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JP5291883B2 - トレッド用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

トレッド用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ Download PDF

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JP5291883B2 JP2007024549A JP2007024549A JP5291883B2 JP 5291883 B2 JP5291883 B2 JP 5291883B2 JP 2007024549 A JP2007024549 A JP 2007024549A JP 2007024549 A JP2007024549 A JP 2007024549A JP 5291883 B2 JP5291883 B2 JP 5291883B2
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Description

本発明は、トレッド用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関し、特にタイヤの操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗を大幅に低減することが可能で、加工性の良好なタイヤのトレッド用ゴム組成物に関するものである。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が更に強まりつつあることに加え、自動車の運転時の安全性を更に向上させるために、タイヤの転がり抵抗を大幅に低減しつつ、制動性を大幅に向上させる技術が必要となっている。これに対して、ゴム組成物に使用される多数の充填剤の中でも、シリカは、タイヤの転がり抵抗を低くでき、且つタイヤの湿潤路面での制動性を改善できることが知られている。
上記シリカを配合したゴム組成物において、タイヤの転がり抵抗を更に低減する方法としては、充填剤の配合量を低減する手法が知られているが、充填剤の配合量を減らすと、ゴム組成物の弾性率が低下するため、かかるゴム組成物をタイヤのトレッドに用いると、タイヤの操縦安定性が悪化してしまう問題がある。
また、トレッドに用いるゴム組成物のゴム成分のガラス転移温度を下げることで、タイヤの転がり抵抗を低減できることが知られているが、この場合、同時にタイヤの湿潤路面での制動性が悪化してしまう問題がある。
更に、近年、ポリマーの末端をシランカップリング剤と反応し易くした変性ポリマーが開発されているが、該変性ポリマーをゴム組成物のゴム成分として用いると、ゴム組成物の弾性率が低下して、タイヤの操縦安定性が悪化してしまう問題がある。
また更に、シリカと共に、特定構造のシランカップリング剤(特表2001−505225号参照)を配合することで、ゴム成分とシランカップリング剤とのゲル化を抑制して、ゴム組成物の加工性が向上すると共に、シリカのゴム成分への分散性が改良されて、ゴム組成物が低ヒステリシスロス化することが知られているが、この場合、同時にゴム組成物の弾性率が低下して、タイヤの操縦安定性が悪化してしまう問題がある。
一方、特定の重量平均分子量を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体をゴム組成物に配合することで、アロマオイル等の軟化剤を配合したゴム組成物に比べて、高温域でのヒステリシスロスを損なうことなく、ゴム組成物の弾性率を向上させ、更にゴム組成物の加工性を維持できることが知られている。
特表2001−505225号公報
このような状況下、本発明の目的は、上記従来技術において背反していた操縦安定性、転がり抵抗、加工性を高次元で両立可能なトレッド用ゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、シリカ配合ゴム組成物に、特定構造の硫黄含有シラン化合物を特定量配合した上、更に特定の芳香族ビニル化合物量、ビニル結合量及び重量平均分子量を有する比較的低分子量の芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体を特定量配合してゴム組成物を調製し、該ゴム組成物をタイヤのトレッドに適用することで、タイヤの操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗を大幅に低減することが可能で、加工性が良好なゴム組成物が得られ
ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のトレッド用ゴム組成物は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの内の少なくとも一種からなるゴム成分(A)100質量部に対して、
シリカ(B)20〜150質量部と、
下記式(I):
Si−R−S−CO−R・・・ (I)
[式中、Rは、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−及び−(OSiR)(OSiR)から選択され且つ炭素数が1〜18であり(但し、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され且つ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である);
は、水素、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され;
は、−[O(R O) ]−基(但し、Rは、アルキレン基及びシクロアルキレン基から選択され且つ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である)であり;
x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1であり;
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基から選択され且つ炭素数が1〜18であり;
は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択され且つ炭素数が1〜18である]で表される硫黄含有シラン化合物(C)1〜30質量部と、
芳香族ビニル化合物量が0〜80質量%で、共役ジエン化合物部分のビニル結合量が0〜80質量%で、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜500,000である芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)2〜70質量部とを配合してなることを特徴とし、また、本発明のタイヤは、該トレッド用ゴム組成物をトレッドに用いたことを特徴とする。
本発明のトレッド用ゴム組成物の好適例においては、前記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)が、少なくとも一つの官能基を有し、該官能基が、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種である。
