JP5504589B2 - 車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 - Google Patents
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Description
この技術は、車両の進行方向と走行車線との角度偏差(ヨー角)を検出し、その角度偏差を打ち消す方向に操舵を制御する。これによって、車両が走行車線から逸脱することを防止する。
また、同様な技術として、特許文献2に記載の技術がある。
ここで、逸脱側への車両挙動とは、相対的に自車両に近い側の車線端部側に向けて、自車両が進行する車両挙動である。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、逸脱側への実際の車両挙動を予め抑えることを課題としている。
図1は、本実施形態の車線維持支援装置を適用した自車両のシステム概要構成図である。
この実施形態の自車両は、ステアバイワイヤシステムを採用している。すなわち、ハンドルの操舵状態と独立して操舵輪の転舵角を制御可能となっている。また、操舵輪の転舵状態と独立してハンドルの操舵反力を制御可能となっている。
まず構成について図1を参照しながら説明する。
運転者が操作するハンドル12にステアリング入力軸30が連結する。そのステアリング入力軸30には、ハンドル12の操舵角を検出するハンドル角度センサ1を設ける。そのハンドル角度センサ1は、検出した操舵角度信号を操舵用コントローラ11に出力する。
上記ステアリング入力軸30に、操舵トルクセンサ2を介して第1中間軸31が連結する。操舵トルクセンサ2は、ステアリング入力軸30に入力した操舵トルクを検出し、そのトルク信号を操舵用コントローラ11に出力する。
また、自車両状態パラメータ14が操舵用コントローラ11に入力する。自車両状態パラメータ14は、例えば車速検出手段が検出した車速や、路面摩擦係数推定手段が検出した走行路面の摩擦係数推定値である。
また、前輪13及び後輪40の各車輪にブレーキユニットを備える。各ブレーキユニットは、ブレーキディスク22と、液圧の供給によりブレーキディスク22を摩擦挟持してブレーキ力(制動力)を与えるホイルシリンダ23とを備える。これらブレーキユニットの各ホイルシリンダ23に、圧力制御ユニット24が連結し、圧力制御ユニット24から供給した液圧によって、ブレーキユニットは各車輪に対し個別に制動を付加する。
上記システム構成を備えた自車両に対し、車両用操舵制御装置を車線維持支援装置として設ける。
自車両に、画像処理機能付き単眼カメラを搭載する。この画像処理機能付き単眼カメラは、自車両の位置を検出するための外界認識手段16である。画像処理機能付き単眼カメラは、自車両前方の路面を撮像する。その撮像したカメラ画像から路面の状態を判断し、自車が走行する走行車線内の自車両の位置に関する信号を、車線維持支援コントローラ15に出力する。走行車線内の自車両の位置に関する信号は、走行車線に対する自車両の進行方向の角度偏差であるヨー角θ、走行車線中央からの横変位X、及び走行車線の曲率ρに関する情報である。
また、車線維持支援コントローラ15は、操舵用コントローラ11から、現在のステアの状態やタイヤの操舵状態などの信号を入力する。
車線維持支援コントローラ15は、入力した信号に基づき自車両を走行車線に維持させるための制御量を算出して、少なくとも上記操舵用コントローラ11に出力する。
この車線維持支援コントローラ15は、所定サンプリング周期毎に繰り返し実行する。
まず、ステップS100にて、各センサ及びコントローラからの各種データを読み込む。センサからは、各車輪速Vw、操舵角δ、操舵角速度δ′、操舵トルクτ、方向指示スイッチ17の信号を読み込む。外界認識手段16からは、自車両の走行車線に対する車両のヨー角θ、走行車線中央からの横変位X、及び走行車線の曲率ρをそれぞれ読み込む。
ここで、図3に示すように、右側の車線端部基準閾値XRtは、右逸脱に対して設定する車線端部基準LXRの位置を特定するものである。左側の車線端部基準閾値XLtは、左逸脱に対して設定する車線端部基準LXLの位置を特定するものである。
XRt = ( Wlane/2 ) − ( Wcar/2 )
− Xoffset ・・・(1)
XLt = −((Wlane/2 ) − ( Wcar/2 )
− Xoffset ) ・・・(2)
