JP5360002B2 - 半導体素子の駆動装置 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載された従来例では、過電流警報手段はパワートランジスタの過電流状態を検出したときに第1のパルス幅を有する第1警報信号を出力し、過電圧警報手段は、パワートランジスタの出力端子の過電圧状態を検出して第2のパルス幅を有する第2警報信号を出力し、過熱警報手段は、パワートランジスタの過熱状態を検出して第3のパルス幅を有する第3警報信号を出力するようにしている。このため、出力された警報信号のパルス幅を検出するだけで、容易にパワートランジスタが過電流状態にあるか、過電圧状態にあるか、あるいは過熱状態にあるかを判別することができる。
この特許文献2に記載された従来例にあっては、伝送回路に、致命的異常の検出時にアラーム信号を出力する出力端子と、致命的異常及び前兆的異常を含む異常要因を示す異常要因識別信号を出力する出力端子と設け、好ましくはこれらを単一の出力端子として供用するようにしている。
さらに、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、保護回路が異常時にはアラームイネーブルラインを介して外部に警報ALM1を出力し、警報ALM1を出力する前に、IGBTのコレクタ電流又はチップ温度が、正常時より高く、警報ALM1を発する時のレベルより低い所定値を超えた時点に異常発生の兆しがあると判断して予告警報ラインを介して予告警報ALM2を外部に出力するようにしているが、コレクタ電流又はチップ温度を識別することはできず、単に異常発生状態であるかその前の異常発生の兆しがある状態であることを判別できるだけであり、異常状態を判別することはできないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、パルス幅に基づいて複数の保護回路が保護動作状態であるか否かを正確に判別することができる半導体素子の駆動装置を提供することを目的としている。
この構成によると、プルアップ抵抗と直列にスイッチング素子が接続されているので、このスイッチング素子がオフ状態であるときには、アラーム信号がハイレベルとなり、スイッチング素子がオン状態であるときにはアラーム信号がローレベルとなる。
この構成によれば、充放電回路は、アラーム信号がハイレベルであるかローレベルであるかに応じて充放電される。アラーム信号がローレベルである時、他のICにおける保護回路が動作していると判断して、比較器から保護動作状態を表す保護動作判別信号(例えばローレベル)が出力されることになる。このため、パルス発生回路からのパルス列信号のアラーム信号形成回路のスイッチング素子への供給が阻止されてアラーム信号の出力が禁止される。逆に、アラーム信号がハイレベルである時他のICにおける保護回路が動作していないと判断して、比較器から保護動作状態ではない非保護動作状態を表す保護動作判別信号(例えばハイレベル)が出力されることになる。このため、パルス発生回路からのパルス信号のアラーム信号形成回路のスイッチング素子への供給が許可されてアラーム信号が出力される。
この構成によると、保護回路で保護動作が必要な状態を検出したときに、ラッチ回路で保護動作判別信号をラッチし、保護動作判別信号が保護動作状態を表すときには、論理積回路からのパルス列信号の出力が停止され、保護動作判別信号が非保護動作状態を表すときには論理積回路からのパルス列信号の出力が許可される。
この構成によると、電力変換装置の下アームを構成する半導体素子を駆動する半導体素子の駆動装置の何れか1つでアラーム信号が出力されると、他の半導体素子の駆動装置からのアラーム信号の出力が禁止される。
また、たとえば電力変換装置の下アームを構成する複数の半導体素子の駆動装置のアラーム端子を互いに接続することにより、1つの半導体素子の駆動装置において保護動作が必要な状態を検出してアラーム信号を出力したときに、残りの半導体素子の駆動装置からアラーム信号の出力を禁止することができ、複数の半導体素子の駆動装置間でのアラーム信号が重複を防止することができる。
図1は本発明を電力変換装置に適用した場合の一実施形態を示すブロック図である。この図1において、電力変換装置1は、直流電力を交流電力に変換するインバータ2と、このインバータ2を構成する各相の半導体素子を個別に駆動する半導体素子の駆動装置としての各相ドライバIC3U〜3Zとを備えている。
インバータ2は、6個の半導体素子としてのIGBT(Insulated gate Bipolar Transistor)11〜16を有する。これらIGBT11〜16は、直流電源に接続されて直流電力が供給される正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に、IGBT11及び12の直列回路、IGBT13及び14の直列回路並びにIGBT15及び16の直列回路が夫々並列に接続されている。ここで、各IGBT11〜16には、フライホイールダイオード21〜26が逆並列に接続されている。
そして、インバータ2を構成する各IGBT11〜16には、IGBT12で代表的に示すように、IGBT11〜16のコレクタ及びエミッタ間を流れる電流を検出する電流センス用IBGT17と、IGBT11〜16と同一チップ内に埋め込まれた温度検出用ダイオード18とが設けられている。ここで、電流センス用IGBT17はそのコレクタ及びゲートがIGBT12のコレクタ及びゲートにそれぞれ接続されている。
アラーム端子32には、アラーム信号形成回路45が接続され、このアラーム信号形成回路45のアラーム信号ALが保護動作状態判別回路46に供給されている。保護動作状態判別回路46から出力される保護動作判別信号PDがアラーム制御回路47に入力されている。
また、電流入力端子35には、電流センス用IGBT17を流れる電流が入力されて過電流状態を検出する過電流保護回路52が接続されている。この過電流保護回路52では、電流センス用IGBT17を流れる電流が過電流閾値以上である過電流状態を検出したときにハイレベルとなる保護動作信号H2を出力する。
アラーム信号形成回路45は、図1に示すように、電源端子及び接地間に直列に接続されたプルアップ抵抗56と、スイッチング素子としてのNMOS−FET57との直列回路が接続された構成を有する。そして、プルアップ抵抗56とNMOS−FET57との接続点がアラーム端子32に接続されているとともに、アンドゲート42の入力側および保護動作状態判別回路46に接続されている。
そして、PMOS−FET66及びNMOS−FET67のゲートが、論理反転回路68を介してアラーム信号形成回路45からアラーム信号が入力される入力端子69に接続されている。
また、インバータ2の下アームLAを構成する3つのIGBT12、14及び16を駆動するX相ドライバIC3X、Y相ドライバIC3Y及びZ相ドライバIC3Zのアラーム端子32が外部で互いに接続されて制御装置(図示せず)に接続されている。
今、インバータ2を構成するIGBT11〜16に流れる電流が過電流閾値未満で正常であり、且つ,IGBT11〜16を形成したチップ内温度が過熱閾値未満で正常であり、さらに各ドライバIC3U〜3Zに供給するIC電源電圧が低電圧閾値を超えていて正常であるものとする。
この正常状態では、各ドライバIC3U〜3Zの低電圧保護回路51、過電流保護回路52及び過熱保護回路53から出力される保護動作信号H1、H2及びH3がローレベルとなっており、ロジック回路54から出力される駆動停止信号SSがハイレベルとなっている。さらに、パルス信号発生回路55に出力するパルス列出力指示信号PS1、PS2及びPS3が全てローレベルを維持しており、パルス信号発生回路55からパルス列信号PL1〜PL3の何れもが出力されないパルス列信号出力停止状態となっている。
また、アラーム信号形成回路45のNMOS−FET57がオフ状態であって、アラーム端子32に出力されるアラーム信号ALが図4(a)に示すようにハイレベルを維持しているものとする。
他のドライバIC3Y,3Zでも、IC電源電圧が正常であり、インバータ2のIGBT14,16も正常であり、チップ内温度も正常であるものとすると、これらドライバIC3Y,3Zのアラーム端子32から出力されるアラーム信号ALが全てハイレベルとなっている。
このインバータ2の各相のIGBT11〜16が正常状態であり、IC電源電圧が正常である状態から、例えば、X相のIGBT12を駆動するX相ドライバIC3Xに供給されるIC電源電圧が低電圧閾値以下に低下する低電圧異常が発生したときには、この低電圧異常が低電圧保護回路51で検出される。
このため、パルス信号発生回路55では、図4(e)に示すように、時点t1で、低電圧保護動作に対応したパルス幅Tのパルス列信号PL1をアラーム制御回路47に出力開始する。
このラッチ出力信号LOSがアンドゲート84に供給されるとともに、このアンドゲート84の他方の入力側にパルス信号発生回路55からのパルス列信号PL1がそのまま入力されるので、アンドゲート84から出力されるゲート駆動信号Gcが図4(g)に示すようにローレベルからハイレベルに反転される。
このアラーム信号ALがハイレベルからローレベルに反転すると保護動作状態判別回路46の論理反転回路68の出力がハイレベルに反転するので、これまでオン状態であったPMOS−FET66がオフ状態となる。これと同時に、これまでオフ状態であったNMOS−FET67がオン状態となる。したがって、充放電用コンデンサ70に蓄積されていた電荷がNMOS−FET67を通じて放電される。
このローレベルの保護動作判別信号PDがD型フリップフロップ83のデータ入力端子Dに入力される。このとき、D型フリップフロップ83のクロック入力端子CLに供給されるパルス列信号PL1はハイレベルを維持しているので、このD型フリップフロップ83の出力端子Qから出力されるラッチ出力信号LOSは図4(f)に示すようにハイレベルを保持する。
その後、時点t2で、パルス信号発生回路55から出力されるパルス列信号PL1が図4(e)に示すように、ローレベルに反転すると、D型フリップフロップ83の出力端子Qから出力されるラッチ出力信号LOSはハイレベルを保持するが、アンドゲート84から出力されるゲート駆動信号Gcが、図4(g)に示すように、ローレベルに反転する。このため、アラーム信号形成回路45のNMOS−FET57がオフ状態となり、アラーム信号ALが図4(a)に示すようにハイレベルに復帰する。
その後、時点t4で、パルス信号発生回路55から出力されるパルス列信号PL1がハイレベルに反転すると、これに応じてD型フリップフロップ83で保護動作判別信号PDをラッチするが、この保護動作判別信号PDがハイレベルであるので、D型フリップフロップ83の出力端子Qから出力されるラッチ出力信号LOSはハイレベルを維持する。
その後、低電圧保護回路51で低電圧状態を検出している状態を継続し、ロジック回路54から出力されるパルス列出力指示信号PS1が図4(d)に示すようにハイレベルを継続している間は上述した時点t1〜t4の動作を繰り返す。
その後、時点t8で、IC電源電圧が低電圧閾値を超える状態に復帰すると、これに応じて低電圧保護回路51から出力される保護動作信号H1がローレベルに復帰する。このため、ロジック回路54で駆動停止信号SSがハイレベルに復帰されて、アンドゲート42を通じてパルス幅変調信号が増幅器43に供給開始されて、インバータ2のX相IGBT12のゲートへのゲート駆動信号の供給が開始される。
さらに、上記実施形態においては、保護動作状態判別回路46をアナログ回路で構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、クロック信号が入力されて計数するカウンタを適用したデジタル回路構成とすることもでき、さらにはマイクロコンピュータ等の演算処理装置を適用してソフトウェア処理することもできる。この場合のソフトウェア処理としては、保護動作状態判別回路46のみならず、アラーム制御回路47を含めた処理とすることができる。
さらに、上記実施形態においては、半導体素子としてIGBTを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、パワーFET等の任意の半導体素子を適用することができる。
さらに、上記実施形態においては、IC電源の低電圧、IGBTの過電流及び過熱を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上記の3種類の保護動作の内の2種類を検出するようにしてもよく、さらには過電圧等の保護動作を必要とする他の状態を検出する保護回路を設けるようにしてもよい。
また、保護動作状態判別回路46を構成するスイッチング素子はMOS−FETに限定されるものではなく、パイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子を適用することができる。
Claims (5)
- 電力変換装置を構成する半導体素子を個別に駆動する半導体素子の駆動装置であって、
前記半導体素子の保護動作を行うために必要な情報を検出する複数の保護回路と、
前記複数の保護回路毎に異なるパルス幅のパルス信号が設定され、前記複数の保護回路のうち最初に保護動作が必要であることを検出した保護回路に対応するパルス信号を、当該保護動作が必要であることを検出している期間継続して出力するパルス信号発生回路と、
スイッチング素子がオン・オフ制御されることによりアラーム信号を形成して外部に出力するアラーム信号形成回路と、
該アラーム信号形成回路のアラーム信号に基づいて保護動作状態であるか否かを判別して保護動作状態信号を出力する保護動作状態判別回路と、
該保護動作状態判別回路の判別結果に基づいて前記パルス信号発生回路から出力されるパルス信号を前記アラーム信号形成回路の前記スイッチング素子の制御端子に供給するアラーム制御回路と
を備えたことを特徴とする半導体素子の駆動装置。 - 前アラーム信号形成回路は、制御電源端子及び接地間に接続されたプルアップ抵抗と前記スイッチング素子との直列回路を有し、前記プルアップ抵抗及び前記スイッチング素子の接続点に、前記保護動作状態判別回路及びアラーム信号を外部に出力するアラーム端子が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の駆動装置。
- 前記保護動作状態判別回路は、前記アラーム信号がハイレベルであるときに充電され、ローレベルであるときに放電される充放電回路と、該充放電回路の充電電圧と参照電圧とを比較する比較器とを備え、前記比較器から保護動作判別信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子の駆動装置。
- 前記アラーム制御回路は、前記パルス形成回路からパルス信号が出力されるときに、前記保護動作状態判別回路の保護動作判別信号をラッチするラッチ回路と、該ラッチ回路のラッチ出力と前記パルス信号形成回路から出力されるパルス信号とが入力される論理積回路とを備え、前記論理積回路の論理積出力を前記アラーム信号形成回路の前記スイッチング素子の制御端子に供給することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の半導体素子の駆動装置。
- 前記電力変換装置の下アームを構成する半導体素子を駆動する半導体素子の駆動装置における前記アラーム信号形成回路のアラーム端子が互いに接続されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の半導体素子の駆動装置。
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