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JP5312204B2 - オイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法 - Google Patents

オイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法 Download PDF

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本発明はオイル浮きを起こさないオイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法に関する。
一般に、清涼飲料やチューハイに用いられている香料はアルコールエッセンス香料と呼ばれるものである。レモンアルコールエッセンス香料の場合は、レモンの皮から搾ったレモンオイル(シングルオイル;テルペン類含量95質量%以上)やテルペン類などをカットして3倍程度に濃縮したオイル(3ホールドオイル;テルペン類含量80質量%程度)を、20〜50倍量の含水エタノール(エタノール60質量%、水40質量%)に溶解して不溶性物質を取り除いて作る。これを、チューハイに1/1000量添加すると、アルコールエッセンス香料はチューハイに溶解してレモンの香りが付き、レモンチューハイとなる。しかし、含水エタノールに溶けず除去されてしまった物質の中にレモンの新鮮な香り(リモネンやピネンなど)が多く含まれているので、アルコールエッセンス香料を添加したチューハイは香り立ちの悪く、フレッシュ感の失われた香りとなる。そこで、香りの強化のために合成香料を補填するのが一般的である。一方、レモンオイルを、アルコールエッセンス化せずに、直接チューハイに添加すると、レモンの香り立ちの良いチューハイが得られるわけであるが、レモンオイルは、チューハイに完全には溶け込まず、液面にオイル分が浮上して、均一な香りにならないという問題が生じる。そこで、レモンオイルは含水エタノール(エタノール60質量%、水40質量%)には、わずかしか溶けないが、95質量%の原料用アルコール(エタノール95.5質量%、水4.5質量%)には、よく溶解する性質を利用して、レモンオイルを高濃度のエタノールに一旦溶解したあと、飲料やチューハイに添加する方法が知られている。
しかし、一旦95質量%の原料用アルコールに溶けたオイルも、水で希釈する時に、析出し、オイル浮きを起こすことが多い。そこで、オイル香料をオイル浮きしないように、チューハイに溶解する方法が求められている。この方法を新たに開発することを目的とした。
本発明は、オイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法において、シロップを調合する前に、予め界面活性剤を添加したオイル香料を、高濃度含水エタノールに添加することを特徴とする、オイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法を提供する。
また、本発明は、オイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法において、シロップを調合する前に、オイル香料を高濃度含水エタノールに添加し、前記オイル香料として60質量%以下のテルペン類が除去されたオイル香料を使用することを特徴とする、オイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法を提供する。
本発明により、オイル浮きを起こさないオイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法を提供することができる。
表3のレモンオイルの添加濃度(ppm)と、可溶性部分(ppm)、レモンオイル中のテルペン類含量(%)、テルペン類含量(ppm)及び可溶性香気成分量(ppm)との関係を示すグラフである。 表3のレモンオイルの添加濃度(ppm)と、可溶性部分(ppm)、レモンオイル中のテルペン類含量(%)、テルペン類含量(ppm)及び可溶性香気成分量(ppm)との関係を示すグラフである。 表4のレモンオイルの添加濃度(ppm)と、可溶性部分(ppm)、レモンオイル中のテルペン類含量(%)、テルペン類含量(ppm)及び可溶性香気成分量(ppm)との関係を示すグラフである。 表4のレモンオイルの添加濃度(ppm)と、可溶性部分(ppm)、レモンオイル中のテルペン類含量(%)、テルペン類含量(ppm)及び可溶性香気成分量(ppm)との関係を示すグラフである。
