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JP5347628B2 - マイクロ構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術などを利用して製造されるマイクロ構造体に関し、特に、可動体を揺動可能に支持する構成のマイクロ構造体に関する。
MEMS技術を利用して製造されるマイクロ構造体として、例えばマイクロミラー素子がある。マイクロミラー素子は、光スイッチなどの光学装置に組み込まれ、光を反射するミラー面を揺動させることによって光の反射方向(進路変更)を変更するものであり、静電力を利用してミラー面を揺動する静電駆動型のマイクロミラー素子が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の静電駆動型のマイクロミラー素子は、フレームと、ミラー面が形成されたミラー形成部と、フレームとミラー形成部とを連結するトーションバーとを備える構成において、トーションバーをフレームおよびミラー形成部よりも薄肉に形成できるようにすることでトーションバーの設計仕様に多様性を持たせている。
特開2002−328316号公報
ところで、上記従来技術においては、基板上のフレーム、ミラー形成部およびトーションバーに相当する部分をマスクしてエッチング処理を行い、その後、トーションバーに相当する部分のマスクを除去してエッチング処理を行うことによって、トーションバーをフレームおよびミラー形成部よりも薄肉に形成している。
しかし、トーションバーの端部(根元部分)が、フレームの内側面およびミラー形成部の側面による「壁」の近傍に位置することになるため、マスク形状、エッチングレシピ、エッチング装置の状態などによって、トーションバーの端部の形状不安定、特に厚さ方向の寸法の変動を招くおそれがある。このため、トーションバーの捩れ剛性、可動体であるミラー形成部の共振周波数、ひいては、マイクロミラー素子の特性がばらついてしまうおそれがあった。
なお、このような課題、すなわち、トーションバーの端部の形状不安定によって特性がばらつくおそれがあることは、上記従来技術に係るマイクロミラー素子に限らず、可動体を揺動可能に支持する構成のマイクロ構造体に共通するものである。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、可動体を揺動可能に支持する構成のマイクロ構造体において、トーションバーの端部の形状不安定およびこれに伴うマイクロ構造体の特性ばらつきを抑制することを目的とする。
本発明の一側面によると、マイクロ構造体は、第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含むフレームと、前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含む可動体と、前記第1層からなり、前記フレームの前記第1層からなる部分と前記可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持部と、を備え、前記揺動支持部は、前記フレームの前記第1層からなる部分および前記可動体の前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されており、前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている。
本発明の他の側面によると、マイクロ構造体は、第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含む第1可動体と、前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、空隙を有して前記第1可動体を囲む第2可動体と、前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、空隙を介して前記第2可動体を囲むフレームと、前記第1層からなり、前記第1可動体の前記第1層からなる部分と前記第2可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記第1可動体を揺動可能に支持する第1揺動支持部と、前記第1層からなり、前記第2可動体の前記第1層からなる部分と前記フレームの前記第1層からなる部分とを連結して前記第2可動体を揺動可能に支持する第2揺動支持部と、を備え、前記第1揺動支持部および前記第2揺動支持部は、前記第1可動体の前記第1層からなる部分、前記第2可動体の前記第1層からなる部分および前記フレームの前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されており、前記第1揺動支持部の前記第1可動体側の端部が、前記第1可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されると共に、前記第1揺動支持部の前記第2可動体側の端部が、前記第2可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、前記第2揺動支持部の前記第2可動体側の端部が、前記第2可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されると共に、前記第2揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている。
本発明のさらに他の側面によると、光スイッチは、入力ポートに入力された光を、ミラー面の角度が制御可能なマイクロミラー素子で反射させて所望の出力ポートから出力させるものであって、前記マイクロミラー素子は、第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含むフレームと、前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、前記ミラー面が形成された可動体と、前記第1層からなり、前記フレームの前記第1層からなる部分と前記可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持部と、を備え、前記揺動支持部は、前記フレームの前記第1層からなる部分および前記可動体の前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されており、前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている。
上記マイクロ構造体では、可動体を揺動可能に支持する揺動支持部が第1層からなり、この揺動支持部の端部が、少なくとも、フレームの第1層よりも下側の第2層からなる部分と可動体の第2層からなる部分とによって下方から支持されている。このため、揺動支持部の端部を除いた部分、すなわち、比較的安定して形成される部分がトーションバーとして機能することになる。これにより、トーションバーの端部の形状不安定およびこれに伴う特性ばらつきを抑制できる。
また、上記光スイッチでは、各マイクロミラー素子の特性バラツキが抑制されるため、各マイクロミラー素子(ミラー面)の角度を高い精度で所望の角度へと制御できる。これにより、高精度でかつ安定して動作する光スイッチを実現できる。
