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JP2023062515A - ステアリングシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 実用性の高いステアバイワイヤ型のステアリングシステムを提供する。【解決手段】 (a)ステアリングギヤ比γに基づいて車輪を転舵する転舵制御部と、(b)実際の車輪の転舵量θSを、ステアリングギヤ比の逆数に基づいて、操作部材の操作量θOに換算することで、換算操作量θ'Oを決定する換算操作量決定部104と、(c)換算操作量に基づいて操作反力を制御する反力制御部とを有するコントローラの、上記換算操作量決定部を、ステアリングギヤ比γが急変した際に、その急変の時点に生じた換算操作量の格差Δθ'Oを、車輪の転舵量の格差Δθ'Sに換算することで、換算転舵量オフセット値θ'SOとして把握し、その時点以降、その換算転舵量オフセット値を、漸減させつつ、ステアリングギヤ比の逆数に基づいて、換算操作量の格差に再換算することで、換算操作量補正値θ'O-Cを決定し、その換算操作量補正値によって換算操作量を補正するように構成する。【選択図】 図5

Description

本発明は、車両に搭載されるステアバイワイヤ型のステアリングシステムに関する。
昨今、運転者がステアリングホイール等の操作部材に加える操作力に依らずに、駆動源を有する転舵装置によって、操作部材の操作に応じた車輪の転舵を実現するシステム、すなわち、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリングシステム(以下、「ステアバイワイヤシステム」という場合がある)の開発が進められている。ステアバイワイヤシステムでは、例えば、操作部材の操作量に対する車輪の転舵量の比が設定されたステアリングギヤ比となるような車輪の転舵が実現される。一方で、ステアバイワイヤシステムでは、下記特許文献に記載されているように、運転者による操作部材の操作(以下、「ステアリング操作」という場合がある)に対する反力である操作反力を操作部材に付与するために、反力付与装置が設けられ、その操作反力が制御される。
特開2019-131072号公報
ステアバイワイヤシステムの操作反力を適切なものとするため、例えば、車輪の実際の転舵量にステアリングギヤ比の逆数を乗じることでその実際の転舵量に基づいた操作部材の操作量(以下、「換算操作量」という場合がある)を換算し、その換算操作量と実際の操作量との差(以下、「操作量偏差」という場合がある)に基づいて、操作反力を制御することも検討されている。このような操作反力の制御においては、適切な換算操作量を把握することが、適切な操作反力の付与の鍵を握ることになり、適切な操作反力の付与によって、ステアバイワイヤシステムの実用性を向上させることが可能となる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いステアバイワイヤ型のステアリングシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のステアリングシステムは、
運転者によって操作される操作部材と、その操作部材に操作反力を付与する反力付与装置と、車輪を転舵する転舵装置と、それら反力付与装置と転舵装置とを制御するコントローラとを備えて車両に搭載されたステアバイワイヤ型のステアリングシステムであって、
前記コントローラが、
ステアリングギヤ比を決定し、前記操作部材の操作量に対する車輪の転舵量の比がそのステアリングギヤ比となるように、前記転舵装置を制御する転舵制御部と、
実際の車輪の転舵量を、決定されたステアリングギヤ比の逆数に基づいて、前記操作部材の操作量に換算することで、換算操作量を決定する換算操作量決定部と、
前記操作部材の実際の操作量と前記換算操作量との差である操作量偏差に基づいて、その操作量偏差が大きい程、操作反力が大きくなるように、前記反力付与装置を制御する反力制御部と
を有し、
前記換算操作量決定部が、
決定されるステアリングギヤ比が急変した際に、その急変の時点に生じた換算操作量の格差を、ステアリングギヤ比に基づいて、車輪の転舵量の格差に換算することで、換算転舵量オフセット値として把握し、その時点以降、その換算転舵量オフセット値を、漸減させつつ、ステアリングギヤ比の逆数に基づいて、換算操作量の格差に再換算することで、換算操作量補正値を決定し、その換算操作量補正値によって換算操作量を補正するように構成される。
ステアバイワイヤシステムでは、ステアリングギヤ比が可変とされることが一般的であるが、ステアリングギヤ比の急変の際、実際の車輪の転舵が操作部材の操作に追従していない場合や、実際の車輪の転舵量の急変を積極的に抑えるようにされている場合には、適切な換算操作量を把握することが困難となる可能性がある。本発明のステアバイワイヤシステムでは、ステアリングギヤ比の急変の際、上記換算操作量決定部において、上述のような換算操作量の補正処理が実行されるため、ステアリングギヤ比の急変の際であっても適切な換算操作量を取得でき、その結果、適切な操作反力が操作部材に付与されることになる。したがって、本発明によれば、実用性の高いステアリングシステムが実現される。
発明の態様
本発明のステアリングシステムにおける「操作部材」は、一般的には、ステアリングホイールのようなものであるが、例えば、ジョイスティックのようなものも含まれる。「反力付与装置」は、例えば、駆動源として電動モータを備え、その電動モータの力によって操作部材に付勢力を付与するような構成のものを採用することができる。また、「転舵装置」は、例えば、駆動源として電動モータを備え、その電動モータの力によって、車輪を転舵するような構成のものを採用することができる。また、作動液の液圧によって車輪を転舵するような構成のものをも採用することもできる。
操作部材の「操作量」は、操作部材がステアリングホイールである場合には、そのステアリングホイールの操作角、詳しく言えば、車両が直進状態であるときの姿勢からの回転角度と考えることができる。車輪の「転舵量」は、車両直進状態における車輪の向きからの転向角(トー角変位)、転舵装置が左右の車輪を繋ぐロッドを有する場合におけるそのロッドの中立状態位置(車両が直進状態にあるときの位置)からの左右への変位量、転舵装置が上記ロッドと噛合するピニオンを有する場合のそのピニオンの車両中立状態における回転位置からの回転角等、種々のものを採用することができる。
コントローラは、コンピュータ,ASIC等や、反力付与装置,転舵装置のそれぞれの駆動源の駆動回路(ドライバ)等を含んで構成されたものを採用することができる。コントローラの「転舵制御部」,「反力制御部」,「換算操作量決定部」は、演算処理によって実現される機能部である。それらの機能部の全てが1つのユニットとしてコントローラが構成されてもよく、それぞれがいくつかの機能部を含む複数のユニットによってコントローラが構成されてもよい。