本発明のトレッド用ゴム組成物の他の好適例においては、前記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)及び軟化剤の総配合量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜80質量部である。
本発明のトレッド用ゴム組成物の他の好適例においては、充填剤の総配合量の30〜100質量%が前記シリカ(B)である。
本発明によれば、シリカ(B)と、特定構造の硫黄含有シラン化合物(C)と、特定の芳香族ビニル化合物量、ビニル結合量及び重量平均分子量を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)とを特定量配合してなり、タイヤの操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗を大幅に低減することが可能で、加工性が良好なトレッド用ゴム組成物を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のトレッド用ゴム組成物は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの内の少なくとも一種からなるゴム成分(A)100質量部に対して、シリカ(B)20〜150質量部と、上記式(I)で表される硫黄含有シラン化合物(C)1〜30質量部と、芳香族ビニル化合物量が0質量%超80質量%以下で、共役ジエン化合物部分のビニル結合量が0〜80質量%で、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜500,000である芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)2〜70質量部とを配合してなる。
上記式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)は、ゴム成分(A)とゲル化し難いため、通常のシランカップリング剤を配合した場合よりも、ゴム組成物の加工性を向上させることができる。また、該硫黄含有シラン化合物(C)は、シリカ(B)のゴム成分(A)への分散性を向上させるため、ゴム組成物のヒステリシスロスを低下させることができる。しかしながら、ゴム組成物に上記式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)を配合することで、弾性率が低下してしまうため、該ゴム組成物をトレッドに用いることで、タイヤの転がり抵抗を低減できるものの、操縦安定性が低下してしまう。これに対して、本発明者らが検討したところ、驚くべきことに、シリカ(B)及び上記式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)を含有するゴム組成物に、更に、上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)を配合することで、加工性を低下させることなく、弾性率の低下を防止することができ、該ゴム組成物をタイヤのトレッドに適用することで、タイヤの操縦安定性を維持しつつ、転がり抵抗を低減できることが分った。以上のことから、ゴム組成物に、シリカ(B)と上記式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)と上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)とを組み合わせて使用することで、タイヤの操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗を大幅に低減することが可能で、加工性の良好なタイヤのトレッド用ゴム組成物が得られる。
本発明のトレッド用ゴム組成物のゴム成分(A)は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの内の少なくとも一種からなる。ここで、合成ジエン系ゴムとしては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらゴム成分(A)は、一種単独で用いても、二種以上を混合してもよい。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、シリカ(B)を20〜150質量部含有し、30〜90質量部含有することが好ましい。シリカの配合量が20質量部未満では、タイヤの転がり抵抗を低減する効果、湿潤路面での制動性・操縦安定性を向上させる効果が低く、150質量部を超えると、ゴム組成物の加工性が悪化することに加え、タイヤの転がり抵抗が悪化する。また、シリカの配合量が30〜90質量部であれば、タイヤの転がり抵抗を低減する効果、湿潤路面での制動性・操縦安定性を向上させる効果が高く、ゴム組成物の加工性も良好である。上記シリカ(B)としては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)等を使用することができる。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、上記式(I)で表される硫黄含有シラン化合物(C)を1〜30質量部含有し、1〜15質量部含有することが好ましい。式(I)の硫黄含有シラン化合物の配合量が1質量部未満では、ゴム組成物の加工性を改良する効果が不十分であり、一方、30質量部を超えると、ポーラス等の押し出し加工性が悪化する。また、式(I)の硫黄含有シラン化合物の配合量が1〜15質量部であれば、ゴム組成物の加工性を改良する効果が大きく、押し出し加工性も良好である。
上記式(I)の硫黄含有シラン化合物において、Rは、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−及び−(OSiR)(OSiR)から選択され且つ炭素数が1〜18であり(但し、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され且つ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である);Rは、水素、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され;Rは、−[O(R O) ]−基(但し、Rは、アルキレン基及びシクロアルキレン基から選択され且つ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である)であり;x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1であり;Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基から選択され且つ炭素数が1〜18であり;Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択され且つ炭素数が1〜18である。
上記R、R、R及びRにおいて、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。また、アルケニル基も、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタニル基等が挙げられる。更に、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等が、シクロアルケニル基としては、シクロヘキセニル基、エチルシクロヘキセニル基等が、アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。また更に、Rにおいて、アラルキル基としては、フェネチル基等が挙げられる。
