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JP5301310B2 - 異常検知方法及び異常検知システム - Google Patents

異常検知方法及び異常検知システム Download PDF

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Description

本発明は、プラントや設備などの異常を早期に検知する異常検知方法及び異常検知システムに関する。
電力会社では、ガスタービンの廃熱などを利用して地域暖房用温水を供給したり、工場向けに高圧蒸気や低圧蒸気を供給したりしている。石油化学会社では、ガスタービンなどを電源設備として運転している。このようにガスタービンなどを用いた各種プラントや設備において、その異常を早期に発見することは、社会へのダメージを最小限に抑えることができ、極めて重用である。
ガスタービンや蒸気タービンのみならず、水力発電所での水車、原子力発電所の原子炉、風力発電所の風車、航空機や重機のエンジン、鉄道車両や軌道、エスカレータ、エレベータ、機器・部品レベルでも、搭載電池の劣化・寿命など、早期に異常を発見しなければならない設備は枚挙に暇がない。最近では、健康管理のため、脳波測定・診断に見られるように、人体に対する異常(各種症状)検知も重要になりつつある。
このため、例えば米国のSmart Signal社では、特許文献1や特許文献2に記載のように、おもにエンジンを対象に、異常検知の業務をサービスしている。そこでは、過去のデータをデータベース(DB)としてもっておき、観測データと過去の学習データとの類似度を独自の方法で計算し、類似度の高いデータの線形結合により推定値を算出して、推定値と観測データのはずれ度合いを出力する。General Electric社のように、特許文献3の内容を見ると、異常検知をk−meansクラスタリングにより検出している例もある。
米国特許第6,952,662号明細書 米国特許第6,975,962号明細書 米国特許第6,216,066号明細書
Stephan W. Wegerich; Nonparametric modeling of vibration signal features for equipment health monitoring、Aerospace Conference, 2003. Proceedings. 2003 IEEE, Volume 7, Issue, 2003 Page(s):3113-3121
Smart Signal社が用いている手法では、データベースに格納する過去の学習データは様々な状態を網羅的に含む必要がある。もし、学習データにない観測データが観察されると、これらはすべて学習データには包含されないものとして扱われ、はずれ値と判断され、正常信号においても異常と判定されてしまい、検査の信頼性が著しく低下してしまう。このため、ユーザは、過去のあらゆる状態のデータすべてをDBとして蓄えることが必須になる。
一方で、学習データに異常が混入されている場合、異常を表している観測データとの乖離度が低くなり、これを見逃してしまう。このため、学習データに異常が含まれないよう、十分なるチェックが必要である。
このように、Smart Signal社が提案する方法では、ユーザは、網羅的なデータ収集と異常の排除という負荷を背負うことになる。特に、経時変化や、周囲の環境変動、部品交換などの保守作業の有無などに、きめこまかく対応する必要がある。このような対応を人手で行うことは、実質難しく、不可能な場合が多い。
General Electric社の方法では、k−meansクラスタリングのため、信号の挙動を見ておらず、その点で本質的な異常検知にはなっていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、良質の学習データの生成方法を与えるものである。これにより、ユーザ負荷を軽減し、さらに早期に異常を高感度に検知することが可能な異常検知方法およびシステムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、(1)データ間の類似度に着目し、正常事例からなるコンパクトな学習データを生成、(2)類似度と異常有無により、新規データを学習データに追加、(3)設備のアラーム発生区間を学習データから削除、(4)随時更新された学習データを部分空間法でモデル化し、観測データと部分空間の距離関係に基づき、異常候補を検知、(5)イベント情報を対象にした解析を組み合わせて、異常候補から異常を検知、(6)学習データの活用頻度分布に基づいて、観測データの乖離度を求め、観測データの異常要素(センサ信号)を特定する。
また、学習データに含まれる個々のデータと、観測データの類似度を求め、観測データに対して類似度の高い上位k個のデータを求めることを、複数の観測データに対して行い、これにより得られる学習データのデータを対象に、その頻度分布を求め、その頻度分布に基づいて、典型値、上限値、下限値などの値を少なくても一つ以上設定し、これらの設定値を用いて異常を日常的に監視する。なお、kはパラメータである。
本発明によれば、良質な学習データを入手でき、ガスタービンや蒸気タービンなどの設備のみならず、水力発電所での水車、原子力発電所の原子炉、風力発電所の風車、航空機や重機のエンジン、鉄道車両や軌道、エスカレータ、エレベータ、そして機器・部品レベルでは、搭載電池の劣化・寿命など、種々の設備・部品において異常の早期・高精度な発見が可能となる。
図1は本発明の異常検知システムの正常事例からなる学習データを用いた複数識別器の統合による異常検知システムの例である。 図2は線形特徴変換の一例である。 図3は評価ツールの構成例である。 図4は異常診断との関係を説明する図である。 図5は本発明の異常検知システムのハードウェア構成図である。 図6は複数識別器の統合による識別構成の例である。 図7は本発明の実施例1の異常検知システムの学習データ編集の動作フロー図である。 図8は本発明の実施例1の異常検知システムの学習データ編集の構成ブロック図である。 図9は本発明の実施例2の異常検知システムの異常検知システムの学習データ編集の動作フロー図である。 図10は本発明の実施例2の異常検知システムの学習データ編集の構成ブロック図である。 図11は本発明の実施例3の異常検知システムの学習データ編集の動作フロー図である。 図12は本発明の実施例3の異常検知システムの学習データ編集の構成ブロック図である。 図13は本発明の実施例3のセンサ信号の代表レベルの説明図である。 図14は本発明の実施例3のセンサ信号のレベルの頻度分布の例である。 図15は本発明の実施例4の異常検知システムにおいて設備が発生するイベント情報(アラーム情報)の例である。 図16は本発明の実施例5の異常検知システムにおいて特徴空間にてデータ表示をした例である。 図17は特徴空間にてデータ表示をした他の例である。 図18は本発明の実施例6の異常検知システムを示す構成図である。 図19は多次元時系列信号の例である。 図20は相関行列の例である。 図21は軌跡分割クラスタリングの適用例である。 図22は軌跡分割クラスタリングの適用例である。 図23は軌跡分割クラスタリングの適用例である。 図24は部分空間法の一例である。 図25は複数識別器の統合による異常検知例である。 図26は軌跡分割クラスタリング実施時のモデルとの偏差の例である。 図27は軌跡分割クラスタリング未実施時のモデルの偏差の例である。 図28は局所部分空間法の適用例である。 図29は投影距離法、局所部分空間法の適用例である。 図30は特徴空間にてデータ表示をした更に他の例である。 図31は特徴空間にてデータ表示をした更に他の例である。 図32は本発明の実施例7の異常検知システムを示す構成図である。 図33は本発明の実施例8の異常検知システムを示す構成図である。 図34はアラーム信号のヒストグラム例である。 図35は本発明の実施例9の異常検知システムを示す構成図である。 図36はWavelet(変換)解析の例である。 図37はWavelet変換の説明図である。 図38は本発明の実施例10の異常検知システムを示す構成図である。 図39は散布図解析および相互相関解析の例である。 図40は本発明の実施例11の異常検知システムを示す構成図である。 図41は時間・周波数解析の例である。 図42は本発明の実施例12の異常検知システムを示す構成図である。 図43は本発明の実施例12の異常検知システムの詳細を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の異常検知システムの正常事例からなる学習データを用いた複数識別器の統合による異常検知システムを含むシステム構成の例を示す図である。