「転舵制御部」は、例えば、操作部材の実際の操作量とステアリングギヤ比とに基づいて、実現すべき車輪の転舵量である目標転舵量を決定し、車輪の実際の転舵量がその目標転舵量となるように転舵装置を制御するような構成とすることができる。また、本発明のステアリングシステムは、「ステアリングギヤ比(以下、単に、「ギヤ比」という場合がある)」を可変とするように構成されてもよい。つまり、当該ステアリングシステムが、いわゆるVGRS(variable gear ratio system)とされてもよいのである。その場合、例えば、転舵制御部が、操作部材の操作量と当該車両の走行速度(以下、「車速」という場合がある)とに基づいてギヤ比を決定するギヤ比決定部を有するように構成されてもよい。ギヤ比が車速に基づいて変更される場合、例えば、車速センサの欠陥等によって、コントローラが車速を認識不能となった時に、コントローラによって、ギヤ比が急変すると認定することができる。
「反力制御部」は、複数の成分を合成することで付与すべき操作反力を決定し、その決定した操作反力に基づいて反力付与装置を制御するように構成されてもよい。その複数の成分は、例えば、運転者による操作部材の操作をアシストするための「アシスト成分」,車輪の転舵に対する転舵装置の負荷に基づく「転舵負荷依拠成分」,上記操作量偏差に基づく「操作量偏差依拠成分」等である。「操作量偏差」は、操作部材の操作量と車輪の転舵量とのズレを把握すべく、上述のように、操作部材の実際の操作量と、上記換算操作量との差によって認定される。例えば、実際の操作量に対する換算操作量の偏差が、操作量偏差として認定されてもよい。反力制御部は、操作部材の操作に車輪の転舵が追従しない場合に、操作部材の操作を抑制する目的で、若しくは、車輪の転舵が追従しないことを運転者に認識させる目的で、操作量偏差が大きい程、操作反力が大きくなるように、つまり、操作量偏差依拠成分が大きくなるように、反力付与装置を制御する。
「換算操作量決定部」は、上記操作量偏差を認定するために、上述のように、実際の車輪の転舵量を、ギヤ比の逆数(以下、「逆ギヤ比」という場合がある)に基づいて、操作部材の操作量に換算することで、上記「換算操作量」を決定する。ギヤ比の急変により、逆ギヤ比も急変し、上記換算操作量の格差、つまり、操作量偏差のギャップを生じる。この操作量偏差に生じるギャップによる操作反力の急変を防止するため、換算操作量決定部は、上記「換算操作量補正値」によって換算操作量を補正することによって、換算操作量を漸変させる。そのため、換算操作量補正値は、上述のようにして、決定される。この換算操作量補正値の決定については、後に詳しく説明することとする。
転舵制御部が、上述のように、目標転舵量を決定するように構成されている場合、ギヤ比の急変は、決定される目標転舵量についてもギャップを生じさせることになる。そのことに鑑み、転舵制御部は、ギヤ比が急変した際に、その急変の時点に生じた目標転舵量の格差を、目標転舵量オフセット値として把握し、その時点以降、その目標転舵量オフセット値を漸減させることで目標転舵量補正値を決定し、その補正によって目標転舵量を補正するように構成することが望ましい。そのような目標転舵量の補正処理が施される場合には、転舵制御部による目標転舵量オフセット値の漸減に合せて、換算転舵量オフセット値を漸減させることが望ましい。
本発明の実施例であるステアリングシステムのハード構成を模式的に示す図である。 実施例のステアリングシステムが備えるコントローラの機能構成を示すブロック図である。 実施例のステアリングシステムにおいてステアリングギヤ比の決定のために用いられるステアリングギヤ比決定マップを示すグラフである。 実施例のステアリングシステムが備えるコントローラの目標転舵角決定部の機能構成を示すブロック図である。 実施例のステアリングシステムが備えるコントローラの換算操作角決定部の機能構成を示すブロック図である。 図5にブロック図を示す換算操作角決定部が有するリリース角速度調整部の機能構成を示すブロック図である。 図5にブロック図を示す換算操作角決定部の比較例となる別の換算操作角決定部の機能構成を示すブロック図である。 図5,図7にブロック図をそれぞれ示す2つの換算操作角決定部の換算操作角決定処理の相違を説明するための表である。 図5にブロック図を示す換算操作角決定部の比較例となるさらに別の換算操作角決定部の機能構成を示すブロック図である。 図5,図9にブロック図をそれぞれ示す2つの換算操作角決定部の換算操作角決定処理の相違を説明するための表である。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例であるステアバイワイヤ型のステアリングシステムを、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]ステアリングシステムのハード構成
実施例のステアリングシステムは、図1に模式的に示すように、ステアバイワイヤ型のステアリングシステムであり、大まかには、運転者によって操作される操作部材であるステアリングホイール10とそのステアリングホイール10に操作反力を付与するための反力付与装置としての反力アクチュエータ12とを有する操作部14と、車輪16を転舵する転舵装置としての転舵アクチュエータ18を有する転舵部20と、反力アクチュエータ12と転舵アクチュエータ18とを制御するコントローラとしてのステアリング電子制御ユニット(以下、「ステアリングECU」と略す場合がある)22とを含んで構成されている。
操作部14について説明すれば、ステアリングホイール10は、ステアリングシャフト30の先端部に固定されており、反力アクチュエータ12は、力源としての電動モータである反力モータ32と、反力モータ32のモータ軸に取付けられたウォーム34とウォームホイール36とからなる減速機構38とを有しており、ウォームホイール36がステアリングシャフト30に取付けられている。反力アクチュエータ12は、反力モータ32のモータトルクに依存する反力トルクTqCを発生させ、その反力トルクTqCを、ステアリングホイール10の操作に対する操作反力として、ステアリングホイール10に付与する。
反力モータ32は、3相のブラシレスモータであり、その反力モータ32のモータ軸の回転位相、簡単に言えば、反力モータ32の回転角(以下、「反力モータ回転角」と呼ぶ場合がある)θMCを検出するためのモータ回転角センサ40を有している。また、ステアリングシャフト30は、上下2つのシャフト部がトーションバー42を介して連結された構造とされており、操作部14には、そのトーションバー42の捩じれ量を検出することで、運転者がステアリングホイール10に加える操作トルクTqO(「操作力」の下位概念である)を検出する操作トルクセンサ44が設けられている。モータ回転角センサ40によって検出された反力モータ回転角θMCの信号、および、操作トルクセンサ44によって検出された操作トルクTqOについての信号は、ステアリングECU22に送られる。
転舵部20について説明すれば、転舵アクチュエータ18は、左右に延びる転舵ロッド50と、その転舵ロッド50を左右に移動可能に保持するハウジング52とを有している。転舵ロッド50には、ボールねじ機構を構成するねじ溝54が形成されており、このねじ溝54と螺合するようにして、ベアリングボールを保持するナット56がハウジング52に回転可能かつ左右に移動不能に保持されている。ハウジング52には、駆動源としての電動モータである転舵モータ58が配設されており、転舵モータ58のモータ軸に取付けられたプーリ60と、もう1つのプーリとして機能するナット56の外周部とに、タイミングベルト62が巻き掛けられている。転舵モータ58のモータ軸の回転、すなわち、転舵モータ58の回転によって、ナット56が回転し、転舵ロッド50が左右に移動する。転舵ロッド50の左右の端部は、図示を省略するリングロッドを介して、左右の車輪16をそれぞれ回転可能に保持するステアリングナックルのナックルアームに、それぞれ、連結されている。転舵ロッド50の左右への移動に伴って、左右の車輪16は、転向、すなわち、転舵されることになる。