XRt2 = ( Wlane/2 ) − ( Wcar/2 )
− Xoffset2 ・・・(1)
XLt2 = −((Wlane/2 ) − ( Wcar/2 )
− Xoffset2 ) ・・・(2)
ここで、走行車線中央Lsからの横変位Xは、走行車線Lに対して自車両Cが中心よりも右側にいる場合を正とし、左側に位置する場合を負とする。このため、右側の車線端部基準閾値XRt及び車線幅方向オフセット閾値XRt2側を正としている。
また、Xoffset及びXoffset2は走行車線端部Le(白線や路肩)の位置に対する余裕代である。この余裕代Xoffset及びXoffset2は、走行車線幅Wlaneや車速などに応じて変更しても良い。例えば、走行車線幅Wlaneが狭い程、余裕代Xoffset及びXoffset2を小さくする。また、左右の車線端部基準LXL、LXR毎に異なる余裕代Xoffset及びXoffset2を使用しても良い。
ΔθR = θ (θ>0の場合)
ΔθR = 0 (θ≦0の場合)
ここで、走行車線に対する車両のヨー角θは、図4に示すように、右側へヨー角がついている場合を正とし、左側へヨー角がついている場合を負とする。また、ΔθRは、右逸脱に対してのみ設定するヨー角偏差であるため、図5(a)に示すように、ΔθR≦0の場合、ΔθR=0とする(正の値のみをとるようにする)。
ΔθL = θ (θ<0の場合)
ΔθL = 0 (θ≧0の場合)
ここで、ΔθLは、左逸脱に対してのみ設定したヨー角偏差であるため、図5(b)に示すように、ΔθL≧0の場合、ΔθL=0とする(負の値のみをとるようにする)。
次に、ステップS140にて、第1目標補正転舵角φY1*を算出する。第1目標補正転舵角φY1*は、走行車線に対する車両のヨー角θを打ち消すための制御量である。すなわち、走行車線と車両の進行方向が平行となるようにするための角度偏差用の制御量である。
まず、下記式によって、右逸脱に対する第1目標転舵角φY1_R*、及び左逸脱に対する第1目標転舵角φY1_L*をそれぞれ算出する。
φY1_R* = −( Kc_Y × Ky_R × Kv_Y × ΔθR )
φY1_L* = −( Kc_Y × Ky_L × Kv_Y × ΔθL )
ここで、Kc_Yは車両諸元により定まるフィードバックゲインである。また、Kv_Yは車速に応じた補正ゲインである。
ここで、フィードバックゲインKy_R、Ky_Lの最小値の境界として、XLt,XRtの代わりに、車線幅方向オフセット閾値XLt2,XRt2を使用しても良い。
φY1* = φY1_R * + φY1_L*
ここで、右側へヨー角がついている場合には、ステップS130によりΔθL=0となる。従って、左逸脱に対する第1目標転舵角φY1_L*は0となり、右逸脱に対する第1目標転舵角φY1_R*のみを採用することになる。同様に、左側へヨー角がついている場合には、ステップS120によりΔθR=0となる。従って、右逸脱に対する第1目標転舵角φY_R*は0となり、左逸脱に対する第1目標転舵角φY_L*のみを採用することになる。
次に、ステップS150では、上記第1目標補正転舵角φY1*に応じたハンドル位置が、操舵反力の中立位置となるように、操舵反力アクチュエータ3を制御する。
ここで、上記ステップS150の処理により、走行車線と自車両の進行方向とが平行となるハンドル位置(操舵角)で操舵反力が中立位置となる(操舵トルクが0となる)。このため、走行車線が直線路であってもカーブ路であっても、走行車線と自車両の進行方向が平行となる向きから、運転者が左右どちらの走行車線端部に対して近づく方向に操舵したかを、操舵トルクτの符号により検出できるようになる。
すなわち、
1) 操舵トルクτ≦τthの場合(右へ操舵トルクをかけていない場合)、下記式のように、右逸脱に対する操舵角基準値δR*を実操舵角値δで更新する。
δR* = δ
2) 操舵トルクτ>τthの場合、右逸脱に対する操舵角基準値δR*を更新しない(保持する)。
すなわち、
1) 操舵トルクτ≧−τthの場合(左へ操舵トルクをかけていない場合)、下記式のように、左逸脱に対する操舵角基準値δL*を実操舵角値δで更新する。
δL* = δ
2) 操舵トルクτ<−τthの場合、左逸脱に対する操舵角基準値δL*を更新しない(保持する)。
上記算出によって、操舵トルク閾値τht以上の操舵トルクを検出したときの実操舵角値δが、右逸脱に対する操舵角基準値δR*、若しくは左逸脱に対する操舵角基準値δL*となる。
