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JP4001024B2 - ディスクドライブ装置、フォーカスバイアス及び球面収差調整方法 - Google Patents

ディスクドライブ装置、フォーカスバイアス及び球面収差調整方法 Download PDF

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JP4001024B2 JP2003031366A JP2003031366A JP4001024B2 JP 4001024 B2 JP4001024 B2 JP 4001024B2 JP 2003031366 A JP2003031366 A JP 2003031366A JP 2003031366 A JP2003031366 A JP 2003031366A JP 4001024 B2 JP4001024 B2 JP 4001024B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等のディスク記録媒体に対するディスクドライブ装置、及びフォーカスバイアス及び球面収差調整調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2002−352449
【特許文献2】
特開平10−269611
【特許文献3】
特開2000−285484
【特許文献4】
特開平9−251645
【特許文献5】
特開2000−11388
【0003】
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えば、CD(Compact Disk),MD(Mini-Disk),DVD(Digital Versatile Disk)などの、光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスクとは、金属薄板をプラスチックで保護した円盤に、レーザ光を照射し、その反射光の変化で信号を読み取る記録メディアの総称である。
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどで知られているようにユーザーデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるため、データ保存用途などに好適とされる。一方、光磁気記録方式や相変化記録方式は、データの書換が可能であり音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
更に近年、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、著しい大容量化が図られている。
【0004】
ブルーレイディスクのような高密度ディスクについては、ディスク厚み方向に0.1mmのカバー層を有するディスク構造において、波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)とNA(Numerical Aperture)が0.85の対物レンズの組み合わせという条件下でフェーズチェンジマーク(相変化マーク)を記録再生を行うとし、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitで、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率約82%としたとき、直系12cmのディスクに23.3GB(ギガバイト)程度の容量を記録再生できる。
また、同様のフォーマットで、線密度を0.112μm/bitの密度とすると、25GBの容量を記録再生できる。
さらに、記録層を多層構造とすることでさらに飛躍的な大容量化が実現できる。例えば記録層を2層とすることにより、容量は上記の2倍である46.6GB、又は50GBとすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで既に公知のとおり、光ディスクに対する記録再生を行うディスクドライブ装置では、レーザ光の焦点位置をディスク記録面に制御するフォーカスサーボ動作や、レーザ光がディスク上のトラック(ピット列やグルーブ(溝)によるトラック)をトレースするように制御するトラッキングサーボ動作が行われる。
フォーカスサーボに関しては、フォーカスループに適正なフォーカスバイアスを加えることが適切なサーボ動作のために必要であることが知られている。
【0006】
また特に高密度ディスクの場合、カバー層の厚み誤差や、多層構造の記録層に対応するためには球面収差補正を行うことが必要とされ、例えば光ピックアップ内にエキスパンダや液晶素子を用いた球面収差補正機構を備えたものが開発されており、例えば上記特許文献1,2に開示されている。
【0007】
特に上記ブルーレイディスクのような高NAのレンズを備える書込可能型ディスクドライブ装置(記録再生装置)においては、フォーカスバイアス/球面収差のマージンが狭いため、フォーカスバイアス及び球面収差の自動調整が必須とされる。
フォーカスバイアス調整の手法については、例えば上記特許文献3が知られている。
また球面収差調整の手法については、例えば上記特許文献4が知られている。
さらに、フォーカスバイアス/球面収差を同時に調整する手法が上記特許文献5に開示されている。
【0008】
ところが、従来行われてきたフォーカスバイアス調整と球面収差調整の方法には、次のような問題点がある。これを図17,図18で説明する。
【0009】
通常、フォーカスバイアス調整、球面収差調整は、それぞれRF信号振幅が最大となるように調整されていた。
図17(a)は、縦軸をRF振幅値、横軸を球面収差補正値(又はフォーカスバイアス値とした場合も同様)としているが、これは球面収差補正値(又はフォーカスバイアス値)に対するRF振幅値の特性が理想的な場合を示している。
【0010】
以下、球面収差補正値を例にとって述べる。
例えばRF信号振幅値としてのレベルLV1を許容範囲下限とした場合において、球面収差補正値は図17(a)の値X1、つまりRF信号振幅値が最大値LV2となる値に調整すればよい。
すると、球面収差としては、図示するように最大のマージン幅を採ることができる。
【0011】
ところが実際には、球面収差補正値に対するRF振幅値の特性が図17(a)のように理想的なものとなることは希であり、例えば図17(b)のように山型のカーブが一部へこんだような特性となる場合がある。
この場合に、RF信号振幅値が最大値LV2となる球面収差補正値X2に調整すると、マージン幅が狭くなってしまう。
また、図17(c)のように、特性が山型のカーブとなるものの、頂点がずれたような特性となる場合もある。
この場合も、RF信号振幅値が最大値LV2となる球面収差補正値X3に調整すると、マージン幅が狭くなってしまう。
さらには図17(d)のように、図17(b)(c)のような特性を併せ持った特性となる場合もあり、この場合も、RF信号振幅値が最大値LV2となる球面収差補正値X4に調整すると、マージン幅が狭くなってしまう。
球面収差補正値の調整について述べたが、フォーカスバイアス値についても同様である。
【0012】
つまり従来の手法では、RF信号振幅が最大となるポイントがマージンの中心にとなる図17(a)のような振幅値が取れることを想定しているが、実際にはディスク周内変動が大きい等の理由により、実際にサンプリングした振幅値のばらつきが大きく、図17(b)(c)(d)のようになってしまうため、調整精度が悪くなり、マージン幅が狭くなってしまうという問題がある。
【0013】
このような問題を避けるためには、RF信号振幅値のサンプル数を増やすことが考えられる。するとサンプリングした振幅値の特性を、例えば図17(b)から図17(c)の状態に近づけることができ、調整精度を向上できる。
しかしながら、その場合調整に要する時間が長くなってしまうという問題があるとともに、例えば図17(c)(d)のような状態の場合は、必ずしも改善されない。
これらのことから、単にRF信号振幅値の最大値に球面収差補正値又はフォーカスバイアス値を調整することでは、調整精度を上げることに限界がある。
【0014】
また、フォーカスバイアス値と球面収差補正値は、次の理由から、それぞれ個別に調整することが適切ではない。
一般的に、フォーカスバイアス・球面収差・RF信号振幅値の関係は図18(a)のようになる。この図では、最大を100とした場合のRF信号振幅値を、フォーカスバイアス/球面収差との関係で示している。
【0015】
ここで仮に、当該関係が図18(b)のようであったとすると、フォーカスバイアス/球面収差を個別に調整しても問題ない。
例えばフォーカスバイアス/球面収差の初期状態が図18(b)のポイントAに相当する値であったとする。この場合、まず球面収差調整を行うとすると、ラインL1上でRF信号振幅値が最大となるポイントBに相当する球面収差補正値に球面収差調整が行われることになる。
その後、今度はフォーカスバイアス調整を行うと、今度はラインL2上でRF信号振幅値が最大となるポイントCに相当するフォーカスバイアス値にフォーカスバイアス調整が行われることになる。
すると、このポイントCは、フォーカスバイアス/球面収差のどちらから見てもRF信号振幅値が最大となるポイントとなり、つまり個別に調整してもよいものとなる。
【0016】
ところが実際には図18(a)のような関係となるため、個別に調整することでは、フォーカスバイアス/球面収差のどちらから見てもRF信号振幅値が最大となるポイントには調整できない。
例えばフォーカスバイアス/球面収差の初期状態が図18(a)のポイントAに相当する値であったとする。この場合、まず球面収差調整を行うと、ラインL1上でRF信号振幅値が最大となるポイントBに相当する球面収差補正値に球面収差調整が行われることになる。
その後、今度はフォーカスバイアス調整を行うと、今度はラインL2上でRF信号振幅値が最大となるポイントCに相当するフォーカスバイアス値にフォーカスバイアス調整が行われることになる。
この場合、ポイントCは、フォーカスバイアス/球面収差のどちらから見てもRF信号振幅値が最大となるポイントとはなっていない。
このように、個別に調整することでは適切な調整が実行できない。
【0017】
一方、このような問題を回避するために、フォーカスバイアス/球面収差調整を同時に実行する手法が上記特許文献5に開示されている。
しかしながら、フォーカスバイアス/球面収差を同時に調整したとしても、RF信号振幅の最大値に調整する方式では、上述した問題、即ち必ずしもマージン最大の状態に調整できないという問題が残される。
【0018】
またデータ書込可能なディスク(ライタブルデディスク)の場合は、さらに次のような問題もある。
再生専用ディスク(いわゆるROMディスク)の場合は、予めエンボスピット等でデータが記録されており、従ってフォーカスバイアス調整や球面収差調整の際も、既に記録されているデータを再生してRF信号振幅を検出し、それに応じて調整を行っていくことになる。
ところがライタブルディスクの場合は、もともとデータが記録されていないため、フォーカスバイアス調整や球面収差調整を行うためには、予め調整時に読み出す調整用データを記録しなければならない。
