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JP5338491B2 - 車両用操舵装置および車両用操舵方法 - Google Patents

車両用操舵装置および車両用操舵方法 Download PDF

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JP5338491B2 JP2009135930A JP2009135930A JP5338491B2 JP 5338491 B2 JP5338491 B2 JP 5338491B2 JP 2009135930 A JP2009135930 A JP 2009135930A JP 2009135930 A JP2009135930 A JP 2009135930A JP 5338491 B2 JP5338491 B2 JP 5338491B2
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Description

本発明は、車両用操舵装置および車両用操舵方法に関する。
特許文献1には、ステアリングホイールとは別に、ドライバがステアリングホイールを把持した状態で操作することで前輪を転舵可能なリングを備えた車両用操舵装置が開示されている。ドライバは、ステアリングホイールとリングの双方を同時に操作することで、ステアリングホイールを持ち替えることなく転舵角を大きくとることができる。
特開2007−246003号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、リングの操作量に応じて転舵角が変化するため、ステアリングホイールの操舵角に対する操向輪の転舵角が一定とはならず、ドライバに違和感を与えるという問題があった。
本発明の目的は、ドライバに与える違和感を軽減できる車両用操舵装置および車両用操舵方法を提供することにある。
本発明では、操舵角が第1操舵角未満の場合には操舵角に基づいて転舵手段を制御すると共に、操舵角が第1操舵角以上の場合には操舵トルクに基づいて転舵手段を制御する一方、操舵角が第1操舵角以上の操舵角である規制角度以上となった場合に、ステアリングホイールの回転を規制する

よって、本発明では、操舵角が第1操舵角未満の領域では、操舵角に基づいて転舵角を制御するため、ドライバに与える違和感を軽減できる。
実施例1の車両用操舵装置を示す構成図である。 実施例1の反力コントローラ11の反力制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の転舵コントローラ12の転舵制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の操舵トルクTに応じた目標転舵角δ*の設定マップである。 実施例1の操舵角θに応じた目標転舵角δ*の設定マップである。 ドライバがステアリングホイール1を切り増ししたときの実施例1の転舵制御および反力制御の作用を示すタイムチャートである。 実施例2の反力コントローラ11の反力制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の操舵角θに応じた目標転舵角δ*の設定マップである。 ドライバがステアリングホイール1を切り増ししたときの実施例2の転舵制御および反力制御の作用を示すタイムチャートである。
まず、実施例1の車両用操舵装置の構成を説明する。
図1は、実施例1の車両用操舵装置を示す構成図である。
実施例1の車両用操舵装置は、ステアリングホイール1と前輪(操向輪)9とが機械的に分離した、いわゆるステア・バイ・ワイヤシステム方式の操舵装置であり、ステアリングホイール1と、トルクセンサ(操舵トルク検出手段)2と、反力モータ3と、反力モータ角度センサ(操舵角検出手段)4と、バックアップクラッチ5と、転舵モータ6と、転舵モータ角度センサ7と、ラックギア(転舵手段)8と、前輪9と、ラック軸力センサ10と、反力コントローラ(操舵反力制御手段)11と、転舵コントローラ(転舵制御手段)12と、コントローラ間通信ライン13と、車速センサ(車速検出手段)14とを有する。
トルクセンサ2は、ドライバによるステアリングホイール1の操作時、ステアリングシャフト1aに入力されたトルク(すなわち、ドライバの操舵トルク)を検出する。
反力モータ3は、ステアリングシャフト1aと図外の減速器を介して連結し、ステアリングシャフト1aを介してステアリングホイール1に回転トルク(操舵反力)を付与する。
