JP5235282B2 - 非水電解質二次電池用正極活物質及び電池 - Google Patents
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Description
そのため本発明は、リン酸オリビンを含む正極よりも理論容量を増加し、かつ動作電位の高い、可逆容量密度に優れた電池特性をもつ非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
更に、本発明によれば、一般式(Ib):Li2-xMn1-yM''ySiO4(式中、M''はNi3+、Ni4+、Sc、Y、Zr、Nb、Mo、Agであり、xは0≦x≦2を表し、yは0≦y<1を表す)で表される固溶体化合物と、該固溶体化合物と共に不活雰囲気中で300〜500℃で熱処理されて得られた炭素成分とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質が提供される。
また、本発明によれば、一般式(II):Li2-xCo1-yMnySiO4(式中、xは0≦x≦2を表し、yは0≦y<1を表す)で表される固溶体化合物と、該固溶体化合物と共に不活雰囲気中で300〜500℃で熱処理されて得られた炭素成分とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質が提供される。
また、本発明によれば、上記正極活物質を含む正極を備えることを特徴とする非水電解質二次電池が提供される。
また、CoをNi、Mn、Fe等の遷移金属(特に、Mn)に部分置換することにより放電電圧を高電圧から低電圧に連続的に平行移動できる。そのため、使用回路や使用電解液に最適の充放電電圧の二次電池を自由に設計できる。
本発明の二次電池は大型電池の用途にも使用できる。
正極活物質には、一般式(I):Li2-XMSiO4 (一般式(Ia):Li 2-x Co 1-y M' y SiO 4 、一般式(Ib):Li 2-x Mn 1-y M'' y SiO 4 )で表され、ケイ酸オリビンと称される固溶体化合物が含まれている。Mは少なくともCo又はMnを含む遷移金属であり、Co単独又はMn単独であってもよいが、CoとMnとの混合物や、Co及びMn以外の他の遷移金属との混合物であってもよい。他の遷移金属としては、Fe、V、Ti、Ni等が挙げられる。特に、MにCoが含まれることで、動作電位を高くでき、その結果、エネルギー密度を向上できる。M'はNi、V又はTiであり、M''はNi 3+ 、Ni 4+ 、Sc、Y、Zr、Nb、Mo又はAgである。
また、正極活物質は、一般式(II):Li2-XCo1-yMnySiO4(式中、Xは0≦X≦2を表し、Yは0≦Y≦1を表す)で表される固溶体化合物であることが好ましい。Coの一部を安価なMnで置換することで、低コストの正極活物質を提供できる。
正極活物質の形状は、特に限定されないが、粒状であることが好ましい。具体的には、0.1〜100μmの平均粒径を有する粒状物であることが好ましい。この平均粒径は、レーザ回折・散乱法により測定した値である。
正極は、上記正極活物質のみからなっていてもよく、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、結着剤、導電剤等が挙げられる。
結着剤としては、特に限定されず、公知の剤をいずれも使用できる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等が挙げられる。
正極は、1〜1000μmの厚さであることが好ましく、10〜200μm程度の厚さであることがより好ましい。厚すぎると導電性が低下する傾向にあり、薄すぎると容量が低下する傾向にある。
なお、正極は、活物質の充填密度を上げるためローラープレス等により圧密してもよい。
なお、正極活物質には、本発明の目的を阻害しない範囲で、公知の正極活物質(例えば、LiCoO2、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFePO4、Li2FeSiO2、Li2MnSiO4等)が更に含まれていてもよい。
二次電池は、上記正極と非水電解質とを使用すること以外は、公知の非水電解質二次電池における構成要素を使用できる。二次電池は、通常、正極及び負極、両極間の非水電解質とからなる。
負極には、負極活物質が含まれている。負極活物質としては、公知の負極活物質を使用することが可能である。負極活物質として、黒鉛、カーボンブラック等の炭素材料や、リチウム金属、あるいはリチウムと他の金属の合金(例えば、アルミニウム-リチウム合金)等のほか、リチウム金属イオンを吸蔵・放出することが可能な材料(例えば、Li2.5Co0.5N、Li4Ti5O12等)が上げられる。
電池は、上記構成部材を用いて公知の方法に従って組み立てればよい。電池の形状は、特に制限されることはなく、例えば円筒状、角型、コイン型等種々の形状、サイズを適宜採用できる。
本発明においては、正極活物質(Li2-XMSiO4)における遷移金属Mの2価/3価間の酸化還元反応、及び3価/4価間の酸化還元反応を利用して二次電池の充放電を行える。従来のリン酸オリビン(LiMPO4等)のような正極活物質では、3価/2価の酸化還元反応しか利用できなかった。これに対して、本発明においては、ケイ酸ポリアニオンの導入により、2価/3価のみならず3価/4価の酸化還元反応を利用することができ、その分充放電容量を上昇できる。
本発明においては非水系二次電池の充放電の際に、4価でも安定に存在するCoやNi等の遷移金属の4価/3価の酸化還元反応及び3価/2価の酸化還元反応を利用することが好ましい。
図2は実施例及び比較例で製造した電池の一具体例であるコイン型電池の断面図であり、図中、1は封口板、2はガスケット、3は正極ケース、4は負極、5はセパレータ、6は正極合剤ペレットを示す。
正極活物質用の固溶体化合物としてLi2Co1-yMnySiO4を以下の方法により合成する。
まず、出発原料にリチウム源としてLi2CO3、コバルト源としてCo3O4、マンガン源としてMnC2O4・2H2O、ケイ酸源として二酸化ケイ素SiO2を化学量論比(原子比Li:Co+Mn:Si=2:1:1)で混合した。得られた混合物を、大気中、650℃で12時間仮焼後、1100℃で24時間の本焼成を2回行うことで、単相のLi2Co1-yMnySiO4粉末(平均粒径50μm)である固溶体化合物を合成した。
なお、y=0、y=0.25、y=0.5、y=0.75、y=1.0の5種の固溶体化合物を合成し、それぞれを固溶体化合物a1、a2、a3、a4、a5とする。
80mlの遊星ボールミルのジルコニアポットにジルコニア製のボールと、実施例1で得られた固溶体化合物a1とアセチレンブラック(電気化学工業社製デンカ ブラック)を70:25の重量比で混合したものを10g入れ、密封した。その後、密封したポットをフリッチュ(FRITSCH)社製遊星型ボールミルにセットし、200rpmで24時間運転させ、乾式混合を行った。この方法で、固溶体化合物の表面を炭素成分でコートした正極活物質を得た。この正極活物質をb1とする。
次に、固溶体化合物a1、a2、a3、a4、a5それぞれを、実施例2と同様の手順で炭素成分で表面をコートして正極活物質b1、b2、b3、b4、b5を得た。正極活物質b1〜b3について300℃、b4とb5について500℃とすること以外は、実施例2と同様の手順でアニール処理した。アニール処理後の正極活物質をそれぞれc1、c2、c3、c4、c5とする。
上記正極活物質b1〜b5及びc1〜c5それぞれを、結着剤(ポリテトラフルオロエチレン)と共に重量比95:5重量比で混合した。得られた混合物を、ロール成形することで、10種の正極合剤ペレット6(厚さ0.5mm、直径15mm)を得た。
また、表2、図8及び10から、アルゴンアニール処理をおこなった正極活物質c1〜c5を使用した電池は、60〜130mAh/g程度の放電容量が得られている。よって、アルゴンアニール処理により大幅に放電容量が向上する事がわかる。
2 ガスケット
3 正極ケース
4 負極
5 セパレータ
6 正極合剤ペレット
Claims (5)
- 一般式(Ia):Li2-xCo1-yM'ySiO4(式中、M'はNi、V、Tiであり、xは0≦x≦2を表し、yは0≦y<1を表す)で表される固溶体化合物と、該固溶体化合物と共に不活雰囲気中で300〜500℃で熱処理されて得られた炭素成分とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
- 一般式(Ib):Li2-xMn1-yM''ySiO4(式中、M''はNi3+、Ni4+、Sc、Y、Zr、Nb、Mo、Agであり、xは0≦x≦2を表し、yは0≦y<1を表す)で表される固溶体化合物と、該固溶体化合物と共に不活雰囲気中で300〜500℃で熱処理されて得られた炭素成分とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
- 一般式(II):Li2-xCo1-yMnySiO4(式中、xは0≦x≦2を表し、yは0≦y<1を表す)で表される固溶体化合物と、該固溶体化合物と共に不活雰囲気中で300〜500℃で熱処理されて得られた炭素成分とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
- 一般式(I):Li2-xMSiO4(式中、Mは少なくともCo又はMnを含む遷移金属を表し、xは0≦x≦2を表す)で表される固溶体化合物と、炭素材料とを含む混合物を、不活性雰囲気中で300〜500℃で熱処理することで、前記固溶体化合物と前記炭素材料に由来する炭素成分とを含む非水電解質二次電池用正極活物質を製造することを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の正極活物質を含む正極を備えることを特徴とする非水電解質二次電池。
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