JP6528352B2 - 積層板の製造方法、プリント配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、本発明者らは、プラスチックフィルムの表面粗さRaやRzを調整することを検討した。
しかし、本発明者らは、プラスチックフィルムの表面粗さRaやRzを単に調整するだけでは微細配線加工性を改善することができないことを明らかにした。
そこで、本発明者らは、微細配線加工性を向上させるための設計指針についてさらに鋭意検討した。その結果、プラスチックフィルムの絶縁層と接する側の面の突出山部高さ(Rpk)を特定の範囲とすることで、微細配線加工性に優れた積層板を安定的に生産することができることを見出し、本発明を完成させた。
絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されてなる絶縁層付きプラスチックフィルムと、片面または両面に回路層を有する基板と、を準備する工程と、
上記絶縁層付きプラスチックフィルムの上記絶縁層側の表面を、上記基板の上記回路層側の表面に向けながら、上記基板の上記回路層上に上記絶縁層付きプラスチックフィルムを積層して積層体を得る工程と、
前記積層体の表面を平滑化する平滑化工程と、
得られた上記積層体から上記プラスチックフィルムを剥離する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造に用いられる積層板の製造方法であって、
前記絶縁層が、熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁樹脂層、繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグまたは前記プリプレグの硬化体であり、
前記積層体を得る工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη1としたとき、
η1が20Pa・s以上300Pa・s以下であり、
前記平滑化工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη2としたとき、
η2が100Pa・s以上であり、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、上記プラスチックフィルムの上記絶縁層と接する側の表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下である、積層板の製造方法が提供される。
したがって、本発明においては、微細配線加工性に優れた積層板を安定的に生産することができる。
上記積層板の製造方法により積層板を得る工程と、
上記積層板の上記プラスチックフィルムを剥離した表面上に、金属めっき膜を形成する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造方法が提供される。
プリント配線基板の製造に用いられる積層板を構成する絶縁層を形成するための絶縁層付きプラスチックフィルムであって、
絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されており、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下であり、
前記絶縁層の前記プラスチックフィルムと接する側の表面は、前記プラスチックフィルムが剥離される剥離面である、絶縁層付きプラスチックフィルムが提供される。
片面または両面に回路層を有する基板と、
上記基板の回路層上に設けられた、上記絶縁層付きプラスチックフィルムを構成する上記絶縁層と
を備える積層板が提供される。
上記積層板の上記絶縁層の表面上に回路層が設けられている、プリント配線基板が提供される。
上記プリント配線基板の上記回路層上に半導体素子を搭載した、半導体装置が提供される。
はじめに、絶縁層101とプラスチックフィルム103とが積層されてなる絶縁層付きプラスチックフィルム200と、片面または両面に回路層105を有する基板107と、を準備する(図1(a))。つづいて、絶縁層付きプラスチックフィルム200の絶縁層101側の表面を、基板107の回路層105側の表面に向けながら、基板107の回路層105上に絶縁層付きプラスチックフィルム200を積層して積層体150を得る(図1(b))。その後、得られた積層体150からプラスチックフィルム103を剥離する(図1(c))。これらの工程を含むことにより、積層板100を得ることができる(図1(c))。
絶縁層101のプラスチックフィルム103と接する側の表面(プラスチックフィルム103の剥離面)が、その上に回路層301が形成される表面である。
プラスチックフィルム103の上記Rpkが上記上限値以下であることにより、得られる積層板100中の絶縁層101表面に微細な凹部が発生するのを抑制できる。その結果、微細配線加工性に優れた積層板100を安定的に生産することができる。また、プラスチックフィルム103の上記Rpkが上記下限値以上であると、絶縁層101とプラスチックフィルム103との滑り性を向上できるため、絶縁層付きプラスチックフィルム200の巻取り性が優れる。
本実施形態において、プラスチックフィルム103の表面にシリカを薄くコートすること、このシリカの粒度分布や粒子系、添加量を調整すること等が上記Rpkを制御するための因子として挙げられる。
絶縁層101の厚みは、例えば、5μm以上100μm以下である。
熱硬化性樹脂(A)としては特に限定されないが、低線膨張率および高弾性率を有し、熱衝撃性の信頼性に優れたものであることが好ましい。
具体的な熱硬化性樹脂(A)として、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上とそれらのプレポリマーとを併用してもよい。
