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JP2008305477A - フォーカスバイアス調整装置及びフォーカスバイアス調整方法 - Google Patents

フォーカスバイアス調整装置及びフォーカスバイアス調整方法 Download PDF

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JP2008305477A JP2007150457A JP2007150457A JP2008305477A JP 2008305477 A JP2008305477 A JP 2008305477A JP 2007150457 A JP2007150457 A JP 2007150457A JP 2007150457 A JP2007150457 A JP 2007150457A JP 2008305477 A JP2008305477 A JP 2008305477A
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誠一 相樂
Nobuyuki Yusa
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Abstract

【課題】本発明は、光ディスクのデータ記録面にレーザ光を的確に照射させる。
【解決手段】本発明は、光ディスク2のデータ記録面に対物レンズ24を介して集光させたレーザ光L1を照射させながら実行される動作中に、対物レンズ25の位置を補正するためのフォーカスバイアスFB1の値を増減させるように変化させて対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしながら光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1を照射して得られる再生信号に基づきフォーカスバイアスFB1の値に対する評価値を算出し、その評価値に基づきフォーカスバイアスFB1の値を調整するフォーカスバイアス調整処理を実行することにより、動作中の温度変化によりフォーカスエラー信号の誤差が変化しても、その変化に追従してフォーカスバイアスFB1の値を調整でき、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1を的確に照射させることができる。
【選択図】図7

Description

本発明はフォーカスバイアス調整装置及びフォーカスバイアス調整方法に関し、例えば光ディスクからデータを再生する再生装置や、光ディスクにデータを記録し当該記録したデータを再生する記録再生装置に適用して好適なものである。
従来の記録再生装置は、データ記録時、光ピックアップにおいてレーザダイオードから記録対象のデータに応じて発射したレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスクのデータ記録面に照射する。これにより記録再生装置は、光ディスクのデータ記録面においてレーザ光の照射位置にピットを形成する。このようにして記録再生装置は、光ディスクのデータ記録面に対しピットとして記録対象のデータを記録していた。
また記録再生装置は、データ再生時、光ピックアップにおいてレーザダイオードから読出用に発射したレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスクのデータ記録面に照射する。これにより記録再生装置は、光ディスクのデータ記録面で、そのレーザ光が反射して得られる反射光に基づき、当該データ記録面に記録されていたデータを再生していた。
ところで記録再生装置は、データ記録時やデータ再生時に光ディスクのデータ記録面に対しレーザ光を照射している間、当該データ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光に基づき、そのデータ記録面にレーザ光の焦点がどの程度合っているかを示すフォーカスエラー信号を生成している。そして記録再生装置は、そのフォーカスエラー信号に基づき光ピックアップの対物レンズをレーザ光の光軸に沿ってデータ記録面に接近させる(すなわち、近づける)方向(以下、これを接近方向と呼ぶ)及びこれとは逆のデータ記録面から離間させる(すなわち、引き離す)方向(以下、これを離間方向と呼ぶ)へ適宜移動させて位置を調整し、かくして光ディスクのデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるようにしている。
ただし記録再生装置では、光ピックアップの組立精度(例えば、光学部品の配置位置の調整誤差)や当該光ピックアップを構成する各種部品の成形精度等に起因して、フォーカスエラー信号に誤差が生じている場合がある。すなわち、記録再生装置では、フォーカスエラー信号に基づき、例えば光ディスクのデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるように対物レンズの位置を調整したつもりでも、実際には対物レンズがデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるような所望位置からずれている(例えば、データ記録面にレーザ光の焦点が合ってはいない)場合がある。
このため記録再生装置は、例えば立上時、対物レンズの位置を補正するためのレンズ位置補正信号(以下、これをフォーカスバイアスと呼ぶ)の値(一定値)を設定する。そして記録再生装置は、データ記録時及びデータ再生時には、そのフォーカスバイアスをフォーカスエラー信号に加算し、その加算結果に基づいて対物レンズの位置を調整している。これにより記録再生装置は、フォーカスエラー信号に誤差が生じていても、フォーカスバイアスにより当該フォーカスエラー信号の誤差を相殺するようにして対物レンズの位置を補正し、かくして光ディスクのデータ記録面にレーザ光の焦点を合せていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−233917公報(第5頁)
ところで、かかる構成の記録再生装置では、例えば、各種回路ブロックやスピンドルモータ等が動作すると熱を発し、装置の内部温度が上昇する。そして記録再生装置では、内部温度が上昇すると、その熱により光ピックアップのベース部材が伸びて変形する。その結果、記録再生装置では、光ピックアップにおいてベース部材に保持しているレンズやレーザダイオード等の光学部品間の距離が変化する場合がある。
ところが、記録再生装置では、動作中に光ピックアップの光学部品間の距離が変化すると、フォーカスエラー信号の誤差も変化する。その結果、記録再生装置では、立上時に、対物レンズの位置を補正するようにフォーカスバイアスの値を設定していても、その後、フォーカスエラー信号の誤差が変化すると、その誤差をフォーカスバイアスによっては相殺し難くなる。そして記録再生装置では、フォーカスエラー信号にフォーカスバイアスを加算して対物レンズの位置を調整しても、その対物レンズが所望位置からずれて、光ディスクのデータ記録面にレーザ光を的確(例えば、焦点を合せるように)には照射させ難いと言う問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、光ディスクのデータ記録面にレーザ光を的確に照射させ得るフォーカスバイアス調整装置及びフォーカスバイアス調整方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、光ディスクのデータ記録面に対物レンズを介して集光させたレーザ光を照射させながら実行される動作中に、光ディスクのデータ記録面にレーザ光を集光させて照射させる対物レンズの位置を補正するためのフォーカスバイアスの値を増減させるように変化させ、当該値を増減させるように変化させたフォーカスバイアスに応じて対物レンズが光軸に沿って微小に振り動かされながら光ディスクのデータ記録面にレーザ光が照射されて得られる再生信号に基づき、対物レンズの位置の補正に対するフォーカスバイアスの値の評価を数値化して表す評価値を算出し、当該算出した評価値に基づいて、フォーカスバイアスの値を調整するフォーカスバイアス調整処理を実行するようにした。
従って本発明では、動作中の温度変化によって、対物レンズの位置を調整するためのフォーカスエラー信号の誤差が変化しても、その変化に追従してフォーカスバイアスの値を調整することができる。
本発明によれば、光ディスクのデータ記録面に対物レンズを介して集光させたレーザ光を照射させながら実行される動作中に、光ディスクのデータ記録面にレーザ光を集光させて照射させる対物レンズの位置を補正するためのフォーカスバイアスの値を増減させるように変化させ、当該値を増減させるように変化させたフォーカスバイアスに応じて対物レンズが光軸に沿って微小に振り動かされながら光ディスクのデータ記録面にレーザ光が照射されて得られる再生信号に基づき、対物レンズの位置の補正に対するフォーカスバイアスの値の評価を数値化して表す評価値を算出し、当該算出した評価値に基づいて、フォーカスバイアスの値を調整するフォーカスバイアス調整処理を実行するようにしたことにより、動作中の温度変化によって、対物レンズの位置を調整するためのフォーカスエラー信号の誤差が変化しても、その変化に追従してフォーカスバイアスの値を調整することができ、かくして光ディスクのデータ記録面にレーザ光を的確に照射させ得るフォーカスバイアス調整装置及びフォーカスバイアス調整方法を実現することができる。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
図1において、1は第1の実施の形態による再生装置のハードウェア回路ブロックによるハードウェア回路構成を示す。かかる再生装置1は、内部に光ディスク2を装填し得るようになされている。そして再生装置1には、内部に装填された光ディスク2のデータ記録面と対向するように光ピックアップ3が設けられている。また光ピックアップ3は、スレッド機構部4により光ディスク2の半径方向(以下、これをディスク半径方向と呼ぶ)へ移動可能に保持されている。
ここで再生装置1においてデータの再生に用いられる光ディスク2は、データ記録面に例えば予め一定の線速度で一定の周波数となるようにウォブリング(すなわち、蛇行)されたグルーブ(すなわち、案内溝)が形成され、そのグルーブ(及びグルーブ間のランド)がデータの記録されたトラックになる。また光ディスク2は、グルーブのウォブリングに対しADIP(Address In Pre Groove )と呼ばれるデータ記録面内のアドレス情報(以下、これをディスクアドレス情報と呼ぶ)が埋め込まれている。
かかる再生装置1において例えばマイクロコンピュータでなるシステムコントローラ5は、外部のAV(Audio Visual)システムAVS1から与えられる読出命令(すなわち、リードコマンド)等の各種命令に応じて装置全体を統括制御すると共に、各種処理を実行する。これによりシステムコントローラ5は、再生装置1に光ディスク2が装填された状態で電源オン命令が入力され起動したときや、起動完了後の動作可能な状態(すなわち、電源オン状態)で再生装置1に対し光ディスク2が装填(又は、交換)されると、立上モードとなる。
この際、サーボ回路6は、システムコントローラ5の制御のもと、スレッド機構部4を駆動して光ピックアップ3を光ディスク2の例えば最内周と対向する位置まで移動させる。またスピンドル駆動回路7は、システムコントローラ5の制御のもと、スピンドルモータ8を駆動することにより光ディスク2を一定速度で回転させる。さらにレーザドライバ9は、光ディスク2が回転すると、システムコントローラ5の制御のもと、レーザ光を連続的に発射させるためのレーザ制御信号を生成し、これを光ピックアップ3に送出する。
光ピックアップ3は、レーザドライバ9からレーザ制御信号が与えられると、そのレーザ制御信号に基づきレーザダイオードからレーザ光を連続的に発射させ、当該発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスク2のデータ記録面に照射する。また光ピックアップ3は、光ディスク2のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光を例えば複数の受光素子によって受光して光電変換する。これにより光ピックアップ3は、これら複数の受光素子によりそれぞれ受光した反射光の光量に応じた電流値の信号(以下、これを光電信号と呼ぶ)を生成してマトリクス回路10に送出する。
マトリクス回路10は、光ピックアップ3から複数の受光素子によって生成された光電信号が与えられると、これら光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路10は、これら光電信号に基づき、光ディスク2のデータ記録面に対しレーザ光の焦点がどの程度合っているかを示すフォーカスエラー信号を生成する。
またマトリクス回路10は、これら光電信号に基づき、光ディスク2のデータ記録面のトラックに対しレーザ光の照射位置がどの程度合っているかを示すトラッキングエラー信号を生成する。そしてマトリクス回路10は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ回路6に送出する。
ところでサーボ回路6は、このときシステムコントローラ5の制御のもと、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるような対物レンズの所望位置を探索するためのフォーカス探索信号を生成して、これを光ピックアップ3に送出する。これによりサーボ回路6は、光ピックアップ3においてフォーカス探索信号により対物レンズを光軸に沿って、例えば光ディスク2のデータ記録面に徐々に近づけるように移動させながら、その際にマトリクス回路10から与えられるフォーカスエラー信号に基づき、当該データ記録面にレーザ光の焦点を合せるようにフォーカス引込動作を行う。
そしてサーボ回路6は、このようなフォーカス引込動作が完了すると、引き続きマトリクス回路10から与えられるフォーカスエラー信号に基づきフォーカス制御信号を生成し、これを光ピックアップ3に送出する。これによりサーボ回路6は、フォーカス制御信号により光ピックアップ3において対物レンズを光軸に沿って光ディスク2のデータ記録面に接近させる(すなわち、近づける)方向(以下、これを接近方向と呼ぶ)及びこれとは逆のデータ記録面から離間させる(すなわち、引き離す)方向(以下、これを離間方向と呼ぶ)へ適宜移動させて光ディスク2のデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるようにする。このようにしてサーボ回路6は、光ピックアップ3及びマトリクス回路10と共にフォーカスサーボループを形成し、かくして光ディスク2のデータ記録面に対しレーザ光の焦点を追従させる。
またサーボ回路6は、システムコントローラ5の制御のもと、光ディスク2のデータ記録面においてトラックにレーザ光の照射位置を合せるためのトラック探索信号を生成して、これを光ピックアップ3に送出する。これによりサーボ回路6は、光ピックアップ3においてトラック探索信号により例えば対物レンズをディスク半径方向へ徐々に移動させながら、その際にマトリクス回路10から与えられるトラッキングエラー信号に基づき、当該データ記録面のトラックにレーザ光の照射位置を合せるようにレーザ光のトラック引込動作を行う。
そしてサーボ回路6は、このようなレーザ光のトラック引込動作が完了すると、引き続きマトリクス回路10から与えられるトラッキングエラー信号に基づきトラッキング制御信号を生成し、これを光ピックアップ3に送出する。これによりサーボ回路6は、トラッキング制御信号により光ピックアップ3において対物レンズをディスク半径方向に適宜移動させて光ディスク2のトラックにレーザ光を照射させる。このようにしてサーボ回路6は、光ピックアップ3及びマトリクス回路10と共にトラッキングサーボループも形成し、かくして光ディスク2のトラックに対しレーザ光の照射位置を追従させる。
さらにマトリクス回路10は、フォーカス引込動作及びトラック引込動作が完了すると、光ピックアップ3から与えられる複数の光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路10は、これら光電信号に基づきフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号と共に、光ディスク2に形成されたグルーブのウォブリングの振幅(以下、これをウォブル振幅と呼ぶ)を示すウォブル信号も生成する。そしてマトリクス回路10は、そのウォブル信号をウォブル回路11に送出する。
ウォブル回路11は、マトリクス回路10から与えられたウォブル信号を復調して、ディスクアドレス情報を検出するためのストリームデータを生成し、これをアドレス生成回路12に送出する。そしてアドレス生成回路12は、ウォブル回路11から与えられたストリームデータをデコード処理し、その結果得られたディスクアドレス情報をシステムコントローラ5に送出する。
これによりシステムコントローラ5は、アドレス生成回路12から与えられるディスクアドレス情報に従い、光ディスク2のデータ記録面においてレーザ光の照射位置を検出することができる。ところでシステムコントローラ5は、例えば、光ディスク2のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態となり、引き続きAVシステムAVS1から読出命令が与えられると、立上モードから再生モードへ移行する。
この際、システムコントローラ5は、AVシステムAVS1によりデータの読出開始位置を示すアドレス情報が指定されると、このときアドレス生成回路12から与えられたディスクアドレス情報(すなわち、その時点における光ディスク2のデータ記録面へのレーザ光の照射位置)を当該読出開始位置を示すアドレス情報と比較するようにして、適宜シーク指示信号を生成する。そしてシステムコントローラ5は、かかるシーク指示信号をサーボ回路6に送出する。
サーボ回路6は、システムコントローラ5からシーク指示信号が与えられると、トラッキングサーボループを一時的に解除する。そしてサーボ回路6は、シーク指示信号に基づきシーク制御信号を生成し、これをスレッド機構部4に送出する。これによりサーボ回路6は、シーク制御信号によりスレッド機構部4を駆動して光ピックアップ3をディスク半径方向へ複数のトラックを飛び越すようにシークさせる。
因みにシステムコントローラ5は、光ピックアップ3をディスク半径方向へシークさせると、トラックジャンプ指示信号を生成し、これをサーボ回路6に送出する。そしてサーボ回路6は、システムコントローラ5からトラックジャンプ指示信号が与えられると、トラッキングサーボループを解除したまま、そのトラックジャンプ指示信号に基づきジャンプ制御信号を生成し、これをスレッド機構部4に送出する。
これによりサーボ回路6は、ジャンプ制御信号によりスレッド機構部4を駆動して光ピックアップ3をディスク半径方向へ僅かに移動させ、かくして光ディスク2において再生対象のデータの読出開始位置を含むトラックにレーザ光の照射位置を引き込むようにする。なおサーボ回路6は、トラックに対するレーザ光の照射位置の引き込みが完了すると、再びトラッキングサーボループを形成する。
またシステムコントローラ5は、このときレーザドライバ9に対し、レーザ光に対する読出用出力の値を指示する。よってレーザドライバ9は、システムコントローラ5の指示に応じて、レーザ光を読出用出力で連続的に発射させるためのレーザ制御信号を生成し、これを光ピックアップ3に送出する。
これにより光ピックアップ3は、レーザドライバ9から与えられたレーザ制御信号に基づきレーザダイオードからレーザ光を読出用出力で連続的に発射させ、当該発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスク2のデータ記録面に照射する。また光ピックアップ3は、光ディスク2のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光を複数の受光素子によって受光して光電変換し、これにより光電信号を生成してマトリクス回路10に送出する。
マトリクス回路10は、光ピックアップ3から複数の光電信号が与えられると、これら光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路10は、これら光電信号に基づきフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びウォブル信号と共に、再生対象のデータに相当する高周波信号(以下、これをRF信号と呼ぶ)も生成する。そしてマトリクス回路10は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ回路6に送出し、かつウォブル信号をウォブル回路11に送出すると共に、RF信号をリーダ回路13に送出する。
リーダ回路13は、マトリクス回路10から与えられたRF信号に対し2値化処理を施し、その結果得られた変調データを復調回路14に送出する。またリーダ回路13は、このときRF信号を用いたPLL(Phased Lock Loop)処理を実行することにより、再生処理用の動作クロック(以下、これを再生処理用動作クロックと呼ぶ)を生成する。そしてリーダ回路13は、かかる再生処理用動作クロックを各部に供給する。
復調回路14は、このときリーダ回路13から与えられている再生処理用動作クロックに同期して動作する。そして復調回路14は、リーダ回路13から与えられた変調データに対し、ランレングスリミテッド復号処理のような復調処理を施し、その結果得られたエンコードデータをデコーダ15に送出する。
デコーダ15も、このときリーダ回路13から与えられている再生処理用動作クロックに同期して動作する。そしてデコーダ15は、復調回路14から与えられたエンコードデータについて例えば、誤り訂正符号(Error Correcting Code )が付加されている単位ブロック毎に、誤り検出訂正処理やデインタリーブ等のデコード処理を施して再生対象のデータを生成し、当該生成したデータを内部のバッファに格納する。
またデコーダ15は、AVシステムAVS1の指示に応じて、バッファに対し例えば4つの単位ブロック分のような所定単位ブロック分のデータを格納する毎に、当該バッファから所定単位ブロック分のデータを読み出してAVシステムAVS1に転送する。このようにしてシステムコントローラ5は、光ディスク2のデータ記録面に記録されていたデータを再生してAVシステムAVS1に転送することができる。
因みにスピンドル駆動回路7は、この際、例えばリーダ回路13から与えられる再生処理用動作クロックをもとに、現在のスピンドルモータ8の回転速度を検出する。またスピンドル駆動回路7は、その回転速度を、予め設定された例えば、光ディスク2を線速度一定(Constant Linear Velocity)で回転させるための規準速度と比較するようにして、スピンドルモータ8の回転速度が基準速度にどの程度合っているかを示すスピンドルエラー信号を生成する。
そしてスピンドル駆動回路7は、かかるスピンドルエラー信号に基づきスピンドル制御信号を生成し、これをスピンドルモータ8に送出する。これによりスピンドル駆動回路7は、スピンドル制御信号によりスピンドルモータ8を回転駆動させ、かくして光ディスク2を線速度一定で回転させる。
また光ピックアップ3は、レーザ光の出力監視用の受光素子(以下、これを特に監視用受光素子と呼ぶ)を有している。このため光ピックアップ3は、光ディスク2のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光の一部を監視用受光素子によって受光して光電変換する。これにより光ピックアップ3は、レーザ光の出力監視用の信号(以下、これを出力監視用信号と呼ぶ)を生成してレーザドライバ9に送出する。
そしてレーザドライバ9は、APC(Auto Power Control)回路を有している。このためレーザドライバ9は、光ピックアップ3のレーザダイオードを制御しながら、その光ピックアップ3から与えられた出力監視用信号をAPC回路に取り込む。これによりレーザドライバ9は、APC回路により出力監視用信号に基づきレーザ光の出力を監視するようにしてレーザ制御信号の値を適宜調整し、かくしてレーザ光の出力を周囲の温度の変化等によらずに一定の読出用出力となるように制御する。
さらにサーボ回路6は、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光が照射されている間、例えばトラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号に基づきスレッド制御信号を生成し、これをスレッド機構部4に送出する。これによりサーボ回路6は、スレッド制御信号によりスレッド機構部4を駆動して光ピックアップ3をディスク半径方向へ徐々に移動させる。このようにしてサーボ回路6は、光ディスク2のデータ記録面からトラックに沿って再生対象のデータを読み出させることができるようになされている。
ところでシステムコントローラ5は、立上モードにおいて、光ディスク2のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態になっても、AVシステムAVS1から読出命令が与えられないときには、その立上モードから待機モードに移行する。この際、システムコントローラ5は、光ディスク2のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し続ける。これによりシステムコントローラ5は、待機モード時にAVシステムAVS1から読出命令が与えられると、再生モードに移行するものの、そのとき、光ディスク2のデータ記録面に対するレーザ光の照射位置を容易に検出して当該光ディスク2から速やかにデータの読み出しを開始し得るようにしている。
ただしシステムコントローラ5は、立上モードから待機モードに移行しても、予め選定された所定のモード継続時間内に、AVシステムAVS1から読出命令が何ら与えられないときには、レーザドライバ9による光ピックアップ3のレーザダイオードに対する駆動を停止させ、当該レーザダイオードによるレーザ光の発射を停止させる。またシステムコントローラ5は、スピンドル駆動回路7によるスピンドルモータ8の駆動も停止させて光ディスク2の回転も停止させる。これによりシステムコントローラ5は、立上モードから待機モードに移行しても、モード継続時間内にAVシステムAVS1から読出命令が与えられないときには、再生装置1内の各種回路ブロックやスピンドルモータ8等の動作を停止させて再生装置1を休止させた状態(以下、これを装置休止状態と呼ぶ)になり、無駄な電力消費を回避している。
またシステムコントローラ5は、再生モードにおいて光ディスク2からのデータの再生が終了すると、この際にも待機モードに移行する。そしてシステムコントローラ5は、再生モードから待機モードに移行しても、モード継続時間内にAVシステムAVS1から読出命令が与えられると、再生モードに移行する。しかしながらシステムコントローラ5は、再生モードから待機モードに移行しても、モード継続時間内にAVシステムAVS1から新たに読出命令が何ら与えられないときには、装置休止状態になり、無駄な電力消費を回避している。
次いで、図2を用いて光ピックアップ3の構成について説明する。かかる光ピックアップ3は、レーザダイオード20を有し、レーザドライバ9から与えられるレーザ制御信号をレーザダイオード20に取り込んでいる。そして光ピックアップ3は、レーザダイオード20からレーザ制御信号に応じて発射したレーザ光L1を、コリメータレンズ21に通して平行光にした後、ビームスプリッタ22及び球面収差補正レンズ群23に順次通し、さらに対物レンズ24で集光させて光ディスク2のデータ記録面に照射させる。
また光ピックアップ3は、光ディスク2のデータ記録面でレーザ光L1が反射して得られる反射光L2を、対物レンズ24及び球面収差補正レンズ群23に順次通してビームスプリッタ22で反射させた後、コリメータレンズ25で集光して受光部26に設けられた複数の受光素子で受光する。そして光ピックアップ3は、受光部26の複数の受光素子で反射光L2を光電変換し、その結果得られる光電信号をマトリクス回路10に送出している。