転舵ロッド50には、ラック64が形成されており、そのラック64と噛合する状態でピニオン軸66がハウジング52に回転可能に保持されている。それらラック64,ピニオン軸66は、ステアバイワイヤ型の本ステアリングシステムを構成する転舵アクチュエータ18には、敢えて設ける必要がない。容易に理解できると思われるが、ピニオン軸66と、操作部14のステアリングシャフト30とを連結させれば、一般的なパワーステアリングシステムが実現されることになる。つまり、本ステアリングシステムは、一般的なパワーステアリングシステムを若干構造変更することによって構築されているのである。なお、転舵ロッド50は、ラック64が形成されていることにちなんで、ラックバーと呼ぶこともできる。
転舵モータ58は、3相のブラシレスモータであり、その転舵モータ58のモータ軸の回転位相、簡単に言えば、転舵モータ58の回転角(以下、「転舵モータ回転角」と呼ぶ場合がある)θMSを検出するためのモータ回転角センサ68を有している。モータ回転角センサ68によって検出された転舵モータ回転角θMSの信号は、ステアリングECU22に送られる。
ステアリングECU22は、CPU,ROM,RAM等によって構成されるコンピュータと、反力モータ32の駆動回路であるインバータと、転舵モータ58の駆動回路であるインバータとを含んで構成されている。なお、ステアリングECU22は、当該車両の走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)vを検出するための車速センサ72から、その車速vに関する信号を入手する。
[B]コントローラの機能
本ステアリングシステムのコントローラであるステアリングECU22は、図2に示す機能ブロック図に示すような機能構成を有している。この機能構成は、コンピュータが所定のプログラムを実行することによって実現されるが、ASIC等の専用回路によって実現されてもよい。ちなみに、当該ステアリングECU22は、比較的短い時間ピッチ(例えば、数msec~数十msecであり、「制御ピッチ」と呼ぶこともできる)の制御サイクルで、種々の処理を実行している。
ステアリングECU22は、大まかには、反力制御部100と、転舵制御部102と、換算操作量決定部としての換算操作角決定部104とに区分けすることができる。以下に、反力制御部100,転舵制御部102,換算操作角決定部104について、それぞれ、詳しく説明する。
なお、図に示す各構成要素に入力される、若しくは、各構成要素から出力させるものは、それらの多くが、トルク,それの成分,転舵角,操作角等の値を示す信号であるが、説明が冗長となることに考慮して、以下の説明では、各構成要素に、若しくは、各構成要素から、単に、トルク,それの成分,転舵角,操作角等が入力若しくは出力されると表現することとする。また、後述する操作角,転舵角は、中立位置を0として、左右の一方にシフトしている場合に正の値を,他方にシフトしている場合に負の値をとり、中立位置からのシフト量が多い場合に、絶対値が大きくなるものとして扱うこととする。操作角,転舵角に関連する種々のパラメータも同様に扱うこととする。
(a)反力制御部
反力制御部100は、反力アクチュエータ12による反力トルクTqC(「操作反力」の下位概念である)を制御する機能部であり、それぞれが反力トルクTqCの成分であるアシスト成分TqC-A,転舵負荷依拠成分TqC-Lを,操作角偏差依拠成分TqC-Oを、それぞれ決定するアシスト成分決定部106,転舵負荷依拠成分決定部108,操作角偏差依拠成分決定部110を有している。
本ステアリングシステムの制御では、操作部材の操作量として、ステアリングホイール10の操作角θOが用いられるため、反力制御部100は、反力モータ32のモータ回転角センサ40によって検出された反力モータ回転角θMCを操作角θOに換算する操作角換算部112を有している。操作角θOと、反力モータ回転角θMCの積算量とは、減速機構38の減速比に応じた関係にあるため、その減速比に基づいて換算が行われる。詳しい説明は省略するが、本ステアリングシステムは、ステアリングホイール10の中立位置(車両が直進している状態における位置)からの操作角θOを検出するためのセンサ(図示省略)を有しており、そのセンサの検出値に基づいて、操作角換算部112によって換算される操作角θOのキャリブレーションが、所定のタイミングで実行される。
上述した反力トルクTqCの各成分の決定について、順に説明すれば、アシスト成分TqC-Aは、いわゆるパワーステアリングにおけるアシスト力に似た成分であり、アシスト成分決定部106は、操作トルクセンサ44によって検出された操作トルクTqO,車速センサ72によって検出された車速vに基づいて、アシスト成分TqC-Aを決定する。簡単に言えば、操作トルクTqOが大きい程大きい値に決定するとともに、車速vが高い場合には、ステアリングホイール10の操作に対して運転者が受ける操作感(以下、「ステアリング操作感」若しくは単に「操作感」という場合がある)を重くすべく、小さな値に、車速vが低い場合には、操作感を軽くすべく、大きな値に決定される。アシスト成分TqC-Aの向きは、ステアリングホイール10の操作の方向であるステアリング操作方向と同じ向きとなる。
転舵負荷依拠成分TqC-Lは、反力トルクTqCの中心的な成分と考えることができ、大まかに言えば、車輪16を転舵するために必要な力である転舵力を運転者に体感させるための成分である。転舵アクチュエータ18の転舵ロッド50にそれの軸方向に作用する力(軸力)に基づく成分と考えることもでき、上記転舵力のみならず、車輪16に路面から作用する力をも、広く体感させるための成分である。
詳しく言えば、転舵負荷依拠成分TqC-Lには、車輪16の転舵角θおよび車速vに基づく理論上の成分である理論成分,転舵アクチュエータ18の実際の負荷に基づく実負荷依拠成分が含まれ、転舵負荷依拠成分決定部108は、それらの成分を決定し、それら決定された成分を足し合わせて転舵負荷依拠成分TqC-Lを決定する。転舵負荷依拠成分TqC-Lの向きは、ステアリング操作方向とは逆の向きとなる。
理論成分は、路面と車輪16との摩擦を考慮しない成分であり、車輪16のセルフアライニングトルクを考慮した成分と考えることができる。具体的には、車輪16が転舵されるべき転舵角θSである目標転舵角θS *(車輪16の転舵制御の目標値と考えることができる)と、車速センサ72によって検出された車速vとに基づいて、車輪16のセルフアライニングトルクを考慮して、目標転舵角θS *が大きい程、また、車速vが高い程、大きな値に決定される。実負荷依拠成分は、転舵アクチュエータ18の負荷が転舵モータ58への供給電流である転舵電流ISに比例すると考えることができることから、転舵電流ISに基づいて、その転舵電流ISが大きい程大きな値に決定される。