右側の車線端部基準側への操舵切り増し量ΔδRを、下記式によって算出する。
ΔδR = δ − δR* (δ>δR* の場合)
ΔδR = 0 (δ≦δR* の場合)
同様に、左側の車線端部基準側への操舵切り増し量ΔδLを、下記式によって算出する。
ΔδL = δ − δL* (δ<δL* の場合)
ΔδL = 0 (δ≧δL* の場合)
これによって、左右それぞれの車線端部基準側へのハンドル操舵分を、操舵切り増し量として抽出することができる。
第2目標転舵角φY2*の算出は、右逸脱に対する第2目標転舵角φY2_R*、左逸脱に対する第2目標転舵角φY2_L*をそれぞれ算出し、その和を取ることで当該第2目標転舵角φY2*を算出する。
まず、下記式によって、右逸脱に対する第2目標転舵角φY2_R*、及び左逸脱に対する第2目標転舵角φY2_L*をそれぞれ算出する。
1) 操舵トルクτ≧τthの場合(右へ操舵トルクをかけている場合)
φY2_R* = −( Kc_g × Kg_R ×KρL_R × ΔδR )
2) 操舵トルクτ<τthの場合
φY2_R* = 0
1) 操舵トルクτ≦−τthの場合(左へ操舵トルクをかけている場合)
φY2_L* = −( Kc_g × Kg_L ×KρL_L × ΔδL )
2) 操舵トルクτ>−τthの場合
φY2_L* = 0
ここで、Kc_gは、車両の諸元によって決まる、操舵角(ハンドル角)とタイヤ角(操舵輪の転舵角)とのギア比係数である。
ここで、右逸脱に対する転舵抑制ゲインKg_Rは、右側走行端部基準に近づくにつれて大きくなるように設定する。左逸脱に対する転舵抑制ゲインKg_Lは、左側走行端部基準に近づくにつれて大きくなるように設定する。但し、これら転舵抑制ゲインは、最大値を1.0とする。最大値を1.0とすることで、第2目標転舵角は運転者による操舵切り増し量を打ち消す分が上限値となる。つまり、逸脱側への運転者操舵時にのみ、操舵角(ハンドル角)に対するタイヤ角の転舵応答を下げることができ、拘束感や違和感のなく、適切に車線維持支援を行うことができる。なお、最小値となる閾値として、XLt2,XRt2の代わりに車線端部基準閾値XLt、XRtを使用しても良い。
すなわち すなわち、曲率ρの向き(走行車線Lのカーブ方向)に応じて3種類に分けて、下記のように、個別のマップを使用して、右逸脱に対するカーブ補正ゲインKρL_R、及び左逸脱に対するカーブ補正ゲインKρL_Lを設定する。
曲率ρ<0(右カーブ)と判定した場合:
KρL_R:図8(a)に示すような、カーブIN側補正ゲインマップから読み込む。
KρL_L:図8(b)に示すような、カーブOUT側補正ゲインマップから読み込む。
KρL_R:図8(b)に示すような、カーブOUT側補正ゲインマップから読み込む。
KρL_L:図8(a)に示すような、カーブIN側補正ゲインマップから読み込む。
曲率ρ=0(直線路)と判定した場合
KρL_R = 1.0 (補正なし)
KρL_L = 1.0 (補正なし)
ここで、走行車線Lの曲率ρは、旋回半径の逆数であり、直線路でρ=0となり、カーブがきつくなる(旋回半径が小さくなる)につれて、曲率ρの絶対値が大きな値となる。また、左カーブを正とし、右カーブを負とする。
但し、無条件で、Kρ=1としても良い。
そして、下記式のように、右逸脱に対する第2目標転舵角φY2_R*と左逸脱に対する第2目標転舵角φY2_L*との和として、第2目標補正転舵角φY2*を算出する。
φY2* = φY2_R* + φY2_L*
次に、ステップS200では、車両の最終目標転舵角φ*を算出する。このとき、最終目標補正転舵角φY*分の補正を行う。
そして、下記式のように、ステップS190で算出した、車線維持支援のための最終目標目標転舵角φY*を付加する。つまり、車線維持支援のための最終目標転舵角φY*分の補正を行って、車両の最終目標転舵角φ*を算出する。
φ* = φ0 + φY*
φ* =φ0
次に、ステップS210では、最終目標転舵角φ*の指令を操舵用コントローラ11に出力する。
操舵用コントローラ11は、転舵角が最終目標転舵角φ*となるように、転舵アクチュエータ5を駆動する。これによって、操舵輪である前輪の転舵角が最終目標転舵角φ*となる。
まず、下記のように場合分けして、右逸脱に対する第1目標操舵反力τY1_R*、及び左逸脱に対する第1目標操舵反力τY1_L*をそれぞれ算出する。