ここで球面収差補正レンズ群23は、可動レンズ23A及び固定レンズ23Bを有している。そして可動レンズ23Aは、アクチュエータ27により光軸に沿って接近方向及び離間方向(以下、これら接近方向及び離間方向をまとめて光軸方向とも呼ぶ)へ移動可能に保持されている。そして球面収差補正レンズ群23は、アクチュエータ27により可動レンズ23Aが光軸方向へ適宜移動すると、これに応じてレーザ光L1の波面をデフォーカスして対物レンズ24の物点を調整することができ、その結果、レーザ光L1に生じる球面収差を補正し得るようになされている。
また対物レンズ24は、2軸アクチュエータ28により光軸方向及びディスク半径方向へ移動可能に保持されている。そして対物レンズ24は、2軸アクチュエータ28により光軸に沿って接近方向及び離間方向へ適宜移動すると、これに応じて光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1の焦点を合せることができる。さらに対物レンズ24は、2軸アクチュエータ28によりディスク半径方向へ適宜移動すると、これに応じて光ディスク2のデータ記録面においてトラックへレーザ光L1の照射位置を合せることができる。
次いで、図3を用いて上述したサーボ回路6の内部構成について説明する。かかるサーボ回路6は、内部にDSP(Digital Signal Processor)30が設けられている。サーボ回路6は、マトリクス回路10からアナログのフォーカスエラー信号が与えられると、DSP30の前段で、そのフォーカスエラー信号を、アナログ/デジタル変換器31を介してデジタルのフォーカスエラーデータとして当該DSP30に送出する。
DSP30は、システムコントローラ5の制御のもとに動作し、フォーカスエラーデータを、加算器32を介してフォーカスサーボ演算部33に取り込む。これによりDSP30は、フォーカスサーボ演算部33においてフォーカスエラーデータを用い位相補償等のフィルタリングやループゲイン処理等の所定の演算を行ってフォーカス制御データを生成する。
サーボ回路6は、DSP30においてデジタルのフォーカス制御データが生成されると、当該DSP30の後段で、そのフォーカス制御データを、デジタル/アナログ変換器34を介してアナログのフォーカス制御信号としてフォーカスドライバ35に送出する。これによりサーボ回路6は、フォーカスドライバ35からフォーカス制御信号を光ピックアップ3の2軸アクチュエータ28(すなわち、フォーカスコイル)に送出して駆動する。このようにしてサーボ回路6は、対物レンズ24(図2)を光軸に沿って接近方向及び離間方向へ移動させ、かくして光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1の焦点を追従させる。
またサーボ回路6は、マトリクス回路10からアナログのトラッキングエラー信号が与えられると、DSP30の前段で、そのトラッキングエラー信号を、アナログ/デジタル変換器36を介してデジタルのトラッキングエラーデータとして当該DSP30に送出する。DSP30は、トラッキングエラーデータをトラッキングサーボ演算部37に取り込む。そしてDSP30は、トラッキングサーボ演算部37においてトラッキングエラーデータを用い位相補償等のフィルタリングやループゲイン処理等の所定の演算を行ってトラッキング制御データを生成する。
サーボ回路6は、DSP30においてデジタルのトラッキング制御データが生成されると、当該DSP30の後段で、そのトラッキング制御データを、デジタル/アナログ変換器38を介してアナログのトラッキング制御信号としてトラッキングドライバ39に送出する。これによりサーボ回路6は、トラッキングドライバ39からトラッキング制御信号を光ピックアップ3の2軸アクチュエータ28(すなわち、トラッキングコイル)に送出して駆動する。このようにしてサーボ回路6は、対物レンズ24をディスク半径方向へ移動させ、かくして光ディスク2のデータ記録面においてトラックにレーザ光L1の照射位置を追従させる。
ところでサーボ回路6のDSP30には、レーザ光L1(図2)の球面収差を補正するための補正データ(以下、これを球面収差補正データと呼ぶ)を保持する補正値保持部40が設けられている。そしてシステムコントローラ5は、球面収差補正データの値(以下、これを球面収差補正値と呼ぶ)を設定してDSP30の補正値保持部40に送出し保持させている。
これによりDSP30は、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1が照射されるとき、補正値保持部40から球面収差補正データを読み出す。そしてサーボ回路6は、DSP30において補正値保持部40から球面収差補正データが読み出されると、当該DSP30の後段において、その球面収差補正データを、デジタル/アナログ変換器41を介してアナログの球面収差補正信号として球面収差補正ドライバ42に送出する。これによりサーボ回路6は、球面収差補正ドライバ42から球面収差補正信号を光ピックアップ3のアクチュエータ27に送出して駆動する。このようにしてサーボ回路6は、球面収差補正レンズ群23の可動レンズ23Aを光軸方向へ移動させ、かくしてレーザ光L1に生じる球面収差を補正する。
またサーボ回路6のDSP30には、対物レンズ24の位置を所望位置に補正するための補正データ(以下、これをフォーカスバイアスと呼ぶ)を保持するフォーカスバイアス保持部43も設けられている。そしてシステムコントローラ5は、例えば上述した立上モード時にフォーカスバイアスを求め、これをDSP30のフォーカスバイアス保持部43に送出し保持させている。
よってDSP30は、実際には光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1が照射されるとき、フォーカスバイアス保持部43からフォーカスバイアスを読み出す。そしてDSP30は、そのフォーカスバイアスを加算器32に送出することにより、当該加算器32においてフォーカスエラーデータにフォーカスバイアスを加算し、その結果をフォーカスサーボ演算部33に送出している。
すなわち、DSP30は、フォーカスサーボ演算部33において、単にフォーカスエラーデータを用いてフォーカス制御データを演算するわけではなく、フォーカスバイアスを加算したフォーカスエラーデータを用いてフォーカス制御データを演算している。そしてサーボ回路6は、そのフォーカス制御データを、フォーカス制御信号として光ピックアップ3の2軸アクチュエータ28に供給している。
このようにサーボ回路6は、フォーカスエラー信号の誤差をフォーカスバイアスによって相殺した状態でフォーカスサーボループを形成することができる。よってサーボ回路6は、かかるフォーカスサーボループの循環的な処理に応じて、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1の焦点を追従させることができる。
実際にシステムコントローラ5は、立上モードにおいて、光ディスク2のデータ記録面に対するレーザ光L1の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態になると、フォーカスバイアス設定処理を実行する。この際、マトリクス回路10は、光ディスク2のデータ記録面においてトラックにレーザ光L1が照射されていることにより、システムコントローラ5の制御のもと、光ピックアップ3から与えられる複数の光電信号に基づきフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びウォブル信号と共にRF信号も生成する。そしてマトリクス回路10は、そのRF信号をリーダ回路13に送出する。
リーダ回路13は、マトリクス回路10からRF信号が与えられると、そのRF信号に対し時間軸に沿って生じている変動成分(以下、これをジッタと呼ぶ)を測定する。そしてリーダ回路13は、このようにジッタを測定すると、当該測定したジッタをジッタ測定信号としてシステムコントローラ5に送出する。ここでRF信号に生じるジッタは、そのRF信号が表現する情報の遷移の時間的なずれを表す物理量である。またRF信号が表現する情報は、光ディスク2のデータ記録面に例えばピットとして形成された情報である。
そして光ピックアップ3では、対物レンズ24が所望位置に近づいて光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1の焦点が合うほど、そのレーザ光L1によりピットをより的確に捉えることができる。よってデータ記録面にレーザ光L1の焦点が合うほど、RF信号に生じるジッタの値は小さくなる。これとは逆に光ピックアップ3では、対物レンズ24が所望位置から離れて光ディスク2のデータ記録面からレーザ光L1の焦点がずれるほど(すなわち、データ記録面から焦点が離れるほど)、そのレーザ光L1によりピットを捉え難くなる。よってデータ記録面からレーザ光L1の焦点がずれるほど、RF信号に生じるジッタの値は大きくなる。
従ってシステムコントローラ5は、このときフォーカスバイアスの値を探索する探索データ(以下、これをバイアス探索データと呼ぶ)を、その値(電圧値)を変化させながらサーボ回路6に送出し、DSP30のフォーカスバイアス保持部43に順次保持させる。よってサーボ回路6は、このときDSP30においてシステムコントローラ5の制御のもとフォーカスバイアス保持部43から順次値の異なるバイアス探索データを読み出して加算器32に取り込み、そのバイアス探索データをフォーカスエラーデータに加算して、その加算結果に基づきフォーカス制御データを生成する。そしてサーボ回路6は、そのフォーカス制御データをフォーカス制御信号として光ピックアップ3の2軸アクチュエータ28に送出して駆動し、かくして対物レンズ24を光軸に沿って、例えば光ディスク2のデータ記録面に徐々に近づけるように移動させる。
このようにしてシステムコントローラ5は、サーボ回路6に与えるバイアス探索データの値を変化させて対物レンズ24を光軸に沿って移動させながら、リーダ回路13から与えられるジッタ測定信号が示すジッタの値を監視し、当該ジッタの値が例えば最小になったときのバイアス探索データの値を検出する。これによりシステムコントローラ5は、ジッタ測定信号が示すジッタの値が最小となったときに検出したバイアス探索データの値を、再生モード及び待機モードで共用するフォーカスバイアスの値(一定電圧値)に設定する。そしてシステムコントローラ5は、その設定した値のフォーカスバイアスをサーボ回路6に送出する。
従ってサーボ回路6は、システムコントローラ5から与えられるフォーカスバイアスをDSP30に取り込む。そしてサーボ回路6は、DSP30において、フォーカスバイアス保持部43に対しバイアス探索データに替えて、そのフォーカスバイアスを保持する。これによりサーボ回路6は、この後、再生モード時や待機モード時にDSP30においてフォーカスエラーデータに対しフォーカスバイアスを加算し得るようになる。
ところで再生装置1では、再生モードや待機モードで各種回路ブロックやスピンドルモータ8が動作すると熱を発することにより内部温度が上昇する。そして再生装置1では、内部温度が上昇すると、その熱により光ピックアップ3のベース部材が伸びて変形する。その結果、再生装置1では、光ピックアップ3においてベース部材に保持しているレンズやレーザダイオード等の光学部品間の距離が変化する場合がある。
また再生装置1では、動作可能な状態(すなわち、電源オン状態)で内部温度が上昇しても待機モードの後、装置休止状態になり各種回路ブロックやスピンドルモータ8が動作を停止させて熱を発しなくなると、内部温度が徐々に下降して、それまで伸びて変形していた光ピックアップ3のベース部材が徐々に縮んで元の形状に戻るように作用する。その結果、再生装置1では、光ピックアップ3においてベース部材に保持しているレンズやレーザダイオード等の光学部品間の距離も元に戻るように作用する。
このように再生装置1では、動作可能な状態での動作状況に応じて内部温度が変化し、このように内部温度が変化すると、ピックアップ3のベース部材が伸縮して光学部品間の距離も変化することによりフォーカスエラー信号に生じる誤差も変化する。そして再生装置1では、動作可能な状態での動作状況に応じて内部温度と共にフォーカスエラー信号の誤差が変化すると、これに伴いフォーカスバイアスの最適な値も変化する。
すなわち、再生装置1では、立上モード時に、その時点のフォーカスバイアスの最適な値を探索して設定しても、引き続き再生モードや待機モードで動作して内部温度と共にフォーカスエラー信号の誤差が変化すると、立上モードで設定していたフォーカスバイアスも最適な値とは異なる値に変化する(すなわち、最適な値からずれる)ことになる。よって再生装置1では、立上モードにおいてフォーカスバイアスの値を設定しても、再生モードや待機モードで動作している間(すなわち、光ディスク2のデータ記録面に対しデータやディスクアドレス情報の読出用にレーザ光L1を照射している間)、フォーカスバイアスの値を調整するフォーカスバイアス調整処理を実行している。
ただし再生装置1では、再生モードや待機モードでも、立上モード時にフォーカスバイアスの値を設定する場合と同様に、対物レンズ24を光軸に沿って比較的大きく移動させながら、そのとき測定したジッタに基づきフォーカスバイアスの最適な値を探索するようにして調整すると、当該対物レンズ24を移動させたときに光ディスク2のデータ記録面からレーザ光L1の焦点が大幅にずれてデータやディスクアドレス情報の読出性能が低下することになる。
そこで再生装置1では、再生モードや待機モードでの動作中における内部温度の変化を調べてみると、当該内部温度が急激に変化(すなわち、上昇や下降)するわけではなく、徐々に変化する傾向にある。そして再生装置1では、内部温度の変化に伴い、例えば、光ピックアップ3においてベース部材が徐々に伸縮して変形し、その結果、ベース部材に保持されている光学部品間の距離も徐々に変化する。よって再生装置1では、フォーカスエラー信号に生じている誤差も急激には変化せずに徐々に変化する傾向にある。
従ってシステムコントローラ5は、再生モードや待機モードにおいて、立上モード時と同様にフォーカスバイアスの最適な値を探索するようにして調整するのではなく、その再生モードや待機モードで動作している間、比較的短い所定の処理時間で、光ディスク2からのデータやディスクアドレス情報の読み出しに何ら影響を与えないように対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしながら(例えば、数〔nm〕程度の範囲内で振り動かしながら)、そのとき得られる例えばジッタの値に基づきフォーカスバイアスの値を調整するフォーカスバイアス調整処理を順次実行している。
ところでシステムコントローラ5は、フォーカスバイアス調整処理を順次実行する毎に、現在、対物レンズ24の位置を最も精度良く補正し得るフォーカスバイアスとして、前回の(すなわち、現在、実行するフォーカスバイアス調整処理よりも1回前に実行した)フォーカスバイアス調整処理で調整の済んでいるフォーカスバイアスを調整対象とし、当該調整対象のフォーカスバイアスの値を調整する。これによりシステムコントローラ5は、再生モードや待機モードにおいて、内部温度の変化に応じたフォーカスエラー信号の誤差のゆるやかな変化に追従するように、フォーカスバイアスの値を徐々に調整して最適化している。
すなわち、システムコントローラ5は、例えば立上モードから再生モードへ移行すると、サーボ回路6においてフォーカスバイアス保持部43内のフォーカスバイアスを加算したフォーカスエラーデータに基づきフォーカス制御データを生成させる。これによりシステムコントローラ5は、サーボ回路6に対し、そのフォーカスエラーデータをフォーカス制御信号として光ピックアップ3の2軸アクチュエータ28に送出させて駆動させる。この状態でシステムコントローラ5は、サーボ回路6を介してスレッド機構部4や2軸アクチュエータ28を駆動制御する。
これによりシステムコントローラ5は、光ディスク2のデータ記録面においてデータの読出開始位置にレーザ光L1を照射させ、かくして光ディスク2からのデータの読み出しを開始する。そしてシステムコントローラ5は、光ディスク2からのデータの読み出しを開始すると、当該光ディスク2からデータを読み出している間、リーダ回路13を上述と同様にRF信号に生じているジッタを測定するように制御する。よってリーダ回路13は、光ディスク2からのデータの読み出しが開始されると、前段のマトリクス回路10や後段の復調回路14及びデコーダ15等と共に上述した一連のデータ再生処理を実行しながら、当該マトリクス回路10から与えられたRF信号に生じているジッタを測定し、当該測定したジッタをジッタ測定信号としてシステムコントローラ5に送出する。
また図4に示すように、システムコントローラ5は、再生モードにおいて光ディスク2からのデータの読み出しを開始すると、その時点t1に当該再生モードにおける1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始する。ただし再生装置1では、このように立上モードから再生モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、そのとき対物レンズ24の位置を最も精度良く補正し得るフォーカスバイアスが、現在に最も近い立上モードで値の設定されたフォーカスバイアスFB1である。
このためシステムコントローラ5は、このように立上モードから再生モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合のみ、その立上モードで値の設定されたフォーカスバイアスFB1を、前回のフォーカスバイアス調整処理で値を調整し終えたフォーカスバイアスとして扱って調整対象とする。よってシステムコントローラ5は、立上モードから再生モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始すると、サーボ回路6からDSP30のフォーカスバイアス保持部43に保持されているフォーカスバイアスFB1を調整対象として読み出す。
そしてシステムコントローラ5は、調整対象のフォーカスバイアスFB1の値を予め選定された微小な所定値だけ増加させた(すなわち、微小な所定値をプラスした)フォーカスバイアス評価用データ(以下、これをプラス側評価用データと呼ぶ)D1Aを生成する。またシステムコントローラ5は、その調整対象のフォーカスバイアスFB1の値を上述の増加分と同じ微小な所定値だけ減少させた(すなわち、微小な所定値をマイナスした)フォーカスバイアス評価用データ(以下、これをマイナス側評価用データと呼ぶ)D1Bも生成する。さらにシステムコントローラ5は、これらプラス側評価用データD1A及びマイナス側評価用データD1Bをサーボ回路6に送出して、DSP30のフォーカスバイアス保持部43に追加で保持させる。
この状態でシステムコントローラ5は、時点t2にサーボ回路6のDSP30において、フォーカスエラーデータに対する調整対象のフォーカスバイアスFB1の加算を停止させる。またシステムコントローラ5は、このときサーボ回路6のDSP30においてフォーカスバイアス保持部43からプラス側評価用データD1A及びマイナス側評価用データD1Bを予め選定された格段的に短い所定の評価用の時間(以下、これを評価時間と呼ぶ)HTずつ順次交互に読み出させて、フォーカスエラーデータに加算させ始める。
すなわち、システムコントローラ5は、プラス側評価用データD1A及びマイナス側評価用データD1Bを、あたかも調整対象のフォーカスバイアスFB1の値を基準としてプラス側及びマイナス側に順次交互に同じ微小な所定値だけ変化させた矩形波のような評価用データD1としてフォーカスエラーデータに加算させる(図4(A))。
よってシステムコントローラ5は、サーボ回路6に対し評価用データD1を加算したフォーカスエラーデータに基づいてフォーカス制御データを生成させ、これをフォーカス制御信号として光ピックアップ3の2軸アクチュエータ28に送出させて駆動させる。これによりシステムコントローラ5は、光ディスク2のデータ記録面からデータを読み出しながら(すなわち、データ記録面にレーザ光L1を照射させながら)、対物レンズ24を光軸に沿って接近方向及び離間方向へ順次交互に評価時間HTずつ微小に振り動かす。
またシステムコントローラ5は、このように対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かすと、サーボ回路6によるフォーカスエラーデータへのプラス側評価用データD1Aの加算のタイミングに同期して、当該対物レンズ24を光軸に沿って評価時間HTだけ一方(すなわち、接近方向及び離間方向の一方)へ振ったときに測定されたジッタの値を検出する。そしてシステムコントローラ5は、このように検出したジッタの値を、対物レンズ24の位置の補正に対するフォーカスバイアスFB1の値の評価(すなわち、フォーカスバイアスFB1の値が対物レンズ24の位置をどの程度補正しているかの評価)に利用するための評価利用値(以下、これをプラス側評価利用値と呼ぶ)HP1とする。
またシステムコントローラ5は、サーボ回路6によるフォーカスエラーデータへのマイナス側評価用データD1Bの加算のタイミングに同期して、対物レンズ24を光軸に沿って評価時間HTだけ他方(すなわち、接近方向及び離間方向の他方)へ振ったときに測定されたジッタの値も検出する。そしてシステムコントローラ5は、このように検出したジッタの値も、調整対象のフォーカスバイアスFB1の値の評価に利用するための評価利用値(以下、これをマイナス側評価利用値と呼ぶ)HM1とする。
このようにしてシステムコントローラ5は、フォーカスエラーデータに対するプラス側評価用データD1A及びマイナス側評価用データD1Bの加算に応じて対物レンズ24を光軸に沿って振り動かしたときのジッタの値をプラス側評価利用値HP1及びマイナス側評価利用値HM1として順次交互に検出する(図4(B))。
この状態でシステムコントローラ5は、時点t4に例えばデコーダ15の内部のバッファに、AVシステムAVS1への転送単位でもある所定単位ブロック分の再生対象のデータが溜まると、サーボ回路6のDSP30において、フォーカスエラーデータへの評価用データD1(すなわち、プラス側評価用データD1A及びマイナス側評価用データD1B)の加算を停止させる。またシステムコントローラ5は、このとき(すなわち、時点t4)DSP30において、フォーカスエラーデータに対し評価用データD1に替えて、フォーカスバイアス保持部43内の調整対象のフォーカスバイアスFB1を再び加算させる。
これによりシステムコントローラ5は、サーボ回路6において調整対象のフォーカスバイアスFB1を加算したフォーカスエラーデータに基づきフォーカス制御データを生成させ、当該生成させたフォーカス制御データにより対物レンズ24の位置を調整させる。このようにしてシステムコントローラ5は、光ディスク2からのデータの読み出しを継続しながら、時点t2から時点t4までの比較的短い検出期間(以下、これを評価利用値検出期間と呼ぶ)に検出していた多数のプラス側評価利用値HP1と、多数のマイナス側評価利用値HM1とを用いてフォーカスバイアスFB1の調整値を算出する。
因みに、1回のフォーカスバイアス調整処理において多数のプラス側評価利用値HP1と多数のマイナス側評価利用値HM1とを順次交互に検出する時点t2から時点t4までの評価利用値検出期間は、例えば、1〔msec〕以下又は数〔msec〕のように、立上モードでのフォーカスバイアスの値の設定に要する時間(例えば、1〔msec〕程度)よりも短い期間又は同程度の期間である。因みに、評価利用値検出期間は、立上モードでのフォーカスバイアスの値の設定に要する時間よりも短い期間又は同程度の期間でも良いが、当該立上モードでのフォーカスバイアスの値の設定に要する時間よりも長い任意の期間でも何らかまわない。そしてシステムコントローラ5は、タイマによる計時で評価利用値検出期間の終了時点を順次検出しているわけではなく、光ディスク2からデータを読み出しながら、デコーダ15において順次、所定単位ブロック分の再生対象のデータが生成されバッファに格納された時点を評価利用値検出期間の終了時点と見なして検出している。
ここでリーダ回路13によって測定されるジッタには、当該リーダ回路13の有する測定精度に応じて測定誤差が生じる場合がある。このため、システムコントローラ5により対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしながら検出される多数のプラス側評価利用値HP1については、ジッタに生じる測定誤差により値がばらつく場合がある。またシステムコントローラ5により対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしながら検出される多数のマイナス側評価利用値HM1についても同様に、ジッタに生じる測定誤差により値がばらつく場合がある。
ただしシステムコントローラ5により検出される多数のプラス側評価利用値HP1については、ジッタに生じる測定誤差により値がばらついても、当該測定誤差のない本来の値を示すものが最も多くなるような正規分布を示す傾向にある。またシステムコントローラ5により検出される多数のマイナス側評価利用値HM1についても、ジッタに生じる測定誤差により値がばらついても、当該測定誤差のない本来の値を示すものが最も多くなるような正規分布を示す傾向にある。
従ってシステムコントローラ5は、フォーカスバイアスFB1の調整値を算出する場合、まずフォーカスエラーデータへ評価用データD1の加算を開始した時点t2から、当該フォーカスエラーデータへの評価用データD1の加算を一旦停止させた時点t4までの間に検出した多数のプラス側評価利用値HP1の平均値(以下、これをプラス側平均値と呼ぶ)を算出する。またシステムコントローラ5は、時点t2から時点t4までの間に検出した多数のマイナス側評価利用値HM1の平均値(以下、これをマイナス側平均値と呼ぶ)も算出する。
ただしシステムコントローラ5は、フォーカスエラーデータへの評価用データD1の加算を一旦停止させたときに、検出時間が評価時間HTに満たないプラス側評価利用値やマイナス側評価利用値(例えば、フォーカスエラーデータへの評価用データD1の加算を一旦停止させる間際の評価時間HTよりも短い時点t3から時点t4までで検出したマイナス側評価利用値)が存在する場合、その評価時間HTに満たないプラス側評価利用値やマイナス側評価利用値を除いてプラス側平均値やマイナス側平均値を算出する。これによりシステムコントローラ5は、多数のプラス側評価利用値HP1及び多数のマイナス側評価利用値HM1から、ジッタに生じる測定誤差を極力取り除くようにプラス側平均値及びマイナス側平均値を得ている。
さらにシステムコントローラ5は、プラス側平均値からマイナス側平均値を減算することにより、これらプラス側平均値とマイナス側平均値との差分値(すなわち、減算結果)を、対物レンズ24の位置の補正に対する調整対象のフォーカスバイアスFB1の値の評価(すなわち、調整対象のフォーカスバイアスFB1の値が対物レンズ24の位置をどの程度補正しているかの評価)を数値化して表す評価値として算出する。すなわち、図5(A)乃至(C)に示すように、ジッタJTは、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1の焦点が近づくほど徐々に小さい値になり、当該データ記録面にレーザ光L1の焦点が合うと最小値になる例えば二次曲線を描くような特性を有している。
このため例えば、フォーカスバイアスFB10によって対物レンズ24の位置を、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1の焦点を合せるような所望位置よりも当該データ記録面から引き離すように補正している場合、そのフォーカスバイアスFB10の値を基準として対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かして得られるプラス側評価利用値HP1とマイナス側評価利用値HM1とでは、マイナス側評価利用値HM1の方が大きな値になる。よって、かかるフォーカスバイアスFB10を調整対象として用いるフォーカスバイアス調整処理では、プラス側平均値PA1から、これよりも値の大きいマイナス側平均値MA1を減算することにより、その結果得られる評価値がマイナスの値になる(図5(A))。
