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JP5562728B2 - 耐油性付加硬化型シリコーン組成物並びに耐油性シリコーンゴム - Google Patents

耐油性付加硬化型シリコーン組成物並びに耐油性シリコーンゴム Download PDF

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JP5562728B2 JP2010131001A JP2010131001A JP5562728B2 JP 5562728 B2 JP5562728 B2 JP 5562728B2 JP 2010131001 A JP2010131001 A JP 2010131001A JP 2010131001 A JP2010131001 A JP 2010131001A JP 5562728 B2 JP5562728 B2 JP 5562728B2
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Description

本発明は、耐油性付加硬化型シリコーン組成物に関し、具体的には、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れたシリコーン硬化物を与える耐油性付加硬化型シリコーン組成物、及び該組成物を硬化させたものであるO−リング、パッキン、ガスケット、ポッティング、接着剤、シール材、コーティング材等として好適に使用できる耐油性シリコーンゴムに関する。
付加硬化型シリコーン組成物は、アルケニル基等の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサンを含み、ヒドロシリル化反応によって硬化してシリコーン硬化物を与える。このようにして得られるシリコーン硬化物は、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性に優れ、低圧縮永久歪を有するため、自動車、車両、船舶、飛行機等のロッカーカバーガスケット、オイルパッキン、ヘッドカバーガスケット、シリンダーライナーパッキン、バルブステムシール、オイルフィルター、シーリング等のガスケット用途、各種エレクトロコントロールユニットのシール材、接着剤用途、各種センサーの封止用ポッティング材、ゲル材用途、モーター用マグネットの固定や、ステーターの封止用ポッティング材、接着剤用途、昇圧回路や各種電源ボックスの封止用ポッティング材用途等に用いられている。
しかしながら、自動車、車両、船舶、飛行機等の部品用途には、エンジンオイルやATF等の機械油や燃料油が使用され、さらに近年の機械油には、鉱物油又は合成炭化水素油に加えて各種の添加剤(粘度指数向上剤、油性向上剤、極圧添加剤、酸化防止剤、腐食防止剤、錆止め剤等)が使用されている。シリコーン硬化物はこれらのオイルと一時的あるいは常時接触する環境で用いられるO−リング、パッキン、ガスケット、ポッティング、接着剤、シール材、コーティング材などの耐油部品として使用すると、高温下で長時間使用されることになるのでオイルが浸透し膨潤する。シリコーン硬化物にオイルが浸透し膨潤することによって、シリコーン硬化物は軟化劣化し、亀裂を生じ、ゴム弾性や接着性が著しく低下するなどの問題が発生している。従って、ガスケット、シーリング材、ポッティング材等として好適な耐油性及び耐久性に優れたシリコーン硬化物を与える耐油性付加硬化型シリコーン組成物、及び該組成物を硬化させたものである耐油性シリコーンゴムの開発が望まれる。
このようなシリコーン硬化物の欠点を改良する方法としては、シリコーンゴムに3,3,3−トリフルオロプロピル基を導入する方法が知られているが、この方法で得られたシリコーンゴムはコストが高く、限られた用途にしか使用できない。環境の観点からも、フッ素のようなハロゲンの使用は好ましいとは言えない。
また、上記のようなシリコーン硬化物の膨潤、劣化は、オイルがシリコーン硬化物に浸透し、高温下でシロキサン結合を切断するために発生する。このような欠点を改良するため、オイルがシリコーン硬化物に浸透することを防ぐことが考えられる。具体的な一つの方法として、オイルによる膨潤を防ぐためにシリコーン硬化物に結晶性シリカやマイカ粉などの無機充填剤を加える方法がある。しかしながら、この場合はオイルの浸透を防ぐのに有効な量の無機充填剤の添加はゴム物性をも低下させることになり、また、液状の場合には粘度上の制約も大きくなるため、シリコーン硬化物の膨潤に対する根本的な解決は成されていない。従って無機充填剤の添加だけでは上記問題を解決するのは難しい(特許文献1)。
また、シロキサン結合が切断されることに対しては、架橋密度の増加により対処することが考えられるが、単純に官能基を増やし架橋密度を高めるとシリコーンゴム硬化物の強度が上がり、ゴム物性が急激に失われてしまうことになる。また、架橋密度を高めるのみでは時間とともにシリコーン硬化物の硬度が下がり、耐久性に乏しいため上記問題を解決するのは難しい(特許文献2)。
特開2009−138038号公報 特開1997−012890号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、シリコーン硬化物としての耐熱性、耐寒性、電気絶縁性に優れ、低圧縮永久歪等の一般物性を有する上、特に、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れたシリコーン硬化物を与える耐油性付加硬化型シリコーン組成物、及び該組成物の硬化物からなりO−リング、パッキン、ガスケット、ポッティング、接着剤、シール材、コーティング材等として好適に使用できる耐油性シリコーンゴムを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明では、