本発明のオイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法は、シロップを調合する前に、オイル香料を高濃度エタノール溶液に添加することを特徴とする。
レモンの皮を絞ることによって得られたレモンピールシングルオイル(1ホールド)は、レモンの新鮮な香りを持っているが、その9割以上は水に溶けにくいテルペン類である。そのため、これを飲料に直接添加しても、オイル成分は浮上して、飲料に溶解しない。本発明の製造方法により得られるアルコール飲料では、このようなオイル成分の浮上は起こらない。
本発明において、「オイル香料」とは、柑橘類から得られた精油を含水エタノールでウォッシュ(不溶物除去)していない香料のことを言う。柑橘類としては、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、タンジェリン、ライムなどが挙げられる。
また、柑橘類から得られた精油には、一般に、水に不溶性のテルペン類が95質量%程度含まれており、これがオイル浮きの原因となる。テルペン類とは、テルペン骨格を持った炭化水素の総称であり、リモネンやαピネン、βピネン、ミルセンなどが挙げられるが、このうちリモネンが90%以上を占める。テルペン類は揮発性が高く、柑橘類のフレッシュ感を出すが、ウォッシュドフレーバー(アルコールエッセンス香料)にはほとんど含まれない。このため、ウォッシュドフレーバーは新鮮さにかけた香りになる。オイル香料はウォツシュしていないので、このテルペン類含量が比較的高く新鮮で力強い香りとなる。
本発明において、「アルコール飲料」に含まれるアルコール原料としては、特定のものに限定されるものではなく、例えば醸造アルコール、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ類、リキュール類、焼酎、清酒、ワイン、ビールなどが挙げられる。これらのアルコール原料は、単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。アルコール飲料におけるエタノール含量は、好ましくは1〜45質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
本発明において、「シロップ」とは、糖類や糖アルコールを含有する液であって、果物の香りがするものをいう。ここで、糖類とは、炭素と水との化合物として表される物質をいい、多くは一般式Cm(H2O)m(mは3以上の整数である。)で表される。糖類には、単量体となる単糖類、数分子の単糖類からなる少糖類(単糖類が二分子縮合した二糖類を含む。)、さらに多数の単糖類からなる多糖類が含まれる。単糖類としては、エリスリトール、ブドウ糖、果糖等が挙げられる。二糖類としては、麦芽糖、ショ糖・乳糖などが挙げられる。また、糖アルコール(このアルコールは、エタノールを意味するものではなく、鎖式又は脂環式炭化水素の水素原子を水酸基で置き換えた有機化合物の総称をいう。)とは、糖のアルデヒド基及びケトン基を還元して、それぞれ第一・第二アルコール基としたものに相当する多価アルコールの総称を言い、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、還元デンプン糖化物等が挙げられる。
一般に、シロップの調合は、含水エタノールに糖類や糖アルコールなどの成分を添加し、最後にアルコールエッセンス香料を添加して行う。又は、シロップを調合しない場合には、飲料まで希釈した最終段階で香料を添加していた。これは、香料希釈濃度を最大にする意味で香料添加の原則とされていた。例えば、チューハイの場合には、55質量%の含水エタノール(エタノール55質量%、水45質量%)、果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖、水、クエン酸、クエン酸ナトリウム及びレモン濃縮果汁の混合物中にレモンアルコールエッセンス香料(エタノール60質量%、ウォッシュドフレーバー)を添加して3倍シロップ(エタノール21質量%)を調合する。