シアネート樹脂の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物(P)の全固形分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上25質量%以下である。
ポリマレイミドとしては、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用することもできる。これらのビスマレイミド樹脂の中でも、低吸水率である点などから、4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンが好ましい。
ビスマレイミド樹脂の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物(P)の全固形分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上25質量%以下である。
無機充填材(B)としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカなどの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素などの窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩などを挙げることができる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。
無機充填材(B)の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA−500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とすることができる。
プラスチックフィルム103の厚みは、例えば、20μm以上75μm以下である。
絶縁層付きプラスチックフィルム200の製造方法は特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂組成物(P)を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、各種コーターにより上記樹脂ワニスをプラスチックフィルム103に塗布して乾燥し、熱硬化性樹脂組成物(P)からなる絶縁樹脂層を形成する方法が挙げられる。これにより絶縁層101が熱硬化性樹脂組成物(P)からなる絶縁樹脂層である絶縁層付きプラスチックフィルム200を得ることができる。
まず、材料として、キャリア材料、繊維基材を用意する。また、装置として、真空ラミネート装置および熱風乾燥装置を用意する。キャリア材料は、熱硬化性樹脂組成物(P)からなる絶縁樹脂層とプラスチックフィルム103で構成される。キャリア材料は、例えばプラスチックフィルム103に熱硬化性樹脂組成物(P)の樹脂ワニスを塗工し、乾燥することにより得ることができる。
まず、絶縁層付きプラスチックフィルム200と、片面または両面に回路層105を有する基板107と、を準備する(図1(a))。
次いで、例えば、ロール状に巻回された絶縁層付きプラスチックフィルム200をラミネーターに搬送するとともに、シート状の基板107を搬送し、絶縁層付きプラスチックフィルム200の絶縁層101側の表面を、基板107の回路層105側の表面に向けながら、加熱加圧下、基板107の回路層105上に絶縁層付きプラスチックフィルム200を積層して積層体150を得る(図1(b))。
また、積層体150を得る工程を完了した段階における絶縁層101は、動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの測定における、複素動的粘度の極小値η1が、好ましくは300Pa・s以下であり、より好ましくは290Pa・s以下であり、さらに好ましくは280Pa・s以下である。複素動的粘度η1を上記上限値以下とすることにより、絶縁層101中の熱硬化性樹脂(A)の流動性を確保しながら積層体150の表面を平滑化できる。そのため、回路層105由来の凹凸が表面上に残らない積層板100を安定的に得ることができる。
なお、複素動的粘度η1は、積層体150表面の絶縁層101から測定サンプル(繊維基材は含まない)を切り出し、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
加熱温度は、とくに限定されないが、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。上記下限値以上とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度の極小値η1が20Pa・s以上の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。また、加熱温度は、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。上記上限値以下とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度の極小値η1が300Pa・s以下の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。
