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JP5301637B2 - ソリュブルコーヒー - Google Patents

ソリュブルコーヒー Download PDF

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Description

本発明は、精製焙煎コーヒー豆及びその製造方法に関する。
コーヒー等の食品に含まれているクロロゲン酸、カフェ酸、フェルラ酸等が優れた血圧降下作用を示すことが報告されている(特許文献1〜3)。しかしながら、単にクロロゲン酸類を多量に含むコーヒー飲料では、明確な血圧降下作用が認められず、逆に血圧を上昇させるという報告もある(非特許文献1)。また、コーヒー飲料に含まれているヒドロキシヒドロキノン由来の過酸化水素がクロロゲン酸類の血圧降下作用を阻害していることが見出されている。(特許文献1)一方、コーヒーには、焙煎によって自然発生する過酸化水素が含まれており(非特許文献1)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、抗酸化剤(特許文献3〜5)等を添加することにより、コーヒー中の過酸化水素を除去する技術が報告されている。
特開2006−204192号公報 特公平4−29326号公報 特開平3−127950号公報 特開平11−266842号公報 特開2003−81824号公報 Eur. J. Clin. Nutr., 53(11), 831(1999)
本発明の目的は、ヒドロキシヒドロキノン含有量が低減された精製焙煎コーヒー豆を提供することにある。
そこで本発明者は、優れた血圧降下作用を有するコーヒー抽出液の製造を可能とするために、原料焙煎コーヒー豆から過酸化水素の発生源であるヒドロキシヒドロキノンを除去する方法を種々検討した結果、ヒドロキシヒドロキノン含有量が30mg/kg以下となるように精製焙煎コーヒー豆を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、ハンターL値が10〜30、ヒドロキシヒドロキノン含有量が30mg/kg以下である精製焙煎コーヒー豆を提供するものである。
また、本発明は、原料焙煎コーヒー豆に水系溶媒を接触させることによりヒドロキシヒドロキノン含有量が30mg/kg以下である精製焙煎コーヒー豆を製造する方法を提供するものである。
本発明のヒドロキシヒドロキノン含有量が30mg/kg以下の精製焙煎コーヒー豆及びその製造方法は、優れた血圧降下作用を有するコーヒー抽出液の製造を可能とする。
始めに、本発明において得られる精製焙煎コーヒー豆について述べる。
本発明において、コーヒー豆の種類は、特に限定されないが、例えばブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられる。コーヒー豆種としては、アラビカ種、ロブスタ種などがある。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。
本発明品の焙煎度を色差計で測定したハンターL値としては、10〜30である。精製焙煎コーヒー豆からの抽出液の風味が良好である観点から、好ましくは10〜25、特に好ましくは15〜25である。ハンターL値が10以上の場合焦げ臭が弱く、L値が30以下の場合コーヒー風味が良好となる。また、ハンターL値10〜60の焙煎度の異なる精製焙煎コーヒー豆を2種以上混合し、ハンターL値として10〜30に調整しても良い。
焙煎度の測定方法としては、焙煎コーヒー豆の50%を粒径0.8〜1.2mmに粉砕し、0.5mm以下の粒径の量を5%以下、2mm以上の粒径の量を5%以下に調整し、適宜チャフを除去する。粉砕豆をセルに投入し、十分にタッピングした後、分光式色彩計にて測定する。分光式色彩計としては、日本電色工業株式会社製SE−2000などが使用できる。
精製焙煎コーヒー豆中のクロロゲン酸類量は0.1〜6質量%(以下単に%と言う)が好ましく、0.1〜5%がより好ましい。更に好ましいクロロゲン酸類量は0.1〜4.5%、特に好ましくは0.2〜4.2%、殊更に好ましくは0.2〜4%である。
精製焙煎コーヒー豆中のヒドロキシヒドロキノン含有量は30mg/kg以下である。好ましいヒドロキシヒドロキノン含有量は0.01〜20mg/kg、更に好ましくは0.01〜10mg/kg、特に好ましくは0.01〜5mg/kg、非常に好ましいのは0.01〜1mg/kgである。
精製焙煎コーヒー豆中のクロロゲン酸類量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量は0.1%未満が好ましく、好ましくは0.0001〜0.06%、更に好ましくは0.0001〜0.03%である。精製焙煎コーヒー豆中のクロロゲン酸類量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量が0.1%未満であることで、体内中での過酸化水素発生が抑制されるとともに、ヒドロキシヒドロキノンにより低減されていたクロロゲン酸類の生理効果、例えば高血圧改善効果、が発現され易くなる。