(A)下記式(1)で表される構造を有する化合物:100質量部、
Figure 0005562728
(式中、Rは脂肪族不飽和基であり、Rは同種または異種の、非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Arは同種または異種の、ヘテロ原子を有してもよいアリール基であり、nは1以上の整数である。)
(B)1分子あたり少なくとも2つの珪素に結合した水素原子を有し、かつ脂肪族不飽和基を有さない有機ケイ素化合物:下記白金族金属を含むヒドロシリル化触媒の存在下に本組成物を硬化させるのに有効な量、
(C)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒:有効量、および
(D)無機系充填剤:0.1〜300質量部
を含むことを特徴とする耐油性付加硬化型シリコーン組成物を提供する。
このような耐油性付加硬化型シリコーン組成物を硬化させて得られるシリコーン硬化物は、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れたO−リング、パッキン、ガスケット、ポッティング、接着剤、シール材、コーティング材等として好適に使用できる。
また、本発明では、前記A成分の式(1)において、Arがフェニル基であることが好ましい。
このように、前記A成分の式(1)において、Arをフェニル基とすることによって、特に、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れたシリコーン硬化物を得ることができる。
また、本発明では、前記A成分の式(1)において、nが1≦n≦100であることが好ましい。
このように、前記A成分の式(1)において、nを1≦n≦100とすることによって適正な分子量となり、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れたシリコーン硬化物を得ることができる。
また、本発明では、前記B成分が下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
SiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、Rは、脂肪族不飽和基以外の互いに同一または異種の、非置換もしくは置換のケイ素原子に結合した一価炭化水素基であり、aおよびbは、0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0を満足する正数である。)
このように、前記B成分を上記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとすることができる。
また、本発明では、前記耐油性付加硬化型シリコーン組成物を硬化させたものである耐油性シリコーンゴムを提供する。
本発明の提供する耐油性付加硬化型シリコーン組成物は、硬化させることで、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れたシリコーン硬化物を与えるため、O−リング、パッキン、ガスケット、ポッティング、接着剤、シール材、コーティング材等として好適に使用できる耐油性シリコーンゴムとすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、付加硬化型シリコーン組成物を硬化させて得られる硬化物は、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性に優れ、低圧縮永久歪を有する上、特に、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れ自動車、車両、船舶、飛行機等のロッカーカバーガスケット、オイルパッキン、ヘッドカバーガスケット、シリンダーライナーパッキン、バルブステムシール、オイルフィルター、シーリング等のガスケット用途、各種エレクトロコントロールユニットのシール材、接着剤用途、各種センサーの封止用ポッティング材、ゲル材用途、モーター用マグネットの固定や、ステーターの封止用ポッティング材、接着剤用途、昇圧回路や各種電源ボックスの封止用ポッティング材用途等に好適に用いることができる。
以下、本発明につき詳しく説明する。
前述のように、耐油性及び耐久性に優れたシリコーン硬化物を与える耐油性付加硬化型シリコーン組成物、及び該組成物を硬化させたものである耐油性シリコーンゴムの開発が望まれていた。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、主骨格をポリジアリールシロキサンとすることにより、架橋密度が高いにも関わらず、ゴム弾性体が得られことを見出し、結果として、既存のシリコーン組成物と同等の耐久性を有し、シリコーン組成物でありながら、オイルに対する膨潤性が著しく低いことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の耐油性付加硬化型シリコーン組成物は、
(A)下記式(1)で表される構造を有する化合物:100質量部、
Figure 0005562728
(式中、Rは脂肪族不飽和基であり、Rは同種または異種の、非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Arは同種または異種の、ヘテロ原子を有してもよいアリール基であり、nは1以上の整数である。)