加熱時間は、とくに限定されないが、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。上記下限値以上とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度η1が20Pa・s以上の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。また、加熱時間は、とくに限定されないが、500秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。上記上限値以下とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度η1が300Pa・s以下の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。
圧力は0.4MPa以上1.5MPa以下の範囲でおこなうことが好ましい。
平滑化工程は、大気圧下で、金属部材を介して、積層体150を加熱および加圧することにより行われる。
また、平滑化工程を完了した段階における絶縁層101は、動的粘弾性試験による複素動的粘度の極小値η2が、50,000Pa・s以下であることが好ましく、10,000Pa・s以下であることがさらに好ましい。複素動的粘度η2を上記上限値以下とすることにより、応力ひずみの少ない状態で硬化工程を行うため、膨れが起こりにくい積層板100を得ることができる。
なお、複素動的粘度η2は、絶縁層101から測定サンプル(繊維基材は含まない)を切り出し、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
加熱時間は、とくに限定されないが、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。上記下限値以上とすることにより、平滑化工程を完了した段階における動的粘弾性試験による複素動的粘度η2が100Pa・s以上の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。また、加熱時間は、とくに限定されないが、500秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。上記上限値以下とすることにより、平滑化工程を完了した段階における動的粘弾性試験による複素動的粘度η2が50,000Pa・s以下の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。
圧力は0.4MPa以上1.5MPa以下の範囲でおこなうことが好ましい。
硬化工程は、通常は、大気圧下で積層体150を加熱することによりおこなわれる。
回路層301は、例えば、無電解金属めっき膜305と、電解金属めっき層307とを有する。
次いで、エッチング処理により、金属箔を除去する。
なお、エッチング処理による金属箔の除去前に、絶縁層101にビアホール303を形成してもよい。
薬液処理としては、特に限定されず、有機物分解作用を有する酸化剤溶液などを使用する方法などが挙げられる。また、プラズマ処理としては、対象物となるものに直接酸化作用の強い活性種(プラズマ、ラジカルなど)を照射して有機物残渣を除去する方法などが挙げられる。
本実施形態に係る半導体装置400は、例えば、プリント配線基板300の回路層301上に半導体素子403を搭載したものである。図4に示すような半導体装置400に用いることができる。半導体装置400の製造方法としては、とくに限定されないが、例えば以下のような方法がある。
また、上記実施形態では、半導体素子403と、プリント配線基板300とを半田バンプ405で接続したが、これに限られるものではない。例えば、半導体素子403とプリント配線基板300とをボンディングワイヤで接続してもよい。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されてなる絶縁層付きプラスチックフィルムと、片面または両面に回路層を有する基板と、を準備する工程と、
前記絶縁層付きプラスチックフィルムの前記絶縁層側の表面を、前記基板の前記回路層側の表面に向けながら、前記基板の前記回路層上に前記絶縁層付きプラスチックフィルムを積層して積層体を得る工程と、
得られた前記積層体から前記プラスチックフィルムを剥離する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造に用いられる積層板の製造方法であって、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下である、積層板の製造方法。
<2>
<1>に記載の積層板の製造方法において、
前記プラスチックフィルムはポリエステルフィルムである、積層板の製造方法。
<3>
<1>または<2>に記載の積層板の製造方法において、
前記絶縁層が、熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁樹脂層、繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグまたは前記プリプレグの硬化体である、積層板の製造方法。
<4>
<1>乃至<3>いずれか一つに記載の積層板の製造方法において、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の表面粗さ(Ra)が5nm以上25nm以下である、積層板の製造方法。
<5>
<1>乃至<4>いずれか一つに記載の積層板の製造方法において、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の10点平均粗さ(Rz)が0.05μm以上1μm以下である、積層板の製造方法。
<6>
<1>乃至<5>いずれか一つに記載の積層板の製造方法において、
前記積層体を得る工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη1としたとき、
η1が20Pa・s以上300Pa・s以下である、積層板の製造方法。
