、光ディスク媒体Mや光ディスク装置1の個体差などに関わりなく、補正処理を実行した時点の装置環境における最適な調整値を算出することができる。一方、第2補正処理は、コリメータレンズ33の位置を何度も変化させることなく、演算処理によって補正値Sを決定することができるため、第1補正処理より短時間で完了する。しかしながら、第2補正処理に用いられる定数値Aは、平均的な光ディスク媒体M及び光ディスク装置1の組み合わせを想定して決定された値なので、必ずしも個々の光ディスク媒体M及び光ディスク装置1に対して、第2補正処理によって最適な補正値Sが得られるとは限らない。
そこで、補正制御部43は、初期調整処理が実行された時点からの温度変化が小さい間は第2補正処理部42に補正処理を実行させ、温度変化がある程度大きくなった段階で、第1補正処理部41に補正処理を実行させることとする。すなわち、光ディスク装置1は、温度変化が小さい間は簡易な第2補正処理によってSAパラメタの補正を行い、このような簡易な補正処理では補正値Sと最適値Soとの間のずれを吸収しきれなくなる前に、より高精度な第1補正処理を実行する。これにより、光ディスク装置1は、頻繁に第1補正処理を実行する場合と比較して補正処理に要する時間を抑えつつ、装置の使用を継続している間、読み取りエラーが生じないようにSAパラメタを補正し続けることができる。
具体例として、補正制御部43は、サーミスタ21によって測定される温度Tの情報を定期的に取得し、当該温度Tが初期調整処理又は前回の補正処理の実行時より所定量(ここでは5℃)だけ変化するごとに、第1補正処理又は第2補正処理のいずれか一方を実行させる制御を行う。このとき、初期調整処理又は第1補正処理が実行された後、3回は第2補正処理を実行させることとし、4回目には第1補正処理を実行させることとする。すなわち、初期調整処理の実行後、温度が5℃上昇するごとに補正処理が実行され、そのうち4回に1回(温度が20℃上昇したとき)は第1補正処理が実行される。
図5は、補正制御部43がこのような制御を実行した場合の、温度変化とSAパラメタの設定値との間の関係を示すグラフである。グラフの横軸は初期調整処理実行時の温度に対する温度変化を示しており、「0」が初期調整処理の実行タイミングに対応している。また、グラフの縦軸はSAパラメタの設定値を示しており、グラフ中の実線は、これまで説明した制御によるSAパラメタの設定値の変化の一例を示している。さらに、図中における破線の直線L1及びL2は、いずれも光ディスク装置1に予め記憶された定数値Aを傾きとした温度変化とSAパラメタの最適値Soとの間の線形関係を示しており、直線L1は初期調整処理実行後の設定値を、直線L2は1回目の第1補正処理実行後の設定値を、それぞれ基準としている。一方、直線L3は、この図5で示した装置と媒体との組み合わせにおける、実際の温度変化とSAパラメタの最適値Soとの間の関係を示している。
同図に示されるように、光ディスク装置1は、装置内の温度が5℃上昇するごとに、第1補正処理又は第2補正処理によってSAパラメタの設定値を補正している。このとき、最初の3回の補正処理は第2補正処理部42によって実行され、その結果、補正後の設定値は直線L1上の点に一致している。グラフから分かるように、第2補正処理が実行されるごとに、設定値は直線L3によって示されるSAパラメタの実際の最適値Soに近づいているものの、温度が上昇するにつれて、設定値と最適値Soとの間のずれは大きくなっている。その後、温度が20℃上昇した時点で、第1補正処理が実行される。この第1補正処理によって、設定値は直線L3上の最適値Soに一致するよう補正される。その後は、再び温度が5℃上昇するごとに第2補正処理が実行され、直線L2に沿って設定値が補正されている。
なお、図5においては、第1補正処理が実行された後も、第2補正処理は予め装置内に記憶された定数値Aを用いて実行されることとしている。しかしながら、光ディスク装置1は、初期調整処理及び第1補正処理の結果得られるSAパラメタの調整値を用いて、実際の温度変化とSAパラメタの最適値Soとの間の線形関係の傾き(図5における直線L3の傾き)を算出し、算出した値を新たな定数値Aとして用いて、それ以降の第2補正処理を実行することとしてもよい。また、このような新たな定数値Aが精度よく求められれば、それ以降の第2補正処理によって精度よくSAパラメタを最適値Soに近い値に補正できると考えられるので、それ以降は第1補正処理の実行を制限して、第2補正処理によってSAパラメタの補正を行うこととしてもよい。あるいは、第1補正処理の実行頻度を減らして、第2補正処理の実行頻度を増やすこととしてもよい。
また、第1補正処理及び第2補正処理それぞれの実行頻度は、光ディスク媒体Mの種別に応じて変更することとしてもよい。例えばLTH(Low to High)タイプのBD−Rなど、特定の種類の光ディスク媒体Mは、その個体差による定数値Aのばらつきが大きくなる。そこで、このような種類の光ディスク媒体Mがセットされた場合、その他の種類の光ディスク媒体Mと比較して、第1補正処理を実行する頻度を増やす(例えば温度が15℃上昇するごとに第1補正処理を実行する)こととしてもよい。