(B)1分子あたり少なくとも2つの珪素に結合した水素原子を有し、かつ脂肪族不飽和基を有さない有機ケイ素化合物:下記白金族金属を含むヒドロシリル化触媒の存在下に本組成物を硬化させるのに有効な量、
(C)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒:有効量、および
(D)無機系充填剤:0.1〜300質量部
を含むことを特徴とする耐油性付加硬化型シリコーン組成物である。以下各成分ごとに説明する。
[A成分]
A成分は、下記式(1)で表わされる主鎖がジアリールシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端が脂肪族不飽和基を含有するトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。A成分のオルガノポリシロキサンは、一種単独で用いてもよく、分子量、ケイ素原子に結合した有機基の種類等が相違する二種以上を併用してもよい。
Figure 0005562728
(式中、Rは脂肪族不飽和基であり、Rは同種または異種の、非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Arは同種または異種の、ヘテロ原子を有してもよいアリール基であり、nは1以上の整数である。)
A成分において、式(1)中のArとしてのアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、またはフラニル基等のヘテロ原子(O,S,N)を含む芳香族基であることができ、更に該アリール基はハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)等の置換基を有してもよい。Arは好ましくは非置換の芳香族炭化水素基であり、特に好ましくはフェニル基である。
式(1)中のRとしての脂肪族不飽和基は、付加反応開始前には本発明組成物を未硬化の状態に安定に維持することができ、かつ、付加反応開始後には該組成物を容易に硬化させることができるものである限り特に限定されず、例えば、エチレン性不飽和基、及びアセチレン性不飽和基が挙げられる。前記脂肪族不飽和基は、一種単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、「エチレン性不飽和基」とは、炭素−炭素二重結合を含み、更に酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含むまたは含まない有機基をいい、その具体例としては、ビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10のアルケニル基;1,3−ブタジエニル基等の炭素原子数4〜10のアルカジエニル基;アクリロイルオキシ基(−O(O)CCH=CH)、メタクリロイルオキシ基(−O(O)CC(CH)=CH)等の、前記アルケニル基とカルボニルオキシ基との組み合わせ;アクリルアミド基(−NH(O)CCH=CH)等の、前記アルケニル基とカルボニルアミノ基との組み合わせが挙げられる。
また、「アセチレン性不飽和基」とは、炭素−炭素三重結合を含み、更に酸素、窒素等のヘテロ原子を含むまたは含まない有機基をいい、その具体例としては、エチニル基、プロパルギル基等の炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10のアルキニル基;エチニルカルボニルオキシ基(−O(O)CC≡CH)等の、前記アルキニル基とカルボニルオキシ基との組み合わせが挙げられる。
中でも、A成分の原料を得るときの生産性およびコストならびにA成分の反応性等の観点から、前記脂肪族不飽和基としては、前記アルケニル基が好ましく、ビニル基、アリル基および5−ヘキセニル基がより好ましく、特にビニル基が好ましい。
A成分の式(1)中のRとしての非置換または置換の一価炭化水素基としては、前記脂肪族不飽和基、及び前記脂肪族不飽和基以外の一価炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基;クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の炭素原子数1〜4のハロアルキル基;フェニル基、トリル基等の炭素原子数6〜10のアリール基が挙げられる。中でも、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
A成分において、ジアリールシロキサン単位の重合度nは1〜100であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましい。重合度が大きすぎると製造に時間が掛かったり、取扱い性が低下したりすることがある。
A成分は、例えばジクロロジフェニルシランやジアルコキシジフェニルシラン等の二官能性シランを加水分解・縮合させた後、または加水分解・縮合と同時に、ジメチルビニルシロキシ基、メチルジビニルシロキシ基、トリビニルシロキシ基、ジフェニルビニルシロキシ基、メチルフェニルビニルシロキシ基等の脂肪族不飽和基含有の末端封止剤で末端を封止することにより得ることができる。
[B成分]