<7>
<6>に記載の積層板の製造方法において、
前記積層体を得る工程の後に、前記積層体の表面を平滑化する平滑化工程をさらに含み、
前記平滑化工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη2としたとき、
η2が100Pa・s以上である、積層板の製造方法。
<8>
<1>乃至<7>いずれか一つに記載の積層板の製造方法において、
前記絶縁層付きプラスチックフィルムがロール状に巻回積層されており、
巻回積層された前記絶縁層付きプラスチックフィルムを搬送するとともに、シート状の前記基板を搬送し、前記積層体を得る工程を連続的におこなう、積層板の製造方法。
<9>
<1>乃至<8>いずれか一つに記載の積層板の製造方法により積層板を得る工程と、
前記積層板の前記プラスチックフィルムを剥離した表面上に、金属めっき膜を形成する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造方法。
<10>
<9>に記載のプリント配線基板の製造方法において、
セミアディティブプロセス法によって前記金属めっき膜に回路層を形成する工程をさらに含む、プリント配線基板の製造方法。
<11>
プリント配線基板を構成する絶縁層を形成するための絶縁層付きプラスチックフィルムであって、
絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されており、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<12>
<11>に記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
前記プラスチックフィルムはポリエステルフィルムである、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<13>
<11>または<12>に記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
前記絶縁層の前記プラスチックフィルムと接する側の表面は、その上に回路層が形成される表面である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<14>
<11>乃至<13>いずれか一つに記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の表面粗さ(Ra)5nm以上25nm以下である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<15>
<11>乃至<14>いずれか一つに記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の10点平均粗さ(Rz)が0.05μm以上1μm以下である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<16>
<11>乃至<15>いずれか一つに記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
前記絶縁層が、熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁樹脂層、繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグまたは前記プリプレグの硬化体である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<17>
片面または両面に回路層を有する基板と、
前記基板の回路層上に設けられた、<11>乃至<16>いずれか一つに記載の絶縁層付きプラスチックフィルムを構成する前記絶縁層と
を備える積層板。
<18>
<17>に記載の積層板の前記絶縁層の表面上に回路層が設けられている、プリント配線基板。
<19>
<18>に記載のプリント配線基板の前記回路層上に半導体素子を搭載した、半導体装置。
無機充填材1:球状シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)
無機充填材2:球状シリカ(電気化学工業社製、SFP−20M 、平均粒径0.3μm)
エポキシ樹脂1:ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER−828)
エポキシ樹脂3:ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER−807)
エポキシ樹脂4:ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂(DIC社製、HP−7200L)
シアネート樹脂:ノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)
フェノール系硬化剤:ノボラック型フェノール樹脂(DIC社製、TD−2090−60M、60%(w/v)メチルエチルケトン溶液)
フェノキシ樹脂:(三菱化学社製、YX6954BH30、30%(w/v)メチルエチルケトン/アノン溶液)
ポリアミド樹脂:ゴム変性フェノール水酸基含有ポリアミド(日本化薬社製、KAYAFLEX BPAM−01)
ポリビニルアセタール樹脂:(積水化学社製、KS−10(水酸基25mol%))
硬化触媒1:1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成社製、1B2PZ)
硬化触媒2:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成社製、2E4MZ)