さらに、補正制御部43は、第1補正処理部41や第2補正処理部42に補正処理を実行させるタイミングを、サーミスタ21によって測定される温度の変化だけではなく、装置の読み取り動作の制御タイミングに応じて決定することとしてもよい。具体的に、例えばホストからの命令によって光ディスク媒体Mからの情報の読み取りを行っている最中に補正処理が実行されてしまうと、読み取り動作が中断され、ホストから見て、通常時よりも読み取りの待ち時間が長くなってしまう。そこで、補正制御部43は、所定の温度変化(前述の例では前回補正時から5℃の温度上昇)があった後、読み取り動作に関する所定の条件が最初に満たされたタイミングで、第1補正処理又は第2補正処理を実行させることとしてもよい。
具体的に、補正制御部43は、所定の温度変化があった後、最初に所定の制御動作を実行するタイミングで、補正処理を実行させることとしてもよい。一例として、光ディスク装置1は、ホストからの情報読み取り命令に応じて、指定された位置から情報の読み取りを行うために、三軸アクチュエータ14を駆動して、光ディスク媒体Mの径方向に沿って光学ピックアップ13を移動させるシーク制御を行う。そこで、補正制御部43は、このシーク制御を開始するタイミング又は終了するタイミングで、第1補正処理又は第2補正処理を実行させることとしてもよい。
また、光ディスク装置1は、ホストから情報読み取り命令があった場合、次の情報読み取り命令に備えて、当該命令によって指定された範囲に続く範囲に記録された情報も先読みし、キャッシュメモリに格納する場合がある。このような場合、補正制御部43は、キャッシュメモリに所定量以上のデータがキャッシュされている状態において、第1補正処理又は第2補正処理の実行を開始することとしてもよい。こうすれば、ホストから新たな情報読み取り命令があった場合に、改めて情報の読み取り動作を行わずに、キャッシュメモリに格納した情報を提供できる可能性が高くなるので、補正処理によって読み取り動作の待ち時間が増大するのを避けることができる。
ただし、ホストからの命令内容などによっては、以上例示したような読み取り動作に関する所定の条件がなかなか満たされない場合もあり得る。例えば光ディスク媒体M内に連続して格納されている大量のデータの読み取り動作が実行される場合、当該読み取り動作の実行中は、上述したような条件は満たされないこととなる。しかしながら、このような場合にも温度が上昇して、制御パラメタの設定値が最適値Soからずれてしまうおそれが生じる。そこで、補正制御部43は、所定の温度変化の後、読み取り動作に関する所定の条件が一定期間にわたって満たされない場合には、強制的に第1補正処理又は第2補正処理を実行させることとしてもよい。また、補正制御部43は、次に実行すべき補正処理が第1補正処理か第2補正処理かに応じて、その実行タイミングを決定するための所定の条件を変えることとしてもよい。
以上説明した第1実施形態に係る光ディスク装置1によれば、第1補正処理だけを繰り返し実行する場合と比較して、短時間で装置の使用中に制御パラメタの補正を行うことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光ディスク装置について、説明する。なお、この第2実施形態に係る光ディスク装置のハードウェア構成は、図1及び図2に示される第1実施形態に係る光ディスク装置のハードウェア構成と同様である。したがって、その詳細な説明は省略し、第1実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を用いて参照する。
本実施形態に係る光ディスク装置も、第1実施形態に係る光ディスク装置と同様に、光ディスク媒体Mに対する情報の読み取りを開始した後、装置の環境変化に伴って変動する制御パラメタ(ここではSAパラメタ)の最適値Soに追従するように、その設定値を補正する。ただし、本実施形態においては、第1実施形態とは異なる方法で制御パラメタの補正処理を実行する。なお、以下では便宜上、第1実施形態における第1補正処理及び第2補正処理と区別するために、この第2実施形態における補正処理を第3補正処理という。
具体的に、光ディスク装置1は、制御パラメタの2つの値のそれぞれについて、光ディスク媒体Mからの情報の読み取り精度を示す評価値(ここではジッター値)を取得し、当該取得した2つの評価値に応じて制御パラメタの設定値を更新する処理を実行する。この更新処理によって、制御パラメタの設定値は、最適値Soに近づくように変更される。このような処理を繰り返し実行することによって、光ディスク装置1は、制御パラメタの設定値を最適値Soに近い値に補正する。この補正処理は、光ディスク媒体Mからの情報の読み取り動作中にも実行されてよい。なお、この補正処理は、制御部20が内蔵された記憶素子に格納しているプログラムを実行することによって実現される。このプログラムは、各種のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてよい。
