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JP2500711B2 - 耐食性に優れたブレ―ジングシ―ト及び製造方法 - Google Patents

耐食性に優れたブレ―ジングシ―ト及び製造方法

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Publication number
JP2500711B2
JP2500711B2 JP3174375A JP17437591A JP2500711B2 JP 2500711 B2 JP2500711 B2 JP 2500711B2 JP 3174375 A JP3174375 A JP 3174375A JP 17437591 A JP17437591 A JP 17437591A JP 2500711 B2 JP2500711 B2 JP 2500711B2
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JP
Japan
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weight
brazing
core material
skin material
corrosion resistance
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JP3174375A
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昌幸 花崎
治男 杉山
達由樹 小林
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/01Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic
    • B32B15/016Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic all layers being formed of aluminium or aluminium alloys

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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用熱交換器等と
して使用され、ろう付け性,ろう付け後の強度及び耐食
性に優れたブレージングシートに関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム製の熱交換器は、各部材を
ろう付けすることにより組立てられている。このとき、
ろう付けされるアルミニウム材料の表面を清浄化し且つ
ろう材に対する濡れ性を向上させるため、非腐食性のフ
ラックスが使用される。以下、本願明細書においては、
この非腐食性フラックスを使用したろう付け法を、ノコ
ロック法という。
【0003】ラジエータチューブ,座板,レインフォー
ス,オイルクーラ,ヒータコア等の液体に接触する接液
部は、十分な耐食性をもつことが要求される。そこで、
皮材及びろう材を芯材にクラッドしたブレージングシー
トが接液部構成材料として使用されている。たとえば特
開平2−175093号公報では、3003等のAl−
Mn系合金を芯材とし、この芯材に4343,4045
等のAl−Si系合金をろう材として、また7072等
のAl−Zn系合金を皮材としてクラッドしたものが紹
介されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、軽量化,コス
トダウン等の要求に応えるため、熱交換器構成材料とし
て、強度や耐食性等を劣化させることなく薄肉化した材
料が強く望まれている。また、材料の薄肉化に伴い、ろ
う付け後における添加元素の拡散状態が従来とは異な
り、これまで使用されている材料では接液部の耐食性が
不足することが明らかになってきた。しかも、最近の環
境問題,高出力化等に応じて、熱交換器もより過酷な高
温,腐食雰囲気に晒されるようになってきている。その
ため、材料強度及び耐食性についても、より優れたブレ
ージングシートが要求される。
【0005】本発明は、このような要求に応えるべく案
出されたものであり、各層間の挙動を考慮に入れて芯
材,皮材及びろう材の材質を特定することにより、耐食
性,ろう付け性,ろう付け後の強度等において優れ、薄
肉化した熱交換器としても十分な特性を発揮するブレー
ジングシートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のブレージングシ
ートは、その目的を達成するため、Cu:0.1〜0.
8重量%,Mn:0.8〜2.5重量%,Si:0.3
〜1.2重量%,Fe:0.2〜0.8重量%,Ti:
0.05〜0.2重量%及びMg:0.05〜0.2重
量%を含有するアルミニウム合金の芯材と、該芯材の一
面にクラッドされたMg:0.5〜2.5重量%,Z
n:1.3〜3.0重量%,Si:0.05〜0.5重
量%及びFe:0.05〜0.5重量%を含有するアル
ミニウム合金の皮材と、前記芯材の他面にクラッドされ
たAl−Si系ろう材又はAl−Si−Zn系ろう材か
らなることを特徴とする。
【0007】ここで、ろう付け後の皮材中に含まれる残
留Zn濃度が0.8〜1.5重量%となるように、全板
厚に対する皮材のクラッド比率で8〜12%で芯材と皮
材とをクラッドすることが好ましい。また、芯材として
は、鋳塊の均熱処理によって微細なα−Al−(Fe,
Mn)−Si系金属間化合物及びAl−Mn−Cu−T
i系金属間化合物が分散析出したものが好ましい。
【0008】このブレージングシートは、Cu:0.1
〜0.8重量%,Mn:0.8〜2.5重量%,Si:
0.3〜1.2重量%,Fe:0.2〜0.8重量%,
Ti:0.05〜0.2重量%及びMg:0.05〜
0.2重量%を含有するアルミニウム合金の鋳塊を43
0〜530℃に1〜5時間加熱する均熱処理を施し、該
鋳塊から圧延された板材を芯材とし、Mg:0.5〜
2.5重量%,Zn:1.3〜3.0重量%,Si:
0.05〜0.5重量%及びFe:0.05〜0.5重
量%を含有するアルミニウム合金及びAl−Si系ろう
材又はAl−Si−Zn系ろう材を前記芯材のそれぞれ
の面に熱間圧延及び冷間圧延で3層クラッドすることに
より製造される。
【0009】
【作 用】本発明者等は、特に材料強度を中心として、
ろう付け性を満足しながら且つ接液部に対して十分な耐
食性を呈するアルミニウム合金製3層クラッド材を開発
すべく種々の調査・研究を行った。
【0010】強度,ろう付け性,耐食性等の問題を解決
するためには、3層クラッド材の各層単独についての材
料的な検討だけでは不十分であり、皮材,芯材及びろう
材の相互間の相乗効果を考慮に入れて各層の材質を選定
する必要がある。たとえば、ろう付け後の強度向上を図
るためMg含有量を高めたアルミニウム合金製の芯材を
使用するとき、ろう付け時の加熱温度が400℃以上に
なると、Mgが拡散し易くなり、ろう材表面のMg濃度
が上昇する。ろう材に濃縮したMgは、ノコロック法で
使用する非腐食性フラックスと反応し、表面清浄や濡れ
性向上等に必要なフラックスを消費する。そのため、実
質的に有効フラックス量が不足し、ろう付け不良の原因
となる。他方、所定含有量よりも少ないMgを添加した
芯材にあっては、強度が不足し、薄肉化が困難になる。
【0011】また、芯材にMgを添加することによって
強度の向上が図られたとしても、アルミニウム合金材料
の電位がMg添加によって卑になる。そのため、芯材と
フィン或いは皮材との電位差が少なくなる。この電位差
の減少によって、フィン,皮材等の犠牲陽極作用が低下
し、熱交換器の耐食性が劣化する。
【0012】そこで、本発明においては、これら各層間
の相乗作用を考慮して、芯材,皮材及びろう材の材質を
特許請求の範囲の通り規定したものである。なかでも、
ろう付け後における皮材の残留Zn濃度が0.8〜1.
5重量%となるように、板厚に対する皮材のクラッド比
率を8〜12%の範囲に設定することが好ましい。
【0013】芯材に添加されているMg成分は、製板時
における鋳塊のソーキング工程で200〜400℃に昇
温する過程で鋳塊に含有されているSiと反応し、微細
な金属間化合物Mg2 Siを生成する。金属間化合物M
2 Siは、更に昇温が進行して400℃を超えるよう
になると、マトリックスに固溶し始める。このとき、金
属間化合物Mg2 Siが存在した部分に、α−Al(F
e,Mn)Si相が、平均粒径0.1μm以下で微細且
つ均一に析出する。この析出によって、ろう付け後の強
度が向上する。
【0014】また、この種のブレージングシートは、通
常580〜610℃に1〜10分間保持されることによ
ってろう付けされる。ブレージングシートがろう付け温
度に加熱されると、マトリックスに固溶した一部の金属
間化合物Mg2 Siにより時効が進行し、ろう付け後の
強度が向上する。
【0015】ソーキング時の高温加熱によって固溶した
金属間化合物Mg2 Siは、熱間圧延後の冷却過程或い
は中間焼鈍で再度析出する。析出した金属間化合物Mg
2 Siはろう付け時に拡散し難く、ろう材表面に対する
Mgの供給が抑制される。したがって、Mgによるフラ
ックスの消費が防止され、ろう付け性が阻害されること
がなくなる。
【0016】芯材に含まれているCuは、Mg添加やα
−Al(Fe,Mn)Si相析出に起因して芯材の電位
が卑になることを防止し、芯材を貴な電位に維持する。
また、芯材のCuは、ろう付け性に何らの悪影響を与え
ることなく、Al2 Cuに基づく時効硬化によってろう
付け後の強度を向上させる。
【0017】芯材に添加されたTiは、鋳造組織を微細
にすると共にコアリングを起こし、ろう付け後において
孔食の発生を防止し、耐食性を向上させる。また、ソー
キング,中間焼鈍,ろう付け等の加熱の際に、平均粒径
0.1μm以下の微細なAl−Mn−Cu−Ti系金属
間化合物を形成する。この金属間化合物は、孔食の発生
を防ぎ、耐食性を向上させる。
【0018】また、皮材に1.3〜3重量%のZnを添
加することによって、ろう付け後のチューブの内部循環
水に対する耐食性が向上する。内部循環水に対する耐孔
食性には、1.2重量%未満のZnを含有するアルミニ
ウム合金7072をクラッドする方法が通常採用されて
いるが、チューブの薄肉化に伴って内部循環水に対する
耐孔食性を更に向上させる必要がある。たとえば、従来
の7072クラッド構成の薄肉化チューブでは、ろう付
け時の加熱によって皮材から芯材にZnが拡散し、皮材
の残留Zn濃度が0.8重量%未満になる。このような
低濃度の残留Znでは、犠牲陽極作用が不十分となり、
芯材を防食する作用が期待できない。
【0019】この点、皮材に1.3〜3重量%のZnを
添加し、且つクラッド率を8〜12%に維持するとき、
ろう付け後において皮材のZn濃度を0.8〜1.5重
量%の範囲に保つことができる。そのため、皮材の犠牲
陽極作用によって芯材が防食され、薄肉化されたチュー
ブを使用することが可能となる。
【0020】熱交換器の形状によっては、ろう付け時の
加熱条件が異なる。長い加熱時間を必要とする場合に
は、1.3〜3重量%の範囲で皮材のZn含有量を増加
させ、及び/又は8〜12%の範囲でクラッド率を増加
させる。逆に、短い加熱時間でろう付けが行われる場
合、皮材のZn含有量及びクラッド率を減少させる。何
れにおいても、ろう付け後における皮材の残留Zn濃度
を0.8〜1.5重量%の範囲に維持する限り、芯材に
対する防食効果が顕著に現れる。
【0021】残留Zn濃度が1.5重量%を超えると、
犠牲陽極として働く皮材が短期間に消耗してしまう。そ
こで、残留Zn濃度を1.5重量%以下に抑えるため、
皮材のZn含有量を3重量%以下とし、好ましくはクラ
ッド率を12%以下にする。また、残留Zn濃度が0.
8重量%未満であると所定の耐孔食性が得られないた
め、皮材のZn含有量を1.3重量%以上とし、好まし
くは8%以上のクラッド率を設定する。なお、クラッド
率が12%を超えると、板厚に対する皮材の厚さが増
し、薄肉化の要求によってトータルの板厚が制約を受け
ているクラッド材における芯材の厚みがその分だけ減少
する。そのため、ろう付け後の強度が低下することにな
る。
【0022】皮材に含まれる0.5〜2.5重量%のM
gは、皮材のZn成分と相俟つて犠牲陽極効果を高める
作用を呈する。皮材のMgは、ろう付け時の加熱によっ
て70〜150μm程度の深さまで芯材に拡散し、ろう
付け後の強度を高める上でも有効である。また、Mgの
拡散速度はZnの拡散速度よりも大きいため、ろう付け
中におけるZnの拡散が抑制され、ろう付け後のZn濃
度の低下も有効に防止される。しかも、Mg含有量をこ
の範囲に設定するとき、ろう付け中にMgがろう材層ま
で拡散することがないので、ろう付け性が損なわれな
い。
【0023】ろう材としては、4045,4343等の
Al−Si系合金が使用される。また、熱交換器の構成
部材であるフィン,ろう材,芯材の間で、ろう付け後の
電位関係が(卑)フィン<ろう材<芯材(貴)にならな
い限り、0.5〜2.5重量%のZnをAl−Si合金
系のろう材に添加して最適電位勾配を得ることができ
る。芯材の防食を図る最適電位勾配としては、フィン材
とろう材及びろう材と芯材との間に電位差50mV以上
を確保することが好ましい。
【0024】本発明は、以上の知見に基づき、芯材,フ
ィン材及びろう材の材質を総合的に選定することによっ
て完成されたものである。次いで、各層の成分及びその
含有量について説明する。
【0025】[芯材の組成] Cu:固溶してマトリックスを強化すると共に、芯材を
貴の電位に維持する上で、Cuは有効な元素である。こ
の効果は、Cu含有量が0.1重量%未満では小さい。
しかし、Cu含有量が0.8重量%を超えると、耐食性
が低下する。そこで、芯材のCu含有量を0.1〜0.
8重量%、好ましくは0.2〜0.6重量%の範囲に規
定した。
【0026】Mn:微細なAl−Mn−Si系金属間化
合物をソーキング時に分散析出させ、芯材の強度を向上
する上で、Mnは有効な元素である。また、芯材の孔食
電位を貴に移行させ、皮材との間に電位勾配を形成する
ことによって、皮材の陰極防食効果を発揮させる作用を
呈する。これらの効果は、Mn含有量が0.8重量%未
満では小さくなる。しかし、2.5重量%を超えるMn
含有量では、Mn添加による効果が飽和するばかりでな
く、鋳造時に巨大な金属間化合物が形成され、加工性を
阻害する。そこで、Mn含有量を0.8〜2.5重量
%、好ましくは1.0〜2.0重量%の範囲に規定し
た。
【0027】Si:Mgと結合してMg2 Si化合物を
形成し、Mg成分を芯材中に固定する上で必要な元素で
ある。このSi含有によってろう材の表面に対するMg
成分の拡散移動が抑制され、ろう付け性及び強度の低下
が防止される。また、ソーキング時に微細なα−Al−
(Fe,Mn)−Si系化合物を分散析出させ、芯材の
強度を向上させる。しかし、Si含有量が0.3重量%
未満では、芯材に対する強度向上作用が小さい。逆に、
Si含有量が1.2重量%を超えると、芯材の溶融温度
が低下し、ろう付け時の加熱によって溶け落ちや変形等
の欠陥が発生し易くなる。したがって、芯材のSi含有
量は、0.3〜1.2重量%、好ましくは0.5〜1.
0重量%の範囲とした。
【0028】Ti:鋳造組織の微細化すると共に、カソ
ード反応を抑制する作用を呈する。しかし、Ti含有量
が0.05重量%未満では、効果が小さい。逆に、Ti
含有量が0.20重量%を超えると、鋳造時に巨大な金
属間化合物が形成され、加工性を阻害するばかりでな
く、巨大な金属間化合物とマトリックスとの間で局部電
池が形成され、耐孔食性が劣化する。そのため、Ti含
有量は、0.05〜0.20重量%、好ましくは0.0
6〜0.14重量%の範囲に設定した。
【0029】Fe:熱間圧延性及び強度を向上する上
で、有効な元素である。0.2重量%未満のFe含有量
では、これらの効果が小さい。しかし、Fe含有量が
0.8重量%を超えると、却って耐孔食性が阻害され
る。そこで、0.2〜0.8重量%、好ましくは0.3
〜0.6重量%の範囲に、Fe含有量を規定した。
【0030】Mg:材料強度及び耐食性を向上させる上
で、Mgは有効な合金元素である。しかし、0.2重量
%を超えてMgを含有させるとき、ろう付け性が著しく
阻害される。また、0.05重量%未満のMg添加で
は、効果が小さい。したがって、芯材のMg含有量は、
0.05〜0.20重量%以下、好ましくは0.08〜
0.18重量%の範囲に規定した。
【0031】[皮材の組成] Zn:犠牲陽極作用によって接液部のチューブ芯材を保
護する上で、必須の合金成分である。しかし、Znはろ
う付け時に拡散し易いため、皮材の残留Zn濃度として
0.8重量%以上を確保することが好ましい。また、残
留Zn濃度の上限は、犠牲陽極として消耗する速度を考
慮して1.5重量%にすることが好ましい。この残留Z
n濃度を得るため、チューブ材の板厚が0.3mm以下
の場合には、皮材に添加するZn含有量として1.3重
量%以上が必要である。このとき、1.3重量%未満の
Zn含有量では、拡散によって残留Zn濃度が0.8重
量%を超えることができず、耐孔食性が低下する。ま
た、皮材に添加されるZnの含有量が3.0重量%を超
えると、チューブ皮材中の残留Zn濃度が1.5重量%
を超え、チューブ内に目詰りを発生させる原因である接
液時の腐食生成量が多くなる。したがって、皮材のZn
含有量は、1.3〜3.0重量%、好ましくは1.5〜
2.5重量%の範囲に規定した。
【0032】Mg:皮材中のMg成分は、Znによる犠
牲陽極効果を高める作用を呈する。また、皮材に含まれ
るMg成分は、芯材に拡散してろう付け性を阻害させる
ことなく、強度の向上が図られる。このような効果を得
るためには、0.5重量%以上の含有量でMgを添加す
ることが必要である。しかし、2.5重量%を超えてM
gを皮材に含有させると、皮材の電位が必要以上に卑に
なり、皮材の消耗が促進される。そこで、皮材のMg含
有量を0.5〜2.5重量%、好ましくは0.6〜2.
0重量%の範囲に設定した。
【0033】Si:皮材中のSi成分は、Mg成分と反
応し微細な金属間化合物Mg2 Siを生成することによ
って、ろう付け後の強度を向上させる。この強度向上効
果は、Si含有量が0.05重量%未満では小さい。ま
た、皮材に含有されているSi成分は、Al−Fe−S
i系の金属間化合物を形成する要因でもある。このAl
−Fe−Si系の金属間化合物は、Al−Zn系金属間
化合物よりも電気化学的に貴であるため、孔食の核とし
て作用し犠牲陽極効果を減じる。Al−Fe−Si系の
金属間化合物の形成は、Si含有量が0.5重量%を超
えるとき顕著に現れる。したがって、皮材中のSi含有
量は、0.05〜0.5重量%の範囲に規定した。
【0034】Fe:Fe成分は、熱間圧延性及び強度の
向上に寄与する。しかし、0.05重量%未満のFe含
有量では、性質改善の効果が小さい。逆に、0.5重量
%を超えるFe含有量では、却って耐食性が阻害され
る。したがって、0.05〜0.5重量%の範囲にFe
含有量を規制した。
【0035】[皮材のクラッド率] 皮材の残留Zn濃度を0.8〜1.5重量%の範囲に調
整するためには、クラッド率を8〜12%に設定するこ
とが好ましい。残留Zn濃度には、チューブ材そのもの
の厚さが影響するが、皮材の厚さも大きな影響を与え
る。皮材の厚さが8%未満では、Znの濃度低下が大き
くなり、0.8重量%以上の残留Zn濃度が得られ難く
なる。逆に、クラッド率が12%を超えると、チューブ
自体の強度が低下し易くなる。したがって、好ましくは
8〜12%の範囲にクラッド率を設定する。
【0036】[ソーキング条件] 本発明のブレージングシートは、430〜530℃で1
〜5時間ソーキングする均熱処理を施した鋳塊から得ら
れる。このソーキングが430℃未満或いは1時間未満
で行われると、α−Al−(Fe,Mn)−Si系化合
物及びAl−Mn−Cu−Ti系化合物を析出させる十
分な反応が起こらない。逆に、530℃或いは5時間を
超えるソーキングでは、析出した化合物が0.1μmを
超えて粗大化し、芯材の強度を低下させる。
【0037】
【実施例】芯材,皮材及びろう材を別々に鋳造し、それ
ぞれ480℃に3時間加熱する均熱処理を施し、熱間圧
延後に冷間圧延を行う3層クラッド圧延によって板厚
0.25mmのブレージングシートを製造した。なお、
冷間圧延は、400℃に1.5時間加熱する中間焼鈍を
挟みながら行った。ろう材としては4045ろう材を使
用し、芯材及び皮材の材質的な組合せを表1〜3に示
す。表1及び表2は本発明に従った組合せ例であり、表
3は比較のための組合せ例である。また、皮材のクラッ
ド率は、6%,8%,10%,12%及び15%とし
た。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】得られたブレージングシートを供試材とし
て、ノコロックフラックスを塗布した後、次の条件下で
ろう付けした。 ろう付けの条件 フラックス塗布量:5g/m2 及び2g/m2 ろう付け温度:600℃ 加熱時間:3分間 ろう付け雰囲気:露点−30〜−40℃の窒素ガス
【0042】ろう付けされた供試材から幅25mm,長
さ100mmの試験片を切り出し、図1に示すようにブ
レージングシート1をアルミニウム合金A3003製の
フィン材2とろう付けし、ろう付け部3の接合状況を観
察した。また、ろう付けされたブレージングシートの耐
食性試験及び引張り試験を行った。これらの試験結果
を、表4(本発明例)及び表5(比較例)に示す。
【0043】なお、耐食性試験としては、ろう材側及び
端部を樹脂でシールし、腐食液に試験片を浸漬し、88
℃×8時間→35℃×16時間を1サイクルとして21
回繰り返すビーカーテストを採用した。腐食液には、C
- 1000ppm,SO4 2- 1000ppm,HCO
3 -1000ppm及びCu2+10ppmを含む液を純水
で調整したものを使用した。また、浸漬を7サイクル繰
り返すごとに、腐食液を更新した。そして、試験片に発
生した孔食の深さを、顕微鏡焦点深度法によって測定し
た。
【0044】また、皮材の残留Zn濃度は、XMAライ
ン分析で測定した。この残留Zn濃度と孔食深さとの関
係を調べたところ、両者の間に図2に示す関係があるこ
とが判った。図2から明らかなように、残留Zn濃度が
0.8以上であるとき、孔食深さが小さく、ろう付け後
に優れた耐食性が示されている。
【0045】ろう付け性は、ろう付け部の観察によって
判定した。そして、ろう付け性が極めて良好なものを
◎,ろう付け性が良好なものを○,ろう付け性がほぼ良
好なものを□,ろう付け部に一部不良箇所がみられるも
のを△,ろう付けできなかったものを×で評価した。
【0046】表4及び表5の結果を実際の熱交換器用と
して考慮するとき、合格ラインは、残留Zn濃度が0.