反力モータ角度センサ4は、反力モータ3の回転角度を検出する。ここで、反力モータ3の回転角度は、ステアリングシャフト1aの回転角度を上記減速器の減速比で割った値である。つまり、反力モータ3の回転角度は、ステアリングシャフト1aの回転角度と相関があるため、実施例1では、反力モータ角度センサ4によって検出された反力モータ3の回転角度を、ステアリングホイール1の操舵角として用いる。
バックアップクラッチ6は、ステアリングシャフト1aと、ラックギア8に噛み合うピニオンシャフト8aとの機械的な断接を行うためのクラッチである。このバックアップクラッチ6は、例えば、システム正常時に解放し、システム異常時に締結する。すなわち、バックアップクラッチ6は、システム異常時にステアリングシャフト1aと、ラックギア8に噛み合うピニオンシャフト8aとを機械的に接続することによって、システム異常時に運転者がステアリングホイール1を操舵して直接的に前輪9を転舵可能とするものであり、通常時(システム正常時)には解放されているものである為、以下ではバックアップクラッチ6は解放されているものとして説明する。バックアップクラッチ6の締結および解放は、反力コントローラ11または転舵コントローラ12により行う。
転舵モータ6は、ピニオンシャフト8aと図外の減速器を介して連結し、ピニオンシャフト8aを介してラックギア8を左右に移動させることで、前輪9を転舵する。
転舵モータ角度センサ7は、転舵モータ6の回転角度を検出する。ここで、転舵モータ6の回転角度は、ピニオンシャフト8aの回転角度を上記減速器の減速比で割った値である。つまり、転舵モータ6の回転角度は、ラックギア8のラック移動量、すなわち、前輪9の転舵角と相関があるため、実施例1では、転舵モータ角度センサ7によって検出された転舵モータ6の回転角度を、前輪9の転舵角として用いる。
ラック軸力センサ10は、ラックギア8に作用する軸力(路面反力)を検出する。
車速センサ14は、車両の対地速度である車速を検出する。
反力コントローラ11は、トルクセンサ2により検出された操舵トルクと、反力モータ角度センサ4により検出された反力モータ回転角度(ステアリングホイール1の操舵角)とを入力する。
転舵コントローラ12は、転舵モータ角度センサ7により検出された転舵モータ回転角度(前輪9の転舵角)と、ラック軸力センサ10により検出された軸力とを入力する。
反力コントローラ11と転舵コントローラ12は、コントローラ間通信ライン13を介してセンサ値や指令値等の情報の授受を行う。
反力コントローラ11は、ラック軸力センサ10により検出された軸力と、反力モータ角度センサ4により検出された操舵角と、車速センサ14により検出された車速とに基づいて、ステアリングホイール1に付与する目標操舵反力を生成し、反力モータ3によってステアリングホイール1に付与される操舵反力が目標操舵反力と一致するように反力モータ3の駆動電流を制御する。
転舵コントローラ12は、トルクセンサ2により検出された操舵トルクと、反力モータ角度センサ4により検出された操舵角とに基づいて、前輪9の目標転舵角を生成し、転舵モータ角度センサ7により検出された転舵角が目標転舵角と一致するように転舵モータ6の駆動電流を制御する。
実施例1では、ドライバに与える違和感の軽減を狙いとし、以下に示すような反力制御および転舵制御を実施する。
[反力制御処理]
図2は、実施例1の反力コントローラ11の反力制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、車速センサ14により検出された車速V、反力モータ角度センサ4により検出された操舵角θ(反力モータ回転角度)、トルクセンサ2により検出された操舵トルクT、ラック軸力センサ10により検出されたラック軸力Fを入力し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、車速Vが所定の低車速閾値V1以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS3へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。ここで、低車速閾値V1は、例えば、20km/hとする。以下、車速20km/h以下で走行している状態を低車速域、車速20k/h超で走行している状態を中高車速域という。
ステップS3では、操舵角θが第1操舵角θ1以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS4へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。ここで、第1操舵角θ1は、中高車速域での常用域であって、ドライバが操舵中立位置(車両直進時の操舵角)からステアリングホイール1を持ち替えることなく切り増し操舵可能な最大の操舵角、例えば、120°とする。