一方、本発明においては、オイル香料を高濃度含水エタノールに添加し、その後これに糖類や糖アルコールなどの成分を添加してシロップを調合する。すなわち、本発明は、シロップの調合段階で最もエタノール濃度の高い時点で、速やかに容易にオイル香料を溶かし込む点でも、従来の発想とは一線を画している。従来の発想は、オイル香料をアルコールエッセンス香料の形にして、不溶個物は除去して、溶ける形に変質させるのに対して、本方法は、オイル香料をシロップ調合の工程の中で、無駄無くチューハイに溶かし込もうとする点で異なっている。
本発明において、高濃度含水エタノールは、好ましくは50質量%以上のエタノールを含有する。より好ましくは、高濃度含水エタノールは50〜95.5質量%のエタノールを含有する。ここで、本発明の方法においては、より高濃度の高濃度含水エタノールにオイル香料を溶解したあと、これをより低濃度の高濃度含水エタノールに添加してもよい。前記より高濃度の高濃度含水エタノールは、好ましくは50〜95.5質量%のエタノールを含有し、より好ましくは80〜95.5質量%のエタノールを含有する。また、前記より低濃度の高濃度含水エタノールは、好ましくは50〜60質量%のエタノールを含有し、より好ましくは50〜55質量%のエタノールを含有する。例えば、オイル香料を95質量%のエタノールを含有する含水エタノールに溶解し、次いでこれを55質量%のエタノールを含有する含水エタノールに添加し、さらに必要に応じて糖類や糖アルコールなどの成分を添加する。
例えば95質量%のエタノールを含有する高濃度含水エタノールに添加するオイル香料の量は、5〜20%程度である。80質量%のエタノールを含有する高濃度含水エタノールの場合は3〜5%程度である。エタノール含量が少なくなる程、溶解するオイルが少なくなるからである。
本発明において、オイル香料は、オイル香料中のテルペン類含有量が全体の60質量%以下となるまでテルペン類が除去されていることが好ましい。オイル香料中のテルペン類含有量が全体の20質量%以上40質量%以下となるまでテルペン類が除去されていることがより好ましい。これにより、オイル香料中の不溶性物質をあらかじめある程度除去しておき、エタノールに溶解する際に、不溶成分を極力析出させないオイルを用いることとなる。
本発明において、オイル香料を高濃度含水エタノールに添加する前に、予めオイル香料に界面活性剤を添加してもよい。これにより、水に不溶なリモネンなどのテルペン類が十分に除去されていないオイル香料を利用する場合にも、オイルを可溶化することができる。界面活性剤は、好ましくはそのHLB値が6〜8であり、より好ましくはそのHLB値が6〜7である。好ましい界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。より好ましい界面活性剤はポリグリセリン脂肪酸エステルであり、特にポリグリセリンオレイン酸エステルである。ここで、HLB値とは、乳化剤の水、油に溶ける性質を表す指標である。乳化剤の分子構造の親水基と親油基の比率で定まる。HLB値が0の場合は、親水基がまったくない状態で、油には良く溶けるが、水には全く溶けない。HLB値が20の時は、親油基が全くない状態で、水には良く溶けるが、油には全く溶けない。HLB値が6〜8の場合は、油には良く溶け、水にわずかに溶けるという性質を表している。アルコールエッセンス香料に、乳化剤のポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルを加えて、アルコールエッセンス香料の可溶化を図る方法は、従来からおこなわれているが、これらに利用される乳化剤は、水に良く溶け、油にわずかに溶けるという性質を持ったHLB値が15〜17のものであり、オイルそのものにはほとんど溶けないタイプなので、エタノールに溶解させて使用する必要があった。そのため、アルコールエッセンス香料を95質量%以上のエタノールを含有する含水エタノールで希釈する必要があり、オイル香料そのものをチューハイに使用出来る本発明の方法よりも、コストアップになり、オイルを可溶化する効果が限られている。