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JP5322893B2 - 層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルム - Google Patents

層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルム Download PDF

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JP5322893B2 JP2009255592A JP2009255592A JP5322893B2 JP 5322893 B2 JP5322893 B2 JP 5322893B2 JP 2009255592 A JP2009255592 A JP 2009255592A JP 2009255592 A JP2009255592 A JP 2009255592A JP 5322893 B2 JP5322893 B2 JP 5322893B2
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Description

本発明は、層間絶縁材料の支持フィルムに関し、特に回路基板に用いられる層間絶縁材料の支持フィルムに関するものであり、例えば、プリント配線板、多層配線板、半導体装置や液晶表示装置等の回路基板構成部材である層間絶縁層の形成に用いられる層間絶縁材料の支持フィルムとして好適な層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムを提供するものである。ここで層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムとは、あらかじめ、層間絶縁材料溶液をフィルム状に塗布・乾燥するのに用いられる支持フィルムであり、得られたフィルム状の層間絶縁材料を真空プレスあるいは真空ロールラミネータを用いて、回路基板上に貼り合わせた後に剥がされる。
プリント配線基板は、ICなどの電子部品を搭載、接続するために銅回路が形成されている基板であり、テレビなどの家電に用いられている民生用プリント配線基板と、コンピューターや計測機器などの産業用に用いられている産業用プリント配線板などが挙げられる。特に明確な区別がなされているわけではないが、プリント配線板の基材は、主に紙を基材とするフェノール樹脂積層板から製造されているものなどが民生用に使用され、エポキシ樹脂を用いたガラス布基材積層板などが産業用プリント配線板用の基材として使用されている。
プリント配線基板に設置されるICなど端子数が増加するにしたがい、限られた面積で必要な配線を収容するための手段として多層化が図られ、多層プリント配線板も量産されている。
多層プリント配線板の中でも、リジッド基板上に配線パターンを形成し、その上に絶縁層を形成し、さらにその上に配線パターンを形成し、さらに絶縁層を形成するという工程を繰り返すことで、プリント配線板を形成するビルドアップ法は、携帯電話などの小型化が必要な製品や、コンピューターなどの高速動作が必要な用途に適した方法として用いられており、近年、更なる電子機器の小型化、高性能化が進み、ビルドアップ層もさらに複層化され、配線の微細化および高密度化も一層進んでいる。
多層プリント配線板に用いられる絶縁層は、ガラスクロスに、エポキシ系、ポリイミド系等の樹脂を含浸させたもの、あるいはセラミック系等の材料が用いられ、配線層の信号の伝播速度やプリント配線板の特性インピーダンス等の電気特性を左右する重要なパラメーターであるため、そのような電気特性を満足するような材料を選定することが必要であり、具体的には、できるだけ誘電率の低い材料が選定されており、各種提案もなされている。また、絶縁層の形成は、フィルム支持体の上に塗布する方法が、均一な厚さのものが得られるため、小型化や高性能化の要求に対して好ましく、塗布できる材料が用いられている。
絶縁層の形態は、小型化や高性能化に対応するための層間絶縁材料として、フィルム状の支持体に絶縁層となる熱硬化性樹脂などを塗布し、支持体のフィルムと硬化させた絶縁層とをロール状とする方法が提案されている。フィルム状態の絶縁層に関しては、樹脂とフィラーの最適な選択などにより、レーザー加工に適合し、粗化処理後の樹脂表面がめっき密着性を向上するように設計したビルドアップ用絶縁層を有するフィルムが提案され、近年の要求に対応するなど、絶縁層に関しては、種々の提案がなされている。
しかしながら、フィルム状の絶縁層を形成するための支持体である、フィルムに関しては、絶縁層の表面性や、絶縁層の形成時における生産性などに大きな影響を与えるにも関わらず、具体的な提案はなされていない状況である。
特に、配線の微細化および高密度化を達成するためには層間絶縁層表面の低粗度化と欠陥防止は、重要な特性であり、支持体に使用するフィルムの特性が大きく関連しているにも係わらず、支持フィルムに関しての提案がなされていない状況である。
配線の微細化は数百ミクロンから数ミクロンと非常に狭い配線幅とスペースが求められているが、層間絶縁層表面の粗度が大きいと、下記の問題発生の危険性が高くなる。
1.凹部にめっき液が入りにくいため、反応種の供給が低下し無電解胴めっきが付きまわらず、いわゆる無めっきを生じる。
2.電気銅めっき工程では凹部でボイドを形成し処理液が残留するため腐食を生じる。
3.回路形成のエッチングでは回路下の凹部よりエッチングが進み、パターンが細り断線や、逆に銅めっきがエッチングされずに残り回路の短絡が発生する。
4.凹部に潜り込んだめっき残渣( スミア) を取り除くために長時間のフラッシュエッチが必要となり、フラッシュエッチを長時間行うと、その影響で微細配線が損傷または断線する。