カップリング剤1:エポキシシランカップリング剤(日本ユニカー社製、A−187)
カップリング剤2:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−573)
PETフィルム2:Rpk=43nm、Ra=20nm、Rz=0.52μm、厚み50μm、ダイセル社製、T1223
PETフィルム3:Rpk=26nm、Ra=18nm、Rz=0.22μm、厚み25μm、東洋紡社製、NB−201
PETフィルム4:Rpk=14nm、Ra=10nm、Rz=0.06μm、厚み50μm、帝人社製、KEL86W
PETフィルム5:Rpk=214nm、Ra=47nm、Rz=2.75μm、厚み38μm、ユニチカ社製、TR1T−38
PETフィルム6:Rpk=64nm、Ra=20nm、Rz=2.63μm、厚み38μm、ユニチカ社製、P604
PETフィルム7:Rpk=153nm、Ra=53nm、Rz=0.80μm、厚み38μm、帝人社製、NRA−03
PETフィルム8:Rpk=68nm、Ra=24nm、Rz=0.54μm、厚み38μm、帝人社製、HPE
(1)樹脂ワニスAの調製
まず、表1に示す配合に従い、エポキシ樹脂4、シアネート樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、硬化触媒1をメチルエチルケトンとシクロヘキサノンの混合溶媒で60分間撹拌し、溶解させた。さらにカップリング剤1と無機充填材2を添加して高速撹拌装置で10分撹拌し、固形分65%の樹脂ワニスを作製した。
得られた樹脂ワニスをPETフィルム1の片面に、コンマコーター装置を用いて塗工した。これを160℃の乾燥装置で3分間乾燥し、樹脂厚みが20μmの樹脂シートAを作製した。
繊維基材としてガラス織布(ユニチカ社製、クロスタイプ♯1017、幅530mm、厚さ15μm、坪量12g/m2)を用い、真空ラミネート装置および熱風乾燥装置によりプリプレグ付きPETフィルムを製造した。
具体的には、樹脂シートAを2枚用意し(A1、A2とする)、ガラス織布の両面に樹脂シートA1および樹脂シートA2をガラス織布の幅方向の中心に位置するように、それぞれ1枚ずつ重ね合わせ、0.1MPa(750Torr)の減圧条件下で、80℃のラミネートロールを用いて接合した。
ここで、ガラス織布の幅方向寸法の内側領域においては、樹脂シートA1および樹脂シートA2の樹脂層を繊維布の両面側にそれぞれ接合するとともに、ガラス織布の幅方向寸法の外側領域においては、樹脂シートA1および樹脂シートA2の樹脂層同士を接合した。
つぎに、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、厚さ45μmのプリプレグ付きPETフィルムを得た。
ニチゴ―・モートン社製の2ステージビルドアップラミネーターCVP600を用いて、プリプレグ付きPETフィルムから積層体を製造した。具体的には、厚み200μmのELC−4785GS−B(住友ベークライト社製、銅箔12μm)を用いて、ドリル機で所定のところを開孔して、無電解めっきにより、導通を図り、銅箔をエッチングして回路層を有する基板を作製した。また、上記のプリプレグ付きPETフィルムを枚葉にカットし、上記CVP600にセットして上記基板に仮付けし、真空ラミネーター内で120℃、0.7MPa、60秒間真空ラミネーションをおこなった。
その後、ニチゴー・モートン社製CVP−600が備えるホットプレス装置を用いて、120℃、0.6MPa、60秒間ホットプレスして平滑化した。
(6)硬化工程
その後、170℃で60分間熱処理し、プリプレグ中の熱硬化性樹脂を硬化させ、PETフィルムを剥離することにより積層板を得た。
次いで炭酸レーザーによりビアホールを形成した。次にビアホール内および絶縁層表面を、80℃の膨潤液(ロームアンドハースジャパン社製 コンディショナー211)に10分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(ロームアンドハースジャパン社製、MLBプロモーター)に10分浸漬後、中和して粗化処理を行った。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき皮膜を約1μm、めっきレジスト形成、無電解銅めっき皮膜を給電層としパターン電気メッキ銅を12μm形成させ、L/S=12/12μmの微細回路加工を施した。次に、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行った後、フラッシュエッチングで給電層を除去した。
次に、ソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、PSR−4000 AUS703)を印刷し、半導体素子搭載パッドなどが露出するように、所定のマスクで露光し、現像、キュアを行い、回路上のソルダーレジスト層の厚さが12μmとなるように形成した。
最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、プリント配線基板を得た。
(8)動的粘弾性試験による複素動的粘度η1の測定
積層体を得る工程を完了後、積層体表面の絶縁層から熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物(繊維基材は含まない)を切り出して測定サンプルとし、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名Physica MCR−301)を用いて、下記の条件で複素動的粘度η1の測定をおこなった。
周波数:62.83rad/sec
測定範囲50〜200℃
昇温速度3℃/min
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:10mm