B成分は、1分子当たり少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有し、かつ脂肪族不飽和基を有さない有機ケイ素化合物(SiH基含有有機化合物)であり、A成分とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤として作用する。B成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。B成分としては、1分子当たり少なくとも2個のSiH基を有するケイ素化合物である限り、公知のいかなる化合物でも使用することができるが、例えば、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、オルガノハイドロジェンシラン類、有機オリゴマーまたは有機ポリマーであって、中でも1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
B成分中のケイ素に結合した有機基は脂肪族不飽和基を有さないものであれば特に限定されないが、非置換の一価炭化水素基又は本発明組成物の貯蔵安定性および硬化に悪影響を与えないハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、エポキシ基含有基(例えば、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基)等で置換された一価炭化水素基である。このような一価炭化水素基としては、例えば、A成分の式(1)中のRの非置換または置換の一価炭化水素基として具体的に例示した炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜4のハロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基が挙げられる。該有機基は好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、又は炭素原子数6〜10のアリール基であり、より好ましくはメチル基、又はフェニル基である。また、該一価炭化水素基の置換基としてエポキシ基含有基および/またはアルコキシ基のような反応性基を有する場合、本発明組成物の硬化物に接着性を付与することができる。
B成分が1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する有機ケイ素化合物である限り、該有機ケイ素化合物に該当するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造に特に制限はなく、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状構造(樹脂状)等の、従来製造されている各種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
前記有機ケイ素化合物は、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上、さらに好ましくは2〜300個程度、より好ましくは3〜200個、さらに好ましくは4〜100個程度のSiH基を有する。前記有機ケイ素化合物に該当するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが直鎖状構造または分岐鎖状構造を有する場合、これらのSiH基は、分子鎖末端及び分子鎖非末端部分のどちらか一方にのみ位置していても、その両方に位置していてもよい。
前記有機ケイ素化合物に該当するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの1分子中のケイ素原子の数(重合度)は、好ましくは2〜1,000個、より好ましくは3〜200個、更により好ましくは4〜100個程度である。更に、前記有機ケイ素化合物に該当するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは25℃で液状であることが好ましく、回転粘度計により測定された25℃における粘度は、好ましくは1〜1,000mPa・s、より好ましくは10〜100mPa・s程度である。
前記有機ケイ素化合物に該当するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(2)で示されるものを用いることができる。
SiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、Rは、前記脂肪族不飽和基以外の互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の、ケイ素原子に結合した一価炭化水素基であり、aおよびbは、0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0、好ましくは1.0≦a≦2.0、0.01≦b≦1.0、かつ1.5≦a+b≦2.5を満足する正数である。)
は上記した脂肪族不飽和基でない有機基である。
上記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンとしては、例えば、式:RHSiO2/2で示されるオルガノハイドロジェンシロキサン単位を少なくとも4個含む環状化合物、式:R SiO1/2(HRSiO2/2SiR で示される化合物、式:HR SiO1/2(HRSiO2/2SiR Hで示される化合物、式:HR SiO1/2(HRSiO2/2(R SiO2/2SiR Hで示される化合物等が挙げられる。上記式中、Rは前記のとおりであり、cは少なくとも2であり、dおよびeは少なくとも1である。
