図1〜図3、図7及び図8に示されているように、車両10は、車体11に、エンジン(不図示)や補機類などを収納するエンジンルーム14と、乗員が着座するシート(不図示)などを配置した車室12と、エンジンルーム14の側方を覆うフロントフェンダ15,15と、エンジンルーム14の上方を覆うフード16と、車室12と車外とを仕切るフロントガラス(ウインドシールド)17と、フロントガラス17の雨水を払拭するワイパ装置18と、を備える。
さらに、車両10は、フード16とフロントフェンダ15,15との境界線162,164と、センタカウルトップ26と左右のサイドカウルトップ(ヒンジカバー)27,28との境界線161,163とが連続的となるようデザインされており、且つフロントガラス17が前方に向けて大きくラウンド(湾曲)したデザインの車両である。
フード16は、車体11側に設けられたフードヒンジ42を介して開閉自在に車体11側に取付けられている。
ワイパ装置18は、ワイパモータ(不図示)の駆動力をリンク機構(不図示)を介して伝達される左右のワイパ回転軸(ピボット軸)43,44と、ワイパ回転軸43,44に取付けられ、フロントガラス17面に沿ってスイングする左右のワイパアーム45,46と、左右のワイパアーム45,46の先端にそれぞれ取付けられ、フロントガラス17の雨滴を払拭する左右のワイパブレード47,48と、からなる。
カウルトップ25は、車体中央に設けられるセンタカウルトップ26と、該センタカウルトップ26の左右に設けられる左右のサイドカウルトップ(ヒンジカバー)27,28と、センタカウルトップ26の左端と左のサイドカウルトップ27との間に設けられた蓋部材31と、フード16の後端とカウルトップ25の前端をシールするフードシール33(図8参照)と、からなる。
右のサイドカウルトップ28は、フロントフェンダ15に取付けられ、右のフードヒンジ42を覆う。左のサイドカウルトップ27は、フロントフェンダ15に取付けられ、左のフードヒンジ(不図示)を覆う。
カウルトップ構造20は、車幅方向の左側部分のカウルトップ25の構造であて、蓋部材31と、センタカウルトップ26のサイド端部53との組み合わせ構造である。
右のサイドカウルトップ28を右のフロントフェンダ15に取付ける取付構造を、サイドカウルトップの取付構造30として説明する。
図4に示されているように、フロントフェンダ15は、エンジンルーム14(図2)の側方を覆うフェンダ本体121と、該フェンダ本体121のサイドカウルトップ28側の上部に曲げ形成される端末フランジ122と、該端末フランジ122に形成され、サイドカウルトップ28を取付ける略垂直の第1の取付座面123と、該第1の取付座面123よりも車体前方側に設けられた略水平の第2の取付座面124と、からなる。第1の取付座面123は、第2の取付座面124に対して車体後方側に位置する。
第1の取付座面123は、端末フランジ122が延びる方向に沿って端末フランジ122の端縁に形成される。また、第1の取付座面123には、サイドカウルトップ28を取り付けるための丸孔125が形成されている。
第2の取付座面124は、端末フランジ122が延びる方向に直交するよう端末フランジ122の端縁に形成される。また、第2の取付座面124には、サイドカウルトップ28を取り付けるための長孔126が形成されている。
図4及び図5に示されているように、サイドカウルトップ28は、フロントガラス17(図2)側に形成され、フードヒンジ42(図2)を覆うガラス側縦壁部141と、該ガラス側縦壁部141から略直交して形成されるとともに、フロントフェンダ15に向けて延びるフェンダ側横壁部142と、該フェンダ側横壁部142に形成され、端末フランジ122に係合する(引っ掛ける)第1〜第3の引っ掛け部143〜145と、ガラス側縦壁部141の裏面に形成され、第1の取付座面123の丸孔125に嵌合する第1の嵌合部147と、フェンダ側横壁部142の裏面に形成され、第2の取付座面124の長孔126に嵌合する第2の嵌合部148と、からなる。フェンダ側横壁部142は、後方側に頂点を有する略三角形形状を呈する。
詳細には、第1の取付座面123は、端末フランジ122から延出部131が形成され、該延出部131からガラス側縦壁部141に向けて段部132が形成され、該段部132の下端に端末フランジ122から離間する方向に(下方に)向けて延びるよう形成された垂直な座面である。
第2の取付座面124は、端末フランジ122から第1延出部135が形成され、該第1延出部135からガラス側縦壁部141に向けて段部137が形成され、該段部137の下端に端末フランジ122から離間する方向に第2延出部136が形成され、この第2延出部136の下端にガラス側縦壁部141に向けて延びる水平な座面である。
第1の取付座面123が端末フランジ122から段部132を介して形成されることで、延出部131を長く形成する場合にも、第1取付座面123に所定の剛性を確保することができる。
また、第2の取付座面124が端末フランジ122から段部137を介して形成されることで、第1及び第2の延出部135,136を長く形成する場合にも、第2の取付座面124に所定の剛性を確保することができる。さらに、第2の取付座面124と第2の延出部136とで形成されるコーナ部138には、変形防止用のノッチ139a,139bが施されている。この結果、第2の取付座面124の剛性のさらなる向上が期待できる。
これにより、第1及び第2の取付座面123,124の位置を任意に設定することができる。この結果、サイドカウルトップの取付構造30の設計の自由度を拡げることができる。また、車両10(図1)のデザインの自由度も拡がる。
ガラス側縦壁部141とフェンダ側横壁部142とは、断面略L字断面に形成されている。引っ掛け部143〜145は、フェンダ側横壁部142から端末フランジ122に向けて略U字状に形成されている。
第1の嵌合部147は、ガラス側縦壁部141の裏面に形成された略U字状の基部151と、この基部151に形成され、第1の取付座面123の丸孔125に嵌合する嵌合突起152とからなる。
第2の嵌合部148は、フェンダ側横壁部142とガラス側縦壁部141とに形成された基台155と、該基台155からガラス側縦壁部141にほぼ沿って形成され、第2の取付座面124の長孔126に嵌合する嵌合突起156とからなる。
図1に示されているように、サイドカウルトップの取付構造30では、左のサイドカウルトップ27とカウルトップ25とで形成される境界線161は、左のフロントフェンダ15とフード16とで形成される境界線162に連続的に連なる。また、右のサイドカウルトップ28とカウルトップ25とで形成される境界線163は、右のフロントフェンダ15とフード16とで形成される境界線164に連続的に連なる。この結果、車両10の意匠性の向上を図ることができる。
すなわち、サイドカウルトップの取付構造30は、フード16とフロントフェンダ15,15との境界線162,164と、カウルトップ25と左右のサイドカウルトップ27,28との境界線161,163とが連続的に繋がるようにデザインされており、且つフロントガラス17が大きくラウンド(湾曲)したデザインの車両10の実現を図ることができる技術である。
次に、図6(a)〜(c)に基づいて、フロントフェンダ15にサイドカウルトップ28を取付ける手順について説明する。
図6(a)に示されるように、フロントフェンダ15にサイドカウルトップ28を対面させる。第1〜第3の引っ掛け部143〜145を矢印a1〜a3の如く端末フランジ122に臨ませる。なお、後述するように、第1の嵌合部147は、嵌合突起152をa4の如く第1の取付座面123の丸孔125に嵌合する。第2の嵌合部148の嵌合突起156をa5の如く第2の取付座面124の長孔126に嵌合する。
図6(b)に示されるように、第1〜第3の引っ掛け部143〜145を矢印b1〜b3の如く端末フランジ122に引っ掛ける。この状態でサイドカウルトップ28を矢印b4の如く回転させる。これにより、第1の嵌合部147の嵌合突起152(図6(a))は、矢印b5の如く第1の取付座面123の丸孔125に位置する。第2の嵌合部148の嵌合突起156(図6(a))は、矢印b6の如く第2の取付座面124の長孔126に位置する。
図6(c)に示されるように、サイドカウルトップ28を、さらに矢印c1の如く回転させる。これにより、第1の嵌合部147の嵌合突起152は、矢印c2の如く第1の取付座面123の丸孔125(図6(a))に嵌合する。第2の嵌合部148の嵌合突起156は、矢印c3の如く第2の取付座面124の長孔126(図6(a))に嵌合する。
第2の取付座面124に長孔126が形成されているので、第1の嵌合部147に対して略直交した第2の嵌合部148を第2の取付座面124に嵌合することができる。また、第1の嵌合部147は、第1の取付座面123の丸孔125に嵌合する。これにより、フロントフェンダ15に対するサイドカウルトップ28の位置精度を確保しつつ、サイドカウルトップ28をフロントフェンダ15に組み付けることができる。
図4〜図6に示されているように、ヒンジカバーの取付構造30は、カウルトップ25(図1)、フロントフェンダ15及びフロントガラス17で囲まれた空間へ配置され、フード16を開閉自在に支持するフードヒンジ42を隠すサイドカウルトップ28を備える。
フロントフェンダ15は、端末フランジ122と、垂直な第1の取付座面123と、第1の取付座面123に形成された丸孔125と、水平な第2の取付座面124と、第2の取付座面124に形成された長孔126とを有する。また、サイドカウルトップ28は、端末フランジ122に係合する複数の引っ掛け部143〜145と、第1の取付座面123へ係合する第1の嵌合部147と、第2の取付座面124へ係合する第2の嵌合部148と、を有するので、端末フランジ122に引っ掛け部143〜145を係合して回転することで、端末フランジ122にサイドカウルトップ28を容易に取付けできる。すなわち、センタカウルトップ26、フロントフェンダ15及びフロントガラス17により囲まれ、幅狭で長く凹んだ空間にでも、サイドカウルトップ28を容易に取付けることができる。
第1の取付座面123は、第2の取付座面124に対して車体後方側に配置される。例えば、サイドカウルトップ28が後部に頂点を有する略三角形形状であっても、端末フランジ122の端縁に形成され且つ端末フランジ122がの延びる方向に直交して形成される第2の取付座面124を形成することができる。
サイドカウルトップ28は、フロントフェンダ15の表面と面一になる表面を有するフェンダ側横壁部142と、フロントガラス17(図1)側に形成されるガラス側縦壁部141とを備えている。フェンダ側横壁部142とガラス側縦壁部141とは、断面略L字状に形成されているので、例えば、フェンダ側横壁部142を深く形成する必要がある場合にも、端末フランジ122に引っ掛け部143〜145を係合して回転することで、フロントフェンダ15にサイドカウルトップ28を容易に取付けできる。この結果、ヒンジカバー28の設計の自由度を拡げることができる。
本実施例のサイドカウルトップの取付構造においては、図4に示すように、サイドカウルトップに第1〜第3の引っ掛け部143〜145を形成した例を示したが、これに限るものではなく、引っ掛け部の個数を増減することは任意である。
また、第1及び第2の取付座面123,124及び第1及び第2の嵌合部147,148を必要に応じて増やすことも任意である。
図9〜図11を参照すると、センタカウルトップ26は、フロントガラス17側に設けられる中央ベース部55と、フード16側の中央ベース部55から膨出した中央膨出部56とからなる。中央ベース部55は、右のワイパ回転軸44(図7)が配置されるよう形成された右の貫通孔57を有する。右の貫通孔57の廻りには、上方に向けて拡径するリング状の傾斜壁58が形成されている。
中央膨出部56は、該中央膨出部56の前面に形成され、エンジンルーム14に空気を導入する複数の前面空気孔61と、中央膨出部56の上面に形成され、エンジンルーム14に空気を導入する複数の空気導入孔62と、中央膨出部56の前面から前方に向けて突出され、フードシール33(図8)を取付ける中央取付リブ64と、を有する。
センタカウルトップ26のサイド端部53は、中央膨出部56に連ねて形成される端部側膨出部68と、該端部側膨出部68から離隔した外側に設けられた外側膨出部69と、これらの端部側膨出部68と側外膨出部69とで形成された空間領域に形成された凹部71とからなる。
端部側膨出部68は、該端部側膨出部68の上面に形成され、蓋部材31を係止する第1及び第2の係止孔72,73と、端部側膨出部68の上面に形成され、エンジンルーム14に空気を導入する複数の空気導入孔63と、端部側膨出部68の上面に形成され、空気導入孔63と蓋部材31の裏面との間に隙間を確保する横凸部76及び縦凸部77と、縦凸部77と中央膨出部56との間に設けられた脆弱部81と、端部側膨出部68の前面から前方に向けて突出するとともに中央取付リブ64に連続的に形成され、フードシール33(図8)を取付ける端部取付リブ65と、からなる。
脆弱部81は、センタカウルトップ26(カウルトップ25)に所定の荷重がかかったときに破断する歩行者保護対策用の衝撃軽減のための部分である。脆弱部81は、肉抜き用の複数の角孔82が蓋部材31とセンタカウルトップ26との境界83に沿って設けられる。言い換えれば、脆弱部81は、蓋部材31と重なる領域に形成される。
第1の取付リブ85は、端部取付リブ65及び中央取付リブ64で構成される。端部取付リブ65には、蓋部材31側に重なる重なり部87の肉厚を、半減させた端部側半減部88が形成される。外側膨出部69は、その上面に蓋部材31を係止する第3の係止孔74が形成される。
凹部71は、端部側膨出部68と外膨出部69との間に位置している。実質的には、中央ベース部55とほぼ同一レベルの面である。詳細には、凹部71は、左のワイパ回転軸43が位置する左の貫通孔91と、左の貫通孔91の前方に設けられ、凹部71面よりもさらに低く形成された段差凹部92と、該段差凹部92に開けられ、凹部71に溜まった雨水をエンジンルーム14の外側へ排水する排水小孔93と、外側膨出部69から排水小孔93の前方まで延び、フードヒンジ42(図8)を隠す側壁94と、該側壁94と端部側膨出部68とを繋ぐように設けられた立壁95と、該立壁95の上部が切り欠かれた開口96と、を有する。
収納部98は、センタカウルトップ26に形成された凹部71と、この凹部71に被せられる蓋部材31と、から構成されている。
開口96は、収納部98に溜まった雪をエンジンルーム14側からかき出すために設けられる。左の貫通孔91の周囲には、上方に向けて拡径するリング状の傾斜壁99が形成されている。立壁95は、雨水を遮断する。
図12及び図13に示されているように、蓋部材31は、略平坦な本体部101と、該本体部101の上面に形成されるととともに、空気導入孔63(図11)に該当する部位に設けられ飾り用の複数の盲穴102と、本体部101の前面下部から前方に向けてし、フードシール33(図8)を取付ける第2の取付リブ86と、センタカウルトップ26(図11)側に設けられた第1〜第3の係止孔72〜74(図10)に、それぞれ係止する第1〜第3の係止爪103〜105とからなる。盲穴102は、貫通していない凹状に窪んでいる。
盲穴102は、複数の空気導入孔63が該当する部位に設けられる。詳細には、センタカウルトップ26に、空気を導入する貫通した複数の空気導入孔62,63(図10)が設けられる。これらの空気導入孔62,63のうちの一部である複数の空気導入孔63は、蓋部材31の下方に位置する。
第2の取付リブ86は、センタカウルトップ26(サイド端部53)(図7)側に重なる重なり部87の肉厚を半減させた蓋部材側半減部89が形成される。重なり部87は、蓋部材側半減部89と端部側半減部88(図10)とが重なる部分である。端部側半減部88及び蓋部材側半減部89を合わせた肉厚は、端部取付リブ65の肉厚若しくは第2の取付リブ86の肉厚とほぼ等しい肉厚である。
図1および図7〜図11に示されているように、カウルトップ構造20では、車体11にフードヒンジ42を介してフード16を開閉自在に取付け、このフード16でエンジンルーム14の上方を覆い、フード16の後方にカウルトップ25を設け、このカウルトップ25でワイパアーム45のワイパ回転軸43を覆う。
カウルトップ25に、ワイパ回転軸43を収納する収納部98を形成し、この収納部98にエンジンルーム14側から雪をかき出す開口96を設けたので、例えば、ワイパ回転軸43を完全に隠す程度に収納部98を深く形成することができる。この結果、車両の外観を向上することができる。収納部98に溜まった雪をかき出すには、フード16を開け、エンジンルーム14側から開口96に指を入れ、収納部98に溜まった雪を開口96から指でかき出す。
収納部98は、カウルトップ25(センタカウルトップ26)に形成された凹部71と、この凹部71に被せられる蓋部材31と、から構成されているので、ワイパアーム45を含むワイパ装置18の着脱を容易に行うことができる。この結果、車両の組立性の向上を図ることができる。
カウルトップ構造20では、凹部71に、フードヒンジ42を隠す側壁94を設けたので、フードヒンジ42を車体外方から見えなくすることができる。この結果、車両の外観をさらに向上することができる。
カウルトップ構造20では、開口96の下端に、雨水を遮断する立壁95を設けたので、エンジンルーム14側への雨水の浸入を抑制することができる。
凹部71は、エンジンルーム14の外側へ雨水を排水する排水小孔93が形成されたので、エンジンルーム14の外側へ雨水を円滑に排水することができる。この結果、エンジンルーム14内への雨水の浸入を防止することができる。
カウルトップ構造20では、カウルトップ25(センタカウルトップ26)に、空気をエンジンルーム14内に導入する貫通した複数の空気導入孔62,63が設けられている。これらの空気導入孔62,63の一部は、蓋部材31の下方に位置している。カウルトップ25と蓋部材31との隙間から空気導入孔63に入る空気は、エンジンルーム14内に導入される。ワイパ回転軸43は、蓋部材31で隠される。
カウルトップ構造20では、カウルトップ25(センタカウルトップ26)のフード16側にフードシール33をはめ込む第1の取付リブ85が設けられ、蓋部材31のフード16側にフードシール33をはめ込む第2の取付リブ86(図7参照)が設けられ、これらの第1及び第2の取付リブ85,86の重なり部87の肉厚をそれぞれ半減させたので、カウルトップ25と連続的に蓋部材31にフードシール33をはめ込むことができる。この結果、第1及び第2の取付リブ85,86にフードシール33を連続的に取付けることができ、車両の組立性の向上を図ることができる。また、故意に蓋部材31が取り外されることも防止することができる。
カウルトップ25(センタカウルトップ26)は、蓋部材31と重なる領域に脆弱部81が形成されているので、カウルトップ25に所定の荷重がかかったときに破断させることができる。この結果、歩行者保護に寄与することができる。
本実施例のカウルトップ構造は、図1に示すように、車両の左側の構造として説明したが、これに限るものではなく、車体11の右側の構造であってもよい。