支持体となるフィルム表面はロール状に巻き上げるために添加粒子による突起が形成し、この突起が層間絶縁層表面に転写して凹みとなる。その為層間絶縁層表面の低粗度化には、支持フィルムの低粗度化が必要となる。しかしながら、支持フィルムの低粗度化を極度に進めると、支持フィルムの成形工程から層間絶縁材料の塗布までの加工工程で支持フィルム表面に傷を発生させる場合があり、支持フィルム表面の特に層間絶縁層側の支持フィルム表面の傷は層間絶縁層、および配線回路の欠陥となる。
特開2005−154727号公報 特開2005−39247号公報 特開2008−251971号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、本発明の解決課題は、層間絶縁層表面の低粗度化と欠陥防止に対応できる、層間絶縁材料用支持として好適なポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも3層から成る、フィルムの厚みが15〜50μmの共押出二軸配向積層ポリエステルフィルムであり、一方の最外層の厚みが0.4〜5μmであり、当該最外層中に、一次粒子の平均粒径5〜40nmである酸化アルミニウムの凝集体を0.1〜0.8重量含有し、当該凝集体の平均粒径が50〜400nmであることを特徴とする層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、層間絶縁材料支持体として好適なフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のフィルムは、二軸配向ポリエステルフィルムよりなり、溶融押出機を3台以上用いて、いわゆる共押出法により得られる3層または4層以上の積層フィルムである。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明の特徴の一つはポリエステルフィルムの一方の最外層に配合する酸化アルミニウム粒子の粒径と形態にある。すなわち、本発明においては、微細な一次粒子を適度に凝集させた凝集体粒子を用いる。高強度フィルムを得るに際しては、製膜時に強く配向させる必要があるが、この場合、しばしば粒子のフィルム表面からの脱落や摩耗粉の生成が顕著となる。しかしながら、凝集粒子の場合は製膜時の延伸応力が適度に分散されるためか、粒子の脱落が起こり難く、また、比較的なだらかな突起をフィルム表面に与えるため、単一の粒子の場合とは異なる、好ましい摩擦摩耗特性を与える。
凝集体の平均粒径は50〜400nmの範囲であり、好ましくは70〜300nmの範囲である。この値が50nm未満であると、フィルムが加工機のロールと接触したとき、フィルムの耐摩耗性が劣るようになる。また、この値が400nmを超えると、フィルムを裁断する時に裁断刃が欠けやすくなり、スリット性が劣るようになる。
本発明においては、かかる凝集体を構成する一次粒子の平均粒径は5〜40nmである。この値が5nm未満であると、凝集体がしばしば極めて強固な結合を有し、延伸応力によってもほとんど該結合が崩れず、本発明特有の効果を得難くなる。また、この値が40nmを越える場合には、凝集体粒子が分離、脱落し傷発生要因となる。
本発明で用いる酸化アルミニウムは、例えばベーマイト、バイアライトあるいはギブサイトを空気中または真空中で880〜1150℃程度に加熱、焼成することにより得ることができる。製造時の条件、例えば出発物質の種類や結晶性、粒度、純度あるいは加熱時の雰囲気や温度、速度を選択することにより、本発明で必要とする一次粒径5〜40nmのものを得ることができるが、これらはしばしば1μmを越える凝集体を形成する。本発明で用いる適度な粒径の凝集体は、例えばかかる粗大な凝集体を粉砕することにより簡便に得ることができる。
粉砕処理には、例えば、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、パンミル、ローラーミル、インパクトミル、攪拌摩砕ミル、流体エネルギーミル等を使用することができる。また、必要に応じ、超音波分散処理を施してもよいが、その程度が強力であると、一次粒子あるいはそれに近い状態まで分散されるので注意を要する。なお、本発明においては分級や濾過等の処理を併用してもよい。
本発明において、上記の特定粒子を含有する最外層表面は、特定の表面粗さを有することが好ましい。そのために、例えば、上記の特定粒子に加え、平均粒子径が0.1〜0.6μm、さらには0.2〜0.5μmの粒子を含有させることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満では、フィルムの表面粗度が低くなり、フィルムの滑り性が悪くなる傾向があり、その結果、フィルム表面に傷が発生することがある。また、支持フィルムを製膜した後にロール状態で製品を得ることができないことがある。平均粒子径が0.6μmを超える場合は、層間絶縁層表面の凹みが大きくなり、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じることがある。
上記の併用粒子のポリエステルフィルム層中の含有量は、100〜2000ppm、さらには200〜1500ppm、特に500〜1000ppmの範囲が好ましい。粒子の含有量が100ppm未満では、フィルムの滑り性が悪くなることがある。また、含有量が2000ppmを超えると、フィルムの表面粗度が大きくなり過ぎて平面性が損なわれることがある。
併用する粒子の例として、酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素、および特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることができ、本発明の要旨を損なわれない限り、これらに限定されるものではない。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明において、ポリエステルフィルムの中間層中には、平均粒径0.4μm以上の粒子量を100ppm以下、さらに50ppm以下、特に0ppmであることが好ましい。100ppmを越えるとポリエステルフィルムの表面にうねりが発生し、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じることがある。