ここで、記録の際の条件、例えばクロスライトの影響などの点で調整用データ内にバラツキがあると、それに応じて再生されるRF信号振幅のバラツキも大きくなる。これによってフォーカスバイアス調整や球面収差調整の調整精度が悪化してしまう。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そこで、このような問題点に鑑みて本発明では、フォーカスバイアス/球面収差の調整を精度良く、且つ効率的に実行できるようにすることを目的とする。
【0020】
このために本発明のディスクドライブ装置は、データの書込又は読出のために、ディスク記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うとともに、レーザ光のフォーカスサーボ機構、及び球面収差補正機構を有するヘッド手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号から評価値を生成する評価値生成手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるフォーカスエラー信号に基づいて上記フォーカスサーボ機構を駆動してフォーカスサーボを実行するフォーカスサーボ手段と、球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差調整を実行する球面収差調整手段と、上記フォーカスサーボ手段を含むフォーカスループにフォーカスバイアスを加算するフォーカスバイアス手段と、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値の両方を変化させながら、上記評価値の許容限界ポイントとして、上記評価値が略同等となる2つの許容限界ポイントを探索し、該2つの許容限界ポイントの中間ポイントに対応するように、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値を調整する制御手段と、上記ディスク記録媒体に対して、上記フォーカスバイアス及び上記球面収差の調整処理に用いるデータ書込を内周側から外周側に複数周回トラック範囲で実行した後、当該データ書込を行ったディスク記録媒体上の範囲内で、上記フォーカスバイアス及び上記球面収差の調整処理の際に再生する調整時使用範囲を、当該複数周回トラック範囲内であって、外周側に上記データ書込が行われたトラックが存在する範囲内で、上記調整時使用範囲を設定する調整時使用範囲設定手段とを備える。
また上記評価値生成手段は、上記ディスク記録媒体からのデータ再生時に、上記評価値として、ジッタ値、又は再生信号振幅値、又はアシンメトリ値を生成する。
また上記制御手段は、上記許容限界ポイントを探索する際には、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値の一方を段階的に変化させると共に、該各段階において、他方を変化させて最適な上記評価値を取得する処理を行う。
【0022】
本発明のフォーカスバイアス及び球面収差調整方法は、フォーカスバイアス値と球面収差補正値の両方を変化させた状態でディスク記録媒体の再生を行い、その際に反射光に基づく信号から評価値を生成する評価値生成ステップと、上記評価値に基づいて、許容限界ポイントを決定する許容限界ポイント決定ステップと、上記許容限界ポイント決定ステップで決定された、上記評価値が略同等となる2つの許容限界ポイントから、その2つの許容限界ポイントの中間ポイントを決定する中間ポイント決定ステップと、上記中間ポイントに対応するように、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値を調整する調整ステップを備え、上記調整ステップは、上記ディスク記録媒体に対して、上記フォーカスバイアス及び上記球面収差の調整処理に用いるデータ書込を内周側から外周側に複数周回トラック範囲で実行した後、当該データ書込を行ったディスク記録媒体上の範囲内で、上記フォーカスバイアス及び上記球面収差の調整処理の際に再生する調整時使用範囲を、当該複数周回トラック範囲内であって、外周側に上記データ書込が行われたトラックが存在する範囲内で、上記調整時使用範囲を設定する調整時使用範囲設定ステップを備えている。
上記評価値生成ステップでは、ジッタ値、又は再生信号振幅値、又はアシンメトリ値を上記評価値として生成する。
また上記許容限界ポイント決定ステップでは、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値の一方を段階的に変化させると共に、該各段階において、他方を変化させて最適な上記評価値を取得する処理を行う。
【0023】
以上の構成の本発明では、フォーカスバイアス/球面収差を同時に調整することが行われる。また評価値のサンプリング数が少ないことによる調整精度悪化を防止するとともに、調整所要時間を短縮する。そしてRF信号振幅値等を評価値とするが、振幅最大がマージンの中心からずれている場合にもマージン中心に調整ができるようにするものである。
また、フォーカスバイアス及び球面収差の調整処理に用いるデータ書込を実行した範囲内で、フォーカスバイアス及び球面収差の調整に用いる範囲を設定することは、調整時に同一の条件の範囲を使用するようにすることを意味する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として、光ディスクに対応して記録再生を行うディスクドライブ装置(記録再生装置)を例に挙げ、フォーカスバイアス及び球面収差調整のためのデータ書込とレーザパワー調整、及びその後に実行されるフォーカスバイアス/球面収差調整について説明していく。説明は次の順序で行う。
1.ディスクドライブ装置の構成
2.球面収差補正機構
3.サーボ系の構成
4.評価値を得るための構成
5.ライタブルディスク及び再生専用ディスクに対する調整処理
6.調整用データ書込及び粗OPC処理
7.調整時使用範囲の設定
8.球面収差及びフォーカスバイアス調整
9.調整タイミング
【0025】
1.ディスクドライブ装置の構成
図1に本例のディスクドライブ装置の構成を示す。
ディスク1は例えば相変化方式でデータの記録を行う光ディスク(ライタブルディスク)であるとする。またディスク上にはウォブリング(蛇行)されたグルーブが形成され、このグルーブが記録トラックとされる。グルーブのウォブリングによってはいわゆるADIP情報としてアドレス情報などが埋め込まれている。
なお、エンボスピットによりデータが記録される再生専用ディスクがディスク1として装填される場合もある。
【0026】
このようなディスク1は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ52によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)51によってディスク1上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。
また記録時には光学ピックアップ51によってトラックにユーザーデータがフェイズチェンジマークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたフェイズチェンジマークの読出が行われる。
【0027】
ピックアップ51内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系(後述する)が形成される。
レーザダイオードは、例えば波長405nmのいわゆる青色レーザを出力するものとされる。また光学系によるNAは0.85である。
【0028】
ピックアップ51内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ51全体はスレッド機構53によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ51におけるレーザダイオードはレーザドライバ63からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
【0029】
なお、後述するがピックアップ51内にはレーザ光の球面収差を補正する機構が備えられており、システムコントローラ60及びサーボ回路62の制御によって球面収差補正が行われる。
【0030】
ディスク1からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路54に供給される。
マトリクス回路54には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号又はRF信号ともいう)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
【0031】
マトリクス回路54から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ回路55へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路61へ、プッシュプル信号はウォブル回路58へ、それぞれ供給される。
【0032】
リーダ/ライタ回路55は、再生データ信号に対して2値化処理、PLLによる再生クロック生成処理等を行い、フェイズチェンジマークとして読み出されたデータを再生して、変復調回路56に供給する。
変復調回路56は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
またECCエンコーダ/デコーダ57は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、変復調回路56で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ57で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ60の指示に基づいて、読み出され、AV(Audio-Visual)システム120に転送される。
【0033】
グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路54から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路58において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路58においてADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ59に供給される。
アドレスデコーダ59は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0034】
記録時には、AVシステム120から記録データが転送されてくるが、その記録データはECCエンコーダ/デコーダ57におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ57は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路56においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路55に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0035】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路55で記録補償処理として、記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた後、レーザドライブパルスとしてレーザードライバ63に送られる。