操作角偏差依拠成分TqC-Oは、ステアリングホイール10の操作角θOに対する車輪16の転舵角θSのズレ、詳しく言えば、操作角θOと転舵角θSとの関係の、ステアリングギヤ比γ(以下、単に「ギヤ比γ」という場合がある)に対応した関係からのズレを考慮した成分である。例えば、車輪16が縁石,溝等の転舵障壁に当たっている場合や、転舵アクチュエータ18等の保護を目的として電源から転舵モータ58への電力供給が制限されている場合には、ステアリング操作に対して車輪16の転舵が追従しない虞がある。上記ズレが大きい場合には、ステアリング操作を制限すべく、反力トルクTqCを大きくすることが望ましい。そこで、本ステアリングシステムでは、実際の転舵角θSをギヤ比γの逆数(以下、「逆ギヤ比1/γ」という場合がある)によって操作角θOに換算したものが、換算操作角θ'O(換算操作量の一種である)として認定され、操作角偏差依拠成分決定部110は、その換算操作角θ'Oと操作角換算部112から入力される実際の操作角θOとの差である操作角偏差ΔθO(操作量偏差の一種である)が大きい程、操作角偏差依拠成分TqC-Oを大きく決定する。ちなみに、操作角偏差依拠成分TqC-Oの向きも、転舵負荷依拠成分TqC-Lの向きと同様に、ステアリング操作方向とは逆の向きとなる。なお、換算操作角θ'O は、換算操作角決定部104によって決定されるが、その決定のプロセス、つまり、換算操作角決定部104の機能構成については、後に詳しく説明する。
アシスト成分決定部106によって決定されたアシスト成分TqC-A、転舵負荷依拠成分決定部108によって決定された転舵負荷依拠成分TqC-L、操作量偏差依拠成分決定部としての操作角偏差依拠成分TqC-O110によって決定された操作角偏差依拠成分TqC-Oは、加減算器114に入力され、付与すべき反力トルクTqCが決定される。
加減算器114から出力される反力トルクTqCは、反力通電制御部116に入力される。反力通電制御部116は、反力モータ32の駆動回路(ドライバ)であるインバータを含んで構成されている。反力通電制御部116は、入力された反力トルクTqCに基づいて、反力モータ32に供給すべき電流である反力電流ICを決定し、その反力電流ICを、インバータから反力モータ32に供給する。
(b)転舵制御部
転舵制御部102は、転舵装置である転舵アクチュエータ18によって転舵される車輪16の転舵角θSを制御する機能部であり、ギヤ比決定部120,目標転舵角決定部122,転舵トルク決定部124,転舵通電制御部126を有している。
本ステアリングシステムの制御では、車輪16の転舵量として、転舵角θSが用いられるため、転舵制御部102は、転舵モータ58のモータ回転角センサ68によって検出された転舵モータ回転角θMSを転舵角θSに換算する転舵角換算部128を有している。ちなみに、転舵角θSは、車輪16のトー角を採用してもよいが、本ステアリングシステムの制御では、上記ピニオン軸66の回転角を採用している。転舵角θSと、転舵モータ回転角θMSの積算量とは、所定の減速比、詳しくは、転舵モータ58が含有する減速機,転舵アクチュエータ18のボールねじ機構のリード角,ピニオン軸66の径等によって決まる減速比に応じた関係にあるため、その減速比に基づいて換算が行われる。詳しい説明は省略するが、本ステアリングシステムは、車輪16が直進状態にあるときのピニオン軸66の回転位置からの回転角を検出するためのセンサ(図示省略)を有しており、そのセンサの検出値に基づいて、転舵角換算部158によって換算される転舵角θSのキャリブレーションが、所定のタイミングで実行される。
ギヤ比決定部120は、操作角換算部112から入力される実際の操作角θOと、車速センサ72によって検出される車速vとに基づいて、図3にグラフ形式で示すステアリングギヤ比決定マップ(以下、単に「ギヤ比決定マップ」という場合がある)を参照しつつ、ギヤ比を決定する。ギヤ比γは、操作角θOに対する転舵角θSの比であり、
γ=θS/θO
という式で表すことができる。図3のギヤ比決定マップによれば、ギヤ比γは、車速vが高い程、小さな値に、逆に言えば、車速が低い程、大きな値に決定され、車速vが高いときの操舵安定性の向上と、車速vが低いときの旋回性の向上とが、図られる。特に、車速vが高いときの操作角θOが小さい領域におけるギヤ比γは、相当に小さい値に決定される。なお、図3のギヤ比決定マップにおける太線(☆にて示している)は、車速センサ72の失陥等によって車速vの情報が取得不能であるとき、つまり、「車速無効状態」にあるときに採用される操作角θOとギヤ比γとの関係を示す線(以下、「車速無効時関係線」という場合がある)であり、車速無効状態では、この線を参照してギヤ比γが決定される。ギヤ比決定部120によって決定されたギヤ比γは、目標転舵角決定部122,換算操作角決定部104に送られる。
目標転舵角決定部122は、簡単に言えば、反力制御部100の操作角換算部112から入力される操作角θOと、ギヤ比決定部120によって決定されたギヤ比γとに基づいて、車輪16の転舵角θSの制御目標である目標転舵角θS *(目標転舵量の一種である)を決定する。決定された目標転舵角θS *は、転舵トルク決定部124,反力制御部100の転舵負荷依拠成分決定部108に送られる。この目標転舵角決定部122による目標転舵角θS *の決定のプロセス、すなわち、目標転舵角決定部122の機能構成については、後に詳しく説明する。
転舵トルク決定部124は、車輪16を転舵するために必要な転舵トルクTqSを(転舵力の一種である)決定する機能部である。転舵トルクTqSは、例えば、転舵モータ58が発生させるトルクと考えることができる。具体的には、転舵トルク決定部124は、転舵角換算部128によって換算された現時点での実際の転舵角θSと、目標転舵角決定部122によって決定された目標転舵角θS *とに基づいて、目標転舵角θS *に対する転舵角θSの偏差である転舵角偏差ΔθSを決定し、その転舵角偏差ΔθSに基づき、PIDフィードバック制御則に従って、転舵トルクTqSを決定する。このフィードバック制御則に従う手法は、一般的なものであり、ここでの説明は省略する。
転舵通電制御部126は、転舵モータ58の駆動回路(ドライバ)であるインバータを含んで構成されている。転舵通電制御部126は、転舵トルク決定部124によって決定された転舵トルクTqSに基づいて、転舵モータ58に供給すべき電流である転舵電流ISを決定し、その転舵電流ISを、インバータから転舵モータ58に供給する。なお、ステアリングECU22は、供給される転舵電流ISを検出するための電流センサ130を有しており、この電流センサ130によって検出された転舵電流ISは、上述の転舵負荷依拠成分TqC-Lの決定に用いられるために、反力制御部100の転舵負荷依拠成分決定部108に送られる。
目標転舵角決定部122は、図4の機能ブロック図で示すような機能構成を有している。目標転舵角決定部122は、乗算器132を有しており、この乗算器132には、操作角換算部112からステアリングホイール10の操作角θOが、ギヤ比決定部120からギヤ比γが、それぞれ入力される。乗算器132は、それら操作角θOとギヤ比γとを掛け合わせることで、目標転舵角θ* Sの基礎となる基本目標転舵角θ* S-Bを決定する。