上記の特定粒子を含有するフィルム層表面の中心線平均粗さSRaAは、0.5〜15nm、さらには0.5〜10nmの範囲が好ましい。中心線平均粗さSRaAが0.5nm未満では、フィルムの滑り性やフィルム間でのエアーヌケが悪く、フィルム表面に傷が発生しやすくなる傾向があり、フィルム成形後のロール状態で製品を得ることができないことがある。また、中心線平均粗さSRaAが15nmを超える場合は、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じることがある。
本発明のポリエステルフィルム自体は、接着シートとしてコア基材に層間絶縁層が接着された後は、剥離されその役割を終えるが、ポリエステルフィルムが剥がされた後のコア基材に接着された層間絶縁層の表面に影響を与える。
熱硬化性樹脂を塗布し、層間絶縁層が形成されるポリエステルフィルムの表面は、中心線平均粗さRaが30nm以下、さらには20nm以下が好ましく、十点平均粗さRzが200nm以下、さらには100nm以下が好ましい。中心性平均粗さRaが30nmを超えたり、十点平均粗さRzが200nmを超えたりする場合は、層間絶縁層の表面粗度が大きくなり、回路の高密度化に弊害が生じることがある。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常15〜50μm、好ましくは20〜40μmの範囲である。フィルム厚みが15μm未満では、絶縁材を塗布した際にシワが入ることがある。フィルム厚みが、50μmを越える場合は、層間絶縁層の単位面積当たりの使用ポリエステル量が増加するため、コストの点で高いものとなる。
本発明で用いる層間絶縁層に用いる硬化性樹脂は、支持体上で層を形成することができ、十分な絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用でき、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル系、ポリイミド樹脂系、ポリイミドアミド樹脂系、ポリシアネート樹脂系、ポリエステル樹脂系、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂系などが挙げられる。また、これらを2種以上組み合わせて使用したり、多層構造としたりすることも可能である。
層間絶縁層を支持体に形成する方法は、上記した熱硬化性樹脂などを溶媒に溶解した該樹脂組成物ワニスを塗布した後、加熱することにより溶剤を乾燥させると同時に樹脂を硬化させる公知の方法で作成することができる。
本発明は、層間絶縁層となる硬化樹脂層をポリエステルフィルムからなる支持体上に積層フィルムとして設け、該積層フィルムをロール状とする。ロール状とする際は、そのままの状態でも、硬化樹脂の表面を保護するための保護フィルムを貼り合わせた状態でも、ロール状態で保管できれば、どちらでも構わない。ただし、保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができるので、保護フィルムの無い状態でロールとした場合も、最終的には保護フィルムを貼りあわせる工程を追加した方が好ましい。
保護フィルムは、層間絶縁層の表面を保護する機能を有していれば特にこだわらず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルムが用いられる。
ポリエステルフィルムで形成する層間絶縁層の厚さは、導体層の厚さ以上とすることが好ましい。回路基板の導体層の厚さが、通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みが好ましい。
本発明で得られた層間絶縁層を有するフィルムは、導電層をパターン加工して回路を形成する時に接着フィルムとして、層間絶縁層の保護フィルムが剥がされ、コア基板に積層される。コア基材/層間絶縁層/ポリエステルフィルム支持体の構成、またはコア基材の両面を層間絶縁層で挟む、ポリエステルフィルム支持体/層間絶縁/コア基材/層間絶縁層/ポリエステルフィルム支持体の構成で加熱処理などを行い、コア基材と層間絶縁層を接着させ、ポリエステルフィルムからなる支持体が剥がされる。
層間絶縁層をコア基材に接着する方法としては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルムおよび回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm2(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。
本発明における回路基板とは、主として、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面または両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層が交互に層形成され、片面または両面がパターン加工された導体層(回路)となっている多層プリント配線板も本発明にいう回路基板に含まれる。なお導体回路層表面は黒化処理等によりあらかじめ粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
このように接着フィルムを回路基板にラミネートした後、支持フィルムを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分である。絶縁層を形成した後、硬化前に支持フィルムを剥離しなかった場合は、ここで剥離する。