これに対してフォーカスバイアスFB11によって対物レンズ24の位置を、所望位置よりも光ディスク2のデータ記録面に近づけるように補正している場合、そのフォーカスバイアスFB11の値を基準として対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしたときに得られるプラス側評価利用値HP1とマイナス側評価利用値HM1とでは、プラス側評価利用値HP1の方が大きな値になる。よって、かかるフォーカスバイアスFB11を調整対象として用いるフォーカスバイアス調整処理では、プラス側平均値PA2から、これよりも値の小さいマイナス側平均値MA2を減算することにより、その結果得られる評価値がプラスの値になる(図5(B))。
またフォーカスバイアスFB12によって対物レンズ24の位置を所望位置に位置させるように補正している場合、そのフォーカスバイアスFB12の値を基準として対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしたときに得られるプラス側評価利用値HP1とマイナス側評価利用値HM1とでは同一の値になる。よって、かかるフォーカスバイアスFB12を調整対象として用いるフォーカスバイアス調整処理では、プラス側平均値PA3から、これと同一な値のマイナス側平均値MA3を減算することにより、その結果得られる評価値が「0」の値になる(図5(C))。
従ってフォーカスバイアス調整処理で算出される評価値は、その「0」や「0」とは異なる値により、調整対象のフォーカスバイアスFB10乃至FB12の値が、対物レンズ24の位置を所望位置に補正し得ているか否かを示していると言える。また評価値は、調整対象のフォーカスバイアスFB10及びFB11が対物レンズ24の位置を所望位置に補正し得てはいないことを示している場合、当該評価値の大きさ及び符号により、調整対象のフォーカスバイアスFB10及びFB11が対物レンズ24の位置を、所望位置よりも光ディスク2のデータ記録面から接近方向及び離間方向の何れに位置させるように補正しているかも示していると言える。
よってシステムコントローラ5は、このような評価値と共に、調整対象のフォーカスバイアスFB1の値を用いて、PI(Proportional Integral )制御の(1)式
Figure 2008305477
を離散化した(2)式
Figure 2008305477
に従い、今回のフォーカスバイアスFB2の調整値を算出する。なお(1)式においてUはフォーカスバイアスの値を表すと共に、Yは評価値を表し、Ytgは、フォーカスバイアスの値を順次調整して、対物レンズ24の位置を所望位置に補正するための目標値を表す。また(1)式において右辺第1項は比例項を示し、Kpは比例ゲインを示す。さらに(1)式において右辺第2項は積分項を示し、Kiは積分ゲインを示す。
そして(1)式を離散化すると、(2)式となる。ここで(2)式のTは、フォーカスバイアス調整処理に要する時点t1から時点t5までの比較的短い所定の処理時間(すなわち、評価利用値検出期間よりも僅かに長いだけの時間)を表す。また、かかる(2)式においてU(n)は、今回のフォーカスバイアスFB2の調整値(すなわち、今回のフォーカスバイアス調整処理で算出する調整後のフォーカスバイアスFB2の値)を表し、U(n−1)は、前回のフォーカスバイアス調整処理で調整の済んだフォーカスバイアスFB1の値(すなわち、今回のフォーカスバイアス調整処理で調整対象としていたフォーカスバイアスFB1の値であり、以下、これを前回のフォーカスバイアスFB1の調整値と呼ぶ)を表す。
さらに(2)式においてY(n)は、今回のフォーカスバイアス調整処理で算出した評価値(以下、これを今回の評価値と呼ぶ)を表し、Y(n−1)は、前回のフォーカスバイアス調整処理で算出していた評価値(以下、これを前回の評価値と呼ぶ)を表す。因みにシステムコントローラ5は、フォーカスバイアス調整処理においてフォーカスバイアスFB2の調整値を算出し終える毎に、当該システムコントローラ5の内部メモリに対し、そのフォーカスバイアス調整処理で算出していた評価値を記憶する。これによりシステムコントローラ5は、フォーカスバイアス調整処理を実行する場合、内部メモリに記憶している評価値を前回の評価値として読み出し、今回のフォーカスバイアスFB2の調整値の算出に利用し得るようにしている。
なおシステムコントローラ5は、再生装置1を始めて起動したときにはフォーカスバイアス調整処理を全く実行してはいないことにより、内部メモリに対し評価値を記憶してはいない。よってシステムコントローラ5は、再生装置1を始めて起動して最初のフォーカスバイアス調整処理を実行したときには、前回の評価値を用いずに今回のフォーカスバイアスの調整値を算出する。つまり、(2)式においてY(n−1)は「0」となり、U(n−1)は立上モード時に設定したフォーカスバイアスFB1の値となる。
さらに(2)式においてYtgは、上述の(1)式と同様にフォーカスバイアスBF1及びBF2を順次調整して、対物レンズ24の位置を所望位置に補正するための目標値を表す。因みに、かかる目標値は、フォーカスバイアスFB1及びFB2の調整にジッタが用いられていることにより、対物レンズ24の位置を、例えば、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1の焦点を合せるような所望位置に補正し得たときに評価値として得られる「0」の値に設定されている。
ここで上述したように、多数のプラス側評価利用値HP1や多数のマイナス側評価利用値HM1については、ジッタに生じる測定誤差により値がばらつく場合がある。そしてプラス側平均値やマイナス側平均値については、多数のプラス側評価利用値HP1や多数のマイナス側評価利用値HM1を平均化して得られることにより、ジッタに生じる測定誤差を極力取り除くようにしてはいるものの、測定誤差のない本来の値とは異なる値を示す場合もある。つまり、例えば図5(A)について上述したような場合、これらプラス側平均値及びマイナス側平均値を元に算出される平均値が、マイナスの値となるはずであるのに、ジッタの測定誤差によってプラスの値に変化するようなこともあり得る。
しかしながら、このような平均値についても、フォーカスバイアス調整処理を繰り返し実行して順次求めるようにした場合に、ジッタに生じる測定誤差によって値がばらついても、当該測定誤差のない本来の値を示すものが最も多くなるような正規分布を示す傾向にある。このため、システムコントローラ5は、上述した積分項を有するPI制御の(1)式の離散型のような(2)式を用いてフォーカスバイアスの値を調整している。よってシステムコントローラ5は、(2)式において、1回のフォーカスバイアス調整処理で求めた評価値に生じる測定誤差を高周波のノイズと見なして、ローパスフィルタ(PI制御の周波数特性)の効果を得ることができ、かくして本来の評価値を得ることができる。その結果、システムコントローラ5は、調整対象のフォーカスバイアスFB1の値を微小に変化させて対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしながら求めた微小な値の評価値がばらついていても、(2)式により調整対象のフォーカスバイアスFB1の値を的確に調整することができる。
ところで再生装置1では、例えば事前に比較的低い所定温度の光ピックアップ3を、これよりも高温な雰囲気中で動作させたときに、時間の経過に応じて光ピックアップ3の温度がどれだけ上昇するかが測定されている。また再生装置1では、光ピックアップ3の温度上昇に応じて対物レンズ24が所望位置からどれだけずれるか(すなわち、デフォーカスするか)も測定されている。
さらに再生装置1では、これら測定結果を元に、光ピックアップ3の温度上昇に応じて、単位時間当たりに対物レンズ24が所望位置からどれだけずれるかが(すなわち、デフォーカスするかが)検出されている。さらに再生装置1では、評価値に対する測定誤差も測定している。そして再生装置1では、かかる検出結果に応じて、内部温度の変化に応じたフォーカスエラー信号の誤差のゆるやかな変化に追従し、さらに測定誤差の影響を受けなくなるような比例ゲイン及び積分ゲインの値、つまり周波数特性が選定されている。
よってシステムコントローラ5は、(2)式により前回のフォーカスバイアスFB1の値を、内部温度の変化に応じたフォーカスエラー信号の誤差のゆるやかな変化に追従させるように調整して、今回のフォーカスバイアスFB2の調整値を得ている。システムコントローラ5は、このように(2)式により今回のフォーカスバイアスFB2の調整値を算出すると、当該算出した調整値のフォーカスバイアスFB2をサーボ回路6のDSP30に送出する。これによりシステムコントローラ5は、フォーカスバイアス保持部43に対し、値を調整する前の(すなわち、今回のフォーカスバイアス調整処理で調整対象としていた)フォーカスバイアスFB1に、値を調整した(すなわち、今回のフォーカスバイアス調整処理で算出した調整値の)フォーカスバイアスFB2を上書きするように保持させる。
このようにしてシステムコントローラ5は、フォーカスバイアスFB1の値を調整して、フォーカスバイアス保持部43内のフォーカスバイアスFB2を更新すると、1回目のフォーカスバイアス調整処理を終了する。ところでシステムコントローラ5は、このように1回目のフォーカスバイアス調整処理を終了した時点t5に、光ディスク2からのデータの読み出しが途中であると(すなわち、再生モードで動作中であると)、引き続き2回目のフォーカスバイアス調整処理を開始する。
システムコントローラ5は、時点t5において再生モードにおける2回目のフォーカスバイアス調整処理を開始すると、サーボ回路6においてフォーカスバイアス保持部43内のフォーカスバイアスFB2(すなわち、1回目のフォーカスバイアス調整処理で調整して得た値のもの)を加算したフォーカスエラーデータに基づきフォーカス制御データを生成させる。これによりシステムコントローラ5は、サーボ回路6に対し、フォーカスエラーデータに対し、その調整した値のフォーカスバイアスFB2を加算させるようにして(すなわち、フォーカスエラーデータの誤差を僅かに相殺して)光ピックアップ3の2軸アクチュエータ28を駆動させる。
この状態でシステムコントローラ5は、サーボ回路6からDSP30のフォーカスバイアス保持部43に保持されているフォーカスバイアスFB2を新たな調整対象として読み出し上述と同様に、当該新たな調整対象のフォーカスバイアスFB2の値を基準にしてプラス側評価用データD2A及びマイナス側評価用データD2Bを生成する。またシステムコントローラ5は、これらプラス側評価用データD2A及びマイナス側評価用データD2Bをサーボ回路6に送出して、DSP30のフォーカスバイアス保持部43に追加で保持させる。
そしてシステムコントローラ5は、時点t6にサーボ回路6のDSP30において、フォーカスエラーデータに対する調整対象のフォーカスバイアスFB2の加算を停止させると共に、フォーカスバイアス保持部43からプラス側評価用データD2A及びマイナス側評価用データD2Bを評価時間HTずつ順次交互に読み出させて、フォーカスエラーデータに加算させ始める。すなわち、システムコントローラ5は、プラス側評価用データD2A及びマイナス側評価用データD2Bを、あたかも新たな調整対象のフォーカスバイアスFB2の値を基準としプラス側及びマイナス側に順次交互に同じ微小な所定値だけ変化させた矩形波のような評価用データD2としてフォーカスエラーデータに加算させ始める(図4(A))。
これによりシステムコントローラ5は、光ディスク2のデータ記録面に対し読出用にレーザ光L1を照射させながら、評価用データD2を加算したフォーカスエラーデータに基づき、再び対物レンズ24を光軸に沿って接近方向及び離間方向へ順次交互に評価時間HTずつ微小に振り動かす。またシステムコントローラ5は、このように対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしながら、対物レンズ24を光軸に沿って評価時間HTだけ一方へ振ったときに測定されたジッタの値をプラス側評価利用値HP2として検出すると共に、対物レンズ24を光軸に沿って評価時間HTだけ他方へ振ったときに測定されたジッタの値をマイナス側評価利用値HM2として検出する。
このようにしてシステムコントローラ5は、再びデコーダ15の内部のバッファに、AVシステムAVS1への転送単位でもある所定単位ブロック分の再生対象のデータが溜まるまでの間、対物レンズ24を光軸に沿って振り動かしたときのジッタの値をプラス側評価利用値HP2及びマイナス側評価利用値HM2として順次交互に検出する(図4(B))。そしてシステムコントローラ5は、デコーダ15の内部のバッファに所定単位ブロック分の再生対象のデータが溜まると、サーボ回路6のDSP30において、フォーカスエラーデータへの評価用データD2の加算を一旦停止させると共に、そのフォーカスエラーデータに対し評価用データD2に替えて、フォーカスバイアス保持部43内の調整対象のフォーカスバイアスFB2を再び加算させる。
これによりシステムコントローラ5は、サーボ回路6において調整対象のフォーカスバイアスFB2を加算したフォーカスエラーデータに基づきフォーカス制御データを生成させ、当該生成させたフォーカス制御データにより対物レンズ24の位置を調整させる。この状態でシステムコントローラ5は、光ディスク2からのデータの読み出しを継続しながら、上述と同様に対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かしていた間に検出していた多数のプラス側評価利用値HP2のプラス側平均値を算出すると共に、多数のマイナス側評価利用値HM2のマイナス側平均値も算出する。
またシステムコントローラ5は、そのプラス側平均値からマイナス側平均値を減算して今回の評価値を算出し、当該算出した今回の評価値と共に、前回の評価値や調整対象のフォーカスバイアスFB2の調整値等を用いて、上述した(2)式により、新たに今回のフォーカスバイアスの調整値を算出する。そしてシステムコントローラ5は、その算出した調整値のフォーカスバイアスをサーボ回路6のDSP30に送出してフォーカスバイアス保持部43に保持させ、かくしてフォーカスバイアス保持部43内のフォーカスバイアスを更新する。
システムコントローラ5は、このようにフォーカスバイアスFB2の値を調整して、フォーカスバイアス保持部43内のフォーカスバイアスを更新すると、2回目のフォーカスバイアス調整処理を終了する。そしてシステムコントローラ5は、2回目のフォーカスバイアス調整処理を終了した時点にも、光ディスク2からのデータの読み出しが途中であると、さらに3回目のフォーカスバイアス調整処理を開始する。このようにしてシステムコントローラ5は、再生モードで動作している間、フォーカスバイアス調整処理を順次実行しながら、フォーカスバイアスの値を順次僅かずつ調整する。
よってシステムコントローラ5は、再生モードで動作している間に再生装置1の内部温度が徐々に変化し、これに応じてフォーカスエラー信号の誤差が徐々に変化しても、当該誤差の変化に追従させるように、フォーカスバイアスの値を徐々に調整する。これによりシステムコントローラ5は、再生装置1の内部温度が変化し光ピックアップ3において光ディスク2のデータ記録面からレーザ光L1の焦点がずれるように作用しても、その作用を相殺して当該データ記録面にレーザ光L1の焦点を合せるように追従させることができる。
ところでシステムコントローラ5は、立上モードから待機モードへ移行したとき、マトリクス回路10を、RF信号を生成するように制御すると共に、リーダ回路13を、RF信号に生じているジッタを測定するように制御する。よってマトリクス回路10は、待機モードにおいて光ピックアップ3から複数の光電信号が与えられると、これら複数の光電信号に基づきフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びウォブル信号と共に、RF信号も生成する。そしてマトリクス回路10は、そのRF信号をリーダ回路13に送出する。またリーダ回路13は、待機モードにおいてマトリクス回路10からRF信号が与えられると、そのRF信号に生じているジッタを測定し、当該測定したジッタをジッタ測定信号としてシステムコントローラ5に送出する。
これによりシステムコントローラ5は、立上モードから待機モードへ移行した場合でも、その待機モードで動作している間はフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。因みに、システムコントローラ5は、再生モードにおいてフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、上述したようにデコーダ15の内部のバッファに所定単位ブロック分の再生対象のデータが溜まったことを契機として、プラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出から、フォーカスバイアスの調整値の算出へと処理を切り替えている。
これに対してシステムコントローラ5は、待機モードでフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、デコーダ15を特には動作させていない。このためシステムコントローラ5は、例えばリーダ回路13が上述した評価利用値検出期間においてジッタを継続的に測定する場合に用いるRF信号の所定信号量を予め保持している。そしてシステムコントローラ5は、リーダ回路13においてRF信号を用いてジッタを測定している間、その測定に用いるRF信号の信号量を計測する。
これによりシステムコントローラ5は、リーダ回路13において順次、ジッタの測定に所定信号量のRF信号が用いられた時点を、評価利用値検出期間の終了時点と見なして検出し、その検出を契機としプラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出を終了し、フォーカスバイアスの調整値の算出へと処理を切り替える。このようにしてシステムコントローラ5は、待機モードでも再生モードと同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行し得るようになされている。
またシステムコントローラ5は、再生モードから待機モードへ移行した場合や待機モードから再生モードへ移行した場合、さらには、待機モードから一旦、装置休止状態になった後、再生モードへ移行した場合も、これら待機モードや再生モードで動作している間は上述と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行している。
このようにしてシステムコントローラ5は、再生装置1に光ディスク2が装填された状態で起動したときや、動作可能な状態(すなわち、電源オン状態)で光ディスク2が装填(又は、交換)されたときには、立上モードにおいてフォーカスバイアスの値を設定する。そしてシステムコントローラ5は、その立上モード以降に再生モードや待機モードで動作すると、この後、電源オフ命令の入力に応じて再生装置1を電源オフ状態(すなわち、電力の入力を遮断した状態)にして停止させるまで、又は光ディスク2の交換に応じて再び立上モードへ移行するまでは、先の立上モードで設定したフォーカスバイアスの値を順次調整して更新しながら用い、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1の焦点を合せ込むようにしている。
ところでシステムコントローラ5は、フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、フォーカスエラーデータに対しプラス側評価用データD1A及びマイナス側評価用データD1Bのうち何れから加算し始めるかを適宜変更している。これによりシステムコントローラ5は、例えばフォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、フォーカスエラーデータへのプラス側評価用データD1A及びマイナス側評価用データD1Bの加算の切換周期と、光ディスク2の回転周期とが同期して、光ディスク2のデータ記録面に付いた汚れやごみ、傷等の欠陥に対し、何時も対物レンズ24を光軸に沿って同一方向(すなわち、接近方向及び離間方向の一方のみ)へ微小に移動させた状態でレーザ光L1が照射されることを回避している。
よってシステムコントローラ5は、フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、光ディスク2のデータ記録面に付いた欠陥に対し、何時も対物レンズ24を光軸に沿って同一方向へ微小に移動させた状態でレーザ光L1が照射され、その結果、同一のプラス側評価利用値又はマイナス側評価利用値のみの測定誤差が大きくなり、フォーカスバイアスの値の調整精度が低下することを回避することができる。
次いで、図6に示すフローチャートを用いて、再生モードで光ディスク2からデータを再生する再生処理手順RT1について説明する。すなわち、システムコントローラ5は、AVシステムAVS1から読出命令が与えられると、図6に示す再生処理手順RT1を開始する。そしてシステムコントローラ5は、かかる再生処理手順RT1を開始すると、ステップSP1においてAVシステムAVS1により指示された読出開始位置を示すアドレス情報に応じて、サーボ回路6を介しスレッド機構部4を駆動制御する。これによりシステムコントローラ5は、光ピックアップ3をディスク半径方向へシークさせ初めて、次のステップSP2に移る。
ステップSP2においてシステムコントローラ5は、各回路ブッロクに対しデータの読出用の各種設定を行い、次のステップSP3に移る。そしてステップSP3においてシステムコントローラ5は、アドレス生成回路12から与えられるディスクアドレス情報に基づき、光ディスク2のデータ記録面においてレーザ光L1の照射位置がデータの読出開始位置に到達することを待ち受ける。この状態でシステムコントローラ5は、光ディスク2のデータ記録面においてレーザ光L1の照射位置がデータの読出開始位置に到達すると、次のステップSP4に移る。
これによりステップSP4においてシステムコントローラ5は、光ディスク2からのデータの読み出しを開始する。そしてシステムコントローラ5は、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1を照射しながら、マトリクス回路10、リーダ回路13、復調回路14及びデコーダ15によりデータ再生処理を実行することにより、当該デコーダ15により単位ブロックの再生対象のデータを生成してバッファに格納し、次のステップSP5に移る。ステップSP5においてシステムコントローラ5は、デコーダ15内のバッファに格納したデータのデータ量を単位ブロックの個数として計測するカウンタ(以下、これをブロックカウンタと呼ぶ)のカウント値を「1」だけインクリメントして、次のステップSP6に移る。
ステップSP6においてシステムコントローラ5は、ブロックカウンタのカウント値を元に、デコーダ15内のバッファに所定単位ブロック分のデータが格納されたか否かを判別する。その結果、システムコントローラ5は、デコーダ15内のバッファに対し、未だ所定単位ブロック分のデータを格納し終えてはいないと、ステップSP4に戻る。よってシステムコントローラ5は、この後、デコーダ15内のバッファに対し所定単位ブロック分のデータが格納されるまで、ステップSP4乃至ステップSP6の処理を循環的に繰り返し実行する。
そしてステップSP6においてシステムコントローラ5は、デコーダ15内のバッファに対し所定単位ブロック分のデータが格納されたことを検出すると、次のステップSP7においてデコーダ15に対しバッファから所定単位ブロック分のデータを読み出させてAVシステムAVS1に転送させた後、次のステップSP8に移る。そしてステップSP8においてシステムコントローラ5は、ブロックカウンタのカウント値を「0」に戻して、次のステップSP9に移る。ステップSP9においてシステムコントローラ5は、データの再生が終了したか否かを判別する。その結果、システムコントローラ5は、未だデータの再生を継続していると、ステップSP4に戻る。
これによりシステムコントローラ5は、この後、データの再生が終了するまでの間、ステップSP4乃至ステップSP9の処理を循環的に繰り返し実行する。そしてシステムコントローラ5は、データの再生が終了すると、次のステップSP10に移り、再生処理手順RT1を終了する。
次いで、図7に示すフローチャートを用いて、再生処理手順RT1と同時並行で実行するフォーカスバイアス調整処理手順RT2について説明する。すなわち、システムコントローラ5は、再生モードにおいて光ディスク2からのデータの読み出しを開始すると、図7に示すフォーカスバイアス調整処理手順RT2を開始する。システムコントローラ5は、かかるフォーカスバイアス調整処理手順RT2を開始すると、ステップSP21においてサーボ回路6のフォーカスバイアス保持部43から調整対象のフォーカスバイアスを読み出す。そしてシステムコントローラ5は、調整対象のフォーカスバイアスを元にプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを生成して、次のステップSP22に移る。
ステップSP22においてシステムコントローラ5は、プラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを用いてプラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値を検出する評価利用値検出処理を実行する。そしてシステムコントローラ5は、上述したようにデコーダ15の内部のバッファに所定単位ブロック分の再生対象のデータが溜まると、その評価利用値検出処理を終了して、次のステップSP23に移る。ステップSP23においてシステムコントローラ5は、対物レンズ24を光軸に沿って周期的に振り動かしながら検出した多数のプラス側評価利用値及び多数のマイナス側評価利用値を元に今回の評価値を算出する。そしてシステムコントローラ5は、今回の評価値と共に調整対象のフォーカスバイアスを用いて上述した(2)式により今回のフォーカスバイアスの調整値を算出して、次のステップSP24に移る。
ステップSP24においてシステムコントローラ5は、今回のフォーカスバイアス調整処理で算出した調整値のフォーカスバイアスをサーボ回路6のフォーカスバイアス保持部43に保持させて、当該フォーカスバイアス保持部43内のフォーカスバイアスを、調整の済んだ新たなフォーカスバイアスに更新した後、次のステップSP25に移る。ステップSP25においてシステムコントローラ5は、次回のフォーカスバイアス調整処理においてフォーカスエラーデータに対しプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れから加算し始めるかを(すなわち、次回のフォーカスバイアス調整処理においてフォーカスエラーデータに対し最初に加算する初回加算データとしてプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れか一方を)無作為に選択して、次のステップSP26に移る。
ステップSP26においてシステムコントローラ5は、今回のフォーカスバイアス調整処理で検出していた全てのプラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値を消去した後、次のステップSP27に移り、かかるフォーカスバイアス調整処理手順RT2を終了する。このようにしてシステムコントローラ5は、再生モードにおいて1回目のフォーカスバイアス調整処理手順RT2を終了すると、その再生モードで動作している間は、引き続きフォーカスバイアス調整処理手順RT2を順次(すなわち、連続的に)実行する。