あるいは、上記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンは、式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位、式:RHSiO2/2で示されるシロキサン単位及び/又は式:R HSiO1/2で示されるシロキサン単位を含むものであってもよい。該オルガノハイドロジェンシロキサンは、SiH基を含まないモノオルガノシロキサン単位、ジオルガノシロキサン単位、トリオルガノシロキサン単位及び/又はSiO4/2単位を含んでいてもよい。上記式中のRは前記のとおりである。
上記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンに含まれる全オルガノシロキサン単位のうち、30〜100モル%がメチルハイドロジェンシロキサン単位であることが好ましい。
B成分が1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである場合、その具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたオルガノハイドロジェンポリシロキサン、式:R SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R HSiO1/2で示されるシロキサン単位を一分子中に少なくとも2単位以上と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:RHSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:RSiO3/2で示されるシロキサン単位および式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位のどちらか一方または両方とからなるオルガノシロキサン共重合体、及び、これらのオルガノポリシロキサンの二種以上からなる混合物が挙げられる。上記式中のRは、前記と同様の意味を有する。さらには、上記オルガノハイドロジェンシロキサンと、A成分をC成分の白金族金属系ヒドロシリル化触媒を用い、架橋反応させて得られたシルエチレン結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンも挙げられる。
B成分の配合量は、C成分のヒドロシリル化触媒の存在下に本組成物を硬化させるに有効な量であるが、通常、A成分中の脂肪族不飽和基に対するB成分中のSiH基のモル比が0.2〜5、好ましくは0.5〜2となる量である。
[C成分]
C成分の白金族金属系ヒドロシリル化触媒としては、A成分中のケイ素原子結合脂肪族不飽和基とB成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するものであればいかなる触媒を使用してもよい。C成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。C成分としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属や、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物が挙げられるが、特に好ましくは白金化合物である。
C成分の配合量は、ヒドロシリル化触媒としての有効量でよく、好ましくはAおよびB成分の合計質量に対して白金族金属元素の質量換算で0.1〜1000ppmの範囲であり、より好ましくは1〜500ppmの範囲である。
[D成分]
本発明の組成物には、強度、耐油性、耐熱性等をさらに向上させる目的で無機系充填剤を配合する。無機充填剤としては具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、石英粉、マイカ、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、ケイ酸ジルコニウム、シリカエアロゲル、酸化チタン、珪藻土、炭酸カルシウム、煙霧質シリカ、沈降シリカ、ガラス繊維、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、石英粉、焼成クレー、カーボン、マイカ、タルク、黒鉛等が挙げられる。これら無機系充填剤は一種又は二種以上併用しても良い。D成分の配合量は、A成分100質量部に対して、0.1〜300質量部、より好ましくは1〜100質量部である。
これらの中で、BET法で比表面積が50m/g以上、特に50〜500m/gのシリカを配合することが好ましい。これらのシリカは、煙霧質シリカでも沈降シリカでもよいが、煙霧質シリカが好ましく、特にメチルクロロシラン類、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどの有機珪素化合物で表面処理した煙霧質シリカが好ましい。BET法で比表面積が50m/g以上のシリカの配合量は、A成分100質量部に対して、0.1〜50質量部、特に1〜20質量部であることが好ましい。D成分の配合量の上限を超えない範囲で他の無機充填材を併用してもよい。
[その他の成分]
本発明の組成物には、前記A〜D成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
・A成分以外の脂肪族不飽和基含有化合物
本発明の組成物には、A成分以外にも、B成分と付加反応する脂肪族不飽和基含有化合物を配合してもよい。A成分以外のこのような脂肪族不飽和基含有化合物としては、硬化物の形成に関与するものが好ましく、1分子あたり少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有するA成分以外のポリオルガノシロキサンが挙げられる。その分子構造は、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状等、いずれでもよい。