次に回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行いビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけがもっとも一般的な方法である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により塗布層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
また、ポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)表面粗さ(SRa)
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。即ち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表わす。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫ |f(x)|dx
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートAを得た。
製造例2(ポリエチレンテレフタレートB)
ベーマイトを加熱、焼成することによって得られた、一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径150nmの凝集体を得た。次いで、ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール65部および酢酸マグネシウム0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去しつつエステル交換反応を行った。反応開始後約4時間を要して230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に、平均粒径70nmの酸化アルミニウム凝集体3.0重量%を添加し、さらにエチレングリコールスラリーエチルホスフェート0.4部、三酸化アンチモン0.03部を加えた後、常法に従って重合を行い、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例3(ポリエチレンテレフタレートC)
製造例2において一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径150nmの凝集体を添加する代わりに一次粒径20nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径70nmの凝集体を2.5部添加する以外は製造例2と同様にしてポリエチレンテレフタレートCを得た。
製造例4(ポリエチレンテレフタレートD)
製造例2において一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径150nmの凝集体を添加する代わりに一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径300nmの凝集体を3.0部添加する以外は製造例2と同様にしてポリエチレンテレフタレートDを得た。
製造例5(ポリエチレンテレフタレートE)
製造例2において一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径150nmの凝集体を添加する代わりに凝集傾向の無い平均粒径320nmのα型酸化アルミニウムを1.0部添加する以外は製造例2と同様にしてポリエチレンテレフタレートEを得た。
製造例6(ポリエチレンテレフタレートF)
製造例2において一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径150nmの凝集体を添加する代わりに一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径1.0μmの凝集体を1.0部添加する以外は製造例2と同様にしてポリエチレンテレフタレートFを得た。
製造例7(ポリエチレンテレフタレートG)
製造例2において一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径150nmの凝集体を添加する代わりに平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する以外は製造例2と同様にしてポリエチレンテレフタレートGを得た。
製造例8(ポリエチレンテレフタレートH)
製造例7において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.6μmの合成炭酸カルシウム粒子を0.5部添加する以外は製造例7と同様にしてポリエチレンテレフタレートHを得た。
製造例9(ポリエチレンテレフタレートI)
製造例7において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径3.2μmの凝集シリカ粒子を0.5部添加する以外は製造例7と同様にしてポリエチレンテレフタレートIを得た。
製造例8(ポリエチレンテレフタレートJ)
製造例7において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.4μmの球状シリカ粒子を0.3部添加する以外は製造例7と同様にしてポリエチレンテレフタレートJを得た。
製造例9(ポリエチレンテレフタレートK)
製造例7において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.6μmの球状シリカ粒子を0.5部添加する以外は製造例7と同様にしてポリエチレンテレフタレートKを得た。