上記R及びRにおいて、アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基等が挙げられる。また更に、Rにおいて、アルケニレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基等が挙げられる。また、シクロアルキルアルキレン基としては、シクロヘキシルメチレン基等が、アリーレン基としては、フェニレン基等が、アラルキレン基としては、キシリレン基等が挙げられる。
また、上記Rにおいて、−[O(R O) ]−基は、下記に示すジオールから、水酸基の水素原子を二原子除いたものである。ここで、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,4-ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ピナコールが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオールが好ましく、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオールがより好ましい。
上記式(I)の硫黄含有シラン化合物は、特表2001−505225号に記載の方法で合成することができ、また、GEシリコーン製の商品名「NXTシラン」等の市販品を利用することもできる。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、芳香族ビニル化合物量が0〜80質量%で、共役ジエン化合物部分のビニル結合量が0〜80質量%で、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜500,000である芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)を2〜70質量部含有し、5〜40質量部含有することが好ましい。該芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)の配合量が2質量部未満では、タイヤの操縦安定性を改良する効果が不十分であり、一方、70質量部を超えると、耐摩耗性が悪化する。また、上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)の配合量が5〜40質量部であれば、タイヤの操縦安定性を改良する効果が大きく、耐摩耗性も良好である。
上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)は、芳香族ビニル化合物量が0〜80質量%であり、芳香族ビニル化合物の結合量が80質量%を超えると、ゴム組成物の加工性を確保しつつ、ゴム組成物の弾性率を向上させることができない。また、上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)は、共役ジエン化合物部分のビニル結合量が0〜80質量%であり、共役ジエン化合物部分のビニル結合量が80質量%を超えると、ゴム組成物の加工性を確保しつつ、ゴム組成物の弾性率を向上させることができない。更に、上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)は、ポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜500,000であり、重量平均分子量が5,000未満では、ゴム組成物の弾性率が低下し、一方、500,000を超えると、ゴム組成物の加工性が低下する。
上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)は、単量体である芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを重合開始剤を用いて共重合させることで得られる。ここで、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等が挙げられる。また、上記重合開始剤としては、n-ブチルリチウム等のヒドロカルビルリチウム、及びリチウムヘキサメチレンイミド等のリチウムアミド化合物が好ましい。なお、重合開始剤の使用量は、単量体100g当り0.2〜20mmolの範囲が好ましい。
上記重合開始剤を用いて、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の重合反応に不活性な炭化水素溶媒中で、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との混合物を重合させることで共重合体を製造することができ、共役ジエン化合物を重合させることで重合体を製造することができる。また、重合反応は、ビステトラヒドロフリルプロパン等のランダマイザーの存在下で実施してもよい。該ランダマイザーは、共重合体の共役ジエン化合物部分のミクロ構造を制御することができ、より具体的には、共重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量を制御したり、共重合体中の共役ジエン化合物単位と芳香族ビニル化合物単位とをランダム化する等の作用を有する。該ランダマイザーの使用量は、共重合体の製造に使用した重合開始剤1molに対し、0.01〜100molの範囲が好ましい。
上記重合反応は、溶液重合で実施することが好ましく、重合反応溶液中の上記単量体の濃度は、5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲が更に好ましい。なお、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との混合物中の芳香族ビニル化合物の含有率は、0質量%超80質量%以下の範囲が好ましく、目的とする共重合体(D)の芳香族ビニル化合物量に応じて適宜選択することができる。また、重合形式は特に限定されず、回分式でも連続式でもよい。重合反応の重合温度は、0〜150℃の範囲が好ましい。また、該重合は、発生圧力下で実施できるが、通常は、使用する単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力下で行うのが好ましい。ここで、重合反応を発生圧力より高い圧力下で実施する場合、反応系を不活性ガスで加圧することが好ましい。また、重合に使用する単量体、重合開始剤、溶媒等の原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を予め除去したものを用いることが好ましい。
上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)は、少なくとも一つの官能基を有し、該官能基が、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基であることが好ましい。該官能基を有する変性芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体は、(I)単量体である芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを重合開始剤を用いて共重合させ、重合活性部位を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体を生成させた後、該重合活性部位を各種変性剤で変性する方法や、(II)単量体である芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを官能基を有する重合開始剤を用いて共重合させる方法で得ることができる。