異常検知システムは、(1)データ間の類似度に着目し、正常事例からなるコンパクトな学習データを生成、(2)類似度と異常有無により、新規データを学習データに追加、(3)設備のアラーム発生区間を学習データから削除、(4)随時更新された学習データを部分空間法でモデル化し、観測データと部分空間の距離関係に基づき、異常候補を検知、(5)イベント情報を対象にした解析を組み合わせて、異常候補から異常を検知、(6)学習データの活用頻度分布に基づき、観測データの乖離度を求めて、観測データの異常要素(センサ信号)を特定する。
また、学習データに含まれる個々のデータと、観測データの類似度を求め、観測データに対して類似度の高い上位k個のデータを求めることを、複数の観測データに対して行い、これにより得られる学習データのデータを対象に、その頻度分布を求め、その頻度分布に基づいて、典型値、上限値、下限値などの値を少なくても一つ以上設定し、これらの設定値を用いて異常を監視する。
図1の異常検知システム1において、11は多次元時系列信号取得部、12は特徴抽出/選択/変換部、13,13,・・・は識別器、14は統合(グローバル異常測度)、15は主に正常事例からなる学習データを示している。多次元時系列信号取得部11から入力された多次元時系列信号は、特徴抽出/選択/変換部12で次元が削減され、複数の識別器13,13,・・・により識別され、統合(グローバル異常測度)14によりグローバル異常測度が判定される。主に正常事例からなる学習データ15も複数の識別器13,13,・・・により識別されて、グローバル異常測度の判定に用いられると共に、主に正常事例からなる学習データ15自体も取捨選択され、蓄積・更新が行われて精度の向上が図られる。
図1には、ユーザがパラメータを入力する操作PC2も図示している。ユーザ入力のパラメータは、データのサンプリング間隔、観測データの選択、異常判定のしきい値などである。データのサンプリング間隔は、例えば、何秒おきにデータを取得するかを指示するものである。観測データの選択は、センサ信号のどれをおもに使うかを指示するものである。異常判定のしきい値は、算出した、モデルからの偏差・逸脱、はずれ値、乖離度、異常測度などと表現した、異常らしさの値を2値化するしきい値である。
図2は、図1にて使われる多次元時系列信号の次元を削減する特徴変換12の例を示したものである。主成分分析以外にも、独立成分分析、非負行列因子分解、潜在構造射影、正準相関分析など、いくつかの手法が適用可能である。図2に、方式図と機能を併せて示した。主成分分析は、PCAと呼ばれ、次元削減におもに使われる手法である。独立成分分析は、ICAと呼ばれ、非ガウス分布を顕在化する手法として効果がある。非負行列因子分解は、NMFと呼ばれ、行列で与えられるセンサ信号を、非負の成分に分解する。教師なしとしたものは、本実施例のように、異常事例が少なく、活用できない場合に、有効な変換手法である。ここでは、線形変換の例を示した。非線形の変換も適用可能である。
図3は、センサデータとイベントデータ(アラーム情報など)を用いて、学習データの選択(完備性評価)や異常診断を行う手法の評価システムをまとめたものである。複数の識別器を用いた識別による異常測度21や、照合評価による的中率・、虚報率23を評価する。また、異常予兆の説明性23も評価対象である。
図4に、異常検知、及び異常検知後の診断を示す。図4において、設備からの時系列信号から、時系列信号の特徴抽出・分類24により、異常を検知する。設備は、1台のみとは限らない。複数台の設備を対象にしてもよい。同時に、各設備の保守のイベント(アラームや作業実績など。具体的には、設備の起動、停止、運転条件設定、各種故障情報、各種警告情報、定期点検情報、設置温度などの運転環境、運転累積時間、部品交換情報、調整情報、清掃情報など)などの付帯情報を取り込み、異常を高感度に検知する。
同図に示すように、予兆検知25により早期に予兆として発見できれば、故障となって稼動停止となる前に、何らかの対策がうてることになる。そして、部分空間法などの予兆検知たイベント列照合などにより検知した予兆に基づき、異常診断を行い、故障候補の部品の特定やいつ当該部品が故障停止に至るかなどを推測する。そして、必要な部品の手配を、必要なタイミングで行う。
異常診断26は、予兆を内包しているセンサを特定する現象診断と、故障を引き起こす可能性のあるパーツを特定する原因診断に分けると考えやすい。異常検知部では、異常診断部に対して、異常の有無という信号のほか、特徴量に関する情報を出力する。異常診断部は、これらの情報をもとに診断を行う。
図5に、本発明の異常検知システムのハードウェア構成を示す。異常検知を実行するプロセッサ119に、対象とするエンジンなどのセンサデータを入力し、欠損値の修復などを行って、データベースDB121に格納する。プロセッサ119は、取得した観測センサデータ、学習データからなるDBデータを用いて、異常検知を行う。表示部120では、各種表示を行い、異常信号の有無や、後述する異常説明のメッセージを出力する。トレンドを表示することも可能とする。後述するイベントの解釈結果も表示可能とする。
データベースDB121は、熟練エンジニアらがDBを操作できる。特に、異常事例や対策事例を教示でき、格納できる。(1)学習データ(正常)、(2)異常データ、(3)対策内容が、格納される。データベースDBを、熟練エンジニアらが手を加えられる構造にすることにより、洗練された、有用なデータベースができあがることになる。また、データ操作は、学習データ(個々のデータや重心位置など)を、アラームの発生や部品交換に伴い、自動的に移動させることにより行う。また、取得データを自動的に追加することも可能である。異常データがあれば、データの移動に、一般化ベクトル量子化などの手法も適用できる。
図1に示される複数の識別器13はいくつかの識別器(h1、h2、・・・)を準備し、それらの多数決をとる(統合14)ことが可能である。即ち、異なる識別器群(h1、h2、・・・)を用いたアンサンブル(集団)学習が適用できる。図6にその構成例を示す。例えば、第一の識別器は投影距離法、第二の識別器は局所部分空間法、第三の識別器は線形回帰法と言ったものである。事例データに基づくものならば、任意の識別器が適用可能である。
まず、本発明の異常検知システムの実施例1である正常事例を主に格納した学習データの蓄積と更新、及び改良について、特に、データを増やす場合を含む例を説明する。図7は、本発明の実施例1の正常事例を主に格納した学習データの蓄積と更新の編集の動作フローを示し、図8に本発明の実施例1の学習データの構成ブロック図を示す。いずれも、図5に示したプロセッサ119にて実行される内容である。
図7において、観測データと学習データのデータ間の類似度に着目する。観測データの異常・正常情報(S31)を入力し、観測データを取得(S32)し、学習データからデータを読み出し(S33)、データ間で類似度を算出(S34)し、類似度を判定(S35)して、学習データからのデータ削除、追加を判断(S36)し、学習データへのデータの追加や削除(S37)を行う。すなわち、類似度が低い場合には、そのデータが正常であるが、既存の学習データに包含されていないデータであるか、そのデータが異常であるという二通りのケースがある。前者の場合は、学習データに追加し、後者の場合には、観測データを学習データに追加しない。類似度が高い場合には、そのデータが正常であれば、学習データにはそのデータが包含されていると考え、観測データは学習データに追加せず、データが異常の場合は、学習データから選択したデータも異常と考え、これを削除する。
図8において、本発明の実施例1の異常検知システムは、観測データ取得部31、学習データ記憶・更新部32、データ間の類似度算出演算部33、類似度判定部34、学習データからの削除・追加判断部35、及びデータ削除、追加指示部36から構成される。データ間の類似度算出演算部33が、観測データ取得部31からの観測データと学習データ記憶・更新部32からの学習データの類似度の算出演算を行い、類似度判定部34が類似度の判断を行い、学習データからの削除・追加判断部35が学習データからの削除・追加を判断し、データ削除、追加指示部36が学習データ記憶・更新部32からの学習データの削除・追加を実行する。
このようにして、更新した学習データを用いて、あらたに取得した観測データと、学習データに含まれる個々のデータの乖離度に基づいて、観測データの異常を検知する。学習データにクラスタを属性として付加することもできる。クラスタ毎に学習データが生成・更新されることになる。
次に、本発明の異常検知システムの実施例2である正常事例を主に格納した学習データの蓄積と更新、及び改良の最も簡単な例について説明する。図9に、動作フローを示し、図10にブロック図を示す。いずれも、図5に示したプロセッサ119にて実行される内容である。学習データの重複を減らし、適切なデータ量にするものである。このため、データ間の類似度を用いる。
図9において、学習データからデータ読み出し(S41)を行い、学習データに含まれるデータに対して、逐次、データ間の類似度を算出(S42)し、類似度判定(S43)を行って、類似度が近い場合には、データが重複していると考え、学習データからデータ削除(S44)を行って、データ量を削減して、容量を最小限にするものである。
類似度が、いくつかのクラスタ、グループに分かれる場合は、ベクトル量子化と呼ばれる手法になる。類似度の分布を求め、分布が混合分布のときは、各分布の中心を残す手法も考えられ、一方、各分布のすそを残すという手法も考えられる。こういった種々の手法により、データ量を減らすことができる。学習データの量が減れば、観測データとの照合の負荷も小さくなる。
図10において、本発明の実施例2の異常検知システムは、学習データ記憶部41、データ間の類似度算出演算部42、類似度判定部43、学習データからの削除・追加判断部44、及びデータ削除指示部45から構成される。データ間の類似度算出演算部42が学習データ記憶部41から読み出した複数の学習データ間の類似度を算出・演算し、類似度判定部43が類似度を判定し、学習データからの削除・追加判断部44が学習データからの削除・追加の判断を行い、データ削除指示部45が学習データ記憶部41内の学習データの削除指示を実行する。
次に、図11を用いて、本発明の異常検知システムの実施例3である別の手法を説明する。図7、図9と同様に、図11は動作フローを示し、図12はブロック図を示す。いずれも、図5に示したプロセッサ119にて実行される内容である。
あとで説明するイベント解析の結果も、ここでは照合する。
図11に示すように、ここでは、学習データからデータ読み出し(S51)を行い、学習データに含まれる個々のデータ間の類似度を算出(S52)し、それぞれに対して類似度の高い上位k個のデータを求める(S53)ことを行い(いわゆるk−NN法:k-Nearest Neighbor法と呼ばれる手法と同様)、これにより得られる学習データのデータを対象に、その頻度分布を算出(S55)し、その頻度分布に基づいて、正常事例の存在範囲を決定(S55)する。k−NN法の場合、類似度は、特徴空間内の距離になる。更に、イベント解析(S56)の結果をも照合し、観測データの乖離度を算出(S57)し、異常の有無と異常の説明のメッセージを出力する。
図12において、本発明の実施例3の異常検知システムは、観測データの乖離度算出部51、頻度分布生成による正常範囲決定部52、正常事例からなる学習データ53、及びデータ間の類似度算出部54を備えている。図12に示すように、データ間の類似度算出部54は、学習データに含まれる個々のデータ間の類似度を算出し、それぞれに対して類似度の高い上位k個のデータを求め、類似度の高い上位k個のデータを頻度分布生成による正常範囲決定部52に指示する。頻度分布生成による正常範囲決定部52は、頻度分布に基づいて、代表値、上限値、下限値、パーセンタイルなどの値を少なくても一つ以上設定する。観測データの乖離度算出部51は、これらの設定値を用いて観測データのどの要素が異常かを特定し、異常の有無を出力する。さらに、なぜ異常と判定したのかなど、異常の説明メッセージを出力する。ここで、上限値、下限値、パーセンタイルなどの設定値は、クラスタ毎に異なる値を設定してもよい。
本発明の実施例3の異常検知システムによる具体例を図13と図14に示す。図13は、中段が、観測されたセンサ信号の時系列データである。これに対し、上段が、このセンサ信号データに対して、ほかの時刻のセンサ信号データから、類似しているとして、選択された回数を頻度として表したものである。毎回、上位k個(kはパラメータ)、ここでは5個が選択されている。この頻度分布をもとに、観測されたセンサ信号のどのレベルが選ばれたのかを示したものが、図14である。
図14には、代表値、上限値、下限値も併せて示した。この代表値を、図13の観測されたセンサ信号の時系列データの上にも、代表値、上限値、下限値として示した。この例では、上限値と下限値の幅が狭いことが分かる。これは、類似しているとして、選択されたデータを上位5個(パラメータk)のみに限定としたことに起因する。すなわち、代表値に近いところに、上限値、下限値が存在する。パラメータkを大きくすれば、この上限値と下限値の幅は拡大する。このレンジが、観測されたセンサ信号の代表的レンジということになる。そして、この領域からのはずれ度合いの大小によって、データの異常の有無を判断することになる。
また、図14を見ると、データの頻度分布が、いくつかのグループ(カテゴリ)になっていることが分かる。これより、観測されたセンサ信号データは、いくつかのレベルを選択的にとり得ることが分かる。この分布カテゴリから、データの存在範囲を細かく決定することも可能である。図13では、代表値、上限値、下限値を、一定値としてプロットしたが、時刻などとともに変わるものとしてもよい。例えば、学習データを運転環境や運転条件に合わせて、複数用意し、これによって、推移させてもよい。
また、図15は本発明の実施例4の異常検知システムにおいて、設備が発生するイベント情報を示したものである。横軸が時刻を示し、縦軸がイベント発生頻度を表す。イベント情報とは、設備に対する作業者の操作、設備が発する警告(設備停止には至らない)、故障(設備停止に至る)、定期点検などである。設備の発生した設備停止や警告に関するアラーム情報を収集する。
本発明の実施例4の異常検知システムでは、学習データから、設備の発生した設備停止や警告に関するアラーム情報を含む区間を除くことにより、良質の学習データを生成する。また、本発明の実施例4の異常検知システムでは設備が発生した異常を含む範囲を除くことにより、良質の学習データを生成することができる。
本発明の実施例4の異常検知システムによる具体例を図16と図17に示す。もちろん、イベント情報を解析すれば、これだけでも、異常予兆の検知が可能な場合もあるが、センサ信号を対象にした異常検知と、イベント情報を対象にした異常検知を組み合わせれば、より高精度な異常検知が可能になり、また、観測データと学習データの類似度算出において、イベント情報により、類似度算出の対象となる学習データの取捨選択を行い、学習データを絞り込むことが可能となる。
通常の類似度算出は、全探索と呼ばれる、全データを対象にする場合が多いが、本実施例で述べたように、クラスタという属性に基づいて、対象データを限定したり、またさらにはイベント情報に基づいて、運転状態や運転環境などでモード分けを実施し、対象モードを絞り込むことにより、対象データを限定することも可能であり、
これにより、異常予兆検知の精度を向上できる。これは、例えば、図16や図17に示すように、すなわち、状態A、B、Cという3種類の状態を分けて表示したが、状態別に考えることにより、よりコンパクトな学習データを対象にするのと同じになり、結果として見逃し防止になり、異常予兆検知の精度を向上できる。また、類似度算出の対象データとなる学習データを限定できるので、類似度算出の計算負荷も低減することが可能となる。
イベントの解釈には、例えば、一定間隔で発生頻度を把握したり、イベントの組み合わせ(ジョイント)の発生頻度を把握したり、特定のイベントに着目したり、様々な方法が適用できる。イベントの解釈は、テキストマイニング等の技術も活用できる。例えば、アソシエーションルールや、それに時間軸要素を加味した逐次ルールなどの分析手法が適用できる。例えば、図1に示した異常の説明メッセージは、上述したイベント解釈の結果も加えて、異常と判定した根拠を示すものである。例えば、下記のようなものがある。
・異常測度が、異常判定のしきい値を、設定した期間に、設定した回数以上、超えた。
・異常測度が、異常判定のしきい値を超えた主要因は、センサ信号「A」「B」である。
(センサ信号の異常への寄与率の一覧も表示)
・イベント「C」と同期して、異常測度が、異常判定のしきい値を超えた。
・定めたイベント「D」「E」の組み合わせが、設定した期間に、設定した回数以上発生し、異常と判定した。
本発明の実施例6の異常検知方法を図18に示す。本発明の実施例6において対象とする信号の例を図19に示す。対象信号は、図19に示すような複数の多次元時系列信号130である。ここでは、系列1,2,3、4という4種類の信号を表している。実際には、信号は4種類に限るものではなく、数百から数千と言った数になる場合もある。
各信号が、対象プラントや設備に設けられた複数のセンサからの出力に相当する。例えば、シリンダ、オイル、冷却水などの温度、オイルや冷却水の圧力、軸の回転速度、室温、運転時間などが、いろいろなセンサから、1日に数回ないしリアルタイム等、定めた間隔で観測される。出力や状態を表すのみならず、何かを制御するための制御信号(入力)の場合もある。ON/OFF制御のこともあれば、一定値になるように制御する場合もある。これらのデータは、お互いに相関が高いものや低いものがある。これら全ての信号が、対象になり得る。これらのデータを見て、異常の有無を判断する。ここでは、多次元時系列信号として扱う。
図18に示した異常検知方法について説明する。まず、多次元時系列信号を多次元信号取得部101にて取得する。次に、取得した多次元時系列信号が、欠損している場合があるため、欠損値の修正・削除を欠損値の修正・削除部102にて行う。欠損の修正は、例えば、前後のデータの置換えや移動平均の置換えが一般的である。削除は、多くのデータが同時に0にリセットされた時など、データとしての異常を排除するものである。欠損値の修正・削除は、設備の状態やエンジニアの知識を状態データ/知識3というDBに蓄えておき、これをもとに行う場合もある。
次に、修正・削除された多次元時系列信号に関して、相関解析による無効信号の削除を、相関解析による無効信号の削除部104にて行う。これは、図20にて相関行列131の例を示すように、多次元時系列信号に対して相関解析を行い、相関値が1に近い複数の信号がある場合など、極めて類似性が高い場合に、これらは冗長だとして、この複数の信号から重複する信号を削除し、重複しないものを残すものである。この場合も、状態データ/知識3に格納した情報に基づいて、削除する。
次に、データの次元削減を主成分分析部5にて行う。ここでは、主成分分析により、M次元の多次元時系列信号を、次元数rのr次元多次元時系列信号に線形変換する。主成分分析は、ばらつき最大となる軸を生成するものである。KL変換でも構わない。次元数rは、主成分分析により求めた固有値を降順に並べ、大きい方から加算した固有値を全固有値の和で割り算した累積寄与率なる値に基づいて決める。
次に、r次元の多次元時系列信号に対して、軌跡分割によるクラスタリングを軌跡分割によるクラスタリング部106にて行う。図21にそのクラスタリンク132の模様を示す。図21の左上の3次元表示(特徴空間と呼ぶ)は、主成分分析後のr次元の多次元時系列信号を寄与率の高い3次元で表示したものである。この状態では、まだ対象設備の状態が複雑なものとして観測されていることが分かる。図21の残りの八つの3次元表示は、軌跡を時間に沿って追跡し、クラスタリングを実施したものであり、各クラスタを表している。
クラスタリングは、時間に沿ってデータ間の距離が定めたしきい値を超えれば、別のクラスタとし、しきい値を超えなければ、同じクラスタとして扱うものである。これにより、クラスタ1、3、9、10、17は、運転ONの状態のクラスタであり、クラスタ6、14、20は、運転OFFの状態のクラスタに別れていることが分かる。クラスタ2など、図示していないクラスタは、過渡期のものである。これらのクラスタを分析すると、運転ONの状態では、線状に軌跡移動していることが伺え、運転OFFの状態では、不安定な軌跡移動していることが伺える。このように、軌跡分割によるクラスタリングは、いくつかのメリットがあることが分かる。
運転ONの状態、運転OFFの状態など、複数の状態に分類できる。
(1)運転ONの状態に見られるように、これらのクラスタは、例えば線形など、低次元のモデルで表現できる。
これらのクラスタリングは、設備のアラーム信号や保全情報を加味して、これらのひも付きとして、実施してもよい。具体的には、各クラスタに、アラーム信号などの情報が属性として付加される。
図22に、特徴空間にて、クラスタリングによりラベルを付けた状態のほかの例を表す。図23は、一つの時系列信号の上に、クラスタリングのラベリング結果133を表示したものである。この場合、クラスタは16個生成でき、時系列信号が、16個のクラスタに分割されている様子が分かる。運転時間(累積時間)も重ねて表示した。水平になっている部分は、運転OFFである。運転ONと運転OFFが、精度良く分離できていることが分かる。
上述した軌跡クラスタリングにおいて、クラスタ間の過渡期の扱いには、注意が必要である。分割したクラスタ間の過渡期には、少数データからなるクラスタが分割抽出される可能性がある。図23にも、ステップ的に縦軸方向に変化している少数データからなるクラスタ134が見られる。この少数データからなるクラスタは、センサデータの過渡期、大きく値が変化している箇所を表し、前後のクラスタにまとめて扱うべきか、独立として扱うべきか、判断が必要である。多くの場合は、独立に扱い、過渡期のデータとして、ラベル付けして、学習データとして蓄積するのがよい。すなわち、データが時間的に変化する過渡期を、軌跡分割によるクラスタリング部106にて求め、過渡期のデータに属性を付加して、学習データとして収集する。もちろん、前後のクラスタのいずれかにまとめて、一括処理してもよい。
次に、クラスタリングされた各クラスタを対象に、低次元部分空間でのモデル化を、各クラスタを対象にモデル化部108にて行う。正常部限定である必要はなく、異常が混入することは問題ない。ここでは、例えば、回帰分析によりモデル化を行う。回帰分析の一般式は、下記のとおりである。「y」が、クラスタごとのr次元の多次元時系列信号に相当する。「X」が、yを説明する変数である。「y〜」がモデルになる。「e」は偏差である。
y:目的変数(r列)
b:回帰係数(1+p列)
X:説明変数行列(r行、1+p列)
||y−Xb||⇒min
b=(X’X)−1X’y(’は転置を表す)
y〜=Xb=X(X’X) −1X’y(説明変数の影響を表す部分)
e=y−y〜(y〜で近似できない部分。説明変数の影響を取り除いた部分)
ただし、rank X=p+1
ここでは、各クラスタのr次元の多次元時系列信号に対し、データのN個抜き(N=0,1,2,・・・)の回帰分析を行う。例えばN=1の場合は、異常信号が1種混入していると考え、これを除いた信号を「X」としてモデル化する。N=0の場合は、全r次元多次元時系列信号を扱うことになる。
回帰分析以外に、CLAFIC法や投影距離法等の部分空間法を適用してもよい。そして、モデルからの偏差をモデルからの偏差算出部109にて求める。図24に一般的なCLAFIC法135を図解して示す。2クラス、2次元パターンの場合を示す。各クラスの部分空間、即ち、ここでは1次元の直線として表される部分空間を求める。
一般的には、各クラスのデータの自己相関行列を固有値分解して、固有ベクトルを基底として求める。値が大きい、上位何個かの固有値に対応する固有ベクトルを用いる。未知パターンq(最新の観測パターン)が入力されると、部分空間への正射影の長さ、或いは部分空間への投影距離を求める。そして、正射影の長さが最大、或いは投影距離が短いクラスに、未知パターン(最新の観測パターン)qを分類する。
図24では未知パターンq(最新の観測パターン)は、クラスAに分類される。図19に示した多次元時系列信号では、基本的に正常部を対象とするため、1クラス識別の問題になるので(図18にて図示)、クラスAを正常部とし、未知パターンq(最新の観測パターン)からクラスAまでの距離を求めて、これを偏差とする。そして、偏差が大きいと、はずれ値と判断する。このような部分空間法では、異常値が若干混ざっていても、次元削減し、部分空間にした時点で、その影響が緩和される。部分空間法適用のメリットである。
なお、投影距離法では、各クラスの重心を原点とする。各クラスの共分散行列にKL展開を適用して得られた固有ベクトルを基底として用いる。いろいろな部分空間法が立案されているが、距離尺度を有するものならば、はずれ度合いが算出可能である。なお、密度の場合も、その大小により、はずれ度合いを判断可能である。CLAFIC法は、正射影の長さを求めることから、類似度尺度である。
このように、部分空間にて距離や類似度を計算し、はずれ度合いを評価することになる。投影距離法などの部分空間法は、距離に基づく識別器のため、異常データが利用できる場合の学習法として、辞書パターンを更新するベクトル量子化や距離関数を学習するメトリック学習を使うことができる。
また、局所部分空間法と呼ぶ、未知パターンq(最新の観測パターン)に近いk個の多次元時系列信号を求め、各クラスの最近傍パターンが原点となるような線形多様体を生成し、その線形多様体への投影距離が最小となるクラスに未知パターンを分類する方法も適用できる(図25の局所部分空間法の枠内参照)。局所部分空間法も部分空間法の一種である。
既に説明したクラスタリング後の各クラスタに対して、局所部分空間法を適用することになる。kは、パラメータである。異常検知では、先ほどと同様に、1クラス識別の問題になるので、大多数のデータが属するクラスAを正常部とし、未知パターンq(最新の観測パターン)からクラスAまでの距離を求めて、これを偏差とする。
この手法では、例えば、k個の多次元時系列信号を用いて形成される部分空間への、未知パターンq(最新の観測パターン)からの正射影した点を推定値として算出することもできる(図25の局所部分空間法の枠内に説明した推定値なるデータ)。また、k個の多次元時系列信号を、未知パターンq(最新の観測パターン)に近い順に並べ替え、その距離に反比例した重み付けを行って、各信号の推定値を算出することもできる。投影距離法などでも、同様に推定値を算出できる。
パラメータkは通常は1種類に定めるが、パラメータkをいくつか変えて実行すると、類似度に応じて対象データを選択することになり、それらの結果から総合的な判断136が可能となるため、一層効果的である。局所部分空間法では、クラスタ内の選択したデータを対象とするため、異常値が若干混ざっていても、局所部分空間にした時点で、その影響が大きく緩和される。
クラスタに無関係に、未知パターンq(最新の観測パターン)に近いk個の多次元時系列信号を求め、k個のうち最も多くが属すクラスタが未知パターンqが属すクラスタであると判定し、このクラスタが属す学習データを対象に、再度、未知パターンqに近いL個の多次元時系列信号を求め、これを用いて局所部分空間法を適用することもできる。
局所部分空間法の「局所」という概念は、回帰分析にも適用可能である。即ち、「y」として、観測未知パターンqに近いk個の多次元時系列信号を求め、このyのモデルとして、「y〜」を求め、偏差「e」を算出する。
なお、単に、1クラス識別の問題と考えれば、1クラスサポートベクターマシンなどの識別器も適用可能である。この場合、高次空間に写像する、radial basis functionなどのカーネル化が使えることになる。1クラスサポートベクターマシンでは、原点に近い側が、はずれ値、即ち異常になる。ただし、サポートベクターマシンは、特徴量の次元は大きくても対応できるが、学習データ数が増えると計算量が膨大となるという欠点もある。
このため、MIRU2007(画像の認識・理解シンポジウム、Meeting on Image Recognition and Understanding 2007)にて発表されている、「IS−2−10 加藤丈和,野口真身,和田俊和(和歌山大),酒井薫,前田俊二(日立);パターンの近接性に基づく1クラス識別器」などの手法も適用可能であり、この場合、学習データ数が増えても、計算量は膨大なものとならないというメリットがある。
次に、回帰分析を例にとり、実験例を説明する。図26に、N=0とし、線形回帰分析により、r次元多次元時系列信号をモデル化し、そのモデルと実測値の偏差を図示した例137を示す。図27は、参考に、軌跡分割によるクラスタリングを実施しない場合の例138である。図26の場合、偏差が大きいのは、運転OFFの区間、および、運転ONの区間で時系列信号が振動的な振舞いをしている場合である。最後に、はずれ値検出部110にてはずれ値を求める。ここでは、しきい値との大小をチェックする。検出された異常信号は、主成分分析後であるため、これを逆変換し、元の信号がどのような割合で合成されて、異常と判断されたかを確認することもできる。
このように、軌跡分割によるクラスタリングを中心に、低次元モデルで多次元時系列信号を表現することにより、複雑な状態を分解でき、簡単なモデルで表現できるため、現象を理解しやすいという利点がある。また、モデルを設定するため、SmartSignal社の方法のように完全に、データを完備する必要はない。データの欠落があっても良いというメリットがある。
次に、局所部分空間法の適用例139を図28に示す。信号を前半と後半に分け(交差確認と呼ぶ検証方法に従った)、それぞれを学習データとして、残りのデータまでの距離を求めた例である。パラメータkは10とした。kをいくつか変えて、それらの多数決をとれば、安定な結果が得られる(後述するバギングという手法と同様の考えに基づく)。この局所部分空間法では、データのN個抜きが、自動で行われるというメリットがある。同図適用例では、運転OFF中の不規則な挙動が、検知されている。
上記例では、クラスタリングの必要性も緩和されるが、観測データが属しているクラスタ以外を学習データとし、このデータと観測データに局所部分空間法を適用してもよい。この方法によれば、別クラスタからの乖離度を評価できる。投影距離法も同様である。図29にそれらの例140を示す。観測データが属しているクラスタ以外を学習データとした。この考えは、時系列データのように類似データが連続する場合に、最も類似したデータを「局所」領域から排除できるため、効果的である。なお、データのN個抜きは、特徴量(センサ信号)として説明したが、時間軸方向のデータであってもよい。
次に、データの表現形態を、いくつか図を用いて説明する。図30に幾つかの例を示す。図30の左側の図141は、主成分分析後のr次元時系列信号を2次元表示したものである。データの振舞いを可視化した例となる。図30の右側の図142は、軌跡分割によるクラスタリングを実施し、クラスタを図示したものである。クラスタ毎に、簡単な低次のモデル(ここでは直線)で表現した例である。
図31の左側の図143は、データの動く速さが分かるように図示した例である。後述のWavelet解析を適用すれば、速さ、即ち周波数も分析可能、そして多変量として扱うことが可能となる。図31の右側の図は、図30の右側の図144で示したモデルからの偏差が分かるように表示した例である。
図16の左側の図90は、別の例である。距離基準などに基づき類似と判定したクラスタをマージし(同図では、隣接したクラスタのマージを示した)、マージ後のモデルを示し、かつモデルからの偏差を図示した例である。図16の右側の図91は、状態を表現したものである。状態A、B、Cという3種類の状態を分けて表示した。状態を分けて考えると、図17の左側の図に示すように、状態Aの変化などを図示可能となる。
図23の例で考えると、同じ運転ONの状態でも、運転OFFの前後で、異なる挙動を示しており、これらを特徴空間の中で表現できることなる。図17の右側の図93は、過去の学習データから得られたモデル(低次の部分空間)からの変化を示したものであり、状態変化を観察できる。このように、データを加工し、加工したデータをユーザに示し、現在の状況を可視化することにより、より良い理解を促すことができる。
次に、本発明の別の実施例7を説明する。既に説明したブロックは省略する。図32に異常検知方法を示す。ここでは、各クラスタの特徴量選択でのモデル化部111において、か各クラスタに対し、r次元多次元時系列信をランダムに定めた個数分選択する。ランダム選択により、
(1)全ての信号を使う場合に見えなかった特性が現れる
(2)有効ではない信号を除く
(3)全ての組み合わせより、短時間で計算できる
という利点がある。
さらに、時間軸方向にr次元多次元時系列信号をランダムに定めた個数分選択するという選択も考えられる。ここでは、クラスタを単位とすることもあるが、クラスタ内を区分し、これらを定めた個数分、ランダムに選択する。
図33に別の実施例8を示す。アラーム信号/保全情報107を処理して一定区間の累積ヒストグラムを作成する部分112を付加した。図34の上図に示すようにアラーム信号の発生履歴を取得する。そして、そのヒストグラム150を表示する。頻度が高い区間は、異常の度合いが高いことは容易に想像ができる。そこで、図34の下図151に示すように、ヒストグラムの頻度も考慮して、図16に示す異常特定部113にて、アラーム信号とはずれ値を組み合わせて異常の度合いや信頼度を付加したり、異常判定を行う。
図35に別の実施例9を示す。Wavelet(変換)解析を付加した例である。Wavelet解析信号付与部14において、M次元の多次元時系列信号を対象に、図36に示すWavelet解析160を行い、これらの信号をM次元の多次元時系列信号に加える。M次元の多次元時系列信号と置換することも可能である。このような新規に加えられたり、置換されたりした多次元時系列信号を対象に、局所部分空間法などの識別器により、異常を検知する。
なお、図36の左上図は後で説明する図37のWavelet変換161におけるスケール1の信号に該当し、図36のWavelet解析160の右上図は後で説明する図37におけるスケール8の変動に該当し、図36のWavelet解析160の左下図は図37におけるスケール4の変動に該当し、図36のWavelet解析160の右下図は図37におけるスケール2の変動に該当する。
Wavelet解析は、多重解像度表現を与えるものである。図37にWavelet変換を図解して示す。スケール1の信号がもとの信号である。これを順次隣と加算してスケール2の信号を作り、元の信号との差を算出して、スケール2の変動信号を生成する。順次、これを繰り返すと、最後に、スケール8の一定値の信号とその変動信号が得られ、結局、元の信号は、スケール2、4、8の各変動信号とスケール8の直流信号に分解できる。従って、このようなスケール2、4、8の各変動信号を、新たな特徴的信号とみなして、多次元時系列信号に追加して扱う。
パルスやインパルスなどの非定常信号では、フーリエ変換を行って得られる周波数スペクトルは全域に広がり、個々の信号について特徴を抽出することが困難である。時間に局在したスペクトルを得ることができるWavelet変換は、化学プロセスのような、パルスやインパルスなどを含む、非定常な信号を多く含むデータを対象にした場合に都合がよい。
また、一次遅れをもつ系では、時系列の状態だけでは、そのパターンを観測困難であるが、時間・周波数領域上では、識別可能な特徴が現れることがあり、Wavelet変換が有効な場合が多い。
なお、Wavelet解析の応用は、電気学会編集で、新誠一著の「ウェーブレット解析の産業応用」2005年、朝倉出版にくわしい。化学プラントの制御系診断、空調プラント制御における異常検知、セメントの焼成プロセスの異常監視、ガラス溶解炉制御など、多くの対象に適用されている。
本実施例における、従来技術との相違点は、Wavelet解析を多重解像度表現として扱い、もとの多次元時系列信号の情報を、Wavelet変換により顕在化した点にある。その上で、これらを多変量として扱うことにより、異常が微弱な段階から早期に検知できる。即ち、予兆として早期に検知可能となる。
図38に別の実施例10を示す。散布図・相関解析部115を付加した例である。r次元の多次元時系列信号を対象に、散布図解析170・相互相関解析171を行った例を図39に示す。図39の相互相関解析171では、遅れのラグ(lag)を考慮している。通常、相互相関関数の最大値の位置をラグと呼ぶ。この定義に従えば、二つの現象に関する時間のずれは、相互相関関数のラグに等しい。
ラグの正負は、二つの現象のどちらが早く起こるかにより決まる。このような散布図解析や相互相関解析の結果は、時系列信号間の相関を表すものであるが、各クラスタの特徴付けにも活用でき、クラスタ間の類似性の判断指標となり得るものである。例えば、ラグの量の一致度により、クラスタ間の類似性を判断する。これにより、図30に示した類似したクラスタのマージ等が可能となる。マージ後のデータを用いてモデル化する。なお、マージの方法は、他の手法であってもよい。
図40に別の実施例11を示す。時間・周波数解析部116を付加した例である。r次元の多次元時系列信号を対象に、時間・周波数解析180を行った例を図41に示す。時間・周波数解析180、或いは散布図・相関解析を行い、これらの信号をM次元の多次元時系列信号に加える、またはM次元の多次元時系列信号と置換することも可能である。
図42に別の実施例12を示す。学習データのDB117とモデル化(1)118を付加した例である。図43に、その詳細を示す。モデル化(1)118により、学習データを対象にそれを複数のモデルとしてモデル化し、観測データとの類似性を判断して該当モデルを当てはめ、観測データとの偏差を算出する。モデル化(2)108は、図16と同様の部分であり、これから、観測データから得られるモデルとの偏差を算出する。
そして、モデル化(1)(2)のそれぞれの偏差から、状態変化を算出し、総合偏差を算出する。ここで、モデル化(1)(2)を均等に扱うことも可能であるが、重み付けをしてもよい。即ち、学習データを基本と考えれば、モデル(1)の重みを大きくし、観測データを基本と考えれば、モデル(2)の重みを大きくする。
図31に示した表現に従えば、モデル(1)で構成した部分空間モデルをクラスタ間で比較すれば、そしてそれらが本来同一状態のクラスタならば、その状態変化を知ることができる。そして、観測データの部分空間モデルがそれから移動していれば、状態変化を読み取ることができる。状態変化が、部品交換など意図するものであれば、即ち、設計側が知っており、それによる変化を許容すべきであれば、モデル(1)の重みを小さくし、モデル(2)の重みを大きくする。状態変化が、意図しないものであれば、モデル(1)の重みを大きくする。
例えば、パラメータαを、モデル(1)の重みとして使えば、
α×モデル(1)+(1−α)×モデル(2)
として定式化できる。
モデル(1)の重みを、古いものほど小さくするという忘却形のものでもよい。この場合、最近のデータに基づくモデルが重視されることになる。
図43において、物理モデル122は、シミュレーションにより対象エンジンなどを模擬したモデルである。対象知識が十分にある場合は、対象エンジンなどを離散時間(非)線形状態空間モデル(状態方程式などで表現)で表現できるので、その中間値や出力などを推定可能となる。従って、この物理モデルに従えば、このモデルからの偏差に基づいて、異常検知を行うことも可能となる。
もちろん、物理モデルに従って、学習データのモデル(1)を修正することも可能である。或いは、逆に、学習データのモデル(1)に従って、物理モデルを修正することも可能である。物理モデルの変形として、過去の実績としての知見を、物理モデルとして組み込むことも可能である。アラームの発生や部品交換に伴うデータの遷移を、物理モデルに組み込むことも可能である。或いは、学習データ(個々のデータや重心位置など)を、アラームの発生や部品交換に伴い、移動させてもよい。
なお、図43に対して、図18から図42までに示したように、物理モデルに対して、統計モデルを主に使うのは、データを生み出すプロセスについての理解が少ない場合に、統計モデルが有効であることによる。距離や類似性は、データの生成過程が不明瞭でも、定義できる。画像が対象である場合も、画像生成過程が不明瞭なとき、統計モデルは有効である。対象に関する知識が、すこしでも利用できる場合には、物理モデル22が活用できることになる。
上記各実施例では、エンジンなどの設備を対象に説明したが、時系列信号のたぐいならば、対象にこだわらない。人体の測定データへも適用可能である。本実施例に従えば、状態の数、遷移の回数が多くても、対応可能である。
また、実施例にて説明した各機能、例えばクラスタリング、主成分分析や、Wavelet解析などは、必ず実施するというものでもなく、対象の信号の性質に応じて、適宜実施すればよい。
クラスタリングも、時間軌跡のみならず、混合分布に対するEM(Expectation-Maximization)アルゴリズムやk−meansクラスタリングなどを含め、データマイニング分野における手法が使えることは言うまでもない。得られたクラスタは、これを対象に識別器を適用してもよいが、クラスタをグルーピングして、これを対象に識別器を適用してもよい。
最も簡単な例は、日々の観測データが属するクラスタと、それが属するクラスタ以外に分けることである(図31の右側の特徴空間にて図示した着目データなる現データと、それより時間的に前の過去データに該当)。また、センサ信号(特徴量)の選択は、ラッパー法(例えば、backward stepwise selectionにより、全ての特徴量がある状態から、最も不要な特徴を一つずつ取り除く)など、既存の手法が適用可能である。
さらに、識別器は、図6に示したように、いくつかの識別器を準備し、それらの多数決をとることも可能である。複数の識別器を使う理由は、識別器はそれぞれ異なる基準、異なる対象データ範囲(セグメント分けやその統合に依存)で、はずれ具合いを求めるため、その結果に微妙な違いが生まれるためである。このため、多数決をとって安定化するか、OR(はずれ値そのもの、すなわち多値の場合は最大値検出)論理で、いずれかの識別器で異常が検知されれば異常が発生したとして出力し、異常をのこらず検知しようとするか、AND(多値の場合は最小値検出)論理で、いずれの識別器でも同時に異常が検知されれば異常が発生したとして出力し、誤検知を最小限にするといった、上位基準で識別器を構成する。もちろん、アラーム信号、部品交換などの保全情報などの情報を加味して、上記統合を行うことも可能であることは言うまでもない。
識別器h1、h2、・・・をすべて同じ識別器とし、対象データ範囲(セグメント分けやその統合に依存)を変えて学習することも可能である。例えば、パターン認識の代表的手法であるバギングやブースティングなどの手法も適用できる。この手法の適用により、異常検知に関して、より高い正解率が確保できる。
ここで、バギングは、N個のデータから重複を許して、データをK個取ってきて(復元抽出)、このK個を元に1個目の識別器h1を作り、またN個のデータから重複を許してデータをK個取ってきて、このK個(1個目の識別器と中身が違う)を元に2個目の学習器h2を作ることを続け、異なるデータからいくつかの識別器を作り、実際に判別器として使う時は多数決を取る方法である。
ブースティング(Adaboostと呼ぶ手法)は、N個のデータに均等な重み 1/N をまずは割り当て、1個目の識別器h1はN個全てのデータを用いて学習し、学習した後、データN個に関して正解率を調べ、それを元に信頼度β1(>0)を求める。1個目の識別器が正解したデータの重みをexp(−β1)倍して重みを減らし、正解できなかったデータの重みをexp(β1)倍して重みを増やす。
2個目の識別器h2はN個全てのデータを用いて重み付きの学習を行い、信頼度β2(>0)を求め、データの重みを更新する。2個とも正解したデータの重みは軽く、2個とも間違えたデータの重みは重くなる。以降、これを繰返してM個の識別器を作り、実際に判別器として使う時は信頼度付き多数決を取るものである。これらの手法を、クラスタ群を対象に適用することにより、性能向上が期待できる。
図25に、図6に示した識別器を含んだ、異常検知全体の構成例の一例を示す。軌跡クラスタリング、特徴選択などを経て、アンサンブル学習を行い、高い識別率を達成するものである。線形予測法は、現在までの時系列データを用いて、次の時刻のデータを予測するものであり、この予測値を現在までのデータの一次結合で表し、Yule Walker方程式に基づいて予測する方式である。予測値との誤差が、乖離度になる。
識別器出力の統合の方法は上述した通りであるが、どのクラスタに、どの識別器を適用するかという組み合わせは、いくつか存在する。例えば、観測データとは異なるクラスタに対して局所部分空間法を適用して、異なるクラスタからのはずれ具合いを把握し(推定値も算出する)、観測データと同じクラスタに対しては回帰分析法を適用して、自クラスタからのはずれ具合いを把握する。
そして、それらの識別器出力を統合して、異常判定を行うことができる。他のクラスタからのはずれ具合いを、投影距離法や回帰分析法により行うことも可能である。自クラスタからのはずれ具合いを投影距離法により行うこともできる。クラスタは、アラーム信号が活用できる場合には、アラーム信号の重症度レベルに応じて、重症アラーム信号が付加されていないクラスタを対象にすることもできる。
クラスタ間の類似性を判断し、類似クラスタを統合して、これを対象にすることもできる。識別器出力の統合は、はずれ値の加算、最大・最小、OR/ANDなどのスカラー変換処理でもよいし、識別器の出力をベクトル的に、多次元として扱うこともできる。もちろん、識別器出力のスケールは、極力一致させることとする。
上述したクラスタとの関連の持たせ方に関して、さらに、他クラスタを対象にして第1報の異常検知を行い、自クラスタのデータが収集された時点で自クラスタを対象にして第2報の異常検知を行ってもよい。このようにして、顧客への注意喚起を促すことが可能になる。このように、本実施例は、対象クラスタ群との関係において、信号の振舞い、behaviorに、より着目した実施例と言える。
上述したいくつかの実施例に関する総合的効果をさらに補足する。たとえば、発電設備を所有している会社では、機器の保守費用削減を希望しており、保証期間中に機器を点検、部品交換を実施している。これは時間ベースの設備保全と言われている。
しかし、最近は機器の状態を見て、部品交換を実施する状態ベースの保全に移行しつつある。状態保全を実施するには、機器の正常・異常データを収集する必要があり、このデータの量、質が状態保全の品質を決めてしまう。しかし、異常データの収集は、まれなケースも多く、大型の設備になるほど、異常データを収集することは困難である。従って、正常データから、はずれ値を検出することが重要となる。上述したいくつかの実施例によれば、
(1)正常データから、異常を検知できる、
(2)データ収集が不完全でも精度の高い異常検知が可能となる、
(3)異常データが包含されていても、この影響を許容できる、
といった直接的効果に加え、
(4)ユーザにとって、現象を理解しやすい、
(5)エンジニアの知識を活用できる
(6)物理モデルも併用できる、
と言った副次的な効果がある。
本発明は、プラント、設備の異常検知として利用することが出来る。
1 異常検知システム
2 操作PC
11 多次元時系列信号取得部
12 特徴抽出/選択/変換部
13 識別器
14 統合(グローバル異常測度)
15 主に正常事例からなる学習データデータベース
21 異常測度
22 的中率・虚報率
23 異常予兆の説明性
24 時系列信号の特徴抽出・分類
25 予兆検知
26 異常診断
31 観測データ取得部
32 学習データ記憶・更新部
33 データ間の類似度算出演算部
34 類似度判定部
35 学習データからの削除・追加判断部
36 データ削除、追加指示部
41 学習データ記憶部
42 データ間の類似度算出演算部
43 類似度判定部
44 学習データからの削除・追加判断部
45 データ削除指示部
51 観測データの乖離度算出部
52 頻度分布生成による正常範囲決定部
53 正常事例からなる学習データ
54 データ間の類似度算出部
60 類似度を考慮したセンサ信号
70 センサ信号レベルの頻度分布
80 付帯情報;イベント情報
90 特徴空間内のクラスタのマージモデルからの偏差
91 特徴空間内の個別状態
92 特徴空間内の状態の変化
93 特徴空間内の状態の学習、変化をモデル化
101 多次元信号取得部
102 欠損値の修正・削除部
103 状態データ・知識データベース
104 相関解析による無効信号の削除部
106 軌跡分割クラスタリング
107 アラーム信号/保全情報
108 各クラスタ対象のモデル化部
109 モデルからの偏差算出部
110 はずれ値検出部
111 各クラスタの特徴選択のモデル化部
112 アラーム信号などの一定区間累積ヒストグラム
113 異常特定部
114 Wavelet(変換)解析部
115 各クラスタ軌跡散布図・相関解析部
116 各クラスタ毎時間・周波数解析部
117 学習データ
118 モデル化(1)部
119 プロセッサ
120 表示器
121 データベース
122 物理モデル
123 該当モデル引き当て・偏差算出部
124 状態変化・総合偏差の算出部
130 多次元時系列信号
131 相関行列
132 クラスタの例
133 特徴空間内のラベリング
134 全時系列データの隣接距離(速さ)に基づくラベリング結果
135 r次元部分空間への投影距離が短いクラスへの分類
136 パラメトリック複合統計モデルによる事例ベース異常検知
137 軌跡分割によるクラスタリング実施
138 全時系列データの隣接距離(速さ)に基づくラベリング結果の重回帰
139 局所部分空間法
140 局所部分空間法
141 データの振舞(軌跡)を可視化
142 データをクラスタ毎にモデル化
143 データの変化速度を可視化
144 モデルからの偏差を算出
150 アラーム信号ヒストグラム
151 アラーム信号に異常の度合いや信頼度を付与
160 Wavelet解析
161 Wavelet変換
170 散布図解析
171 相互相関解析
180 時間・周波数解析

Claims (12)

  1. プラントまたは設備の異常を早期に検知する異常検知方法であって、
    複数のセンサからデータを取得し、
    データ間の類似度とそのデータの異常の有無に基づいて、学習データへのデータの追加や削除を行うことにより、学習データを生成・更新し、
    生成・更新した学習データを部分空間法でモデル化し、
    あらたに取得した観測データと、学習データに含まれる個々のデータを局所部分空間法を含む部分空間法でモデル化した部分空間との距離関係に基づいて、観測データの異常を検知することを特徴とする異常検知方法。
  2. 請求項1に記載の異常検知方法であって、
    データベースから学習データを読み出し、
    相互に学習データ間の類似度を求め、類似度が高いものが重複しないようデータを削除することにより、学習データの量を適正化することを特徴とする異常検知方法。
  3. 請求項1に記載の異常検知方法であって、
    前記部分空間法は、投影距離法、CLAFIC法、観測データの近傍を対象とする局所部分空間法、または線形回帰法、線形予測法であることを特徴とする異常検知方法。
  4. 請求項1に記載の異常検知方法であって、
    データが時間的に変化する過渡期を求め、過渡期のデータに属性を付加して、学習データとして収集または、排除することを特徴とする異常検知方法。
  5. 請求項1に記載の異常検知方法であって、
    複数のセンサから観測データを取得し、
    学習データを部分空間法でモデル化し、
    観測データと部分空間の距離関係に基づき、異常を検知し、
    設備の発生するイベント情報を取得し、
    イベント情報を対象にした解析を行い、
    センサ信号を対象にした異常検知と、イベント情報を対象にした解析を組み合わせ、異常を検知することを特徴とする異常検知方法。
  6. 請求項4に記載の異常検知方法であって、
    複数のセンサから観測データを取得し、
    学習データを部分空間法でモデル化し、
    観測データと部分空間の距離関係に基づき、異常を検知し、
    設備の発生するイベント情報を取得し、
    イベント情報を対象にした解析を行い、
    センサ信号を対象にした異常検知と、イベント情報を対象にした解析を組み合わせ、異常を検知し、
    異常の説明を出力することを特徴とする異常検知方法。
  7. プラントまたは設備の異常を早期に検知する異常検知システムであって、
    複数のセンサからのデータを取得するデータ取得部と
    データ間の類似度を算出する類似度算出部と、 データの異常の有無を入力するデータ異常入力部と、 データ間の類似度とデータの異常の有無を用いて、学習データへのデータの追加や削除を指示するデータ追加削除指示部と、 前記データ追加削除指示部の指示により学習データを生成・更新する学習データ生成・更新部と、 学習データを部分空間法でモデル化する部分空間法モデル化部とからなり、
    あらたに取得した観測データと、前記モデル化部によって学習データに含まれる個々のデータを局所部分空間法を含む部分空間法でモデル化された部分空間との距離関係に基づいて、観測データの異常を検知することを特徴とする異常検知システム。
  8. 請求項7に記載の異常検知システムにおいて
    データ間の類似度を算出する類似度算出部と、学習データへのデータの削除を指示するデータ削除指示部からなり、
    相互にデータ間の類似度を求め、類似度が高いものが重複しないようデータを削除することにより、学習データの量を適正化することを特徴とする異常検知システム
  9. 請求項に記載の異常検知システムにおいて、
    前記部分空間法は、投影距離法、CLAFIC法、観測データの近傍を対象とする局所部分空間法、または線形回帰法、線形予測法であることを特徴とする異常検知システム
  10. 請求項に記載の異常検知システムにおいて、
    データが時間的に変化する過渡期を求め、過渡期のデータに属性を付加して、学習データとして収集または、排除することを特徴とする異常検知システム。
  11. 請求項に記載の異常検知システムにおいて、
    複数のセンサから観測データを取得するデータ取得部と、学習データを部分空間法でモデル化する部分空間法モデル化部と、観測データと部分空間の距離関係を算出する距離関係算出部と、異常検知部と、イベント情報を対象にした解析を行うイベント情報解析部からなり、
    複数のセンサから観測データを取得し、
    学習データを部分空間法でモデル化し、
    観測データと部分空間の距離関係に基づき、異常を検知し、
    設備の発生するイベント情報を取得し、
    イベント情報を対象にした解析を行い、
    センサ信号を対象にした異常検知と、イベント情報を対象にした解析を組み合わせて、異常を検知することを特徴とする異常検知システム
  12. 請求項11に記載の異常検知システムにおいて
    複数のセンサから観測データを取得するデータ取得部と、学習データを部分空間法でモデル化する部分空間法モデル化部と、観測データと部分空間の距離関係を算出する距離関係算出部と、異常検知部と、イベント情報を対象にした解析を行うイベント情報解析部と異常の説明を加える異常説明部からなり、
    複数のセンサから観測データを取得し、
    学習データを部分空間法でモデル化し、
    観測データと部分空間の距離関係に基づき、異常を検知し、
    設備の発生するイベント情報を取得し、
    イベント情報を対象にした解析を行い、
    センサ信号を対象にした異常検知と、イベント情報を対象にした解析を組み合わせ、異常を検知し、異常の説明を出力することを特徴とする異常検知システム。
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