製造例10(ポリエチレンテレフタレート
製造例7において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子を0.5部添加する以外は製造例7と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
(ポリエステルフィルムの製造)
上記ポリエステルA〜を表1に示す配合比でA層、B層、およびC層の混合原料とし、2台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、全厚みに対して、A層、B層、およびC層の厚さとなるように各層の押出し量の比率を合わせ、3種3層の構成で20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て120℃で4.6倍の横延伸を施した後、225℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に10%の弛緩を加え、下記表1〜3に示す厚さのポリエステルフィルムを得た。上記の方法で得られたポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
Figure 0005322893
《エポキシ樹脂組成物》
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)20部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YDB−500)20部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、軟化点78℃、大日本インキ化学(株)製エピクロンN−673)20部、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業(株)製デナレックスR−45EPT)15部とをMEKに攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ臭素化フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分40重量%、臭素含有量25重量%、溶剤組成、キシレン:メトキシプロパノール:メチルエチルケトン=5:2:8、東都化成(株)製YPB−40−PXM40)50部、エポキシ硬化剤として2、4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリエチル)−1、3、5−トリアジン・イソシアヌル酸付加物4部、さらに微粉砕シリカ2部、三酸化アンチモン4部、炭酸カルシウム5部を添加し樹脂組成ワニスを作製した。
《ポリエステルフィルムへの樹脂組成ワニス塗布:層間絶縁層の形成》
上記の方法で作製した樹脂組成ワニスを、実施例1〜4、比較例1〜4で得られたポリエステルフィルムのA層表面上に、乾燥後の樹脂厚さが70μmとなる用にダイコーターで塗布し、80〜120℃(平均100℃)で乾燥し、ポリエステルフィルムを支持体とした層間絶縁層を作製した。
比較例4は、樹脂組成ワニスを塗布した後の乾燥時に、ポリエステルフィルムにシワが入り、製品を得られなかった。
《層間絶縁層の表面性A》
得られた層間絶縁層のポリエステルフィルムに相当する表面をSEMで観察し、配線に影響を与えるキズの転写有無を下記の通り評価し、その結果を表4に示す。
○:配線に悪影響を与えるキズの転写は見られない
△:実用上問題なく使用できるレベルのキズの転写跡が見られる
×:明瞭なキズの転写跡が有り、回路配線に悪影響を与えるキズの転写跡が見られる
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《層間絶縁層の表面性B》
得られた層間絶縁層のポリエステルフィルムに相当する表面をSEMで観察し、配線に影響を与える凹みの有無を下記の通り評価し、その結果を表5に示す。
◎:配線に悪影響を与える大きな凹みは見られない
○:凹みが僅かに劣り、大きな凹みも若干見られる
△:実用上問題なく使用できるレベルの凹みの大きさが見られる
×:大きな凹みが有り、回路配線に悪影響を与える凹みが見られる
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《コストの優位性》
得られる特性と、歩留まり等の製造に関わるコスト評価を下記の通り評価し、その結果を下記表2に示す。
○:コスト的に優位性が見られる
△:コスト的に若干劣る
×:コスト的に劣る
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
比較例4は、樹脂組成ワニスを塗布した後の乾燥時に、ポリエステルフィルムにシワが入り、製品を得られなかった。
Figure 0005322893
本発明のポリエステルフィルムは、例えば、ビルドアップビルドアップ法で製造する多層プリント配線板に用いられる、フィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体として、好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 少なくとも3層から成る、フィルムの厚みが15〜50μmの共押出二軸配向積層ポリエステルフィルムであり、一方の最外層の厚みが0.4〜5μmであり、当該最外層中に、一次粒子の平均粒径5〜40nmである酸化アルミニウムの凝集体を0.1〜0.8重量含有し、当該凝集体の平均粒径が50〜400nmであることを特徴とする層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルム。
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