1) 操舵トルクτ≧τthの場合(右へ操舵トルクをかけている場合)
τY1_R* = Kt_R × ( τ − τth )
2) 操舵トルクτ<τthの場合
τY1_R* = 0
1) 操舵トルクτ≦−τthの場合(左へ操舵トルクをかけている場合)
τY1_L* = Kt_L × ( τ + τth )
2) 操舵トルクτ>−τthの場合
τY1_L* = 0
τY1* =τY1_R* +τY1_L*
ここで、τY1*、τY1_R*、τY1_L*は、左へ操舵反力を発生させる場合を正の値とし、右へ操舵反力を発生させる場合を負の値とする。
次に、ステップS230では、第2目標補正操舵反力τY2*を算出する。第2目標補正操舵反力τY2*は、車線維持支援のための操舵反力であり、運転者の過渡的な操舵入力に対する操舵反力である。この第2目標補正操舵反力τY2*は、運転者が車線端部側へ操舵した操舵角速度δ′に応じて算出する。
まず、下記のように場合分けして、右逸脱に対する第2目標操舵反力τY2_R*、左逸脱に対する第2目標操舵反力τY2_L*をそれぞれ算出する。
すなわち、下記式によって、右逸脱に対する第2目標操舵反力τY2_R*を算出する。
1) 操舵角速度δ′≧δ′th の場合(右へ操舵している場合)
τY2_R* = Ks_R × ( δ′ − δ′th )
2) 操舵角速度δ′<δ′th の場合
τY2_R* = 0
1) 操舵角速度δ′≦ −δ′th の場合(左へ操舵している場合)
τY2_L* = Ks_L × ( δ′ + δ′th )
2) 操舵角速度δ′> −δ′th の場合上
τY2_L* = 0
τY2* =τY2_R* +τY2_L*
ここで、τY2*、τY2_R*、τY2_L*は、左へ操舵反力を発生させる場合を正の値とし、右へ操舵反力を発生させる場合を負の値とする。また、操舵角速度δ′は、右方向への操舵を正の値とし、左方向への操舵を負の値とする。
τY* = τY1* + τY2*
τY =τY0 +τY*
τY =τY0
上記通常の目標操舵反力τY0は、操舵角や操舵角速度、タイロッド軸力などに応じて算出する、路面入力を模擬した目標操舵反力である。
例えば、自車両が走行車線に沿って平行に走行している状態で、運転者が右側にハンドルを操舵したとする。
このとき、左右の操舵輪は、右側に転舵する。このとき操舵輪の実転舵角は、上記操舵角相当の転舵角よりも転舵補正量(最終目標補正転舵角φY*)だけ小さな転舵角に抑制する。この転舵補正量は、図11のように、右側の車線端部基準からの自車両の位置によって決まる。すなわち、右側の車線端部基準LXR、つまり右側の車線端部から自車両が遠い場合には、上記転舵補正量が小さく抑制量は小さい。一方、右側の車線端部基準LXR、つまり右側の車線端部に自車両が近づくほど、上記転舵補正量が大きくなって抑制量が大きくなる。この結果、右側の車線端部基準LXR、つまり右側の車線端部に自車両が近づくほど、ハンドル操舵に対する操舵輪の転舵がされにくくなる。
このとき、上記転舵補正量は、ハンドル操舵に対応する転舵角を上限とする。これによって、転舵補正量に応じた転舵補正によって、運転者のハンドル操舵方向とは反対側に転舵することを防止する。
また、運転者の上記ハンドル操舵に対し、操舵方向とは反対方向への逸脱防止用の操舵反力を付与する。この逸脱防止用の操舵反力は、右側の車線端部基準LXRからの自車両の位置によって決まる。すなわち、右側の車線端部基準LXR、つまり右側の車線端部から自車両が遠い場合には、上記逸脱防止用の操舵反力が小さい。一方、右側の車線端部基準LXR、つまり右側の車線端部に自車両が近づくほど、上記逸脱防止用の操舵反力が大きくなって操舵トルクが重くなる。この結果、右側の車線端部基準LXR、つまり右側の車線端部に自車両が近づくほど、逸脱側にハンドルを操舵し難くなって、逸脱側への運転者による操舵量を抑制することとなる。
更に、操舵反力として、ハンドル操舵の操舵角速度に応じて操舵反力を補正する。この操舵角速度に応じた操舵反力は、車線端部基準に近い程、大きくなる。これによって、一方の車線端部に近づき、当該車線端部側(逸脱側)への運転者によるハンドル操舵にときのみ、過渡的に操舵反力が重くなって、逸脱側に向け早くハンドルを操作することを抑制する。
