以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した車載システムの一実施の形態を示すブロック図である。図1の車載システム11は、各種の車両(例えば、自家用車、トラック、バスなど)に設けられるシステムであり、車載システム11が設けられている車両(以下、自車とも称する)の動作を制御したり、搭乗者に各種の機能を提供したりする。
車載システム11は、車載リーダライタ31、搭乗者検出部32−1乃至32−4、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、および、オーディオ装置36を含むように構成される。車載リーダライタ31、搭乗者検出部32−1乃至32−4、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、および、オーディオ装置36は、車内ネットワーク41を介して相互に接続されている。
車載リーダライタ31は、非接触ICカード機能を有する携帯電話機12との間で、所定の周波数の搬送波を使用した、電磁誘導による近接通信を行う。車載リーダライタ31が使用する搬送波の周波数としては、例えば、ISM(Industrial Scientific Medical)バンドの13.56MHzなどを採用することができる。なお、近接通信とは、通信する装置どうしの距離が、数10cm以内となって可能となる通信を意味し、通信する装置同士(の筐体)が接触して行う通信も含まれる。
車載リーダライタ31は、所定の電磁波を発信した状態で負荷状態を監視することにより、携帯電話機12が通信可能な位置にあるか否かを検出する。携帯電話機12が通信可
能な位置にある場合、車載リーダライタ31は、携帯電話機12との間で各種のコマンド
の送受信を行う。
また、車載リーダライタ31は、車内ネットワーク41を介して、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、および、オーディオ装置36と各種の情報の送受信を行い、各機器の状態を検出したり、各機器の動作の制御を行ったりする。
さらに、車載リーダライタ31は、車内ネットワーク41を介して、搭乗者検出部32−1乃至32−4から供給される、車内の搭乗者の検出結果を示す情報に基づいて、自身の動作の制御を行う。
搭乗者検出部32−1乃至32−4は、例えば、座席に人が座っているか否かを検出する着座センサ、または、カメラと人の存在を認識する認識装置との組み合わせなどにより構成される。搭乗者検出部32−1は、運転席またはその付近に設けられ、搭乗者検出部32−2は、助手席またはその付近に設けられ、搭乗者検出部32−3は、右側の後部座席またはその付近に設けられ、搭乗者検出部32−4は、左側の後部座席またはその付近に設けられる。搭乗者検出部32−1乃至32−4は、それぞれ設置された座席付近の搭乗者の有無を検出し、検出結果を示す情報を、車内ネットワーク41を介して、車載リーダライタ31に供給する。
なお、以下、搭乗者検出部32−1乃至32−4を個々に区別する必要がない場合、単に、搭乗者検出部32と称する。
通信部33は、所定の方式の無線通信により、ネットワーク14に接続して、ネットワーク14に接続されているサーバ13と通信を行う。通信部33の通信には、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11(802.11a,802.11b,802.11gなど)により規定される無線LAN(Local Area Network)の規格、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、PIAFS(Personal Handyphone System Internet Access Forum Standard)などの携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)の通信規格、Bluetooth(商標)などの規格を適用することができる。また、通信部33は、車内ネットワーク41を介して、車載システム11の各部と各種の情報の送受信を行う。
車両制御部34は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ECU(Electronic Control Unit)などにより構成される。車両制御部34は、図6を参照して後述するように、自車の各種の動作の制御を行う。
カーナビゲーション装置35は、例えば、市販のカーナビゲーション装置により構成され、オーディオ装置36は、例えば、市販の車載用のオーディオ装置により構成される。
図2は、車載リーダライタ31の機能的構成の例を示すブロック図である。車載リーダライタ31は、コントローラ61、アンテナ部62−1乃至62−4、中継部63、および、入力部64を含むように構成される。コントローラ61は、CPU(Central Processing Unit)71、通信制御部72、記憶部73、復調部74、変調部75、発振部76、および、ドライブ77を含むように構成される。CPU71、通信制御部72、記憶部73、および、ドライブ77は、バス81を介して相互に接続されている。
CPU71は、アンテナ部62−1乃至62−4、中継部63、および、復調部74を介して携帯電話機12からコマンドを受信する。また、CPU71は、車内ネットワーク41、通信制御部72およびバス81を介して、搭乗者検出部32−1乃至32−4、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、および、オーディオ装置36と各種の情報の送受信を行う。CPU71は、記憶部73に記憶されているプログラムに従って、取得したコマンドや情報に従った処理を実行する。
また、CPU71は、携帯電話機12に送信するコマンドに対して、所定の処理(例えば、マンチェスタ符号化など)を行った後、変調部75に供給する。さらに、CPU71は、携帯電話機12から送信されたコマンドに対して所定の処理(例えば、マンチェスタ符号化されたデータの復号など)を施す。CPU71は、携帯電話機12から受信したコマンドに含まれる情報を、必要に応じて、バス81、通信制御部72および車内ネットワーク41を介して、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、または、オーディオ装置36に供給したり、バス81を介して、記憶部73に記憶させたりする。
さらに、CPU71は、図5を参照して後述するように、中継部63を介して、アンテナ部62−1乃至62−4の動作を制御する。