ここで、第3補正処理の基本的な考え方について、説明する。光ディスク装置1は、設定値の更新処理を実行しようとする時点における、基準となるSAパラメタの値(以下、中心値Scという)を中心として、当該中心値Scから大小それぞれ同じ量だけ異なる2つの設定値(以下、それぞれ加算値Sp及び減算値Smという)に対応するジッター値を測定する。ここで、所定の変化量αを用いて、加算値Sp及び減算値Smは、それぞれ
Sp=Sc+α
Sm=Sc−α
と表される。
設定値Sが設定されている場合のジッター値をJ(S)と表記することとすると、図3にも示したように、SAパラメタの設定値Sとジッター値J(S)との間には、下に凸の放物線によって近似可能な関係が成り立つ。そのため、加算値Sp及び減算値Smのそれぞれについて測定されたジッター値が理想的な放物線に従っていると仮定すると、ジッター値J(Sp)とJ(Sm)との間の大小を比較することによって、中心値Scが最適値Soより大きいか小さいかを判別できる。すなわち、J(Sm)<J(Sp)が成り立つ場合、Sc>Soと推定される。そこで、制御部20は、中心値Scをより小さな値に更新すべきと判定する。逆にJ(Sm)>J(Sp)が成り立てば、Sc<Soと推定され、中心値Scをより大きな値に更新すべきと判定される。このような中心値Scの更新処理を繰り返すことによって、中心値Scは最適値Soに近づいていくことになる。たとえ装置の使用中に温度上昇などに起因して最適値Soが変化したとしても、この更新処理をある程度の頻度で繰り返せば、中心値Scが最適値Soから大きくずれないようにすることができる。
なお、本実施形態に係る光ディスク装置1がこの第3補正処理を実行する場合、変化量αは、読み取り精度に与える影響が大きくなりすぎないよう、小さな値にする必要がある。前述した初期調整処理においては、精度よく放物線の近似を行うために、設定値をある程度大きな範囲で変化させる必要がある。しかしながら、第3補正処理は、光ディスク媒体Mからの情報の読み取り動作中に実行されるので、初期調整処理の場合と同じように設定値を大きく変化させてしまうと、読み取りエラーやサーボ制御エラーが発生するおそれが高くなってしまう。そこで、変化量αを初期調整処理における設定値の変化量より小さくすることで、このような問題を回避することができる。
具体的に、変化量αは、予め定められた量であってもよいが、SAパラメタの初期調整処理における近似計算によって求められた、設定値と評価値との間の関係を表す係数に基づいて決定されることとしてもよい。これにより、例えばSAパラメタの設定値を変更可能な範囲が狭い場合には変化量αを小さくすることで、補正処理中に読み取りエラーが発生する確率を減らすことができる。
以下、制御部20が実行する第3補正処理の具体例について、図6から図10のフロー図に基づいて説明する。なお、例えば光ディスク装置1は、ホストからの情報読み取り命令に応じてシーク制御が実行された後、情報の読み取りを開始するタイミングで第3補正処理を開始する。これにより、光ディスク装置1は、光ディスク媒体Mからの情報の読み取りと並行して第3補正処理を実行することになる。また、このような情報読み取り命令が一定時間以上にわたって受け付けられず、現在の光学ピックアップの位置を維持する制御(ポーズ制御)を実行している間も、第3補正処理を実行することとしてもよい。この第3補正処理は、読み取り動作が終了するなどして、ホストからの新たな命令を受け付けるまで、繰り返し実行される。
図6に示されるように、まず制御部20は、基準温度Tr1と現在温度Tとの差ΔT1が所定値(ここでは1℃)以上か否か判定する(S1)。ここで基準温度Tr1は、第3補正処理の開始時には、第1実施形態の場合と同様に、最初の初期調整処理が実行された時点においてサーミスタ21により測定された温度である。また、現在温度Tは当該判定を行う時点においてサーミスタ21により測定された温度である。ΔT1が所定値に満たない間は、後続する処理は実行されない。所定値以上の温度差が生じた段階で、後続する処理が開始される。
次に制御部20は、変数の初期化を行う(S2)。具体的に、制御部20は、タイマの開始時刻を示す変数t1及びt2のそれぞれに、現在時刻tの情報を設定する。また、ジッター値の測定結果を格納するための配列変数Jp[y]及びJm[y]について、その全ての値を0にリセットする。ここで、yは0からNまでの整数値をとるカウンタ変数であって、配列変数Jp及びJmのそれぞれには最大(N+1)個の値が格納される。さらに制御部20は、SAパラメタの更新方向(中心値Scを増加させるか、又は減少させるか)を決定するための積算値を格納する変数Serに0を、コリメータレンズ33の駆動間隔を規定する時間変数taに所定の初期値(ここでは7秒とする)を、前回のSAパラメタの更新方向を示す変数Dircに0を、それぞれ代入する。