8〜1.5重量%の範囲にあるもの、最大孔食深さが1
00μm以下であるもの、◎,○或いは□で表されるろ
う付け性をもつもの、及びろう付け後のブレージングシ
ートが17kgf/mm2 以上の引張り強さをもつもの
である。そして、本発明で規定する条件を満足するブレ
ージングシートにあっては、何れも合格ラインに達し、
耐食性,ろう付け性及びろう付け後の強度が良好であっ
た。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、各層間の反応や合金元素の拡散等を考慮して芯材,
皮材及びろう材の材質を特定することにより、芯材の強
度を向上させると共に、ろう付け性を低下させるMgが
ろう材層に拡散することを抑制している。これにより、
耐食性,ろう付け性,ろう付け後の強度等において優れ
たブレージングシートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例のブレージングシートをフィン
材にろう付けした接合部を示す。
【図2】 皮材に含まれる残留Zn濃度と孔食深さとの
関係を示したグラフ
【符号の説明】
1 ブレージングシート 2 フィン材 3 ろう付け部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−198447(JP,A) 特開 平1−215945(JP,A) 特開 昭58−113367(JP,A) 特開 平4−198448(JP,A) 特開 平3−8569(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu:0.1〜0.8重量%,Mn:
    0.8〜2.5重量%,Si:0.3〜1.2重量%,
    Fe:0.2〜0.8重量%,Ti:0.05〜0.2
    重量%及びMg:0.05〜0.2重量%を含有するア
    ルミニウム合金の芯材と、 該芯材の一面にクラッドされたMg:0.5〜2.5重
    量%,Zn:1.3〜3.0重量%,Si:0.05〜
    0.5重量%及びFe:0.05〜0.5重量%を含有
    するアルミニウム合金の皮材と、 前記芯材の他面にクラッドされたAl−Si系ろう材又
    はAl−Si−Zn系ろう材からなることを特徴とする
    耐食性に優れたブレージングシート。
  2. 【請求項2】 ろう付け後の皮材中に含まれる残留Zn
    濃度が0.8〜1.5重量%となるように、クラッド率
    8〜12%で請求項1記載の皮材が芯材に貼り合わされ
    ている請求項1記載のブレージングシート。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の芯材は、鋳塊の均熱処理
    によって微細なα−Al−(Fe,Mn)−Si系金属
    間化合物及びAl−Mn−Cu−Ti系金属間化合物が
    分散析出したものであることを特徴とするブレージング
    シート。
  4. 【請求項4】 Cu:0.1〜0.8重量%,Mn:
    0.8〜2.5重量%,Si:0.3〜1.2重量%,
    Fe:0.2〜0.8重量%,Ti:0.05〜0.2
    重量%及びMg:0.05〜0.2重量%を含有するア
    ルミニウム合金の鋳塊を430〜530℃に1〜5時間
    加熱する均熱処理を施し、該鋳塊から圧延された板材を
    芯材とし、Mg:0.5〜2.5重量%,Zn:1.3
    〜3.0重量%,Si:0.05〜0.5重量%及びF
    e:0.05〜0.5重量%を含有するアルミニウム合
    金及びAl−Si系ろう材又はAl−Si−Zn系ろう
    材を前記芯材のそれぞれの面に熱間圧延及び冷間圧延に
    よりクラッドすることを特徴とするブレージングシート
    の製造方法。
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