通信制御部72は、例えば、SCC(Serial Communications Controller)などにより構成され、車内ネットワーク41を介して、車内ネットワーク41に接続されている各機器と通信を行う。
記憶部73は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリなどにより構成される。記憶部73は、データの処理に必要な情報を予め記憶したり、処理途中のデータを一時的に記憶する。また、記憶部73は、CPU71が使用するプログラムを格納する。
復調部74は、アンテナ部62−1乃至62−4、および、中継部63を介して、携帯電話機12から受信した変調波(例えば、ASK変調波)を復調し、復調したデータ(コマンド)をCPU71に出力する。
変調部75は、発振部76より供給される所定の周波数(例えば13.56MHz)の搬送波を、CPU71より供給されるデータ(コマンド)に基づいて変調(例えば、ASK変調)し、生成された変調波を、中継部63、および、アンテナ部62−1乃至62−4を介して、電磁波として携帯電話機12に出力する。
ドライブ77は、必要に応じてバス81に接続される。ドライブ77は、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア78が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて、バス81を介して記憶部73に転送され、記憶される。
アンテナ部62−1は、運転席用のアンテナ部であり、自車の運転席付近に設けられる。図3は、アンテナ部62−1の構成の例を模式的に示す図である。なお、図3は、運転席が右側に設けられている(いわゆる、右ハンドルの)車両の運転席から正面方向を見た図を示しており、図の上下方向は車両の上下方向と一致し、図内の左右方向は車両の左右方向と一致する。
アンテナ部62−1は、アンテナ101−1、シャフト102−1、および、モータ103−1を含むように構成される。
モータ103−1は、例えば、運転席の窓111付近において図示せぬダッシュボードに設置される。モータ103−1は、CPU71の制御の基に、シャフト102−1を左回りまたは右回りに回転させ、アンテナ101−1を実線で示される位置(以下、車内通信位置とも称する)または点線で示される位置(以下、車外通信位置とも称する)に移動させる。
アンテナ101−1が車内通信位置にある場合、運転席から携帯電話機12をアンテナ101−1に翳す(近接させる)のが容易になり、車外から携帯電話機12をアンテナ101−1に翳す(近接させる)のは困難になる。一方、アンテナ101−1が車外通信位置にある場合、自車の外の運転席側から、例えば、図3の運転席の窓111の右側から、携帯電話機12をアンテナ101−1に翳す(近接させる)のが容易になる。
なお、図示は省略するが、アンテナ部62−2乃至62−4も、アンテナ部62−1と同様の構成を有している。すなわち、アンテナ部62−2は、アンテナ101−2、シャフト102−2、および、モータ103−2を含むように構成され、アンテナ部62−3は、アンテナ101−3、シャフト102−3、および、モータ103−3を含むように構成され、アンテナ部62−4は、アンテナ101−4、シャフト102−4、および、モータ103−4を含むように構成される。
アンテナ部62−2は、助手席用のアンテナ部であり、自車の助手席付近に設けられる。アンテナ部62−2のモータ103−2は、CPU71の制御の基に、シャフト102−2を左回りまたは右回りに回転させ、助手席から携帯電話機12を翳す(近接させる)のが容易で、車外から携帯電話機12を翳す(近接させる)のが困難な位置(車内通信位置)、または、自車の外の助手席側から、携帯電話機12を翳す(近接させる)のが容易な位置(車外通信位置)に、アンテナ101−2の位置を切替える。
アンテナ部62−3は、右側の後部座席用のアンテナ部であり、自車の右側の後部座席付近に設けられる。アンテナ部62−3のモータ103−3は、CPU71の制御の基に、シャフト102−3を左回りまたは右回りに回転させ、右側の後部座席から携帯電話機12を翳す(近接させる)のが容易で、車外から携帯電話機12を翳す(近接させる)のが困難な位置(車内通信位置)、または、自車の外の右側の後部座席側から、携帯電話機12を翳す(近接させる)のが容易な位置(車外通信位置)に、アンテナ101−3の位置を切替える。
アンテナ部62−4は、左側の後部座席用のアンテナ部であり、自車の左側の後部座席付近に設けられる。アンテナ部62−4のモータ103−4は、CPU71の制御の基に、シャフト102−4を左回りまたは右回りに回転させ、左側の後部座席から携帯電話機12を翳す(近接させる)のが容易で、車外から携帯電話機12を翳す(近接させる)のが困難な位置(車内通信位置)、または、自車の外の左側の後部座席側から、携帯電話機12を翳す(近接させる)のが容易な位置(車外通信位置)に、アンテナ101−4の位置を切替える。
なお、以下、アンテナ部62−1乃至62−4を個々に区別する必要がない場合、単にアンテナ部62と称し、アンテナ101−1乃至101−4を個々に区別する必要がない場合、単にアンテナ101と称し、シャフト102−1乃至102−4を個々に区別する必要がない場合、単にシャフト102と称し、モータ103−1乃至103−4を個々に区別する必要がない場合、単にモータ103と称する。
また、以下、各アンテナ101について、該アンテナ101が車内通信位置にある状態を車内通信状態と称し、車外通信位置にある状態を車外通信状態と称する。すなわち、車内の各座席について、車内の該座席から携帯電話機12をアンテナ101に近接させて近接通信を行うのに好適な状態が車内通信状態であり、自車の外の該座席側から携帯電話機12をアンテナ101に近接させて近接通信を行うのに好適な状態が車外通信状態である。
図2に戻り、中継部63は、アンテナ部62−1乃至62−4と、CPU71、復調部74、および、変調部75との間の通信の中継を行う。具体的には、例えば、中継部63は、変調部75から供給される変調波を、携帯電話機12との通信に用いられているアンテナ101に供給する。また、例えば、中継部63は、アンテナ101から供給されてきた変調波を復調部74に供給する。
さらに、例えば、中継部63は、車載リーダライタ31と携帯電話機12との間で通信が行われている場合、携帯電話機12との通信に用いられているアンテナ101を示す情報、すなわち、アンテナ101−1乃至101−4のうちどのアンテナ101が携帯電話機12との通信に用いられているかを示す情報をCPU71に供給する。また、例えば、中継部63は、CPU71から供給されるアンテナ部62への制御信号を、制御対象となるアンテナ部62に供給する。
入力部64は、例えば、キーボード、マウス、スイッチ、ボタンなどにより構成され、ユーザが車載リーダライタ31に各種の指令やデータなどを入力するとき操作される。
図4は、車載リーダライタ31のコントローラ61のCPU71が所定のプログラムを実行することにより実現される機能の構成の例を示すブロック図である。CPU71が所定のプログラムを実行することにより、搭乗者監視部151、状態制御部152、省電力モード制御部153、および、通信処理部154を含む機能が実現される。
搭乗者監視部151は、車内ネットワーク41、通信制御部72、および、バス81を介して、搭乗者検出部32−1乃至32−4から搭乗者の検出結果を示す情報を取得する。搭乗者監視部151は、搭乗者検出部32−1乃至32−4による検出結果に基づいて、自車の各座席付近の搭乗者の存在を監視し、監視結果を示す情報を状態制御部152に供給する。
状態制御部152は、図5を参照して後述するように、搭乗者監視部151からの情報に基づいて、中継部63を介して、各アンテナ部62の各アンテナ101の状態(車内通信状態または車外通信状態)を制御する。状態制御部152は、各アンテナ101の状態を示す情報を省電力モード制御部153および通信処理部154に供給する。
また、状態制御部152は、入力部64を介してユーザにより入力される指令に基づいて、運転席連動モードのオン/オフの設定を切換える。運転席連動モードとは、運転席用のアンテナ101−1が車内通信状態に切り替わったとき、それに合わせて、他の座席用のアンテナ101−2乃至101−4も車内通信状態に切換えるモードである。
省電力モード制御部153は、図5を参照して後述するように、各アンテナ101の状態に応じて、各アンテナ101の省電力モードのオン/オフを制御する。
通信処理部154は、アンテナ101−1乃至101−4、中継部63、および、復調部74または変調部75を介して、携帯電話機12と通信を行うことにより、携帯電話機12と各種の情報の送受信を行う。また、通信処理部154は、必要に応じて、携帯電話機12に送信する情報を、車内ネットワーク41、通信制御部72、および、バス81を介して、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、または、オーディオ装置36から取得したり、バス81を介して、記憶部73から読み出したりする。
また、通信処理部154は、携帯電話機12との通信に用いられているアンテナ101を示す情報を中継部63から取得する。さらに、通信処理部154は、必要に応じて、携帯電話機12から受信した情報を、どの座席用のアンテナ101を介して携帯電話機12と通信したか、および、車内通信状態または車外通信状態のどちらの状態で通信したかを示す情報(以下、受信アンテナ情報とも称する)とともに、バス81、通信制御部72、および、車内ネットワーク41を介して、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、または、オーディオ装置36に供給する。すなわち、受信アンテナ情報は、携帯電話機12から受信した情報がどの座席用のアンテナ101を介して受信した情報であるか、および、前記車内通信状態または前記車外通信状態のどちらの状態で受信した情報であるかを示している。
さらに、通信処理部154は、必要に応じて、携帯電話機12に送信する情報、および、携帯電話機12から受信した情報に各種の処理を施す。
次に、車載システム11の処理について説明する。
まず、図5のフローチャートを参照して、車載リーダライタ31により実行されるアンテナ制御処理について説明する。なお、この処理は、例えば、自車の原動機(例えば、エンジン)が始動しているか否かに関わらず、車載リーダライタ31に電源が供給されているとき常時行われる。
ステップS1において、搭乗者監視部151は、搭乗者検出部32−1乃至32−4からの情報に基づいて、新たに搭乗者が検出された座席があるかを判定する。搭乗者監視部151は、新たに搭乗者が検出された座席があると判定した場合、新たに搭乗者が検出された座席を示す情報を状態制御部152に供給し、処理はステップS2に進む。
ステップS2において、状態制御部152は、新たに搭乗者が検出された座席用のアンテナ101を車内通信状態に設定する。具体的には、状態制御部152は、中継部63を介して、新たに搭乗者が検出された座席用のアンテナ部62のモータ103を制御して、該座席用のアンテナ101を、車内通信位置に移動させる。状態制御部152は、該座席用のアンテナ101が車内通信状態に切替えられたことを示す情報を、省電力モード制御部153、および、通信処理部154に供給する。
ステップS3において、状態制御部152は、運転席用のアンテナ101を車内通信状態に設定したかを判定する。運転席用のアンテナ101を車内通信状態に設定したと判定された場合、処理はステップS4に進む。
ステップS4において、状態制御部152は、運転席連動モードが設定されているかを判定する。運転席連動モードが設定されていると判定された場合、処理はステップS5に進む。
ステップS5において、状態制御部152は、運転席以外の座席用のアンテナ101も車内通信状態に設定する。すなわち、状態制御部152は、運転席以外の全ての座席用のアンテナ部62について、中継部63を介して、該アンテナ部62のモータ103を制御して、アンテナ101を車内通信位置に移動させる。もちろん、アンテナ101の位置がすでに車内通信位置に設定されている座席用のアンテナ部62については、そのままの状態が保たれる。これにより、運転席連動モードが設定されている場合、運転席用のアンテナ101が車内通信状態に設定されるのに連動して、他の座席用のアンテナ101も車内通信状態に設定される。その後、処理はステップS11に進む。
一方、ステップS4において、運転席連動モードに設定されていないと判定された場合、ステップS5の処理はスキップされ、処理はステップS11に進む。
また、ステップS3において、運転席以外の座席用のアンテナ101を車内通信状態に設定したと判定された場合、ステップS4およびステップS5の処理はスキップされ、処理はステップS11に進む。
さらに、ステップS1において、新たに搭乗者が検出された座席がないと判定された場合、処理はステップS6に進む。
ステップS6において、搭乗者監視部151は、搭乗者検出部32−1乃至32−4からの情報に基づいて、搭乗者がいなくなった座席があるかを判定する。搭乗者監視部151は、これまで搭乗者のいた座席において搭乗者がいなくなり、かつ、搭乗者がいない状態が所定の時間継続した場合、搭乗者がいなくなった座席があると判定し、搭乗者がいなくなった座席を示す情報を状態制御部152に供給し、処理はステップS7に進む。
ステップS7において、状態制御部152は、搭乗者監視部151からの情報に基づいて、運転席の搭乗者がいなくなったかを判定する。運転席以外の座席の搭乗者がいなくなったと判定された場合、処理はステップS8に進む。
ステップS8において、ステップS4の処理と同様に、運転席連動モードが設定されているかが判定され、運転席連動モードが設定されていると判定された場合、処理はステップS9に進む。
ステップS9において、状態制御部152は、運転席用のアンテナ101が車内通信状態に設定されているかを判定する。運転席用のアンテナ101が車内通信状態に設定されていないと判定された場合、すなわち、運転席連動モードが設定されているが、運転席用のアンテナ101が車外通信状態に設定されており、運転席連動モードを考慮する必要がない場合、処理はステップS10に進む。
一方、ステップS8において、運転席連動モードが設定されていないと判定された場合、ステップS9の処理はスキップされ、処理はステップS10に進む。
また、ステップS7において、運転席の搭乗者がいなくなったと判定された場合、ステップS8およびステップS9の処理はスキップされ、処理はステップS10に進む。
ステップS10において、状態制御部152は、搭乗者がいなくなった座席用のアンテナ101を車外通信状態に設定する。具体的には、状態制御部152は、中継部63を介して、搭乗者がいなくなった座席用のアンテナ部62のモータ103を制御して、該座席用のアンテナ101を、車外通信位置に移動させる。状態制御部152は、該座席用のアンテナ101が車外通信状態に切替えられたことを示す情報を、省電力モード制御部153、および、通信処理部154に供給する。その後、処理はステップS11に進む。
一方、ステップS9において、運転席用のアンテナ101が車内通信状態に設定されていると判定された場合、ステップS10の処理はスキップされ、処理はステップS11に進む。すなわち、運転席連動モードが設定されており、かつ、運転席用のアンテナ101が車内通信状態に設定されているため、搭乗者がいなくなった座席用のアンテナ101は、車外通信状態に切替えられずに、車内通信状態のままとなる。
また、ステップS6において、搭乗者監視部151は、これまで搭乗者のいた座席において搭乗者がいなくなった座席がない場合、または、搭乗者がいなくなった座席はあるが、搭乗者がいない状態が所定の時間継続していない場合、搭乗者がいなくなった座席がないと判定し、ステップS7乃至S10の処理はスキップされ、処理はステップS11に進む。
これにより、座席から搭乗者がいなくなっても、その座席のアンテナ101はすぐには車外通信状態に切り替えられないため、例えば、搭乗者が一時的に座席を離れる場合などに、アンテナ101の状態が頻繁に切り替えられることが防止される。
ステップS11において、省電力モード制御部153は、車外通信状態に切換えられてから、所定の時間が経過したアンテナ101があるかを判定する。車外通信状態に切換えられてから所定の時間(例えば、10分)が経過したアンテナ101があると判定された場合、処理はステップS12に進む。
ステップS12において、省電力モード制御部153は、該アンテナ101を省電力モードに設定する。例えば、省電力モード制御部153は、車外通信状態になってから所定の時間が経過したアンテナ101について、電波を発信する間隔を所定の間隔より長くし、該アンテナ101の消費電力を低減させる。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
一方、ステップS11において、車外通信状態に切換えられてから所定の時間が経過したアンテナ101がないと判定された場合、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
次に、図6のフローチャートを参照して、車載システム11により実行される車両制御処理について説明する。なお、この処理は、例えば、自車の原動機(例えば、エンジン)が始動していなくても、常時行われる。
ステップS31において、車載リーダライタ31の通信処理部154は、携帯電話機12が検出されたかを判定する。例えば、通信処理部154は、変調部75、中継部63および各アンテナ101を介して、定期的にポーリングコマンドを送信する。携帯電話機12は、各アンテナ101のうちのいずれかに翳され、ポーリングコマンドを受信した場合、受信したポーリングコマンドに対する応答コマンドを送信する。通信処理部154は、携帯電話機12が翳されているアンテナ101、中継部63、および、復調部74を介して、その応答コマンドを受信した場合、携帯電話機12が検出されたと判定し、処理はステップS32に進む。
なお、ステップS31の判定処理は、携帯電話機12が検出されたと判定されるまで、定期的に繰り返し実行される。
ステップS32において、車載リーダライタ31は、携帯電話機12と通信を行う。具体的には、中継部63は、携帯電話機12との通信に用いられているアンテナ101を示す情報を通信処理部154に供給する。通信処理部154は、変調部75、中継部63、および、携帯電話機12が翳されているアンテナ101を介して、携帯電話機12にコマンドを送信したり、携帯電話機12が翳されているアンテナ101、中継部63、復調部74、および、通信処理部154を介して、携帯電話機12からコマンドを受信したりして、携帯電話機12との間で情報の送受信を行う。
このとき、例えば、必要に応じて、車載システム11と携帯電話機12との間で、IDなどを用いた認証処理を行い、車載システム11が、認証処理の結果に応じて以降の処理を制御するようにしてもよい。例えば、認証に成功した場合に以降の処理を行い、認証に失敗した場合に以降の処理を行わないようにするようにすることが考えられる。なお、認証処理において、例えば、携帯電話機12のカメラを用いて撮影した顔画像を用いるようにしてもよい。
また、例えば、ユーザは、必要に応じて、車載システム11に対する指令を携帯電話機12に入力し、携帯電話機12は、その指令を含むコマンドを車載リーダライタ31に送信する。なお、携帯電話機12をアンテナ101に翳す(近接させる)ことにより車載システム11により実行される処理が固定されている場合、必ずしも車載システム11に対する指令を入力する必要はない。
ステップS33において、通信処理部154は、受信した情報を出力する。具体的には、通信処理部154は、必要に応じて、携帯電話機12から受信した情報を、バス81を介して記憶部73に供給し、記憶させる。また、通信処理部154は、必要に応じて、携帯電話機12から受信した情報、および、受信アンテナ情報を、バス81、通信制御部72、および、車内ネットワーク41を介して、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、または、オーディオ装置36に供給する。
なお、このとき、通信処理部154は、携帯電話機12からの情報に対して必要な処理を施してから出力する。
ステップS34において、車載システム11は、受信した情報に対応した処理を行う。すなわち、車載システム11の各部は、携帯電話機12から取得した情報により示されるユーザの指令、並びに、受信アンテナ情報に基づいて、自車の動作を制御する。
例えば、車外通信状態のアンテナ101に携帯電話機12が翳され、そのアンテナ101を介して、ユーザからの指令が入力された場合、以下のような処理を行うことが考えられる。
例えば、車両制御部34は、ユーザからの指令を受信したアンテナ101が設けられている座席のドアロックの開閉、スライドドアの開閉、窓の開閉などを行う。
また、例えば、車両制御部34は、自車のボンネットの開放、ヘッドライトの消灯、電動ドアミラーの収納、パーキングブレーキまたはパーキングポジションの解除などを行う。
さらに、例えば、車両制御部34は、車内ネットワーク41、通信制御部72、バス81、通信処理部154、変調部75、中継部63、および、アンテナ101を介して、自車の状態や運転環境を示す情報(例えば、走行距離、燃費、燃料の残量、シートポジション、エアコンディショナー(いわゆる、エアコン)の設定温度など)を携帯電話機12に送信する。
また、例えば、カーナビゲーション装置35は、車内ネットワーク41、通信制御部72、バス81、通信処理部154、変調部75、中継部63、および、アンテナ101を介して、自車の位置情報を携帯電話機12に送信する。
さらに、例えば、オーディオ装置36は、車内ネットワーク41、通信制御部72、バス81、通信処理部154、変調部75、中継部63、および、アンテナ101を介して、記憶している音楽データや映像データを携帯電話機12に送信する。
また、例えば、車両制御部34は、携帯電話機12のキーなどを操作して携帯電話機12に入力されたメッセージを受信し、自車の表示装置に表示させたり、スピーカなどから音声として出力させたりする。これにより、例えば、乗車時に確認すべき情報を予め車両に設定しておいたり、複数のユーザ間で車両を介したメッセージの交換を行ったりすることができる。
さらに、例えば、自車の外側に充電器が設けられている場合、車両制御部34は、認証処理の結果に応じて、携帯電話機12の充電を可能にする。
また、車車間通信を行う場合、例えば、通信を行う各車両のアンテナに携帯電話機12を翳すことにより、通信相手を特定し、結びつけるためのID情報を通信部33に設定し、車車間通信を確立させる。
一方、車内通信状態のアンテナ101に携帯電話機12が翳され、そのアンテナ101を介して、ユーザからの指令が入力された場合、以下のような処理を行うことが考えられる。
例えば、通信処理部154は、車内ネットワーク41、通信部33、および、ネットワーク14を介して、サーバ13との間で、各種の決済処理(例えば、通行料の支払い、駐車料金の支払い、自動車保険の支払いなど)を行う。なお、この場合、例えば、携帯電話機12の電子マネーの機能を利用することが可能である。
また、例えば、車両制御部34は、自車の運転環境(例えば、シートポジション、エアコンの設定温度など)の調整を行う。
さらに、例えば、車両制御部34は、車内ネットワーク41、通信制御部72、バス81、通信処理部154、変調部75、中継部63、および、アンテナ101を介して、自車の状態や運転環境を示す情報を携帯電話機12に送信する。
さらに、例えば、オーディオ装置36は、車内ネットワーク41、通信制御部72、バス81、通信処理部154、変調部75、中継部63、および、アンテナ101を介して、携帯電話機12との間で音楽データや映像データの送受信を行う。
また、例えば、通信部33は、車内ネットワーク41、通信制御部72、バス81、通信処理部154、変調部75、中継部63、および、アンテナ101を介して、携帯電話機12との間で、メールの転送を行う。
さらに、例えば、車両制御部34は、アンテナ101が車内通信状態になっている座席用のドアのドアロックを自車の外側から(例えば、ドアハンドル付近に設けられているスイッチなどを用いて)開閉できないようにする。
なお、車外通信状態または車内通信状態に関わらず、自車から携帯電話機12に送信された情報やデータは、例えば、画面に表示するなど携帯電話機12自身で使用したり、インターネットなどのネットワークを介して、各種のサービスを提供するサーバ等に携帯電話機12からさらに転送したりすることが可能である。
また、ドアロックの開閉、スライドドアの開閉、窓の開閉以外の処理は、例えば、ユーザからの指令を受信したアンテナ101が運転席用のアンテナである場合のみに行うようにすることも可能である。
その後、処理はステップS31に戻り、ステップS31以降の処理が実行される。
以上のようにして、車内の各座席について、搭乗者の有無に基づいて、各アンテナ101の状態が車内通信状態または車外通信状態に適切に切換えられるので、ユーザは、車載システム11が提供する車両用非接触ICカード機能を、車内からも車外からも利用しやすくなる。
また、搭乗者がいる座席については、アンテナ101が車内通信状態になるため、車外から携帯電話機12を翳して、車載システム11が提供する車両用非接触ICカード機能を利用することが困難になる。従って、車内に搭乗者いる場合に、車外から利用されると不都合がある機能(例えば、ドアの開閉など)が利用されることが防止され、搭乗者の安全性や情報の漏洩等を防止することができる。
さらに、車載リーダライタ31からは、携帯電話機12から受信した情報とともに、受信アンテナ情報が出力される。従って、上述したように、後段の装置(例えば、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、および、オーディオ装置36)は、携帯電話機12から情報を受信したアンテナ101、および、そのアンテナ101の状態に従って、実行するアプリケーションを切換えることができ、ユーザの利便性が向上する。
また、車載リーダライタ31は、自車のバッテリを電源として動作することが想定されるため、自車が停車し、バッテリの充電が行われていないときには、車載リーダライタ31の消費電力を抑制するようにすることが望ましい。従って、上述したように車外通信状態になっている場合に自動的に省電力モードに設定されることにより、車両が停止しているときに、バッテリの電力が消費され、車両のバッテリのパワーが低下し、いわゆるバッテリが上がってしまうことを防止することが可能となる。
なお、以上の説明では、各座席のアンテナを機械的に動かすことにより、車内通信状態と車外通信状態を切換える例を示したが、各座席に車内用のアンテナと車外用のアンテナの2種類のアンテナを設けて、使用するアンテナを切換えることにより、車内通信状態と車外通信状態を切換えるようにしてもよい。
ここで、図7乃至図9を参照して、各座席に車内用のアンテナと車外用のアンテナの2種類のアンテナを設けて、使用するアンテナを切換えることにより、車内通信状態と車外通信状態を切換えるようにした車載リーダライタ31の実施の形態(第2の実施の形態)について説明する。
図7は、車載リーダライタ31の第2の実施の形態を示すブロック図である。なお、図中、図2と対応する部分については同じ符号を付してあり、処理が同じ部分に関しては、その説明は繰り返しになるので省略する。
図7の車載リーダライタ31は、コントローラ61、入力部64、アンテナ201−1A乃至201−4B、および、スイッチ202を含むように構成される。コントローラ61は、CPU71、通信制御部72、記憶部73、復調部74、変調部75、発振部76、および、ドライブ77を含むように構成される。CPU71、通信制御部72、記憶部73、および、ドライブ77は、バス81を介して相互に接続されている。
アンテナ201−1Aおよび201−1Bは、運転席用のアンテナであり、自車の運転席付近に設置される。そのうち、アンテナ201−1Aは、車内用のアンテナであり、携帯電話機12を運転席から翳す(近接させる)のが容易で、車外から翳す(近接させる)のが困難な位置(車内通信位置)に設置される。アンテナ201−1Bは、車外用のアンテナであり、携帯電話機12を自車の外の運転席側から翳す(近接させる)のが容易な位置(車外通信位置)に設置される。従って、運転席については、アンテナ201−1Aがオンされ、アンテナ201−1Bがオフされている状態が車内通信状態であり、アンテナ201−1Bがオンされ、アンテナ201−1Aがオフされている状態が車外通信状態である。
アンテナ201−2Aおよび201−2Bは、助手席用のアンテナであり、自車の助手席付近に設置される。そのうち、アンテナ201−2Aは、車内用のアンテナであり、携帯電話機12を助手席から翳す(近接させる)のが容易で、車外から翳す(近接させる)のが困難な位置(車内通信位置)に設置される。アンテナ201−2Bは、車外用のアンテナであり、携帯電話機12を自車の外の助手席側から翳す(近接させる)のが容易な位置(車外通信位置)に設置される。従って、助手席については、アンテナ201−2Aがオンされ、アンテナ201−2Bがオフされている状態が車内通信状態であり、アンテナ201−2Bがオンされ、アンテナ201−2Aがオフされている状態が車外通信状態である。
アンテナ201−3Aおよび201−3Bは、右側の後部座席用のアンテナであり、自車の右側の後部座席付近に設置される。そのうち、アンテナ201−3Aは、車内用のアンテナであり、携帯電話機12を右側の後部座席から翳す(近接させる)のが容易で、車外から翳す(近接させる)のが困難な位置(車内通信位置)に設置される。アンテナ201−3Bは、車外用のアンテナであり、携帯電話機12を自車の外の右側の後部座席側から翳す(近接させる)のが容易な位置(車外通信位置)に設置される。従って、右側の後部座席については、アンテナ201−3Aがオンされ、アンテナ201−3Bがオフされている状態が車内通信状態であり、アンテナ201−3Bがオンされ、アンテナ201−3Aがオフされている状態が車外通信状態である。
アンテナ201−4Aおよび201−4Bは、左側の後部座席用のアンテナであり、自車の左側の後部座席付近に設置される。そのうち、アンテナ201−4Aは、車内用のアンテナであり、携帯電話機12を左側の後部座席から翳す(近接させる)のが容易で、車外から翳す(近接させる)のが困難な位置(車内通信位置)に設置される。アンテナ201−4Bは、車外用のアンテナであり、携帯電話機12を自車の外の左側の後部座席側から翳す(近接させる)のが容易な位置(車外通信位置)に設置される。従って、左側の後部座席については、アンテナ201−4Aがオンされ、アンテナ201−4Bがオフされている状態が車内通信状態であり、アンテナ201−4Bがオンされ、アンテナ201−4Aがオフされている状態が車外通信状態である。
なお、以下、アンテナ201−1A乃至201−4Bを個々に区別する必要がない場合、単に、アンテナ201と称する。
また、アンテナ201がオンされている状態とは、アンテナ201が使用可能な状態であり、携帯電話機12を翳す(近接させる)ことにより、そのアンテナ201を介して、携帯電話機12と車載リーダライタ31との間の通信ができる状態である。例えば、そのアンテナ201から定期的に電波が発信されている状態が、アンテナ201がオンされている状態である。逆に、アンテナ201がオフされている状態とは、アンテナ201を使用できない状態であり、携帯電話機12を翳しても、そのアンテナ201を介して、携帯電話機12と車載リーダライタ31との間の通信ができない状態である。例えば、そのアンテナ201から電波が発信されていない状態が、アンテナ201がオフされている状態である。
スイッチ202は、CPU71の制御の基に、各アンテナ201のオン/オフを制御する。また、スイッチ202は、アンテナ201−1A乃至201−4Bと、CPU71、復調部74、および、変調部75との間の中継を行う。具体的には、例えば、スイッチ202は、変調部75から供給される変調波を、携帯電話機12との通信に用いられているアンテナ201に供給する。また、例えば、スイッチ202は、アンテナ201から供給されてきた変調波を復調部74に供給する。
さらに、例えば、スイッチ202は、車載リーダライタ31と携帯電話機12との間で通信が行われている場合、携帯電話機12との通信に用いられているアンテナ201を示す情報、すなわち、アンテナ201−1A乃至201−4Bのうちどのアンテナ201が携帯電話機12との通信に用いられているかを示す情報をCPU71に供給する。また、例えば、スイッチ202は、CPU71から供給されるアンテナ201への制御信号を、制御対象となるアンテナ201に供給する。
なお、スイッチ202は、ハードウエアにより構成するようにしてもよいし、ソフトウエアにより構成するようにしてもよい。
図8は、図7の車載リーダライタ31のコントローラ61のCPU71が所定のプログラムを実行することにより実現される機能の構成の例を示すブロック図である。なお、図中、図4と対応する部分については下2桁が同じ符号を付してあり、処理が同じ部分に関しては、その説明は繰り返しになるので省略する。
CPU71が所定のプログラムを実行することにより、搭乗者監視部251、状態制御部252、省電力モード制御部253、および、通信処理部254を含む機能が実現される。
状態制御部252は、搭乗者監視部251からの情報に基づいて、スイッチ202を介して、各アンテナ201のオン/オフを制御する。状態制御部252は、各アンテナ201の状態を示す情報を省電力モード制御部253および通信処理部254に供給する。また、状態制御部252は、入力部64を介してユーザにより入力される指令に基づいて、運転席連動モードのオン/オフの設定を切換える。
省電力モード制御部253は、車外用のアンテナ201、すなわち、アンテナ201−1B、201−2B、201−3B、および、201−4Bの状態に応じて、車外用の各アンテナ201の省電力モードのオン/オフを制御する。
通信処理部254は、アンテナ201−1A乃至201−4B、スイッチ202、および、復調部74または変調部75を介して、携帯電話機12との間の通信処理を行うことにより、携帯電話機12との間で各種の情報の送受信を行う。また、通信処理部254は、必要に応じて、携帯電話機12に送信する情報を、車内ネットワーク41、通信制御部72、および、バス81を介して、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、または、オーディオ装置36から取得したり、バス81を介して、記憶部73から読み出したりする。
また、通信処理部254は、携帯電話機12との通信に用いられているアンテナ201を示す情報をスイッチ202から取得する。通信処理部254は、必要に応じて、携帯電話機12から受信した情報を、受信アンテナ情報とともに、バス81、通信制御部72、および、車内ネットワーク41を介して、通信部33、車両制御部34、カーナビゲーション装置35、または、オーディオ装置36に供給する。
さらに、通信処理部254は、必要に応じて、携帯電話機12に送信する情報、および、携帯電話機12から受信した情報に各種の処理を施す。
次に、第2の実施の形態の車載リーダライタ31を用いた車載システム11の処理について説明する。
まず、図9のフローチャートを参照して、第2の実施の形態の車載リーダライタ31により実行されるアンテナ制御処理について説明する。なお、この処理は、例えば、自車の原動機(例えば、エンジン)が始動しているか否かに関わらず、車載リーダライタ31に電源が供給されているとき常時行われる。
ステップS51において、搭乗者監視部251は、搭乗者検出部32−1乃至32−4からの情報に基づいて、新たに搭乗者が検出された座席があるかを判定する。搭乗者監視部251は、新たに搭乗者が検出された座席があると判定した場合、新たに搭乗者が検出された座席を示す情報を状態制御部252に供給し、処理はステップS52に進む。
ステップS52において、状態制御部252は、新たに搭乗者が検出された座席用のアンテナ201を車内使用状態に設定する。具体的には、状態制御部252は、スイッチ202を制御して、新たに搭乗者が検出された座席用のアンテナ201のうち、車内用のアンテナ201をオンにし、車外用のアンテナ201をオフにする。状態制御部252は、該座席用のアンテナ201が車内通信状態に切替えられたことを示す情報を、省電力モード制御部253、および、通信処理部254に供給する。
ステップS53において、図5のステップS3の処理と同様に、運転席用のアンテナ201を車内通信状態に設定したかが判定され、運転席用のアンテナ201を車内通信状態に設定したと判定された場合、処理はステップS54に進む。
ステップS54において、図5のステップS4の処理と同様に、運転席連動モードが設定されているかが判定され、運転席連動モードが設定されていると判定された場合、処理はステップS55に進む。
ステップS55において、状態制御部252は、運転席以外の座席用のアンテナ201も車内通信状態に設定する。すなわち、状態制御部252は、スイッチ202を制御して、運転席以外の全ての座席について、車内用のアンテナ201をオンにし、車外用のアンテナ201をオフにする。もちろん、すでに車内用のアンテナ201がオンになり、車外用のアンテナ201がオフになっている座席については、そのままの状態が保たれる。その後、処理はステップS61に進む。
一方、ステップS54において、運転席連動モードに設定されていないと判定された場合、ステップS55の処理はスキップされ、処理はステップS61に進む。
また、ステップS53において、運転席以外の座席用のアンテナ201を車内通信状態に設定したと判定された場合、ステップS54およびステップS55の処理はスキップされ、処理はステップS61に進む。
さらに、ステップS51において、新たに搭乗者が検出された座席がないと判定された場合、処理はステップS56に進む。
ステップS56において、搭乗者監視部251は、搭乗者検出部32−1乃至32−4からの情報に基づいて、搭乗者がいなくなった座席があるかを判定する。搭乗者監視部251は、これまで搭乗者のいた座席の中で搭乗者がいなくなった座席があると判定した場合、搭乗者がいなくなった座席を示す情報を状態制御部252に供給し、処理はステップS57に進む。
ステップS57において、図5のステップS7の処理と同様に、運転席の搭乗者がいなくなったかが判定され、運転席以外の座席の搭乗者がいなくなったと判定された場合、処理はステップS58に進む。
ステップS58において、ステップS54の処理と同様に、運転席連動モードが設定されているかが判定され、運転席連動モードが設定されていると判定された場合、処理はステップS59に進む。
ステップS59において、図5のステップS9の処理と同様に、運転席用のアンテナ201が車内通信状態に設定されているかが判定され、運転席用のアンテナ201が車内通信状態に設定されていないと判定された場合、処理はステップS60に進む。
一方、ステップS58において、運転席連動モードが設定されていないと判定された場合、ステップS59の処理はスキップされ、処理はステップS60に進む。
また、ステップS57において、運転席の搭乗者がいなくなったと判定された場合、ステップS58およびステップS59の処理はスキップされ、処理はステップS60に進む。
ステップS60において、状態制御部252は、搭乗者がいなくなった座席用のアンテナ201を車外通信状態に設定する。具体的には、状態制御部252は、スイッチ202を制御して、搭乗者がいなくなった座席用のアンテナ201のうち、車外用のアンテナ201をオンにし、車内用のアンテナ201をオフにする。状態制御部252は、該座席用のアンテナ201が車外通信状態に切替えられたことを示す情報を、省電力モード制御部253、および、通信処理部254に供給する。その後、処理はステップS61に進む。
一方、ステップS59において、運転席用のアンテナ201が車内通信状態に設定されていると判定された場合、ステップS60の処理はスキップされ、処理はステップS61に進む。
また、ステップS56において、搭乗者がいなくなった座席がないと判定された場合、ステップS57乃至S60の処理はスキップされ、処理はステップS61に進む。
ステップS61において、省電力モード制御部253は、オンになってから所定の時間が経過したアンテナ201があるかを判定する。オンになってから所定の時間(例えば、10分)が経過した車外用のアンテナ201があると判定された場合、処理はステップS62に進む。
ステップS62において、図5のステップS12の処理と同様に、該アンテナ201が省電力モードに設定される。その後、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
一方、ステップS61において、オンになってから所定の時間が経過したアンテナ201がないと判定された場合、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
なお、第2の実施の形態の車載リーダライタ31を用いた車載システム11により実行される車両制御処理は、図6を参照して上述した処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
以上のように、本発明の第2の実施の形態においては、アンテナ201が機械的に移動しないため、アンテナ201が搭乗者の邪魔になったり、駆動部分の故障によりアンテナ201の状態を変更できなくなることが防止される。
また、各座席について、車内用と車外用のアンテナ201の2つのアンテナが設けられるが、オンになるのは一方のみであり、両方が同時にオンになることがないため、処理を単純化することができ、ソフトウエアの規模および負荷を低減できる。また、消費電力を低減することができる。
なお、以上の説明では、車内の各座席にアンテナを設ける例を示したが、必ずしも各座席にアンテナを設ける必要はなく、運転席など、必要な座席にのみアンテナを設けるようにすればよい。なお、アンテナが設けられている座席が1つのみの場合、どの座席用のアンテナを介して携帯電話機12と通信したかを示す情報を受信アンテナ情報に含める必要はない。
また、以上の説明では、運転席、助手席、左右の後部座席が設けられている車両について説明したが、もちろん、本発明は、それ以外の座席構成の車両に車載システム11を設ける場合にも適用することが可能である。その場合、座席の増減に合わせて、アンテナの数や設置位置は適宜変更される。
また、以上の説明では、本発明の第2の実施の形態において、各座席に2台ずつアンテナを設ける例を示したが、3台以上設けるようにしたり、車内通信状態と車外通信状態とを切替える必要がない座席については、1台のみ設けるようにしてもよい。
さらに、携帯電話機12から情報を受信したアンテナ、および、そのアンテナの状態のみに基づいて、車載リーダライタ31の後段の装置において実行される処理が制御され、ユーザからの指令は特に必要ない場合、車載リーダライタ31から受信アンテナ情報のみを出力するようにしてもよい。
さらに、例えば、車内でしか車両用非接触ICカード機能を使用しない座席、または、車外からしか車両用非接触ICカード機能を使用しない座席がある場合、それらの座席については、アンテナの状態を車内通信状態または車外通信状態に固定するようにしてもよい。例えば、2ドアの車両については、後部座席については、ドアロックの解除を行う必要がないため、車内からしか車両用非接触ICカード機能を使用しないことが想定される。
また、以上の説明では、運転席のアンテナの状態に他のアンテナの状態が連動する運転席モードについて説明したが、運転席以外の座席に連動するモードを設けることも可能である。
さらに、車内の座席のうちどの座席用のアンテナが車内通信状態に設定されても、他の全ての座席用のアンテナを連動して車内通信状態に設定するようにするモードを設けることも可能である。
また、以上の説明では、運転席連動モードに設定されている場合、運転席用のアンテナが車内通信状態に設定されたときのみ、連動して他の座席用のアンテナが車内通信状態に設定される例を示したが、運転席用のアンテナが車外通信状態に設定されたときにも、連動して他の座席用のアンテナが車外通信状態に設定されるようにしてもよい。
さらに、搭乗者が検出されている座席についても、その座席のドアハンドルが外部から握られた場合、一時的に、その座席用のアンテナを車内通信状態から車外通信状態に切換えるようにしてもよい。
なお、上述したように、自車が停車しており、バッテリの充電が行われていないときには、車載リーダライタ31の消費電力を抑制するようにすることが望ましい。この対策として、例えば、消費電力が少ないセンサを用いて、携帯電話機、または、人を検出するようにして、携帯電話機または人を検出した場合に、車載リーダライタ31を起動するようにしてもよい。消費電力が少ないセンサとは、例えば、静電容量式の物体センサや、電波をインパルスで発射して反射波で検出する物体センサであり、車載リーダライタ31の待受け時より消費電力が少ないセンサである。これにより、消費電力の抑制が可能となる。
また、非接触ICカードの通信より消費電力が少ない通信方式を利用して、携帯電話機から送信されてくる電波を受信する受信装置を車載リーダライタ31に設け、通常は車載リーダライタ31の非接触ICカードの近接通信の機能に関わる部分の電源をオフにしておき、携帯電話機から電波を受信したとき、非接触ICカードの近接通信の機能に関わる部分の電源をオンにして、近接通信を行うようにしてもよい。
さらに、以上の説明では、車両用非接触ICカード機能を利用するための端末として、携帯電話機を例に挙げたが、本発明の実施の形態では、携帯電話機以外の非接触ICカードの機能を有する機器を利用端末として用いることが可能である。
また、本発明の第2の実施の形態において、車外用のアンテナを、車両ではなく、無線通信、電力線通信を介した先に設置することが考えられる。例えば、自宅に駐車した車両の充電用のケーブルを家庭用電源に差込み、電力線通信により自宅内のコンピュータと車両との間の通信が確立している場合、コンピュータに設置されたリーダライタのアンテナに携帯電話機12を翳すことにより、車両に設けられている車外用のアンテナに翳す場合と同様の処理を行うようにすることが考えられる。
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置、手段などより構成される全体的な装置を意味するものとする。
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。