次に制御部20は、SAパラメタの設定値を減算値Sm(=Sc−α)に変更して、当該減算値Smに応じた位置までコリメータレンズ33を移動させるコリメータレンズ移動処理を行う(S3)。この処理は、具体的に、図7で示されるような処理である。
すなわち、まず制御部20は、コリメータレンズ33が他の制御処理によって移動中か否かを確認する(S21)。この処理は、本実施形態における第3補正処理が他の処理と並行して実行される場合に、コリメータレンズ33が想定外の駆動を行っていないことを保証するために実行される。コリメータレンズ33が移動中の場合には、移動が終了するのを待つことになる。
次いで制御部20は、現在時刻tが、t−t1≧taを満たすか否かを判定する(S22)。この判定は、コリメータレンズ33の位置を時間変数taにより示される時間以上の時間間隔で駆動するために行われる。これにより、短い時間間隔でのコリメータレンズ33の移動に起因する発熱や機械的負荷が抑えることができる。この判定条件を満たさない場合、S21に戻ってta以上の時間が経過するのを待つことになる。
S22の判定条件を満たす場合、制御部20は、変数t1を現在時刻tでリセットして(S23)、SAパラメタの設定値を現在時点における中心値Scより変化量αだけ小さな減算値Smに変更する(S24)。この変更に応じて、コリメータレンズ駆動部34がコリメータレンズ33を駆動する。
その後、制御部20は、コリメータレンズ33の移動が完了するのを待つ(S25)。コリメータレンズ33の移動が完了した場合、後続するジッター値測定・比較処理のために2つのカウンタ変数x及びyを0でリセットし(S26)、コリメータレンズ移動処理を終了する。
図6に戻って、次に制御部20は、コリメータレンズ33が減算値Smに対応する位置に移動した状態でのジッター値を複数回測定し、加算値Spに対応する位置におけるジッター値と比較するジッター値測定・比較処理を行う(S4)。なお、情報の読み取りと並行して第3補正処理が実行されている場合、このジッター値測定・比較処理においてジッター値を測定する際には、改めてジッター値測定のためだけに情報の読み取りを行う必要はなく、並行して実施される情報の読み取り動作において得られる再生信号(RF信号)に基づいて、ジッター値を算出することができる。
ここで、このジッター値測定・比較処理の具体例について、図8及び図9のフロー図を用いて説明する。まず制御部20は、他の制御処理によってジッター値の測定が行われていないか確認する(S31)。測定中であれば、その終了を待って後続する処理が実行される。
次に制御部20は、ジッター値の測定開始を記録信号処理部19に指示し(S32)、当該指示に応じたジッター値の測定が完了するのを待つ(S33)。ジッター値の測定が完了すると、測定に成功したか否かが判定される(S34)。測定失敗の場合、S31に戻って再度測定が試みられる。一方、測定に成功した場合、測定されたジッター値JcがJm[y]に既に格納されたジッター値より小さいか否かが判定される(S35)。新たに測定されたジッター値Jcが格納済みのジッター値より小さければ、Jm[y]の値は新たに測定されたジッター値Jcで上書きされる(S36)。なお、S35においてJm[y]=0だった場合(すなわち、Jm[y]にまだ実際に測定されたジッター値が代入されていない場合)には、制御部20は今回測定されたジッター値JcをJm[y]に代入する。
さらに制御部20は、カウンタ変数xに1を加算し(S37)、xが所定値(ここでは12)以上であるとの条件を満たすか否か判定する(S38)。この判定条件を満たさない場合には、S31に戻って新たなジッター値の測定が繰り返される。一方、判定条件を満たす場合には、xを0にリセットする(S39)。
ここまでの処理によって、減算値Smが設定された状態で複数回(ここでは12回)のジッター値測定が行われ、その結果得られる複数の測定値のうちの最小値が、変数Jm[y]に格納されることになる。ここで、複数回の測定を行ってその最小値を取得しているのは、例えば光ディスク媒体Mの傷などによって異常に悪いジッター値が測定された場合などに、そのような異常値に基づいて後続する処理が実行されることを防ぐためである。
その後、制御部20は、Jp[0]が0か否か判定する(S40)。Jp[0]が0の場合、まだ加算値Sp(=Sc+α)に対応したジッター値の測定が行われておらず、これまで説明した処理によって得られるJm[y]と比較するデータが存在しないことになる。この場合、Jp[y]とJm[y]との比較は行わずに、S45の処理に進む。なお、第3補正処理の開始後、最初に当該判定が行われる際には、常にJp[0]=0になっているはずである。