このとき、上記転舵補正量によって、逸脱側への転舵を抑える結果、逸脱方向における上記角度偏差を打ち消す方向へのフィードバック制御の制御量は、上記転舵補正量による抑制を行わない場合に比べて、小さくなる。
これによって、図12のように、走行車線と平行な状態で操舵トルクがゼロとなる。この結果、カーブ路を走行中においても、操舵トルクによって、走行車線に沿った方向に対し、運転者がどちらの車線端部側にハンドルの操舵を行ったかを検出することが可能となる。
前輪13は操舵輪を構成する。
ステップS110が基準設定部を構成する。外界認識手段16が横方向変位取得手段を構成する。ステップS170,S180が転舵抑制手段を構成する。ステップS200、S210及び操舵用コントローラ11は転舵制御手段を構成する。第2目標補正転舵角φY2*は、転舵補正量を構成する。
ステップS120〜S140は、角度制御量算出手段を構成する。第1目標補正転舵角φY1*は、角度偏差用制御量を構成する。
ステップS240,S250及び操舵用コントローラ11は、反力発生制御手段を構成する。
ステップS150は、操舵反力中心位置補正手段を構成する。
ステップS220〜ステップS230は、操舵反力補正手段を構成する。
(1)転舵抑制手段が、車線端部基準に自車両が近づくほど、ハンドルの操舵に対する操舵輪の転舵を抑制するための転舵補正量を算出する。そして、転舵制御手段が、転舵補正量に応じて、ハンドルの操舵に対する操舵輪の転舵を補正する。
これによって、フィードフォワード的に、逸脱側(走行車線端部側)への車両挙動を予め抑制することになる。
この結果、フィードバック制御による、逸脱防止のための、実施に発生している車両挙動を抑えるための制御量を抑えつつ、車線維持の支援が可能となる。
逸脱防止のために介入する制御量を抑える事は、運転者に与える違和感を抑えつつ、車線維持支援を行うことができる。
また、運転者が操舵介入をした時にのみ作用するので、拘束感や違和感のない車線維持支援を行うことができる。
これによって、逸脱リスクの少ない走行車線中央付近を走行する場合や、逸脱回避側への操作時などでは、転舵の抑制度合いを小さく設定、もしくは無くすことが可能となる。この結果、逸脱リスクの少ない走行車線中央付近を走行する場合や、逸脱回避側への操作時には、余計な拘束感等の発生を抑える。
一方、逸脱リスクが高まるにつれて転舵の抑制度合いが大きくなるので、逸脱回避操作が必要な場合には適切に逸脱防止効果を確保することができる。
運転者による操舵切り増し量が転舵補正量の上限値となる結果、運転者操舵方向と逆方向へ操舵輪が転舵することはない。
つまり、逸脱側への運転者操舵時にのみ、操舵角(ハンドル角)に対する操舵輪の転舵角の転舵応答を下げるような動きとなる。これによって、違和感のない車線維持支援を行うことができる。
また、上記転舵制御手段は、ハンドル操舵による操舵輪の転舵方向とは逆方向に転舵補正量分だけ補正する事で、転舵の抑制が実現する。
これによって、上記転舵の抑制に加え、走行車線に沿った方向に自車両が走行するようにフィードバック制御を実施する。
角度偏差を小さくなるようにフィードバック制御を行うことで、逸脱の回避が行われるが、上記転舵の抑制によって、この逸脱回避のためのフィードバック制御用の制御量を抑える事となる。この結果、逸脱回避時における運転者の違和感を抑えることが可能となる。
これによって、走行車線がカーブ路であっても、走行車線と自車両の進行方向が平行となる向き(カーブに沿った方向)から、上記逸脱のための転舵抑制が可能となる。
なお、操舵角速度では、過渡的にしか検出できない。
また、走行車線と平行となる操舵角基準値も設定できるため、逸脱方向への運転者の切り増し量も容易に検出可能となる。
これによって、逸脱側へのハンドル操舵が重くなる。この結果、逸脱側への車両の動きを予め抑えることができる。このため、フィードバック制御による制御量を大きくしすぎることなく逸脱防止効果を確保できる。かつ、違和感のない車線維持支援を行うことができる。
また、運転者が操舵介入をした時にのみ作用するので、拘束感や違和感のない車線維持支援を行うことができる。
これによって、逸脱リスクの少ない走行車線中央付近走行中や、逸脱回避側への操作時などでは操舵反力付加分を小さく設定、もしくは無くすことが可能となる。このため、逸脱リスクの少ない走行車線中央付近を走行中や、逸脱回避側への操作時には、余計な拘束感などがない。
一方、逸脱リスクが高まるにつれて操舵反力の付加分(補正分)を大きく設定するので、逸脱回避操作が必要な場合には適切に逸脱防止効果を確保することができる。