レーザドライバ63では供給されたレーザドライブパルスをピックアップ51内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク1に記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成されることになる。
【0036】
なお、レーザドライバ63は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、ピックアップ51内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニターしながらレーザーの出力が温度などによらず一定になるように制御する。
記録時及び再生時のレーザー出力の目標値(記録レーザパワー/再生レーザパワー)はシステムコントローラ60から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
【0037】
サーボ回路61は、マトリクス回路54からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ51、マトリクス回路54、サーボ回路61、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0038】
またサーボ回路61は、システムコントローラ60からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0039】
またサーボ回路61は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ60からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構53を駆動する。スレッド機構53には、図示しないが、ピックアップ51を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ51の所要のスライド移動が行なわれる。
【0040】
スピンドルサーボ回路62はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路62は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路55内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路62は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ62のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路62は、システムコントローラ60からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0041】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ60により制御される。
システムコントローラ60は、AVシステム120からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
【0042】
例えばAVシステム120から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ60は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ51を移動させる。そしてECCエンコーダ/デコーダ57、変復調回路56により、AVシステム120から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路55からのレーザドライブパルスがレーザドライバ63に供給されることで、記録が実行される。
【0043】
また例えばAVシステム120から、ディスク1に記録されている或るデータ(MPEG2ビデオデータ等)の転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路61に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとするピックアップ51のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム120に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク1からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路55、変復調回路56、ECCエンコーダ/デコーダ57におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0044】
なお、これらのフェイズチェンジマークによるデータの記録再生時には、システムコントローラ60は、ウォブル回路58及びアドレスデコーダ59によって検出されるADIPアドレスを用いてアクセスや記録再生動作の制御を行う。
【0045】
ところで、この図1の例は、AVシステム120に接続されるディスクドライブ装置としたが、本発明のディスクドライブ装置としては例えばパーソナルコンピュータ等と接続されるものとしてもよい。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図1とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録専用装置、再生専用装置としての例も考えられる。
【0046】
2.球面収差補正機構
ピックアップ51における球面収差補正機構としては、図2又は図3のように形成されている。図2、図3の各図においてはピックアップ51内の光学系を示している。
【0047】
図2において、半導体レーザ(レーザダイオード)81から出力されるレーザ光は、コリメータレンズ82で平行光とされ、ビームスプリッタ83を透過して、球面収差補正レンズ群としての可動レンズ87,固定レンズ88を介して進行し、対物レンズ84からディスク1に照射される。なお球面収差補正レンズ群87,88についてはエキスパンダと呼ばれる。可動レンズ87を駆動することで球面収差補正が行われることから、以下、特にエキスパンダ87と表記する場合がある。
【0048】
ディスク1からの反射光は、対物レンズ84、固定レンズ88、可動レンズ87を通ってビームスプリッタ83で反射され、コリメータレンズ(集光レンズ85)を介してディテクタ86に入射される。
【0049】
このような光学系においては、対物レンズ84については二軸機構91によってフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されており、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ動作が行われる。
また球面収差補正レンズ87,88は、レーザ光の径を可変する機能を持つ。即ち可動レンズ87はアクチュエータ90によって光軸方向であるJ方向に移動可能とされており、この移動によって、ディスク1に照射されるレーザ光の径が調整される。
つまり、アクチュエータ90に対して前後移動を実行させる制御を行うことで、球面収差補正を実行させることができる。
【0050】
図3(a)の例は、図2と同様の光学系において、球面収差補正レンズ87,88に代えて液晶パネル89を備えるものである。
即ち液晶パネル89において、レーザ光を透過させる領域と遮蔽する領域の境界を、図3(b)の実線、破線、一点鎖線のように可変調整することで、レーザ光の径を可変できるものである。
この場合、液晶パネル89を駆動する液晶ドライバ92に対して、透過領域を可変させるように制御することで、球面収差補正を実行させることができる。
【0051】
3.サーボ系の構成
図1におけるサーボ回路61において、上述したフォーカスサーボループ及びトラッキングサーボループを形成する部分、及び球面収差補正値設定に関する部分を図4に示す。
【0052】
マトリクス回路54からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEは、サーボ回路61において、それぞれA/D変換器11,21によりデジタルデータに変換されてDSP10に入力される。
DSP10には、フォーカスサーボ演算部12,トラッキングサーボ演算部22としての機能が備えられている。
【0053】
そしてA/D変換器11からのフォーカスエラー信号FEは、加算器15を介してフォーカスサーボ演算部12に入力される。
フォーカスサーボ演算部12では、デジタルデータとされて入力されるフォーカスエラー信号FEに対して位相補償等のためのフィルタリングやループゲイン処理などの所定の演算を行ってフォーカスサーボ信号を生成して出力する。フォーカスサーボ信号は、D/A変換器13でアナログ信号に変換された後(PWMやPDMなども含む)、フォーカスドライバ14へ入力され、フォーカスアクチュエータを駆動する。即ち光ピックアップ51において対物レンズ84を保持する二軸機構91のフォーカスコイルに電流を印加し、フォーカスサーボ動作を実行させる。
【0054】
トラッキングサーボ演算部22では、デジタルデータとされて入力されるトラッキングエラー信号TEに対して位相補償等のためのフィルタリングやループゲイン処理などの所定の演算を行ってトラッキングサーボ信号を生成して出力する。トラッキングサーボ信号は、D/A変換器23でアナログ信号に変換された後(PWMやPDMなども含む)、トラッキングドライバ24へ入力され、トラッキングアクチュエータを駆動する。即ち光ピックアップ51において対物レンズ84を保持する二軸機構91のトラッキングコイルに電流を印加し、トラッキングサーボ動作を実行させる。
【0055】
またDSP10においては、フォーカスバイアス加算、球面収差補正値設定、及びフォーカスバイアスや球面収差補正値の調整のための機能部位が設けられる。
加算器15はフォーカスエラー信号FEにフォーカスバイアスを加算する。加算するフォーカスバイアス値はフォーカスバイアス設定部16に設定されている。フォーカスバイアス設定部16が、後述する調整処理で設定されたフォーカスバイアス値を出力することで、フォーカスサーボループに適正なフォーカスバイアスが加算されるものとなる。
【0056】
球面収差補正値設定部20は球面収差補正機構による球面収差補正値が設定される。設定された球面収差補正値はD/A変換器25によってアナログ信号とされ、球面収差補正ドライバ26に供給される。
球面収差補正ドライバ26は、例えば図2のような球面収差補正機構の場合は、エキスパンダ87を移動させるアクチュエータ90に駆動信号Sdを供給する回路とされる。また、図3のような球面収差補正機構の場合は、液晶ドライバ92に対して、液晶パネル84の所要のセルに電圧印加を指示する信号Sdを供給する回路とされる。
従って、球面収差補正ドライバ26が、球面収差補正値設定部20から供給された球面収差補正値に基づいて、ピックアップ51内の球面収差補正機構を駆動する構成となる。