なお、上記変性芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体は、官能基を導入する前のゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜200,000であることが好ましく、20,000〜150,000であることが更に好ましく、50,000〜150,000であることがより一層好ましい。
上記リチウムアミド化合物として、式:Li−AM[式中、AMは、下記式(II):
Figure 0005291883
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である)で表される置換アミノ基又は下記式(III):
Figure 0005291883
(式中、Rは、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基を示す)で表される環状アミノ基である]で表されるリチウムアミド化合物を用いることで、式(II)で表される置換アミノ基及び式(III)で表される環状アミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の窒素含有官能基が導入された芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)が得られる。上記リチウムアミド化合物は、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)等の二級アミンとリチウム化合物から予備調製して重合反応に用いてもよいが、重合系中で生成させてもよい。なお、リチウム化合物としては、上記ヒドロカルビルリチウムを用いることができる。
上記式(II)において、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、3-フェニル-1-プロピル基及びイソブチル基等が好適に挙げられる。なお、R8は、それぞれ同じでも異なってもよい。また、上記式(III)において、Rは、3〜16個のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基であり、置換アルキレン基には、一置換から八置換のアルキレン基が含まれ、置換基としては、炭素数1〜12の鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。また、R9として、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N-アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
一方、上記重合活性部位を有する共重合体の重合活性部位を変性剤で変性するにあたって、使用する変性剤としては、スズ含有化合物、ケイ素含有化合物及び窒素含有化合物が好ましい。ここで、変性剤として作用するスズ含有化合物及びケイ素含有化合物としては、下記式(IV):
10 ZX ・・・ (IV)
[式中、R10は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Zは、スズ又はケイ素であり;Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]で表されるカップリング剤が好ましい。式(IV)のR10として、具体的には、メチル基、エチル基、n-ブチル基、ネオフィル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。また、式(IV)のカップリング剤として、具体的には、SnCl、R10SnCl、R10 SnCl、R10 SnCl、SiCl、R10SiCl、R10 SiCl、R10 SiCl等が好ましく、SnCl及びSiClが特に好ましい。
また、上記変性剤として作用するケイ素含有化合物としては、下記式(V):
Figure 0005291883
[式中、Aは(チオ)エポキシ、(チオ)インシアネート、(チオ)ケトン、(チオ)アルデヒド、イミン、アミド、イソシアヌル酸トリエステル、(チオ)カルボン酸ヒドロカルビルエステル、(チオ)カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、炭酸ジヒドロカルビルエステル、環状三級アミン、非環状三級アミン、ニトリル、ピリジン、スルフィド及びマルチスルフィドの中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基で;R11は単結合又は二価の不活性炭化水素基で;R12及びR13は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基で;cは0〜2の整数であり;OR13が複数ある場合、複数のOR13はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない]で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物、並びに、下記式(VI):
14 −Si−(OR15)4−d ・・・ (VI)
[式中、R14及びR15は、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;dは0〜2の整数であり;OR15が複数ある場合、複数のOR15はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない]で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮物も好ましい。
式(V)において、Aにおける官能基の中で、イミンはケチミン、アルジミン、アミジンを包含し、(チオ)カルボン酸エステルは、アクリレートやメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルを包含し、非環状三級アミンは、N,N-二置換アニリン等のN,N-二置換芳香族アミンを包含し、また環状三級アミンは、環の一部として(チオ)エーテルを含むことができる。また、(チオ)カルボン酸の金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Zn等を挙げることができる。
上記R11のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。該直鎖状アルキレン基としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
また、上記R12及びR13としては、炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜18のアルケニル基,炭素数6〜18のアリール基,炭素数7〜18のアラルキル基等が挙げられる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基等が挙げられる。また、上記アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記式(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、3-ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3-ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2-(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2-シアノエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、上記式(VI)において、R14及びR15については、それぞれ上記式(V)におけるR12及びR13について説明した通りである。式(VI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、テトラエトキシシランが特に好ましい。
更に、上記変性剤として作用する窒素含有化合物としては、置換若しくは非置換のアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ニトリル基又はピリジル基を有する窒素含有化合物が好ましい。変性剤として好適な窒素含有化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードMDI、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物,4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ジメチルアミノベンジリデンアニリン、4-ジメチルアミノベンジリデンブチルアミン、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
上記変性剤による重合活性部位の変性反応は、溶液反応で行うことが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。なお、変性剤の使用量は、共重合体の製造に使用した重合開始剤1molに対し、0.25〜3.0molの範囲が好ましく、0.5〜1.5molの範囲が更に好ましい。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、更に軟化剤を含んでもよい。ここで、軟化剤としては、特に限定されず、アロマオイル、ナフテン系オイル、アルファルト等が挙げられる。上記軟化剤の配合量は、特に限定されるものではないが、上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)及び軟化剤の総配合量が、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは5〜60質量部となるように配合する。上記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)及び軟化剤の総配合量が5質量部未満では、加工性が悪化する上、本発明の効果が得られ難く、一方、80質量部を超えると、耐摩耗性が悪化する。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、充填剤として、上記シリカ(B)の他に、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等を含んでもよいが、充填剤の総配合量の30〜100質量%がシリカ(B)であることが好ましく、50〜100質量%がシリカ(B)であることが更に好ましい。充填剤中のシリカの比率が30質量%未満では、制動性(特に湿潤路面での制動性)を改善しつつ、転がり抵抗を低減することが難しくなる。
本発明のトレッド用ゴム組成物には、上記ゴム成分(A)、シリカ(B)等の充填剤、式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)、軟化剤の他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、本発明のトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分(A)に、シリカ(B)、式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)及び芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)と共に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。なお、上記ゴム成分(A)と式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)とをカップリングするために、ファイナル練りにおいてN,N’-ジフェニルグアニジン等のプロトンドナーを配合することが好ましい。
本発明のタイヤは、上述のトレッド用ゴム組成物をトレッドに用いたことを特徴とし、十分な操縦安定性を有しつつ、転がり抵抗が大幅に低減されている。なお、キャップ/ベース構造のトレッドを有するタイヤの場合は、上記トレッド用ゴム組成物をキャップゴムに用いてもよいし、ベースゴムに用いてもよい。なお、本発明のタイヤは、従来公知の構造で、特に限定はなく、通常の方法で製造できる。また、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<共重合体Aの製造例>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロへキサン 300g、1,3-ブタジエン 40g、スチレン 13g、ジテトラヒドロフリルプロパン 0.90mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して共合体Aを得た。
<共重合体Bの製造例>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロへキサン 300g、1,3-ブタジエン 40g、スチレン 13g、ジテトラヒドロフリルプロパン 0.90mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、重合反応系に、変性剤としてSnCl4 0.20mmolを速やかに加え、更に50℃で30分間変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量
%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して共合体Bを得た。
<共重合体Cの製造例>
重合開始剤として、n-ブチルリチウム(n-BuLi)に代えて、インサイチューで調製したリチウムヘキサメチレンイミド[HMI−Li;ヘキサメチレンイミン(HMI)/リチウム(Li)モル比=0.9]をリチウム当量で0.90mmol用いる以外は、上記共重合体Aと同様にして、共重合体Cを得た。
上記のようにして製造した共重合体A〜Cの重量平均分子量(Mw)、ミクロ構造、結合スチレン量を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
(1)重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)ミクロ構造及び結合スチレン量