操舵反力補正量は、運転者による操舵トルクを打ち消す分が上限値となる。この結果、運転者の操舵入力に対し、操舵反力でハンドルが、反対方向にはじき返されることはない。
つまり、トルクが釣り合ってハンドルが止まる位置が上限となる。この結果、逸脱側への運転者操舵時にのみ、定常的に操舵反力が重くなる動きとなり違和感のない車線維持支援を行うことができる。
これによって、逸脱側への運転者によるハンドル操舵時にのみ、過渡的に操舵反力が重くなる動きとなる。そして、違和感のない車線維持支援を行うことができる。
更には、操舵トルクに応じた定常項と、操舵角速度に応じた過渡項を組み合わせることにより、定常的には重すぎることなく、変化に対してはしっかり対応でき、拘束感や違和感なく、適切に車線維持支援を行うことができる。
これによって、走行車線と自車両の進行方向とが平行となるハンドル位置(操舵角)で操舵反力が中立位置となる(操舵トルクが0となる)。このため、走行車線が直線路であってもカーブ路であっても、走行車線と自車両の進行方向が平行となる向きから、運転者が左右どちらの車線端部側に対して近づく方向に(定常的に)操舵したかが、操舵トルクの符号により検出できるようになる。
そして、走行車線と自車両の進行方向が平行となる向きのハンドル位置を基準として操舵反力補正量を算出出来るようになる。
なお、操舵角速度では、過渡的にしか検出できない。
(1)転舵抑制手段は、自車両の進行方向が、走行車線と平行若しくは平行よりも上記車線端部基準側に向いている場合にだけ、上記転舵の抑制のための転舵補正量を算出するようにしても良い。
この場合には、自車両が左右一方の車線端部基準に近づいた位置にいても、自車両の進行方向が車線端部基準から離れる方向に向かっている場合には、当該左右一方の車線端部基準側にハンドル操舵した場合には、転舵抑制を行わない。
これによって、逸脱方向に車両が向かっている場合にだけ転舵の抑制を実施することで、不必要に転舵抑制を行うことを回避できる。
この場合には、自車両が左右一方の車線端部基準に近づいた位置にいても、自車両の進行方向が車線端部基準から離れる方向に向かっている場合には、当該左右一方の車線端部基準側にハンドル操舵した場合には、上記操舵反力を重くすることを行わない。
これによって、逸脱方向に自車両が向かっている場合にだけ操舵反力を重くする制御を実施することで、不必要に操舵反力を重くすることを回避できる。
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様な装置などについては同一の符号を付して説明する。
(構成)
本実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様である。ただし、車線維持支援コントローラ15の処理が異なる。すなわち、第2実施形態は、転舵の抑制を、車線端部基準方向への運転者操舵時に、操舵角(ハンドル角)に対するタイヤ角のギア比係数を小さく補正することにより、車線維持支援を行うものである。
ここで、上記第1実施形態と同様な処理ステップについては同一の符号を付する。
すなわち、ステップS100〜S150、及びステップS210〜S250の処理は、上記第1実施形態と同様である。但し、本実施形態では、ステップS150とS210との間の処理としてステップS300及びS310の処理を実施する。
ステップS300では、車両の逸脱側への動きを予め抑えるための、操舵角(ハンドル角)に対するタイヤ角のギア比係数を算出する。
ここでは、右方向への操舵に対するギア比係数GRと左方向への操舵に対するギア比係数GLを、例えば図15(a)(b)に示すように、の車線端部基準に近づくほど小さくなるように、それぞれ個別に設定する。ここで、Gbは、車両の諸元によって決定する、初期値として設定したギア比係数(Kc_g)である。
すなわち、運転者の操舵操作(操舵角δ)に対し、ステップS806において算出したギア比係数GR、GL、及びステップS140において算出した、車線維持支援のための第1目標補正転舵角φY1*を付加した上で、車両の最終目標転舵角φ*として算出する。
右方向への操舵の場合(操舵角δが正の場合)には、下記式によって、車両の最終目標転舵角φ*として算出する。
φ* = ( GR ×δ ) + φY1*
φ* = ( GL ×δ ) + φY1*