そして、その使用量も、ポリグリセリンオレイン酸エステルなどのHLB値が6〜8である界面活性剤に比べて多くなり、泡立ち、異味などの弊害が出やすい。一方、ポリグリセリンオレイン酸エステルなどのHLB値が6〜8である界面活性剤は、油に容易に溶解し、水に少し溶解する性質を持っている。したがって、オイルに溶かしたポリグリセリンオレイン酸エステルは、オイルと親和しているが、これを水で薄めてもオイルと離れ難い性質を持っている。また、水に少し溶けるので、親和したオイルを水に可溶化することが出来る。
界面活性剤の添加量は、好ましくはオイル香料に対して0.1〜10%である。
調合されたシロップは、例えばインラインパラミキサーなどを用いて加水して、エタノール濃度を3〜10質量%にする。次いで、例えば容器詰めし、殺菌して容器詰め飲料を製造する。なお、加水してエタノール濃度を低くしたときに析出するオイルがある場合でも、速やかに容器詰めして容器間の香りの強弱を生じさせないと共に、例えば65℃で15分間加温殺菌することにより、析出したオイルを容器内で完全に溶解させることが出来る。
また、オイル中に少量の水不溶物が残されていたり、例えば通常のチューハイに溶ける以上のオイル分を溶かし込む方法として、55質量%のエタノール液から20質量%程度のエタノール液に水で薄めたときに、析出する微細なオイル粒子を、ホモ掛けなどの物理的圧力を加えることなく、果汁中のペクチンやアミノ酸やパルプ質に吸着安定化させたり、乳化剤で可溶化する方法は、エタノール水希釈時析出分散乳化と言うべき、新しい発想である。
好ましい具体的な実施態様を以下に示す。
オイル香料を95質量%以上のエタノールを含有する含水エタノールで希釈した後、チューハイ仕込み工程において、55質量%以上のエタノールを含有する含水エタノールに溶かして、可溶化する方法:
レモンオイル香料中のテルペン類含量を60質量%以下まで除去(8ホールド以上)し、これを、95質量%以上のエタノールを含有する含水エタノールで、10倍程度に希釈する。これをチューハイ仕込み工程において調合タンク内で、55質量%以上のエタノールを含有する含水エタノール(引火性の問題で、チューハイ仕込み工程でエタノール濃度は55質量%よりも高濃度にすると危険である。)に、0.38質量%以下添加して、完全に溶解したのち、加水して、エタノール濃度を18〜28質量%に希釈する。レモンオイル香料からある程度テルペン類を除去しているので、この時オイルの析出は生じない。これを調合タンクから送りだし、インラインパラミキサーで、比例的に、更に加水して、エタノール濃度を3〜10質量%にする。この時、わずかなオイル成分が不溶化し、液が白濁することがあるが、ただちに、容器に充填した後、トンネルパストリゼーションにおいて65℃で15分間加温し、溶け残ったオイルを容器内で完全に溶解することによって、オイル浮きの生じないチューハイを作ることができる。
レモンオイル香料を95質量%以上のエタノールを含有する含水エタノールで希釈することなく、チューハイ仕込み工程において、55質量%以上のエタノールを含有する含水エタノールに溶かして、可溶化する方法:
レモンオイル香料中のテルペン類含量を50質量%以下まで除去(10ホールド以上)し、これをチューハイ仕込み工程において調合タンク内で、55質量%以上のエタノールを含有する含水エタノール(引火性の問題で、エタノール濃度は55質量%よりも高濃度にすると危険である。)に、0.02質量%以下添加して、完全に溶解したのち、加水して、エタノール濃度を18〜28質量%にする。この時オイルの析出は生じない。これを調合タンクから送りだし、インラインパラミキサーで、比例的に、更に加水して、エタノール濃度を3〜10質量%にする。この時、わずかなオイル成分が不溶化し、液が白濁することがあるが、ただちに、容器に充填した後、トンネルパストリゼーションにおいて65℃で15分間加温し、溶け残ったオイルを容器内で完全に溶解することによって、オイル浮きの生じないチューハイを作ることができる。
レモンオイル香料に乳化剤をあらかじめ添加し、オイル香料を溶解し易い形態にする方法:
レモンオイル香料中のテルペン類含量を70質量%以下まで除去(6ホールド以上)し、これに、HLB値が6〜8の乳化剤を2.5〜20質量%添加し、これをチューハイ仕込み工程において調合タンク内で、55質量%以上のエタノールを含有する含水エタノール(引火性の問題で、エタノール濃度は55質量%よりも高濃度にすると危険である。)に、0.02質量%以下添加して、完全に溶解したのち、加水して、エタノール濃度を18〜28質量%にする。この時オイルの析出は生じない。これを調合タンクから送りだし、インラインパラミキサーで、比例的に、更に加水して、エタノール濃度を3〜10質量%にする。この時、わずかなオイル成分が不溶化し、液が白濁することがあるが、ただちに、容器に充填した後、トンネルパストリゼーションにおいて65℃で15分間加温し、溶け残ったオイルを容器内で完全に溶解することによって、オイル浮きの生じないチューハイを作ることができる。
(予備実験1)
テルペン類含量が95質量%のレモンピールシングルオイルと、これを減圧蒸留して2、4、6、8及び10ホールドに濃縮し、テルペン類含量がそれぞれ90質量%、80質量%、70質量%、60質量%及び50質量%のレモンオイルを用意した。これらを95質量%のエタノール液(エタノール95.5質量%、水4.5質量%)で10倍に希釈した後、それぞれ2ml、1ml、0.5ml、0.32ml、0.24ml及び0.2mlの量で1Lのチューハイ液(7質量%のエタノール、0.3質量%のクエン酸及び4質量%の果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖)に添加した。良く攪拌したところ、いずれもオイル浮きがみられ、完全には溶解しなかった。次に、3倍シロップ液(21質量%のエタノール)及び4倍シロップ液(28質量%のエタノール)に、同様にレモンオイルを添加したが、オイル浮きが起こり、いずれも完全には溶解しなかった。
(実験1)
127ml の55質量%のエタノール液(エタノール55質量%、水45質量%)に、予備実験1と同様にレモンオイルを添加したところ、4ホールド以上のレモンオイルは溶解した。次いで、クエン酸、果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖及び水を加えて、3倍シロップ液にし、オイル浮きの状態をみたところ、8ホールド及び10ホールドのレモンオイルは、オイル浮きが見られなかった。他のレモンオイルはオイルが析出して、オイル浮きが見られた。また、同様にして4倍シロップ液にした時も、同様の結果であった。次いで、シロップ液を水で薄めてエタノール分を7質量%にしたところ、8ホールド及び10ホールドオイル添加品はやや白濁したがオイル浮きは見られず、炭酸ガスを2.3容積%まで添加して、びん詰め後、65℃で15分間加熱殺菌すると、白濁も消え、オイルの浮上も見られなかった。また、十分なレモンの香りを有することも確認できた。4ホールド以下のオイルを添加したものは殺菌前、殺菌後もオイル浮きが認められた。
なお、上記の127mlの55質量%のエタノール液の代わりに、73.5mlの95質量%のエタノール液又は140mlの50質量%のエタノール液(エタノール50質量%、水40質量%)を用いた場合でも同様の結果となった。
Figure 0005312204
オイル浮きなし○
オイル浮きあり×
(実験1a)
実験1において、オイルを95質量%のエタノール液に溶解する際に20倍希釈として、添加量を2倍とした試験を行ったところ、オイル浮きに関して実験1と同様の結果が得られた。
(実験1b)
実験1において、オイルを95質量%のエタノール液に溶解する際に5倍希釈として、添加量を1/2とした試験を行ったところ、オイル浮きに関して実験1と同様の結果が得られた。
(実験1c)
実験1において、18ホールドのレモンオイル(テルペン含量が10質量%)を95質量%のエタノール液に希釈して、55質量%のエタノール液に、0.1ml添加したところ、オイル浮きは認められなかった。
(予備実験2)
テルペン類含量が95質量%のレモンピールシングルオイルを減圧蒸留して8、10、12、14、16及び18ホールドに濃縮し、テルペン類含量がそれぞれ60質量%、50質量%、40質量%、30質量%、20質量%及び10質量%のレモンオイルを用意した。これらを、それぞれ0.024ml、0.02ml、0.017ml、0.0143ml、0.0125ml及び0.011mlの量で1Lのチューハイ液(7質量%のエタノール、0.3質量%のクエン酸及び4質量%の果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖)に添加した。良く攪拌したところ、いずれもオイル浮きがみられ、完全には溶解しなかった。次に、3倍シロップ液(21質量%のエタノール)及び4倍シロップ液(28質量%のエタノール)に、同様にレモンオイルを添加したが、オイル浮きが起こり、いずれも完全には溶解しなかった。
(実験2)
127mlの55質量%エタノール液に、予備実験2と同様にレモンオイルを添加したところ、すべてのレモンオイルは溶解した。ついで、クエン酸、果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖及び水を加えて、3倍シロップ液にし、オイル浮きの状態をみたところ、10ホールド以上のレモンオイルは、オイル浮きが見られなかった。他のレモンオイルはオイルが析出して、オイル浮きが見られた。また、同様にして4倍シロップ液にした時も、同様の結果であった。次いで、シロップ液を水で薄めてエタノール分を7質量%にしたところ、10ホールド以上のオイル添加品はオイル浮きは見られず、炭酸ガスを2.3容積%まで添加して、びん詰め後、65℃で15分間加熱殺菌してもオイルの浮上も見られなかった。また、官能評価の結果、十分な良好なレモンの香りを有するチューハイであることを確認できた。
なお、上記の127mlの55質量%のエタノール液の代わりに、73.5mlの95質量%のエタノール液又は140mlの50質量%のエタノール液を用いた場合でも同様の結果となった。
Figure 0005312204
オイル浮きなし○
オイル浮きあり×
(実験1及び2の考察)
1.オイル香料(レモンオイル)は、55質量%のエタノール液にいったん溶解したあとで、エタノール分7質量%に希釈する方が、直接7質量%のエタノール溶液(チューハイ液)に希釈するよりも明らかに、良く溶解する事がわかる。これは、一旦溶解したオイルは、比較的析出しにくいことを示している。
2.オイル香料を、いったん95質量%のエタノール液に溶解した後、さらに55質量%のエタノール液に溶解し、これを、エタノール分7質量%に希釈する方法(実験1)が実験2の方法よりも更に溶解性が向上することが分かる。
3.オイル香料が、55質量%のエタノール液に溶解したからといって、これをエタノール分7質量%に希釈したときに、必ずしも、完全に溶解するわけではないことが分かる。エタノール分7質量%に希釈したとき、完全に溶解させるためには、テルペン類含量を60質量%以下としたオイル香料が必要となる。
4.テルペン類含量を50質量%以下としたオイル香料は、実験2の方法(オイル香料を直接55質量%のエタノール液に溶かす方法)で、十分な香りを実現出来るだけ溶解することから、実験2の方法で、7質量%のエタノール含量のチューハイ液に溶解する最大のオイル香料の量は20ppmとなること、また、このうち、50質量%がテルペン類であることから、テルペン類の溶解量は10ppmとなり、残り10ppmがレモンの可溶性香気成分である、シトラールやネラールなどの含酸素香気成分であることが分かる。
5.テルペン類含量を60質量%以下としたオイル香料は、実験1の方法(オイル香料を一旦95質量%のエタノール液に溶解した後、55質量%のエタノール液に溶解する方法)で、十分な香りを実現出来るだけ溶解することから、実験1の方法で、7質量%のエタノール含量のチューハイ液に溶解する最大のオイル香料の量は24ppmとなること、また、このうち、60質量%がテルペン類であることから、テルペン類の溶解量は14.4ppmとなり、残り9.6ppmがレモンの可溶性香気成分である、シトラールやネラールなどの含酸素香気成分であることが分かる。
6.レモンオイル中の可溶性香気成分量を、オイル香料の量からテルペン類の量を差し引いた量とし、上記実験1及び2で得られた、エタノール分を7質量%にしたシロップ液の可溶性香気成分量を表3にまとめる。添加濃度が24ppm以上の結果は、レモンオイルを一旦95質量%のエタノール液に希釈した場合であり、添加濃度が20ppm以下の結果は、レモンオイルを95質量%のエタノール液に希釈しない場合である。