一方、Jp[0]が0でない場合、加算値Spが設定された状態におけるジッター値測定・比較処理(後述するS7の処理)が既に行われ、その測定結果として25個のジッター値が配列変数Jpに格納されていることになる。この場合、制御部20は、これまでの処理によってJm[y]に格納されたジッター値と、Jp[y]に格納されたジッター値と、の大小を比較し、Jm[y]<Jp[y]が成り立つか否か判定する(S41)。この不等式が成り立つ場合には、変数Serに格納された値から1を減算する(S42)。一方、成り立たない場合には、逆にJm[y]>Jp[y]が成り立つか否か判定する(S43)。この不等式が成り立つ場合には、変数Serに格納された値に1を加算し(S44)、成り立たない場合にはJm[y]とJp[y]は等しいことになるので、変数Serの値は更新せずに次のS45の処理に進むこととする。
続いて制御部20は、変数Serに格納された値の絶対値|Ser|が所定の閾値th(ここでは15とする)未満か否かを判定する(S45)。|Ser|<thの場合には、yに1を加算して(S46)、yが所定値(ここでは25とする)以上になったか否かを判定する(S47)。yが25以上になった場合には、yを0にリセットして(S48)、ジッター値測定処理を終了する。一方、yが25未満の場合には、S31に戻って、新たなyの値について、これまで説明した処理が繰り返される。
以上説明したように、複数回ジッター値を測定してその最小値をJm[y]に格納する処理(S31〜S39)を、yをインクリメントしながら25回繰り返すことによって、配列変数Jm[y]にはy=0〜24のそれぞれについて順にジッター値が格納されていく。そして、既にJp[y]にジッター値が格納されていれば、新たなyの値についてジッター値がJm[y]に格納されるごとに、S41及びS43でJm[y]とJp[y]との大小関係が比較され、その比較結果に応じてS42及びS44で変数Serに比較結果が累積されていくことになる。ここで、減算値Smに対するジッター値J(Sm)と加算値Spに対するジッター値J(Sp)との間にJ(Sm)<J(Sp)の関係が成り立つ場合、変数Serの値を1減算する処理(S42)が繰り返される結果、yについての繰り返し処理が25回に到達するより前に、|Ser|=thが成立し、S45の判定条件を満たさなくなると考えられる。同様に、J(Sm)>J(Sp)の関係が成り立つ場合も、変数Serの値を1加算する処理(S44)が繰り返されて、やはり|Ser|=thが成立し、S45の判定条件を満たさなくなると考えられる。一方、まだJp[y]にジッター値が格納されておらず、S41〜S44の処理がスキップされる場合や、J(Sm)とJ(Sp)との差がほとんどない場合(すなわち、中心値Scがほぼ最適値Soに一致している場合)などにおいては、S45の判定条件を満たしたままyが25までインクリメントされることになる。
ここで、Jm[y]及びJp[y]としてそれぞれ複数個のジッター値を測定し、その大小を比較した結果を変数Serの値として累積しているのは、異常なジッター値によって、J(Sm)とJ(Sp)との間の大小関係を誤判定してしまうことを避けるためである。前述したように、この第3補正処理は、光ディスク媒体Mからの情報の読み取り中にも行われる。そのため、補正処理の途中であっても、シーク制御によって補正処理が中断され、比較対象となる2つのジッター値が光ディスク媒体Mの互いに異なる箇所で測定される場合もあり得る。ところが、測定箇所が異なると、媒体表面の傷などの影響によって、正しくJ(Sm)とJ(Sc)の大小関係を評価することができなくなるおそれが生じる。そこで、本実施形態においては、J(Sm)に相当するジッター値、及びJ(Sc)に相当するジッター値のそれぞれを、最大25個取得し、その全体的な傾向を統計的に評価することによって、J(Sm)とJ(Sc)の大小関係を評価することとしている。
以上説明したように、S45の判定条件を満たさなくなるのは、J(Sm)とJ(Sc)との間の大小関係を統計的に評価し、その評価結果が得られたときである。この場合、制御部20は、以下に説明する中心値更新処理を実行して(S49)、中心値Scを最適値Soに近い値に更新することとする。
図10は、中心値更新処理の流れを示すフロー図である。同図に示されるように、まず制御部20は、Serが15以上か否かを判定する(S51)。Serが15以上であれば、J(Sm)>J(Sp)の関係が成り立つと評価できるので、制御部20は、中心値Scを所定の単位量u(例えばコリメータレンズ33移動の最小単位分)だけ増加させる(S52)。