プレート間隔:0.1mm
荷重(ノーマルフォース):0N(一定)
ストレイン:0.3%
測定雰囲気:大気雰囲気下
平滑化工程を完了後、積層体表面の絶縁層から熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物(繊維基材は含まない)を切り出して測定サンプルとし、上記の複素動的粘度η1と同様の条件で複素動的粘度η2の測定をおこなった。
(7)において、L/S=12/12μmの微細回路パターンを形成した後のプリント配線基板について、レーザー顕微鏡で細線の外観検査および導通チェックにより評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:形状、導通ともに問題なし
○:ショート、配線切れはなく、実質上問題ない
×:ショート、配線切れあり
(7)で得られたプリント配線基板のL/S=12/12μmの微細回路パターン上に、ソルダーレジストの代わりにビルドアップ材(住友ベークライト社製、BLA−3700GS)を積層、硬化した試験サンプルを作製した。この試験サンプルを用いて、温度130℃、湿度85%、印加電圧3.3Vの条件で連続湿中絶縁抵抗を評価した。なお、抵抗値106Ω以下を故障とした。評価基準は以下の通りである。
◎:300時間以上故障なし
○:150時間以上300時間未満で故障あり
×:150時間未満で故障あり
また、η1が20Pa・s以上300Pa・s以下の条件をさらに満たす実施例1〜5の積層板は微細配線加工性に特に優れていた。そして、このような積層板を用いて得られたプリント配線基板は絶縁信頼性に特に優れていた。
これに対し、突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下の範囲外にあるプラスチックフィルムを用いて製造された比較例1〜4の積層板は微細配線加工性に劣っていた。また、このような積層板を用いて得られたプリント配線基板は絶縁信頼性に劣っていた。
101 絶縁層
103 プラスチックフィルム
105 回路層
107 基板
150 積層体
200 絶縁層付きプラスチックフィルム
300 プリント配線基板
301 回路層
303 ビアホール
305 無電解金属めっき膜
307 電解金属めっき層
400 半導体装置
401 ソルダーレジスト層
403 半導体素子
405 半田バンプ
407 封止材
Claims (7)
- 絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されてなる絶縁層付きプラスチックフィルムと、片面または両面に回路層を有する基板と、を準備する工程と、
前記絶縁層付きプラスチックフィルムの前記絶縁層側の表面を、前記基板の前記回路層側の表面に向けながら、前記基板の前記回路層上に前記絶縁層付きプラスチックフィルムを積層して積層体を得る工程と、
前記積層体の表面を平滑化する平滑化工程と、
得られた前記積層体から前記プラスチックフィルムを剥離する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造に用いられる積層板の製造方法であって、
前記絶縁層が、熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁樹脂層、繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグまたは前記プリプレグの硬化体であり、
前記積層体を得る工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη1としたとき、
η1が20Pa・s以上300Pa・s以下であり、
前記平滑化工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη2としたとき、
η2が100Pa・s以上であり、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下である、積層板の製造方法。 - 請求項1に記載の積層板の製造方法において、
前記プラスチックフィルムはポリエステルフィルムである、積層板の製造方法。 - 請求項1または2に記載の積層板の製造方法において、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の表面粗さ(Ra)が5nm以上25nm以下である、積層板の製造方法。 - 請求項1乃至3いずれか一項に記載の積層板の製造方法において、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の10点平均粗さ(Rz)が0.05μm以上1μm以下である、積層板の製造方法。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載の積層板の製造方法において、
前記絶縁層付きプラスチックフィルムがロール状に巻回積層されており、
巻回積層された前記絶縁層付きプラスチックフィルムを搬送するとともに、シート状の前記基板を搬送し、前記積層体を得る工程を連続的におこなう、積層板の製造方法。 - 請求項1乃至5いずれか一項に記載の積層板の製造方法により積層板を得る工程と、
前記積層板の前記プラスチックフィルムを剥離した表面上に、金属めっき膜を形成する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造方法。 - 請求項6に記載のプリント配線基板の製造方法において、
セミアディティブプロセス法によって前記金属めっき膜に回路層を形成する工程をさらに含む、プリント配線基板の製造方法。
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