ここで、左右操舵方向の基準として、操舵角δの符号ではなく、ステップS160において算出した操舵角基準値に対する増減や、操舵トルクτの符号を用いてもよい。
ここで、ステップS300が転舵抑制手段を構成する。ギア比係数GR、GLは、転舵補正量を構成する。ステップS310、S210及び操舵用コントローラ11は転舵制御手段を構成する。
上記第1実施形態の効果に、加えて次の効果も奏する。
(1)転舵制御手段は、転舵補正量に応じて、ハンドルの操舵角に対する操舵輪の転舵角のギア比係数を小さくする。すなわち、転舵の抑制は、車線端部基準方向への運転者操舵時に、操舵角(ハンドル角)に対する操舵輪の転舵角(タイヤ角)のギア比係数を小さくすることにより行う。
ギア比係数を小さくすることで抑制するので、運転者のハンドル操舵による操舵角に対して操舵輪が転舵する量が小さくなるだけとなる。この結果、運転者による操舵方向と逆方向へ操舵輪が転舵することはない。
つまり、逸脱側への運転者操舵時にのみ、操舵角(ハンドル角)に対するタイヤ角の転舵応答を下げるような動きとなり、違和感のない車線維持支援を行うことができる。
5 転舵アクチュエータ
11 操作用コントローラ
12 ハンドル
13 前輪(操舵輪)
15 車線維持支援コントローラ
16 外界認識手段
Le 走行車線端部
X 横変位
LXR 、LXL 車線端部基準
XRt、XLt 車線端部基準閾値
XRt2、XLt2 車線幅方向オフセット閾値
δ 操舵角
δ′ 操舵角速度
τ 操舵トルク
θ ヨー角
ρ 曲率
φ* 最終目標転舵角
φ0 操舵に応じた転舵角
φY* 最終目標補正転舵角
φY1* 第1目標補正転舵角
φY2 * 第2目標補正転舵角
Kg_R、Kg_L 転舵抑制ゲイン
Ky_R、Ky_L フィードバックゲイン
KρL_R、KρL_L カーブ補正ゲイン
τY 最終目標操舵反力
τY* 最終目標補正操舵反力
τY0 目標操舵反力
τY1* 第1目標補正操舵反力
τY2 * 第2目標補正操舵反力
Kt_R、Kt_L 第1目標操舵反力算出ゲイン
Ks_R、Ks_L 第2目標操舵反力算出ゲイン
GR、GL ギア比係数
Claims (15)
- 運転者が操舵するハンドルと、ハンドルの操舵方向に操舵輪を転舵させる転舵制御手段と、を備えた車両用操舵制御装置において、
自車両が走行する走行車線の幅方向中央から幅方向左右にそれぞれオフセットした位置である左右の車線端部基準を設け、
走行車線に対する自車両の横方向変位に関する情報を取得する横方向変位取得手段と、
走行車線と自車両の進行方向とが平行となる向きに対し自車両が向く側の上記車線端部基準を第1の車線端部基準と定義し、他方の車線端部基準を第2の車線端部基準と定義した場合に、車線中央に対し自車両が右側に位置しても左側に位置しても走行車線内における自車両の位置に関係なく、第1の車線端部基準側に向けたハンドルの操舵に対する操舵輪の転舵を抑制するための転舵補正量を算出する転舵抑制手段と、を備え、
上記転舵制御手段は、上記転舵補正量に応じて、ハンドルの操舵に対する操舵輪の転舵量を補正し、
上記転舵補正量を、上記第1の車線端部基準を基準とした自車両の位置に応じて求め、自車両の位置が上記第1の車線端部基準に近いほど上記転舵補正量を大きくすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 上記転舵補正量は、自車両の位置が車線幅方向中央位置を含んで該車線中央位置よりも第2の車線端部基準側から第1の車線端部基準側に近づくほど大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載した車両用操舵制御装置。
- 上記転舵抑制手段が算出する転舵補正量は、ハンドルの操舵量に応じた操舵輪の転舵角を上限とし、
上記転舵制御手段は、ハンドル操舵による操舵輪の転舵方向とは逆方向に転舵補正量分だけ補正する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した車両用操舵制御装置。 - 上記転舵制御手段は、ハンドルの操舵角に対する操舵輪の転舵角のギア比係数を小さくして転舵量を補正することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した車両用操舵制御装置。