ステップS5では、ラック軸力センサ10で検出された軸力Fに基づいて目標操舵反力T*を生成する。ここで、目標操舵反力T*は、軸力Fが大きいほど大きくなるように設定する。なお、目標操舵反力T*は、例えば予め記憶された軸力Fと目標操舵反力T*との関係に基づいて設定されても良いし、軸力Fに所定のゲインを乗算して算出しても良い。また更に、軸力Fに基づいて設定された目標操舵反力T*を操舵角が大きくなるほど大きくなるように補正したり、車速が高くなるほど大きくなるように補正したりしても良い。
ステップS4(回転規制手段に相当)では、目標操舵反力T*を操舵トルクTとし、リターンへ移行する。
[転舵制御処理]
図3は、実施例1の転舵コントローラ12の転舵制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS6では、車速センサ14により検出された車速V、反力モータ角度センサ4により検出された操舵角θ(反力モータ回転角度)、トルクセンサ2により検出された操舵トルクTを入力し、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、車速Vが低車速閾値V1以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS8へ移行し、NOの場合にはステップS10へ移行する。
ステップS8では、操舵角θが第1操舵角θ1以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS9へ移行し、NOの場合にはステップS10へ移行する。
ステップS9では、操舵トルクTに基づいて目標転舵角δ*を生成する。図4は、実施例1の操舵トルクTに応じた目標転舵角δ*の設定マップであり、目標転舵角δ*は、操舵トルクTが第1操舵トルクT1から第2操舵トルクT2まで変化したとき、第1転舵角δ1から第2転舵角δ2までの値を取るように、操舵トルクTに正比例した特性とする。ここで、第1転舵角δ1は、操舵角θを第1操舵角θ1としたときの前輪9の転舵角であり、第2転舵角δ2は、前輪9の最大転舵角である。また、第1操舵トルクT1は、高μ路を車速20km/hで走行中、前輪9の転舵角δを第1転舵角δ1に維持するために必要な操舵トルクとする。
ステップS10では、操舵角θに基づいて目標転舵角δ*を生成する。図5は、実施例1の操舵角θに応じた目標転舵角δ*の設定マップであり、目標転舵角δ*は、操舵角θがゼロから第1操舵角θ1まで変化したとき、ゼロから第1転舵角δ1までの値を取るように、操舵角θに正比例した特性とする。
ここで、車速Vに応じて操舵角θに対する転舵角δの比を可変する、いわゆる可変ギア比制御を実施する場合には、図5のマップから求めた目標転舵角δ*を車速Vに応じて補正してもよい。具体的には、車速Vが高いほど目標転舵角δ*を減少補正する。これにより、低車速域での取り回し性の向上と高車速域での走行安定性の確保とを両立できる。
次に、作用を説明する。
図6は、ドライバがステアリングホイール1を切り増ししたときの実施例1の転舵制御および反力制御の作用を示すタイムチャートである。
時点t1までの区間では、車速Vが低車速閾値V1を超えているため、図3の転舵制御処理では、ステップS6→ステップS7→ステップS10へと進む流れとなり、目標転舵角δ*は、操舵角θと車速Vとに基づいて生成される。
時点t1では、車速Vが低車速閾値V1以下となるが、操舵角θが第1操舵角θ1未満であるため、時点t1からt2までの区間では、ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS10へと進む流れとなり、目標転舵角δ*は、時点t1までと同様、操舵角θと車速Vとに基づいて生成される。
つまり、ステアリングホイール1の操舵角θが、第1操舵角θ1に達するまでは、ステアリングホイール1の操舵角θが前輪9の転舵角δに影響を与える。
時点t2では、操舵角θが第1操舵角θ1に達したため、時点t2以降の区間では、ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進む流れとなり、目標転舵角δ*は、操舵トルクTに基づいて生成される。このとき、反力制御処理による目標操舵反力T*は、操舵トルクTと同等の値となるため、ステアリングホイール1の第1操舵角θ1を超える回転が規制され、ステアリングホイール1は、第1操舵角θ1でロックされた状態となる。すなわち、第1操舵角θ1はステアリングホイール1の回転が規制される規制角度である。
