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JP5306836B2 - 強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents

強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート Download PDF

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JP5306836B2 JP2009009267A JP2009009267A JP5306836B2 JP 5306836 B2 JP5306836 B2 JP 5306836B2 JP 2009009267 A JP2009009267 A JP 2009009267A JP 2009009267 A JP2009009267 A JP 2009009267A JP 5306836 B2 JP5306836 B2 JP 5306836B2
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Description

本発明は、自動車用熱交換器に使用されるアルミニウム合金ブレージングシートに関し、特に熱交換器の冷却水や冷媒の通路構成材として好適に使用されるアルミニウム合金ブレージングシートに関する。
アルミニウム合金は軽量かつ高熱伝導性を備えているため、自動車用熱交換器、例えば、ラジエータ、コンデンサ、エバポレータ、ヒーター又はインタークーラなどに用いられている。自動車用熱交換器は主にろう付け法によって製造され、通常、ろう付けはAl−Si系合金のろう材を用い、600℃程度の高温で行われる。
上記のろう付け方法には様々な方法が用いられる。例えば、非腐食性フラックスであるフッ化物系フラックスを用いて、Nガス中でろう付けする方法が一般的である。
ところで、近年は自動車の軽量化に対する要求が高まり、それに伴って自動車用熱交換器の軽量化及び熱交換器を構成する各部材の薄肉化が検討されている。部材の薄肉化を行うために、従来の材料よりもろう付け後の強度や耐食性に優れる材料が必要とされるようになってきている。
従来、自動車用のラジエータやヒーターのように、冷却水がチューブ内面を循環する熱交換器のチューブ材として、JIS3003合金に代表されるAl−Mn系合金などを心材とした3層チューブ材が一般に用いられてきた。このような3層チューブ材は、例えばJIS3003合金の心材の内面側にAl−Zn系合金などの犠牲陽極材をクラッドし、大気側にAl−Si系合金などのろう材をクラッドしたものである。
また、耐食性を向上させる目的で、Cu及びMnを添加しSi添加量を0.1%以下とした心材を使用し、且つMg及びZnを添加しSi添加量を0.1%以下とした犠牲陽極材を使用したブレージングシートが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平11−140572号公報
しかしながら、上述した技術には以下に示すような問題点がある。
例えば、JIS3003合金を心材に使用したクラッド材は、ろう付け後の強度(引張強さ)が110N/mm程度であるため、肉薄とした場合に強度が不十分となってしまうという問題点がある。
また、特許文献1に開示されたブレージングシートでは、耐食性を向上させるために心材や犠牲陽極材のSi添加量を下げている。しかしながら、このようなブレージングシートではMgSiによる時効硬化が得られないため、やはり強度が不足するという問題点がある。
このように、従来の技術では、肉薄でありながらろう付け後の強度と耐食性に優れた材料を提供することは困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ろう付け性が良好であり、且つろう付け後に優れた強度及び耐食性を有し、特に自動車用熱交換器の流体通路構成材として好適に使用できるアルミニウム合金ブレージングシートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートは、
心材の一方の面にAl−Si系ろう材がクラッドされ、前記心材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされたアルミニウム合金ブレージングシートであって、
前記心材が、Si:0.15%(質量%、以下同じ)以下に規制し、Fe:0.05〜0.4%、Cu:0.4〜1.2%、Mn:0.3〜1.8%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Cr:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金であり、
前記犠牲陽極材が、Si:0.15%以下、Fe:0.15%以下、Mn:0.1%以下に規制し、Mg:1.0〜3.0%、Zn:2.0〜6.0%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金であ
前記犠牲陽極材のクラッド厚さをA〔μm〕とし、前記犠牲陽極材のZn添加量をB〔%〕とした時に、120≦A×B≦280を満たし、
前記犠牲陽極材は、クラッド率が15〜25%であり、均質化処理がされていない、
ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る他の強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートは、
心材の一方の面にAl−Si系ろう材がクラッドされ、前記心材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされたアルミニウム合金ブレージングシートであって、
前記心材が、Si:0.15%(質量%、以下同じ)以下に規制し、Fe:0.05〜0.4%、Cu:0.4〜1.2%、Mn:0.3〜1.8%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Cr:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金であり、
前記犠牲陽極材が、Si:0.15%以下、Fe:0.15%以下、Mn:0.1%以下に規制し、Mg:1.0〜3.0%、Zn:2.0〜6.0%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金であ
前記犠牲陽極材のクラッド厚さをA〔μm〕とし、前記犠牲陽極材のZn添加量をB〔%〕とした時に、120≦A×B≦280を満たし、
前記犠牲陽極材は、クラッド率が15〜25%であり、均質化処理がされていない、
ことを特徴とする。
上記の強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートにおいて、前記心材が、さらにMg:0.05〜0.6%を含有する、こととしてもよい。
本発明によれば、肉薄でありながらろう付け時の溶融もなく良好なろう付けができるとともに、ろう付け後の強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートを得ることができる。そして、このブレージングシートは肉薄であり、自動車の熱交換器として軽量で熱伝導性に優れ、ろう付け後の強度及び耐食性が優れていることにより、熱交換器の寿命をさらに長くすることができる。
本発明の実施形態におけるブレージングシートの構成を示す断面図である。
本発明者らは上記課題について研究した結果、特定の合金組成と構成を有するクラッド材がその目的に適合することを見出し、これに基づき本発明をなすに至った。以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
先ず、本実施形態のアルミニウム合金ブレージングシートの構成について説明する。なお、以下の構成の説明では、例えば冷却水や冷媒を循環させるラジエータ、コンデンサなどのチューブ材に使用されるものを一例として説明する。
図1に示すように、ブレージングシート10は、心材11の一方の面にAl−Si系ろう材がクラッドされ、心材11の他方の面に犠牲陽極材13がクラッドされた3層クラッド材である。上記の用途におけるろう材12及び犠牲陽極材13のクラッド率は通常7〜20%程度である。図1の例ではろう材12のクラッド率が例えば10%であり、犠牲陽極材13のクラッド率が例えば20%である。そして、上記のように構成されたブレージングシート10の厚さは、例えば0.3mmである。
次に、本実施形態のブレージングシート10を構成する心材11及び犠牲陽極材13の成分元素の添加理由及び添加範囲と、ろう材12の好ましい材料と、について説明する。なお、以下の説明において図面の参照符号は省略する。
[1.心材]
Siは、その含有量を少なくすることで、Al−Mn−Si、Al−Fe−Mn−Si系化合物の生成を抑制できるため、心材に添加したMnの固溶量を多くすることができる。心材のMn固溶量が多い状態でろう付けをすると、ろう材から拡散してきたSiと心材に固溶しているMnとが化合物を形成し、ろう材と心材の界面近傍においてAl−Mn−Si系化合物を微細に分散させることができる。この微細析出物が多く分散していると、ろう材側からの腐食が板厚方向に進行することを抑制できるため、耐食性が向上する。また、Si添加量を抑えることで心材の固相線温度(融点)が低下することを防げるため、ろう付け時の心材の溶融や電縫溶接によってチューブを製造する際の溶接不良などを低減できる。従って、Si含有量は少ないほどよく、本実施形態では0.15%以下に規制した。より好ましくは、0.10%以下である。
Feは、再結晶核となり得るサイズの金属間化合物を作りやすい。Feの好ましい含有量は0.05〜0.40%である。この範囲では、ろう付け後の結晶粒径が粗大となり、ろう拡散を効果的に抑制することができる。含有量が0.05%未満では高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。また、含有量が0.40%を超えると、ろう付け後の結晶粒径が微細となり、ろう拡散が生じるおそれがある。より好ましくは、0.10〜0.20%である。
Cuは、固溶強化により強度を向上させ、また電位を貴にして犠牲陽極材、フィン材との電位差を大きくし、犠牲陽極効果による防食効果を向上させる。また、Al−Mg−Cu系化合物の時効析出による強度向上に効果がある。Cuの好ましい含有量は、0.40〜1.2%の範囲である。含有量が0.40%未満ではその効果が小さくなり、1.2%を超えると粒界腐食が発生する可能性が高くなるとともに、心材の固相線温度(融点)低下による溶融の可能性が高まる。より好ましくは、0.50〜1.0%である。
Mnは、強度とろう付け性、耐食性を向上させ、また電位を貴にする効果がある。また、Si含有量が少ない状態ではMnをAl中に固溶した状態とすることができる。これにより、ろう付け時に、固溶したMnとろう材から拡散してきたSiとから微細なAl−Mn−Si系化合物をろう材と心材の界面近傍で形成させることで、耐食性が向上する。Mnの好ましい含有量は、0.30〜1.8%である。含有量が0.30%未満ではその効果が小さくなり、1.8%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成されやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.50〜1.5%である。
本実施形態の心材には、さらにMg、Ti、Zr、Cr及びVのうち1種以上を所定量含有させることとする。
Mgは、Al−Mg-Cu系化合物及びMgZnの時効析出による強度向上に効果がある。Mgの好ましい含有量は、0.05〜0.60%である。含有量が0.05%未満ではその効果が小さく、0.60%を超えるとろう付け性が低下する。より好ましくは、0.05〜0.40%である。
Tiは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。Tiの好ましい含有量は、0.02〜0.30%である。含有量が0.02%未満ではその効果は得られず、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.10〜0.20%である。
Zrは、固溶強化により強度を向上させ、またAl−Zr系の微細化合物が析出し、ろう付け後の結晶粒粗大化に作用する。Zrの好ましい含有量は、0.02〜0.30%である。含有量が0.02%未満ではその効果は得られず、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.10〜0.20%である。
Crは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。Crの好ましい含有量は、0.02〜0.30%である。含有量が0.02%未満ではその効果は得られず、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.10〜0.20%である。
Vは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。Vの好ましい含有量は、0.02〜0.30%である。含有量が0.02%未満ではその効果は得られず、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.10〜0.20%である。
[2.犠牲陽極材]
Siは、その含有量を少なくすることで、Al−Mn−Si、Al−Fe−Mn−Si系化合物の生成を抑制できる。これらの化合物が存在すると、ろう付け後の冷却過程でMgZn安定相がそれら化合物の表面に析出し、時効硬化に寄与しないMg、Zn量が増えて強度が低下する。また、Si添加量を抑えることで犠牲陽極材の固相線温度(融点)が低下することを防げるため、ろう付け時の犠牲陽極材の溶融や電縫溶接によってチューブを製造する際の溶接不良などを低減できる。従って、Si含有量は少ないほどよく、本実施形態では0.15%以下に規制した。より好ましくは、0.10%以下である。
Feは、その含有量を少なくすることで、Al−Fe−Mn、Al−Fe−Mn−Si系化合物の生成を抑制できる。これらの化合物が存在すると、ろう付け後の冷却過程でMgZn安定相がそれら化合物の表面に析出し、時効硬化に寄与しないMg、Zn量が増えてろう付け後の強度が低下する。従って、Fe含有量は少ないほどよく、本実施形態では0.15%以下に規制した。より好ましくは、0.10%以下である。
Mnは、その含有量を少なくすることで、Al−Mn−Si、Al−Fe−Mn、Al−Fe−Mn−Si系化合物の生成を抑制できる。これらの化合物が存在すると、ろう付け後の冷却過程でMgZn安定相がそれら化合物の表面に析出し、時効硬化に寄与しないMg、Zn量が増えて強度が低下する。従って、Mn含有量は少ないほどよく、本実施形態では0.10%以下に規制した。より好ましくは、0.05%以下である。
Znは、犠牲陽極材の電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲陽極効果により耐食性を向上できる。また、MgZnの時効析出による強度向上に効果がある。Znの好ましい含有量は、2.0〜6.0%である。含有量が2.0%未満ではその効果が十分ではなく、6.0%を超えると、腐食速度が速くなり早期に犠牲陽極材が消失し、耐食性が低下する。より好ましくは、3.0〜5.0%である。
Mgは、Al−Mg-Cu系化合物及びMgZnの時効析出による強度向上に効果がある。Mgの好ましい含有量は、1.0〜3.0%である。含有量が1.0%未満ではその効果が小さく、3.0%を超えると加工性の低下や犠牲陽極材の固相線温度(融点)低下による溶融の可能性が高まるため好ましくない。より好ましくは、1.5〜2.5%である。
犠牲陽極材には、さらに次の成分が含有されるのが好ましい。
Tiは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。Tiの好ましい含有量は、0.02〜0.30%以下である。含有量が0.02%未満では強度及び耐食性の向上効果が得られず、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.10〜0.20%である。
Vは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。Vの好ましい含有量は、0.02〜0.30%である。含有量が0.02%未満ではその効果は得られず、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.10〜0.20%である。
[3.ろう材]
ろう材は、通常使用されているAl−Si系合金ろう材を使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、JIS4343、4045又は4047の各合金(Al−7〜13%Si)を使用することが好ましい。
また、本実施形態のブレージングシートでは、ブレージングシートを構成する犠牲陽極材のクラッド厚さをA〔μm〕とし、犠牲陽極材のZn添加量をB〔%〕とした時に、120≦A×B≦280の関係を満たすこととする。その理由を以下に示す。
本発明のブレージングシートは、ろう材と心材にはZnを添加せず、犠牲陽極材にのみZnを添加している。このように、Zn濃度の高低がある層が隣り合った材料をろう付けすると、Znを添加した犠牲陽極材からZnを添加していない心材へZnが拡散し、犠牲陽極材中のZn量は最終的に低下する。ここで、犠牲陽極材のクラッド厚さとZn添加量の積(A×B)は、犠牲陽極材に投入された総Zn量とみなすことができ、総Zn量が多ければ多いほど、つまりA×Bの値が高ければ高いほど、ろう付け後の犠牲陽極材表層のZn量は多くなる。これは、ろう付け時に犠牲陽極材から心材へZnが拡散することによって、犠牲陽極材中のZn量は下がる傾向があるが、総Zn量が多いほど最終的に犠牲陽極材表層に残るZn量は多くなるからである。ろう付け後の犠牲陽極材表層のZn量が2%未満になると、Znは全てAl中に固溶した状態となり、MgZnの時効析出がほとんど起こらず、強度向上の効果が得られない。さらに、心材と犠牲陽極材の間の電位差が小さくなるため、犠牲防食が有効に働かず、耐食性が低下する。犠牲陽極材表層のZn量を2%以上とするためには、A×Bの値が120以上であることが望ましい。また、A×Bの値が280を超えると、ろう付け後の犠牲陽極材表層のZn量が高くなりすぎてしまい、腐食速度が速くなり早期に犠牲陽極材が消失し、耐食性が低下する。従って、A×Bの値が上記の関係を満たすようにすることが好ましい。より好ましくは、150≦A×B≦250である。
次に、本発明のアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法について説明する。
本実施形態のアルミニウム合金ブレージングシートは、上記組成の合金から板状に形成された心材の一方の面にAl−Si系ろう材をクラッドし、また心材の他方の面に上述の組成の合金から形成された犠牲陽極材をクラッドすることで製造される。
先ず、心材用及び犠牲陽極材用として、前記した所望の成分組成を有するアルミニウム合金をそれぞれ溶解し、鋳造し、その後必要に応じて均質化処理を行う。
心材に対しては、鋳塊の均質化処理を行わないか、行う場合は550℃以下で行う。550℃を超えると、心材中に存在するMn系化合物が粗大化する。これら粗大化した化合物がろう付け時の再結晶の核になることで、ろう付け後の心材の結晶粒が微細になり、ろうが心材の結晶粒界を浸透して浸食するろう拡散の不具合が発生しやすくなる。均質化処理を行う場合のより好ましい心材の均質化処理温度は530℃未満である。
犠牲陽極材に対しては、均質化処理を行わないことが好ましい。その理由は以下のとおりである。犠牲陽極材に均質化処理を行うと、犠牲陽極材中に存在するAl−Fe−Mn、Al−Fe−Mn−Si、Al−Mn−Si系化合物が成長する。これらの成長した化合物はろう付け時にもAl中に溶けずに残る可能性が高いため、ろう付け後の冷却過程において、化合物表面にMgZnの安定相が析出しやすくなる。その結果、時効析出に寄与しないMg、Zn量が増えて強度が低下する。
次に、犠牲陽極材に対して均質化処理を行わずに面削を行った後、熱間圧延により所望の厚さまで圧延する。また、心材に対しても面削を行う。そして、得られた犠牲陽極材及び心材を上記のろう材と組み合わせ、この組み合わせ材を熱間圧延前の加熱を400〜550℃で行い、熱間圧延することによりクラッド材を作製する。熱間圧延前の加熱温度が400℃未満であると、皮材(犠牲陽極材)と心材との圧着が困難となる。また、熱間圧延前の加熱温度が550℃を超えると、心材中に存在するMn系化合物が粗大化し、ろう付け後の心材の結晶粒が微細になるとともに、犠牲陽極材表面に強固な酸化皮膜が形成され、熱間圧延時の心材と犠牲陽極材の圧着が困難となる。より好ましい熱間圧延前の加熱温度は420〜530℃である。
さらに、このクラッド材を冷間圧延し、必要に応じて焼鈍を行う。焼鈍には、バッチ式焼鈍炉又は連続焼鈍炉(CAL)のいずれを用いてもよい。焼鈍温度については、バッチ式焼鈍を行う場合は200〜450℃、連続焼鈍炉で行う場合には350〜550℃であることが望ましい。
焼鈍を入れるタイミングとしては、途中板厚で入れる中間焼鈍、又は最終板厚で入れる最終焼鈍のいずれでもよい。つまり、材料の調質としては、H1n、H2n、Oのいずれでもよい。
なお、本発明のアルミニウム合金ブレージングシートの厚さ、各層のクラッド率には特に制限はない。例えば上述のようなラジエータ、コンデンサなどのチューブ材では、約0.3mm程度以下の薄肉ブレージングシートとすることができる。また、インタークーラなどのチューブ材として使う場合、約0.8mm程度以下のブレージングシートとすることができる。この場合、犠牲陽極材層及びろう材層のクラッド率は、3〜15%程度である。さらに、チューブと接合し、熱交換器の構造を形作るプレートとして使う場合では、約1.6mm程度以下のブレージングシートとすることができる。この場合、犠牲陽極材層及びろう材層のクラッド率は通常3〜10%程度である。
以上説明した本実施形態のアルミニウム合金ブレージングシートは、肉薄とした場合でもろう付け時の材料が溶融することがなく、良好なろう付けをすることができる。また、ろう付け後において、優れた強度及び耐食性が得られる。従って、本実施形態によれば、特に自動車用熱交換器の流体通路構成材として好適に使用できるアルミニウム合金ブレージングシートを得ることができる。
次に、本発明のアルミニウム合金ブレージングシートの実施例について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
先ず、表1及び表2に示す金属成分及び組成をもつ心材合金及び犠牲陽極材合金をそれぞれ金型鋳造により鋳造し、各々両面を面削して仕上げた。なお、表1及び表2の合金組成において、「−」は検出限界以下であることを示すものであり、「残部」は不可避的不純物を含む。
Figure 0005306836
Figure 0005306836
その後、ろう材にはJIS4045合金を用い、ろう材と犠牲陽極材とを500℃で熱間圧延によりそれぞれ所望の厚さまで圧延し、板材を作製した。この際、犠牲陽極材の均質化処理については表3に示す条件で行った。
心材には、後述する試験材No.10,22,23を除いて均質化処理を行わなかった。そして、前記したろう材、心材及び犠牲陽極材をろう材−心材−犠牲陽極材の組み合わせとクラッド率で表3に示すように組み合わせて、これら組み合わせ材を500℃で加熱を行った後に熱間圧延を行い、0.35mmまで冷間圧延した。その後、冷間圧延した組み合わせ材に対してバッチ式焼鈍炉で370℃×2hの中間焼鈍を行い、最終板厚が0.25mmの板材(調質:H1n)を作製した。
Figure 0005306836
そして、作製した各ブレージングシートを供試材(試験材No.1〜18)とし、ろう付け性、ろう付け後強度及び耐食性に関する評価を下記に示す方法で行った。それらの結果を表4に示す。
〔a〕ろう付け後の引張強さ(N/mm):
ブレージングシート供試材を600℃×3minのろう付け加熱後、200℃/minの冷却速度で冷却し、その後室温で1週間放置した。このサンプルを引張速度10mm/min、ゲージ長50mmの条件で、JIS Z2241に従って、常温にて引張試験を実施した。
〔b〕フィン接合率:
JIS3003合金に2.5%のZnを添加した合金のフィン材をコルゲート成形し、ブレージングシート供試材のろう材面と合わせた。その後、これを5%のフッ化物フラックス懸濁液中に浸漬し、200℃で乾燥後に600℃×3分のろう付け加熱を行って試験コアを作製した。この試験コアにおいて、フィンの全山数に対する接合したフィンの山数の割合をフィン接合率とした。また、フィン接合率が95%以上のものはろう付け性が良好「○」とし、95%未満のものはろう付け性が不十分「×」とした。
〔c〕エロージョンと溶融の有無:
上記〔b〕で作製した試験コア断面のミクロ観察を行い、心材や犠牲陽極材におけるエロージョン(ろう拡散)や材料の溶融発生の有無を確認した。エロージョン及び材料溶融がともに無い場合を「○」とし、エロージョン及び材料溶融のうちいずれか又は両方が有る場合は「×」とした。
〔d〕外部(熱交換器の大気側)耐食性評価:
上記〔b〕に記載と同様の条件で試験コアを作製後、ろう材側の耐食性を評価するため犠牲陽極材側をシールし、JIS H8681に従ってキャス(CASS)試験を1000時間実施した。その後、各試験コアについて最大孔食深さを測定した。
〔e〕内部(熱交換器の冷却水・冷媒側)耐食性評価:
上記〔a〕に記載の引張試験試料と同様のブレージングシート供試材に対し、600℃×3分のろう付け加熱を行った後、ろう材側をシールし、Cl500ppm、SO 2−100ppm、Cu2+10ppmを含む88℃の高温水中で8h、室温放置で16hのサイクル浸漬試験を3か月実施した。その後、各供試材について最大孔食深さを測定した。
Figure 0005306836
本発明例である試験材No.1〜10は、ろう付け後の引張強さが180N/mmと高く、フィン接合率や耐エロージョン性も問題なくろう付け性は良好であった。また、ろう材面と犠牲材面それぞれの耐食性も良好であった。
これに対して、比較例は以下に示すような結果となった。試験材No.14、15、17、18、19、20、22、23は、ろう付け後の引張強さが180N/mm未満であり、本発明例の引張強さよりも低かった。試験材No.13は、心材のMg含有量が多く、フィンとの接合率が低かった。試験材No.12、16、21は、ろう材が心材を侵食するエロージョン(ろう拡散)又は材料の融点低下による溶融のいずれかが発生した。試験材No.11、12、13、14はろう材面の腐食試験後の最大孔食深さが0.1mm以上と深く、耐食性に劣っていた。また、試験材No.12、13、15、16、17、19、21は、犠牲材面の腐食試験後の最大孔食深さが0.1mm以上又は貫通と耐食性に劣っていた。試験材No.12、13、16、18は、心材又は犠牲陽極材において、鋳造時に巨大金属間化合物が生成した。
また、犠牲陽極材に対して均質化処理を行った試験材No.10,22,23については以下のような結果となった。本発明例である試験材No.10は、同じく本発明例であって犠牲陽極材に均質化処理を行っていない試験材No.1と比較して、ろう付け後の引張強さが低下した。同様に、比較例である試験材No.22,23は、本発明例である試験材No.6,8と比較して、それぞれろう付け後の引張強さが低下した。このように、前述の如く犠牲陽極材に対して均質化処理を行わないことが好ましいという結果となった。
10 ブレージングシート
11 心材
12 ろう材
13 犠牲陽極材

Claims (3)

  1. 心材の一方の面にAl−Si系ろう材がクラッドされ、前記心材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされたアルミニウム合金ブレージングシートであって、
    前記心材が、Si:0.15%(質量%、以下同じ)以下に規制し、Fe:0.05〜0.4%、Cu:0.4〜1.2%、Mn:0.3〜1.8%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Cr:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金であり、
    前記犠牲陽極材が、Si:0.15%以下、Fe:0.15%以下、Mn:0.1%以下に規制し、Mg:1.0〜3.0%、Zn:2.0〜6.0%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金であ
    前記犠牲陽極材のクラッド厚さをA〔μm〕とし、前記犠牲陽極材のZn添加量をB〔%〕とした時に、120≦A×B≦280を満たし、
    前記犠牲陽極材は、クラッド率が15〜25%であり、均質化処理がされていない、
    ことを特徴とする強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート。
  2. 心材の一方の面にAl−Si系ろう材がクラッドされ、前記心材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされたアルミニウム合金ブレージングシートであって、
    前記心材が、Si:0.15%(質量%、以下同じ)以下に規制し、Fe:0.05〜0.4%、Cu:0.4〜1.2%、Mn:0.3〜1.8%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Cr:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金であり、
    前記犠牲陽極材が、Si:0.15%以下、Fe:0.15%以下、Mn:0.1%以下に規制し、Mg:1.0〜3.0%、Zn:2.0〜6.0%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金であ
    前記犠牲陽極材のクラッド厚さをA〔μm〕とし、前記犠牲陽極材のZn添加量をB〔%〕とした時に、120≦A×B≦280を満たし、
    前記犠牲陽極材は、クラッド率が15〜25%であり、均質化処理がされていない、
    ことを特徴とする強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート。
  3. 前記心材が、さらにMg:0.05〜0.6%を含有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の強度及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート。
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