重合体のミクロ構造を赤外法(モレロ法)で求め、重合体の結合スチレン量をH-NMRスペクトルの積分比より求めた。
Figure 0005291883
次に、表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、下記に示す方法で加工性を評価した。また、該ゴム組成物をトレッドに用い、通常の加硫条件で加硫して、サイズ195/65R15のタイヤを試作し、下記に示す方法で転がり抵抗性及び操縦安定性を評価した。
結果を表2及び表3に示す。
(3)ゴム組成物の加工性
JIS K6300に準拠し、130℃にてムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定して、その逆数を求め、比較例1の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、未加硫粘度が低く、加工性が良好であることを示す。
(4)転がり抵抗性
供試タイヤに対し、規格に沿った測定法にて転がり抵抗を測定して、その逆数を求め、比較例1の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、転がり抵抗が小さく、良好であることを示す。
(5)操縦安定性
供試タイヤを装着し、テストコースにて実車走行を行って、ドライバーが評点をつけ、比較例1の評点を100として指数表示した。指数値が大きい程、操縦安定性が良好であることを示す。
Figure 0005291883
Figure 0005291883
*1 JSR社製, #1712, ゴム成分100質量部に対して37.5質量部のアロマオイルで油展
*2 JSR社製, #1500
*3 東海カーボン(株)製, 「シースト7HM」
*4 日本シリカ工業(株)製, 「ニップシールAQ」
*5 デグッサ社製, 「Si75」
*6 GEシリコーン製, 「NXTシラン」, (CO)Si−C−S−CO−C15
*7 上記の方法で合成した共重合体A
*8 上記の方法で合成した共重合体B
*9 上記の方法で合成した共重合体C
*10 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン
*11 N,N'-ジフェニルグアニジン
*12 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド
*13 ジベンゾチアジルジスルフィド
表3から明らかなように、シリカ(B)と式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)と上記共重合体(D)とを特定量含む実施例のゴム組成物は、加工性が良好であり、該ゴム組成物をトレッドに用いた実施例のタイヤは、操縦安定性を損なうことなく、転がり抵抗が低減されていた。実施例1実施例5の比較から、N,N'-ジフェニルグアニジンを増量することで、操縦安定性が向上することが分る。
一方、比較例2の結果から、シリカ(B)の配合量を増量することで、操縦安定性を改良できるものの、ゴム組成物の加工性が低下すると共に、タイヤの転がり抵抗が大きくなることが分る。また、比較例3の結果から、シリカ(B)を減らしカーボンブラックを増量することで、ゴム組成物の加工性が向上し、タイヤの操縦安定性を改良できるものの、転がり抵抗が大きくなることが分る。更に、比較例4の結果から、軟化剤の配合量を増量することで、ゴム組成物の加工性が向上するものの、タイヤの転がり抵抗が大きくなる上、操縦安定性が悪化することが分る。また更に、比較例5の結果から、式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)を配合することで、ゴム組成物の加工性が向上し、タイヤの転がり抵抗を低減できるものの、操縦安定性が悪化することが分る。加えて、比較例5の結果から、式(I)の硫黄含有シラン化合物(C)を配合し、シリカ(C)を減らしカーボンブラックを増量することで、ゴム組成物の加工性を向上させつつ、操縦安定性の悪化を抑制できるものの、タイヤの転がり抵抗が大きくなることが分る。

Claims (4)

  1. 天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの内の少なくとも一種からなる未変性のゴム成分(A)100質量部に対して、
    シリカ(B)20〜150質量部と、
    下記式(I):
    Si−R−S−CO−R・・・ (I)
    [式中、Rは、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−及び−(OSiR(OSiR)から選択され且つ炭素数が1〜18であり
    (但し、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され且つ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である);
    は、水素、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され;
    は、−[O(RO)m]0.5−基(但し、Rは、アルキレン基及びシクロアルキレン基から選択され且つ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である)であり;
    x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1であり;
    は、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基から選択され且つ炭素数が1〜18であり;
    は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択され且つ炭素数が1〜18である]で表される硫黄含有シラン化合物(C)1〜30質量部と、
    芳香族ビニル化合物量が0〜80質量%で、共役ジエン化合物部分のビニル結合量が0〜80質量%で、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜500,000であり、少なくとも一つの官能基を有し、該官能基が、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基である、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)2〜70質量部と
    を配合してなるトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体(D)及び軟化剤の総配合量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜80質量部であることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  3. 充填剤の総配合量の30〜100質量%が前記シリカ(B)であることを特徴とする請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
  4. 請求項1又は2に記載のトレッド用ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤ。
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