上記ポリオルガノシロキサン以外の脂肪族不飽和基含有有機化合物を配合することも可能である。該脂肪族不飽和基含有化合物の具体例としては、ブタジエン、多官能性アルコールから誘導されたジアクリレートなどのモノマー;ポリエチレン、ポリプロピレンまたはスチレンと他のエチレン性不飽和化合物(例えば、アクリロニトリルまたはブタジエン)とのコポリマーなどの脂肪族不飽和基を有するポリオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸のエステル等の官能性置換有機化合物から誘導された脂肪族不飽和基を有するオリゴマーまたはポリマーが挙げられる。A成分以外の脂肪族不飽和基含有化合物は室温で液体であっても固体であってもよい。
A成分以外の脂肪族不飽和基含有化合物を配合する場合の配合量は、A成分100質量部に対して1〜100質量部、特に2〜50質量部であることが好ましい。
・接着性付与剤
本発明の組成物には、接着性が必要な場合は、被着体となるプラスチックや金属との接着性を向上させるために用いられる成分を加えても良い。付加反応型シリコーンゴム組成物に自己接着性を付与する観点から、接着性を付与する官能基を含有するケイ素化合物などが挙げられる。該官能基の具体例としては、ケイ素原子に結合したビニル基、アリル基のようなアルケニル基、炭素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基(例えば、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基など)、(メタ)アクリロキシ基(例えば、γ−アクリロキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基など)、アルコキシシリル基(例えば、エステル構造、ウレタン構造、エーテル構造を1〜2個含有してもよいアルキレン基を介してケイ素原子に結合したトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基など)、SiH基が挙げられる。接着性を付与する官能基を含有するケイ素化合物の具体例としては、上記接着性を付与する官能基を有するオルガノシラン(シランカップリング剤)及びケイ素原子数2〜50、特に2〜20の直鎖状又はケイ素原子数3〜10の環状構造のシロキサンオリゴマーやトリアリルイソシアヌレートの(アルコキシ)シリル変性物やそのシロキサン誘導体などが挙げられる。本発明には特に、1分子中にこれらの官能基を二種類以上含有するものが好ましい。このような官能基を含有するケイ素化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
Figure 0005562728
接着性付与剤の添加量は、添加する場合は、A成分100質量部に対して0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
さらに、上記に挙げた接着性付与剤と、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンアセチルアセトネード等のチタン化合物、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロビレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネード)等のアルミニウム化合物、ジルコニウムアセチルアセトネード、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネード、ジルコニウムビスアセチルアセトネード、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物を併用してもよい。これらを配合する場合の配合量は、触媒量、通常A成分100質量部に対して0.01〜10質量部である。
・付加反応制御剤
ポットライフを確保するために、付加反応制御剤を本発明組成物に配合することができる。付加反応制御は、上記C成分のヒドロシリル化触媒に対して硬化抑制効果を有する化合物であれば特に限定されず、従来から公知のものを用いることもできる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類(例えば、1−エチニルシクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール)等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
付加反応制御剤による硬化抑制効果の度合は、その付加反応制御剤の化学構造によって異なる。よって、使用する付加反応制御剤の各々について、その添加量を最適な量に調整することが好ましい。最適な量の付加反応制御剤を添加することにより、組成物は室温での長期貯蔵安定性および加熱硬化性に優れたものとなる。
・その他の任意成分
さらに本発明のシリコーンゴム組成物に、目的に応じて、顔料、チクソトロピー性付与剤を改良するための粘度調整剤、紫外線防止剤、耐熱向上剤、難燃化剤など、各種の添加剤を加えてもよい。
本発明のシリコーン組成物は、上記した成分を2本ロール、3本ロール、バンバリーミキサー、ニーダーミキサーなどのゴム練り機を用いて均一に混合した後、必要に応じて加熱処理を施すことにより得ることができる。