基本目標転舵角θ* S-Bは、加減算器134に入力される。加減算器134には、後に詳しく説明する目標転舵角補正値θ* S-C(目標転舵量補正値の一種である)も入力され、加減算器134において、基本目標転舵角θ* S-Bに目標転舵角補正値θ* S-Cによる補正が施されて、目標転舵角θ* Sが決定される。
目標転舵角決定部122は、漸減処理部136を有しており、この漸減処理部136によって、上記目標転舵角補正値θ* S-Cが決定される。漸減処理部136は、例えば、ギヤ比γの急変等によって上記基本目標転舵角θ* S-Bが急変したときに、言い換えれば、基本目標転舵角θ* S-Bが比較的大きくステップ的に変化したときに、円滑な車輪16の転舵を目的として、目標転舵角θ* Sを緩やかに変化させるべく、目標転舵角補正値θ* S-Cを決定する。
詳しく説明すれば、目標転舵角決定部122は、加減算器138,前回値メモリ140を有しており、今回の制御サイクルにおける基本目標転舵角θ* S-Bと、前回の制御サイクルにおける目標転舵角θ* Sとの差である目標転舵角格差Δθ*(目標転舵量格差の一種である)は、漸減処理部136に入力されている。一方で、漸減処理部136には、ギヤ比γが急変する事態が発生した際に、操舵状態変化信号SCSが入力されるようになっている。漸減処理部136は、この操舵状態変化信号SCSが入力された時点の、すなわち、ギヤ比γが急変した時点の目標転舵角格差Δθ*を、目標転舵角オフセット値θ* SO(目標転舵量オフセット値の一種である)として把握する。そして、漸減処理部136は、以後の制御サイクルにおいて、その目標転舵角オフセット値θ* SOを、上限値dθ* SO-UG,下限値dθ* SO-LGを超えない角速度で0にまで漸減させる。つまり、オフセットリリース処理が行われるのである。ちなみに、上限値は、負の値となっている目標転舵角オフセット値θ* SOを0に近づける際の変化速度制限値(ガード値)であり、下限値は、正の値となっている目標転舵角オフセット値θ* SOを0に近づける際の変化速度制限値である。漸減処理部136は、制御サイクルが進行する都度、漸減させられた目標転舵角オフセット値θ* SOを、目標転舵オフセット残角θ* SO-REとして出力する。この目標転舵オフセット残角θ* SO-REが、目標転舵角補正値θ* S-Cとなる。なお、目標転舵オフセット残角θ* SO-REは、換算操作角決定部104にも出力され、また、目標転舵角オフセット値θ* SOが漸減させられている角速度であるオフセットリリース角速度dθ* SOも、換算操作角決定部104に出力される。
(c)換算操作角決定部
換算操作角決定部104は、図5の機能ブロック図で示すような機能構成を有している。換算操作角決定部104は、乗算器150を有しており、この乗算器150には、転舵制御部102の転舵角換算部128から車輪16の実際の転舵角θSが入力される。一方で、換算操作角決定部104には、ギヤ比決定部120からギヤ比γが入力されており、そのギヤ比γは、逆数変換器152によって、ギヤ比γの逆数である逆ギヤ比1/γに変換される。この逆ギヤ比1/γも乗算器150に力される。乗算器150は、それら転舵角θSと逆ギヤ比1/γとを掛け合わせることで、換算操作角θ'Oの基礎となる基本換算操作角θ'O-Bを決定する。
基本換算操作角θ'O-Bは、加減算器154に入力される。加減算器154には、後に詳しく説明する換算操作角補正値θ'O-C(換算操作量補正値の一種である)も入力され、加減算器154において、基本換算操作角θ'O-Bに対して換算操作角補正値θ'O-Cによる補正が施されて、換算操作角θ'Oが決定される。
換算操作角決定部104も、目標転舵角決定部122と同様に、ギヤ比γの急変に伴う逆ギヤ比1/γの急変等によって換算操作角θ'Oが急変したときに、言い換えれば、換算操作角θ'Oが比較的大きくステップ的に変化したときに、反力トルクTqCが急変しないように、詳しくは、操作角偏差依拠成分TqC-Oが急変しないように、換算操作角θ'Oを決定する。具体的に言えば、換算操作角決定部104も、目標転舵角決定部122と同様のオフセットリリース処理を実行する。
オフセットリリース処理の実行のために、換算操作角決定部104も、目標転舵角決定部122と同様の漸減処理部156を有しており、この漸減処理部156によって、上記換算操作角補正値θ'O-Cの基となる換算転舵オフセット残角θ'SO-RE(後述)が決定される。
詳しく説明すれば、換算操作角決定部104は、加減算器158,前回値メモリ160を有しており、今回の制御サイクルにおける基本換算操作角θ'O-Bと、前回の制御サイクルにおける換算操作角θ'Oとの差である換算操作角格差Δθ'O(換算操作量格差の一種である)が決定される。この換算操作角格差Δθ'Oと、ギヤ比γとが、乗算器162に入力され、乗算器162によってそれらが掛け合わされて、換算操作角格差Δθ'Oが転舵角θSに換算された換算転舵角格差Δθ'S(換算転舵量格差の一種である)が決定される。この換算転舵角格差Δθ'Sが、漸減処理部156に入力される。一方で、漸減処理部156にも、上述の操舵状態変化信号SCSが入力されるようになっており、漸減処理部156は、この操舵状態変化信号SCSが入力された時点の、すなわち、ギヤ比γが急変した時点の換算転舵角格差Δθ'Sを、換算転舵角オフセット値θ'SO(換算転舵量オフセット値の一種である)として把握する。そして漸減処理部156は、漸減処理部136と同様に、以後の制御サイクルにおいて、その換算転舵角オフセット値θ'SOを、上限値dθ'SO-UG,下限値dθ'SO-LGを超えない角速度で0にまで漸減させる。漸減処理部156は、制御サイクルが進行する都度、漸減させられた換算転舵角オフセット値θ'SOを、上述の換算転舵オフセット残角θ'SO-REとして、乗算器163に出力する。乗算器163には、逆数変換器152から逆ギヤ比1/γも入力されており、乗算器163は、換算転舵オフセット残角θ'SO-REと逆ギヤ比1/γとを掛け合わせることで、換算操作角補正値θ'O-Cを決定し、それを加減算器154に出力する。簡単に言えば、換算操作角決定部104は、単に換算操作角θ'Oに対してオフセットリリース処理を行うのではなく、換算操作角θ'Oを、ギヤ比γによって一旦換算転舵角θ'S(換算転舵量の一種である)に変換し、その換算転舵角θ'Sに対してオフセットリリース処理を行い、そのオフセットリリース処理を行った換算転舵角θ'Sを、再度、逆ギヤ比1/γによって換算操作角θ'Oに変換するといった処理を行うのである。
なお、換算操作角決定部104では、漸減処理部156における上述の上限値dθ'SO-UG,下限値dθ'SO-LGは、換算転舵角θ'Sに対するオフセットリリース処理の速度、すなわち、オフセットリリース角速度dθ'SOを、目標転舵角決定部122での目標転舵角θ*に対するオフセットリリース角速度dθ* SOに合せるようにされている。詳しく説明すれば、換算操作角決定部104は、リリース角速度調整部164を有しており、漸減処理部156において、リリース角速度調整部164によって決定されたオフセットリリース角速度dθ'SOを、上限値dθ'SO-UGに設定し、そのオフセットリリース角速度dθ'SOを反転器166によって符号を反転させたもの(-dθ'SO)を、下限値dθ'SO-LGに設定している。