よって、ドライバは、ステアリングホイール1を操舵回転方向に力を加えて押すことにより、この押し付け力(操舵トルクT)に応じて転舵角9を制御できる。
上記特許文献1に記載の車両用操舵装置(以下、従来技術)では、ステアリングホイールの操舵角に対する操向輪の転舵角が一定とはならないため、ドライバに違和感を与える。
これに対し、実施例1の車両用操舵装置では、操舵角θが第1操舵角θ1未満の場合には、操舵角θに基づいて目標転舵角δ*を生成する。ここで、第1操舵角θ1は、中高車速域での常用域の範囲内(120°)に設定しているため、車庫入れ等の低速での走行シーンを除く通常の走行時、転舵角δは常に操舵角θによって決まり、操舵角θに対する転舵角δは常に一定となる。このため、従来技術と比較して、ドライバに与える違和感を軽減できる。
実施例1の車両用操舵装置では、操舵角θが第1操舵角θ1に達したとき、ステアリングホイール1をロック状態とする。このため、ドライバは、ステアリングホイール1の操舵角θを左右に第1操舵角θ1以上切り増すことなく、すなわち、ステアリングホイール1を持ち替えることなく、前輪9を右の最大転舵角(第2転舵角δ2)から左の最大転舵角まで転舵させることができる。つまり、ドライバはステアリングホイール1を持ち替えることなく、前輪9を右の最大転舵角から左の最大転舵角まで動かすことができるため、車庫入れや縦列駐車等、低車速域で前輪9を大きく動かすシーンにおいて、ドライバの操舵負担を軽減できる。
また、上記従来技術では、ステアリングホイールとリングという2つの部材を個々に操作する必要があるため、操作の複雑化および部品点数増を伴う。これに対し、実施例1の車両用操舵装置では、ドライバはステアリングホイール1のみを操作すればよいため、操作が簡単であり、部品点数増も生じない。
さらに、実施例1の車両用操舵装置では、操舵角θが第1操舵角θ1に達した場合、車速Vが低車速閾値V1以下のときに限り、操舵トルクTに基づいて目標転舵角δ*を生成し、車速Vが低車速閾値V1を超えるときには、操舵角θに基づいて目標転舵角δ*を生成する。理由は、中高車速域において、ステアリングホイール1の常用域を超える操舵が必要となるシーン、すなわち、第1転舵角δ1以上の転舵角δが必要となるシーンは稀だからである。また、中高車速域では、取り回し性の向上よりも走行安定性の確保を重視すべきだからである。例えば、中高車速域において操舵トルクTに基づく目標転舵角δ*を生成すると、操舵角θに対して転舵角δが大きくなり過ぎることで車両の安定性に悪影響を及ぼすおそれがある。よって、実施例1では、低車速域でのみ操舵トルクTに基づく目標転舵角δ*の生成を実施することで、低車速域での取り回し性の向上と、中高車速域での走行安定性の確保とを両立できる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用操舵装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) ドライバの操作入力を受けるステアリングホイール1と、ステアリングホイール1と機械的に分離し、前輪9を転舵するラックギア8と、ステアリングホイール1の操舵角θを検出する反力モータ角度センサ4と、ステアリングホイール1に入力されたドライバの操舵トルクTを検出するトルクセンサ2と、操舵角θが第1操舵角θ1未満の場合には操舵角θに基づいて目標転舵角δ*を生成し、操舵角θが第1操舵角θ1以上の場合には操舵トルクTに基づいて目標転舵角δ*を生成する転舵コントローラ12と、を備える。これにより、ドライバに与える違和感を軽減できる。
(2) 反力コントローラ11は、ステアリングホイール1の第1操舵角θ1以上の回転を規制する回転規制手段としての機能を備えるため、ドライバは、ステアリングホイール1を持ち替えることなく前輪9の転舵角δを制御でき、操舵負担を軽減できる。
(3) 車両の速度を検出する車速センサ14を備え、転舵コントローラ12は、操舵角θが第1操舵角θ1以上の場合、車速Vが低車速閾値V1以下であるときには操舵トルクTに基づいて目標転舵角δ*を生成し、車速Vが低車速閾値V1を超えるときには操舵角θに基づいて目標転舵角δ*を生成する。これにより、低車速域での取り回し性の向上と中高車速域での走行安定性の確保との両立を図ることができる。
(4) 転舵コントローラ12は、ステアリングホイール1と機械的に分離した前輪9の転舵角δを、ステアリングホイール1の操舵角θが第1操舵角θ1未満の場合には操舵角θに基づいて制御すると共に、操舵角θが第1操舵角θ1以上の場合にはステアリングホイール1に入力されたドライバの操舵トルクTに基づいて制御する。これにより、ドライバに違和感を与えることなく操舵負担の軽減を図ることができる。
