JP4801827B2 - 重合体、その製造方法、及びそれを用いたゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、破壊特性、耐摩耗性、低発熱性が同時に高度に保たれた重合体の製造方法、得られた重合体、及び、該重合体を用いたゴム組成物に関し、より詳しくは、アニオン重合で得られた重合体の末端を変性し、シリカとの相互作用性を高めた変性ジエン系重合体の製造方法、およびこの方法で得られた重合体を用いたゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法としては、タイヤ構造の最適化による手法についても検討されてきたものの、ゴム組成物としてより発熱性の低い材料を用いることが最も一般的な手法として行われている。
【0003】
このような発熱性の低い配合ゴムを得るために、これまで、ゴム組成物に使用する充填材の分散性を高めるような技術開発が数多くなされてきた。その中でも特に、アルキルリチウムを用いたアニオン重合で得られるジエン系重合体の末端を充填材と相互作用を持つ官能基にて修飾する方法が、最も一般的になりつつある。
【0004】
それらの手法の中で最も代表的なものとして、充填材にカーボンブラックを用い、重合体末端をスズ化合物にて修飾する方法が知られている。(特公平5−87530号)また同様にカーボンブラックを用いて、重合体末端にアミノ基を導入する方法も用いられている。(特開昭62−207342号)
【0005】
また、さらに近年、自動車の安全性への関心の高まりにつれて、低燃費性能のみならず、湿潤路面での性能(ウェット性能)、特に、制動性能についても要求が高まってきた。このため、タイヤトレッドのゴム組成物に対する性能要求は、単なる転がり抵抗の低減に止まらず、ウェット性能と低燃費性能を高度に両立するものが必要とされている。
【0006】
このような、良好な低燃費性と良好なウェット性能とを同時にタイヤに与えるゴム組成物を得る方法として、補強性充填材として、従来から一般的に用いられてきたカーボンブラックに変えてシリカを用いる方法がすでに行われている。
【0007】
しかしながらシリカを補強性充剤として用いた場合、カーボンブラックと比較して、ゴム組成物の破壊強度及び耐摩耗特性が著しく低下することも明らかとなっている。またさらに、シリカの分散性が悪く、混練りを行なう際の作業性についても、現実にタイヤを製造する上で大きな問題となってきている。
【0008】
このようなシリカ配合における補強性の欠如を補うためにこれまで、Si69に代表される、補強助剤をシリカ配合に用いる手法が用いられてきた。しかしながらこのような補強助剤については、比較的その価格が比較的高価な事、また分子内にいおう化合物を含有するために作業条件特に混練り条件について制限がある事が問題とされてきた。
そのような問題を解決する方法として、用いる重合体の末端に、アルコキシシランを導入する方法が行われている。この手法は先に述べたような補強助剤を、用いない場合においても良好な破壊・摩耗特性が得られるために有用な手段であると考えられる。この手法を用いる場合においては、重合体の末端に対して効率よくアルコキシシランを導入する必要がある。このようなアルコキシシラン変性のポリマーの合成法としては、これまで一般的にアニオン重合にて得られるポリマーリビング末端に対して多価のアルコキシシランを作用させる方法が用いられてきた。しかしながらこのような手法においては、図1に示されるように一分子のアルコキシシランに対し複数のポリマーが反応する事によりカップリング反応と変性反応の混合反応となる。このため得られるポリマーの分子量を適切にコントロールする事は非常に困難であり、なおかつ導入されアルコキシシランが最も望ましい末端に導入される割合が低くなってしまうという問題がある。また得られるポリマーの分子量分布は広いものとなってしまうために低発熱性についても望ましくない効果が懸念される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような公知の方法では十分な解決が困難であった、末端にアルコキシシランを有しカップリング生成物のない重合体を合成するための製造方法を提供する事である。またこの方法で得られた重合体をゴム組成に用いる事によりシリカを充填剤に用いた場合においても良好な破壊/摩耗特性及び発熱特性を得る事ができる。
【0010】
【課題を解決する手段】
本発明者は、重合末端にカップリング反応を伴わないアルコキシシランを導入を鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、アニオン重合末端に対しメチレンアミノ基を反応させて末端のカルバニオン構造をリチウムアミド構造に転換しさらにこのリチウムアミド構造に対して反応性の高いエポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン化合物を作用させる事により、ポリマー分子のカップリング生成物を生じることなく末端にアルコキシシランを導入可能である事を見出した。又そのようにして得られた重合体をシリカを充填剤に用いる配合に用いた場合良好な破壊摩耗特性と/低発熱性シリカ配合の良好なウェットと特性を損なうことなく、併せ持つ事ができる事を見出した。
【0011】
すなわち、本発明は以下の構成する。
(1)末端にアルコキシシリル基を有し、その分子量分布が1.2以下であることを特徴とする重合体。
(2)前記アルコキシシリル基がグリシドキシアルキル基であることを特徴とする(1)に記載の重合体。
(3)前記アルコキシシリル基がグリシドキシプロピル基であることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の重合体。
(4)前記エポキシ基を分子内に有するアルコキシシランが、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシシラン であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の重合体。
(5)DSCにて測定したガラス転移点が−90℃〜−30℃であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の重合体。
(6)ムーニー粘度(ML1+4 /100℃)が10〜150である事を特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の重合体。
(7)主鎖が、共役ジエン単量体の重合体または共重合体であることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の重合体。
(8)前記主鎖が、共役ジエン単量体と、モノビニル芳香属化合物との共重合体であることを特徴とする(7)記載の重合体。
(9)前記重合体の共重合に供する共役ジエン単量体及びビニル芳香族炭化水素単量体が各々ブタジエン及びスチレンであることを特徴とする(8)に記載の重合体。
(10)前記アルコキシシリル基が重合系内で生成されたものであることを特徴とする(1)から(9)のいずれかに記載の重合体。
(11)有機リチウム化合物を開始剤として有機溶媒中で重合した重合体であり、その重合活性末端に、前記(式1)で示されるメチレンアミノ基を有する化合物と、分子内にエポキシ基を含有するアルコキシシラン化合物とを反応させてなることを特徴とする(1)から(10)のいずれかに記載の重合体。
(12)前記メチレンアミノ基を有する化合物のR2 がフェニル基または、ジメチルアミノフェニル基、であることを特徴とする(11)に記載の重合体。
(13)炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その重合活性末端と前記(式1)で示されるメチレンアミノ基を有する化合物を反応させた後,前記(式2)で示される分子内にエポキシ基を含有するアルコキシシラン化合物を反応させてなることを特徴とする重合体の製造方法。
(14)特許請求の範囲5項から7項のいずれかに記載の重合体をゴム成分中に30重量%以上含有し、かつこのゴム成分100重量部に対しシリカを10〜100重量部含有することを特徴とするゴム組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の重合体は、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その重合活性末端と前記(式1)で示されるメチレンアミノ基を含有する化合物を反応させた後に(式2)で示されるような、エポキシ基を分子内に有する化合物を反応させることにより得られる。
【0013】
本発明で用いられる共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは、一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。中でも好ましいのは1,3−ブタジエンである。
また、共役ジエン単量体との共重合に用いられる、ビニル芳香族炭化水素単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等を例示することができる。中でも好ましいのは、スチレンである。
【0014】
更に、単量体として共役ジエン単量体及びビニル芳香族炭化水素を用いて共重合を行なう場合、各々1,3−ブタジエン及びスチレンを使用することが実用性、特にモノマーを容易に入手可能であり又アニオン重合特性がリビング性等の点で優れるとの理由から特に好ましい。
【0015】
重合に使用される開始剤としては、リチウム金属の炭化水素化合物、又は極性化合物との錯体が挙げられる。好ましくは、2〜20個の炭化原子を有するリチウム化合物である。例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、i−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec −ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フエニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フエニルリチウム、4−フエニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウムなどである。
開始剤の使用量は単量体100g当り通常0.2〜20ミリモルの範囲で用いる。
【0016】
本発明の重合体は、炭化水素溶剤などの有機リチウム開始剤を破壊しない溶剤中で行われる。適当な炭化水素溶剤としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素から選ばれ、特に炭素数3〜8個を有するプロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、i−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが好ましい。またこれらの溶剤は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0017】
なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。共役ジエン単量体とビニル芳香族炭化水素の共重合の場合、仕込み単量体混合物中のビニル芳香族炭化水素の含量は好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは5〜45重量%である。
【0018】
本発明では、共役ジエン単量体のアニオン重合を行なう際に既知のランダマイザーを用いることができる。ここで言うランダマイザーとは、共役ジエン系重合体のミクロ構造のコントロール、例えばブタジエン重合体又はブタジエン−スチレン重合体のブタジエン部の1,2結合、イソプレン重合体の3,4結合の増量等及び共役ジエン単量体ビニル芳香族炭化水素共重合体の単量体単位の組成分布のコントロール例えば、ブタジエン−スチレン共重合体のブタジエン単位、スチレン単位のランダム化等、の作用を有する化合物である。本発明のランダマイザーは特に制限されないが、一般に用いられているもの全てを含む。このものとしては例えばジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N′,N′−テロラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第3級アミン類などを挙げることができる。またカリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシド等のカリウム塩類またナトリウム−t−アミレート等のナトリウム塩等も用いることができる。
【0019】
ランダマイザーの使用量は有機リチウム化合物1モル当量当たり、0.01〜1000モル当量の範囲で用いられる。
【0020】
本発明に用いられる第一段の反応剤は、メチレンアミノ基を分子内に有する必要がある。これは重合体の反応末端の反応性を適度に制御するためである。この置換された重合末端は、(図2)で示されるような、次の段階で導入されるエポキシ基を含むアルコキシシラン化合物の、アルコキシ基に対し反応活性が低く、なおかつエポキシ基に対しては十分な反応活性を持つ必要がある。このような活性末端としてはリチウムアミドが適切であると考えられるが、このようなリチウムアミド構造を得るためには、アニオン重合末端のようなカルバニオン構造に対して、シフベースに代表されるようなメチレンアミノ構造を有する化合物を作用させることにより得られる。
【0021】
さらに第二段反応に用いられる、アルコキシシランにはエポキシ基が含まれる必要がある。エポキシ基に対しては、このようなリチウムアミドに対してはエポキシ基は十分な反応活性をもち安定な化学結合を生成する事ができる。またアルコキシシランに対してより活性な反応性を有するためにリチウムアミドがアルコキシシランと反応する前にこのエポキシ基と反応する事により望ましくないカップリング反応をさける事ができる。
【0022】
このことによりこの変性重合体は、各分子の末端にアルコキシシランを有しさらに狭くコントロールされた分子量分布を持つために、シリカ配合において良好な補強特性を得ることができ、摩耗特性、破壊特性、さらに低発熱性において良好な配合ゴムを得ることができる。
【0023】
また上記の作用機構から本発明で使用されるメチレンアミノ基を含有する化合物の具体例としては、ベンジリデンアニリン、エチリデンアニリン、メチリデンアニリン、ブチリデンアニリン、プロピリデンアニリン、ヘキシリデンアニリン、オクチリデンアニリン、1- メチルエチリデンアニリン、1−3ジメチルプロピリデンアニリン、ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ベンジリデンジメチルアミノアニリン、ジメチルアミノベンジリデンジメチルアミノアニリン、エチリデンエチルアミン、ブチリデンブチルアミン、プロピリデンブチルアミン、ブチリデンプロピルアミン、オクチリデンプロピルアミン、オクタデシリデンプロピルアミン、エチリデンオクタデシルアミン、ブチリデンオクチルアミン、ベンジリデンメチルアミン、ジメチルアミノベンジリデンメチルアミン等が挙げられ、ベンジリデンアニリン、ジメチルアミノベンジリデンアニリンがアミンの反応性がフェニルアミンを用いた場合最も適度にコントロールされるため、特に好ましい。
【0024】
本発明で使用される、エポキシ基を含むアルコキシシランはエポキシ基を含むものであればいずれの変性剤においても用いる事ができるが、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシシラン、3- グリシドキシプロピルメチルトリエトキシシラン、3- グリシドキシプロピルメチルトリメトキシシラン、等が挙げられる。エポキシ周りの立体障害が小さいという点においてGPMOS,GPEOSが特に好ましい。
【0025】
本発明で使用されるメチレンアミンの量は、ジエン系単量体の重合に使用される、有機アルカリ金属1モルに対し通常0.5〜3.0モルであり、好ましくは0.8〜1.2モルである。
【0026】
0.25モルより少ない量ではアルコキシ基がカップリング反応に消費されて好ましくない。また3モルを超えるような量においては過剰の変性剤が無駄になるとともに、変性剤に含まれる不純物によりアニオン重合末端が失活して実質的な変性功率が低下して好ましくない。
【0027】
本発明で使用されるエポキシ基を含むアルコキシシランの量は、ジエン系単量体の重合に使用される、有機アルカリ金属1モルに対し通常0.5〜2.0モルであり、好ましくは0.8〜1.2モルである。
【0028】
0.25モルより少ない量ではアルコキシ基がカップリング反応に消費されて好ましくない。また2モルを超えるような量においては過剰の変性剤が無駄になるとともに、変性剤に含まれる不純物によりアニオン重合末端が失活して実質的な変性功率が低下して好ましくない。
【0029】
本発明の末端変性剤と重合体末端リチウムの反応温度はジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができる。具体的には30℃〜100℃が好ましい範囲としてあげられる。30℃未満では重合体の粘度が上昇しすぎる傾向があり100℃を超えると、末端アニオンが失活し易くなるので好ましくない。
【0030】
これらの末端変性剤の重合鎖末端への添加時期、方法については特に限定はないが一般的にこのような変性剤を用いる場合は、重合終了後に行なう場合が多い。
【0031】
この重合鎖末端変性基の分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行なうことができる。
【0032】
得られた重合体または共重合体は、DSCにて測定したガラス転移点(Tg)が−90℃〜−30℃であることが好ましい。通常のアニオン重合の処方においては−90℃以下の重合体を得るのは困難であり又- 30度以上の重合体については室温領域で硬くなりゴム状組成物として用いるのにやや不都合である。
【0033】
本発明における重合体のムーニー粘度(ML1+4 /100°C )は10〜150、好ましくは15〜70である。ムーニー粘度が10未満の場合は破壊特性を始めとするゴム物性が十分に得られず、150を超える場合は作業性が悪く配合剤とともに混練りすることが困難である。
【0034】
本発明の重合体の重合は約−80〜150℃の範囲内で任意の温度で行なうことができるが、−20〜100℃の温度が好ましい。重合反応は発生圧下で行なうことができるが、通常は単量体を実質的に液相下に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。即ち、圧力は重合される個々の物質や、用いる希釈剤及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
【0035】
一般に、開始剤成分、溶媒、単量体等重合工程に関与する全ての物質から、水、酸素、二酸化炭素及び他の触媒毒を除去するのが好適である。
【0036】
また本発明では、上記の重合体とともに、通常タイヤ業界で用いられるゴム成分を併用することが出来る。併用されるゴム成分としては、天然ゴム、及び、ジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体、及び、これらの混合物等が挙げられる。その一部が多官能型変性剤たとえば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有している物でもよい。
【0037】
本発明のゴム組成物には、補強性充填材として、カーボンブラック又はシリカがそれぞれ単独で、又は、両者を併わせて用いられる。
【0038】
本発明で用いられるシリカには特に制限はなく、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が含まれ、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
【0039】
充填材は、シリカのみとすることができる。この場合に、シリカは、ゴム成分100重量部に対して10〜100重量部で用いられ、補強性とそれによる諸物性の改良効率の観点より好ましくは20〜60重量部である。10重量部未満では破壊特性等が十分でなく、また、100重量部を越えると加工性が劣る。
【0040】
また、本発明のゴム組成物に用いられるカーボンブラックとしても特に制限はなく、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAF等が用いられる。好ましくはヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつ、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックである。カーボンブラックを用いることにより、諸物性の改良効果は大きくなるが、特に、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが好ましい。
【0041】
本発明の重合体組成物において、シリカを充填材として用いた場合その補強性を更に向上させるために、配合時にシランカップリング剤を用いることができ、そのシランカップリング剤を例示すると、次のとおりである。ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が挙げられ、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が補強性改善効果の観点より好ましい。
【0042】
本発明の重合体は、その分子内にシリカとの親和性が高い官能基を有するため、高価なシランカップリング剤の添加量を通常の添加量よりも低減しても、同等の物性を持つゴム組成物を得ることができる。さらに、ゴムの混練り時のゲル化を防ぐことにより混練り作業性が良好になる。その好ましい配合量は、シランカップリング剤の種類、シリカの配合量等によって異なるが、補強性の観点より、シリカ配合量に対して1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。
【0043】
加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、これらの使用量は、ゴム成分100重量部に対して硫黄分として0.1〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜5重量部である。0.1重量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が低下し、10重量部を越えるとゴム弾性が失われる。
【0044】
本発明のゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対して0〜100重量部が好ましく、100重量部を越えると加硫ゴムの引張強度、低発熱性が悪化する傾向がある。
【0045】
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、好ましくはM(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジサルファイド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系の、DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアジニン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3重量部である。
【0046】
本発明では、これら以外にもゴム工業で通常使用されている老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤等の通常ゴム業界で用いられる添加剤を配合することもできる。
【0047】
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用される。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の主旨を越えない限り、本実施例に限定されるものではない。
【0049】
なお、実施例において、部及び%は特に断らない限り、重量部及び重量%を意味する。各種の測定は下記の方法によった。
【0050】
(1)重合体の物性
重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィ〔GPC;東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。実施例中で用いたカップリング率については、このGPC より得られるデータのうちで高分子量側のピークの面積比率を用いた。
重合体のムーニー粘度は東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて測定した。
重合体のブタジエン部分のミクロ構造は、赤外法(モレロ法)によって求めた。
重合体中のの結合スチレン含有量は 1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。
重合体のTgはパーキンエルマー社製の示差熱分析機(DSC)7型装置を用い−100℃まで冷却した後に10℃/min で昇温する条件で測定した。
【0051】
(2)ゴム組成物の物性
発熱性の指標として50℃における損失正接(tanδ(50℃))を用いた。tanδ(50℃)が小さい程、低発熱性であると評価する。tanδ(50℃)の測定は、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで行った。
ウェット特性についてはスタンレイロンドンタイプのポータブルスキッドテスターを用いてグリップ特性を測定した。結果は変性を行なっていないゴム成分を用いたコントロールのウェット特性を100とした指数で表した。指数が大きい方が良好な性能を示す。
破壊特性は、JIS K6301−1995に従って破断時の強度Tb(MPa)を測定した。
耐摩耗性はランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%の摩耗量を測定し、変性を行っていないