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JP5233624B2 - 車両用操舵制御装置および方法 - Google Patents

車両用操舵制御装置および方法 Download PDF

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JP5233624B2 JP2008309220A JP2008309220A JP5233624B2 JP 5233624 B2 JP5233624 B2 JP 5233624B2 JP 2008309220 A JP2008309220 A JP 2008309220A JP 2008309220 A JP2008309220 A JP 2008309220A JP 5233624 B2 JP5233624 B2 JP 5233624B2
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Description

本発明は、自動転舵制御機能を備えた車両用操舵制御装置に関する。
従来の車両用操舵制御装置では、ハンドル操作によらず自動的に操向輪の転舵角を制御するレーンキープ等の自動転舵制御時、操舵角を操向輪の転舵角に応じて設定された操舵角とすることで、操舵角と車両挙動との不一致を回避し、運転者に与える違和感を抑制している(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−264374号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、ハンドルには操向輪の転舵角に応じて設定された操舵角を保持するために転舵角によって発生する路面反力と、この路面反力を打ち消すためのトルクが常に付与された状態であるため、自動転舵制御中に運転者が、例えば、微小な修正操舵等の操舵を行う際、大きな力が必要となり、ハンドルの拘束感を与えるという問題があった。
本発明の目的は、自動転舵制御時、運転者にハンドルの拘束感を与えることを防止できる車両用操舵制御装置および方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、検出された転舵反力と自車両が走行する道路の曲率から推定された転舵反力との差分である転舵反力差分の変化量を積分して転舵反力補正値を算出し、前記転舵反力差分と前記転舵反力補正値との差分に応じた操舵反力を前記ハンドルに付与する。
本発明では、自動転舵制御時には、自動転舵時の目標転舵角に応じて設定された操舵角が、操舵反力が0となる操舵角となり、ハンドルには当該操舵角へと戻す自然な反力が作用するのみであるため、運転者にハンドルの拘束感を与えることを防止できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両用操舵制御装置を適用したステア・バイ・ワイヤシステムの全体構成図であり、実施例1の車両用操舵制御装置は、ハンドル1と前輪(操向輪)2,2を転舵する転舵機構3とが機械的に切り離された、いわゆる、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システムである。
ハンドル1を支持するコラムシャフト4には、ハンドル1に操舵反力を付与する反力モータ(反力機構)5と、ハンドル1の直進状態からの回転角である操舵角としてコラムシャフト4の回転角を検出する操舵角センサ6が設けられている。転舵機構3には、転舵機構3に対し前輪2,2(操向輪)を転舵する転舵トルクを付与する転舵モータ7と、前輪2,2の直進状態からの回転角である転舵角としてピニオンシャフト8の回転角を検出する転舵角センサ9とが設けられている。なお、ピニオンシャフト8はラック16を介して前輪2,2に機械的に接続されており、ピニオンシャフト8が回転することによってラック16が軸方向に移動することにより前輪2,2が転舵される。したがって、転舵角はピニオンシャフト8の回転角を検出することによって転舵角を検出することができる。
反力モータ5および転舵モータ7は、操舵コントローラ(反力制御手段)10により制御される。操舵コントローラ10には、上記操舵角センサ6からの操舵角および転舵角センサ9からの転舵角に加え、前輪2,2からラック16の軸方向に入力する力を検出するラック軸力センサ(転舵反力検出手段)11からの転舵反力と、車速センサ12からの車速(車体速)と、ヨーレートセンサ13からのヨーレートと、カメラ(曲率検出手段)14からの撮像画像と、自動転舵スイッチ(以下、SW)15からの自動転舵制御選択信号とが入力される。
自動転舵SW15は、ドライバ(運転者)のON操作によりレーンキープ制御における自動転舵制御を選択するスイッチであって、操舵コントローラ10は、自動転舵SW15からOFF信号が出力されている場合には、通常制御を実行する。ここで、通常制御とは、ハンドル1の操舵角と車速とに応じて目標転舵角(第1目標転舵角)を設定し、設定した第1目標転舵角が得られるように転舵モータ7を駆動して前輪2,2を転舵させつつ、ラック軸力センサ11で検出される転舵反力(路面反力)に応じたトルクで反力モータ5を駆動して、操舵反力をハンドル1に付与する一般的なSBW制御である。
第1目標転舵角は、ステアリングギア比(転舵角に対する操舵角の比)に基づく操舵角と転舵角との関係から設定する。ステアリングギア比は、車速に応じて変更する。例えば、低車速域ではステアリングギア比を小さくして(転舵角に対する操舵角を小さくして)旋回性能を高め、高車速域ではステアリングギア比を大きくして(転舵角に対する操舵角の比を大きくして)走行安定性を高める。また、操舵反力は、転舵角に応じた転舵反力が最小となる直進走行時の操舵角を反力最小位置とし、転舵反力が大きくなるほどより大きくなるような特性とする。
一方、操舵コントローラ10は、自動転舵SW15からON信号が出力されている場合には、所定の解除条件が成立するまでの間、ハンドル操作によらず自動的に前輪2,2を転舵する自動転舵制御を実行する。ここで、自動転舵制御は、自車両前方のレーンマークをカメラ14で認識し、自車両がレーン内の走行を維持するように、前輪2,2の目標転舵角(第2目標転舵角)を設定し、前輪2,2の転舵角が設定した目標転舵角となるように、転舵モータ7を駆動して前輪2,2を自動的に転舵するレーンキープ制御等の、状況に応じて前輪2,2を自動的に転舵する制御をいう。
なお、以下では上述の通常制御時の目標転舵角を第1目標転舵角と記載し、上述の自動転舵制御時の目標転舵角を第2目標転舵角と記載し、これらを総称して目標転舵角と記載する。
実施例1では、自動転舵制御の第2目標転舵角を、操舵角と車速とに応じて設定された第1目標転舵角に目標偏差角を加算して求める。言い換えれば、目標偏差角は、自動転舵制御の第2目標転舵角と、操舵角と車速とで決まる第1目標転舵角との差分である。
実施例1のレーンキープ制御では、目標偏差角を、例えば、下記の式に基づいて算出する。
目標偏差角=A×(レーンに対する横位置)+B×(レーンに対するヨー角)+C×(レーンの曲率)
ここで、A,B,Cはゲインであり、図2(a)〜(c)に示すゲインマップから算出する。
すなわち、レーンキープでは、レーンに対する横位置、レーンに対するヨー角、レーンの曲率に対して、ゲインを設定し、レーンに対する追従度合いを調整する。なお、上記レーンに対する横位置、レーンに対するヨー角、レーンの曲率はカメラ14によって撮像された画像に基づいて検出することが可能である。
自動転舵制御の解除条件としては、ドライバの操舵介入やブレーキ操作等が挙げられる。ここで、操舵介入とは、車線変更や障害物回避操作等、操舵角センサ6から得られる実際の操舵角(実操舵角)が第2目標転舵角に応じて設定された操舵角から大きく変化した場合とし、修正操舵等、車両の直進、旋回状態を維持する程度の微小な操舵(すなわち保舵時の微小操舵)では、自動転舵制御を解除しないこととする。また、第2目標転舵角と「第2目標転舵角に応じて設定された操舵角」との関係は、通常制御時においてステアリングギア比で決まる転舵角と操舵角との関係と同一である。したがって、「第2目標転舵角に応じて設定された操舵角」は第2目標転舵角にステアリングギア比を乗算して求めることができる。
図3は、実施例1の操舵コントローラ10の制御ブロック図であり、図3に示すように、操舵コントローラ10は、転舵角演算部10aと、角度サーボ演算部10bと、操舵反力演算部10cと、自動転舵演算部(転舵反力推定手段)10dと、目標偏差角補正部10eと、転舵反力補正部10fと、を備えている。
自動転舵演算部10dは、自動転舵SW15がONである自動転舵制御時、自動転舵制御における第2目標転舵角と、操舵角と車速とに応じた第1目標転舵角との偏差である目標偏差角を演算する。演算した目標偏差角は、目標偏差角補正部10eに出力される。なお、この自動転舵演算部10dは、自動転舵SW15がOFFである通常制御時には、目標偏差角を出力しない(0を出力する)。
また、自動転舵演算部10dは、下記の式を参照して推定転舵反力を算出する。算出した推定転舵反力は、転舵反力補正部10eに出力される。
Fr^ = 1/2×M×V2/r
ここで、
Fr^:推定転舵反力
M:車両重量
V:車速
1/r:レーンの曲率(rはカメラ14の撮像画像から求めたレーンの半径)
であり、1/2は、前輪分の転舵反力を意味する。
目標偏差角補正部10eは、自動転舵演算部10dから入力した目標偏差角に応じた目標転舵角加算量を出力する。この出力した目標転舵角加算量は転舵角演算部10aから出力された目標転舵角に加算される。目標転舵角加算量は、図4に示すように、目標偏差角の絶対値があらかじめ定められた値である|α|以下の場合には、目標偏差角の絶対値に比例した値とし、目標偏差角の絶対値があらかじめ定められた値である|α|を超える場合には、一定値とする。また、目標偏差角が0である場合、すなわち自動転舵SW15がOFFである通常制御時には0を出力する。ここで、所定値αは、ハンドル1を回転させずに前輪2,2を転舵した場合であっても、車両挙動変化が小さく、ドライバに違和感を与えない目標偏差角(例えば、転舵角で0.3°程度)とする。
なお、実施例1では、ドライバから見て右方向への操舵および転舵を正(+)、左方向への操舵および転舵を負(−)とする。
転舵角演算部10aは、操舵角と車速とに応じて車両の目標ヨーレートを設定し、設定した目標ヨーレートを得るための前輪2,2の第1目標転舵角を演算する。
角度サーボ演算部10bは、転舵角演算部10aで演算された第1目標転舵角に目標偏差角補正部10eから出力された目標転舵角加算量を加算した第2目標転舵角を入力し、この第2目標転舵角と実転舵角(実際の転舵角)とを一致させる転舵指令電流を演算し、転舵モータ7をサーボ制御する。なお、上述した通り自動転舵SW15がOFFである通常制御時には目標偏差角補正部10eから出力される目標転舵角加算量は0である。したがって、通常制御時には、第1目標転舵角と第1目標転舵角に目標転舵角加算量を加算した第2目標転舵角との値は一致する。
転舵反力補正部10fは、ラック軸力センサ11で検出された実転舵反力(実際の転舵反力)と、自動転舵演算部10dで算出された推定転舵反力と、自動転舵SW15の信号とを入力し、実転舵反力と推定転舵反力との差分である転舵反力差分のうち定常成分のみを打ち消すように補正した転舵反力差分を操舵反力演算部10cへ出力する。
図5は、実施例1の転舵反力補正部10fのブロック図であり、転舵反力補正部10fは、差分器16aと、差分器16bと、乗算器16cと、積分器16dと、差分器16eとを備えている。
差分器16aは、実転舵反力と推定転舵反力との差分である転舵反力差分を差分器16bと差分器16eとへそれぞれ出力する。
差分器16bは、差分器16aの出力である転舵反力差分と積分器16dの出力である転舵反力補正値との差分を乗算器16cへ出力する。
乗算器16cは、差分器16bの出力である転舵反力差分と転舵反力補正値との差分に積分ゲインKを乗算した値を積分器16dへ出力する。ここで、積分ゲインKは、
K=K1×K2×K3×K4×K5(0〜1)
ただし、K1,K2,K3,K4,K5はゲインである。
以下、各ゲインの設定方法について説明する。
ゲインK1は、図6に示すように、レーンの曲率が所定の直線判断閾値1/r0以下のときに0であると共に曲率が直線判断閾値1/r0を超えて所定値となるまでは曲率が大きいほどより大きな値とし、曲率が所定値1/r1を超えるとき一定の最大値とする。ここで、直線判断閾値1/r0は、直線路を走行中であると判定できる曲率値とする。
ゲインK2は、図7に示すように、実転舵反力と推定転舵反力との差分(転舵反力差分)の絶対値が所定値ΔF0以下のときは一定の最大値とし、実転舵反力と推定転舵反力との差の絶対値が所定値ΔF0を超えたときは当該絶対値が大きいほどより小さな値とする。
ゲインK3は、図8に示すように、推定転舵反力の微分値が所定値Fr0^'以下のときは一定の最大値とし、推定転舵反力の微分値が所定値Fr0^'を超えたときは当該微分値が大きいほどより小さな値とする。
ゲインK4は、図9に示すように、実転舵反力の微分値が所定値Fr0'以下のときは一定の最大値とし、実転舵反力の微分値が所定値Fr0'を超えたときは当該微分値が大きいほどより小さな値とする。
ここで、実転舵反力の微分値に代えて、ヨーレートセンサ13により検出したヨーレートの微分値を用いてもよい。また、車両に作用する横加速度を検出する横加速度センサを設け、横加速度センサにより検出した横加速度の微分値を用いてもよい。つまり、ゲインK5を設定するためのパラメータは、旋回挙動の変化を示すものであればよい。
ゲインK5は、自動転舵SW15から入力された自動転舵制御の信号がOFFのとき0とし、ONのとき1とする。
積分器16dは、乗算器16cの出力を積分した転舵反力補正値を、差分器16bおよび差分器16eへ出力する。
差分器16eは、転舵反力差分と転舵反力補正値との差分、すなわち補正された転舵反力差分を操舵反力演算部10cへ出力する。
以上から分かるように、自動転舵SW15がOFF信号を出力する通常制御時は、ゲインK5=0から積分ゲインK=0であるため、転舵反力補正値は0となる。したがって、通常制御時は、転舵反力補正部10fは実転舵反力と推定転舵反力との差分である転舵反力差分を補正せずにそのまま操舵反力演算部10cへ出力する。
一方、自動転舵SW15がON信号を出力する自動転舵制御時は、K5=1となるため、積分ゲインKは、ゲインK1,K2,K3,K4に応じて設定され、転舵反力差分が0に近づくように補正して、補正された転舵反力差分を操舵反力演算部10cへ出力する。
また、転舵反力補正部10fは、自動転舵制御がONからOFFになった場合(自動転舵制御から通常制御へ移行する場合)、転舵反力補正値を徐々に0とする。これは、例えば、積分器16cの内部に図10のような積分器16cから出力される転舵反力補正値を徐々に低減するブロックを設けることによって実現可能である。これにより、自動転舵制御を解除する際、ドライバに違和感を与えない程度の時間aで、転舵反力補正値を徐々に0とすることができる。
操舵反力演算部10cは、通常制御時、操舵角センサ6から入力される操舵角と、転舵反力補正部10fから入力される補正された転舵反力差分と、車速センサ12から入力される車速とに応じて目標操舵反力を演算し、この目標操舵反力が得られる反力モータ5の操舵反力指令電流を演算して反力モータ5を駆動する。目標操舵反力は、操舵角が大きいほど、転舵反力差分が大きいほど、または車速が高いほどより大きな値に設定する。
また、操舵反力演算部10cは、自動転舵制御時、自動転舵演算部10dから入力される目標偏差角の絶対値があらかじめ定められた所定値|α|を超える場合には、転舵反力補正部10fから入力される補正された転舵反力差分と、車速センサ12から入力される車速とに応じて目標操舵反力を演算し、この目標操舵反力が得られる反力モータ5の操舵反力指令電流を演算して反力モータ5を駆動する。目標操舵反力は、転舵反力差分が大きいほど、または車速が高いほどより大きな値に設定する。
一方、操舵反力演算部10cは、自動転舵制御時、自動転舵演算部10dから入力される目標偏差角の絶対値があらかじめ定められた所定値|α|以下である場合には、目標操舵反力を0とする。
ここで、レーンの曲率から算出した推定転舵反力は、推定誤差を0とした場合、当該レーンを自動転舵制御の目標転舵角で走行しているときに受ける転舵反力と略一致する。理由は、自動転舵制御時の目標転舵角は、推定転舵反力と同様に、自車両前方のレーンの曲率に応じて設定するからである。
したがって、転舵反力差分に応じた操舵反力の付与は、前輪2,2の転舵角が将来の第2目標転舵角まで転舵されるように、ハンドル1の操舵角を当該目標転舵角に応じて設定された操舵角(第2目標転舵角にステアリングギア比を乗算して定まる操舵角)まで誘導することと等価である。ここで、将来の第2目標転舵角とは、次回または次々回の演算周期で演算される目標転舵角である。
次に、作用を説明する。
一般的に、ハンドルと前輪を転舵する転舵機構とが機械的に切り離された、いわゆるSBWシステムにおいて、レーンキープ制御等の自動転舵制御を行う場合、その目標偏差角を前輪2,2の転舵角に反映させる方法は、
1. 反力モータに目標偏差角に応じた操舵反力指令電流を与え、ハンドルを回転させてその操舵角を目標偏差角に対応する角度分変化させることにより転舵モータの目標転舵角に目標偏差角を反映させる方法
2. ハンドルは回転させず、転舵モータの目標転舵角に目標偏差角を直接加算する方法
が考えられる。
ここで、目標偏差角に応じた操舵反力指令電流を反力モータに与える場合、ハンドルを自動的に回転させることで目標偏差角が目標転舵角に反映されて前輪が転舵されるため、与えられた操舵反力指令電流により路面からの転舵反力が伝わらず、ドライバに違和感を与えてしまう。
一方、自動転舵制御の目標偏差角を目標転舵角に直接加算する場合、前輪のみを自動的に転舵するため、ハンドルが回転せず、ドライバは車両の旋回を車両挙動のみから認識しなければならない。この状態で大きな車両挙動変化が発生した場合、操舵角と車両挙動とが乖離することで、ドライバに違和感を与えてしまう。
これに対し、実施例1では、自動転舵制御時、目標偏差角の絶対値がドライバに違和感を与えない|α|以下の場合には、ハンドル1を回転させずに目標偏差角に応じて前輪2,2のみを転舵させ、目標偏差角の絶対値が|α|を超える場合には、ハンドル1を目標転舵角に応じて設定された操舵角まで回転させる。
すなわち、ハンドル1を回転させずに車両挙動変化が発生した際、前輪2,2の実転舵角に対する操舵角のずれがドライバに違和感を与えない範囲に抑えられるため、操舵角と車両挙動との不一致に伴う違和感の発生を防止することができる。
また、実施例1では、自動転舵制御時、実転舵反力と推定転舵反力との差分である転舵反力差分から定常成分を除いた操舵反力のみをハンドル1に付与する。そして、上述したように、推定転舵反力は、カメラ14で認識した自車両前方のレーンマークから算出したレーンの曲率に基づいて算出しているため、推定誤差を0と仮定した場合、当該レーンを目標転舵角で走行しているときの転舵反力と略一致する。
つまり、実転舵反力と推定操舵反力との偏差を無くすような操舵反力を生成することで、ハンドル1の操舵角を次回の目標転舵角に応じて設定される操舵角へと誘導できる。これにより、旋回初期のように目標転舵角が増加する際の車両の追従性を高めることができ、自動転舵制御の目標軌道に対する車両のトレース性が向上する。
また、転舵反力補正部10fでは、積分器16により、転舵反力差分の定常成分を除去している。ここで、転舵反力差分の定常成分は、車両重量の変化やレーンの曲率の検出誤差等に伴う推定転舵反力の推定誤差を含むため、転舵反力差分の定常成分を無くすことは、推定転舵反力の推定誤差を無くすことと等価である。つまり、推定転舵反力を正確に算出できるため、操舵反力が0となる操舵角を、目標転舵角に応じて設定された操舵角へと正確にずらすことができ、転舵角を目標転舵角へと正確に制御できる。
さらに、カーブ進入後、車両が定常旋回状態となった場合、実転舵反力と推定転舵反力との差分は0であるため、積分により補正された転舵反力差分は0となり、操舵角が目標転舵角に応じて設定された操舵角と一致することで、操舵反力は0となる。この状態からドライバが左右に修正操舵を行ったとき、ハンドル1にはハンドル1を目標転舵角に応じて設定された操舵角に戻すような自然な反力が作用するのみであるため、ドライバにハンドル1の拘束感を与えることを防止できる。
また、実施例1の転舵反力補正部10fでは、検出されたレーンの曲率が直線判断閾値1/r0以下である場合、すなわち、直線路を走行している場合、転舵反力補正値を0とし、転舵反力差分をそのまま操舵反力演算部10cへ出力する。これは、直線路で車両を直進させるためには、操舵反力が0となる操舵角を車両直進時の転舵角に応じて設定された操舵角とするのが望ましいからである。直線路を走行中に操舵反力が0となる操舵角をずらすと、車両を直進させづらくなるため、操舵反力が0となる操舵角をずらすのは好ましくない。
また、転舵反力補正部10fでは、転舵反力差分の絶対値が所定値ΔF0を超えたときは、当該絶対値が大きいほど転舵反力差分の変化量の積分速度を低くする。つまり、転舵反力差分の絶対値が大きい場合には、推定誤差を無くすことよりも、操舵反力が0となる操舵角を目標転舵角に応じて設定された操舵角へと素早くずらすことを優先することで、目標軌道に対する車両の追従性を確保できる。
転舵反力補正部10fでは、推定転舵反力の微分値が所定値Fr0^'以下のときは一定の最大値とし、推定転舵反力の微分値が所定値Fr0^'を超えたときは当該微分値が大きいほどより小さな値とする。すなわち、実施例1では、上記のように転舵反力差分の絶対値が所定値F0を超えた場合には、レーンの曲率から求めた推定転舵反力の誤差が大きくても積分速度が低くなり、推定誤差を素早くなすことができない。よって、推定転舵反力が変化していないときは積分速度を高めることで、推定誤差を早期に無くすことができる。なお、推定転舵反力は変化していないため、積分速度を高めても目標軌道に対する車両の追従性を損なうことはない。
また、転舵反力補正部10fでは、実転舵反力の微分値が所定値Fr0'以下のときは一定の最大値とし、実転舵反力の微分値が所定値Fr0'を超えたときは当該微分値が大きいほどより小さな値とする。ここで、実転舵角の微分値は、車両の旋回挙動が変化していることを示すものである。つまり、車両の旋回挙動が変化している場合には、操舵反力に反映させることで、ドライバに旋回挙動の変化を操舵反力の変化として伝達できる。
さらに、転舵反力補正部10fでは、自動転舵制御がONからOFFになった場合、転舵反力補正値を徐々に0とする。例えば、自動転舵制御から通常制御へ切り替わると同時に転舵反力補正値を0とした場合、転舵反力に応じて生成される目標操舵反力が急増し、ドライバに違和感を与えるおそれがある。そこで、実施例1では、ドライバに違和感を与えない程度の時間aで、転舵反力補正値を徐々に0とすることにより、通常制御復帰時の操舵反力の急変を抑制することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用操舵制御装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 操舵コントローラ10は、自動転舵制御時、検出された転舵反力と推定された転舵反力との差分である転舵反力差分の変化量を積分して転舵反力補正値を算出し、転舵反力差分と転舵反力補正値との差分に応じた操舵反力と、目標転舵角(第2目標転舵角)に応じて設定された操舵角と実操舵角との偏差に基づいた操舵反力とを加算した操舵反力をハンドル1に付与する。これにより、時々刻々と変化する目標転舵角に応じて操舵反力が0となる操舵角を積極的にずらすことができ、ドライバに与える違和感を抑制できる。
(2) 操舵コントローラ10は、検出された曲率が所定の直線判断閾値1/r0以下である場合、転舵反力補正値を0とするため、直線路で操舵反力が0となる操舵角をずらすことで車両を直進走行させづらくなるのを防止できる。
(3) 操舵コントローラ10は、転舵反力差分の絶対値が大きいほど転舵反力差分の変化量の積分速度を低くするため、目標軌道に対する車両の追従性を確保できる。
(4) 操舵コントローラ10は、推定された転舵反力の微分値が小さいほど転舵反力差分の変化量の積分速度を高くするため、目標軌道に対する車両の追従性と、推定誤差の解消との両立を図ることができる。
(5) 操舵コントローラ10は、車両挙動の変化が大きいほど転舵反力差分の変化量の積分速度を低くするため、ドライバに旋回挙動の変化を操舵反力の変化として伝達できる。
(6) 操舵コントローラ10は、自動転舵制御が解除された場合、操舵反力が0となる操舵角を徐々に車両直進時の操舵角に戻すため、通常制御復帰時の操舵反力の急変を抑制できる。
(7) 自車両が走行する道路の曲率から転舵反力を推定し、自動転舵制御時、検出された転舵反力と推定された転舵反力との差分である転舵反力差分の変化量を積分して転舵反力補正値を算出し、転舵反力差分と転舵反力補正値との差分に応じた操舵反力と、目標転舵角(第2目標転舵角)に応じて設定された操舵角と実操舵角との偏差に基づいた操舵反力とを加算した操舵反力をハンドル1に付与する。これにより、時々刻々と変化する目標転舵角に応じて操舵反力が0となる操舵角を積極的にずらすことができ、ドライバに与える違和感を抑制できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例では、自動転舵制御時、目標偏差角の絶対値が|α|以下である場合、操舵反力が生成されない構成としたが、本発明はこれに限らず、実転舵反力と推定転舵反力との差分である転舵反力差分の大きさに応じた微小な操舵反力(例えば、目標偏差角の絶対値が|α|を超えたときに演算される操舵反力×0.1など)を付与してもよい。
実施例1の車両用操舵制御装置を適用したステア・バイ・ワイヤシステムの全体構成図である。 レーンキープ制御のゲインマップである。 実施例1の操舵コントローラ10の制御ブロック図である。 実施例1の目標偏差角に応じた目標転舵角加算量設定マップである。 実施例1の転舵反力補正部10fのブロック図である。 実施例1のゲインK1の設定マップである。 実施例1のゲインK2の設定マップである。 実施例1のゲインK3の設定マップである。 実施例1のゲインK4の設定マップである。 実施例1における自動転舵制御から通常制御へ移行する際の転舵反力補正方法を示す説明図である。
符号の説明
1 ハンドル
2 前輪(操向輪)
3 転舵機構
4 コラムシャフト
5 反力モータ
6 操舵角センサ
7 転舵モータ
8 ピニオンシャフト
9 転舵角センサ
10 操舵コントローラ(反力制御手段)
10a 転舵角演算部
10b 角度サーボ演算部
10c 操舵反力演算部
10d 自動転舵演算部(転舵反力推定手段)
10e 目標偏差角補正部
10f 転舵反力補正部
11 ラック軸力センサ(転舵反力検出手段)
12 車速センサ
13 ヨーレートセンサ
14 カメラ(曲率検出手段)
15 自動転舵スイッチ
16 ラック

Claims (7)

  1. ハンドルと操向輪を転舵する転舵機構とが機械的に切り離され、
    前記ハンドルの操舵角に応じて設定される第1目標転舵角に基づいて、前記操向輪の転舵角を制御する通常制御と、車両の走行状態に応じて設定される第2目標転舵角に基づいて、前記操向輪の転舵角を制御する自動転舵制御とを実行する車両用操舵制御装置において、
    前記操向輪に作用する転舵反力を検出する転舵反力検出手段と、
    自車両が走行する道路の曲率を検出する曲率検出手段と、
    検出された曲率から転舵反力を推定する転舵反力推定手段と、
    自動転舵制御時、検出された転舵反力と推定された転舵反力との差分である転舵反力差分の変化量を積分して転舵反力補正値を算出し、前記転舵反力差分と前記転舵反力補正値との差分に応じた操舵反力を前記ハンドルに付与する反力制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記反力制御手段は、検出された曲率が所定の直線判断閾値以下である場合、前記転舵反力補正値を0とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記反力制御手段は、前記転舵反力差分の絶対値が大きいほど前記転舵反力差分の変化量の積分速度を低くすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  4. 請求項3に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記反力制御手段は、推定された転舵反力の微分値が小さいほど前記転舵反力差分の変化量の積分速度を高くすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記反力制御手段は、車両挙動の変化が大きいほど前記転舵反力差分の変化量の積分速度を低くすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記反力制御手段は、自動転舵制御が解除された場合、前記反力が0となる操舵角を徐々に車両直進時の操舵角に戻すことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  7. 操向輪を転舵する転舵機構と機械的に切り離されたハンドルの操舵角に応じて設定される第1目標転舵角に基づいて、前記操向輪の転舵角を制御する通常制御と、車両の走行状態に応じて設定される第2目標転舵角に基づいて、前記操向輪の転舵角を制御する自動転舵制御とを実行する車両用操舵制御方法において、
    自車両が走行する道路の曲率から転舵反力を推定し、
    自動転舵制御時、検出された転舵反力と推定された転舵反力との差分である転舵反力差分の変化量を積分して転舵反力補正値を算出し、前記転舵反力差分と前記転舵反力補正値との差分に応じた操舵反力を前記ハンドルに付与することを特徴とする車両用操舵制御方法。
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