ところでシステムコントローラ5は、フォーカスバイアス調整処理手順RT2において上述したステップSP22に移ると、図8に示す評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22を開始する。システムコントローラ5は、評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22を開始すると、ステップSP220において、前回のフォーカスバイアス調整処理でフォーカスエラーデータに加算し始めるように選択していたプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れか一方(例えば、前回実行したフォーカスバイアス調整処理手順RT2のステップSP25において今回のフォーカスバイアス調整処理手順RT2用に初回加算データとして選択していたプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れか一方)がプラス側評価用データであるか否かを判別する。その結果、システムコントローラ5は、前回のフォーカスバイアス調整処理で選択していた初回加算データがプラス側評価用データであると、ステップSP221に移る。
ところでシステムコントローラ5は、フォーカスバイアス調整処理を実行している間、フォーカスエラーデータに対しプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを順次交互に加算する加算回数を、内部に設けられた、例えば初期のカウント値が既に「1」となっているカウンタ(以下、これを加算回数カウンタと呼ぶ)でカウントしている。そしてシステムコントローラ5は、その加算回数カウンタのカウント値(すなわち、フォーカスエラーデータに対するプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの加算回数)を、フォーカスエラーデータに対し順次交互に加算すべきプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの設定に利用している。
従ってステップSP221においてシステムコントローラ5は、加算回数カウンタのカウント値により、フォーカスエラーデータに対する今回のプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの加算回数が奇数回であるか否かを判別する。その結果、システムコントローラ5は、フォーカスエラーデータに対する今回のプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの加算回数が奇数回であると、ステップSP222に移り、今回はプラス側評価用データをフォーカスエラーデータに加算するように設定した後、ステップSP223に移る。これに対しステップSP221においてシステムコントローラ5は、フォーカスエラーデータに対する今回のプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの加算回数が偶数回であると、ステップSP224に移り、今回はフォーカスエラーデータに対しマイナス側評価用データを加算するように設定した後、ステップSP223に移る。
またステップSP220においてシステムコントローラ5は、前回のフォーカスバイアス調整処理で選択していた初回加算データがマイナス側評価用データであると、ステップSP225に移る。そしてステップSP225においてシステムコントローラ5は、加算回数カウンタのカウント値により、フォーカスエラーデータに対する今回のプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの加算回数が奇数回であるか否かを判別する。
その結果、システムコントローラ5は、フォーカスエラーデータに対する今回のプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの加算回数が奇数回であると、ステップSP226に移り、今回はマイナス側評価用データをフォーカスエラーデータに加算するように設定した後、ステップSP223に移る。これに対しステップSP225においてシステムコントローラ5は、フォーカスエラーデータに対する今回のプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの加算回数が偶数回であると、ステップSP227に移り、今回はフォーカスエラーデータに対しプラス側評価用データを加算するように設定した後、ステップSP223に移る。
そしてステップSP223においてシステムコントローラ5は、サーボ回路6においてフォーカスエラーデータに対し、その設定した一方のプラス側評価用データ又はマイナス側評価用データを加算させることにより対物レンズ24を光軸に沿って接近方向及び離間方向の何れか一方へ振り動かす。またシステムコントローラ5は、このときフォーカスエラーデータに対するプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れか一方の加算に応じてプラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の何れか一方を検出して、次のステップSP228に移る。このようにしてシステムコントローラ5は、プラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値を順次交互に検出しながら、デコーダ15内のバッファに所定単位ブロック分のデータが格納されると、これらプラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出を終了して、次のステップSP228に移る。
ステップSP228においてシステムコントローラ5は、加算回数カウンタのカウント値を、次の加算回数を表すように「1」だけインクリメントした後、ステップSP220に戻る。このようにしてシステムコントローラ5は、ステップSP220乃至ステップSP228の処理を順次繰り返し実行する。これによりシステムコントローラ5は、フォーカスエラーデータに対しプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを順次交互に加算させて対物レンズ24を光軸に沿って接近方向及び離間方向に順次交互に微小に振り動かしながら、プラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値を順次交互に検出する。そしてシステムコントローラ5は、このように評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22を実行している途中で、デコーダ15内のバッファに所定単位ブロック分のデータが格納されると、その時点に当該評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22を終了して、引き続き上述したステップSP23の処理を実行する。
次いで、図9に示すフローチャートを用いて、待機モードで光ディスク2からディスクアドレス情報を読み出す待機処理手順RT3について説明する。すなわち、システムコントローラ5は、立上モードや再生モードでの動作が終了して待機モードへ移行すると、図9に示す待機処理手順RT3を開始する。そしてシステムコントローラ5は、かかる待機処理手順RT3を開始すると、ステップSP31においてモード継続時間の計時を開始すると共に、立上モードや再生モードでの動作中にも実行していた光ディスク2からのディスクアドレス情報の読み出しを継続して実行したまま、次のステップSP32に移る。
ステップSP32においてシステムコントローラ5は、計時した時間(以下、これを計時時間と呼ぶ)がモード継続時間に到達したか否かを判別する。その結果、システムコントローラ5は、計時時間がモード継続時間に到達してはいないと、ステップSP33に移る。ステップSP33においてシステムコントローラ5は、AVシステムAVS1から読出命令が与えられたか否かを判別する。その結果、システムコントローラ5は、AVシステムAVS1から読出命令が与えられてはいないと、ステップSP34に移る。
ステップSP34においてシステムコントローラ5は、光ディスク2の交換が要求されたか否か(すなわち、再生装置1に対し新たな光ディスク2が装填されるか否か)を判別する。その結果、システムコントローラ5は、光ディスク2の交換が何ら要求されてはいないと、ステップSP35に移る。ステップSP35においてシステムコントローラ5は、電源オフ命令が入力されたか否かを判別する。その結果、システムコントローラ5は、電源オフ命令が入力されてはいないと、ステップSP32に戻る。
このようにしてシステムコントローラ5は、光ディスク2からのディスクアドレス情報の読み出しを継続したまま、計時時間がモード継続時間に到達したかどうか、またAVシステムAVS1から読出命令が与えられたかどうか、さらに光ディスク2の交換が要求されたかどうか、さらにまた電源オフ命令が入力されたかどうかを監視する。そしてステップSP32においてシステムコントローラ5は、読出命令や電源オフ命令が入力されず、また光ディスク2の交換が要求されずに、計時時間がモード継続時間に到達すると、ステップSP36に移り、待機処理手順RT3を終了して装置休止状態になる。
またステップSP33においてシステムコントローラ5は、計時時間がモード継続時間に到達するまえに、電源オフ命令が入力されず、また光ディスク2の交換も要求されずに、AVシステムAVS1から読出命令が与えられると、ステップSP36に移り、待機処理手順RT3を終了して待機モードから再生モードへ移行する。さらにステップSP34においてシステムコントローラ5は、計時時間がモード継続時間に到達するまえに、読出命令や電源オフ命令が入力されないまま、光ディスク2の交換が要求されると、ステップSP36に移り、待機処理手順RT3を終了して待機モードから一旦、装置休止状態になる。
さらにまたステップSP35においてシステムコントローラ5は、計時時間がモード継続時間に到達するまえに、AVシステムAVS1からは読出命令が与えられず、また光ディスク2の交換も要求されずに、電源オフ命令が入力されると、ステップSP36に移り、待機処理手順RT3を終了して再生装置1を電源オフ状態にして停止させる。
次いで、図7との対応部分に同一符号を付した図10に示すフローチャートを用いて、待機処理手順RT3と同時並行で実行するフォーカスバイアス調整処理手順RT4について説明する。すなわち、システムコントローラ5は、立上モードや再生モードから待機モードへ移行して待機処理手順RT3を開始すると、図10に示すフォーカスバイアス調整処理手順RT4も開始する。システムコントローラ5は、かかるフォーカスバイアス調整処理手順RT4を開始すると、ステップSP21の処理を実行した後、次のステップSP41に移り、評価利用値検出処理を実行する。
ここでステップSP41においてシステムコントローラ5は、図8について上述した評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22と同様の処理を実行する。ただしシステムコントローラ5は、評価利用値検出処理を実行している途中に、リーダ回路13においてジッタの測定に所定信号量のRF信号が用いられたことを検出すると、その時点に当該評価利用値検出処理を終了して、引き続きステップSP23乃至ステップSP26の処理を順次実行した後、ステップSP42に移り、かかるフォーカスバイアス調整処理手順RT4を終了する。このようにしてシステムコントローラ5は、待機処理手順RT3を実行している間、フォーカスバイアス調整処理手順RT4を順次(すなわち、連続的に)実行する。
因みにシステムコントローラ5は、立上モードから再生モードや待機モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、フォーカスエラーデータに加算し始める初回加算データとしては、予め無作為に選択されていたデフォルトのプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れか一方を利用して上述した評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22のステップSP220を実行する。またシステムコントローラ5は、再生モードから待機モードへ移行し、また待機モードから再生モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、フォーカスエラーデータに加算し始める初回加算データとしては、移行前の再生モードや待機モードで最後に実行したフォーカスバイアス調整処理において無作為に選択していたプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れか一方を利用して上述した評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22のステップSP220を実行する。
以上の構成において、再生装置1は、再生モードや待機モードで光ディスク2からデータやディスクアドレス情報を読み出すように動作している間、比較的短い処理時間のフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。再生装置1は、フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、そのフォーカスバイアス調整処理において、前回のフォーカスバイアス調整処理で値を調整して得たフォーカスバイアスを今回の調整対象とする。
そして再生装置1は、フォーカスバイアス調整処理において、調整対象のフォーカスバイアスの値を僅かに増減させてフォーカスエラーデータに加算することにより対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かすようにして、その際に得られたRF信号に生じるジッタに基づき、当該調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値を算出する。これにより再生装置1は、フォーカスバイアス調整処理において、今回及び前回のフォーカスバイアス調整処理で算出した評価値を用いて、調整対象のフォーカスバイアスの値を調整した調整値を算出し、調整対象のフォーカスバイアスを当該算出した調整値のフォーカスバイアスに更新する。このようにして再生装置1は、フォーカスバイアス調整処理を順次実行する毎に、フォーカスバイアスの値を順次調整する。
従って再生装置1は、再生モードや待機モードでの動作中に内部温度が変化して光ピックアップ3において光学部品間の距離が変化し、これに応じてフォーカスエラー信号の誤差が変化しても、当該フォーカスエラー信号の誤差の変化に追従してフォーカスバイアスの値を調整することができる。
以上の構成によれば、再生装置1は、再生モードや待機モード時、光ディスク2からデータやディスクアドレス情報を読み出すように動作しながら、フォーカスバイアス調整処理を順次実行するようにして、当該フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、前回のフォーカスバイアス調整処理で値を調整して得た調整対象のフォーカスバイアスの値を僅かに増減させてフォーカスエラーデータに加算することにより対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かすようにし、その際に得られたRF信号に生じるジッタに基づき、当該調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値を算出すると共に、今回及び前回のフォーカスバイアス調整処理で算出した評価値を用いて調整対象のフォーカスバイアスの値を調整した調整値を算出するようにした。これにより再生装置1は、再生モードや待機モードでの動作中に内部温度が変化し、これに応じてフォーカスエラー信号の誤差が変化しても、当該フォーカスエラー信号の誤差の変化に追従してフォーカスバイアスの値を調整することができる。よって再生装置1は、再生モード及び待機モードにおいて光ディスク2のデータ記録面にレーザ光L1を的確に照射させることができる。
また再生装置1は、フォーカスバイアス調整処理において、調整対象のフォーカスバイアスの評価値を得るために、光ディスク2からのデータやディスクアドレス情報の読み出しに何ら影響を与えないように対物レンズ24を光軸に沿って微小に振り動かすようにした。従って、再生装置1は、再生モードや待機モードにおいて、フォーカスバイアスの値を調整するために、光ディスク2からのデータやディスクアドレス情報の読み出しをわざわざ中断したり、対物レンズ24を大幅に移動させて光ディスク2からのデータやディスクアドレス情報の読出性能が悪化すること(すなわち、読出エラーの発生やリトライ回数が増加すること)を回避することができる。よって再生装置1は、再生モードや待機モードにおいて、フォーカスバイアスの値の調整のためだけに、あえて時間をかけることなく、データやディスクアドレス情報を読み出すように動作しながら、フォーカスバイアスの値を最適化することができる。
さらに再生装置1は、フォーカスバイアス調整処理において、対物レンズ24を光軸に沿って一方及び他方へ微小に振り動かしながら、当該対物レンズ24を一方へ動かしたときに測定されたジッタをプラス側評価利用値として検出すると共に、他方へ移動させたときに測定されたジッタをマイナス側評価利用値として順次交互に多数回検出し、これら多数のプスラ側評価利用値及び多数のマイナス側評価利用値をそれぞれ平均化して評価値の算出に用いるようにした。また再生装置1は、フォーカスバイアス調整処理において、評価値の平均を積分して、今回のフォーカスバイアスの調整値の算出に用いるようにした。従って再生装置1は、(2)式の調整ゲイン(すなわち、比例ゲイン及び積分ゲイン)を適切に調整することで、ジッタに測定誤差が生じている場合でも、その測定誤差の影響を極力低減させて、今回のフォーカスバイアスの調整値を算出することができる。よって再生装置1は、フォーカスバイアスの値を精度良く調整することができる。
そして再生装置1は、このように再生モード及び待機モードで動作している間、フォーカスバイアスの値を順次調整することにより、内部温度の変化に応じてフォーカスエラー信号の誤差が変化した場合のみではなく、例えば湿度の変化に応じて光ディスク2が反るように変形したことでフォーカスエラー信号の誤差がさらに変化した場合でも、その変化に追従するようにフォーカスバイアスの値を調整することができる。
さらに再生装置1は、光ディスク2が装填された状態での起動や、光ディスク2が交換されたとき等の立上モードでフォーカスバイアスの値を設定し、その立上モード以降に再生モードや待機モードで動作し、再び立上モードに移行し又は電源オフ命令の入力に応じて再生装置1を起動停止させるまでは、先の立上モードで設定したフォーカスバイアスの値を順次調整して更新するようにした。従って再生装置1は、光ディスク2に反りが生じていたりデータ記録面の保護膜に厚みむらが生じていると、これに起因してもフォーカスエラー信号の誤差が変化するが、このような誤差の変化については、立上モードにおけるフォーカスバイアスの値の設定によって相殺しておくことができる。
すなわち、再生装置1では、フォーカスバイアスの値を徐々に調整している状態で光ディスク2が交換されたときにフォーカスバイアスの値を設定し直さなければ、フォーカスエラー信号に対し、内部温度の変化に応じた誤差に加えて、このような光ディスク2に起因する誤差も生じ、その結果、フォーカスバイアスの値を調整して最適値に収束するまでに比較的長い時間を要することになる。しかしながら再生装置1は、フォーカスバイアスの値を徐々に調整している状態で光ディスク2が交換されても、そのときにフォーカスバイアスの値を設定し直すことで、引き続き内部温度の変化に応じたフォーカスエラー信号の誤差の変化にのみ追従するようにフォーカスバイアスの値を徐々に調整することができ、かくしてフォーカスバイアスの値を調整して最適値に収束するまでに要する時間が無駄に長くなることを回避することができる。
なお上述した第1の実施の形態においては、調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値として、ジッタを利用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、RF信号の振幅値やウォブル信号の振幅値を評価値として利用するようにしても良い。また再生装置1では、RF信号をアナログデジタル変換した後、PRML(Partial Response Maximum Likelihood )と呼ばれるパーシャルレスポンス等化処理とビタビ復号のような最尤復号処理とを組み合せた信号処理により再生対象のデータを得るようにし、当該PRMLの誤差指標であるMLSA(Maximum Likelihood Sequence Amplitude )や、PRMLの品質評価指標としてのPRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)を調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値として利用するようにしても良い。これに加えて再生装置1では、PRMLの信号処理に含まれる最尤復号においてユークリッド距離が最小であるパスの尤度の差を求め、当該尤度の差を統計処理して決定した調整条件により生成される再生エラーレートを、調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値として利用するようにしても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、上述した(2)式に基づきフォーカスバイアスの値を調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ジッタの測定精度が格段的に高ければ、今回及び前回の評価値の平均値は用いずに、前回の評価値、今回の評価値、今回の評価値から前回の評価値を減算して得られる差分値の何れかを用いてフォーカスバイアスの値を調整するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、システムコントローラ5がフォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、サーボ回路6のDSP30から調整対象のフォーカスバイアスを読み出すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、フォーカスバイアスの値を調整する毎に、当該値を調整したフォーカスバイアスをシステムコントローラ5でも保持しておき、これをフォーカスバイアス調整処理に利用するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、立上モードにおいてフォーカスバイアスの値を設定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、立上モードではフォーカスバイアスの値を何ら設定せずに、工場出荷時にフォーカスバイアスの値を設定しておき、立上モードに引き続き再生モードや待機モードで動作するときには、そのフォーカスバイアスの値を調整するようにしても良い。かかる構成によれば、立上モード時にフォーカスバイアスの値を設定しない分、処理負荷を低減させることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、待機モードから、一旦、装置休止状態に移った後、再生モードに移行すると、当該再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始したとき、待機モードで最終的に値の調整されたフォーカスバイアスを調整対象とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、待機モードから、一旦、装置休止状態に移った後、再生モードに移行したときには、当該待機モードの終了から再生モードの開始までの間における内部温度の低下の程度に応じて、例えば内部温度の低下が比較的小さいと、再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始したときに待機モードで最終的に値の調整されたフォーカスバイアスを調整対象とし、内部温度の低下が比較的大きいと、再生モードの開始時点に改めてフォーカスバイアスの値を設定し直したうえで、これを調整対象とするようにしても良い。かかる構成によれば、待機モードの終了から再生モードの開始までの間が比較的空いて内部温度が比較的大きく低下した場合に、フォーカスバイアスの値を迅速に最適化することができる。因みに、かかる構成では、内部温度の低下の程度を温度センサを用いて判断することもできるし、例えば待機モードの終了から再生モードの開始までの時間により判断することもできる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、待機モードから、一旦、装置休止状態に移った後、再生モードに移行すると、当該再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行したとき、待機モードで最後に実行されたフォーカスバイアス調整処理で得られた評価値を前回の評価値として用いて調整対象のフォーカスバイアスの値を調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、待機モードから、一旦、装置休止状態に移った後、再生モードに移行したときには、当該待機モードの終了から再生モードの開始までの間における内部温度の低下の程度に応じて、例えば内部温度の低下が比較的小さいと、再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行したときに待機モードで最後に実行されたフォーカスバイアス調整処理で得られた評価値を前回の評価値として用いて調整対象のフォーカスバイアスの値を調整し、内部温度の低下が比較的大きいと、再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行したときに前回の評価値を用いずに調整対象のフォーカスバイアスの値を調整するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、再生モードでの動作中及び待機モードでの動作中にそれぞれフォーカスバイアス調整処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、再生モードでの動作中、待機モードでの動作中の少なくとも何れか1つのモードでの動作中にのみフォーカスバイアス調整処理を実行するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、再生モードでの動作中及び待機モードでの動作中にそれぞれフォーカスバイアス調整処理を順次実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、再生モードでの動作中、待機モードでの動作中の少なくとも何れか1つのモードでの動作中にのみフォーカスバイアス調整処理を少なくとも1回実行し、また所定周期で間欠的に実行するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、フォーカスバイアス調整処理手順RT2及びRT4のステップSP21において、プラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、評価利用値検出処理のサブルーチンRT22のステップSP222、ステップSP224、ステップSP226及びステップSP227を実行する毎にプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを生成してサーボ回路6のDSP30に保持させるようにしても良い。
(2)第2の実施の形態
図11において、100は第2の実施の形態による記録再生装置のハードウェア回路ブロックによるハードウェア回路構成を示す。かかる記録再生装置100は、内部に光ディスク101を装填し得るようになされている。そして記録再生装置100には、内部に装填された光ディスク101のデータ記録面と対向するように光ピックアップ102が設けられている。また光ピックアップ102は、スレッド機構部103によりディスク半径方向へ移動可能に保持されている。