精製焙煎コーヒー豆中の可溶性固形分に対するクロロゲン酸類含有量は0.5〜30%が好ましい。好ましい焙煎コーヒー豆中の可溶性固形分に対するクロロゲン酸類含有量は0.5〜25%であり、より好ましくは0.5〜17%であり、更に好ましくは1〜15%であり、特に好ましくは1〜13%である。精製焙煎コーヒー豆中の可溶性固形分に対するクロロゲン酸類含有量が当該範囲であると、コーヒー飲料中のクロロゲン酸類の生理効果が発現され易くなるとともに、良好なコーヒー風味が得られ易くなる。
ここで、当該クロロゲン酸類としてはモノカフェオイルキナ酸、フェルラキナ酸、ジカフェオイルキナ酸の三種が知られており、クロロゲン酸類の含有量はこれらの合計量で示される。具体的には、モノカフェオイルキナ酸としては3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。またフェルラキナ酸としては、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び3−フェルラキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。ジカフェオイルキナ酸としては3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。
尚、本発明における精製焙煎コーヒー豆中の各組成は、精製焙煎コーヒー豆から抽出された液つまり抽出溶媒中の組成分析により求める。抽出条件は、実施例に記載のものを用いる。
当該抽出溶媒中クロロゲン酸類の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、UV−VIS検出器を用いて測定する。測定条件は実施例に記載のものを用いる。
当該抽出溶媒中ヒドロキシヒドロキノン含量は、HPLCにより、電気化学検出器を用いて測定する。測定条件は実施例に記載のものを用いる。
当該抽出溶媒中可溶性固形分は20℃で測定した糖用屈折計示度(Brix)を用いる。糖度計としては、株式会社アタゴRX−5000α−Bevなどを用いることができる。
前記測定で得られた抽出溶媒中クロロゲン酸類量、及び抽出溶媒中ヒドロキシキノン量、及び抽出溶媒中可溶性固形分量は下記式によって、コーヒー豆中の含有量として計算される。
精製焙煎コーヒー豆中クロロゲン酸類量[%対コーヒー豆]=(抽出溶媒中クロロゲン酸類濃度[mg/kg]×抽出溶媒質量[kg]/精製焙煎コーヒー豆質量[kg])/10000[%] (1)
精製焙煎コーヒー豆中ヒドロキシヒドロキノン量[mg/kg]=(抽出溶媒中ヒドロキシヒドロキノン濃度[mg/kg]×抽出溶媒質量[kg]/精製焙煎コーヒー豆質量[kg]) (2)
精製焙煎コーヒー豆中可溶性固形分量[%対コーヒー豆]=抽出溶媒中可溶性固形分[%]×抽出溶媒質量[kg]/精製焙煎コーヒー豆質量[kg] (3)
次に、精製焙煎コーヒー豆の製造方法を説明する。
まず、コーヒー豆を焙煎して、原料焙煎コーヒー豆を得る。
コーヒー豆を焙煎する方法については、特に制限はないが、100〜600℃で行うことができ、好ましい焙煎温度は100〜300℃であり、更に好ましくは150〜250℃である。好ましい焙煎方法の加熱方式としては直火式、熱風式、半熱風式、炭火式、遠赤外線式、マイクロ波式、過熱水蒸気式があり、装置形式としては水平(横)ドラム型、垂直(縦)ドラム型、垂直回転ボウル型、流動床型、加圧型などがあるが、抽出時の可溶性固形分を高回収する観点から水平(横)ドラム開封型、水平(横)ドラム密封型又は垂直回転ボウル型が好ましく、更に垂直回転ボウル型が好ましい。また、風味の観点より焙煎後30分以内に0〜100℃まで冷却することが好ましく、更に好ましくは10〜60℃である。
原料焙煎コーヒー豆は、焙煎度が色差計で測定したハンターL値で12〜35であるものが好ましく、14〜32がより好ましく、15〜30がさらに好ましく、15〜25が特に好ましい。かかるハンターL値の原料焙煎コーヒー豆を用いることで、精製焙煎コーヒー豆の風味が良好で、クロロゲン酸類を好適な量含むことが可能なので好ましい。また、ハンターL値10〜60の焙煎度の異なるコーヒー豆を2種以上混合し、ハンターL値として12〜35に調整しても良い。
また、原料焙煎コーヒー豆の焙煎度としては、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンがあり、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティがクロロゲン酸類を多く含み、飲用しやすいので好ましい。