リリース角速度調整部164による処理について説明すれば、リリース角速度調整部164は、図6の機能ブロック図で示すような機能構成を有している。リリース角速度調整部164には、目標転舵角決定部122から目標転舵オフセット残角θ* SO-REが入力されており、漸減処理部156で決定された換算転舵オフセット残角θ'SO-REも入力されている。それら目標転舵オフセット残角θ* SO-RE,換算転舵オフセット残角θ'SO-REが、それぞれ、絶対値生成器168,絶対値生成器170に入力されて、目標転舵オフセット残角θ* SO-REの絶対値|θ* SO-RE|,換算転舵オフセット残角θ'SO-REの絶対値|θ'SO-RE|が取得され、加減算器172によって、それらの差分であるオフセット残角差ΔθSORが取得される。リリース角速度調整部164は、ゲイン決定部174を有しており、そのゲイン決定部174において、調整ゲインGが決定される。調整ゲインGは、換算転舵角θ'Sに対するオフセットリリース処理の速度を、目標転舵角θ*に対するオフセットリリース角速度dθ* SOに合せるための係数と考えることができ、図に示すように、オフセット残角差ΔθSORが0に近いときには、1に決定され、目標転舵オフセット残角θ* SO-REが換算転舵オフセット残角θ'SO-REよりもある程度大きい場合には、換算転舵角θ'Sに対するオフセットリリース処理をより速くするために、オフセット残角差ΔθSORが大きくなる程大きな値に決定され、目標転舵オフセット残角θ* SO-REが換算転舵オフセット残角θ'SO-REよりもある程度小さい場合には、換算転舵角θ'Sに対するオフセットリリース処理をより遅くするために、オフセット残角差ΔθSORの絶対値が大きくなる程小さな値に決定される。ゲイン決定部174によって決定された調整ゲインGは、乗算器176に入力される。乗算器176には、目標転舵角θ* Sに対するオフセットリリース角速度dθ* SOが目標転舵角決定部122から入力されており、それらオフセットリリース角速度dθ* SOと調整ゲインGとが乗算器176において掛け合わせられることにより、オフセットリリース角速度dθ'SOが決定される。
[C]ギヤ比が急変した際に決定される換算操作角
先に説明したように、換算操作角決定部104では、換算操作角θ'Oの決定にあたって、先に説明したような補正処理、つまり、換算操作角補正値による補正処理が実行される。以下に、ギヤ比γが急変した際の換算操作角決定部104による換算操作角の決定について、採用可能な別の換算操作角決定部による決定と比較しつつ説明する。なお、前提として、ステアリングホイール10の操作角θOが100degのときに、車速無効状態となり、ギヤ比γが、4.0から2.0に急変した場合について考える。
(a)ステアリング操作に車輪の転舵が追従しない場合への対処
上述の換算操作角決定部104に代えて、例えば、図7にブロック図を示すような機能構成を有する換算操作角決定部180を採用することも可能である。この換算操作角決定部180は、加減算器182,逆数変換器184,乗算器186を有している。加減算器182には、実際の転舵角θSと、目標転舵角決定部122の漸減処理部136からの目標転舵オフセット残角θ* SO-REが入力され、それらが加減算器182において足し合わされて、オフセット転舵角θS-Oが決定される。逆数変換器184では、ギヤ比決定部120から入力されたギヤ比γが逆ギヤ比1/γに変換され、その逆ギヤ比1/γとオフセット転舵角θS-Oとが掛け合わされて、換算操作角θ'Oが決定される。
図8(a)の表に示すように、ステアリング操作に車輪16の転舵が充分に追従している場合には、車速無効直前において、転舵角θSは400deg、ギヤ比γは4.0、目標転舵オフセット残角θ* SO-REは0degであり、換算操作角決定部180によれば、オフセット転舵角θS-Oが400degとなり、換算操作角θ'Oとして100degが出力される。車速無効直後には、転舵角θSは変化せず、入力されるギヤ比γが2.0に急変するものの、目標転舵オフセット残角θ* SO-REとして-200degが入力される。その結果、オフセット転舵角θS-Oが200degとなり、換算操作角θ'Oとして、100degが、出力される。このように、ステアリング操作に車輪16の転舵が充分に追従しているときには、ギヤ比γが急変しても、換算操作角θ'Oは変わらない。
車輪16が縁石等に当たっていて、ステアリング操作に車輪16の転舵が追従していない場合について考える。具体的には、操作角は100degであるが、転舵角θSが300degにしか到達していない場合について考える。この場合、車速無効直前において、転舵角θSは300deg、ギヤ比γは4.0、目標転舵オフセット残角θ* SO-REは0degであり、換算操作角決定部180によれば、オフセット転舵角θS-Oが300degとなり、換算操作角θ'Oとして75degが出力される。車速無効直後には、転舵角θSは変化せず、入力されるギヤ比γが2.0に急変するものの目標転舵オフセット残角θ* SO-REとして-200degが入力される。その結果、オフセット転舵角θS-Oが100degとなり、換算操作角θ'Oとして、50degが、出力される。このように、ステアリング操作に車輪16の転舵が追従ていないときには、ギヤ比γの急変によって、換算操作角θ'Oが急変する。この急変により、操作反力も変化してしまうことになる。
実施例のステアリングシステムにおける換算操作角決定部104によれば、図8(b)の表に示すように、ステアリング操作に車輪16の転舵が充分に追従している場合には、車速無効直前において、ギヤ比γは4.0、転舵角θSは400deg、基本換算操作角θ'O-Bは100degであり、換算操作角格差Δθ'O,換算転舵角格差Δθ'S,換算転舵オフセット残角θ'SO-RE,換算操作角補正値θ'O-Cは、いずれも0degとなり、換算操作角θ'Oとして100degが出力される。車速無効直後には、転舵角θSは変化せず、ギヤ比γが2.0に急変するものの、基本換算操作角θ'O-Bが200deg、換算操作角格差Δθ'Oが100deg、換算転舵角格差Δθ'Sが200deg、換算転舵オフセット残角θ'SO-REが200deg、換算操作角補正値θ'O-Cが100degとなり、換算操作角θ'Oとして100degが出力される。ステアリング操作に車輪16の転舵が充分に追従しているときには、ギヤ比γが急変しても、換算操作角θ'Oは変わらない。
それに対して、上述のように、車輪16の転舵が追従しておらず転舵角θSが300degにしか到達していない場合について考える。この場合は、車速無効直前において、転舵角θSは300deg、ギヤ比γは4.0、基本換算操作角θ'O-Bは75degであり、換算操作角格差Δθ'O,換算転舵角格差Δθ'S,換算転舵オフセット残角θ'SO-RE,換算操作角補正値θ'O-Cは、いずれも0degとなり、換算操作角θ'Oとして75degが出力される。車速無効直後には、転舵角θSは300degから変化せず、ギヤ比γが2.0に急変するものの、基本換算操作角θ'O-Bが150deg、換算操作角格差Δθ'Oが75deg、換算転舵角格差Δθ'Sが150deg、換算転舵オフセット残角θ'SO-REが150deg、換算操作角補正値θ'O-Cが75degとなり、換算操作角θ'Oとして75degが出力される。換算操作角決定部104によれば、ステアリング操作に車輪16の転舵が追従していない場合であっても、ギヤ比γの急変による換算操作角θ'Oの変化は生じない。つまり、実施例のステアリングシステムによれば、ステアリング操作に車輪16の転舵が追従していない場合におけるギヤ比γの急変への対処がなされているのである。