【0057】
不揮発性メモリ18は、フォーカスバイアス値や球面収差設定値としての初期値を記憶したり、さらに、後述するフォーカスバイアス/球面収差調整によって得られた調整値、即ち最適なフォーカスバイアス値及び球面収差補正値を記憶する。
設定制御部17は、フォーカスバイアス設定部16での設定値や球面収差補正値設定部20の設定値を設定する。例えば不揮発性メモリ18に記憶された値に設定したり、システムコントローラ60からの指示に応じて各設定値の変更を行う。
【0058】
以上のようにDSP10において形成されるフォーカスサーボ演算部12、トラッキングサーボ演算部22、さらにはフォーカスバイアス/球面収差補正値の調整に関する動作は、システムコントローラ60によって制御される。
【0059】
4.評価値を得るための構成
本実施の形態のディスクドライブ装置では、後述するレーザパワー調整やフォーカスバイアス/球面収差調整の際には、その最適な調整のための評価値として、ジッタ値、再生データ振幅値(RF振幅値)、或いはアシンメトリ値を用いる。
これらの評価値を得るための構成例を図5に示す。
【0060】
評価値は、ピックアップ51内のフォトディテクタ86によって得られた反射光に基づく信号、即ちマトリクス回路54で処理されて生成される信号から得ることができる。本例の場合は、特に再生データ信号(RF信号)から得る値とするため、一例としてリーダ/ライタ回路55内が図5のように構成される。
【0061】
図示するようにリーダ/ライタ回路55には、ライト波形生成部31,2値化回路32,RF再生処理部33,PLL回路34,評価値計算部35が設けられる。
ライト波形生成部31は、記録動作時において、変復調回路56でエンコード処理された記録データに対して、記録補償処理として、記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などを行う。そしてこれらの処理を施した信号をレーザドライブパルスとしてレーザードライバ63に供給する。
再生時においては、マトリクス回路54からの再生データ信号(RF信号)は、2値化回路32で2値化処理される。また2値化データに基づいてPLL回路34で再生クロックが生成される。
2値化データはRF再生処理部33において、再生クロックに基づいて処理され、フェイズチェンジマークから読み出されたデータとされて変復調回路56に供給される。
【0062】
評価値計算部35は、RF再生処理部33の処理上でジッタ値を計算する。
或いは再生データ信号(RF信号)の振幅について、そのピーク/ボトム検出を行ってRF振幅値を算出する。
また、再生RF信号の対称性を示すアシンメトリ値を算出するようにしてもよい。
評価値計算部35は、これら評価値として得たジッタ値、又はRF振幅値、又はアシンメトリ値をシステムコントローラ60に供給する。
【0063】
5.ライタブルディスク及び再生専用ディスクに対する調整処理
ディスクドライブ装置に装填されたディスク1に対する調整処理について述べる。
ディスク1が、例えば上述のようにフェイズチェンジマークによる書込可能型のディスク(ライタブルディスク)であった場合には、ディスク装填時などにおいて図6(a)の調整処理が行われる。
【0064】
まず手順S1として、調整用データ書込及び粗OPCが行われる。
次に手順S2として、調整用データ書込を行ったディスク上の範囲のうちで、フォーカスバイアス/球面収差調整の際に用いる調整時使用範囲が設定される。
次に手順S3としてフォーカスバイアス/球面収差調整が行われる。
そして手順S4でOPC(レーザパワー調整)が行われる。
【0065】
ライタブルディスクの場合、ディスク上にグルーブによって形成されているトラックにはデータが記録されていない。そしてフォーカスバイアスや球面収差の調整は、ディスク上の試し書きエリア(テストエリア)を再生しながら行われるのであるが、もともとデータが記録されていないため、これらの調整の準備処理として調整用のデータをディスク上の試し書きエリアに書き込むことが必要となる。このため手順S1として、ディスク上の試し書きエリアに調整用データの書込が行われるものである。
【0066】
ところでこの最初の手順S1の時点では、まだレーザパワー調整が行われていない。このため通常は、予め設定された初期値(例えばディスク1上の管理情報として記録されているレーザパワー推奨値など)としてのレーザパワーにおいて調整用データの書込が行われる。
しかしながらディスク1とディスクドライブ装置の組み合わせの関係において、レーザパワーとしては最適値が異なり、またレーザパワーの最適値は、手順S3でフォーカスバイアスや球面収差調整が行われた後に手順S4で調整されるものである。
このため通常は、単に初期値としての記録レーザパワーで調整用データを書き込むが、その場合、その記録レーザパワーが必ずしも適切であるとは言えず、場合によっては記録された調整用データ品質がフォーカスバイアス/球面収差調整にとって好ましくない状態であることもある。
そこで本例では、手順S1の調整用データ書込の際に、粗OPCとして大まかなレーザパワー調整を行う。即ち、この粗OPCとは、フォーカスバイアス/球面収差調整が高精度で実行できるような適切な信号品質で調整用データ書込が行われるようにすることを目的とするものである。
【0067】
手順S2での調整時使用範囲設定処理も、同じくフォーカスバイアス/球面収差調整の精度向上のために行われるものであり、詳しくは後述する。
【0068】
手順S3では、球面収差とフォーカスバイアスが同時的に調整される。この処理についても後述するが、粗OPCによって適切な記録レーザパワーで記録された調整用データを用いた上で、球面収差とフォーカスバイアスが同時的に調整することで、その調整精度を向上させる。
そしてフォーカスバイアス/球面収差調整後で、通常の記録再生動作にとっての記録レーザパワー、再生レーザパワーを最適化する処理を手順S4のOPC処理として実行することになる。
【0069】
ディスク1が、例えばエンボスピットにより予めデータが記録された再生専用ディスク(ROMディスク)であった場合には、ディスク装填時などにおいて図6(b)の調整処理が行われる。
この場合、調整用データ書込や調整時使用範囲の設定は必要ではなく、手順S11でディスク上の或る領域を再生しながらフォーカスバイアス/球面収差調整を行ない、その後、手順S12でOPC(レーザパワー調整)が行われる。
なお、この場合もフォーカスバイアス/球面収差調整は後述する処理により同時的に行われることで、その調整精度を向上できる。
【0070】
6.調整用データ書込及び粗OPC処理
上記のように本例では、ライタブルディスクが装填されている際には、フォーカスバイアス/球面収差調整の前段階として調整用データ書込を行うとともに、その際に粗OPCとして、フォーカスバイアス/球面収差調整にとって調整用データの品質を保証するための記録レーザパワー調整を行う。
【0071】
この場合の処理、即ち上記図6(a)の手順S1における処理の具体例を図7で説明する。なお、図7の処理はシステムコントローラ60による制御処理として示している。またこの場合、システムコントローラ60には、評価値として図5の評価値計算部35からジッタ値が供給されるものとする。
【0072】
システムコントローラ60は、まずステップF101で、記録レーザパワーPWwの値を初期値IPに設定する。即ちレーザドライバ63に対して記録レーザパワーPWw=IPを指示する。初期値IPとは、例えばディスク1の管理情報として記録されていた記録レーザパワー推奨値や、或いはシステムコントローラ60が予め設定している値である。
そしてステップF102で、サーボ回路61に指示してディスク1上の試し書きエリアにピックアップ51をアクセスさせ、ピックアップ51による調整用データ書込を実行させる。このとき、記録レーザパワーPWw=初期値IPとしてレーザ出力が行われる。
【0073】
試し書きエリアへの調整用データの記録が完了したら、システムコントローラ60はステップF103で、書き込んだ調整用データの再生を実行させるとともに、ジッタ値を取得する。
即ちピックアップ51により、調整用データが再生され、そのRF信号がリーダ/ライタ回路55で処理される。このとき評価値計算部35でジッタ値が計算され、システムコントローラ60に供給される。
システムコントローラ60は、供給されたジッタ値を変数RCP0として保持する。
【0074】
ステップF104では、システムコントローラ60は変数RCP0として保持したジッタ値を、予め設定した所定値Lim1と比較する処理を行う。そして、RCP0≦Lim1であった場合は、▲1▼として示すようにそのまま図7の処理を終える。
この場合を図8(a)で説明する。
図8(a)には、記録レーザパワーに対するジッタ値の特性を示している。所定値Lim1(及び後述するLim2)は、ジッタ値を評価値とする粗OPCの閾値として設定されているものであり、一例としてはLim1はジッタ値12%、Lim2はジッタ値15%とされる。そしてその意味については後述するが、粗OPCとしては、記録レーザパワーPWwが、少なくともジッタ値が15%以下となるようなレベルを下限として、それ以上のパワーとなるようにするものである。
【0075】
ステップF104でRCP0≦Lim1となる▲1▼の場合とは、記録レーザパワーPWw=初期値IPとして調整用データ記録を行った後、再生してジッタ値を観測すると、そのジッタ値(RCP0)が、図8(a)のように、12%以下であった場合となる。
この場合は、初期値IPが、その後のフォーカスバイアス/球面収差調整のための調整用データの書込に適した値であったとして、調整用データ書込及び粗OPC処理を終えるものとなる。
【0076】
ステップF104でRCP0≦Lim1ではなかった場合は、システムコントローラ60はステップF105に進み、ジッタ値(RCP0)が所定値Lim2(例えば15%)以下であるか、つまりLim1<RCP0≦Lim2であるか否かを判別する。
Lim1<RCP0≦Lim2であったら、▲2▼として示すようにステップF106に進み、記録レーザパワーPWwを初期値IP+αの値に変更する。そしてステップF107で再度、調整用データ書込を行って、図7の処理を終える。つまり記録レーザパワーの値を初期値IPから所定値αだけ上げた状態で調整用データ書込を行うものである。
この場合を図8(b)に示す。これは、図示するように、最初に記録レーザパワーPWw=PWw1(初期値IP)として調整用データを記録したら、ジッタ値(RCP0)が12%〜15%の範囲にあった場合である。この場合、記録レーザパワーPWwが初期値IPでは少々足りないと判断する。そこで、記録レーザパワーPWwの値を+α上げPWw2とする。これによって、ジッタ値が12%以下となることが予測されるため、記録レーザパワーPWw=PWw2(=IP+α)として再度書込を行って図7の処理を終了させるものである。
なお、レーザパワーPWw2にしたことによって実際に必ずしもジッタ値が12%以下とならなくてもよい。これは、少なくとも+α上げることで、後のフォーカスバイアス/球面収差調整にとって、初期値IPよりは好適な記録レーザパワーとなるためである。従ってステップF107の後に、ジッタ値を確認する必要はない。
【0077】
また、この▲2▼の場合としては、最初の初期値IPとしての記録レーザパワーPWwが、同じく図8(b)に示すPWw1’のようなレベルであった場合も考えられる。この記録レーザパワーPWw1’で記録した調整用データのジッタ値(RCP0)も12%〜15%の範囲になる。この場合、記録レーザパワーPWwの値を+α上げPWw2’とすると、ジッタ値としては悪化する。しかしながら後述するように、フォーカスバイアス/球面収差調整のためには、調整用データ記録の際のレーザパワーPWは高いほどよいものとなるため、このような場合においてステップF106,F107で処理を終えても問題とはならない。
【0078】
ステップF105でLim1<RCP0≦Lim2とはならなかった場合は、システムコントローラ60の処理はステップF108に進み、記録レーザパワーPWwを初期値IP+αの値に変更する。そしてステップF109で再度、調整用データ書込を行う。
そしてステップF110で、書き込んだ調整用データの再生を実行させるとともに、ジッタ値を取得する。システムコントローラ60は、評価値計算部35から供給されたジッタ値を変数RCP1として保持する。
【0079】
ステップF111では、今回のジッタ値(RCP1)を、所定値Lim1と比較する。そして、RCP1≦Lim1であった場合は、▲3▼として示すようにそのまま図7の処理を終える。
この場合を図8(c)で説明する。
この場合は、図示するように、最初に記録レーザパワーPWw=PWw1(初期値IP)として調整用データを記録したら、ジッタ値(RCP0)が15%を越えており、その後、記録レーザパワーPWwの値を+α上げPWw2とすることで、ジッタ値(RCP1)が12%以下となった場合である。
ジッタ値RCP1が12%以下となることは、ステップF109で行った2回目の調整用データ記録の際の記録レーザパワーPWwが、適切なレベルであったことを示すものであるため、既に、その後のフォーカスバイアス/球面収差調整のための調整用データが適切なレーザパワーで記録されたとして、調整用データ書込及び粗OPC処理を終えるものである。
【0080】
ステップF111で、RCP1≦Lim1とならなかった場合は、ステップF112に進み、ジッタ値(RCP1)が所定値Lim2(例えば15%)以下であるか、つまりLim1<RCP1≦Lim2であるか否かを判別する。
Lim1<RCP1≦Lim2であったら、▲4▼として示すようにステップF114に進み、記録レーザパワーPWwを初期値IP+2αの値に変更する。そしてステップF115で再度、調整用データ書込を行って、図7の処理を終える。つまり記録レーザパワーの値を初期値IPから2αだけ上げた状態で調整用データ書込を行って処理を終えるものである。
この場合を図9(a)に示す。これは、図示するように、最初に記録レーザパワーPWw=PWw1(初期値IP)として調整用データを記録したら、ジッタ値(RCP0)が15%を越えていた場合である。その際に上記ステップF108,F109、F110で、記録レーザパワーPWw=PWw2(=IP+α)として調整用データを記録し、ジッタ値(RCP1)を計測すると、今度はジッタ値(RCP1)が12〜15%の範囲にあった場合となる。その場合、まだ少し記録レーザパワーPWwが足りないとして、ステップF114,F115で、さらに記録レーザパワーPWwを上げ図示するようにPWw3(=IP+2α)とする。これによって、ジッタ値が12%以下、つまり適切なレーザパワーとなることが予測される。即ち、少なくとも+2α上げることで、後のフォーカスバイアス/球面収差調整にとって、初期値IPよりは好適な記録レーザパワーとなるため、そこで図7の処理を終了させるものである。
なおこの場合も、レーザパワーPWw3とした結果、実際に必ずしもジッタ値が12%以下とならなくてもよいため、ステップF115の後にジッタ値を確認する必要はない。
【0081】
ステップF112でLim1<RCP1≦Lim2とならなかった場合は、ステップF113に進み、変数RCP0,RCP1として保持している各ジッタ値を比較する。
ここで、RCP0>RCP1であった場合は、レーザパワーPWw=IPとした場合より、レーザパワーPWw=IP+αとした場合の方がジッタが改善されていることが判別される。
この場合は、▲5▼として示すようにステップF114に進み、記録レーザパワーPWwを初期値IP+2αの値に変更する。そしてステップF115で再度、調整用データ書込を行って、図7の処理を終える。つまり記録レーザパワーの値を初期値IPから2αだけ上げた状態で調整用データ書込を行って処理を終えるものである。
この場合を図9(b)に示す。これは、図示するように、最初に記録レーザパワーPWw=PWw1(初期値IP)として調整用データを記録したら、ジッタ値(RCP0)が15%を越えていた場合である。その際に上記ステップF108,F109、F110で、記録レーザパワーPWw=PWw2(=IP+α)として調整用データを記録し、ジッタ値(RCP1)を計測すると、今度もジッタ値(RCP1)が15%を越えている場合である。しかしながらジッタ値RCP0>RCP1であり、レーザパワーPWwを上げることでジッタが改善されているため、レーザパワーPWwを上げることによりRF信号の品質は改善する見込みがあると判断し、パワーをさらに1段階上げ、記録レーザパワーPWw=PWw3(=IP+2α)として調整用データ記録を行って、図7の処理を終了させるものである。
なおこの場合も、レーザパワーPWw3とした結果、実際に必ずしもジッタ値が12%以下とならなくてもよいため、ステップF115の後にジッタ値を確認する必要はない。また、15%を越える値のままという可能性もあるが、初期値IPの状態よりは改善されているためOKとする。
【0082】
ステップF113でRCP0>RCP1ではなかった場合は、レーザパワーPWwを上げてもジッタが改善されていないことになる。
このため▲6▼として示すように、レーザパワーPWwはそのまま、つまりレーザパワーPWw=IP+αで調整用データ記録を行ったままの状態で、図7の処理を終える。
この場合を図9(c)に示す。RCP0<RCP1となる場合とは、図示するように、記録レーザパワーPWwの初期値IPがかなり高く、ジッタ特性の右上がりの曲線上に相当する場合である。この場合、レーザパワーPWwをPWw1(=IP)からPWw2(=IP+α)とすると、ジッタ値は悪化している。
しかしながら、次に述べるように、フォーカスバイアス/球面収差調整にとっては調整用データ記録がなるべく高いレーザパワーで行われていることが良いという事情もあるため、レーザパワーPWw2(=IP+α)の状態で書き込まれた調整用データをそのまま有効とするものである。
【0083】
以上のように調整用データ書込及び粗OPCが行われるが、ここでジッタ値を評価値として粗OPC、つまり記録レーザパワーPWwの調整が行われる理由について述べる。
図10(a)は、フォーカスバイアス/球面収差調整の調整精度(調整のばらつき)と記録レーザパワーPWwの関係を示している。
この図からわかるように、調整用データ書込の際の記録レーザパワーPWwが高いほど、フォーカスバイアス/球面収差調整の調整ばらつきを小さくできることがわかっている。
例えば図中PWbを出力できるレーザパワーPWwの限界とした場合、フォーカスバイアス/球面収差調整のためには、少なくとも調整バラツキが所定レベルth1以下となるレーザパワーPWaからレーザパワー限界PWbの範囲内で、調整用データ書込が行われることが望ましい。
つまり、粗OPCでは、少なくとも記録レーザパワーPWwをPWa以上とすれば良いことになる。
【0084】
ここで図10(b)にレーザパワーPWwとジッタ値の特性を示すが、レーザパワーPWaは、ジッタ特性のカーブが右下がりの領域に相当するレーザパワーとなる。従って、ジッタ値としての閾値th2を基準として、上記したように粗OPCを行えば、少なくとも記録レーザパワーPWwをPWa以上とした状態で調整用データ書込が行われるものとなり、つまりフォーカスバイアス/球面収差調整にとって好適な調整用データ書込が実現されるものである。
このジッタ値を評価値とした場合の閾値th2は、例えばジッタ値15%程度に相当するものとなるため、上記のようにジッタ値15%及び12%を基準にして粗OPCが行われることが好適となる。
【0085】
なお、図10(a)のようにフォーカスバイアス/球面収差調整にとっては、調整用データ書込時の記録レーザパワーPWwが高いほどよい。このことは、始めからレーザパワー限界値付近で調整用データ書込を行えば良いとも考えられるが、その一方で、あまり高いレーザパワーでの書込は、ディスクの記録層を劣化させる原因ともなる。
このことから、粗OPCでは、「少なくともレーザパワーPWa以上で調整用データ書込を行いたい」及び「むやみに高いレーザパワーとしたくない」という2つの考え方に基づくものとなる。さらには「むやみに高いレーザパワーとしたくない」とはいっても、パワー限界に近いレーザパワーで調整用データ書込を行うことが直接的に望ましくないとされるものではない。即ち高いレーザパワーでの書込が即座にディスク劣化を引き起こすものでもないため、決して許容できないものではない。
そのため上記図7のように、粗OPCは、
・評価値を参照しながらレーザパワーを上げる方向に調整し、少なくとも或るパワー値(PWa)よりは高くなるようにする。
・レーザパワーがかなり高い場合については、特にレーザパワーを下げることはせずに、そのままOKとする。
という考え方の処理とされるものである。
【0086】
そしてこのような粗OPCにより、フォーカスバイアス/球面収差調整のための適切な調整用データ書込が可能となり、フォーカスバイアス/球面収差調整に用いる信号の品質を保証することができる。従って、フォーカスバイアス/球面収差の自動調整の精度を上げることができ、結果としてディスクドライブ装置のプレイアビリティを増すことができる。
また記録レーザパワーPWwを上げる方向にのみ調整していくこと(高い場合はそのままとすること)は、粗OPCの処理の効率化が実現されることにもなり、図6(a)に示した一連の処理の迅速化にもつながる。
【0087】
また図7の処理では、記録レーザパワーPWwは初期値IPから最大で2段階(2α)まで上げることとしているが、ここに上記した「むやみに高いレーザパワーとしたくない」という考え方が現れている。
しかしながら、ステップ幅αの値の設定や、実際の特性、或いは閾値となるLim1,Lim2の設定などによっては、最大で1段階のレーザパワーアップとしても良いし、3段階以上のレーザパワーアップが行われるようにしてもよい。また各レーザパワーアップの際のアップ幅はαとしての固定幅で或る必要はなく、最初はIP+α、2回目はIP+α+β(但しα≠β)というようにアップ幅を変化させても良い。
【0088】
ところで上記図7の例ではRFジッタ値を評価値としているが、評価値はRF振幅値、或いはアシンメトリでもよい。
例えばRF振幅値は、記録レーザパワーに対して図10(c)のような特性となる。従って、例えばRF振幅値を評価値として用い、閾値th3を基準にして粗OPCを行うことで、同様の効果が得られる。アシンメトリの場合も同様である。
【0089】
7.調整時使用範囲の設定
続いて、図6(a)における手順S2としての調整時使用範囲設定の処理について述べる。
フォーカスバイアス/球面収差調整に用いる調整用データは、その全てが同一の記録再生条件であることが当然望ましい。
この記録再生条件としては、データ書込の際のクロスライトの有無が重要となる。
【0090】
周知のようにディスクには、例えば内周側から外周側に向かって螺旋状(又は同心円状)にトラックが形成されており、そのトラックに沿ってデータ書込が行われる。図11は螺旋状のトラックを模式的に示している。
そしてディスク上の試し書き領域では、上記の調整用データ書込が、例えば図11(a)の位置P1からP3まで数周回トラック行われるとする。
【0091】
クロスライトとは、図11(b)にそのイメージを示すが、或るトラックTr1に記録されたデータが、その隣接トラックTr2の記録の際に影響を受けてデータが一部上書きされてしまうような現象である。
クロスライトの影響を受けたトラックでは、もちろんそれによってデータが完全に破壊されるようなことはないが、再生時のRF信号振幅が多少低下することが知られている。
ここで図11の位置P1〜P3までについて見てみると、位置P1〜P2までの範囲は、各トラックの記録後に、外周側に隣接するトラックの記録が行われることになる。一方、位置P2〜P3まで、即ち調整用データ書込を行った最後の1周回トラックは、その外周側トラックにデータ書込が行われないため、クロスライトはされていない。
【0092】
つまり、位置P1〜P3までを再生した場合、図11(c)のように、位置P1〜P2までの再生RF信号振幅は、位置P2〜P3までの再生RF信号振幅より小さくなる。
これは、RF信号振幅やジッタ値、或いはアシンメトリを評価値として行う後述するフォーカスバイアス/球面収差調整にとっては望ましいものではない。
そこで本例では、調整時使用範囲設定処理として、クロスライトの影響がある部分のみが、フォーカスバイアス/球面収差調整において使用されるように設定するものである。
【0093】
即ち、調整用データ書込を実行した後、データ書込を行ったディスク上の複数周回トラック範囲内で、外周側にデータ書込が行われたトラックが存在する範囲を、調整時使用範囲とする。
具体的に例を挙げれば、上記図7の処理での調整用データ書込は、図11(a)の位置P1〜P3の間に行い、図6(a)手順S2の調整時使用範囲設定処理では、位置P1〜P2の範囲内でフォーカスバイアス/球面収差調整に使用する範囲を設定する。
【0094】
このような調整時使用範囲設定は、例えばアドレス範囲の計算により可能である。例えばブルーレイディスクの場合、そのデータフォーマット上、データ書込の単位としてRUB(Recording Unit Block)という単位が決められている。
試し書き領域は、ディスク内周側の所定半径範囲に設けられているが、この試し書き領域においては、1周回トラックは約2RUBに相当する。
また、例えばフォーカスバイアス/球面収差調整では、6〜8RUBの長さのデータが存在すればよい。
そこで一例としては、調整用データ書込は位置P1から12RUBの区間行い、一方、調整時使用範囲設定処理としては、位置P1から9RUBの区間とすることが考えられる。
この場合、位置P1から9RUBの記録が完了した位置は、図11の位置P2以前の位置となる。つまり位置P1から9RUB目の記録が完了した位置は、全て外周側トラックの記録が行われ、クロスライトの影響を受けた範囲内となる。例えばこのように、位置P1のアドレスと、位置P1から9RUBの記録が完了した位置のアドレスを算出し、このアドレス範囲をフォーカスバイアス/球面収差調整に再生する範囲とする。
【0095】
なお、もちろん9RUBの区間とする必要はない。少なくともフォーカスバイアス/球面収差調整に必要なアドレス長範囲を設定すればよい。
また必ずしも調整用データ書込を開始した位置P1を含まなくとも良い。即ち、図11(a)でいえば、位置P1〜P2の範囲内で、必要なアドレス長の区間が調整時使用範囲として設定されればよいものである。
また、例えば1周回(約2RUB区間)でフォーカスバイアス/球面収差調整が可能であるのなら、位置P2〜P3の範囲内(クロスライトの影響を受けていない範囲)で調整時使用範囲を設定してもよい。
【0096】
ところで、この場合はクロスライトの影響を受けた区間を外周側隣接トラックにデータ書込が行われた区間としたが、ディスク外周側から内周側に向かってデータ書込が行われるフォーマットのディスクの場合は、逆に内周側隣接トラックにデータ書込が行われた区間がクロスライトの影響を受けた区間となることは言うまでもない。
【0097】
8.球面収差及びフォーカスバイアス調整
図6(a)の手順S3、又は図6(b)の手順S11では、フォーカスバイアス/球面収差調整が行われる。本例では、フォーカスバイアス調整と球面収差調整が同時的に行われるものである。
【0098】
図17,図18を用いて述べたように、従来行われてきたフォーカスバイアス調整と球面収差調整では、マージン最大に精度良く調整できないことや、これを回避するためにサンプリング数を増やすと調整時間が増大すること、さらにはフォーカスバイアス/球面収差調整を同時的に実行することが必要であるが、その場合も上記の調整精度の問題が残されるということがあった。
【0099】
そこで本例では、
・フォーカスバイアス/球面収差を同時に調整する
・サンプリング数が少ないことによる調整精度悪化を防止するとともに、調整所要時間を短縮する
・RF信号振幅値等を評価値とするが、振幅最大がマージンの中心からずれている場合にもマージン中心に調整ができるようにする
という観点で、以下説明する球面収差及びフォーカスバイアス調整を行うものである。
【0100】
以下、図12〜図16により本例の球面収差及びフォーカスバイアス調整処理を説明する。
図12,図13は、図6の手順S3(又は手順S11)として実行されるシステムコントローラ60の制御処理例である。
なお、この例では球面収差補正機構として、図2に示したエキスパンダ87を備えた場合で述べる。
【0101】
球面収差及びフォーカスバイアス調整を行う場合、システムコントローラ60は、まず図12のステップF201として、エキスパンダ87を初期位置にセットさせる。即ち図4のサーボ回路61における設定制御部17に指示し、球面収差補正値設定部20に初期位置をセットさせてエキスパンダ87を初期位置とさせる。以降の処理でも、エキスパンダ87を駆動させる場合は、同様に設定制御部17にエキスパンダ位置を指示することになる。
なお、図12,図13において「EXP」とはエキスパンダ87の初期位置からの相対位置を示す変数としており、これは球面収差補正値と考えて良い。
ステップF201で初期位置とすることは、EXP=0としての指示をサーボ回路61の設定制御部17に与える処理となる。
【0102】
次にステップF202でシステムコントローラ60は、エキスパンダ87を初期位置から+方向に1段階移動させる(EXP=1として指示する)。そしてその状態で、調整用データの再生動作を実行させ、RF信号振幅値を取得する。
即ち、上述したようにディスク1の試し書き領域に書き込んだ調整用データについて、調整時使用範囲設定処理で設定したアドレス範囲の再生の実行を制御する。そしてその際に図5の評価値計算部35で評価値として算出されるRF信号振幅値を取り込むものである。
システムコントローラ60は、この場合に取り込んだRF振幅評価値を変数RFaとして保持する。
【0103】
次にステップF203では、エキスパンダ87を初期位置から−方向に1段階移動させる(EXP=−1として指示する)。そしてその状態で、同様に調整用データの再生動作を実行させ、RF信号振幅値を取得する。
システムコントローラ60は、この場合に取り込んだRF振幅評価値を変数RFbとして保持する。
【0104】
図14(a)に、▲1▼、▲2▼としてここまでの処理を示している。図14はエキスパンダ87の位置(EXP値)とRF信号振幅値(RF振幅評価値)の特性を示している。
まず最初のステップF201でEXP=0としてエキスパンダ87を初期位置とした後、ステップF202では▲1▼として示すようにEXP=1の位置とする。この状態で取得されたRF振幅評価値がRFaとして保持される。
またステップF202では▲2▼として示すようにEXP=−1の位置とする。この状態で取得されたRF振幅評価値がRFbとして保持される。
【0105】
続いて図12のステップF204では、上記ステップF202,F203で取得した各RF振幅評価値(RF1,RF2)を比較し、RFa>RFbであればステップF205で移動方向制御変数DIRを「+1」とする。RFa>RFbでなけばステップF206で移動方向制御変数DIRを「−1」とする。
そしてステップF207でエキスパンダ87を初期位置に戻して(EXP=0)、ステップF208,F209の処理に進む。
【0106】
ステップF208では、まずエキスパンダ87を移動方向制御変数DIRで決められた方向に1段階移動させる。つまりEXP=EXP+DIRとしてエキスパンダ87の移動を指示する。
そして、移動させたエキスパンダ87の位置状態においてフォーカスキャリブレーションを実行する。
フォーカスキャリブレーションとは、エキスパンダ87の位置を固定してフォーカスバイアスの自動調整を行うことである。つまり図4のサーボ回路61の設定制御部17に対してフォーカスバイアス値を順次変更させる指示を行いながら調整時使用範囲設定処理で設定されたアドレス範囲の再生を実行させ、各フォーカスバイアス値に対応して評価値計算部35で得られるRF振幅評価値を取り込む。そして、その取り込んだ各フォーカスバイアス値に対応するRF振幅評価値のうちで最大値(最大のRF信号振幅値)を見つけ、その最大のRF信号振幅値が、フォーカスキャリブレーションされた際のRF振幅評価値とする。
システムコントローラ60は、この最大のRF振幅評価値を変数RF(EXP)として保持する。
【0107】
ステップF209では評価値、即ちエキスパンダ87の位置を固定してフォーカスキャリブレーションを行って得たRF振幅評価値としての変数RF(EXP)の値が、2回連続で減少し、かつその時点の変数RF(EXP)の値が最大RF振幅値×0.9の値以下となっているか否かを確認する。
この条件が満たされていなければステップF208に戻り、一方、この条件が満たされたら、ステップF210に進む。
なお、2回連続減少という条件の「2回」、及び最大RF振幅値×0.9以下という条件の「0.9」は一例であり、これ以外であっても良い。
ステップF210では変数iにその時点のEXP値を代入し、また振幅値RFiを、RF(i)の値、つまりその時点のRF(EXP)の値とする。
【0108】
このステップF208〜F210の処理は、図14(a)の▲3▼として示す動作に相当する。
即ち図14(a)の例の場合、上記▲1▼,▲2▼の動作で得た振幅値RFa、RFbはRFa>RFbとなっている。このため移動方向制御変数DIRはステップF205で「+1」とされる。
従ってステップF208では、まずEXP=EXP+DIRとされて、エキスパンダ87は初期位置から+方向に1段階移動され、図14(a)のEXP=1の状態となる。
このエキスパンダ87の位置状態でフォーカスキャリブレーションが行われ、その上で得られたRF振幅評価値がRF(EXP)=RF(1)として保持される。
【0109】
この時点ではステップF209の条件を満たしていないため、再びステップF208で、EXP=EXP+DIRとされて、今度はエキスパンダ87は、図14(a)のEXP=2の位置状態となる。そして同様にフォーカスキャリブレーションが行われ、その上で得られたRF振幅評価値がRF(EXP)=RF(2)として保持される。
また、更に同様にEXP=3、4、5の各位置状態に移動されて、それぞれフォーカスキャリブレーション及びRF振幅評価値の取得が行われる。
そしてEXP=5の際に、RF振幅評価値が2回連続で減少し、且つRF最大値RFMAX×0.9以下となるという条件が満たされることになる。
このときステップF210では、エキスパンダ87の位置としてのポイントiが見つかったとして、変数i=EXP、つまりこの場合、ポイントi=5とするとともに、その際のRF振幅評価値RF(EXP)=RF(5)=RF(i)として保持している値を、ポイントiでのRF振幅値RFiとするものである。
【0110】
ここでいうポイントiとは、RF振幅値が許容範囲下限(マージン限界)となるエキスパンダ87の+方向の位置に相当する。
なお、図14(a)の例では、ステップF205でDIR=「+1」とされた例となるため、エキスパンダ87の+方向の位置としてポイントiが見つけられるが、もしステップF206でDIR=「−1」とされた場合は、エキスパンダ87は−方向に順次移動されながら同様の処理が行われ、−方向の或る位置としてポイントiが見つけられることになる。
【0111】
図12のステップF210で一方のマージン限界としてのポイントiが見つけられたら、続いて図13のステップF211〜F219で、他方のマージン限界としてのポイントiiを見つける処理が行われる。
まずステップF211では、エキスパンダ87を初期位置に戻して(EXP=0)、その所期位置状態においてフォーカスキャリブレーションを実行する。そしてフォーカスキャリブレーションにおいて得られた最大のRF振幅評価値を初期位置でのRF振幅値RF(0)として保持する。
【0112】
ステップF212では、ポイントiでの振幅値RFiと、初期位置での振幅値RF(0)を比較する。そしてRF(0)>RFiであれば、ステップF213で移動方向制御変数DIRを、DIR×(−1)とする。つまり、それまでDIR=「+1」であればDIR=「−1」とし、またそれまでDIR=「−1」であればDIR=「+1」となるように反転させる。
【0113】
そしてステップF214に進む。ステップF214では、まずエキスパンダ87を移動方向制御変数DIRで決められた方向に1段階移動させる。つまりEXP=EXP+DIRとしてエキスパンダ87の移動を指示する。
そして、移動させたエキスパンダ87の位置状態においてフォーカスキャリブレーションを実行し、フォーカスキャリブレーションで得られた最大のRF振幅評価値を変数RF(EXP)として保持する。
【0114】
ステップF215では評価値、即ちステップF214でエキスパンダ87の位置を或る位置に固定してフォーカスキャリブレーションを行って得たRF振幅評価値としての変数RF(EXP)の値が、ポイントiでの振幅値RFiより小さい値となっているか否かを確認する。
この条件が満たされていなければステップF214に戻り、一方、この条件が満たされたら、ステップF219に進む。
条件が満たされ、ステップF219に進んだ際は、変数iiにその時点のEXP値を代入し、また振幅値RFiiを、RF(ii)の値、つまりその時点のRF(EXP)の値とする。
【0115】
このステップF214〜F219の処理は、図14(b)の▲4▼として示す動作に相当する。
即ちこの図14の例の場合、ステップF212ではRF(0)>RFiとなり、ステップF213でDIRの値は「−1」に反転されることになるため、ステップF214では、まずEXP=EXP+DIRとされて、エキスパンダ87は初期位置から−方向に1段階移動され、図14(b)のEXP=−1の位置状態となる。
このエキスパンダ87の位置状態でフォーカスキャリブレーションが行われ、その上で得られたRF振幅評価値がRF(EXP)=RF(−1)として保持される。
【0116】
この時点ではステップF215の条件を満たしていないため、再びステップF214で、EXP=EXP+DIRとされて、今度はエキスパンダ87は、図14(b)のEXP=−2の位置状態となる。そして同様にフォーカスキャリブレーションが行われ、その上で得られたRF振幅評価値がRF(EXP)=RF(−2)として保持される。
この場合、同様にEXP=−3の位置状態に移動されてフォーカスキャリブレーション及びRF振幅評価値の取得が行われた際に、その振幅値RF(EXP)=RF(−3)が、ポイントiでの振幅値RFi未満となりステップF215の条件が満たされる。
このときステップF219では、エキスパンダ87の位置としてのポイントiiが見つかったとして、変数ii=EXP、つまりこの場合、ポイントii=−3とするとともに、その際のRF振幅評価値RF(EXP)=RF(−3)=RF(ii)として保持している値を、ポイントiiでのRF振幅値RFiiとするものである。
【0117】
ここでいうポイントiiとは、ステップF210で見つけられたポイントiとは逆方向で、RF振幅値が許容範囲下限(マージン限界)となるエキスパンダ87の位置に相当する。
つまり、ポイントi〜iiの範囲が、RF振幅値が許容範囲となる球面収差補正値の範囲である。
【0118】
なお、上記ステップF212でRF(0)>RFiでなければ、ステップF216で移動方向制御変数DIRは、そのまま変化させない。そしてステップF217,F218で、上記ステップF214,F215と同様の処理が行われてポイントiiの探索が行われる。
これは図15に示すような場合の処理となる。
例えばエキスパンダ87の初期位置(EXP=0)が、RF振幅値との特性上で図15に示するような位置となった場合、まず▲3▼として示すように+方向にエキスパンダ87を移動させながらポイントiが探索される。この場合、ステップF212でRF(0)<RFiとなるため、ステップF216でDIR値は「+1」のままとされ、ステップF217,F218では、同じく初期位置から+方向にエキスパンダ87を移動させながらポイントiiを探索することになる。例えばEXP=1の位置としてポイントiiが見つけられる。
【0119】
但しこの場合、RF振幅値が上がる方向に移動しながらポイントiiを探す処理となるため、ステップF218での条件、つまるポイントiiを確定させる条件は、ステップF217でエキスパンダ87の位置を或る位置に固定してフォーカスキャリブレーションを行って得たRF振幅評価値としての変数RF(EXP)の値が、ポイントiでの振幅値RFiより大きい値となることとなる。つまりステップF215の場合と逆になる。
【0120】
このようなステップF211〜F219の処理でポイントiiが見つけられたら、ステップF220でポイントiii、即ち調整ポイントを算出する。
これはポイントiとポイントiiの中間位置とする(iii=(i+ii)/2)。
そして、ステップF221において、エキスパンダ87をポイントiiiに移動させ、これを球面収差調整としての最終的な調整位置になるとともに、その位置でフォーカスキャリブレーションを実行させて、最大振幅値の際のフォーカスバイアス値を、調整による最終的なフォーカスバイアス値とする。
【0121】
以上の処理で球面収差及びフォーカスバイアス調整を完了する。
この場合、例えば図14(b)の▲5▼に示すように、エキスパンダ87の位置は、ポイントi、iiの中間位置であるポイントiiiとして、EXP=1の位置とされる。そしてこの位置は、図からわかるようにマージン幅が最大となるポイントとなる。
また、上記説明からわかるように、ポイントi、iiの各探索の際には、それぞれのエキスパンダ87の位置状態においてフォーカスキャリブレーションを実行している。つまり各エキスパンダ位置状態で、フォーカスバイアス調整した際のRF振幅値を用いて、各マージン限界点であるポイントi、iiを探し出すようにしている。
これはつまり、フォーカスバイアス調整と球面収差調整を同時的に、図16の軸Jの方向に調整していることに相当する。
従って、ポイントiiiは、図16のq0の球面収差位置になり、またポイントiiiでフォーカスキャリブレーションされたフォーカスバイアス値は、図16のf0としてのバイアス値になる。つまり適切な調整が実現される。
【0122】
本例では、以上のようにフォーカスバイアス/球面収差調整が行われる。
即ち、フォーカスバイアス値と球面収差補正値の両方を変化させながら、評価値の許容限界ポイントとして評価値が略同等となる2つの許容限界ポイント(ポイントi、ii)を探索し、この2つの許容限界ポイントの中間ポイント(ポイントiii)に対応するように、フォーカスバイアス値と球面収差補正値が調整される。
2つの許容限界ポイント(ポイントi、ii)を探索する際には、球面収差補正値を段階的に変化させると共に、該各段階において、フォーカスバイアスを変化させて(フォーカスキャリブレーション)最適な評価値を取得する。
【0123】
より具体的には、フォーカスバイアス値と球面収差補正値の両方を変化させた状態でディスク1の再生を行い、その際に反射光に基づく信号から評価値を生成する処理と、評価値に基づいて、許容限界ポイント(ポイントi、ii)を決定する処理と、評価値が略同等となる2つの許容限界ポイント(ポイントi、ii)から中間ポイント(ポイントiii)を決定する処理と、中間ポイント(ポイントiii)に対応するように、フォーカスバイアス値と球面収差補正値を調整する処理とが行われる。
【0124】
このようなフォーカスバイアス/球面収差調整により、次の効果が得られる。
まず上記のようにフォーカスバイアス/球面収差調整が同時的に実行されるので、それぞれ適切なフォーカスバイアス値、球面収差補正値に精度良く調整できる。
また、単にRF振幅最大ポイントに調整するのではなく、マージン中心ポイントに調整するものであるため、図17で説明したような問題を回避し、適切な調整が実現される。結果的にディスクドライブ装置の信頼性を向上させることができる。
また、RF振幅評価値のサンプリング数を増加させる必要もないため、調整に要する時間を短縮でき、調整のためにユーザーを待たせる時間も短縮できる。
さらに、本例のフォーカスバイアス/球面収差調整は、上述した粗OPC、及び調整時使用範囲設定が行われた上で実行されるため、その点でも調整精度が向上されたものとなる。
【0125】
なお、フォーカスバイアス/球面収差調整の処理としては各種変形例が考えられる。
まず、上記例ではエキスパンダ87の位置を変化させながらフォーカスキャリブレーションをその都度実行していくものとした。逆に、フォーカスバイアス値を段階的に変化させる際に、その都度球面収差のキャリブレーションを行ってポイントi,iiを探していくという手法も考えられる。
また、球面収差調整機構をエキスパンダ87による機構の例としたが、もちろん図3の液晶パネル89を用いた機構でも採用できる。
その場合は、液晶パネル89において球面収差補正値を段階的に変化させながらフォーカスキャリブレーションを行ってポイントi,iiを探索する処理を行うか、或いはフォーカスバイアス値を段階的に変化させながら、その都度球面収差のキャリブレーションを行ってポイントi,iiを探索する処理を行うようにして、図12,図13のような処理をおこなえばよい。
【0126】
ところで、エキスパンダ87を用いる構成の場合において、フォーカスバイアス値を段階的に変化させながら、その都度球面収差のキャリブレーションを行ってポイントi,iiを探すという手法を採ると、調整時間が図12,図13で説明した場合より長くなる。これはエキスパンダ87の機械的な移動を行う回数が増加するためである。従ってエキスパンダ87を用いる構成の場合は、図12,図13で説明した処理の方が所要時間的には好適である。