[硬化物]
本発明のシリコーン組成物は、公知の硬化条件下で公知の硬化方法により硬化させることができる。具体的には、加熱硬化が好ましく、通常、80〜200℃、好ましくは100〜160℃で加熱することにより、該組成物を硬化させることができる。加熱時間は、0.5分〜5時間程度、特に1分〜3時間程度が好ましい。得られる硬化物の形態は特に制限されず、例えば、ゲル硬化物、エラストマー硬化物および樹脂硬化物のいずれであってもよい。
[耐油性シリコーンゴム]
本発明組成物の硬化物は、通常の付加硬化型シリコーン組成物の硬化物と同様に耐熱性、耐寒性、電気絶縁性に優れ、低圧縮永久歪に優れる。さらに本発明の組成物からなる硬化物は、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れる耐油性シリコーンゴムとなる。従って、該耐油性シリコーンゴムは高温化で長時間にわたりオイルと一時的あるいは常時接触する条件でも使用することができ、自動車、車両、船舶、飛行機等のロッカーカバーガスケット、オイルパッキン、ヘッドカバーガスケット、シリンダーライナーパッキン、バルブステムシール、オイルフィルター、シーリング等のガスケット用途、各種エレクトロコントロールユニットのシール材、接着剤用途、各種センサーの封止用ポッティング材、ゲル材用途、モーター用マグネットの固定や、ステーターの封止用ポッティング材、接着剤用途、昇圧回路や各種電源ボックスの封止用ポッティング材用途等に好適に用いることができる。
以下、調製例、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、下記の例で、粘度は回転粘度計を用いて25℃で測定した値である。また、硬度、切断時伸び、引張り強さはJIS−K6249に準じて測定した。
また、下記の例において、シリコーンオイルまたはシリコーンレジンの平均組成を示す記号は以下の通りの単位を示す。又、各シリコーンオイルまたは各シリコーンレジンのモル数は、各成分中に含有されるビニル基又はSiH基のモル数を示すものである。
:(CHHSiO1/2
M:(CHSiO1/2
Vi:(CH=CH)(CHSiO1/2
ΦVi:(CH=CH)(C)(CH)SiO1/2
:(CH)HSiO2/2
D:(CHSiO2/2
Vi:(CH=CH)(CH)SiO2/2
Φ:(CSiO2/2
[調製例1] 白金触媒の調製
六塩化白金酸とsym−テトラメチルジビニルジシロキサンとの反応生成物を、白金含量が1.0質量%となるように、粘度0.7Pa・s、平均組成式:Mvi 19Φ のシリコーンオイルで希釈して、本実施例および比較例で使用する白金触媒(触媒a)を調製した。
[調製例2] 平均組成式:Mvi Φ 2.8のシリコーンオイルの合成
2Lのフラスコに水1000g、およびトルエン585gを入れ、75℃に加温し、そこへジクロロジフェニルシラン500gを滴下し、80℃で5時間撹拌を続けた。室温に冷却した後、水相を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウム50gで乾燥、ろ別し、ジクロロジフェニルシラン加水分解オリゴマーのトルエン溶液を得た。5Lフラスコにクロロジメチルビニルシラン357g、トリエチルアミン300g、およびトルエン650gを入れ、10℃に冷却し、先に得られたジクロロジフェニルシラン加水分解オリゴマーのトルエン溶液を滴下し、その後80℃で5時間撹拌を続けた。室温に冷却した後、希塩酸2250gを混合し、水相を分離した。有機相を重曹水洗浄および水洗浄し、その後減圧濃縮によりトルエンを除去した。活性炭処理を行い、無色透明の平均組成式:Mvi Φ 2.8のシリコーンオイルを得た。
[実施例1]
粘度0.4Pa・s、平均組成式:Mvi Φ 2.8のシリコーンオイル100g(272ミリモル)に、ヘキサメチルジシラザンで処理された比表面積300m/gの微粉末シリカ2gを混合し、三本ロールでさらに均一に分散させた混合物、および粘度0.02Pa・s、平均組成式:M Φ のシリコーンオイル51.3g(305ミリモル)の混合物を、制御剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.075g及び触媒a0.15gと混合してシリコーン組成物を得た。この組成物を150℃で2時間加熱して硬化させ、得られたエラストマーの硬度を測定した。また、得られた硬化物を、ATFオイルに150℃、6日間浸漬した後の体積膨張率を測定した。各測定結果を表1に示す。
[実施例2]
粘度0.4Pa・s、平均組成式:Mvi Φ 2.8のシリコーンオイル50g(136ミリモル)、粘度2.0Pa・s、平均組成式:M3.4vi 6.5Φ 8.6のシリコーンオイル50g(115ミリモル)、ヘキサメチルジシラザンで処理された比表面積300m/gの微粉末シリカ2g、石英粉末50gを混合し、三本ロールでさらに均一に分散させた混合物、および粘度0.02Pa・s、平均組成式:M Φ のシリコーンオイル38g(226ミリモル)の混合物を、制御剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.05g及び触媒a0.10gと混合してシリコーン組成物を得た。この組成物を150℃で2時間加熱して硬化させ、得られたエラストマーの硬度を測定した。また、得られた硬化物を、ATFオイルに150℃、6日間浸漬した後の体積膨張率を測定した。各測定結果を表1に示す。
[比較例1]