(b)ギヤ比急変後オフセットリリース処理の最中にギヤ比が変動することへの対処
目標転舵角決定部122では、ギヤ比γが急変した時点で目標転舵角オフセット値θ* SOを設定し、その後の制御サイクルの進行に伴って、その目標転舵角オフセット値θ* SOを漸減させるための処理、すなわち、オフセットリリース処理が行われる。本実施例のステアリングシステムでは、換算操作角決定部104においても、ギヤ比γの急変の後、オフセットリリース処理が行われる。
換算操作角θ'Oの決定において比較的簡便にオフセットリリース処理を行うために、例えば、図9にブロック図を示すような機能構成を有する換算操作角決定部190を採用することも可能である。この換算操作角決定部190は、換算操作角決定部104と同様に、乗算器192を有しており、この乗算器192には、転舵制御部102の転舵角換算部128から車輪16の実際の転舵角θSが入力される。一方で、換算操作角決定部190には、ギヤ比決定部120からギヤ比γが入力されており、そのギヤ比γは、逆数変換器194によって、ギヤ比γの逆数である逆ギヤ比1/γに変換される。この逆ギヤ比1/γも乗算器192に入力される。乗算器192は、それら転舵角θSと逆ギヤ比1/γとを掛け合わせることで、換算操作角θ'Oの基礎となる基本換算操作角θ'O-Bを決定する。
換算操作角決定部190は、換算操作角決定部104と同様に、加減算器196を有しており、基本換算操作角θ'O-Bは、その加減算器196に入力される。加減算器196には、換算操作角補正値θ'O-Cも入力され、加減算器196において、基本換算操作角θ'O-Bに対してその換算操作角補正値θ'O-Cによる補正が施されて、換算操作角θ'Oが決定される。
換算操作角決定部190も、オフセットリリース処理の実行のために、漸減処理部198を有しているが、この漸減処理部198からは、上述の換算転舵オフセット残角θ'SO-REではなく、換算操作角補正値θ'O-Cとして、後述する換算操作オフセット残角θ'OO-REが出力される。
詳しく説明すれば、換算操作角決定部190は、加減算器200,前回値メモリ202を有しており、今回の制御サイクルにおける基本換算操作角θ'O-Bと、前回の制御サイクルにおける換算操作角θ'Oとの差である換算操作角格差Δθ'O(換算操作量格差の一種である)が決定される。換算操作角決定部190では、この換算操作角格差Δθ'Oが、そのまま、漸減処理部198に入力される。一方で、漸減処理部198にも、上述の操舵状態変化信号SCSが入力されるようになっており、漸減処理部198は、この操舵状態変化信号SCSが入力された時点の、すなわち、ギヤ比γが急変した時点の換算操作角格差Δθ'Oを、換算操作角オフセット値θ'OOとして把握する。そして漸減処理部198は、以後の制御サイクルにおいて、その換算操作角オフセット値θ'OO(換算操作量オフセット値の一種である)を、設定された上限値dθ'OO-UG,下限値dθ'OO-LGを超えない角速度で0にまで漸減させる。漸減処理部198は、制御サイクルが進行する都度、漸減させられた換算操作角オフセット値θ'OOを、上述の換算操作オフセット残角θ'OO-REとして、加減算器196に出力する。簡単に言えば、換算操作角決定部190は、換算操作角決定部104と異なり、単に換算操作角θ'Oに対してオフセットリリース処理を行うのである。
オフセットリリース処理を伴った換算操作角決定部190による換算操作角θ'Oの決定プロセスについて考える。前提として、ステアリングホイール10の操作角θOが100degのときに、車速無効状態となり、ギヤ比γが、4.0から2.0に急変し、その後、ステアリングホイール10が切り増し操作され、操作角θOが105degにまで至ったこととする。また、ステアリング操作に、車輪16の転舵が充分に追従することとする。
換算操作角決定部190によれば、図10(a)の表に示すように、車速無効直前において、ギヤ比γは、4.0、転舵角θSは400deg、基本換算操作角θ'O-Bは100degであり、換算操作角格差Δθ'O,換算操作オフセット残角θ'OO-REすなわち換算操作角補正値θ'O-Cは、いずれも0degとなり、換算操作角θ'Oとして100degが出力される。車速無効直後には、転舵角θSは変化せず、ギヤ比γが2.0に急変するものの、基本換算操作角θ'O-Bが200deg、換算操作角格差Δθ'Oが100deg、換算操作オフセット残角θ'OO-REが100degすなわち換算操作角補正値θ'O-Cが100degとなり、換算操作角θ'Oとして100degが出力される。
その後、オフセットリリース処理を伴って操作角θOが105degにまで至ったオフセットリリース中には、ギヤ比γが変化しないと仮定すれば、目標転舵角決定部122では、オフセットリリース処理により、目標転舵オフセット残角θ* SO-REが197degとなり、目標転舵角θ* Sとして407degが出力され、転舵角θSは407degとなるとする。それに伴い、換算操作角決定部190では、基本換算操作角θ'O-Bが203.5degとなり、当該換算操作決定部190におけるオフセットリリース処理が、目標転舵角決定部122によるオフセットリリース処理と同調して進行すると仮定すれば、換算操作オフセット残角θ'OO-REが98.5degとなる。その結果、換算操作角θ'Oは、操作角θOと同じ105degとなる。
図3のギヤ比決定マップ、詳しくは、そのマップにおいて☆で示す車速無効時関係線から解るように、実際には、車速無効状態においても、ステアリングホイール10の操作角θOに依存して、ギヤ比γは変化する。したがって、オフセットリリース処理の最中におけるギヤ比γの変化を考慮する必要がある。
車速無効時関係線にしたがって、オフセットリリース処理の最中に、操作角θOが100degから105degに移行した場合に、ギヤ比γが2.0から2.05に変化したとすれば、目標転舵角決定部122では、目標転舵オフセット残角θ* SO-REが197degであるが、ギヤ比γが2.05になることによって、目標転舵角θ* Sとして412.25degが出力され、転舵角θSは412.25degとなる。そして、換算操作角決定部190では、基本換算操作角θ'O-Bが201.10degとなり、換算操作オフセット残角θ'OO-REが98.5degであるため、換算操作角θ'Oは、操作角θOと異なる102.60degとなる。
以上説明した換算操作角決定部190による処理と異なり、実施例のステアリングシステムにおける換算操作角決定部104によれば、以下のようにして換算操作角θ'Oが決定される。
換算操作角決定部104によれば、図10(b)の表に示すように、車速無効直前において、ギヤ比γは、4.0、転舵角θSは400deg、基本換算操作角θ'O-Bは100degであり、換算操作角格差Δθ'O,換算転舵角格差Δθ'S,換算転舵オフセット残角θ'SO-RE,換算操作角補正値θ'O-Cは、いずれも0degとなり、換算操作角θ'Oとして100degが出力される。車速無効直後には、転舵角θSは変化せず、ギヤ比γが2.0に急変するものの、基本換算操作角θ'O-Bが200deg、換算操作角格差Δθ'Oが100deg、換算転舵角格差Δθ'Sが200deg、換算転舵オフセット残角θ'SO-REが200deg、換算操作角補正値θ'O-Cが100degとなり、換算操作角θ'Oとして100degが出力される。