一方、液晶パネル89を用いた構成の場合、液晶パネル89において球面収差補正値を段階的に変化させながらフォーカスキャリブレーションを行ってポイントi,iiを探索する処理の場合も、或いはフォーカスバイアス値を段階的に変化させながら、その都度球面収差のキャリブレーションを行ってポイントi,iiを探索する処理を行う場合も、いずれも機械的な移動は発生しないため時間的には大差ない。また機械的な移動が不要であることは、エキスパンダ87を用いた構成の場合よりもフォーカスバイアス/球面収差調整がより迅速に可能となるものでもある。
【0127】
また上記例では、フォーカスバイアス/球面収差調整の際の評価値としてはRF振幅値を用いたが、ジッタ値、或いはアシンメトリを用いてもよい。
さらには、ディスク上で再生RF信号が得られない未記録部分であってもグルーブのウォブルによる振幅成分を用いて調整することも可能である。その場合は、粗OPCや調整時使用範囲設定処理は不要となる。
また、ディスク1が再生専用ディスクである場合も、上述したフォーカスバイアス/球面収差調整の処理やその変形例として述べた処理は、同様に有効である。
【0128】
9.調整タイミング
図6(a)又は(b)として示した一連の調整処理を実行するタイミングは多様に考えられる。
まず、当然ながら、ディスク装填時に実行することが適切である。
また、再生中、シーク前後、或いは所定時間経過後に実行したり、ディスク上のトレース位置(内外周)に応じて実行することも考えられる。
例えば再生中であれば、ディスク1から読み出したデータのバッファリングの余裕のあるタイミングで行うことができる。
また、シーク直前、或いはシーク直後のタイミングも、調整処理の実行タイミングとして好適である。
【0129】
また、機器の温度状態(デバイス、アクチュエータの温度特性によるフォーカスバイアス最適値の変化)、経年変化、ディスク上のトレース位置(半径位置)などに応じて調整することで、これらの事情に対応した調整状態とできる。
従って、ディスク1に対する動作期間中などであっても、定期的、或いは不定期に調整処理が実行されることで、装置動作の安定化にとって適切なものとなる。また、温度変化検出、再生データのエラーレート/ジッタの悪化などをトリガとして、調整処理を行うことも考えられる。
【0130】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように本発明によれば、フォーカスバイアス値と球面収差補正値の両方を変化させながら、評価値の許容限界ポイントとして評価値が略同等となる2つの許容限界ポイントを探索し、この2つの許容限界ポイントの中間ポイントに対応するように、フォーカスバイアス値と球面収差補正値が調整される。これはフォーカスバイアス/球面収差調整が同時的に実行されるものであるので、それぞれ適切なフォーカスバイアス値、球面収差補正値に精度良く調整できる。
また、単にRF振幅最大ポイントに調整するのではなく、マージン中心ポイントに調整することになり、従って最適な調整が精度良く実行できる。結果的にディスクドライブ装置の信頼性を向上させることができる。
またこの場合、評価値のサンプリング数を増加させる必要もないため、調整に要する時間を短縮でき、調整のためにユーザーを待たせる時間も短縮できる。
2つの許容限界ポイント(ポイントi、ii)を探索する際には、フォーカスバイアス値と球面収差補正値の一方を段階的に変化させると共に、該各段階において、他方を変化させて最適な評価値を取得する処理を行うことで、上記の同時的な調整処理が適切に実行できる。
【0131】
また、フォーカスバイアス及び球面収差の調整処理に用いるデータ書込を実行した範囲内で、フォーカスバイアス及び球面収差の調整に用いる範囲を設定することは、調整時に同一の条件の範囲を使用するようにすることを意味する。これも、その後に実行するフォーカスバイアス/球面収差調整の精度向上に寄与するものとなる。
特に、内周側から外周側に複数周回トラック範囲でデータ書込を行った範囲内で、外周側に上記データ書込が行われたトラックが存在する範囲を調整時使用範囲とすることで、クロスライト条件が同様となる範囲で、フォーカスバイアス/球面収差調整が実行でき、その精度向上に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。
【図2】実施の形態の球面収差補正機構例の説明図である。
【図3】実施の形態の球面収差補正機構例の説明図である。
【図4】実施の形態のサーボ回路の要部のブロック図である。
【図5】実施の形態のリーダ/ライタ回路のブロック図である。
【図6】実施の形態の調整処理手順のフローチャートである。
【図7】実施の形態の調整用データ書込及び粗OPC処理のフローチャートである。
【図8】図7の調整用データ書込及び粗OPC処理の▲1▼▲2▼▲3▼の場合の説明図である。
【図9】図7の調整用データ書込及び粗OPC処理の▲4▼▲5▼▲6▼の場合の説明図である。
【図10】実施の形態の調整用データ書込及び粗OPC処理の評価値の説明図である。
【図11】実施の形態の調整使用範囲設定の説明図である。
【図12】実施の形態の球面収差及びフォーカスバイアス調整のフローチャートである。
【図13】実施の形態の球面収差及びフォーカスバイアス調整のフローチャートである。
【図14】実施の形態の球面収差及びフォーカスバイアス調整動作の説明図である。
【図15】実施の形態の球面収差及びフォーカスバイアス調整動作の説明図である。
【図16】実施の形態の球面収差及びフォーカスバイアスの同時調整の説明図である。
【図17】球面収差及びフォーカスバイアス調整の問題点の説明図である。
【図18】球面収差とフォーカスバイアスの同時調整の必要性の説明図である。
【符号の説明】
1 ディスク、10 DSP、11,21 A/D変換器、12 フォーカスサーボ演算部、13,23,25 D/A変換器、14 フォーカスドライバ、15 加算器、16 フォーカスバイアス設定部、17 設定制御部、18 不揮発性メモリ、20 球面収差補正値設定部、22 トラッキングサーボ演算部、24 トラッキングドライバ、26 球面収差補正ドライバ、
31 ライト波形生成部、32 2値化回路、33 RF再生処理部、34 PLL回路、35 評価値計算部、51 ピックアップ、52 スピンドルモータ、53 スレッド機構、54 マトリクス回路、55 リーダ/ライタ回路、56 変復調回路、57 ECCエンコーダ/デコーダ、58 ウォブル回路、59 アドレスデコーダ、60 システムコントローラ、61 サーボ回路、62スピンドルサーボ回路、63 レーザドライバ、87 エキスパンダ、89 液晶パネル、120 AVシステム

Claims (6)

  1. データの書込又は読出のために、ディスク記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うとともに、レーザ光のフォーカスサーボ機構、及び球面収差補正機構を有するヘッド手段と、
    上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号から評価値を生成する評価値生成手段と、
    上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるフォーカスエラー信号に基づいて上記フォーカスサーボ機構を駆動してフォーカスサーボを実行するフォーカスサーボ手段と、
    球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差調整を実行する球面収差調整手段と、
    上記フォーカスサーボ手段を含むフォーカスループにフォーカスバイアスを加算するフォーカスバイアス手段と、
    上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値の両方を変化させながら、上記評価値の許容限界ポイントとして、上記評価値が略同等となる2つの許容限界ポイントを探索し、該2つの許容限界ポイントの中間ポイントに対応するように、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値を調整する制御手段と、
    上記ディスク記録媒体に対して、上記フォーカスバイアス及び上記球面収差の調整処理に用いるデータ書込を内周側から外周側に複数周回トラック範囲で実行した後、当該データ書込を行ったディスク記録媒体上の範囲内で、上記フォーカスバイアス及び上記球面収差の調整処理の際に再生する調整時使用範囲を、当該複数周回トラック範囲内であって、外周側に上記データ書込が行われたトラックが存在する範囲内で、上記調整時使用範囲を設定する調整時使用範囲設定手段と
    を備えたことを特徴とするディスクドライブ装置。
  2. 上記評価値生成手段は、上記ディスク記録媒体からのデータ再生時に、上記評価値として、ジッタ値、又は再生信号振幅値、又はアシンメトリ値を生成することを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
  3. 上記制御手段は、上記許容限界ポイントを探索する際には、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値の一方を段階的に変化させると共に、該各段階において、他方を変化させて最適な上記評価値を取得する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
  4. フォーカスバイアス値と球面収差補正値の両方を変化させた状態でディスク記録媒体の再生を行い、その際に反射光に基づく信号から評価値を生成する評価値生成ステップと、
    上記評価値に基づいて、許容限界ポイントを決定する許容限界ポイント決定ステップと、
    上記許容限界ポイント決定ステップで決定された、上記評価値が略同等となる2つの許容限界ポイントから、その2つの許容限界ポイントの中間ポイントを決定する中間ポイント決定ステップと、
    上記中間ポイントに対応するように、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値を調整する調整ステップと、を備え、
    上記調整ステップは、上記ディスク記録媒体に対して、上記フォーカスバイアス及び上記球面収差の調整処理に用いるデータ書込を内周側から外周側に複数周回トラック範囲で実行した後、当該データ書込を行ったディスク記録媒体上の範囲内で、上記フォーカスバイアス及び上記球面収差の調整処理の際に再生する調整時使用範囲を、当該複数周回トラック範囲内であって、外周側に上記データ書込が行われたトラックが存在する範囲内で、上記調整時使用範囲を設定する調整時使用範囲設定ステップを備えたこと
    を特徴とするフォーカスバイアス及び球面収差調整方法。
  5. 上記評価値生成ステップでは、ジッタ値、又は再生信号振幅値、又はアシンメトリ値を上記評価値として生成することを特徴とする請求項に記載のフォーカスバイアス及び球面収差調整方法。
  6. 上記許容限界ポイント決定ステップでは、上記フォーカスバイアス値と上記球面収差補正値の一方を段階的に変化させると共に、該各段階において、他方を変化させて最適な上記評価値を取得する処理を行うことを特徴とする請求項に記載のフォーカスバイアス及び球面収差調整方法。
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