続いて制御部20は、変数Dircが−1か否かを判定する(S53)。Dircの現在値が−1の場合、前回の中心値更新処理では中心値Scを減少させる更新を行ったことになるので、今回の中心値更新処理では前回と逆方向に中心値Scを変化させたこととなる。この場合、中心値Scが放物線の頂点に対応する最適値Soにほぼ近づいていると想定されるので、これ以降のSAパラメタの更新頻度を下げることとする。具体的に、制御部20は、時間変数taの値を、初期値より大きな値(ここでは14秒とする)に変更する(S54)。これによって、前述したコリメータレンズ移動処理におけるS22で発生する待ち時間が初期値より長くなり、コリメータレンズ33の移動が行われる頻度が低くなる。すなわち、SAパラメタの更新サイクルが長くなることになる。さらに制御部20は、基準温度Tr1をサーミスタ21によって測定される現在時点の温度Tにリセットする(S55)。これは、中心値Scが更新された時点を基準として、後述する処理終了条件を満たすか否かの判定を行うためである。
一方、S53でDircが−1でないと判定された場合、中心値Scを更新する方向は変化していないので、SAパラメタの更新頻度を初期設定状態に戻すこととする。具体的に、制御部20は、時間変数taの値を初期値(7秒)に変更する(S56)。さらにこの場合には、中心値Scが最適値Soに近づく途中であると考えられるので、基準温度Tr1をリセットすることはまだできないが、S52で中心値Scを単位量uだけ最適値Soに近づけたことに対応して、基準温度Tr1をこの単位量uに応じた量だけ変化させることとする。具体的に、この単位量uに相当する温度変化は、第1実施形態の例で説明した定数値Aを用いて、u/Aで表される。制御部20は、この値を基準温度Tr1に加算することとする。S55及びS57のいずれかの処理が実行された後、さらに制御部20は、変数Dircの値を、今回中心値Scを補正した方向に応じて1に更新する。
また、前述したS51の判定条件を満たさなかった場合(すなわちSerが正の値でない場合)、Serは負の値(−15以下)ということになるので、逆にJ(Sm)<J(Sp)の関係が成り立っていると評価できる。この場合、制御部20は、中心値Scを所定の単位量uだけ減少させる(S59)。
続いて制御部20は、図10においてS60からS65までに示されるように、Ser≧15だった場合におけるS53からS58までと同様の処理を実行する。ただし、S59で中心値Scを変更する方向がS52と逆であることに対応して、S60でDircが1か否かを判定する点、S64でu/Aを基準温度Tr1に加算するのではなく基準温度Tr1から減算する点、及びS65でDircを−1に更新する点が、それぞれS53、S57及びS58の処理と異なっている。
最後に制御部20は、中心値Scを更新したことに対応して、ジッター値測定・比較処理においてジッター値の格納及び比較に用いた各変数をリセットする。具体的に、制御部20は、配列変数Jm[y]及びJp[y]の全ての値を0に初期化するとともに、変数y及びSerにそれぞれ0を代入して(S66)、中心値更新処理を終了する。これにより、ジッター値測定・比較処理も終了する。
図6に戻って、ジッター値測定・比較処理が終了すると、続いて制御部20は、処理終了条件を満たすか否かの判定を行う(S5)。ここで、前述したように中心値更新処理において同じ方向への中心値Scの更新が繰り返されるのではなく、異なる方向への中心値Scの更新が交互に実行される場合、中心値Scはほぼ最適値Soに一致していると想定される。このような状態がある程度の時間続いているときには、この第3補正処理を一旦終了しても構わないと考えられる。そこで、制御部20はこのような条件を満たすか否かの判定を行う。
具体的に、まず制御部20は、第1の終了判定条件として、変数taの値がS54又はS61の処理によって初期値より大きな値(14秒)に設定されており、かつΔT1(=現在温度T−基準温度Tr1)が所定値(ここでは1℃)未満であるか否かを判定する。ここで、ΔT1<1℃という条件が課されているのは、最後に中心値Scの更新が行われ、S55又はS62の処理で基準温度Tr1がリセットされた後、ある程度の温度変化が生じている場合には、やはり制御パラメタの補正処理が必要となるからである。この温度に関する条件が満たされなくなる場合としては、急激な温度変化があった場合のほか、他の制御処理などの割り込みによってこの第3補正処理が一旦中断され、処理の途中から再開された場合などが挙げられる。この第1の終了判定条件が満たされない場合には、基準時刻t2を現在時刻tでリセットしてから、後続するS6の処理に進む。
一方、第1の終了判定条件を満足する場合、さらに制御部20は、第2の終了判定条件として、現在時刻t−基準時刻t2が所定の時間(ここでは1分)以上であるか否かを判定する。t−t2>1分の条件を満足する場合、異なる方向への中心値Scの更新が交互に実行される状態が、温度変化のないまま1分以上継続していることになる。この場合、制御部20は、第3補正処理を一旦終了すると判定し、後述するS9の処理に進む。逆に第2の終了判定条件を満足しない場合、S6の処理に進む。
次に、制御部20は、SAパラメタの設定値を加算値Sp(=Sc+α)に変更して、当該加算値Spに応じた位置までコリメータレンズ33を移動させるコリメータレンズ移動処理を行う(S6)。この処理は、S24においてSAパラメタの設定値が減算値Smではなく加算値Spに変更される点を除いて、図7に示したS3のコリメータレンズ移動処理と同様の処理である。
コリメータレンズ33が加算値Spに対応する位置まで移動されると、続いて制御部20は、ジッター値測定・比較処理を行う(S7)。この処理は、S35及びS36においてジッター値の測定結果を格納する配列変数がJm[y]ではなくJp[y]になる点、及びS40において判定対象となるのがJp[0]ではなくJm[0]になる点を除いて、図8〜図10に示したS4におけるジッター値測定・比較処理と同様の処理である。これにより、加算値Spが設定された場合のジッター値測定が行われ、Jm[y]に既にジッター値が格納されていれば、さらに加算値Spに応じて測定されたジッター値Jp[y]と減算値Smに応じて測定されたジッター値Jm[y]との比較が行われる。
S7のジッター値測定・比較処理が終わると、続いて制御部20は、S5と同様に処理終了条件を満たすか否かの判定を行う(S8)。この判定処理も、S5と同じく第1の終了判定条件及び第2の終了判定条件を用いた判定である。この判定の結果、処理終了条件を満たさないと判定される場合、S3に戻って引き続き第3補正処理が繰り返される。一方、処理終了条件を満たすと判定される場合、第3補正処理を一旦終了すると判定し、S9の処理に進む。
S5又はS8で処理終了条件を満たすと判定された場合、中心値Scはほぼ最適値Soに一致すると推定されるが、その時点ではSAパラメタの設定値は減算値Sm又は加算値Spのどちらかに設定されているはずである。そこで制御部20は、コリメータレンズ移動処理を実行して、SAパラメタの設定値を中心値Scに戻す制御を行う(S9)。この処理は、S24でSAパラメタの設定値をその時点の中心値Scに変更する点を除き、S3やS6で実行されるコリメータレンズ移動処理と同様の処理であってよい。この制御の後、制御部20は、S1に戻って再び現在温度Tが基準温度Tr1から変化し、第3補正処理が必要となる状態を待つこととする。
なお、以上の説明においては、第3補正処理は連続的に実行される一連の処理であることとしたが、これまでにも説明したように、第3補正処理は装置の使用中に実行されるので、読み取り動作やポーズ制御以外の他の制御動作(例えばシーク制御)によって中断される場合がある。そこで、このような中断が発生しても、補正処理の途中から再開することができるように、処理の進行状態を示すカウンタ変数を用意し、処理ステップが進むごとにこのカウンタ変数を増加させることとしてもよい。こうすれば、処理が中断しても、その後再開するタイミングでこのカウンタ変数を参照して処理を再開させることができる。
また、光ディスク媒体Mが複数のデータ記録層を備える場合、これまで読み取りを行っていたデータ記録層とは異なるデータ記録層からの情報の読み取りがホストによって指示されることがある。このような場合、データ記録層ごとにSAパラメタの最適値Soが異なるため、第3補正処理は、複数のデータ記録層のそれぞれについて、互いに独立した変数を用いて、互いに独立に実行される必要がある。そこで、これまで情報の読み取りを行っていたデータ記録層(旧データ記録層)から、別の新たなデータ記録層(新データ記録層)への層間ジャンプが指示された場合には、旧データ記録層についての第3補正処理を中断し、新データ記録層についての第3補正処理を行う。この場合、前回中断した時点から再開するのではなく、図6におけるS1から補正処理を再実行することとしてもよい。
以上説明した第2実施形態に係る光ディスク装置1によれば、光ディスク媒体Mからの情報の読み取り中にも、制御パラメタの設定値が最適値Soに追従するように補正処理を行うことができる。
なお、以上の説明における処理フローや制御に用いられる各種の定数はいずれも例示である。また、以上の説明において所定の定数であることとした値は、光ディスク装置1の動作状態などに応じて変更されることとしてもよい。例えば単位時間あたりの装置内の温度変化量が大きい場合には、より早く設定値が最適値Soに収束するように補正を行う必要がある。逆に温度変化量が小さい場合には、頻繁にコリメータレンズ33を移動させないほうが好ましい場合もある。そこで、ジッター値の測定回数を比較対象とするジッター値の数を規定するカウンタ変数x及びyの上限値や、1回の更新処理における中心値Scの変化量である単位量u、更新処理を行うと判断するための閾値thなどを、温度の変化速度や装置使用開始時からの時間経過に応じて、変化させてもよい。また、単位時間あたりの読み取りエラーの発生頻度に応じて、ジッター値の測定回数や閾値thなどを変化させてもよい。
[組み合わせ例]