本発明の第1実施形態によるマイクロミラー素子の上視図である。 図1のB−B断面図である。 第1実施形態によるマイクロミラー素子の製造方法の一例を示す図である。 第1実施形態によるマイクロミラー素子の動作を説明するための図である。 可動体の共振周波数のシミュレーション結果を示す図である。 変形例によるマイクロミラー素子の要部上視図である。 他の変形例によるマイクロミラー素子の要部を示す図である。 本発明の第2実施形態によるマイクロミラー素子の上視図である。 図10のF−F断面図である。 図10のG−G断面図である。 第2実施形態によるマイクロミラー素子の変形例の上視図である。 本発明の第3実施形態による角速度センサの上視図である。 図12のH−H断面図である。 図12のJ−J断面図である。 第3実施形態による角速度センサの動作原理を説明するための図である。 本発明の実施形態によるマイクロミラー素子を適用した光スイッチの一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1,2は、本発明の第1実施形態によるマイクロ構造体としてのマイクロミラー素子を示している。図1は、本実施形態によるマイクロミラー素子の上視図であり、図2は、図1のB−B断面図である。
本実施形態によるマイクロミラー素子は、例えば、MEMS技術の一つであるバルクマイクロマシニング技術によって、SOI(Silicon On Insulator)基板(材料基板)に加工を施すことによって製造される。ここで、材料基板としてのSOI基板は、第1シリコン層と第2シリコン層との間に酸化シリコン等の絶縁層を介在させた積層構造を有しており、第1シリコン層および第2シリコン層は、不純物がドープされて導電性が付与されている。
図1に示すように、第1実施形態によるマイクロミラー素子1は、可動体2と、フレーム3と、一対の揺動支持部4と、を備える。
可動体2は、第1シリコン層、絶縁層および第2シリコン層からなる積層構造を有しており、例えば矩形状に形成されてフレーム3の内側に配設されている。可動体2の表面には、光を反射するミラー面2aが形成されている。このミラー面2aは、例えば第1シリコン層上に成膜された2層構造のCr/Au膜などの金属薄膜である。また、可動体2の対向する2つの側面、ここでは図1の上下方向に対向する2つに側面には、それぞれ第1櫛歯電極5が延出形成されている。この第1櫛歯電極5は、第1シリコン層からなり、互いに離間する複数の電極歯5aを有する。
フレーム3は、可動体2と同様に、第1シリコン層、絶縁層および第2シリコン層からなる積層構造を有しており、所定の空隙を有して可動体2を囲む矩形枠状に形成されている。第1櫛歯電極5が形成された可動体2の側面に対向するフレーム3の内側面には、それぞれ第2櫛歯電極6が延出形成されている。第2櫛歯電極6は、第1櫛歯電極5と協働して静電力(静電引力)を発生させるものであり、第2シリコン層からなり、互いに離間する複数の電極歯6aを有する。ここで、第2櫛歯電極6の各電極歯6aは、図2に示すように、第1櫛歯電極5の各電極歯5aの下方に形成される。また、第2櫛歯電極6の各電極歯6aは、図1に示すように、上面視において(または電極歯の配列方向において)第1櫛歯電極5の隣り合う2つの電極歯5aの間に位置する。
各揺動支持部4は、フレーム3と可動体2を連結して可動体2を揺動可能に支持する。すなわち、各揺動支持部4は、第1櫛歯電極5が形成されていない可動体2の側面と、第2櫛歯電極6が形成されていないフレーム3の内側面とをそれぞれ連結して可動体2を揺動可能に支持する。そして、この一対の揺動支持部4によって可動体2の揺動動作の揺動中心軸Aが規定される。
本実施形態において、各揺動支持部4は、第1シリコン層からなり、それぞれ可動体2の第1シリコン層からなる部分とフレーム3の第1シリコン層からなる部分とを連結している。また、各揺動支持部4は、可動体2の第1シリコン層からなる部分およびフレーム3の第1シリコン層からなる部分よりも薄肉に形成されている。
揺動支持部4のフレーム3側の端部は、図2に示すように、絶縁層を介して、フレーム3の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。言い換えれば、揺動支持部4のフレーム3側の端部は、フレーム3において第1シリコン層からなる部分よりも可動体2側に突出する、絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に形成されている。
また、揺動支持部4の可動体2側の端部は、絶縁層を介して、可動体2の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。言い換えれば、揺動支持部4の可動体2側の端部は、可動体2において第1シリコン層からなる部分よりもフレーム3側に突出する、絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に形成されている。
つまり、第1シリコン層からなる揺動支持部4は、その両端部が可動体2の第2シリコン層からなる部分と、フレーム3の第2シリコン層からなる部分と、によって下方から支持された構造となっている。このような構造となっているため、本実施形態においては、揺動支持部4のうち、可動体2の第2シリコン層からなる部分およびフレーム3の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されていない領域(部分)、すなわち、図中のT部が実質的に「トーションバー」として機能することになる。
図3は、本実施形態によるマイクロミラー素子1の製造方法の一例を示している。ここで、図3は図1のC−C断面に相当する部分を示す。
まず、図3(a)に示すような材料基板10を用意する。この材料基板10は、導電性が付与された第1シリコン層11および第2シリコン層12と、第1シリコン層11と第2シリコン層12との間に介在する絶縁層13とからなる積層構造を有するSOI基板である。
次に、図3(b)に示すように、第1シリコン層11上にミラー面2aを形成する。このミラー面2aの形成は、例えばスパッタリング法を用いて、第1シリコン層11上にCrを成膜し、続いてAuを成膜することにより行う。そして、所定のマスクを介してこれらの金属薄膜に対してエッチング処理を順次施して、ミラー面2aをパターン形成する。
次に、図3(c)に示すように、第1シリコン層11上に酸化膜パターン14およびレジストパターン15を形成し、第2シリコン層12上に酸化膜パターン16を形成する。酸化膜パターン14は、可動体2、フレーム3および第1櫛歯電極5に対応するパターン形状を有しており、レジストパターン15は、揺動支持部4に対応するパターン形状を有している。また、酸化膜パターン16は、可動体2、フレーム3および第2櫛歯電極6に対応するパターン形状を有している。ここで、第2シリコン層12上に形成される酸化膜パターン16の可動体2およびフレーム3に相当する部分は、第1シリコン層11上に形成される酸化膜パターン14の可動体2およびフレーム3に相当する部分よりもわずかに大きくなっている。
次に、図3(d)に示すように、酸化膜パターン14およびレジストパターン15をマスクとして、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)により第1シリコン層11に対して所定の深さまでエッチング処理を施す。所定の深さは、揺動支持部4の厚さに相当する深さであり、任意に設定可能である。
次に、図3(e)に示すように、剥離液によってレジストパターン15を剥離し、その後、酸化膜パターン14をマスクとして、DRIEにより第1シリコン層11に対して絶縁層13に至るまでエッチング処理を施し、揺動支持部4を形成する(残存形成する)。このような2段階のDRIEによって、揺動支持部4の厚さを、可動体2およびフレーム3の第1シリコン層からなる部分の厚さとは異なるものとすることができ、揺動支持部4(ひいては、トーションバー)の捩り剛性などを調整できる。
以上の図3(a)〜(e)の処理により、マイクロミラー素子の第1シリコン層で形成される部分、すなわち、可動体2(ミラー面2aを含む)の一部、フレーム3の一部、揺動支持部4および第1櫛歯電極5が形成される。
次に、図3(f)に示すように、酸化膜パターン16をマスクとして、DRIEにより第2シリコン層12に対して絶縁膜13に至るまでエッチング処理を施す。このエッチング処理により、マイクロミラー素子の第2シリコン層で形成される部分、すなわち、可動体2の一部、フレーム3の一部および第2櫛歯電極6が形成される。
次に、図3(g)に示すように、絶縁層13の露出している部分、酸化膜パターン14および酸化膜パターン16を、ドライエッチングやウエットエッチングなどにより除去する。
以上の図3(a)〜(g)に示した一連の工程を経ることにより、可動体2、フレーム3、揺動支持部4、ミラー面2a、第1櫛歯電極5および第2櫛歯電極6を形成してマイクロミラー素子1を製造することができる。
図4は、マイクロミラー素子1の動作を説明するための図であり、図1のD−D断面図に相当するものである。
図4(a)に示すように、マイクロミラー素子1において、可動体2の非動作時には第1櫛歯電極5と第2櫛歯電極6とは互いに異なる高さに位置している。この状態から、いずれか一方(ここでは図4における上側)の第1櫛歯電極5と第2櫛歯電極6との間に所定の電圧が印加されると、この電圧が印加された第1櫛歯電極5と第2櫛歯電極6との間に静電引力が発生し、図4(b)に示すように、第1櫛歯電極5が第2櫛歯電極6に引き込まれる。これにより、可動体2は、揺動中心軸Aまわり揺動し、発生した静電引力と、各揺動支持部4(より具体的には、トーションバーとして機能するT部)の捩り抵抗力の和とがつり合う角度まで回転変位する。ここで、第1櫛歯電極5と第2櫛歯電極6との間に印加する電圧を調整することによって、可動体2の回転変位角を調整することができ、これにより、ミラー面2aの角度が制御される。また、上記一方の第1櫛歯電極5、第2櫛歯電極6に代えて、他方(図4における下側)の第1櫛歯電極5と第2櫛歯電極6との間に所定の電圧が印加されると、図4(b)とは逆方向に可動体2が揺動する。そして、第1櫛歯電極5と第2櫛歯電極6との間への電圧印加を止めて、第1櫛歯電極5と第2櫛歯電極6との間に発生した静電引力を消滅させると、マイクロミラー素子1は、図4(a)の状態にもどる。
なお、本実施形態において、第1シリコン層が本発明における「第1層」に相当し、第2シリコン層が本発明における「第2層」に相当する。
本実施形態によるマイクロミラー素子1では、揺動支持部4の可動体2側の端部が可動体2の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持され、揺動支持部4のフレーム3側の端部がフレーム3の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持される。このため、揺動支持部4のうち、第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されていない部分(T部)が、実質的にトーションバーとして機能することになる。これにより、揺動支持部4のうち、「壁」となる可動体2の側面およびフレーム3の内側面から離れた部分、すなわち、安定して形成される揺動支持部4の部分をトーションバーとすることができる。
図5は、可動体2の共振周波数のシミュレーション結果の一例を示している。なお、ここでは、揺動支持部4の基準厚さを、例えば3.5(μm)とした場合を示している。
従来のように、揺動支持部4の両端部が下方から支持されない構成とすると、揺動支持部4の全体がトーションバーとして機能することになる。この場合、図5において破線で示すように、揺動支持部4の端部の厚さが変動すると、その影響により可動体2の共振周波数が大きく変化する。これに対し、本実施形態による構造では、図5において実線で示すように、揺動支持部4の端部の厚さが変動しても、トーションバーとして機能する部分への影響は少ないため、可動体2の共振周波数はほとんど変化しない。
このように、本実施形態による構造とすれば、マイクロミラー素子1の特性に影響を与える可動体2の共振周波数は、揺動支持部4の端部の厚さ変動の影響をほとんど受けなくなる。これにより、揺動支持部4の薄肉化を可能としてトーションバーの設計仕様に多様性を持たせつつ、揺動支持部4の端部の形状不安定による可動体2の共振周波数のずれが抑制され、マイクロミラー素子1の特性ばらつきを抑制できる。
ここで、上記実施形態では、第1シリコン層からなる揺動支持部4を、可動体2の第1シリコン層からなる部分およびフレーム3の第1シリコン層からなる部分よりも薄肉に形成しているが、同じ厚さとしてもよい。揺動支持部4の端部は、既述したような厚さ変動だけでなく、幅や可動体2やフレーム3との接続形状(例えば、コーナーR形状)の変動も生じる場合があり、これらを含む揺動支持部4の端部の形状不安定の影響を抑制することができる。なお、この場合には、図3(c)に示したレジストパターン15を除去してエッチング処理を施せばよい。
また、上記実施形態では、対向する可動体2の側面およびフレーム3の内側面の全体にわたって、下側の絶縁層および第2シリコン層からなる部分を上側の第1シリコン層からなる部分よりもフレーム3または可動体2側に突出させているが、これに限るものではない。可動体2およびフレーム3において、絶縁層および第2シリコン層からなる部分を第1シリコン層からなる部分よりも部分的に突出させ、この部分的に突出させた絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に揺動支持部4の端部を形成してもよい。
また、上記実施形態では、各揺動支持部4を1つの棒状部材としているが、図6の要部上視図に示すように、各揺動支持部4は2つの棒状部材4a,4bを有するようにしてもよい。この場合、棒状部材4a,4bの間隔がフレーム3から可動体2に向かって徐々に広がるV字状に形成するのが好ましい。このようにすると、トーションバーとして機能する部分の捩り抵抗を低く設定しても、可動体2の不適切な動作、例えばミラー面2aの法線まわりの回転を抑制することができ、第1櫛歯電極5の電極歯5aと第2櫛歯電極6の電極歯6aとの接触が防止される。
また、上記実施形態では、エッチング処理(2段階のDRIE)によって、すなわち、材料基板を掘りこむことで揺動支持部4を形成しているが、これとは逆に、成膜によって揺動支持部4を形成するものについても本構造を適用することができる。
さらに、図7(a),(b)に要部を示すように、揺動支持部が、フレーム3と接続するフレーム側接続部(第1接続部)41と、可動体2と接続する可動体側接続部(第2接続部)42と、フレーム側接続部41と可動体側接続部42とを繋ぐ架橋部43と、を含むようにしてもよい。図7においては、図6と同様、揺動支持部がV字状に形成された例(すなわち、架橋部が2つある例)を示している。
フレーム側接続部41は、フレーム3の内側面に沿ってフレーム3の延び方向、すなわち、フレーム3の厚さ方向と直交する方向に延びるように形成されている。また、可動体側接続部42は、可動体2の側面に沿ってフレーム側接続部41と平行に、すなわち、可動体2の厚さ方向と直交する方向に延びるように形成されている。なお、「直交する方向に延びる」とは、厳密な意味で直交する方向に延びることを意味するものではなく、ほぼ直交する方向に延びることを含むものである。また、両接続部ともに延び方向の寸法(長さ)は、架橋部43の幅よりも大きければよく、任意に設定できる。そして、フレーム側接続部41および架橋部43のフレーム3側の端部が、フレーム3の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持され、可動体側接続部42および架橋部43の可動体2側の端部が、可動体2の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。
このようにすると、フレーム側接続部41および可動体側接続部42によってマスク形状やエッチングによる揺動支持部4の両端部の形状不安定を吸収できるので、さらに効果的に可動体2の共振周波数のずれを抑制できる。なお、可動体2が第1シリコン層からなる場合には、揺動支持部4が可動体側接続部42を有さず、フレーム側接続部41および架橋部43のフレーム3側の端部のみが下方から支持されることになる。
さらにまた、上記実施形態では、第1シリコン層、絶縁層および第2シリコン層からなる積層構造を有する材料基板(SOI基板)から製造されたマイクロミラー素子としているが、さらに多くの層からなる材料基板からマイクロミラー素子を製造してもよい。この場合には、揺動支持部4の端部を、フレーム3または可動体2における第1シリコン層からなる部分よりも可動体2側またはフレーム3側に突出する絶縁層および第2シリコン層を含む部分の上面に形成する。そして、揺動支持部4の端部がフレーム3または可動体2の第2シリコン層を含む部分、すなわち、フレーム3または可動体2の少なくとも第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されるように構成する。
以上説明した各種の変形は、適宜組み合わせることができるものであり、また、本実施形態によるマイクロミラー素子1を多数配列してマイクロミラーアレイを構成することができることはもちろんである。
図8〜10は、本発明の第2実施形態によるマイクロ構造体としてのマイクロミラー素子を示している。図8は、本実施形態によるマイクロミラー素子の上視図であり、図9は、図8のF−F断面図であり、図10は、図8のG−G断面図である。
本実施形態によるマイクロミラー素子も、例えば、MEMS技術としてのバルクマイクロマシニング技術によって、上記第1実施形態と同様のSOI基板(材料基板)に加工を施すことによって製造される。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と同様の内容については適宜省略する。
図8に示すように、マイクロミラー素子20は、可動体21と、フレーム22と、一対の揺動支持部23と、を備える。
可動体21は、フレーム22の内側に配設され、ミラー形成部24と、アーム部25と、第1櫛歯電極26と、を有する。ミラー形成部24は、第1シリコン層からなり、その表面に光を反射するミラー面24aが形成されている。アーム部25は、主として第1シリコン層からなり、ミラー形成部24から延出形成されている。但し、アーム部25は、後述する揺動支持部4の接続部およびその周辺については、部分的に第1シリコン層、絶縁層および第2シリコン層からなる積層構造を有している。第1櫛歯電極26は、第1シリコン層からなり、複数の電極歯26aを有する。各電極歯26aは、アーム部25の延び方向と交差する方向(ここでは直交する方向)に、該アーム部25から延出形成されており、アーム部25の延び方向に互いに離間している。なお、第1櫛歯電極26は、アーム部25を挟んでその両側に、それぞれ同数の電極歯26aを有している。
フレーム22は、第1シリコン層、絶縁層および第2シリコン層からなる積層構造を有し、可動体21を囲む矩形枠状に形成されている。フレーム22は、第1櫛歯電極26に対応する第2櫛歯電極27を有する。第2櫛歯電極27は、第1櫛歯電極26と協働して静電力(静電引力)を発生させるものであり、第2シリコン層からなり、複数の電極歯27aを有する。第2櫛歯電極27の各電極歯27aは、図9に示すように、第1櫛歯電極26の各電極歯26aの下方に形成され、フレーム22の対向する内側面からそれぞれ延出形成されている。第2櫛歯電極27の各電極歯27aは、第1櫛歯電極26の各電極歯26aと平行に延びており、アーム部25の延び方向において(または上面視において)第1櫛歯電極26の隣り合う2つの電極歯26aの間の位置している。
一対の揺動支持部23は、可動体21(さらに言えば、アーム部25)を挟んで設けられて可動体21の揺動動作の揺動中心軸Aを規定する。各揺動支持部23は、図10に示すように、アーム部25の第1シリコン層からなる部分とフレーム22の第1シリコン層からなる部分とを連結し、アーム部25の第1シリコン層からなる部分およびフレーム22の第1シリコン層からなる部分よりも薄肉に形成されている。
揺動支持部23の可動体21(アーム部25)側の端部は、絶縁層を介して、アーム部25の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。すなわち、揺動支持部23のアーム部25側の端部は、アーム部25において第1シリコン層からなる部分よりもフレーム22側に突出する、絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に形成されている。
揺動支持部23のフレーム22側の端部は、絶縁層を介して、フレーム22の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。すなわち、揺動支持部23のフレーム22側の端部は、フレーム22において第1シリコン層からなる部分よりもアーム部25側に突出する、絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に形成されている。
つまり、第1シリコン層からなる揺動支持部23は、その両端部がアーム部25の第2シリコン層からなる部分と、フレーム22の第2シリコン層からなる部分とによって下方から支持された構造となっている。これにより、揺動支持部23のうちアーム部25の第2シリコン層からなる部分およびフレーム22の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されていない部分、すなわち、図中のT部が実質的に「トーションバー」として機能する。
そして、第1櫛歯電極26と第2櫛歯電極27との間に所定の電圧が印加されると、第1櫛歯電極26と第2櫛歯電極27との間に静電引力が発生し、第1櫛歯電極26が第2櫛歯電極27に引き込まれる。これにより、可動体21は揺動中心軸Aまわり揺動し、発生した静電引力と、各揺動支持部23(トーションバーとして機能するT部)の捩り抵抗力の和とがつり合う角度まで回転変位する。第1櫛歯電極26と第2櫛歯電極27との間に印加する電圧を調整することによって、可動体21の回転変位角を調整でき、これによりミラー面24aの角度が制御される。
本実施形態によるマイクロミラー素子20によると、第1実施形態によるマイクロミラー素子1が有する効果に加えて、さらに次のような効果を有する。
すなわち、本実施形態によるマイクロミラー素子20では、可動体21を揺動させる駆動機構としての第1櫛歯電極26および第2櫛歯電極27が、ミラー形成部24から揺動中心軸Aに直交する方向に離れた位置に設けられている。このため、マイクロミラー素子20の揺動中心軸A方向の寸法を小さくしても、可動体21の揺動動作のための駆動力を十分に確保することができ、マイクロミラー素子20の小型化を図ることができる。
また、マイクロミラー素子20を揺動中心軸A方向に多数配列してマイクロミラーアレイとすれば、ミラーのピッチを小さくしてマイクロミラーアレイ全体を小型化できる。
なお、第1実施形態によるマイクロミラー素子1について上述した各種の変形は、本実施形態によるマイクロミラー素子20についても適用できる。一例として、上述の図7に示した場合と同様に、第2実施形態における揺動支持部をV字状に形成した構成のマイクロミラー素子20′を図11に示しておく。ここで、揺動支持部23′は、フレーム側接続部と、可動体側接続部と、架橋部と、を有している。
図12〜14は、本発明の第3実施形態によるマイクロ構造体としての角速度センサを示している。図12は、本実施形態による角速度センサの上視図であり、図13は、図12のH−H断面図であり、図14は、図12のJ−J断面図である。
本実施形態による角速度センサも、例えば、MEMS技術としてのバルクマイクロマシニング技術によって、上記第1実施形態と同様のSOI基板(材料基板)に加工を施すことによって製造される。また、以下の説明において、上記第1実施形態と同様の内容については適宜省略する。
図12に示すように、本実施形態による角速度センサ30は、第1可動体31と、第2可動体32と、フレーム33と、一対の第1揺動支持部34と、一対の第2揺動支持部35と、を備える。
第1可動体31は、第1シリコン層、絶縁層および第2シリコン層からなる積層構造を有する。第1可動体31は、対向する2つの側面、ここでは、図12の左右方向において対向する2つの側面にそれぞれ凹部を有するH字状に形成され、第2可動体32の内側に配設されている。第1可動体31の凹部を有していない側面、ここでは、図12の上下方向において対向する2つの側面には、それぞれ第1櫛歯電極36が延出形成されている。第1櫛歯電極36は、第1シリコン層からなり、互いに離間する複数の電極歯36aを有している。
第2可動体32は、第1シリコン層、絶縁層および第2シリコン層からなる積層構造を有する。第2可動体32は、第1可動体31を所定の空隙を有して囲み、対向する2つの外側面、ここでは、図12の上下方向において対向する2つの外側面にそれぞれ凹部を有して形成され、フレーム33の内側に配設されている。
第2可動体32の凹部を有してない外側面、ここでは、図12の左右方向において対向する2つの外側面には、それぞれ第2櫛歯電極37が延出形成されている。第2櫛歯電極37は、第1シリコン層からなり、互いに離間する複数の電極歯37aを有している。また、第2可動体32の対向する2つの内側面、ここでは、図12の上下方向において対向する2つの内側面には、第1可動体31に形成された第1櫛歯電極36に対応する第3櫛歯電極38がそれぞれ延出形成されている。第3櫛歯電極38は、第2シリコン層からなり、互いに離間する複数の電極歯38aを有している。そして、第1櫛歯電極36および第3櫛歯電極38によって第1可動体31と第2可動体32とが静電結合される。以下、第1櫛歯電極36と第3櫛歯電極38との電極対をそれぞれ「第1静電接合部」という。
フレーム33は、第1シリコン層、絶縁層および第2シリコン層からなる積層構造を有し、所定の空隙を有して第2可動体32(および第1可動体32)を囲む矩形枠状に形成されている。フレーム33の対向する2つの内側面、ここでは、図12の左右方向において対応する2つの内側面には、第2可動体32の第2櫛歯電極37に対応する第4櫛歯電極39がそれぞれ延出形成されている。第4櫛歯電極39は、第2シリコン層からなり、互いに離間する複数の電極歯39aを有している。そして、第2櫛歯電極37および第4櫛歯電極39によって第2可動体32とフレーム33とが静電結合される。以下、第2櫛歯電極37と第4櫛歯電極39との電極対をそれぞれ「第2静電接合部」という。
第1揺動支持部34は、第1可動体31の凹部と、これに対向する第2可動体32の内側面とを連結して第1可動体31を揺動可能に支持する。第1揺動支持部34は、図13に示すように、第1シリコン層からなり、第1可動体31の第1シリコン層からなる部分と第2可動体32の第1シリコン層からなる部分とを連結する。また、第1揺動支持部34は、第1可動体31の第1シリコン層からなる部分および第2可動体32の第2シリコン層からなる部分よりも薄肉に形成されている。
第1揺動支持部34の第1可動体側31の端部は、絶縁層を介して、第1可動体31の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。すなわち、第1揺動支持部34の第1可動体31側の端部は、第1可動体31において第1シリコン層からなる部分よりも第2可動体32側に突出する、絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に形成されている。
第1揺動支持部34の第2可動体32側の端部は、絶縁層を介して、第2可動体32の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。すなわち、第1揺動支持部34の第2可動体32側の端部は、第2可動体32において第1シリコン層からなる部分よりも第1可動体31側に突出する、絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に形成されている。
これにより、第1揺動支持部34のうち第1可動体31の第2シリコン層からなる部分および第2可動体32の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されていない領域(部分)、すなわち、図中のT1部が実質的に「トーションバー」として機能する。
第2揺動支持部35は、第2可動体32の凹部と、これに対向するフレームの内側面とを連結して第2可動体32を揺動可能に支持する。第2揺動支持部32は、図14に示すように、第1シリコン層からなり、第2可動体32の第1シリコン層からなる部分とフレーム33の第1シリコン層からなる部分とを連結する。また、第2揺動支持部35は、第2可動体32の第1シリコン層からなる部分およびフレーム33の第1シリコン層からなる部分よりも薄肉に形成されている。
ここで、第1揺動支持部34の厚さと、第2揺動支持部35の厚さとを同じにしてもよいし、異なるようにしてもよい。
第2揺動支持部35の第2可動体32側の端部は、絶縁層を介して、第2可動体32の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。すなわち、第2揺動支持部34の第2可動体32側の端部は、第2可動体32において第1シリコン層からなる部分よりもフレーム33側に突出する、絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に形成されている。
第2揺動支持部35のフレーム33側の端部は、絶縁層を介して、フレーム33の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されている。すなわち、第2揺動支持部35のフレーム33側の端部は、フレーム33において第1シリコン層からなる部分よりも第2可動体32側に突出する、絶縁層および第2シリコン層からなる部分の上面に形成されている。
これにより、第2揺動支持部35のうち第2可動体32の第2シリコン層からなる部分およびフレーム33の第2シリコン層からなる部分によって下方から支持されていない領域(部分)、すなわち、図中のT2部が「トーションバー」として機能する。
図15は、本実施形態による角速度センサ30の動作原理を説明するための図である。ここでは、第1可動体31、第2可動体32、第1揺動支持部34および第2揺動支持部35のみを示している。また、第1揺動支持部34および第2揺動支持部35を2つの棒状部材によってV字状に形成された例(図6、7を参照)を示している。ここで、第1揺動支持部34によって規定される第1可動体31の揺動動作の揺動中心軸をX軸、第2揺動支持部35によって規定される第2可動体32の揺動動作の揺動中心軸をY軸、第1可動体31の上面の法線方向をZ軸とする。
まず、2つの第2静電結合部(第2櫛歯電極37および第4櫛歯電極39)に交互に電圧を印加して、第1可動体31および第2可動体32を、Y軸まわりに揺動(振動)させる。このときの回転変位角(駆動変位角)をθyとする。この状態で、Z軸まわりに角速度(印加角速度)ωzの回転が加わると、Y軸に直交する方向にコリオリ力が発生し、第1可動体31および第2可動体32は、Y軸に直交するX軸まわりに揺動しようとする。しかし、第2可動体32は揺動できないため、第1可動体31のみがX軸まわりに揺動することになる。第1可動体31が揺動すると、2つの第1静電結合部(第1櫛歯電極36および第3櫛歯電極38)の静電容量が交互に変化する。これを差動検出することによって第1可動体31の回転変位角(検出変位角)θxを検出する。この検出した回転変位角θxは、角速度ωzに比例する値であるので、検出した回転変位角θxから角速度ωzを検出することができる。
本実施形態による角速度センサ30によれば、上記第1、第2実施形態によるマイクロミラー素子と同様に、第1、第2可動体31,32の共振周波数などが、第1、第2揺動支持部34,35の端部の厚さや形状のほとんど受けなくなる。これにより、第1,第2揺動支持部34,35の薄肉化を可能としてトーションバーの設計仕様に多様性を持たせつつ、第1、第2揺動支持部34,35の両端部の形状不安定によるトーションバーの捩り剛性のずれ等が抑制され、角速度を高精度にかつ安定して検出できる。
以上では、マイクロ構造体としてマイクロミラー素子および角速度センサを示したが、これに限るものではない。本発明は、同様の構成を有するマイクロ構造体、例えば加速度センサやその他の揺動素子などにも適用することができる。すなわち、本発明は、可動体を揺動可能に支持する構成のマイクロ構造体に適用することができるものである。
次に、本発明の実施形態によるマイクロ構造体としてのマイクロミラー素子を適用した光スイッチついて説明する。
図16は、光スイッチとしての波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch:WSS)の一例を示している。
図16に示すように、波長選択スイッチ100は、ファイバコリメータアレイ101と、回折格子102と、集光レンズ103と、マイクロミラーアレイ104と、ミラーアレイ104の各ミラーの角度を制御する制御部105と、を備える。
光入出力部としてのファイバコリメータアレイ101は、(N+1)本のファイバコリメータが一方向に配列されて構成され、一つの入力ポート101INと、複数の出力ポート101OUT(#1)〜101OUT(#N)とを有する。
分光部としての回折格子102は、入力ポート101INから入力された波長多重光を波長に応じて異なる角度方向に分離する。
集光部としての集光レンズ103は、回折格子102によって分離された各波長の光ch1〜chN(以下「波長チャネルch1〜chN」という)をそれぞれ異なる位置に集光させる。
マイクロミラーアレイ104は、各波長チャネルch1〜chNの集光位置に配設された複数のマイクロミラー素子(#1〜#N)を有する。マイクロミラーアレイ104に到達した各波長チャネルは、対応するマイクロミラー素子でそれぞれ反射されて所定の方向に折り返される。
制御部105は、各マイクロミラー素子を各波長チャネルの出力先として設定された出力ポートの位置に対応する角度に制御する。これにより、各マイクロミラー素子で折り返された波長チャネルは、集光レンズ103及び回折格子102を順に通って所望の出力ポートへとそれぞれ導かれる。
ここで、各マイクロミラー素子としては、例えば上記第1実施形態(図1〜3参照)もしくは上記第2実施形態(図8〜10参照)によるマイクロミラー素子またはこれらの変形例に相当する構造のマイクロミラー素子を用いる。すなわち、制御部105は、各マイクロミラー素子の櫛歯電極間に所定の駆動電圧を印加することにより、可動体の表面に設けられたミラー面の角度を制御する。このような構成とすれば、各マイクロミラー素子の特性バラツキが抑制されるので、制御部105によって各マイクロミラー素子(ミラー面)の角度を高い精度で所望の角度へと制御することができる。このため、高精度でかつ安定して動作する波長選択スイッチを実現できる。
なお、ここでは、光スイッチとして波長多重されている光(信号)の伝送経路の切換えを各波長毎に行う「波長選択スイッチ」を示したが、これに限るものではない。入力ポートに入力された光をマイクロミラー素子で反射させて所望の出力ポートから出力させる光スイッチとしてもよいことはもちろんである。この場合、回折素子102および集光レンズ103は必要ではなく、制御部が各マイクロミラー素子のミラー面の角度を制御して入力ポートと出力ポートとの間で光の伝送経路を切り換える構成とすればよい。
ここで、以上説明した実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含むフレームと、
前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含む可動体と、
前記第1層からなり、前記フレームの前記第1層からなる部分と前記可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持部と、
を備え、
前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、
前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、マイクロ構造体。
(付記2)付記1に記載のマイクロ構造体であって、
前記第1層および前記第2層が導電層であると共に、前記第1層と前記第2層との間に絶縁層が設けられ、
前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記絶縁層を介して、前記フレームの記第2層からなる部分によって下方から支持され、
前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記絶縁層を介して、前記可動体の前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、マイクロ構造体。
(付記3)付記1または2に記載のマイクロ構造体であって、
前記第1層および前記第2層が導電層であると共に、前記第1層と前記第2層との間に絶縁層が設けられ、
前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームにおいて前記第1層からなる部分よりも前記可動体側に突出する、前記絶縁層および前記第2層を含む部分の上面に形成され、
前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記可動体において前記第1層からなる部分よりも前記フレーム側に突出する、前記絶縁層および前記第2層を含む部分の上面に形成されている、マイクロ構造体。
(付記4)付記1に記載のマイクロ構造体であって、
前記揺動支持部は、
前記フレームの前記第1層からなる部分と接続し、前記フレームの側面に沿って該フレームの厚さ方向と直交する方向に延びる第1接続部と、
前記可動体の前記第1層からなる部分と接続し、前記可動体の側面に沿って該可動体の厚さ方向と直交する方向に延びる第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部との間を繋ぐ架橋部と、を有し、
前記第1接続部および前記架橋部の前記第1接続部側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、前記第2接続部および前記架橋部の前記第2接続部側の端部が、前記可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、マイクロ構造体。
(付記5)付記4に記載のマイクロ構造体であって、
前記第1層および前記第2層が導電層であると共に、前記第1層と前記第2層との間に絶縁層が設けられ、
前記第1接続部および前記架橋部の前記第1接続部側の端部が、前記フレームにおいて前記第1層からなる部分よりも前記可動体側に突出する、前記絶縁層および前記第2層を含む部分の上面に形成され、前記第2接続部および前記架橋部の前記第2接続部側の端部が、前記可動体において前記第1層からなる部分よりも前記フレーム側に突出する、前記絶縁層および前記第2層を含む部分の上面に形成されている、マイクロ構造体。
(付記6)付記1〜5のいずれか1つに記載のマイクロ構造体であって、
前記揺動支持部は、前記フレームの前記第1層からなる部分および前記可動体の前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されている、マイクロ構造体。
(付記7)付記1〜6のいずれか1つに記載のマイクロ構造体であって、
前記揺動支持部は2つの棒状部材からなり、
前記2つの棒状部材の間隔が、前記フレームから前記可動体に向かって広がるV字状に形成されている、マイクロ構造体。
(付記8)付記1〜7のいずれか1つに記載のマイクロ構造体であって、
前記可動体に設けられた第1電極と、
前記フレームに設けられた第2電極と、を備え、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されることによって生じる静電力を利用して前記可動体を揺動させる、マイクロ構造体。
(付記9)付記8に記載のマイクロ構造体であって、
前記第1電極および前記第2電極が櫛歯電極である、マイクロ構造体。
(付記10)第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含む第1可動体と、
前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、空隙を有して前記第1可動体を囲む第2可動体と、
前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、空隙を介して前記第2可動体を囲むフレームと、
前記第1層からなり、前記第1可動体の前記第1層からなる部分と前記第2可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記第1可動体を揺動可能に支持する第1揺動支持部と、
前記第1層からなり、前記第2可動体の前記第1層からなる部分と前記フレームの前記第1層からなる部分とを連結して前記第2可動体を揺動可能に支持する第2揺動支持部と、
を備え、
前記第1揺動支持部の前記第1可動体側の端部が、前記第1可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されると共に、前記第1揺動支持部の前記第2可動体側の端部が、前記第2可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、
前記第2揺動支持部の前記第2可動体側の端部が、前記第2可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されると共に、前記第2揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、マイクロ構造体。
(付記11)付記10に記載のマイクロ構造体であって、
前記第1揺動支持部および前記第2揺動支持部は、前記第1可動体の前記第1層からなる部分、前記第2可動体の前記第1層からなる部分および前記フレームの前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されている、マイクロ構造体。
(付記12)付記10または11に記載のマイクロ構造体であって、
前記第1可動体と前記第2可動体とを静電結合する第1静電結合部と、
前記第2可動体と前記フレームとを静電結合する第2静電結合部と、
を備える、マイクロ構造体。
(付記13)入力ポートに入力された光を、ミラー面の角度が制御可能なマイクロミラー素子で反射させて所望の出力ポートから出力させる光スイッチであって、
前記マイクロミラー素子は、
第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含むフレームと、
前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、前記ミラー面が形成された可動体と、
前記第1層からなり、前記フレームの前記第1層からなる部分と前記可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持部と、
を備え、
前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、
前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、光スイッチ。
(付記14)付記13に記載の光スイッチであって、
前記揺動支持部は、前記フレームの前記第1層からなる部分および前記可動体の前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されている、光スイッチ。
(付記15)付記13または14に記載の光スイッチであって、
少なくとも1つの入力ポートおよび複数の出力ポートを有する光入出力部と、
前記入力ポートに入力された波長多重光を、波長に応じて分離する分光部と、
前記分光部で分光された各波長の光をそれぞれ異なる位置に集光させる集光部と、
を備え、
前記マイクロミラー素子が前記各波長の光の集光位置にそれぞれ配置されると共に、各マイクロミラー素子で反射させた各波長の光を前記入出力部における異なる出力ポートから出力させる、光スイッチ。
1…マイクロミラー素子(マイクロ構造体)、2…可動体、3…フレーム、4…揺動支持部、10…第1シリコン層(第1層)、12…第2シリコン層(第2層)、13…絶縁層、20…マイクロミラー素子(マイクロ構造体)、21…可動体、22…フレーム、23…揺動支持部、30…角速度センサ(マイクロ構造体)、31…第1可動体、32…第2可動体、33…フレーム、34…第1揺動支持部、35…第2揺動支持部、41…フレーム側接続部(第1接続部)、42…可動体側接続部(第2接続部)、43…架橋部、100…波長選択スイッチ(光スイッチ)、101…ファイバコリメータアレイ(光入出力部)、102…回折格子(分光部)、103…集光レンズ(集光部)、104…マイクロミラーアレイ、105…制御部

Claims (6)

  1. 第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含むフレームと、
    前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含む可動体と、
    前記第1層からなり、前記フレームの前記第1層からなる部分と前記可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持部と、
    を備え、
    前記揺動支持部は、前記フレームの前記第1層からなる部分および前記可動体の前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されており、
    前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、
    前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、マイクロ構造体。
  2. 前記第1層および前記第2層が導電層であると共に、前記第1層と前記第2層との間に絶縁層が設けられ、
    前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームにおいて前記第1層からなる部分よりも前記可動体側に突出する前記絶縁層および前記第2層を含む部分の上面に形成
    され、
    前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記可動体において前記第1層からなる部分よりも前記フレーム側に突出する前記絶縁層および前記第2層を含む部分の上面に形成されている、請求項1に記載のマイクロ構造体。
  3. 前記揺動支持部は、
    前記フレームの前記第1層からなる部分に接続し、前記フレームの側面に沿って該フレームの厚さ方向と直交する方向に延びる第1接続部と、
    前記可動体の前記第1層からなる部分に接続し、前記可動体の側面に沿って該可動体の厚さ方向と直交する方向に延びる第2接続部と、
    前記第1接続部と前記第2接続部とを繋ぐ架橋部と、
    を有し、
    前記第1接続部および前記架橋部の前記第1接続部側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、
    前記第2接続部および前記架橋部の前記第2接続部側の端部が、前記可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、請求項1または2に記載のマイクロ構造体。
  4. 第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含む第1可動体と、
    前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、空隙を有して前記第1可動体を囲む第2可動体と、
    前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、空隙を介して前記第2可動体を囲むフレームと、
    前記第1層からなり、前記第1可動体の前記第1層からなる部分と、前記第2可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記第1可動体を揺動可能に支持する第1揺動支持部と、
    前記第1層からなり、前記第2可動体の前記第1層からなる部分と、前記フレームの前記第1層からなる部分とを連結して前記第2可動体を揺動可能に支持する第2揺動支持部と、
    を備え、
    前記第1揺動支持部および前記第2揺動支持部は、前記第1可動体の前記第1層からなる部分、前記第2可動体の前記第1層からなる部分および前記フレームの前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されており、
    前記第1揺動支持部の前記第1可動体側の端部が、前記第1可動体の少なくとも第2層からなる部分によって下方から支持されると共に、前記第1揺動支持部の前記第2可動体側の端部が、前記第2可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持され、
    前記第2揺動支持部の前記第2可動体側の端部が、前記第2可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されると共に、前記第2揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、マイクロ構造体。
  5. 入力ポートに入力された光を、ミラー面の角度が制御可能なマイクロミラー素子で反射させて所望の出力ポートから出力させる光スイッチであって、
    前記マイクロミラー素子は、
    第1層からなる部分および前記第1層よりも下側の第2層からなる部分を含むフレームと、
    前記第1層からなる部分および前記第2層からなる部分を含み、前記ミラー面が形成された可動体と、
    前記第1層からなり、前記フレームの前記第1層からなる部分と前記可動体の前記第1層からなる部分とを連結して前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持部と、
    を備え、
    前記揺動支持部は、前記フレームの前記第1層からなる部分および前記可動体の前記第1層からなる部分よりも薄肉に形成されており、
    前記揺動支持部の前記フレーム側の端部が、前記フレームの少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持される共に、前記揺動支持部の前記可動体側の端部が、前記可動体の少なくとも前記第2層からなる部分によって下方から支持されている、光スイッチ。
  6. 少なくとも1つの入力ポートおよび複数の出力ポートを有する光入出力部と、
    前記入力ポートに入力された波長多重光を、波長に応じて分離する分光部と、
    前記分光部で分光された各波長の光をそれぞれ異なる位置に集光させる集光部と、
    を備え、
    前記マイクロミラー素子が前記各波長の光の集光位置にそれぞれ配置されると共に、各マイクロミラー素子で反射させた各波長の光を前記入出力部における異なる出力ポートから出力させる、請求項に記載の光スイッチ。
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