まず、構成を説明するが、実施例1と異なる部分のみ説明し、実施例1と同一の構成部分については、図示ならびに説明を省略する。
[反力制御処理]
図7は、実施例2の反力コントローラ11の反力制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。反力コントローラ11の反力制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、図2に示した実施例1と同一処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS11では、操舵角θが第1操舵角θ1以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS12へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。ここで、第1操舵角θ1は、後述する第2操舵角θ2(120°)よりも小さな操舵角、例えば、100°とする。
ステップS12では、操舵角θが第2操舵角θ2であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS4へ移行し、NOの場合にはステップS13へ移行する。ここで、第2操舵角θ2は、中高車速域での常用域であって、ドライバが操舵中立位置(車両直進時の操舵角)からステアリングホイール1を持ち替えることなく切り増し操舵可能な最大の操舵角、例えば、120°とする。
ステップS13(操舵反力付与手段に相当)では、軸力Fおよび車速Vと、操舵角θと第1操舵角θ1との偏差とに基づいて目標操舵反力T*を生成し、リターンへ移行する。目標操舵反力T*は、軸力Fに基づく第1目標操舵反力T1*と、操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθに基づく第2目標操舵反力T2*とを加算したものとする。ここで、第1目標操舵反力T1*については、実施例1のステップS5における目標操舵反力T*と同一とする。また、第2目標操舵反力T2*は、操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθに所定のゲインKを乗算した値(K×Δθ)とする。
[転舵制御処理]
実施例2の転舵コントローラ12の転舵制御処理は、図3に示した実施例1と同様であるが、実施例2では、ステップS8の第1操舵角θ1を100°とする。また、ステップS10の目標転舵角δ*を生成する際、図5のマップに代えて、図8に示すマップを用いる。
図8は、実施例2の操舵角θに応じた目標転舵角δ*の設定マップであり、目標転舵角δ*は、操舵角θがゼロから第1操舵角θ1まで変化したとき、ゼロから第1転舵角δ1までの値を取るように、操舵角θに正比例した特性とし、操舵角θが第1操舵角θ1から第2操舵角θ2までは第1転舵角δ1のまま不変とする。
次に、作用を説明する。
図9は、ドライバがステアリングホイール1を切り増ししたときの実施例2の転舵制御および反力制御の作用を示すタイムチャートである。
時点t1までの区間では、車速Vが低車速閾値V1を超えているため、図7の反力制御処理では、ステップS1→ステップS2→ステップS5へと進む流れとなり、目標操舵反力T*は、軸力Fに基づく第1目標操舵反力T1*となる。
時点t1では、車速Vが低車速閾値V1以下となるが、操舵角θが第1操舵角θ1未満であるため、時点t1からt2までの区間では、ステップS1→ステップS2→ステップS11→ステップS5へと進む流れとなり、目標操舵反力T*は、時点t1までと同様、第1目標操舵反力T1*のままである。
時点t2では、操舵角θが第1操舵角θ1に達したため、時点t2からt3までの区間では、ステップS1→ステップS2→ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、目標操舵反力T*は、軸力Fに応じた第1目標操舵反力T1*に対し、操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθに応じた第2目標操舵反力T2*を加算したものとなる。なお、転舵制御は実施例1と同様に操舵角θが第1操舵角θ1未満の場合には操舵角θに基づいて目標転舵角δ*を生成し、操舵角θが第1操舵角θ1以上の場合には操舵トルクTに基づいて目標転舵角δ*を生成して行われる為、操舵角θが第1操舵角θ1と第2操舵角θ2の間にあるとき、操舵トルクTに基づいて目標転舵角δ*が生成される。