Figure 0005312204
なお、テルペン類は水に溶けにくいが、エタノール分を7質量%にしたシロップ液に約14ppm溶ける。表3における可溶性部分は、約10ppmの香気成分と溶けたテルペン類を合わせた量である。
図2において、添加したレモンオイルのテルペン量が可溶性部分量をある程度下回っているものは、溶液に溶解することが分かる。したがって、7質量%のエタノール含量のチューハイ液を作るためには、表3、図1及び2より、レモンオイルを95質量%のエタノール液に一旦溶解した場合は、テルペン類含量が60質量%以下のレモンオイル、すなわちテルペン類含量が14.4ppm以下のレモンオイルは完全に溶解する。この場合のレモンオイルの添加濃度は、24ppm以下となる。一方、レモンオイルを95質量%のエタノール液に一旦溶解しない場合は、テルペン類含量が50質量%以下のレモンオイル、すなわちテルペン類含量が10ppm以下のレモンオイルは完全に溶解する。この場合のレモンオイルの添加濃度は20ppm以下となる。
(実験3)
レモンオイルの添加濃度を188ppm〜1574ppmとして、実験1の方法(オイル香料を一旦95質量%のエタノール液に溶解した後、55質量%のエタノール液に溶解する方法)でレモンオイルを55質量%のエタノール液に溶解した。また、レモンオイルの添加濃度を86ppm〜157ppmとして、実験2の方法(オイル香料を直接55質量%のエタノール液に溶かす方法)でレモンオイルを55質量%のエタノール液に溶解した。結果を下記表4に示す。
Figure 0005312204
なお、テルペン類は水に溶けにくいが、55質量%のエタノール液に約78ppm溶ける。表における可溶性部分は、約78ppmの香気成分と溶けたテルペン類を合わせた量である。
図4において、添加したレモンオイルのテルペン量が可溶性部分量をある程度下回っているものは、溶液に溶解することが分かる。したがって、55質量%のエタノール液を作るためには、表4、図3及び4より、レモンオイルを95質量%のエタノール液に一旦溶解した場合は、テルペン類含量が60質量%以下のレモンオイル、すなわちテルペン類が113ppm以下のレモンオイルは完全に溶解する。この場合のレモンオイルの添加濃度は、188ppm以下となる。また、この溶液を希釈して7質量%のエタノール液にした場合もオイルの析出は生じない。一方、レモンオイルを95質量%のエタノール液に一旦溶解しない場合は、テルペン類含量が50質量%以下のレモンオイル、すなわちテルペン類含量が78ppm以下のレモンオイルは完全に溶解する。この場合のオイルの添加量は157ppm以下となる。また、この溶液を希釈して7質量%のエタノール液にした場合もオイルの析出は生じない。
(予備実験4)
テルペン類含量が95質量%のレモンピールシングルオイルを減圧蒸留して、2、4、6、8、10及び12ホールドに濃縮し、テルペン類含量がそれぞれ90質量%、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%及び40質量%のレモンオイルを用意した。これに、ポリグリセリンオレイ酸エステル(HLB値7)を5質量%添加した。これらを、それぞれ0.1ml、0.05ml、0.033ml、0.025ml、0.02ml及び0.016mlの量で1Lのチューハイ液(7質量%のエタノール、0.3質量%のクエン酸及び4質量%の果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖)に添加した。良く攪拌したところ、いずれもオイル浮きがみられ、完全には溶解しなかった。次に、3倍シロップ液((21質量%のエタノール)及び4倍シロップ液(28質量%のエタノール)に、同様にレモンオイルを添加したが、オイル浮きが起こり、いずれも完全には溶解しなかった。
(実験4)
127mlの55質量%エタノール液に、予備実験4と同様にレモンオイルを添加したところ、4ホールド以上のレモンオイルは溶解した。ついで、クエン酸、果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖及び水を加えて、3倍シロップ液にし、オイル浮きの状態をみたところ、6ホールド以上のレモンオイルは、オイル浮きが見られなかった。他のレモンオイルはオイルが析出して、オイル浮きが見られた。また、同様にして4倍シロップ液にした時も、同様の結果であった。次いで、シロップ液を水で薄めてエタノール分を7質量%にしたところ、6ホールド以上のオイル添加品はオイル浮きは見られず、炭酸ガスを2.3容積%まで添加して、びん詰め後、65℃で15分間加熱殺菌してもオイルの浮上も見られなかった。4ホールド以下のオイルを添加したものは殺菌前、殺菌後もオイル浮きが認められた。
なお、レモンオイルにポリグリセリンオレイン酸エステル(HLB値7)を5質量%添加したものを、一旦95質量%のエタノール液で10倍に希釈した後、55質量%のエタノール液に溶解する場合もレモンオイルの溶解性は同様であった。
Figure 0005312204
オイル浮きなし○
オイル浮きあり×
(実験4a)
実験4において、6ホールドのレモンオイルに対して、ポリグリセリンオレイン酸エステルを20質量%添加したものを、55質量%のエタノール液に対して、0.0625ml添加したところ、オイル浮きは見られなかった。次いで、クエン酸、果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖及び水を加えて、3倍シロップ液にし、オイル浮きの状態をみたところ、やはりオイル浮きは見られなかった。また、同様にして4倍シロップ液にした時も、同様の結果であった。次いで、シロップ液を水で薄めてエタノール分を7質量%にしたところ、オイル浮きは見られなかった。
(実験4b)
実施例7において、8ホールドのレモンオイルに対して、ポリグリセリンオレイン酸エステルを1質量%添加したものを、55質量%のエタノール液に対して、0.024ml添加したところ、オイル浮きは見られなかった。次いで、クエン酸、果糖分55%の果糖ブドウ糖液糖及び水を加えて、3倍シロップ液にし、オイル浮きの状態をみたところ、やはりオイル浮きは見られなかった。また、同様にして4倍シロップ液にした時も、同様の結果であった。次いで、シロップ液を水で薄めてエタノール分を7質量%にしたところ、オイル浮きは見られなかった。
(実験4c)
実験4、4a及び4bにおいて、乳化剤入りレモンオイルをあらかじめ、95質量%のエタノール液で10倍に希釈した後、55質量%のエタノール液に溶解しても、同様の結果が得られた。
(実験4及び4a〜4cの考察)
実験4及び4a〜4cより、レモンオイルにポリグリセリンオレイン酸エステル(HLB値7)を5〜20質量%添加したオイルを、55質量%のエタノール液に溶解するためには、テルペン類含量が70質量%以下のレモンオイル(6ホールド以上に濃縮したもの)、すなわちテルペン類が176ppm以下のレモンオイルは完全に溶解する。この場合のオイルの添加量は251ppm以下となる。また、この溶液を希釈して7質量%のエタノール液にした場合もオイルの析出は生じない。一方、レモンオイルにポリグリセリンオレイン酸エステル(HLB値7)を1〜5質量%添加したオイルを、55質量%のエタノール液に溶解するためには、テルペン類含量が60質量%以下のレモンオイル(8ホールド以上に濃縮したもの)、すなわちテルペン類が113ppm以下のレモンオイルは完全に溶解する。この場合のオイルの添加量は188ppm以下となる。また、この溶液を希釈して7質量%のエタノール液にした場合もオイルの析出は生じない。

Claims (1)

  1. オイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法において、シロップを調合する前に、予めHLB値が6〜8である界面活性剤を添加したオイル香料を、50質量%以上のエタノールを含有する含水エタノールに添加し、前記オイル香料としてオイル香料中のテルペン類含有量が全体の60質量%以下となるまでテルペン類が除去されたオイル香料を使用することを特徴とする、オイル香料を含有するアルコール飲料の製造方法。
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