以上説明した第1実施形態に係る光ディスク装置の補正処理と、第2実施形態に係る光ディスク装置の補正処理と、は、組み合わせて実行されることとしてもよい。これまで説明した第3補正処理が他の制御処理などによって長時間中断されてしまうと、その後に第3補正処理を再開したとしても、効果的に制御パラメタの補正をできない場合がある。例えば一定時間ホストからの命令がなく、光ディスク装置1がスタンバイ状態(スピンドルモータ12や光学ピックアップ13の動作を停止した状態)に移行した場合、その後にスタンバイ状態から復帰した際には、スタンバイ状態移行時とは温度が大きく変化している可能性がある。このような場合、第3補正処理によって徐々に中心値Scを補正しようとしても、このような補正が行われる前に、中心値Scと最適値Soとの間のずれによって読み取りエラーなどが発生する可能性がある。そこで、光ディスク装置1は、読み取り動作を開始する前に、現在温度Tに応じて、第1実施形態において説明したような第1又は第2補正処理を実行することとしてもよい。
図11は、このように第1、第2及び第3補正処理を組み合わせる場合の制御の一例を示すフロー図である。この図の例では、ホストから情報読み取り命令を受け付けた場合、まず制御部20は、現在温度Tと第1基準温度Tr1との差ΔT1が所定値(ここでは10℃)以上か否かを判定する(S71)。そして、判定条件を満たす場合には、大きな温度変化が生じているので、高精度の補正が必要と判断し、第1補正処理を実行する(S72)。その後、第1基準温度Tr1及び第2基準温度Tr2を、現在温度Tでリセットする(S73)。なお、この例では、第1基準温度Tr1は初期調整処理又は前回の第1補正処理が実行された時点の温度に対応し、第2基準温度Tr2は、初期調整処理、第1補正処理、又は第2補正処理のいずれかが前回実行された時点の温度に対応している。
一方、S71の判定条件を満たさない場合、制御部20は、現在温度Tと第2基準温度Tr2との差ΔT2が所定値(ここでは5℃)以上か否かを判定する(S74)。そして、この判定条件を満たす場合には、第2補正処理を実行し(S75)、第2基準温度Tr2だけを現在温度Tでリセットする(S76)。逆に判定条件を満たさない場合には、いずれの補正処理も不要と判断し、S77に進む。
その後、ホストからの情報読み取り命令によって指定された情報の読み取り位置に光学ピックアップ13を移動させるシーク制御を実行し(S77)、シーク制御が完了すると、光ディスク媒体Mからの情報の読み取りを開始するとともに、第3補正処理の実行を開始する(S78)。既に述べたように、この第3補正処理は新たな制御命令などによって中断されるまで継続して実行され、中断された後に再びホストから情報読み取り命令が発行された場合には、再度S71から処理が実行される。そのため、中断した時間が長く、その間に温度変化が生じた場合には、温度変化の程度に応じて第1補正処理又は第2補正処理が選択的に実行されることになる。なお、ここでは第1補正処理及び第2補正処理を選択的に実行することとしたが、いずれか一方のみを温度変化に応じて実行することとしてもよい。
また、制御部20は、第3補正処理の実行中であっても、温度変化の発生等があった場合、必要に応じて第1補正処理や第2補正処理を実行することとしてもよい。例えば制御部20は、第3補正処理の各ステップの処理を実行するごとに、現在温度Tが第2基準温度Tr2から所定値以上変動したか否かを判定し、所定値以上の変動があった場合には、第2補正処理を実行することとしてもよい。こうすれば、例えばジッター値の測定に何度も失敗し、図8のS34において測定成功との判定がなされずに長時間が経過した場合などにおいて、第3補正処理とは異なる手法による制御パラメタの補正を行うことで、読み取りエラーなどの発生を避けることができる。なお、この例においては、第3補正処理による制御パラメタの更新が正常に行われている間は、第2補正処理を実行する必要はないので、中心値Scを更新するごとに第2基準温度Tr2をリセットする必要がある。具体的に、例えば制御部20は、図6のS2において初期化を行う変数の対象に第2基準温度Tr2を含めるとともに、図10のS55、S57、S62及びS64の各処理において、第1基準温度Tr1を更新するだけでなく、第2基準温度Tr2を当該処理の時点の現在温度Tでリセットすることとする。
なお、これまでの各実施形態に係る光ディスク装置の説明においては、制御パラメタが球面収差補正に関するSAパラメタであることとしたが、本発明の実施の形態に係る光ディスク装置が補正対象とする制御パラメタは、これ以外のものであってもよい。例えば光ディスク装置は、情報の読み取りを行う間、対物レンズ36からの光の焦点が読み取り位置に一致した状態を保つように、SAパラメタを含む各種のサーボ制御パラメタによって規定される動作条件で、フォーカスサーボやトラッキングサーボなどのサーボ制御を実行する。そこで、これらのサーボ制御パラメタの設定値を、補正処理の対象としてもよい。また、読み取り精度の評価に用いる評価値も、ジッター値に限らず、例えばRF振幅など、他の指標であってもよい。