オフセットリリース処理の最中に、操作角θOが100degから105degに移行した場合、ギヤ比γが2.0のままであれば、換算操作角決定部190について説明したように、転舵角θSは407degとなる。換算操作角決定部104では、基本換算操作角θ'O-Bが203.5degとなり、当該換算操作決定部104におけるオフセットリリース処理が、目標転舵角決定部122によるオフセットリリース処理と同調して進行すると仮定すれば、換算転舵オフセット残角θ'SO-REが197deg、換算操作角補正値θ'O-Cが98.5degとなり、換算操作角θ'Oとして、操作角θOと同じ105degが出力される。
オフセットリリース処理の最中に、操作角θOが100degから105degに移行した場合、ギヤ比γが2.0から2.05に変化するとすれば、目標転舵角決定部122の処理によって、転舵角θSは412.25degとなる。換算操作角決定部104では、基本換算操作角θ'O-Bが201.10degとなり、換算転舵オフセット残角θ'SO-REが197deg、換算操作角補正値θ'O-Cが96.10degとなり、換算操作角θ'Oとして、操作角θOと同じ105degが出力される。
このように、換算操作角決定部104によれば、ギヤ比γが急変し、その後のオフセットリリース処理を伴ったステアリング操作の進行において、ギヤ比γの変化の有無に拘わらず、適正な換算操作角θ'Oが得られることになる。つまり、換算操作角決定部104では、ギヤ比γの急変後、オフセットリリース処理の最中にギヤ比γが変動することへの対処がなされているのである。このことは、換算操作角決定部104の利点であり、その利点は、換算操作角決定部104が、単に換算操作角θ'Oに対してオフセットリリース処理を行うのではなく、換算操作角θ'Oを、ギヤ比γによって一旦換算転舵角θ'Sに変換し、その換算転舵角θ'Sに対してオフセットリリース処理を行い、そのオフセットリリース処理を行った換算転舵角θ'Sを、再度、逆ギヤ比1/γによって換算操作角θ'Oに変換するといった処理を行うことによって得られるのである。
10:ステアリングホイール〔操作部材〕 12:反力アクチュエータ〔反力付与装置〕 16:車輪 18:転舵アクチュエータ〔転舵装置〕 22:ステアリング電子制御ユニット(ステアリングECU)〔コントローラ〕 32:反力モータ 40:モータ回転角センサ 44:操作トルクセンサ 58:転舵モータ 68:モータ回転角センサ 72:車速センサ 100:反力制御部 102:転舵制御部 104:換算操作角決定部〔換算操作量決定部〕 120:ギヤ比決定部 122:目標転舵角決定部 θO:操作角〔操作量〕 θ'O:換算操作角〔換算操作量〕 θ'O-C:換算操作角補正値〔換算操作量補正値〕 Δθ'O:換算操作角格差〔換算操作量格差〕 ΔθO:操作角偏差〔操作量偏差〕 θS:転舵角〔転舵量〕 θ* S:目標転舵角〔目標転舵量〕 θ* SO:目標転舵角オフセット値〔目標転舵量オフセット値〕 Δθ* S:目標転舵角格差〔目標転舵量格差〕 θ'S:換算転舵角〔換算転舵量〕 θ'SO:換算転舵角オフセット値〔換算転舵量オフセット値〕 γ:ステアリングギヤ比 1/γ:逆ギヤ比 SCS:状態変化信号 TqO:操作トルク〔操作力〕 TqC:反力トルク〔操作反力〕 TqC-A:アシスト成分 TqC-L:転舵負荷依拠成分 TqC-O:操作角偏差依拠成分〔操作量偏差依拠成分〕 TqS:転舵トルク〔転舵力〕 v:車両走行速度(車速)

Claims (6)

  1. 運転者によって操作される操作部材と、その操作部材に操作反力を付与する反力付与装置と、車輪を転舵する転舵装置と、それら反力付与装置と転舵装置とを制御するコントローラとを備えて車両に搭載されたステアバイワイヤ型のステアリングシステムであって、
    前記コントローラが、
    ステアリングギヤ比を決定し、前記操作部材の操作量に対する車輪の転舵量の比がそのステアリングギヤ比となるように、前記転舵装置を制御する転舵制御部と、
    実際の車輪の転舵量を、決定されたステアリングギヤ比の逆数に基づいて、前記操作部材の操作量に換算することで、換算操作量を決定する換算操作量決定部と、
    前記操作部材の実際の操作量と前記換算操作量との差である操作量偏差に基づいて、その操作量偏差が大きい程、操作反力が大きくなるように、前記反力付与装置を制御する反力制御部と
    を有し、
    前記換算操作量決定部が、
    決定されるステアリングギヤ比が急変した際に、その急変の時点に生じた換算操作量の格差を、ステアリングギヤ比に基づいて、車輪の転舵量の格差に換算することで、換算転舵量オフセット値として把握し、その時点以降、その換算転舵量オフセット値を、漸減させつつ、ステアリングギヤ比の逆数に基づいて、換算操作量の格差に再換算することで、換算操作量補正値を決定し、その換算操作量補正値によって換算操作量を補正するように構成されたステアリングシステム。
  2. 前記転舵制御部が、
    前記操作部材の実際の操作量とステアリングギヤ比とに基づいて、実現すべき車輪の転舵量である目標転舵量を決定し、車輪の実際の転舵量がその目標転舵量となるように前記転舵装置を制御するとともに、
    決定されるステアリングギヤ比が急変した際に、その急変の時点に生じた目標転舵量の格差を、目標転舵量オフセット値として把握し、その時点以降、その目標転舵量オフセット値を漸減させることで目標転舵量補正値を決定し、その補正によって目標転舵量を補正するように構成された請求項1に記載のステアリングシステム。
  3. 前記換算操作量決定部が、
    前記転舵制御部における目標転舵量オフセット値の漸減に合せて、換算転舵量オフセット値を漸減させるように構成された請求項2に記載のステアリングシステム。
  4. 前記転舵制御部が、
    前記操作部材の操作量と、当該車両の走行速度とに基づいて、ステアリングギヤ比を決定するギヤ比決定部を有する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のステアリングシステム。
  5. 前記ギヤ比決定部が、当該車両の走行速度が認識不能である場合、その車両の走行速度に基づくことなくステアリングギヤ比を決定するように構成され、
    当該車両の走行速度が認識不能となった時に、決定されるステアリングギヤ比が急変したと認定される請求項4に記載のステアリングシステム。
  6. 前記反力制御部が、複数の成分を合成することで付与すべき操作反力を決定し、その決定した操作反力に基づいて前記反力付与装置を制御するように構成され、
    前記複数の成分に、運転者による前記操作部材の操作をアシストするためのアシスト成分と、車輪の転舵に対する前記転舵装置の負荷に基づく転舵負荷依拠成分と、前記操作量偏差に基づく操作量偏差依拠成分とが含まれる請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のステアリングシステム。
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