時点t3では、操舵角θが第2操舵角θ2に達したため、時点t3以降の区間では、ステップS1→ステップS2→ステップS11→ステップS12→ステップS4へと進む流れとなり、目標操舵反力T*は、操舵トルクTと同等の値となるため、ステアリングホイール1の第2操舵角θ2を超える回転が規制され、ステアリングホイール1は、第2操舵角θ2でロックされた状態となる。すなわち、第2操舵角θ2はステアリングホイール1の回転を規制する規制角度である。
よって、ステアリングホイール1の操舵角θが第1操舵角θ1に達した後は、ドライバは、ステアリングホイール1を軸力Fに基づく第1目標操舵反力T1*と、操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθに基づく第2目標操舵反力T2*とを加算した操舵反力に抗して操舵回転方向に力を加えて押すことにより、この押し付け力(操舵トルクT)に応じて前輪9の転舵角9を制御できる。このため、ドライバは、ステアリングホイール1の操舵角θを左右に第2操舵角θ2以上切り増すことなく、すなわち、ステアリングホイール1を持ち替えることなく、転舵角δを左右に最大転舵角(第2転舵角δ2)まで転舵させることができる。
また、実施例2では、ドライバが切り増し操舵したとき、操舵角θが第1操舵角θ1に達してから第2操舵角θ2に至るまでの間、第1目標操舵反力T1*に第2目標操舵反力T2*を加えて目標操舵反力T*を生成する。つまり、ステアリングホイール1に付与される操舵反力は、路面反力(軸力F)に応じた操舵反力成分に対し、第1操舵角θ1からの操舵角増加分(操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθ)を加えたものとなる。
このため、ドライバに対し、操舵角θが第1操舵角θ1に達したこと、すなわち、転舵制御において目標転舵角δ*を決めるパラメータが操舵角θから操舵トルクTへ変化することを、操舵反力の増加によって事前に知らせることができる。
また、実施例1の様に操舵角θが第1操舵角θ1に達した時点でステアリングホイール1がロックされる場合には、ドライバは操舵角θが第1操舵角θ1に達した後はステアリングホイール1を操舵して転舵角を制御している感覚(操舵感)が得られ難い。しかしながら本実施例2においては、操舵角θが第1操舵角θ1に達した後は操舵角θの変化量に応じて増大する操舵反力(操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθに応じて増大する操舵反力)を生成する為、ドライバはステアリングホイール1を切り増し方向に押し込むことによって転舵角が増大している感覚を得ることができ、ドライバに好ましい操舵感を与えることができる。
また、操舵角θが第2操舵角θ2に達したとき、ステアリングホイール1はロック状態となり、第2操舵角θ2以上の切り増し操舵が不能となる。このとき、実施例1では、操舵角θが第1操舵角θ1(実施例2の第2操舵角θ2に相当)に達したとき、軸力Fに応じた操舵反力から、操舵トルクTと同等の操舵反力と切り替える構成としたため、操舵角θが第1操舵角θ1に達した瞬間にステアリングホイール1がロックされて操舵反力が急変し、ドライバに違和感を与えるおそれがある。
これに対し、実施例2では、操舵角θが第2転舵角θ2よりも手前の第1操舵角θ1に達した時点から操舵角θの増加(操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθ)に応じて徐々に操舵反力を大きくするため、実施例1に対して、ステアリングホイール1がロックしたときの操舵反力の急変が抑えられ、ドライバに与える違和感を軽減できる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用操舵装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(4)に加え、以下の効果を奏する。
(5) 反力コントローラ11は、操舵角θが第1操舵角θ1と第2操舵角θ2との間にあるとき、操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθに応じた第2目標操舵反力T2*を、軸力Fに応じた第1目標操舵反力T1*に加えて目標操舵反力T*を生成する。これにより、ドライバに対して転舵制御において目標転舵角δ*を決めるパラメータが操舵角θから操舵トルクTへ変化することを事前に知らせることができる。また、ドライバがステアリングホイール1を操舵して転舵角を制御している感覚を得ることができ、好ましい操舵感をドライバに与えることができる。さらに、操舵角θが第2操舵角θ2に達したときの操舵反力の急変を抑制できるため、ドライバに与える違和感を軽減できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1,2では、ステアリングホイール1の第1操舵角θ1もしくは第2操舵角θ2以上の回転を規制する回転規制手段として、反力モータ3の目標操舵反力T*を操舵トルクTよりも大きくする例を示したが、回転規制手段の構成は任意である。例えば、ステアリングホイール1の第1操舵角θ1以上の回転を規制するストッパを設ける等、メカ的にロックしてもよい。
実施例2では、操舵角θが第1操舵角θ1と第2操舵角θ2との間にあるとき、操舵角θと第1操舵角θ1との偏差Δθに応じた操舵反力をステアリングホイール1に付与する操舵反力付与手段として、反力モータ3の出力を用いた例を示したが、操舵反力付与手段の構成は任意である。例えば、ステアリングの内部にバネ部材を設けて、操舵角θが第1操舵角θ1以上となった場合にバネ部材によって操舵反力を付与する構成としてもよい。
また、実施例1,2では、ドライバの操舵トルクTを検出するトルクセンサ2をステアリングシャフト1aに設けた例を示したが、反力モータ3の発生電流から操舵トルクTを推定してもよい。
操舵トルクTと目標転舵角δ*との関係は、実施例1,2に示した正比例の関係に限らず、操舵トルクTが大きいほど目標転舵角δ*が大きくなるような特性であればよい。また、操舵角θと目標転舵角δ*との関係も同様であり、操舵角θが大きいほど目標転舵角δ*が大きくなるような特性であればよい。
実施例1の第1操舵角θ1および実施例2の第2操舵角θ2は、120°に限らず、ドライバがステアリングホイール1を持ち替えることなく操作可能な角度であればよい。また、実施例2の第1操舵角θ1は、第2操舵角θ2よりも小さな角度であればよい。
1 ステアリングホイール
2 トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
4 反力モータ角度センサ(操舵角検出手段)
8 ラックギア(転舵手段)
9 前輪(操向輪)
11 反力コントローラ(操舵反力制御手段)
12 転舵コントローラ(転舵制御手段)
14 車速センサ(車速検出手段)

Claims (4)

  1. ドライバの操作入力を受けるステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールと機械的に分離し、操向輪を転舵する転舵手段と、
    前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記ステアリングホイールに入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記操舵角が予め定められた所定の操舵角である第1操舵角未満の場合には前記操舵角に基づいて前記転舵手段を制御すると共に、前記操舵角が前記第1操舵角以上の場合には前記操舵トルクに基づいて前記転舵手段を制御する転舵制御手段と、
    前記ステアリングホイールの操舵角が、前記第1操舵角以上の操舵角である規制角度以上となった場合に、前記ステアリングホイールの回転を規制する回転規制手段と、
    を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
    前記操舵角が前記第1操舵角以上のとき、前記操舵角と前記第1操舵角との差が大きいほど大きい操舵反力を前記ステアリングホイールに付与する操舵反力付与手段を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
    車両の速度を検出する車速検出手段を備え、
    前記転舵制御手段は、前記操舵角が前記第1操舵角以上の場合、前記車速が所定の低車速閾値以下であるときには前記操舵トルクに基づいて前記転舵手段を制御し、前記車速が前記低車速閾値を超えるときには前記操舵角に基づいて前記転舵手段を制御することを特徴とする車両用操舵装置。
  4. ステアリングホイールと機械的に分離した操向輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵角が予め定められた所定の操舵角である第1操舵角未満の場合には前記操舵角に基づいて制御すると共に、前記操舵角が前記第1操舵角以上の場合には前記ステアリングホイールに入力されたドライバの操舵トルクに基づいて制御する一方、前記ステアリングホイールの操舵角が、前記第1操舵角以上の操舵角である規制角度以上となった場合に、前記ステアリングホイールの回転を規制することを特徴とする車両用操舵方法。
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