本発明の方法によれば、原料焙煎コーヒー豆と水系溶媒を接触させることによって、該原料焙煎コーヒー豆からヒドロキシヒドロキノンを抽出除去する。
水系溶媒としては、水、水溶性有機溶媒、水溶性有機溶媒含有水、水溶性有機物含有水、コーヒー豆由来抽出物含有水、クロロゲン酸類含有水が挙げられる。
ヒドロキシヒドロキノンを効率よく除去させる観点から、水溶性有機溶媒含有水、クロロゲン酸類含有水、コーヒー豆由来抽出物含有水が好ましく、更にクロロゲン酸類含有水、コーヒー豆由来抽出物含有水が好ましく、特にコーヒー豆由来抽出物含有水が好ましい。
水溶性有機溶媒としては、エタノール、メチルエチルケトン、メタノール、アセトンなどが挙げられる。ヒドロキシヒドロキノンを効率よく除去する観点より、エタノールが好ましい。
水溶性有機物としては、20℃の水100gに対する溶解量が25g以上の有機物が好ましい。具体的には糖類、多価アルコール、水溶性高分子等が例示できる。これらの水溶性有機物は、単独で又は2種以上混合して使用してもよい。糖類としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、マンニトール、サッカロース、マルトース、ラクトース、オリゴ糖等が挙げられる。多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。水溶性高分子としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
上記の水溶性有機物の中では、好ましくは多価アルコールであり、特にグリセリン又はソルビトールが好ましい。
水溶性有機溶媒及び/又は水溶性有機物濃度としては、1〜95%で使用できる。ヒドロキシヒドロキノンを効率よく除去する観点より、水溶性有機溶媒及び/又は水溶性有機物濃度としては、好ましくは10〜80%、より好ましくは30〜70%、特に好ましくは40〜60%である。
コーヒー豆由来抽出物としては、コーヒー生豆由来抽出物、ハンターL値10〜60の焙煎コーヒー豆由来抽出物が挙げられる。
コーヒー風味の観点より、ハンターL値10〜40の焙煎コーヒー豆由来抽出物が好ましく、L値10以上40未満の焙煎コーヒー豆由来抽出物がより好ましく、L値10〜35の焙煎コーヒー豆由来抽出物がより好ましく、更にハンターL値10〜30の焙煎コーヒー豆由来抽出物が好ましく、特にヒドロキシヒドロキノンを除去する処理をしたハンターL値10〜30の焙煎コーヒー豆由来抽出物が好ましい。
クロロゲン酸類としては、上記コーヒー豆由来抽出物の他、プルーン、チェリー、りんご等などの果物抽出由来物、なす、ジャガイモ、にんじんなどの野菜抽出由来物、及びクロロゲン酸類の合成物などが使用できる。
クロロゲン酸類含有水のクロロゲン酸の濃度としては、焙煎豆からのクロロゲン酸溶出を有効に妨げ、かつヒドロキシヒドロキノンの溶出を効果的にする観点から、0.01〜10%であることが好ましい。特に0.1〜7%、更に0.5〜5%が好ましい。
水系溶媒中のヒドロキシヒドロキノンの含有量は、6mg/kg以下が好ましく、3mg/kg以下がより好ましく、1mg/kg以下がさらに好ましく、0.5mg/kg以下が特に好ましい。
また、水系溶媒中のヒドロキシヒドロキノンのクロロゲン酸類質量に対する割合は、1%以下が好ましく、より好ましくは0.0001〜0.5%、更に好ましくは0.0001〜0.1%、特に好ましくは0.0001〜0.06%である。
原料焙煎コーヒー豆と水系溶媒とを接触させる方法としては、原料焙煎コーヒー豆と水系溶媒とを混合処理する攪拌バッチ処理法、原料焙煎コーヒー豆をカラムに充填し水系溶媒を該カラムに通液させるカラム処理方法がある。抽出効率の点から、カラム処理法が好ましい。攪拌バッチ処理法は、原料焙煎コーヒー豆が水系溶媒中で浮遊する状態で攪拌するのが好ましい。
カラム処理法は、例えば液出入り口にメッシュ構造体を有したカラムを用いることができる。
原料焙煎コーヒー豆は、粉砕品、未粉砕品の何れを用いても良い。原料焙煎コーヒー豆の粉砕品の平均粒径は風味を残存させる観点から通常0.1mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、1mm以上がさらに好ましく、3mm以上がことさら好ましく、5mm以上が特に好ましく、未粉砕焙煎コーヒー豆が非常に好ましい。
原料焙煎コーヒー豆1質量部に対する水系溶媒の質量は、0.1〜1000質量部(以下単に部と言う)が好ましい。効率良くヒドロキシヒドロキノンを原料焙煎コーヒー豆から除去させる観点から、0.1〜100部が好ましく、1〜50部がより好ましく、1〜20部が特に好ましい。
水系溶媒の温度は、液体状態であれば良い。風味及びクロロゲン酸類を焙煎豆に残存させ、ヒドロキシヒドロキノンを除去させる観点から、好ましくは5〜100℃、更に好ましくは5〜60℃、特に好ましくは5〜30℃である。
水系溶媒と焙煎コーヒー豆の接触時間は、1秒〜100時間で行うことができる。攪拌バッチ処理法においては、1〜50時間が好ましい。カラム通液法のカラム内での滞留時間は、1分〜10時間、好ましくは5分〜1時間がよい。
水系溶媒のpHは、2〜10が好ましく、3〜7がより好ましい。
原料焙煎コーヒー豆と水系溶媒とを接触させる際に、水系溶媒と多孔質吸着体とを接触させる工程を含むことが好ましい。水系溶媒と多孔質吸着体とを接触させることにより、原料焙煎コーヒー豆から水系溶媒に移動したヒドロキシヒドロキノンを多孔質吸着体に吸着除去することができ、原料焙煎コーヒー豆からヒドロキシヒドロキノンを効率的に除去することができる。
原料焙煎コーヒー豆と水系溶媒との接触及び水系溶媒と多孔質吸着体とを接触の関係は、例えば以下の関係が挙げられる。すなわち、(i)水系溶媒をあらかじめ多孔質吸着体と接触させ、多孔質吸着体に接触させた後の水系溶媒を原料焙煎コーヒー豆に接触させる工程;(ii) 原料焙煎コーヒー豆、水系溶媒、及び多孔質吸着体を同時に共存させ、原料焙煎コーヒー豆から抽出されたヒドロキシヒドロキノンを多孔質吸着体に吸着させる工程、及び;(iii) 原料焙煎コーヒー豆と水系溶媒とを接触させた後に水系溶媒を多孔質吸着体に接触させ、多孔質吸着体に接触させて得られた水系溶媒を再び原料焙煎コーヒー豆との接触に用いる工程、等が挙げられる。
いずれの方法においても、水系溶媒と多孔質吸着体との接触は、多孔質吸着体を水系溶媒に分散して分離する方法(攪拌バッチ法)によってもよいし、多孔質吸着体をカラム等に充填し水系溶媒を流通させる方法(カラム流通法)によってもよい。また(ii)の方法においては、水系溶媒と多孔質吸着体とを接触させる槽と水系溶媒を多孔質吸着体に接触させる槽もしくはカラムを別途用意し、両者を連結して循環させる方法で行っても良い。
水系溶媒と多孔質吸着体との接触方法としては、攪拌バッチ法においては焙煎コーヒー豆と一緒に多孔質吸着体を水系溶媒中に投入する方法や、多孔質吸着体を充填した吸着用カラムに水系溶媒を循環させながら、原料焙煎コーヒー豆と水系溶媒を接触させる方法が挙げられる。好ましくは、多孔質吸着体を充填した吸着用カラム及び原料焙煎コーヒー豆を投入したカラムに対して水系溶媒を循環させる方法である。
多孔質吸着体の量としては、原料焙煎コーヒー豆1部に対して0.001〜10部。水系溶媒からの風味を残したまま効率良くヒドロキシヒドロキノンの除去する観点より、好ましくは0.01〜1部、更に好ましくは0.1〜0.5部である。水系溶媒の可溶性固形分1部に対して多孔質吸着体の量は、通常0.01〜10部。水系溶媒からの風味を残したまま効率良くヒドロキシヒドロキノンの除去する観点より、好ましくは0.01〜1部、更に好ましくは0.1〜0.6部である。
水系溶媒と多孔質吸着体との接触時間は、1秒〜100時間で行うことができる。攪拌バッチ処理法においては、1〜50時間が好ましい。カラム通液法のカラム内での滞留時間は、1分〜10時間、好ましくは5分〜1時間がよい。
多孔質吸着体の種類としては、吸着技術便覧―プロセス・材料・設計―(平成11年1月11日、エヌ・ティー・エス発行、監修者:竹内 雍)に記載されている、炭素質吸着材、シリカ・アルミナ系吸着材、高分子吸着材、キトサン樹脂などが使用できる。コーヒー風味を残存させる観点から、炭素質吸着材が好ましい。
炭素質吸着材としては、粉末状活性炭、粒状活性炭、スーパー活性炭、KOH賦活活性炭、フェノール系活性炭、活性炭繊維、カーボンナノチューブが使用できる。ヒドロキシヒドロキノン選択的吸着の観点から、粉末状活性炭、粒状活性炭、活性炭繊維が好ましい。
粉末状及び粒状活性炭の由来原料としては、オガコ、木質、石炭やヤシ殻などがあるが、ヤシ殻由来のヤシ殻活性炭が好ましく、特に、水蒸気などのガスにより賦活した活性炭が好ましい。このような水蒸気賦活活性炭の市販品としては、白鷺WH2c(日本エンバイロケミカルズ株式会社)、太閣CW(二村化学工業株式会社)、クラレコールGL(クラレケミカル株式会社)等を用いることができる。
多孔質吸着体の粒子径は特に限定されないが、ヒドロキシヒドロキノンの吸着速度向上及び水系溶媒と多孔質吸着体の分離性向上の観点より、平均粒径としては10μm以上2mm以下が好ましく、50μm以上1mm以下がより好ましく、50μm以上0.5mm以下がさらに好ましく、150μm以上400μm以下が特に好ましい。
活性炭繊維としては、ファインガード(東邦レーヨン製)のようなポリアクリロニトリル系、アドール(ユニチカ製)のようなピッチ系、クラクティブ(クラレ製)のようなフェノール系、Kフィルター(東洋紡績製)のようなセルロース系、その他フェノール系や綿花系などが挙げられる。
また、多孔質吸着体の形状は特に限定されず、通常の粉体・粒状はもとより吸着体を繊維に練りこんだもの、各多孔質吸着体同士で成型したもの、セルロース、不織布、バインダーを用い成型したものでも良い。
多孔質吸着体の細孔半径は、0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%以上である多孔質吸着体を用いるのが好ましい。更に好ましくは細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して30%以上、特に50%以上、特に70%以上のものが好ましい。細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%未満の多孔質吸着体は、ヒドロキシヒドロキノン除去の選択性が低くなる傾向にある。ここで、多孔質吸着体の細孔半径及び容量は、細孔半径1ナノメーター(nm)以下域においてはMP法により測定された値であり、細孔半径1ナノメーター(nm)超過域においてはKJH法により測定された値であり、細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%であるか否かはMP法及びKJH法により得られた細孔分布曲線から判定することができる。MP法とは、文献(Colloid and Interface Science, 26, 46(1968))に記載の細孔測定法であり、KJH法とは、文献(J.Amer.Chem.Soc.,73,373(1951))に記載の細孔測定法である。
精製焙煎コーヒー豆から水系溶媒及び/又は多孔質吸着体を分離し、本発明品のヒドロキシヒドロキノンを除去した精製焙煎コーヒー豆を得ることができる。
分離方法としては、水、水溶性有機溶媒、又は水溶性有機溶媒水を用いた豆表面付着物の洗浄分離法、篩などによる多孔質吸着体の篩分級法、比重差を利用した多孔質吸着体の除去法などを用いることができ、これらを組み合わせても良い。
得られた精製焙煎コーヒー豆は、そのままコーヒー製品として水などを用いた温水抽出やエスプレッソ抽出をおこないコーヒー抽出液を得ても良いが、精製焙煎コーヒー豆を乾燥など行い、精製焙煎コーヒー豆中の水系溶媒を除去するのが保存の観点より好適である。乾燥後における精製焙煎コーヒー豆中の水系溶媒の含有量は、0.l〜50%、好ましくは1〜20%、特に好ましくは1〜10%である。 乾燥方法は、50〜250℃の熱風乾燥又は棚乾燥、50〜150℃の減圧乾燥、並びに凍結乾燥などが使用できる。
このように製造した精製焙煎コーヒー豆を用いてコーヒー抽出液を得ることができる。
尚、精製焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液に、コーヒー生豆及び又は原料焙煎コーヒー豆の各抽出液をブレンドしても良い。
精製焙煎コーヒー豆からの抽出方法についても制限はなく、例えば精製焙煎コーヒー豆又はその粉砕物から抽出溶媒を用いて10秒〜120分抽出する方法が挙げられる。粉砕度合いは、極細挽き(0.250-0.500mm)、細挽き(0.300-0.650mm)、中細挽き(0.530-1.000mm)、中挽き(0.650-1.500mm)、中粗挽き、粗挽き(0.850-2.100mm)、極粗挽き(1.000-2.500mm)や平均粒径3mmや同5mm、同10mm程度のカット品が挙げられる。抽出方法は、ボイリング式、エスプレッソ式、サイフォン式、ドリップ式(ペーパー、ネル等)等が挙げられる。
抽出溶媒としては、水、アルコール含有水、ミルク、炭酸水などが挙げられる。抽出液の風味が良好であることから、水が好ましい。抽出溶媒のpHは4〜10であり、風味の観点からは5〜7が好ましい。尚、抽出溶媒中にpH調整剤、例えば重炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アルコルビン酸Naを含有させ、pHを調整しても良い。抽出溶媒の温度は抽出溶媒は液状(常圧又は加圧下)であれば問題ないが、具体的には−10〜200℃が好ましく、クロロゲン酸が効率良く抽出できる観点より、0〜100℃がより好ましく、10〜100℃が更に好ましく、80〜100℃が特に好ましい。
抽出器としては、ペーパードリップ、不織布ドリップ、サイフォン、ネルドリップ、エスプレッソマシン、コーヒーマシン、パーコレーター、コーヒープレス、イブリック、ウォータードリップ、ボイリング、攪拌可能な釜、コーヒーカップへ実質的に懸架可能なペーパー又は不織布の袋状構造体、上部にスプレーノズル下部に実質的にコーヒー豆の固液分離可能な構造体(メッシュやパンチングメタルなど)を有するドリップ抽出器、メッシュやパンチングメタルなど上部及び下部に実質的に精製焙煎コーヒー豆の固液分離可能な造体を有するカラム抽出器等が挙げられる。抽出器に電気ヒーター、温水や蒸気、冷水が通液可能なジャケットなどの加熱又は冷却可能な構造を付けることができる。
抽出方法としてはバッチ式抽出法、半バッチ式抽出法、連続式抽出法が挙げられる。バッチ式抽出法又は半バッチ式抽出法の抽出時間、すなわち精製焙煎豆との接触時間又は滞留時間は風味の観点より10秒〜120分が好ましく、更に30秒〜30分が好ましい。
抽出溶媒量としては、精製焙煎コーヒー豆1部に対して0.5〜50倍量が好ましい。特に、抽出溶媒量は、0.5〜10倍量が好ましい。
得られたコーヒー抽出液のヒドロキシヒドロキノン含量をさらに低減させるために、抽出液を前記多孔質吸着体に接触させてもよい。
該コーヒー抽出液中の精製焙煎コーヒー豆由来の抽出後可溶性固形分が、0.1%以上が好ましく、風味の安定性の観点より、0.25〜50%がより好ましく、0.5〜30%が更に好ましく、0.5〜20%が特に好ましい。
該コーヒー抽出液中の精製焙煎コーヒー豆由来の飲用時可溶性固形分が、0.1%以上が好ましく、風味の良好の観点より、0.25〜5%がより好ましく、0.5〜3%が更に好ましく、0.5〜2%が特に好ましい。
さらに、コーヒー抽出液を用いて、コーヒー組成物を製造でき、コーヒーやコーヒー飲料、ペットボトルや缶、カップ、紙などの容器詰め飲料に調合・充填・殺菌できる。
本発明方法により製造された精製焙煎コーヒー豆から得られるコーヒー組成物には、糖成分として、グラニュー糖、上白糖、マルトース、スクラロース等が配合でき、乳成分としては、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、練乳等を配合できる。また乳化剤及び/又は分散剤として、ショ糖脂肪酸エステル、カラギーナンなどの多糖類、カゼイン蛋白質、ポリグリセンリン脂肪酸エステルなどを単独、あるいは組み合わせて使用できる。
上記コーヒー組成物は、100gあたり精製焙煎コーヒー豆を生豆換算で1g以上使用したものが好ましい。好ましくは2.5g以上使用しているものである。更に好ましくは5g以上使用しているものである。
本発明品のコーヒー抽出液から得られるコーヒー組成物は、飲用時にクロロゲン酸類を0.01〜10%含有し、かつ該クロロゲン酸類量の0.1%未満のヒドロキシヒドロキノンを含有する。
クロロゲン酸類の含有量は0.01〜5%が好ましく、0.1〜5%がより好ましい。クロロゲン酸類量に対するヒドロキシヒドロキノンの含有量は0.0001〜0.1%が好ましく、0.0001〜0.06%がより好ましく、0.0001〜0.03%が特に好ましい。
また、該コーヒー抽出液を乾燥させ、ソリュブルコーヒーなどにすることが可能である。乾燥方法には噴霧乾燥や凍結乾燥が例示できるが、特に限定されない。ソリュブルコーヒーの形状としては、粉末、粒状、錠剤などが挙げられる。
本発明品のコーヒー抽出液から得られるソリュブルコーヒーは、クロロゲン酸類を0.5〜30%含有し、かつ該クロロゲン酸類量の0.1%未満のヒドロキシヒドロキノンを含有する。
クロロゲン酸類の含有量は0.5〜17%が好ましく、0.5〜10%がより好ましい。クロロゲン酸類量に対するヒドロキシヒドロキノンの含有量は0.0001〜0.1%が好ましく、0.0001〜0.06%がより好ましく、0.0001〜0.03%が特に好ましい。
・コーヒー豆の組成評価方法
ミルにより細挽き(粒度範囲0.300-0.650mm)に粉砕したコーヒー豆40gを、90℃の水400gを用いて抽出後、冷却し、組成分析をおこなった。抽出にはNational製コーヒーメーカーNC−471を用いた。その後得られた抽出液について、クロロゲン酸類、ヒドロキシヒドロキノン、可溶性固形分を下記分析方法により定量した。
・コーヒー抽出液の風味評価
専門パネラー5人を用い、可溶性固形分1%のコーヒー抽出液の官能評価により、評価を実施した。
1:コーヒー風味無し
2:コーヒー風味多少有り
3:コーヒー風味有り
4:良好なコーヒー風味有り
・クロロゲン酸類の分析方法:分析条件
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)、カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)、ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)、オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)、カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))。
分析条件は次の通りである。サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、UV−VIS検出器設定波長:325nm、カラムオーブン設定温度:35℃、溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液、溶離液B:アセトニトリル。
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間(単位:分)
(A1)モノカフェオイルキナ酸:5.3、8.8、11.6の計3点(A2)フェルラキナ酸:13.0、19.9、21.0の計3点(A3)ジカフェオイルキナ酸:36.6、37.4、44.2の計3点。ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
HPLC−電気化学検出器によるヒドロキシヒドロキノンの分析方法
分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、米国ESA社製)を使用した。装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー、クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A、溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー、オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー、デガッサー:Degasys Ultimate DU3003、カラムオーブン:505.カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm 粒子径5μm((株)資生堂)。
分析条件は次の通りである。
サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、電気化学検出器の印加電圧:0mV、カラムオーブン設定温度:40℃、溶離液C:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液、溶離液D:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液。
溶離液C及びDの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
濃度勾配条件
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い、上清を分析試料とした。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
製造例1(処理液(1)の製造)
イオン交換水をそのまま用いた。
製造例2(処理液(2)の製造)
50%エタノール水溶液を用いた。
製造例3(処理液(3)の製造)
ハンターL値22の焙煎コーヒー豆(ブラジルサントスNO2)1部に対して98℃温水6部を用いて抽出液を得た。該抽出液を24℃に冷却し、粒状活性炭WH2LCSS(日本エンバイロ製、粒径範囲JIS標準篩42〜80メッシュ)を抽出液可溶性固形分1部に対して0.5部を投入し、クロロゲン酸類濃度0.16%、ヒドロキシヒドロキノンがクロロゲン酸類に対して0.0025%、可溶性固形分2.0%の処理液(3)を得た。
製造例4(処理液(4)の製造)
ハンターL値16.5の焙煎コーヒー豆(ブラジルサントスNO2)を用い、製造例3と同様に抽出と活性炭処理を行い、クロロゲン酸類濃度0.045%、ヒドロキシヒドロキノンがクロロゲン酸類に対して0.015%、可溶性固形分2.4%のコーヒー抽出液を得た。該コーヒー抽出液にエタノールを20%濃度となる様に添加し、クロロゲン酸類濃度0.036%、ヒドロキシヒドロキノンがクロロゲン酸類に対して0.015%、可溶性固形分1.9%の処理液(4)を得た。
製造例5(処理液(5)の製造)
(ハンター)L値16.5の焙煎豆(ブラジルサントスNO2)から得られた可溶性固形分20.0%エキス(高砂珈琲(株)製)に純水を添加し、クロロゲン酸類濃度0.18%、ヒドロキシヒドロキノンがクロロゲン酸類に対して4.6%、可溶性固形分18.3%の処理液(5)を得た。
製造例6(処理液(6)の製造)
(ハンター)L値35の焙煎豆(ベトナムロブスタ)から得られた可溶性固形分22.4%エキス(高砂珈琲(株)製、クロロゲン酸類濃度4.5%、ヒドロキシヒドロキノンがクロロゲン酸類に対して0.070%)を処理液(6)として用いた。
製造例7(処理液(7)の製造)
(ハンター)L値28の焙煎豆(ブラジルサントスNO2)から得られた可溶性固形分20.6%エキス(高砂珈琲(株)製、クロロゲン酸類濃度2.3%、ヒドロキシヒドロキノンがクロロゲン酸類に対して0.35%)を処理液(7)として用いた。
処理液(1)〜(7)の分析値を表1に示す。
Figure 0005301637
実施例1
2Lビーカーに水系性溶媒として25℃の処理液(1)600g、コーヒー豆としてハンターL値18のコロンビア産コーヒー豆エクセルソ未粉砕品100g、活性炭(WH2CLSS42/80、日本エンバイロ社製)13.5gを投入し、24時間攪拌した。
水系性溶媒と活性炭を分離後、該コーヒー豆を80℃、24時間真空乾燥器で乾燥させ精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例2
水系溶媒として25℃の処理液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例3
500mLビーカーに水系性溶媒として25℃の処理液(3)200g、コーヒー豆としてハンターL値21のブラジル産コーヒー豆No.4/5未粉砕品40g、活性炭(WH2CLSS42/80、日本エンバイロ社製)2.7gを投入し、24時間攪拌した。
水系性溶媒と活性炭を洗浄・分離後、該コーヒー豆を80℃、9時間真空乾燥器で乾燥させ精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例4
活性炭を用いなかった点と、該コーヒー豆を81℃、1時間の流動式乾燥機(レッチェ社製、TG200)で乾燥させた点以外は実施例3と同様にして、精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例5
水系溶媒として処理液(4)、活性炭としてWH2CSS42/80(日本エンバイロ社製)を用いた以外は実施例3と同様にして、精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例6
水系溶媒として処理液(5)320g、活性炭17.7gを用いた以外は実施例5と同様にして、精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例7
コーヒー豆を粗粉砕した3.35mmオン品を用い、水系溶媒として処理液(6)、活性炭12.7g、攪拌時間を88時間とした以外は実施例5と同様にして、精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例8
水系溶媒として処理液(6)、活性炭12.7gを用い、攪拌時間を14時間とした以外は実施例5と同様にして、精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例9
コーヒー豆としてハンターL値35のブラジル産コーヒー豆NO.2、水系溶媒として処理液(6)、活性炭12.7gを用いた以外は実施例5と同様にして、精製焙煎コーヒー豆を得た。
実施例10
コーヒー豆としてハンターL値30のコーヒー豆NO.2、水系溶媒として処理液(7)、活性炭12.7gを用い、攪拌時間を7時間とした以外は実施例5と同様にして、精製焙煎コーヒー豆を得た。
比較例1
ハンターL値18のコロンビア産コーヒー豆エクセルソ未粉砕品の未処理品を使用した。
比較例2
比較例1の焙煎豆を80℃、24時間真空乾燥器で乾燥させたものを使用した。
比較例3
コーヒー豆としてハンターL値21のブラジル産コーヒー豆NO.4/5未粉砕品の未処理品を使用した。
比較例4
コーヒー豆としてハンターL値30のブラジル産コーヒー豆NO.2未粉砕品の未処理品を使用した。
比較例5
コーヒー豆としてハンターL値35のブラジル産コーヒー豆NO.2未粉砕品の未処理品を使用した。
結果を表2、3に示す。
Figure 0005301637
Figure 0005301637
実施例11
下部にメッシュ構造を有する円筒形抽出器を用いて、実施例3で得られた精製焙煎コーヒー豆1部に対して95℃温水10部を用いコーヒー抽出液を得た。コーヒー抽出液由来の可溶性固形分を2%とし、牛乳及び乳化剤を添加し、重曹にてpH6.6に調整し、コーヒー調合液を得た。
該コーヒー調合液を、飲料用190g缶(東洋製罐製、スクリューキャップ付)に充填後、巻き締めし、128℃、11分でレトルト殺菌を行い、コーヒー組成物を得た。
実施例12
実施例11で得たコーヒー抽出液を凍結乾燥し、ソリュブルコーヒーを得た。可溶性固形分中のクロロゲン酸類の含有量は5.8%であり、クロロゲン酸類に対するヒドロキシヒドロキノン含有量は0.003%であった。
可溶性固形分2%になるようにソリュブルコーヒーをお湯に溶解し、得られたコーヒー組成物について行った分析と風味評価結果を表4に示す。
Figure 0005301637
実施例13
実施例7で得たコーヒー抽出液を凍結乾燥し、ソリュブルコーヒーを得た。可溶性固形分中のクロロゲン酸類の含有量は18.5%であり、クロロゲン酸類に対するヒドロキシヒドロキノン含有量は0.001%であった。

Claims (2)

  1. ハンターL値が10〜30、かつヒドロキシヒドロキノン含有量が30mg/kg以下である精製焙煎コーヒー豆からの抽出物を含み、クロロゲン酸類を可溶性固形分の4.3/26×100〜30質量%含有し、かつヒドロキシヒドロキノンの含有量が該クロロゲン酸類量の0.1質量%未満であるソリュブルコーヒー。
  2. 前記精製焙煎コーヒー豆が、クロロゲン酸類含有量が0.1〜6質量%のものである、請求項1記載のソリュブルコーヒー。
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