- 上記転舵抑制手段は、自車両の進行方向が走行車線と平行若しくは平行よりも上記第1の車線端部基準側に向いている場合に、転舵を抑制するための上記転舵補正量を算出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車両用操舵制御装置。
- 自車両が少なくとも上記第1の車線端部基準よりも車線中央側に位置する場合に、上記走行車線に対する自車両の進行方向の角度偏差を小さくするための角度偏差用制御量を算出する角度制御量算出手段を備え、
上記転舵制御手段は、転舵補正量及び角度偏差用制御量に応じて、ハンドルの操舵に対する操舵輪の転舵量を補正することを特徴する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した車両用操舵制御装置。 - 上記転舵抑制手段は、走行車線と平行に自車両が進行するハンドル操舵角位置を基準として、上記第1の車線端部基準側へのハンドル操舵か否かを判定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した車両用操舵制御装置。
- ハンドルに加える操舵反力を制御する反力発生制御手段を備えた車両用操舵制御装置において、
走行車線と平行に自車両が進行するハンドル操舵角位置を操舵反力の中心となるように、反力発生制御手段を介して操舵反力中心位置を補正する操舵反力中心位置補正手段を備え、
上記操舵反力中心位置補正手段による補正後のハンドル操舵による操舵トルクによって、上記走行車線と平行に自車両が進行するハンドル操舵角位置を判定することを特徴とする請求項7に記載した車両用操舵制御装置。 - ハンドルに加える操舵反力を制御する反力発生制御手段を備えた車両用操舵制御装置において、
上記車線端部基準に自車両が近づくほど、運転者による上記第1の車線端部基準側へのハンドルの操舵に対する操舵反力を重くするための操舵反力補正量を算出する操舵反力補正手段を備え、
反力発生制御手段は、操舵反力補正量に応じてハンドルに加える操舵反力を補正することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載した車両用操舵制御装置。 - 上記操舵反力補正手段は、上記操舵に対する操舵反力を重くするための操舵反力補正量を、上記第1の車線端部基準を基準とする自車両の横位置に応じて算出し、その操舵反力補正量を、自車両が上記第1の車線端部基準に近いほど大きくすることを特徴とする請求項9に記載した車両用操舵制御装置。
- 上記操舵反力補正手段は、運転者が車線端部基準側へ切り増した操舵トルクに応じて当該操舵トルクを打ち消す方向に付加する操舵反力補正量を算出し、その操舵反力補正量の絶対値は、上記操舵トルクの絶対値を上限とする請求項9又は請求項10に記載した車両用操舵制御装置。
- 上記操舵反力補正手段は、上記操舵に対する操舵反力を重くするための操舵反力補正量を、上記第1の車線端部基準側に向けたハンドル操舵の操舵角速度に応じて補正することを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載した車両用操舵制御装置。
- 上記操舵反力補正手段は、自車両の進行方向が走行車線に対して平行となる操舵角の位置を、操舵反力中心となるように操舵反力中心を補正した上で、操舵反力補正量を算出することを特徴とする請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載した車両用操舵制御装置。
- 走行車線と自車両の進行方向とが平行となる向きに対し自車両が向く側の上記走行車線端部を第1の走行車線端部と定義し、他方の走行車線端部を第2の走行車線端部と定義した場合に、
車線中央に対し自車両が右側に位置しても左側に位置しても走行車線内における自車両の位置に関係なく、第1の走行車線端部側への運転者の操舵に対し、操舵輪の転舵がされにくくなるように転舵を制御し、
上記転舵の抑制は、自車両が車線幅方向中央位置を含んで該車線中央位置よりも第2の走行車線端部側から第1の走行車線端部側に近づくほど、上記操舵輪の転舵がされにくくなるように転舵を制御することを特徴とする車両用操舵制御方法。 - 自車両が少なくとも一方の第1の走行車線端部側に近づくほど、当該第1の走行車線端部側への運転者によるハンドル操舵に対する操舵反力を重く制御することを特徴とする請求項14に記載した車両用操舵制御方法。
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