粘度0.6Pa・s、平均組成式:Mvi 180のシリコーンオイル70g(10.5ミリモル)、および粘度30Pa・s、Mvi 750のシリコーンオイル30g(1.1ミリモル)、粘度0.015Pa・s、平均組成式:M 17のシリコーンオイル6g(23.2ミリモル)の混合物を、制御剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.05g及び塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液0.10gと混合してシリコーン組成物を得た(A成分が本発明外かつD成分が不足)。この組成物を150℃で2時間加熱して硬化させ、得られたエラストマーの硬度を測定した。また、得られた硬化物を、ATFオイルに150℃、6日間浸漬した後の体積膨張率を測定した。各測定結果を表1に示す。
[比較例2]
粘度20Pa・s、平均組成式:M664vi のシリコーンオイル90g(8.1ミリモル)、比表面積300m/gのヒュームドシリカ30質量部(27g)、ヘキサメチルジシラザン6質量部(5.4g)(33.5ミリモル)、水3質量部(2.7g)(150ミリモル)をニーダーミキサーに入れ、150℃で3時間加熱し、ゴムコンパウンドを得た。このコンパウンド120質量部(108g)に石英粉末50g、炭酸マグネシウム10を加えて均一になるまで混合し後に、粘度0.005Pa・s、平均組成式M のシリコーンオイル2.2質量部(1.98g)(13.8ミリモル)と制御剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.05g及び塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液0.10gと混合してシリコーン組成物を得た(A成分が本発明外)。この組成物を150℃で2時間加熱して硬化させ、得られたエラストマーの硬度を測定した。また、得られた硬化物を、ATFオイルに150℃、6日間浸漬した後の体積膨張率を測定した。各測定結果を表1に示す。
Figure 0005562728
比較例において示されるように、本発明の各成分の条件を満たさない組成物を硬化させた場合の硬化物は、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触すると膨潤する欠点をもつ。シリコーン硬化物にオイルが浸透し膨潤することによって、シリコーン硬化物は軟化劣化し、亀裂を生じ、ゴム弾性や接着性が著しく低下するなどの問題が発生するため、比較例におけるシリコーン硬化物がオイルの浸透により膨潤する欠点をもつということは、引いては耐久性がないといった欠点をもつものである。一方で、実施例において示されるように、本発明の各成分の条件を満たす組成物を硬化させた場合の硬化物は、エンジンオイル、ATF等の鉱物油をベースとし、各種添加剤が添加された潤滑油等の油と高温下で長時間接触しても膨潤しにくい性質を有し、かつ耐久性に優れたシリコーン硬化物となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (5)

  1. (A)下記式(1)で表される構造を有する化合物:100質量部、
    Figure 0005562728
    (式中、Rは脂肪族不飽和基であり、Rは同種または異種の、非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Arは同種または異種の、ヘテロ原子を有してもよいアリール基であり、nは2以上の整数である。)
    (B)1分子あたり少なくとも2つの珪素に結合した水素原子を有し、かつ脂肪族不飽和基を有さない有機ケイ素化合物:下記白金族金属を含むヒドロシリル化触媒の存在下に本組成物を硬化させるのに有効な量、
    (C)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒:有効量、および
    (D)BET法で比表面積が50m/g以上のシリカ:0.1〜50質量部
    を含む耐油性付加硬化型シリコーン組成物であり、該耐油性付加硬化型シリコーン組成物を硬化させたものである耐油性シリコーンゴムは、オイルと一時的あるいは常時接触する環境で用いられる耐油部品として使用されるものであることを特徴とする耐油性付加硬化型シリコーン組成物。
  2. 前記A成分の式(1)において、Arがフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の耐油性付加硬化型シリコーン組成物。
  3. 前記A成分の式(1)において、nが2≦n≦100であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐油性付加硬化型シリコーン組成物。
  4. 前記B成分が下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐油性付加硬化型シリコーン組成物。
    SiO(4−a−b)/2 (2)
    (式中、Rは、脂肪族不飽和基以外の互いに同一または異種の、非置換もしくは置換のケイ素原子に結合した一価炭化水素基であり、aおよびbは、0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0を満足する正数である。)
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐油性付加硬化型シリコーン組成物を硬化させたものであることを特徴とする耐油性シリコーンゴム。
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