記録再生装置100は、例えば相変化方式でデータを記録可能な光ディスク101に対してデータを記録し、また当該記録したデータを再生し得るようになされている。この記録再生装置100においてデータの記録再生に用いられる光ディスク101は、データ記録面に例えば予め一定の線速度で一定の周波数となるようにウォブリングされたグルーブが形成され、そのグルーブ(及びグルーブ間のランド)がデータ記録用のトラックになる。また光ディスク101は、グルーブのウォブリングに対しADIPと呼ばれるデータ記録面内のディスクアドレス情報が埋め込まれている。
かかる記録再生装置100において例えばマイクロコンピュータでなるシステムコントローラ104は、外部のAVシステムAVS2から与えられる書込命令(すなわち、ライトコマンド)や読出命令(すなわち、リードコマンド)等の各種命令に応じて装置全体を統括制御すると共に、各種処理を実行する。これによりシステムコントローラ104は、記録再生装置100に光ディスク101が装填された状態で電源オン命令が入力され起動したときや、起動完了後の動作可能な状態(すなわち、電源オン状態)で記録再生装置100に対し光ディスク101が装填(又は、交換)されると、立上モードとなる。
この際、サーボ回路105は、システムコントローラ104の制御のもと、スレッド機構部103を駆動して光ピックアップ102を光ディスク101の例えば最内周と対向する位置まで移動させる。またスピンドル駆動回路106は、システムコントローラ104の制御のもと、スピンドルモータ107を駆動することにより光ディスク101を一定速度で回転させる。さらにレーザドライバ108は、光ディスク101が回転すると、システムコントローラ104の制御のもと、レーザ光を連続的に発射させるためのレーザ制御信号を生成し、これを光ピックアップ102に送出する。
光ピックアップ102は、レーザドライバ108からレーザ制御信号が与えられると、そのレーザ制御信号に基づきレーザダイオードからレーザ光を連続的に発射させ、当該発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスク101のデータ記録面に照射する。また光ピックアップ102は、光ディスク101のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光を例えば複数の受光素子によって受光して光電変換する。これにより光ピックアップ102は、これら複数の受光素子によりそれぞれ受光した反射光の光量に応じた電流値の光電信号を生成してマトリクス回路109に送出する。
マトリクス回路109は、光ピックアップ102から複数の受光素子によって生成された光電信号が与えられると、これら光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路109は、これら光電信号に基づきフォーカスエラー信号を生成する。またマトリクス回路109は、これら光電信号に基づきトラッキングエラー信号を生成する。そしてマトリクス回路109は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ回路105に送出する。
ところでサーボ回路105は、このときシステムコントローラ104の制御のもと、光ディスク101のデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるような所望位置を探索するためのフォーカス探索信号を生成して、これを光ピックアップ102に送出する。これによりサーボ回路105は、光ピックアップ102においてフォーカス探索信号により対物レンズを光軸に沿って例えば、光ディスク101のデータ記録面に徐々に近づけるように移動させながら、その際にマトリクス回路109から与えられるフォーカスエラー信号に基づき、当該データ記録面にレーザ光の焦点を合せるようにフォーカス引込動作を行う。
そしてサーボ回路105は、このようなフォーカス引込動作が完了すると、引き続きマトリクス回路109から与えられるフォーカスエラー信号に基づきフォーカス制御信号を生成し、これを光ピックアップ102に送出する。これによりサーボ回路105は、フォーカス制御信号により光ピックアップ102において対物レンズを光軸に沿って接近方向及び離間方向へ適宜移動させて光ディスク101のデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるようにする。このようにしてサーボ回路105は、光ピックアップ102及びマトリクス回路109と共にフォーカスサーボループを形成し、かくして光ディスク101のデータ記録面に対しレーザ光の焦点を追従させる。
またサーボ回路105は、システムコントローラ104の制御のもと、光ディスク101のデータ記録面においてトラックにレーザ光の照射位置を合せるためのトラック探索信号を生成して、これを光ピックアップ102に送出する。これによりサーボ回路105は、光ピックアップ102においてトラック探索信号により例えば対物レンズをディスク半径方向へ徐々に移動させながら、その際にマトリクス回路109から与えられるトラッキングエラー信号に基づき、当該データ記録面のトラックにレーザ光の照射位置を合せるようにレーザ光のトラック引込動作を行う。
そしてサーボ回路105は、このようなレーザ光のトラック引込動作が完了すると、引き続きマトリクス回路109から与えられるトラッキングエラー信号に基づきトラッキング制御信号を生成し、これを光ピックアップ102に送出する。これによりサーボ回路105は、トラッキング制御信号により光ピックアップ102において対物レンズをディスク半径方向に適宜移動させて光ディスク101のトラックにレーザ光を照射させる。このようにしてサーボ回路105は、光ピックアップ102及びマトリクス回路109と共にトラッキングサーボループも形成し、かくして光ディスク101のトラックに対しレーザ光の照射位置を追従させる。
さらにマトリクス回路109は、フォーカス引込動作及びトラック引込動作が完了すると、光ピックアップ102から与えられる複数の光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路109は、これら光電信号に基づきフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号と共にウォブル信号も生成する。そしてマトリクス回路109は、そのウォブル信号をウォブル回路110に送出する。
ウォブル回路110は、マトリクス回路109から与えられたウォブル信号を復調して、ディスクアドレス情報を検出するためのストリームデータを生成し、これをアドレス生成回路111に送出する。そしてアドレス生成回路111は、ウォブル回路110から与えられたストリームデータをデコード処理し、その結果得られたディスクアドレス情報をシステムコントローラ104に送出する。
これによりシステムコントローラ104は、アドレス生成回路111から与えられるディスクアドレス情報に従い、光ディスク101のデータ記録面においてレーザ光の照射位置を検出することができる。ところでシステムコントローラ104は、例えば、光ディスク101のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態となり、引き続きAVシステムAVS2から書込命令が与えられると、立上モードから記録モードへ移行する。この際、マトリクス回路109は、ウォブル信号をウォブル回路110と共にアドレス生成回路111にも送出する。
この場合、アドレス生成回路111は、上述したようにディスクアドレス情報を生成しながら、マトリクス回路109から与えられるウォブル信号を用いたPLL処理を実行することにより、グルーブのウォブリングの周波数に同期した記録処理用の動作クロック(以下、これを記録処理用動作クロックと呼ぶ)を生成する。そしてアドレス生成回路111は、かかる記録処理用動作クロックを各部に供給する。
これによりスピンドル駆動回路106は、例えばアドレス生成回路111から与えられる記録処理用動作クロックをもとに、現在のスピンドルモータ107の回転速度を検出する。またスピンドル駆動回路106は、その回転速度を、予め設定された例えば、光ディスク101を線速度一定で回転させるための規準速度と比較するようにして、スピンドルモータ107の回転速度が基準速度にどの程度合っているかを示すスピンドルエラー信号を生成する。
そしてスピンドル駆動回路106は、かかるスピンドルエラー信号に基づきスピンドル制御信号を生成し、これをスピンドルモータ107に送出する。これによりスピンドル駆動回路106は、スピンドル制御信号によりスピンドルモータ107を回転駆動させ、かくして光ディスク101を線速度一定で回転させる。
この状態でシステムコントローラ104は、AVシステムAVS2によりデータの書込開始位置を示すアドレス情報が指定されると、このときアドレス生成回路111から与えられたディスクアドレス情報(すなわち、その時点における光ディスク101のデータ記録面へのレーザ光の照射位置)を当該書込開始位置を示すアドレス情報と比較するようにして適宜、シーク指示信号を生成する。そしてシステムコントローラ104は、かかるシーク指示信号をサーボ回路105に送出する。
サーボ回路105は、システムコントローラ104からシーク指示信号が与えられると、トラッキングサーボループを一時的に解除する。そしてサーボ回路105は、シーク指示信号に基づきシーク制御信号を生成し、これをスレッド機構部103に送出する。これによりサーボ回路105は、シーク制御信号によりスレッド機構部103を駆動して光ピックアップ102をディスク半径方向へ複数のトラックを飛び越すようにシークさせる。
因みにシステムコントローラ104は、光ピックアップ102をディスク半径方向へシークさせると、トラックジャンプ指示信号を生成し、これをサーボ回路105に送出する。そしてサーボ回路105は、システムコントローラ104からトラックジャンプ指示信号が与えられると、トラッキングサーボループを解除したまま、そのトラックジャンプ指示信号に基づきジャンプ制御信号を生成し、これをスレッド機構部103に送出する。
これによりサーボ回路105は、ジャンプ制御信号によりスレッド機構部103を駆動して光ピックアップ102をディスク半径方向へ僅かに移動させ、かくして光ディスク101においてデータの書込開始位置を含むトラックにレーザ光の照射位置を引き込むようにする。なおサーボ回路105は、データの書込開始位置を含むトラックに対するレーザ光の照射位置の引き込みが完了すると、再びトラッキングサーボループを形成する。
このようにしてシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面においてデータの書込開始位置を含むトラックにレーザ光を照射した状態で、AVシステムAVS2から記録対象のデータが与えられると、これをエンコーダ/デコーダ112に取り込む。エンコーダ/デコーダ112は、このときアドレス生成回路111から与えられている記録処理用動作クロックに同期して動作する。
そしてエンコーダ/デコーダ112は、AVシステムAVS2から与えられた記録対象のデータを、内部のバッファに格納しながら、当該バッファに格納した記録対象のデータについて単位ブロック毎に誤り訂正符号の付加やインタリーブ、サブコードの付加等のエンコード処理を施し、その結果得られた単位ブロックのエンコードデータを順次、変復調回路113に送出する。
変復調回路113も、このときアドレス生成回路111から与えられている記録処理用動作クロックに同期して動作する。そして変復調回路113は、エンコーダ/デコーダ112から与えられたエンコードデータに対しランレングスリミテッド符号化処理のような変調処理を施し、その結果得られた変調データをリーダ/ライタ回路114に送出する。
リーダ/ライタ回路114は、変復調回路113から与えられた変調データに対し、光ディスク101における記録層の特性、レーザ光のレーザスポット形状及び光ディスク101の線速度等に応じたレーザ光の最適な書込用出力の微調整や波形調整等の書込補償処理を施し、その結果得られたレーザ制御信号をレーザドライバ108に送出する。そしてレーザドライバ108は、リーダ/ライタ回路114から与えられたレーザ制御信号を光ピックアップ102に送出する。
光ピックアップ102は、レーザドライバ108から与えられたレーザ制御信号に基づきレーザダイオードからレーザ光を間欠的に発射させ、当該発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスク101のデータ記録面に照射する。これにより光ピックアップ102は、光ディスク101のデータ記録面に対しレーザ光の照射部分にピット(すなわち、フェイズチェンジマーク)を形成する。このようにしてシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面に対しピットとして記録対象のデータを記録することができる。
因みに光ピックアップ102は、光ディスク101のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光の一部を監視用受光素子によって受光して光電変換する。これにより光ピックアップ102は、出力監視用信号を生成してレーザドライバ108に送出する。
そしてレーザドライバ108は、光ピックアップ102のレーザダイオードを制御しながら、その光ピックアップ102から与えられた出力監視用信号をAPC回路に取り込む。これによりレーザドライバ108は、APC回路により出力監視用信号に基づきレーザ光の出力を監視するようにしてレーザ制御信号の値を適宜調整し、かくしてレーザ光の出力を周囲の温度の変化等によらずに一定の書込用出力となるように制御する。
またサーボ回路105は、光ディスク101のデータ記録面にデータを記録している間、例えばトラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号に基づきスレッド制御信号を生成し、これをスレッド機構部103に送出する。これによりサーボ回路105は、スレッド制御信号によりスレッド機構部103を駆動して光ピックアップ102をディスク半径方向へ徐々に移動させる。このようにしてサーボ回路105は、光ディスク101のデータ記録面に対しトラックに沿って記録対象のデータを記録させ得るようになされている。
一方、システムコントローラ104は、例えば、立上モードにおいて光ディスク101のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態となり、引き続きAVシステムAVS2から読出命令が与えられると、立上モードから再生モードに移行する。この際、システムコントローラ104は、AVシステムAVS2によりデータの読出開始位置を示すアドレス情報が指定されると、このときアドレス生成回路111から与えられたディスクアドレス情報(すなわち、その時点における光ディスク101のデータ記録面へのレーザ光の照射位置)を当該読出開始位置を示すアドレス情報と比較するようにして適宜、シーク指示信号を生成する。
システムコントローラ104は、シーク指示信号を生成すると、上述した記録モード時と同様にサーボ回路105を介して光ピックアップ102をシークさせる。またシステムコントローラ104は、このとき上述と同様にサーボ回路105を介して適宜、光ディスク101においてデータの読み出しを開始するトラックにレーザ光の照射位置を引き込むようにする。
またシステムコントローラ104は、このときレーザ光に対する読出用出力の値を指示する。よってレーザドライバ108は、システムコントローラ104の指示に応じて、レーザ光を読出用出力で連続的に発射させるためのレーザ制御信号を生成し、これを光ピックアップ102に送出する。
これにより光ピックアップ102は、レーザドライバ108から与えられたレーザ制御信号に基づきレーザダイオードからレーザ光を読出用出力で連続的に発射させ、当該発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスク101のデータ記録面に照射する。また光ピックアップ102は、光ディスク101のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光を複数の受光素子によって受光して光電変換し、これにより光電信号を生成してマトリクス回路109に送出する。
マトリクス回路109は、光ピックアップ102から複数の光電信号が与えられると、これら光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路109は、これら光電信号に基づきフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びウォブル信号と共にRF信号も生成する。そしてマトリクス回路109は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ回路105に送出し、かつウォブル信号をウォブル回路110に送出すると共に、RF信号をリーダ/ライタ回路114に送出する。
リーダ/ライタ回路114は、マトリクス回路109から与えられたRF信号に対し2値化処理を施し、その結果得られた変調データを変復調回路113に送出する。またリーダ/ライタ回路114は、このときRF信号を用いたPLL処理を実行することにより、再生処理用動作クロックを生成する。そしてリーダ/ライタ回路114は、かかる再生処理用動作クロックを各部に供給する。
変復調回路113は、このときリーダ/ライタ回路114から与えられている再生処理用動作クロックに同期して動作する。そして変復調回路113は、リーダ/ライタ回路114から与えられた変調データに対し、ランレングスリミテッド復号処理のような復調処理を施し、その結果得られたエンコードデータをエンコーダ/デコーダ112に送出する。
エンコーダ/デコーダ112も、このときリーダ/ライタ回路114から与えられている再生処理用動作クロックに同期して動作する。そしてエンコーダ/デコーダ112は、変復調回路113から与えられたエンコードデータについて単位ブロック毎に、誤り検出訂正処理やデインタリーブ等のデコード処理を施して再生対象のデータを生成し、当該生成したデータを内部のバッファに格納する。
またエンコーダ/デコーダ112は、AVシステムAVS2の指示に応じて、バッファに対し所定単位ブロック分のデータを格納する毎に、当該バッファから所定単位ブロック分のデータを読み出してAVシステムAVS2に転送する。このようにしてシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面に記録していたデータを再生してAVシステムAVS2に転送することができる。
因みにスピンドル駆動回路106は、この際、例えばリーダ/ライタ回路114から与えられる再生処理用動作クロックをもとに、現在のスピンドルモータ107の回転速度を検出する。またスピンドル駆動回路106は、その回転速度を、予め設定された例えば、光ディスク101を線速度一定で回転させるための規準速度と比較するようにして、スピンドルモータ107の回転速度が基準速度にどの程度合っているかを示すスピンドルエラー信号を生成する。
そしてスピンドル駆動回路106は、かかるスピンドルエラー信号に基づきスピンドル制御信号を生成し、これをスピンドルモータ107に送出する。これによりスピンドル駆動回路106は、スピンドル制御信号によりスピンドルモータ107を回転駆動させ、かくして光ディスク101を線速度一定で回転させる。
また光ピックアップ102は、再生モード時にも光ディスク101のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光の一部を監視用受光素子によって受光して光電変換し、これにより出力監視用信号を生成してレーザドライバ108に送出する。そしてレーザドライバ108は、レーザダイオードを制御しながら、光ピックアップ102から与えられた出力監視用信号をAPC回路に取り込む。これによりレーザドライバ108は、APC回路により出力監視用信号に基づきレーザ光の出力を監視するようにしてレーザ制御信号の値を適宜調整し、かくしてレーザ光の出力を周囲の温度の変化等によらずに一定の読出用出力となるように制御する。
さらにサーボ回路105は、光ディスク101のデータ記録面にレーザ光が照射されている間、例えばトラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号に基づきスレッド制御信号を生成し、これをスレッド機構部103に送出する。これによりサーボ回路105は、スレッド制御信号によりスレッド機構部103を駆動して光ピックアップ102をディスク半径方向へ徐々に移動させる。このようにしてサーボ回路105は、光ディスク101のデータ記録面からトラックに沿って再生対象のデータを読み出させることができるようになされている。
ところでシステムコントローラ104は、立上モードにおいて、光ディスク101のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態になっても、AVシステムAVS2から書込命令や読出命令が与えられないときには、その立上モードから待機モードに移行する。この際、システムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し続ける。これによりシステムコントローラ104は、待機モード時にAVシステムAVS2から書込命令や読出命令が与えられると、記録モードや再生モードに移行するものの、そのとき、光ディスク101のデータ記録面に対するレーザ光の照射位置を容易に検出して当該光ディスク101に対するデータの書き込みや読み出しを速やかに開始し得るようにしている。
ただしシステムコントローラ104は、立上モードから待機モードへ移行しても、予め選定された所定のモード継続時間内に、AVシステムAVS2から書込命令や読出命令が何ら与えられないときには、レーザドライバ108による光ピックアップ102のレーザダイオードに対する駆動を停止させ、当該レーザダイオードによるレーザ光の発射を停止させる。またシステムコントローラ104は、スピンドル駆動回路106によるスピンドルモータ107の駆動も停止させて光ディスク101の回転も停止させる。これによりシステムコントローラ104は、立上モードから待機モードへ移行しても、モード継続時間内にAVシステムAVS2から書込命令や読出命令が与えられないときには、記録再生装置100内の各種回路ブロックやスピンドルモータ107等の動作を停止させた装置休止状態になり、無駄な電力消費を回避している。
またシステムコントローラ104は、記録モードや再生モードにおいてデータの記録や再生が終了すると、この際にも待機モードに移行する。そしてシステムコントローラ104は、記録モードや再生モードから待機モードに移行しても、モード継続時間内にAVシステムAVS2から書込命令や読出命令が与えられると、記録モードや再生モードに移行する。しかしながらシステムコントローラ104は、記録モードや再生モードから待機モードに移行しても、モード継続時間内にAVシステムAVS2から新たに書込命令や読出命令が何ら与えられないときには装置休止状態になり、無駄な電力消費を回避している。
ところで記録再生装置100に設けられる光ピックアップ102は、図2について上述した第1の実施の形態による光ピックアップ3と基本的には同様の構成を有している。しかしながら、光ピックアップ102としては、例えばレーザ光に非点収差を生じさせるような光学特性を有するもののように、種々の光学特性を有するものがある。このため、記録再生装置100としても、これに設けられる光ピックアップ102の光学特性に応じて、例えば3種類の構成のものがある。
すなわち、図12(A)乃至(C)に示すように、記録再生装置100としては、光ピックアップ102の有する光学特性に応じて、データの良好な書込性能やデータ及びディスクアドレス情報の良好な読出性能を得るための対物レンズの位置を同一にし得ることにより、記録モード、再生モード及び待機モードの何れでも1つのフォーカスバイアスFBc1を共用して対物レンズの位置を補正するような第1の構成の記録再生装置100がある(図12(A))。
また記録再生装置100としては、光ピックアップ102の有する光学特性に応じて、データの良好な書込性能やデータの良好な読出性能、またディスクアドレス情報の良好な読出性能を得るための対物レンズの位置をそれぞれ変更したほうが良いことにより、記録モード、再生モード、待機モードでそれぞれ異なる値のフォーカスバイアスFBr1、FBw1、FBi1を用いて対物レンズの位置を補正するような第2の構成の記録再生装置100もある(図12(B))。
さらに記録再生装置100としては、光ピックアップ102の有する光学特性に応じて、データの良好な書込性能やディスクアドレス情報の良好な読出性能を得るための対物レンズの位置は同一にし得るものの、その対物レンズの位置とデータの良好な読出性能を得るための対物レンズの位置とは変更したほうが良いことにより、記録モード及び待機モードでは1つのフォーカスバイアスFBc2を共用して対物レンズの位置を補正し、再生モードでは記録モード及び待機モード時のフォーカスバイアスFBc2とは異なる値のフォーカスバイアスFBr2を用いて対物レンズの位置を補正するような第3の構成の記録再生装置100もある(図12(C))。
そして第1乃至第3の構成の記録再生装置100においても、第1の実施の形態による再生装置1と同様に、動作可能な状態において記録モードや再生モード、待機モードで動作している間や、装置休止状態になると、内部温度が徐々に変化し、これに応じてフォーカスエラー信号の誤差も徐々に変化する。このため第1乃至第3の構成の記録再生装置100でも、記録モード、再生モード及び待機モードで動作している間、フォーカスバイアス調整処理を順次実行している。よって以下には、このような第1乃至第3の構成の記録再生装置100が実行するフォーカスバイアス調整処理について順番に説明する。
まず記録再生装置100が第1の構成を有する場合、システムコントローラ104は、立上モードにおいて、光ディスク101のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態になると、フォーカスバイアス設定処理を実行する。この際、例えばマトリクス回路109は、システムコントローラ104の制御のもと、光ピックアップ102から与えられる複数の光電信号に基づきフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号と共に生成したウォブル信号を、そのシステムコントローラ104にも送出する。
またシステムコントローラ104は、バイアス探索データを、その値(電圧値)を変化させながらサーボ回路105に送出する。ここで図3との対応部分に同一符号を付した図13に示すように、サーボ回路105は、システムコントローラ104から順次与えられるバイアス探索データをDSP120に取り込む。そしてDSP120は、これらバイアス探索データをフォーカスバイアス保持部121に順次保持する。
よってサーボ回路105は、このときDSP120においてシステムコントローラ104の制御のもとフォーカスバイアス保持部121から順次値の異なるバイアス探索データを読み出して加算器32に取り込み、そのバイアス探索データをフォーカスエラーデータに加算し、その加算結果に基づきフォーカス制御データを生成する。そしてサーボ回路105は、そのフォーカス制御データをフォーカス制御信号として光ピックアップ102の2軸アクチュエータに送出して駆動し、かくして対物レンズを光軸に沿って、例えば光ディスク101のデータ記録面に徐々に近づけるように移動させる。
このようにしてシステムコントローラ104は、サーボ回路105に与えるバイアス探索データの値を変化させて対物レンズを光軸に沿って移動させながら、マトリクス回路109から与えられるウォブル信号の値を監視し、当該ウォブル信号の値が最大になったときのバイアス探索データの値を検出する。これによりシステムコントローラ104は、ウォブル信号の値が最大となったときに検出したバイアス探索データの値を、記録モード、再生モード及び待機モードで共用する1つのフォーカスバイアスFBc1の値(一定電圧値)に設定する。そしてシステムコントローラ104は、その設定した値のフォーカスバイアスFBc1をサーボ回路105に送出する。
従ってサーボ回路105は、システムコントローラ104から与えられるフォーカスバイアスFBc1をDSP120に取り込む。そしてサーボ回路105は、DSP120において、フォーカスバイアス保持部121に対しバイアス探索データに替えて、そのフォーカスバイアスFBc1を保持する。これによりサーボ回路105は、この後、記録モード時や再生モード時、待機モード時にDSP120においてフォーカスエラーデータに対しフォーカスバイアスFBc1を加算し得るようになる。
そしてシステムコントローラ104は、例えば立上モードから記録モードへ移行すると、サーボ回路105においてフォーカスバイアス保持部121内のフォーカスバイアスFBc1を加算したフォーカスエラーデータに基づきフォーカス制御データを生成させる。これによりシステムコントローラ104は、サーボ回路105に対し、そのフォーカスエラーデータをフォーカス制御信号として光ピックアップ102の2軸アクチュエータに送出させて駆動させる。この状態でシステムコントローラ104は、サーボ回路105を介してスレッド機構部103や2軸アクチュエータを駆動制御する。
これによりシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面においてデータの書込開始位置にレーザ光を照射させる。この状態でシステムコントローラ104は、光ディスク101へのデータの書き込みを開始すると、当該光ディスク101にデータを書き込んでいる間、マトリクス回路109に対し上述と同様にウォブル信号を送出するように制御する。よってマトリクス回路109は、光ディスク101へのデータの書き込みが開始されると、光ピックアップ102から与えられる複数の光電信号に基づきウォブル信号を生成し、当該生成したウォブル信号をシステムコントローラ104に送出する。
またシステムコントローラ104は、記録モードにおいて光ディスク101へのデータの書き込みを開始すると、その時点に記録モードにおける1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始する。ただし記録再生装置100では、このように立上モードから記録モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、このとき対物レンズの位置を最も精度良く補正し得るフォーカスバイアスが、現在に最も近い立上モードで値の設定されたフォーカスバイアスFBc1である。このためシステムコントローラ104は、このように立上モードから記録モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合のみ、その立上モードで値の設定されたフォーカスバイアスFBc1を、前回のフォーカスバイアス調整処理で値を調整し終えたフォーカスバイアスとして扱って調整対象とする。
よってシステムコントローラ104は、立上モードから記録モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始すると、サーボ回路105からDSP120のフォーカスバイアス保持部121に保持されているフォーカスバイアスFBc1を調整対象として読み出す。そしてシステムコントローラ104は、上述した第1の実施の形態による再生装置1のシステムコントローラ5と同様に、調整対象のフォーカスバイアスFBc1を基準としたプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを生成する。またシステムコントローラ104は、これらプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データをサーボ回路105に送出して、DSP120のフォーカスバイアス保持部121に追加で保持させる。
この状態でシステムコントローラ104は、サーボ回路105のDSP120において、フォーカスエラーデータに対する調整対象のフォーカスバイアスFBc1の加算を停止させると共に、フォーカスバイアス保持部121からプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを評価時間ずつ順次交互に読み出させて、フォーカスエラーデータに加算させ始める。すなわち、システムコントローラ104は、プラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを、調整対象のフォーカスバイアスFBc1の値を基準としプラス側及びマイナス側に順次交互に同じ微小な所定値だけ変化させた矩形波のような評価用データとしてフォーカスエラーデータに加算させる。
よってシステムコントローラ104は、サーボ回路105に対し評価用データを加算したフォーカスエラーデータに基づいてフォーカス制御データを生成させ、これをフォーカス制御信号として光ピックアップ102の2軸アクチュエータに送出させて駆動させる。これによりシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面にデータを書き込みながら、対物レンズを光軸に沿って接近方向及び離間方向へ順次交互に評価時間ずつ微小に振り動かす。
またシステムコントローラ104は、このように対物レンズを光軸に沿って微小に振り動かすと、フォーカスエラーデータにプラス側評価用データが加算されるタイミングに同期して、当該対物レンズを光軸に沿って評価時間だけ一方へ振ったときに生成されたウォブル信号の値を、調整対象のフォーカスバイアスFBc1の評価値を得るために利用するプラス側評価利用値として検出する。またシステムコントローラ104は、フォーカスエラーデータにマイナス側評価用データが加算されるタイミングに同期して、対物レンズを光軸に沿って評価時間だけ他方へ振ったときに生成されたウォブル信号の値も、調整対象のフォーカスバイアスFBc1の評価値を得るために利用するマイナス側評価利用値として検出する。
このようにしてシステムコントローラ104は、フォーカスエラーデータに対するプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの加算に応じて対物レンズを光軸に沿って振り動かしたときのウォブル信号の値をプラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値として順次交互に検出する。
ところでシステムコントローラ104は、記録モード時、例えばリーダ/ライタ回路114が上述した評価利用値検出期間においてレーザ制御信号を連続的に生成する場合に処理する変調データの所定データ量を予め保持している。そしてシステムコントローラ104は、リーダ/ライタ回路114において変調データを処理してレーザ制御信号を生成している間、その生成用に処理している変調データのデータ量を計測する。これによりシステムコントローラ104は、リーダ/ライタ回路114において順次、レーザ制御信号の生成用に所定データ量の変調データが処理された時点を、評価利用値検出期間の終了時点と見なして検出している。
そしてシステムコントローラ104は、このようにして評価利用値検出期間の終了を検出すると、サーボ回路105のDSP120において、フォーカスエラーデータへの評価用データ(すなわち、プラス側評価用データ及びマイナス側評価用データ)の加算を停止させる(すなわち、プラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出を終了する)。またシステムコントローラ104は、このときDSP120において、フォーカスエラーデータに対し評価用データに替えて、フォーカスバイアス保持部121内の調整対象のフォーカスバイアスFBc1を再び加算させる。
よってシステムコントローラ104は、サーボ回路105において調整対象のフォーカスバイアスFBc1を加算したフォーカスエラーデータに基づきフォーカス制御データを生成させ、当該生成させたフォーカス制御データにより対物レンズの位置を調整させる。これによりシステムコントローラ104は、光ディスク101へのデータの書き込みを継続しながら、フォーカスエラーデータへの評価用データの加算開始から加算停止までの評価利用値検出期間に検出していた多数のプラス側評価利用値のプラス側平均値を算出すると共に、多数のマイナス側評価利用値のマイナス側平均値を算出する。
そしてシステムコントローラ104は、プラス側平均値からマイナス側平均値を減算して差分値を算出する。ここで図14(A)乃至(C)に示すように、ウォブル信号Wbの値は、光ディスク101のデータ記録面にレーザ光の焦点が近づくほど徐々に大きい値になり、当該データ記録面にレーザ光の焦点が合うと最大値になる例えば二次曲線を描くような特性を有している。
このため例えば、フォーカスバイアスFB20によって対物レンズの位置を、光ディスク101のデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるような所望位置よりも当該データ記録面から引き離すように補正している場合、そのフォーカスバイアスFB20の値を基準として対物レンズを光軸に沿って微小に振り動かして得られるプラス側評価利用値とマイナス側評価利用値とでは、プラス側評価利用値の方が大きな値になる。よって、かかるフォーカスバイアスFB20を調整対象として用いるフォーカスバイアス調整処理では、プラス側平均値PA10から、これよりも値の小さいマイナス側平均値MA10を減算することにより、差分値がプラスの値になる(図14(A))。
これに対してフォーカスバイアスFB21によって対物レンズの位置を、所望位置よりも光ディスク101のデータ記録面に近づけるように補正している場合、そのフォーカスバイアスFB21の値を基準として対物レンズを光軸に沿って微小に振り動かしたときに得られるプラス側評価利用値とマイナス側評価利用値とでは、プラス側評価利用値の方が小さな値になる。よって、かかるフォーカスバイアスFB21を調整対象として用いるフォーカスバイアス調整処理では、プラス側平均値PA11から、これよりも値の大きいマイナス側平均値MA11を減算することにより、差分値がマイナスの値になる(図14(B))。
またフォーカスバイアスFB22によって対物レンズの位置を、所望位置に位置させるように補正している場合、そのフォーカスバイアスFB22の値を基準として対物レンズを光軸に沿って微小に振り動かしたときに得られるプラス側評価利用値とマイナス側評価利用値とでは同一の値になる。よって、かかるフォーカスバイアスFB22を調整対象として用いるフォーカスバイアス調整処理では、プラス側平均値PA12から、これと同一な値のマイナス側平均値MA12を減算することにより、差分値の値が「0」になる(図14(C))。
従ってフォーカスバイアス調整処理でウォブル信号Wbを利用して算出される差分値は、その「0」、又は「0」とは異なる値により、調整対象のフォーカスバイアスFB20乃至FB22が、対物レンズの位置を所望位置に補正し得ているか否かを示していると言える。また差分値は、調整対象のフォーカスバイアスFB20及びFB21が対物レンズの位置を所望位置に補正し得てはいないことを示している場合、当該差分値の大きさ及び符号により、調整対象のフォーカスバイアスFB20及びFB21が対物レンズの位置を、所望位置よりも光ディスク101のデータ記録面から接近方向及び離間方向の何れに位置させるように補正しているかも示していると言える。
すなわち、フォーカスバイアス調整処理でウォブル信号Wbを利用して算出される差分値は、上述した第1の実施の形態による再生装置1においてジッタを利用して算出される評価値と同様に、調整対象のフォーカスバイアスFBc1の値に対する評価値として用いることができると言える。
よってシステムコントローラ104は、このような差分値を調整対象のフォーカスバイアスFBc1の評価値として用いると共に、その調整対象のフォーカスバイアスFBc1の値も用いて、今回のフォーカスバイアスFB2の調整値を上述した(2)式により算出する。因みにシステムコントローラ104は、(2)式によりフォーカスバイアスFBc1の調整値を算出する場合、対物レンズの位置を所望位置に補正したときに評価値として得られる「0」の値を目標値に設定している。
システムコントローラ104は、このように(2)式により今回のフォーカスバイアスの調整値を算出すると、当該算出した調整値のフォーカスバイアスをサーボ回路105のDSP120に送出する。これによりシステムコントローラ104は、フォーカスバイアス保持部121に対し、値を調整する前の(すなわち、今回のフォーカスバイアス調整処理で調整対象としていた)フォーカスバイアスFBc1に、値を調整した(すなわち、今回のフォーカスバイアス調整処理で算出した調整値の)フォーカスバイアスを上書きするように保持させる。
システムコントローラ104は、フォーカスバイアスFBc1の値を調整して、フォーカスバイアス保持部121内のフォーカスバイアスを更新すると、1回目のフォーカスバイアス調整処理を終了する。ところでシステムコントローラ104は、このように1回目のフォーカスバイアス調整処理を終了した時点に、光ディスク101へのデータの書き込みが途中であると(すなわち、記録モードで動作中であると)、2回目のフォーカスバイアス調整処理を開始する。
このようにしてシステムコントローラ104は、記録モード時、ウォブル信号を利用して評価値を得ることを除いて、上述した第1の実施の形態による再生装置1と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。よってシステムコントローラ104は、記録モードで動作している間に記録再生装置100の内部温度が徐々に変化し、これに応じてフォーカスエラー信号の誤差が徐々に変化しても、当該誤差の変化に追従させるように、フォーカスバイアスの値を徐々に調整する。
これによりシステムコントローラ104は、記録再生装置100の内部温度が変化し光ピックアップ102において光ディスク101のデータ記録面からレーザ光の焦点がずれるように作用しても、その作用を相殺して当該データ記録面にレーザ光の焦点を合せるように追従させることができる。
ところでシステムコントローラ104は、例えば立上モードから再生モードへ移行したとき、ウォブル信号を利用して評価値を得ることを除いて、上述した第1の実施の形態による再生装置1と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。またシステムコントローラ104は、例えば立上モードから待機モードへ移行したときにも、ウォブル信号を利用して評価値を得ることを除いて、上述した第1の実施の形態による再生装置1と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。
ただしシステムコントローラ104は、待機モードでフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、評価利用値検出期間においてプラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出に用いるウォブル信号の所定信号量を予め保持している。そしてシステムコントローラ104は、フォーカスバイアス調整処理を実行している間、プラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出に用いるウォブル信号の信号量を計測し、当該プラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出に所定信号量のウォブル信号を用いたことを検出した時点を、評価利用値検出期間の終了時点と見なしている。これによりシステムコントローラ104は、待機モードにおいてフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、プラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出に所定信号量のウォブル信号を用いたことを契機として、当該プラス側評価利用値及びマイナス側評価利用値の検出から、フォーカスバイアスの調整値の算出へと処理を切り替えている。
さらにシステムコントローラ104は、記録モード、再生モード及び待機モードから他の記録モード、再生モード及び待機モードへ移行した場合や、待機モードから一旦、装置休止状態になった後、記録モード及び再生モードへ移行した場合も、これら記録モード、再生モード及び待機モードで動作している間は上述と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。
そしてシステムコントローラ104は、かかる構成の場合、記録モード、再生モード及び待機モードにおいて1つのフォーカスバイアスを共用している。従ってシステムコントローラ104は、記録モード、再生モード及び待機モードから他の記録モード、再生モード及び待機モードへ移行した場合や、待機モードから一旦、装置休止状態になった後、記録モード及び再生モードへ移行した場合には、移行前のモードで最後に実行したフォーカスバイアス調整処理によって得られたフォーカスバイアスを、移行後のモードで実行する1回目のフォーカスバイアス調整処理に調整対象として用いている。
このようにしてシステムコントローラ104は、記録再生装置100に光ディスク101が装填された状態で起動したときや、動作可能な状態(すなわち、電源オン状態)で光ディスク101が装填(又は、交換)されたときには、立上モードにおいてフォーカスバイアスFBc1の値を設定する。そしてシステムコントローラ104は、その立上モード以降に記録モードや再生モード、待機モードで動作すると、この後、電源オフ命令の入力に応じて記録再生装置100を電源オフ状態(すなわち、電力の入力を遮断した状態)にして停止させるまで、又は光ディスク101の交換に応じて再び立上モードへ移行するまでは、先の立上モードで設定した1つのフォーカスバイアスFBc1の値を順次調整して更新しながら用いて、光ディスク101のデータ記録面にレーザ光の焦点を合せ込むようにしている。
次いで、記録再生装置100が第2の構成を有する場合、システムコントローラ104は、立上モードにおいて、光ディスク101のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態になると、記録モード時に使用するフォーカスバイアスFBw1の値を設定するフォーカスバイアス設定処理を実行する。この際、システムコントローラ104は、レーザドライバ108を制御して試書用のレーザ制御信号を光ピックアップ102に送出させる。
これにより光ピックアップ102は、レーザドライバ108から与えられたレーザ制御信号に基づきレーザダイオードから試書用のレーザ光を発射させ、当該発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスク101のデータ記録面に照射する。よって光ピックアップ102は、光ディスク101のデータ記録面に対しレーザ光の照射部分に試書用のピット(すなわち、フェイズチェンジマーク)を形成する。
そして光ピックアップ102は、このとき光ディスク101のデータ記録面で試書用のレーザ光が反射して得られる反射光を例えば複数の受光素子によって受光して光電変換する。よって光ピックアップ102は、これら複数の受光素子により、それぞれ受光した反射光の光量に応じた電流値の光電信号を生成してマトリクス回路109に送出する。
またマトリクス回路109は、このときシステムコントローラ104の制御のもと、光ピックアップ102から与えられる複数の光電信号に基づきフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びウォブル信号と共にRF信号も生成する。そしてマトリクス回路109は、RF信号をシステムコントローラ104に送出する。
さらにシステムコントローラ104は、バイアス探索データを、その値(電圧値)を変化させながらサーボ回路105に送出し、DSP120のフォーカスバイアス保持部121に順次保持させる。よってサーボ回路105は、このときDSP120においてシステムコントローラ104の制御のもとフォーカスバイアス保持部121から順次値の異なるバイアス探索データを読み出して加算器32に取り込み、そのバイアス探索データをフォーカスエラーデータに加算し、その加算結果に基づきフォーカス制御データを生成する。そしてサーボ回路105は、そのフォーカス制御データをフォーカス制御信号として光ピックアップ102の2軸アクチュエータに送出して駆動し、かくして対物レンズを光軸に沿って、例えば光ディスク101のデータ記録面に徐々に近づけるように移動させる。
このようにしてシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面にデータを試し書きしながら、サーボ回路105に与えるバイアス探索データの値を変化させて対物レンズを光軸に沿って移動させると共に、そのときマトリクス回路109から与えられるRF信号の値を監視する。そしてシステムコントローラ104は、RF信号の値が、データの良好な書込性能が得られる対物レンズの所望位置に応じた所定値(例えば最大)になったときのバイアス探索データの値を検出する。これによりシステムコントローラ104は、RF信号の値が所定値になったときに検出したバイアス探索データの値を、記録モード時に使用するフォーカスバイアスFBw1の値(一定電圧値)に設定する。そしてシステムコントローラ104は、その設定した値のフォーカスバイアスFBw1をサーボ回路105に送出する。
従ってサーボ回路105は、システムコントローラ104から与えられるフォーカスバイアスFBw1をDSP120に取り込む。そしてサーボ回路105は、DSP120において、フォーカスバイアス保持部121に対しバイアス探索データに替えて、そのフォーカスバイアスFBw1を保持する。これによりサーボ回路105は、この後、記録モード時にDSP120においてフォーカスエラーデータに対しフォーカスバイアスFBw1を加算し得るようになる。
またシステムコントローラ104は、かかる立上モードにおいて再生モード時に使用するフォーカスバイアスFBr1の値を設定するフォーカスバイアス設定処理も実行する。この際、システムコントローラ104は、上述した第1の実施の形態による再生装置1において立上モード時にフォーカスバイアスを設定する場合と同様にジッタを利用して、対物レンズがデータの良好な読出性能が得られる所望位置に位置したときのバイアス探索データの値を、再生モード時に使用するフォーカスバイアスFBr1の値に設定する。
さらにシステムコントローラ104は、かかる立上モードにおいて待機モード時に使用するフォーカスバイアスFBi1の値を設定するフォーカスバイアス設定処理も実行する。この際、システムコントローラ104は、上述した第1の構成を有する記録再生装置100の場合と同様にウォブル信号を利用して、対物レンズがディスクアドレス情報の良好な読出性能が得られる所望位置に位置したときのバイアス探索データの値を、待機モード時に使用するフォーカスバイアスFBr1の値に設定する。
そしてシステムコントローラ104は、これら再生モード時及び待機モード時に使用するフォーカスバイアスFBr1及びFBi1もサーボ回路105に送出してDSP120内のフォーカスバイアス保持部121に保持させる。これによりシステムコントローラ104は、この後、再生モード及び待機モード時にDSP120においてフォーカスエラーデータに対しフォーカスバイアスFBr1及びFBi1も加算し得るようにする。
そしてシステムコントローラ104は、例えば立上モードから記録モードへ移行すると、サーボ回路105においてフォーカスバイアス保持部121内の記録モード時用のフォーカスバイアスFBw1を加算したフォーカスエラーデータに基づきフォーカス制御データを生成させる。これによりシステムコントローラ104は、サーボ回路105に対し、そのフォーカスエラーデータをフォーカス制御信号として光ピックアップ102の2軸アクチュエータに送出させて駆動させる。この状態でシステムコントローラ104は、サーボ回路105を介してスレッド機構部103や2軸アクチュエータを駆動制御する。
これによりシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面においてデータの書込開始位置にレーザ光を照射させる。この状態でシステムコントローラ104は、光ディスク101へのデータの書き込みを開始すると、当該光ディスク101にデータを書き込んでいる間、マトリクス回路109に対し上述と同様にRF信号を生成して送出するように制御する。よってマトリクス回路109は、光ディスク101へのデータの書き込みが開始されると、光ピックアップ102から与えられる複数の光電信号に基づきRF信号を生成し、当該生成したRF信号をシステムコントローラ104に送出する。
またシステムコントローラ104は、記録モードにおいて光ディスク101へのデータの書き込みを開始すると、その時点に記録モードにおける1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始する。因みに記録再生装置100では、上述と同様に、立上モードから記録モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、現在、対物レンズの位置を最も精度良く補正し得るフォーカスバイアスが、現在に最も近い立上モードで値の設定されたフォーカスバイアスFBw1である。このためシステムコントローラ104は、立上モードから記録モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合のみ、その立上モードで値の設定されたフォーカスバイアスFBw1を、前回のフォーカスバイアス調整処理で値を調整し終えたフォーカスバイアスとして扱い調整対象とする。
システムコントローラ104は、立上モードから記録モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始すると、RF信号を利用して評価値を得ることを除いて、上述した第1の構成を有する記録再生装置100の場合と同様にフォーカスバイアス調整処理を進めてフォーカスバイアスの調整値を算出する。因みにRF信号の値は、上述したウォブル信号Wbの値と同様に、光ディスク101のデータ記録面にレーザ光の焦点が近づくほど徐々に大きい値になり、当該データ記録面にレーザ光の焦点が合うと最大値になるような特性を有している。従ってRF信号は、ウォブル信号に替えてフォーカスバイアスの評価値を得るために利用することができるものである。
そしてシステムコントローラ104は、記録モードで動作している間は、フォーカスバイアス調整処理を順次実行して、当該フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、RF信号を利用して得た評価値と共に、記録モード時における前回のフォーカスバイアス調整処理で算出した調整値のフォーカスバイアスを調整対象として用いて、当該調整対象のフォーカスバイアスの値を調整する。よってシステムコントローラ104は、記録モードで動作している間に記録再生装置100の内部温度が徐々に変化し、これに応じてフォーカスエラー信号の誤差が徐々に変化しても、当該誤差の変化に追従させるように、フォーカスバイアスの値を徐々に調整する。
ただしシステムコントローラ104は、記録モードにおいてフォーカスバイアス調整処理を順次実行する場合、上述した(2)式に用いる目標値(すなわち、RF信号を利用して得る評価値を最終的に収束させる所定値)を、対物レンズが、データの良好な書込性能が得られる所望位置に位置したときに評価値として得られる所定値に設定している。従ってシステムコントローラ104は、記録再生装置100の内部温度が変化し光ピックアップ102において対物レンズが、データの良好な書込性能が得られる所望位置からずれるように作用しても、その作用を相殺して当該対物レンズをデータの良好な書込性能が得られる所望位置に追従させることができる。
ところでシステムコントローラ104は、再生モードで動作している間は、ジッタの値を利用して評価値を得るようにして、上述した第1の実施の形態による再生装置1と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。これによりシステムコントローラ104は、再生モードで動作している間、当該再生モードで使用するフォーカスバイアスFBr1の値を徐々に調整する。
ただしシステムコントローラ104は、再生モードにおいてフォーカスバイアス調整処理を順次実行する場合、上述した(2)式に用いる目標値(すなわち、ジッタの値を利用して得る評価値を最終的に収束させる所定値)を、対物レンズがデータの良好な読出性能が得られる所望位置に位置したときに評価値として得られる所定値に設定している。従ってシステムコントローラ104は、記録再生装置100の内部温度が変化し光ピックアップ102において対物レンズが、データの良好な読出性能が得られる所望位置からずれるように作用しても、その作用を相殺して当該対物レンズをデータの良好な読出性能が得られる所望位置に追従させることができる。
またシステムコントローラ104は、待機モードで動作している間は、ウォブル信号を利用して評価値を得るようにして、上述した第1の構成を有する記録再生装置100の場合と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。これによりシステムコントローラ104は、待機モードで動作している間、当該待機モードで使用するフォーカスバイアスFBi1の値を徐々に調整する。
ただしシステムコントローラ104は、待機モードにおいてフォーカスバイアス調整処理を順次実行する場合、上述した(2)式に用いる目標値(すなわち、ウォブル信号を利用して得る評価値を最終的に収束させる所定値)を、対物レンズが、ディスクアドレス情報の良好な読出性能が得られる所望位置に位置したときに評価値として得られる所定値に設定している。従ってシステムコントローラ104は、記録再生装置100の内部温度が変化し光ピックアップ102において対物レンズが、ディスクアドレス情報の良好な読出性能が得られる所望位置からずれるように作用しても、その作用を相殺して当該対物レンズをディスクアドレス情報の良好な読出性能が得られる所望位置に追従させることができる。
ところでシステムコントローラ104は、かかる構成の場合、記録モードで動作しながらフォーカスバイアス調整処理を順次実行すると、その記録モードでのみ使用する(すなわち、専用の)フォーカスバイアスFBw1の値を徐々に調整しながらサーボ回路105のフォーカスバイアス保持部121に保持させるようにして、当該フォーカスバイアス保持部121内のフォーカスバイアスFBw1を順次更新する。よってシステムコントローラ104は、記録モードでの最後のフォーカスバイアス調整処理を終了させたときには、フォーカスバイアス保持部121において、記録モードで使用するフォーカスバイアスFBw1を当該最後のフォーカスバイアス調整処理によって得られたフォーカスバイアスに更新している。
またシステムコントローラ104は、再生モードで動作しながらフォーカスバイアス調整処理を順次実行すると、その再生モードでのみ使用する(すなわち、専用の)フォーカスバイアスFBr1の値を徐々に調整しながらフォーカスバイアス保持部121に保持させるようにして、当該フォーカスバイアス保持部121内のフォーカスバイアスFBr1を順次更新する。よってシステムコントローラ104は、再生モードでの最後のフォーカスバイアス調整処理を終了させたときには、フォーカスバイアス保持部121において、再生モードで使用するフォーカスバイアスFBr1を、当該最後のフォーカスバイアス調整処理によって得られたフォーカスバイアスに更新している。
さらにシステムコントローラ104は、待機モードで動作しながらフォーカスバイアス調整処理を実行すると、その待機モードでのみ使用する(すなわち、専用の)フォーカスバイアスFBi1の値を徐々に調整しながらフォーカスバイアス保持部121に保持させるようにして、当該フォーカスバイアス保持部121内のフォーカスバイアスFBi1を順次更新する。よってシステムコントローラ104は、待機モードでの最後のフォーカスバイアス調整処理を終了させたときには、フォーカスバイアス保持部121において、待機モードで使用するフォーカスバイアスFBi1を、当該最後のフォーカスバイアス調整処理により得られたフォーカスバイアスに更新している。
ただし記録再生装置100では、記録モード、再生モード、待機モード毎に専用のフォーカスバイアスFBw1、FBr1、FBi1の値を調整した際に、フォーカスバイアス保持部121内で、これらフォーカスバイアスFBw1、FBr1、FBi1を更新する更新手法として、例えば3種類の第1乃至第3の更新手法がある。よって以下には、これら第1乃至第3の更新手法について順番に説明する。
まず図15(A)及び(B)に示すように、システムコントローラ104は、第1の更新手法が適用されている場合、例えば再生モードでフォーカスバイアス調整処理を順次実行して、当該再生モードでのみ使用するフォーカスバイアスFBr10の値Vfb1を調整すると、フォーカスバイアス保持部121に保持するフォーカスバイアスFBr10を、調整前(すなわち、1回目のフォーカスバイアス調整処理の開始前)の値Vfb1のものから、最終的には最後のフォーカスバイアス調整処理で調整した値Vfb4のフォーカスバイアスFBr11へと更新する。
そしてシステムコントローラ104は、このように再生モードでフォーカスバイアス調整処理を順次実行した結果、調整前のフォーカスバイアスFBr10の値Vfb1が、最後のフォーカスバイアス調整処理で得たフォーカスバイアスFBr11の値Vfb4として、フォーカスエラー信号の誤差の変化に応じた調整量ΔV1だけ変化していても、当該最後のフォーカスバイアス調整処理が終了したときに、フォーカスバイアス保持部121内の、他の記録モードや待機モードでのみ使用するフォーカスバイアスFBw10及びFBi10を値Vfb2及びVfb3はそのままにして更新しないようにする。
このようにシステムコントローラ104は、第1の更新手法が適用されている場合、記録モード、再生モード及び待機モードでそれぞれフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3を調整しても、その調整結果を他のフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10へは何ら反映させないようにしている。すなわちシステムコントローラ104は、記録モード、再生モード及び待機モードでそれぞれ使用するフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3を、対応する記録モード、再生モード、待機モードで動作している間だけ、実際に評価して内部温度の変化に応じたフォーカスエラー信号の誤差の変化に追従させるように調整している。
これに対して図16(A)及び(B)に示すように、システムコントローラ104は、第2の更新手法が適用されている場合、例えば再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始すると、当該再生モードでのみ使用する調整前の値Vfb1のフォーカスバイアスFBr10を内部メモリに一時的に保持しておく。そしてシステムコントローラ104は、再生モードにおいてフォーカスバイアス調整処理を順次実行してフォーカスバイアス保持部121に保持するフォーカスバイアスFBr10を、調整前の値Vfb1のものから、最終的には最後のフォーカスバイアス調整処理で調整した値Vfb4のフォーカスバイアスFBr11へと更新すると、内部メモリに一時的に保持していた調整前のフォーカスバイアスFBr10の値Vfb1と、最終的に得られたフォーカスバイアスFBr11の値Vfb4とを比較する。
その結果、システムコントローラ104は、再生モードでの最後のフォーカスバイアス調整処理によって得られたフォーカスバイアスFBr11の値Vfb4が、調整前のフォーカスバイアスFBr10の値Vfb1から、フォーカスエラー信号の誤差の変化に応じた調整量ΔV1だけ変化していると、当該最後のフォーカスバイアス調整処理が終了したときに、フォーカスバイアス保持部121内の他の記録モードや待機モードでのみ使用するフォーカスバイアスFBw10及びFBi10も、これらの値Vfb2及びVfb3を調整量ΔV1だけ変化させたフォーカスバイアスFBw11及びFBi11に更新する。
このようにシステムコントローラ104は、第2の更新手法が適用されている場合、記録モード、再生モード及び待機モードでそれぞれフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3を調整すると、その調整結果を他のフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10へも反映させるようにしている。これによりシステムコントローラ104は、記録モード、再生モード及び待機モードで動作している間に内部温度が大幅に変化し、その結果、フォーカスエラー信号の誤差が大幅に変化しても、そのとき値Vfb1、Vfb2、Vfb3を調整しているフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10とは異なるフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3が、最適な値から大幅にずれることを回避している。
よってシステムコントローラ104は、第2の更新手法が適用されている場合、記録モード、再生モード及び待機モードの何れで動作しても、書込性能や読出性能が極端に低下することを未然に回避することができる。またシステムコントローラ104は、記録モードや再生モード、待機モードで対応するフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3を調整するときに、最適な値に収束するまでの時間を極力短くすることもできる。
これに加えて図17(A)乃至(C)に示すように、システムコントローラ104は、第3の更新手法が適用されている場合、例えば再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始すると、当該再生モードでのみ使用する調整前の値Vfb1のフォーカスバイアスFBr10を内部メモリに一時的に保持しておく。またシステムコントローラ104は、かかるフォーカスバイアス調整処理の開始時点における記録再生装置100の内部温度を開始時内部温度として温度センサにより検出しておく。
この状態でシステムコントローラ104は、フォーカスバイアス調整処理を順次実行してフォーカスバイアスFBr10の値Vfb1を調整し、フォーカスバイアス保持部121に保持するフォーカスバイアスFBr10を、調整前の値Vfb1のものから、最終的には最後のフォーカスバイアス調整処理で調整した値Vfb4のフォーカスバイアスFBr11へと更新すると、その時点における記録再生装置100の内部温度を更新時内部温度として温度センサにより検出する。そしてシステムコントローラ104は、開始時内部温度と更新時内部温度との温度差(すなわち、再生モードでフォーカスバイアス調整処理を順次実行している間の内部温度の変化量であり、以下、これを内部温度差と呼ぶ)を算出し、当該算出した内部温度差を、予め設定された設定温度差と比較する。
その結果、システムコントローラ104は、内部温度差が設定温度差よりも小さいと(すなわち、再生モードでフォーカスバイアス調整処理を順次実行していた間、記録再生装置100の内部温度が設定温度差以上には変化しないと)、例えば調整前のフォーカスバイアスFBr10の値Vfb1が、最終的に得られたフォーカスバイアスFBr12の値Vfb5として、フォーカスエラー信号の誤差の変化に応じた調整量ΔV2だけ変化していても、最後のフォーカスバイアス調整処理が終了したときに、フォーカスバイアス保持部121内で、他の記録モードや待機モードでのみ使用するフォーカスバイアスFBw10及びFBi10を値Vfb2及びVfb3はそのままにして更新しないようにする。
これに対してシステムコントローラ104は、内部温度差が設定温度差以上であると(すなわち、再生モードでフォーカスバイアス調整処理を順次実行していた間、記録再生装置100の内部温度が設定温度差以上に変化していると)、内部メモリに一時的に保持していた調整前のフォーカスバイアスFBr10の値Vfb1と、最終的に得られたフォーカスバイアスFBr11の値Vfb6とを比較する。
その結果、システムコントローラ104は、再生モードでの最後のフォーカスバイアス調整処理によって最終的に得られたフォーカスバイアスFBr11の値Vfb6が、調整前のフォーカスバイアスFBr10の値Vfb1から、フォーカスエラー信号の誤差の変化に応じた調整量ΔV3だけ変化していると、当該最後のフォーカスバイアス調整処理が終了したときに、フォーカスバイアス保持部121内の他の記録モードや待機モードでのみ使用するフォーカスバイアスFBw10及びFBi10も、これらの値Vfb2及びVfb3を調整量ΔV3だけ変化させたフォーカスバイアスFBw12及びFBi12に更新する。
ここで記録再生装置100では、内部温度の変化が比較的小さいと、これに伴いフォーカスエラー信号の誤差の変化も比較的小さく、これに対して内部温度の変化が比較的大きいと、これに伴いフォーカスエラー信号の誤差の変化も比較的大きくなる。従ってシステムコントローラ104は、第3の更新手法が適用されている場合、記録モード、再生モード及び待機モードでそれぞれフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3を調整していた間に記録再生装置100の内部温度があまり変化してはいないと、このときの調整結果を、他のフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10へは何ら反映させないようにしている。
またシステムコントローラ104は、記録モード、再生モード及び待機モードでそれぞれフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3を調整していた間に記録再生装置100の内部温度が大きく変化すると、このときの調整結果を、他のフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10へも反映させるようにしている。よってシステムコントローラ104は、フォーカスバイアス調整処理を順次実行していた間の内部温度の変化が比較的小さいと、この後、記録モード、再生モード及び待機モードでそれぞれ使用するフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3を、対応する記録モード、再生モード、待機モードで動作している間だけ、実際に評価して内部温度の変化に応じたフォーカスエラー信号の誤差の変化に追従させるように適確に調整することができる。
またシステムコントローラ104は、フォーカスバイアス調整処理を順次実行していた間の内部温度の変化が比較的大きいと、フォーカスバイアス調整処理を順次実行していた間、値Vfb1、Vfb2、Vfb3を調整してはいない他のフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3が、最適な値から大幅にずれることを回避することができる。よってシステムコントローラ104は、このようにフォーカスバイアス調整処理を順次実行していた間の内部温度の変化が比較的大きいときには、引き続き記録モード、再生モード及び待機モードの何れで動作しても、書込性能や読出性能が極端に低下することを未然に回避することができると共に、その動作と並行して調整するフォーカスバイアスFBw10、FBr10、FBi10の値Vfb1、Vfb2、Vfb3を、極力短い時間で最適な値に収束させることができる。
ところで上述した記録再生装置100では、第2の構成を有し、かつ第2の更新手法が適用されている場合、フォーカスバイアス保持部121に対し記録モード、再生モード及び待機モードにおいて使用する3種類のフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1を保持するようにしていた。しかしながら記録再生装置100では、第2の構成を有し、かつ第2の更新手法が適用されている場合、フォーカスバイアス保持部121に対し、記録モード、再生モード及び待機モード用の3種類のフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1を全て保持しておくことなく、適宜、何れか1つのフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1のみを保持するようにしても、上述と同様に機能することができる。
すなわち、かかる構成の記録再生装置100においてシステムコントローラ104は、立上モードにおいて記録モード、再生モード及び待機モードでそれぞれ使用するフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1の値を設定する。ただしシステムコントローラ104は、このように立上モードで3種類のフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1の値を設定しても、これら全てをフォーカスバイアス保持部121には保持させずに、当該立上モードから最初に移行する1つの記録モード、再生モード又は待機モードの動作で使用する1つのフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1のみをフォーカスバイアス保持部121に保持させる。
またシステムコントローラ104は、このとき立上モードで値を設定した3種類のフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1同士の差分値を算出して、その差分値を当該システムコントローラ104の内部メモリに記憶する。この状態でシステムコントローラ104は、フォーカスバイアス保持部121に対し最初に保持させた1つのフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1の値については、そのときの記録モード、再生モード又は待機モードでの動作中に実行するフォーカスバイアス調整処理により徐々に調整して更新する。
システムコントローラ104は、このようにして何れか1つの記録モード、再生モード又は待機モードから他の何れか1つの記録モード、再生モード又は待機モードへ移行したときには、内部メモリから、その移行前の記録モード、再生モード又は待機モード用に立上モードで設定していたフォーカスバイアスFBw1、FBr1又はFBi1の値と、移行後の記録モード、再生モード又は待機モード用に立上モードで設定していたフォーカスバイアスFBw1、FBr1又はFBi1の値との差分値を読み出す。またシステムコントローラ104は、その移行前の記録モード、再生モード又は待機モードでフォーカスバイアス調整処理を順次実行して最終的に得られたフォーカスバイアスの値に、内部メモリから読み出した差分値を加算することにより、移行後の記録モード、再生モード又は待機モードでのみ使用するフォーカスバイアスを生成する。
そしてシステムコントローラ104は、その生成したフォーカスバイアスをDSP120に送出してフォーカスバイアス保持部121に対し、先に保持させていたフォーカスバイアス(すなわち、移行前の記録モード、再生モード又は待機モードでフォーカスバイアス調整処理を順次実行して最終的に得られたフォーカスバイアス)に上書きするように保持させる。この状態でシステムコントローラ104は、移行後の記録モード、再生モード又は待機モードで動作しながらフォーカスバイアス調整処理を順次実行して、フォーカスバイアス保持部121内の新たなフォーカスバイアスの値を順次調整して更新する。
このようにしてシステムコントローラ104は、モードを切り替える毎(動作可能な状態から一旦、装置休止状態になった後、何れかのモードへ移る場合も含む)に、同様に処理する。これによりシステムコントローラ104は、フォーカスバイアス保持部121に対し1つのフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1を保持させるようにしても、第2の更新手法に準じて、何れの記録モード、再生モード及び待機モードに対応するフォーカスバイアスFBw1、FBr1及びFBi1も、他のフォーカスバイアスFBw1、FBr1又はFBi1の更新を反映させたうえで調整することができる。
次いで、記録再生装置100が第3の構成を有する場合、システムコントローラ104は、立上モードにおいて、光ディスク101のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態になると、記録モード時及び待機モード時に共用する1つのフォーカスバイアスFBc2の値を設定するフォーカスバイアス設定処理を実行する。この際、システムコントローラ104は、上述した第1の構成を有する記録再生装置100の場合と同様にウォブル信号を利用して、対物レンズがデータの良好な書込性能が得られ、かつディスクアドレス情報の良好な読出性能が得られる所望位置に位置したときのバイアス探索データの値を、記録モード時及び待機モード時に共用するフォーカスバイアスFBc2の値に設定する。
またシステムコントローラ104は、立上モードにおいて再生モード時に使用するフォーカスバイアスFBr2の値を設定するフォーカスバイアス設定処理も実行する。この際、システムコントローラ104は、上述した第1の実施の形態による再生装置1において立上モード時にフォーカスバイアスを設定する場合と同様にジッタを利用して、対物レンズがデータの良好な読出性能が得られる所望位置に位置したときのバイアス探索データの値を、再生モード時に使用するフォーカスバイアスFBr2の値に設定する。
そしてシステムコントローラ104は、これら記録モード時及び待機モード時に共用するフォーカスバイアスFBc2や、再生モード時に使用するフォーカスバイアスFBr2をサーボ回路105に送出してDSP120内のフォーカスバイアス保持部121に保持させる。これによりシステムコントローラ104は、この後、記録モード時、再生モード及び待機モード時にDSP120においてフォーカスエラーデータに対しフォーカスバイアスFBc2及びFBr2を加算し得るようにする。
ところでシステムコントローラ104は、記録モードや待機モードで動作している間は、ウォブル信号を利用して評価値を得るようにして、上述した第1の構成を有する記録再生装置100の場合と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。これによりシステムコントローラ104は、記録モードや待機モードで動作している間、当該記録モード及び待機モードで共用するフォーカスバイアスFBc2の値を徐々に調整する。
ただしシステムコントローラ104は、記録モード及び待機モードにおいてフォーカスバイアス調整処理を順次実行する場合、上述した(2)式に用いる目標値(すなわち、ウォブル信号を利用して得る評価値を最終的に収束させる所定値)を、対物レンズがデータの良好な書込性能が得られ、かつディスクアドレス情報の良好な読出性能が得られる所望位置に位置したときに評価値として得られる所定値に設定している。従ってシステムコントローラ104は、記録再生装置100の内部温度が変化し光ピックアップ102において対物レンズが、データの良好な書込性能が得られ、かつディスクアドレス情報の良好な読出性能が得られる所望位置からずれるように作用しても、その作用を相殺して当該対物レンズをデータの良好な書込性能が得られ、かつディスクアドレス情報の良好な読出性能が得られる所望位置に追従させることができる。
またシステムコントローラ104は、再生モードで動作している間は、ジッタの値を利用して評価値を得るようにして、上述した第1の実施の形態による再生装置1と同様にフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。これによりシステムコントローラ104は、再生モードで動作している間、当該再生モードで使用するフォーカスバイアスFBr2の値を徐々に調整する。
ただしシステムコントローラ104は、再生モードにおいてフォーカスバイアス調整処理を順次実行する場合、上述した(2)式に用いる目標値(すなわち、ジッタの値を利用して得る評価値を最終的に収束させる所定値)を、対物レンズがデータの良好な読出性能が得られる所望位置に位置したときに評価値として得られる所定値に設定している。従ってシステムコントローラ104は、記録再生装置100の内部温度が変化し光ピックアップ102において対物レンズが、データの良好な読出性能が得られる所望位置からずれるように作用しても、その作用を相殺して当該対物レンズをデータの良好な読出性能が得られる所望位置に追従させることができる。
そしてシステムコントローラ104は、かかる構成の場合も、上述した第1乃至第3の更新手法に準じて、記録モード及び待機モード時のみ使用するフォーカスバイアスFBc2と、再生モード時のみ使用するフォーカスバイアスFBr2とを更新し得るようになされている。因みにシステムコントローラ104は、かかる構成の場合も、上述と同様に第2の更新手法が適用されている場合、フォーカスバイアス保持部121に対し1つのフォーカスバイアスFBc2、FBr2のみを保持させるようにして機能することもできる。
次いで、図18に示すフローチャートを用いて、記録モードで光ディスク101にデータを記録する記録処理手順RT5について説明する。すなわち、システムコントローラ104は、AVシステムAVS2から書込命令が与えられると、図18に示す記録処理手順RT5を開始する。そしてシステムコントローラ104は、かかる記録処理手順RT5を開始すると、ステップSP51においてAVシステムAVS2により指示された書込開始位置を示すアドレス情報に応じて、サーボ回路105を介しスレッド機構部103を駆動制御する。これによりシステムコントローラ104は、光ピックアップ102をディスク半径方向へシークさせ初めて、次のステップSP52に移る。
ステップSP52においてシステムコントローラ104は、各回路ブッロクに対しデータの書込用の各種設定を行い、次のステップSP53に移る。そしてステップSP53においてシステムコントローラ104は、アドレス生成回路111から与えられるディスクアドレス情報に基づき、光ディスク101のデータ記録面においてレーザ光の照射位置がデータの書込開始位置に到達することを待ち受ける。この状態でシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面においてレーザ光の照射位置がデータの書込開始位置に到達すると、次のステップSP54に移る。
ステップSP54においてシステムコントローラ104は、光ディスク101へのデータの書き込みを開始して、AVシステムAVS2から転送された記録対象のデータを用いてエンコーダ/デコーダ112、変復調回路113、リーダ/ライタ回路114及びレーザドライバ108により一連のデータ記録処理を実行する。これによりシステムコントローラ104は、光ピックアップ102によって光ディスク101のデータ記録面にレーザ光を照射してピット(すなわち、その記録対象のデータとしてのフェイズチェンジマーク)を形成する。
このようにしてシステムコントローラ104は、光ディスク101のデータ記録面に対しピットとして記録対象のデータを記録して、その記録が終了すると、次のステップSP55に移り、記録処理手順RT5を終了する。
次いで、図7との対応部分に同一符号を付した図19に示すフローチャートを用いて、記録処理手順RT5と同時並行で実行するフォーカスバイアス調整処理手順RT6について説明する。すなわち、システムコントローラ104は、記録モードにおいて光ディスク101へのデータの書き込みを開始すると、図19に示すフォーカスバイアス調整処理手順RT6を開始する。システムコントローラ104は、かかるフォーカスバイアス調整処理手順RT6を開始すると、ステップSP61においてサーボ回路105のフォーカスバイアス保持部121から調整対象のフォーカスバイアスを読み出す。そしてシステムコントローラ104は、調整対象のフォーカスバイアスを元にプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを生成して、次のステップSP62に移る。
因みにシステムコントローラ104は、記録再生装置100が第1の構成を有する場合、現在の記録モードへ移行する前(すなわち、直前)の例えば立上モードにおいて値の設定されたフォーカスバイアスFBc1、又は当該記録モードへ移行する前(すなわち、直前)の再生モード又は待機モードで順次実行したフォーカスバイアス調整処理により最終的に得られたフォーカスバイアスFBc1を調整対象としてフォーカスバイアス保持部121から読み出す。またシステムコントローラ104は、記録再生装置100が第2の構成を有する場合、現在の記録モードへ移行する前(すなわち、直前)の例えば立上モードにおいて値の設定されたフォーカスバイアスFBw1、又は前回の記録モードで順次実行したフォーカスバイアス調整処理により最終的に得られたフォーカスバイアスFBw1を調整対象としてフォーカスバイアス保持部121から読み出す。
さらにシステムコントローラ104は、記録再生装置100が第3の構成を有する場合、現在の記録モードへ移行する前(すなわち、直前)の例えば立上モードにおいて値の設定されたフォーカスバイアスFBc2、又は前回の記録モード又は待機モードで順次実行したフォーカスバイアス調整処理により最終的に得られたフォーカスバイアスFBc2を調整対象としてフォーカスバイアス保持部121から読み出す。因みにシステムコントローラ104は、記録再生装置100が第2の構成を有する場合や第3の構成を有する場合に第2の更新手法や第3の更新手法が適用されていると、フォーカスバイアス保持部121から調整対象のフォーカスバイアスFBw1、FBc2として、他のモードで使用するフォーカスバイアスFBr1、FBi1、FBr2の調整結果を適宜反映させたものを読み出している。
ステップSP62においてシステムコントローラ104は、図8について上述した評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22と同様の処理を実行する。ただしシステムコントローラ104は、評価利用値検出処理を実行している途中に、リーダ/ライタ回路114において所定データ量の変調データがレーザ制御信号の生成に用いられたことを検出すると、その時点に当該評価利用値検出処理を終了して、引き続きステップSP23乃至ステップSP26の処理を順次実行した後、ステップSP63に移り、かかるフォーカスバイアス調整処理手順RT6を終了する。このようにしてシステムコントローラ104は、記録モードで動作している間、かかるフォーカスバイアス調整処理手順RT6を順次実行して、フォーカスバイアスFBc1、FBw1、FBc2の値を徐々に調整する。
ところでシステムコントローラ104は、再生モード時、図6について上述した再生処理手順RT1を実行する。そしてシステムコントローラ104は、再生処理手順RT1の実行と同時並行でフォーカスバイアス調整処理手順を実行するものの、かかるフォーカスバイアス調整処理手順については、図19について上述したフォーカスバイアス調整処理手順RT6と基本的には同じ処理であるため、説明を省略する。
またシステムコントローラ104は、待機モード時、図9について上述した待機処理手順RT3を実行する。そしてシステムコントローラ104は、待機処理手順RT3を実行した場合も、これと同時並行でフォーカスバイアス調整処理手順を実行するものの、かかるフォーカスバイアス調整処理手順についても、図19について上述したフォーカスバイアス調整処理手順RT6と基本的には同じ処理であるため、説明を省略する。
因みにシステムコントローラ104は、立上モードから記録モードや再生モード、待機モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、上述した第1の実施の形態と同様に、フォーカスエラーデータに加算し始める初回加算データとしては、予め無作為に選択されていたデフォルトのプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れか一方を利用して上述した評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22のステップSP220を実行する。またシステムコントローラ104は、記録モード、再生モード及び待機モードから他の記録モード、再生モード及び待機モードへ移行して1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行する場合、フォーカスエラーデータに加算し始める初回加算データとしては、移行前の記録モード、再生モード及び待機モードで最後に実行したフォーカスバイアス調整処理において無作為に選択していたプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データの何れか一方を利用して上述した評価利用値検出処理のサブルーチンSRT22のステップSP220を実行する。
以上の構成において、記録再生装置100は、記録モードで光ディスク101にデータを書き込むように動作している間や、再生モードで光ディスク101からデータを読み出すように動作している間、さらには待機モードで光ディスク101からディスクアドレス情報を読み出すように動作している間、比較的短い処理時間のフォーカスバイアス調整処理を順次実行する。記録再生装置100は、フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、そのフォーカスバイアス調整処理において、前回のフォーカスバイアス調整処理で値を調整して得たフォーカスバイアスを今回の調整対象とする。
そして記録再生装置100は、フォーカスバイアス調整処理において、調整対象のフォーカスバイアスの値を僅かに増減させてフォーカスエラーデータに加算することにより対物レンズを光軸に沿って微小に振り動かすようにして、その際に得られたウォブル信号、RF信号又はRF信号に生じるジッタ(以下、これらをまとめて再生信号と呼ぶ)に基づき、当該調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値を算出する。これにより記録再生装置100は、フォーカスバイアス調整処理において、今回及び前回のフォーカスバイアス調整処理で算出した評価値を用いて、調整対象のフォーカスバイアスの値を調整した調整値を算出し、調整対象のフォーカスバイアスを当該算出した調整値のフォーカスバイアスに更新する。このようにして記録再生装置100は、フォーカスバイアス調整処理を順次実行する毎に、フォーカスバイアスの値を徐々に調整する。
従って記録再生装置100は、記録モード、再生モード及び待機モードでの動作中に内部温度が変化して光ピックアップ102において光学部品間の距離が変化し、これに応じてフォーカスエラー信号の誤差が変化しても、当該フォーカスエラー信号の誤差の変化に追従してフォーカスバイアスの値を調整することができる。
以上の構成によれば、記録再生装置100は、記録モード、再生モード及び待機モードで動作しながら、フォーカスバイアス調整処理を順次実行するようにして、当該フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、前回のフォーカスバイアス調整処理で値を調整して得た調整対象のフォーカスバイアスの値を僅かに増減させてフォーカスエラーデータに加算することにより対物レンズを光軸に沿って微小に振り動かすようにし、その際に得られた再生信号に基づき、当該調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値を算出すると共に、今回及び前回のフォーカスバイアス調整処理で算出した評価値を用いて調整対象のフォーカスバイアスの値を調整した調整値を算出するようにした。これにより記録再生装置100は、再生モード及び待機モードでの動作中のみならず、記録モードでの動作中にも、上述した第1の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
なお上述した第2の実施の形態においては、調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値として、ウォブル信号やジッタ、RF信号を利用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記録再生装置100において、RF信号をアナログデジタル変換した後、PRMLの信号処理により再生対象のデータを得るようにし、当該PRMLの誤差指標であるMLSAや、PRMLの品質評価指標としてのPRSNRを調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値として利用するようにしても良い。これに加えて記録再生装置100では、PRMLの信号処理に含まれる最尤復号においてユークリッド距離が最小であるパスの尤度の差を求め、当該尤度の差を統計処理して決定した調整条件により生成される再生エラーレートを、調整対象のフォーカスバイアスの値に対する評価値として利用するようにしても良い。
また上述した第2の実施の形態においては、上述した(2)式に基づきフォーカスバイアスの値を調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ウォブル信号やRF信号の生成精度が格段的に高く、またジッタの測定精度も格段的に高ければ、今回及び前回の評価値の平均値は用いずに、前回の評価値、今回の評価値、今回の評価値から前回の評価値を減算して得られる差分値の何れかを用いてフォーカスバイアスの値を調整するようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、システムコントローラ104がフォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、サーボ回路105のDSP120から調整対象のフォーカスバイアスを読み出すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、フォーカスバイアスの値を調整する毎に、当該値を調整したフォーカスバイアスをシステムコントローラ104でも保持しておき、これをフォーカスバイアス調整処理に利用するようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、立上モードにおいてフォーカスバイアスの値を設定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、立上モードではフォーカスバイアスの値を何ら設定せずに、工場出荷時にフォーカスバイアスの値を設定しておき、立上モードに引き続き記録モードや再生モード、待機モードで動作するときには、そのフォーカスバイアスの値を調整するようにしても良い。かかる構成によれば、立上モード時にフォーカスバイアスの値を設定しない分、処理負荷を低減させることができる。
さらに上述した第2の実施の形態においては、待機モードから、一旦、装置休止状態に移った後、記録モードや再生モードに移行すると、当該記録モードや再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始したとき、例えば待機モードで最終的に値の調整されたフォーカスバイアスを調整対象とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、待機モードから、一旦、装置休止状態に移った後、記録モードや再生モードに移行したときには、当該待機モードの終了から記録モードや再生モードの開始までの間における内部温度の低下の程度に応じて、例えば内部温度の低下が比較的小さいと、記録モードや再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を開始したときに待機モードで最終的に値の調整されたフォーカスバイアスを調整対象とし、内部温度の低下が比較的大きいと、記録モードや再生モードの開始時点に改めてフォーカスバイアスの値を設定し直したうえで、これを調整対象とするようにしても良い。かかる構成によれば、待機モードの終了から記録モードや再生モードの開始までの間が比較的空いて内部温度が比較的大きく低下した場合に、フォーカスバイアスの値を迅速に最適化することができる。因みに、かかる構成では、内部温度の低下の程度を温度センサを用いて判断することもできるし、例えば待機モードの終了から記録モードや再生モードの開始までの時間により判断することもできる。
さらに上述した第2の実施の形態においては、待機モードから、一旦、装置休止状態に移った後、記録モードや再生モードに移行すると、当該記録モードや再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行したとき、待機モードで最後に実行されたフォーカスバイアス調整処理で得られた評価値を前回の評価値として用いて調整対象のフォーカスバイアスの値を調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、待機モードから、一旦、装置休止状態に移った後、記録モードや再生モードに移行したときには、当該待機モードの終了から記録モードや再生モードの開始までの間における内部温度の低下の程度に応じて、例えば内部温度の低下が比較的小さいと、記録モードや再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行したときに待機モードで最後に実行されたフォーカスバイアス調整処理で得られた評価値を前回の評価値として用いて調整対象のフォーカスバイアスの値を調整し、内部温度の低下が比較的大きいと、記録モードや再生モードで1回目のフォーカスバイアス調整処理を実行したときに前回の評価値を用いずに調整対象のフォーカスバイアスの値を調整するようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、記録モードでの動作中、再生モードでの動作中及び待機モードでの動作中にそれぞれフォーカスバイアス調整処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記録モードでの動作中、再生モードでの動作中、待機モードでの動作中の少なくとも何れか1つのモードでの動作中にのみフォーカスバイアス調整処理を実行するようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、記録モードでの動作中、再生モードでの動作中及び待機モードでの動作中にそれぞれフォーカスバイアス調整処理を順次実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記録モードでの動作中、再生モードでの動作中、待機モードでの動作中の少なくとも何れか1つのモードでの動作中にのみフォーカスバイアス調整処理を少なくとも1回実行し、また所定周期で間欠的に実行するようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、フォーカスバイアス調整処理手順RT6のステップSP61において、プラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、評価利用値検出処理のサブルーチンRT22のステップSP222、ステップSP224、ステップSP226及びステップSP227を実行する毎にプラス側評価用データ及びマイナス側評価用データを生成してサーボ回路105のDSP120に保持させるようにしても良い。
(3)第3の実施の形態
図20において、200は第3実施の形態によるフォーカスバイアス調整装置の機能回路ブロックによるハードウェア回路構成を示す。かかるフォーカスバイアス調整装置200は、光ディスクのデータ記録面にレーザ光を集光させて照射させる対物レンズの位置を補正するためのフォーカスバイアスの値を調整するようになされている。
このようなフォーカスバイアス調整装置200においてバイアス変化部201は、フォーカスバイアスの値を増減させるように変化させる。またフォーカスバイアス調整装置200において評価値算出部202は、バイアス変化部201により値を増減させるように変化されたフォーカスバイアスに応じて対物レンズが光軸に沿って微小に振り動かされながら光ディスクのデータ記録面にレーザ光が照射されて得られる再生信号に基づき、対物レンズの位置の補正に対するフォーカスバイアスの値の評価を数値化して表す評価値を算出する。さらにフォーカスバイアス調整装置200においてバイアス調整部203は、評価値算出部202により算出された評価値に基づいて、フォーカスバイアスの値を調整する。
そしてフォーカスバイアス調整装置200において制御部204は、光ディスクのデータ記録面に対物レンズを介して集光させたレーザ光を照射させながら実行される動作中に、フォーカスバイアスの値を増減させるように変化させ、当該値を変化させたフォーカスバイアスに応じて対物レンズが光軸に沿って微小に振り動かされて得られる再生信号に基づき評価値を算出させ、当該算出させた評価値に基づいてフォーカスバイアスの値を調整させるフォーカスバイアス調整処理を実行するようにバイアス変化部201、評価値算出部202及びバイアス調整部203を制御する。
かかる構成によりフォーカスバイアス調整装置200は、動作中の温度変化によって、対物レンズの位置を調整するためのフォーカスエラー信号の誤差が変化しても、その変化に追従してフォーカスバイアスの値を調整することができる。これによりフォーカスバイアス調整装置200は、光ディスクのデータ記録面にレーザ光を的確に照射させることができる。
このようにフォーカスバイアス調整装置200は、図1について上述した第1の実施の形態による再生装置1や、図11について上述した第2の実施の形態による記録再生装置100によって実行されるフォーカスバイアスの調整処理を機能的に実現している。因みにフォーカスバイアス調整装置200においてバイアス変化部201は、図1について上述した第1の実施の形態による再生装置1のシステムコントローラ5や、図11について上述した第2の実施の形態による記録再生装置100のシステムコントローラ104がフォーカスバイアス調整プログラムを実行することにより実現される機能部である。
また評価値算出部202も、システムコントローラ5及び104がフォーカスバイアス調整プログラムを実行することにより実現される機能部である。さらにバイアス調整部203も、システムコントローラ5及び104がフォーカスバイアス調整プログラムを実行することにより実現される機能部である。さらにまた制御部204も、システムコントローラ5及び104がフォーカスバイアス調整プログラムを実行することにより実現される機能部である。
(4)他の実施の形態
なお上述した第1乃至第3の実施の形態においては、本発明によるフォーカスバイアス調整装置を、図1乃至図20について上述した再生装置1、記録再生装置100及びフォーカスバイアス調整装置200に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、光ディスクに対しデータを記録し、又はデータを再生可能なパーソナルコンピュータやゲーム機器、カーナビゲーション装置、テレビジョン受像機等の情報処理装置のように、この他種々の構成のフォーカスバイアス調整装置に広く適用することができる。
また上述した第1及び第2の実施の形態においては、システムコントローラ5及び104がフォーカスバイアス調整プログラムのような各種プログラムに従って各種処理を実行するが、再生装置1や記録再生装置100においては、ROMに対し予めフォーカスバイアス調整プログラムを記憶していても良いし、フォーカスバイアス調整プログラムが格納されたプログラム格納媒体をインストールするようにしても良い。そしてフォーカスバイアス調整プログラムを再生装置1や記録再生装置100にインストールして実行可能な状態にするためのプログラム格納媒体としては、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)等のパッケージメディアのみならず、各種プログラムが一時的もしくは永続的に格納される半導体メモリや磁気ディスク等で実現しても良い。また、これらプログラム格納媒体にフォーカスバイアス調整プログラムを格納する手段としては、ローカルエリアネットワークやインターネット、デジタル衛星放送等の有線及び無線通信媒体を利用しても良く、ルータやモデム等の各種通信インタフェースを介して格納するようにしても良い。
本発明は、光ディスクからデータを再生する再生装置や光ディスクに対しデータを記録再生する記録再生装置に利用することができる。
第1の実施の形態による再生装置のハードウェア回路ブロックによるハードウェア回路構成を示すブロック図である。 光ピックアップの構成を示すブロック図である。 サーボ回路の構成を示すブロック図である。 フォーカスバイアスの調整の説明に供する略線図である。 ジッタとフォーカスバイアスとの関係の説明に供する略線図である。 再生処理手順を示すフローチャートである。 フォーカスバイアス調整処理手順を示すフローチャートである。 評価利用値検出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 待機処理手順を示すフローチャートである。 フォーカスバイアス調整処理手順を示すフローチャートである。 第2の実施の形態による記録再生装置のハードウェア回路ブロックによるハードウェア回路構成を示すブロック図である。 フォーカスバイアスの設定の説明に供する略線図である。 サーボ回路の構成を示すブロック図である。 ウォブル信号とフォーカスバイアスとの関係の説明に供する略線図である。 第1の更新手法におけるフォーカスバイアスの更新の説明に供する略線図である。 第2の更新手法におけるフォーカスバイアスの更新の説明に供する略線図である。 第3の更新手法におけるフォーカスバイアスの更新の説明に供する略線図である。 記録処理手順を示すフローチャートである。 フォーカスバイアス調整処理手順を示すフローチャートである。 第3の実施の形態によるフォーカスバイアス調整装置の機能回路ブロックによるハードウェア回路構成を示すブロック図である。
符号の説明
1……再生装置、2、101……光ディスク、3、102……光ピックアップ、5、104……システムコントローラ、6、105……サーボ回路、10、109……マトリクス回路、13……リーダ回路、15……デコーダ、24……対物レンズ、30、120……DSP、43、121……フォーカスバイアス保持部、100……記録再生装置、110……ウォブル回路、114……リーダ/ライタ回路、200……フォーカスバイアス調整装置、201……バイアス変更部、202……評価値算出部、203……バイアス調整部、204……制御部、D1、D2……評価用データ、D1A、D2A……プラス側評価用データ、D1B、D2B……マイナス側評価用データ、FB……フォーカスバイアス、HP……プラス側評価利用値、HM……マイナス側評価利用値、HT……評価時間、JT……ジッタ、MA1、MA2、MA3、MA10、MA12、MA13……プラス側平均値、PA1、PA2、PA3、PA10、PA11、PA12……マイナス側平均値、RT2、RT4、RT6……フォーカスバイアス調整処理、Wb……ウォブル信号。

Claims (7)

  1. 光ディスクのデータ記録面にレーザ光を集光させて照射させる対物レンズの位置を補正するためのフォーカスバイアスの値を調整するフォーカスバイアス調整装置であって、
    上記フォーカスバイアスの値を増減させるように変化させるバイアス変化部と、
    上記バイアス変化部により上記値を増減させるように変化された上記フォーカスバイアスに応じて上記対物レンズが光軸に沿って微小に振り動かされながら上記光ディスクの上記データ記録面に上記レーザ光が照射されて得られる再生信号に基づき、上記対物レンズの位置の補正に対する上記フォーカスバイアスの上記値の評価を数値化して表す評価値を算出する評価値算出部と、
    上記評価値算出部により算出された上記評価値に基づいて、上記フォーカスバイアスの上記値を調整するバイアス調整部と、
    上記光ディスクの上記データ記録面に上記対物レンズを介して集光させた上記レーザ光を照射させながら実行される動作中に、上記フォーカスバイアスの上記値を増減させるように変化させ、当該値を変化させた上記フォーカスバイアスに応じて上記対物レンズが光軸に沿って微小に振り動かされて得られる上記再生信号に基づき上記評価値を算出させ、当該算出させた上記評価値に基づいて上記フォーカスバイアスの上記値を調整させるフォーカスバイアス調整処理を実行するように上記バイアス変化部、上記評価値算出部及び上記バイアス調整部を制御する制御部と
    を具えることを特徴とするフォーカスバイアス調整装置。
  2. 上記制御部は、
    上記動作中に、上記フォーカスバイアス調整処理を順次実行して、当該フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、前回の上記フォーカスバイアス調整処理で上記バイアス調整部により上記値の調整された上記フォーカスバイアスを調整対象とするように上記バイアス変化部、上記評価値算出部及び上記バイアス調整部を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のフォーカスバイアス調整装置。
  3. 上記制御部は、
    上記フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、今回の上記フォーカスバイアス調整処理で上記評価値算出部により算出された上記評価値を用いて上記フォーカスバイアスの上記値を調整するように上記バイアス調整部を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載のフォーカスバイアス調整装置。
  4. 上記制御部は、
    上記フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、前回の上記フォーカスバイアス調整処理で上記評価値算出部により算出された上記評価値を用いて上記フォーカスバイアスの上記値を調整するように上記バイアス調整部を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載のフォーカスバイアス調整装置。
  5. 上記制御部は、
    上記フォーカスバイアス調整処理を実行する毎に、前回及び今回の上記フォーカスバイアス調整処理で上記評価値算出部により算出された上記評価値を用いて上記フォーカスバイアスの上記値を調整するように上記バイアス調整部を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載のフォーカスバイアス調整装置。
  6. 上記制御部は、
    再生モード、記録モード及び待機モードの少なくとも1つのモードでの上記動作中に、上記フォーカスバイアス調整処理を順次実行するように上記バイアス変化部、上記評価値算出部及び上記バイアス調整部を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載のフォーカスバイアス調整装置。
  7. 光ディスクのデータ記録面にレーザ光を集光させて照射させる対物レンズの位置を補正するためのフォーカスバイアスの値を調整するフォーカスバイアス調整方法であって、
    上記光ディスクの上記データ記録面に上記対物レンズを介して集光させた上記レーザ光を照射させながら実行される動作中に、上記フォーカスバイアスの値を増減させるように変化させるバイアス変化ステップと、
    上記動作中に、上記値を増減させるように変化させた上記フォーカスバイアスに応じて上記対物レンズが光軸に沿って微小に振り動かされながら上記光ディスクの上記データ記録面に上記レーザ光が照射されて得られる再生信号に基づき、上記対物レンズの位置の補正に対する上記フォーカスバイアスの上記値の評価を数値化して表す評価値を算出する評価値算出ステップと、
    上記動作中に、上記評価値に基づいて、上記フォーカスバイアスの上記値を調整するバイアス調整ステップと
    を具えることを特徴とするフォーカスバイアス調整方法。
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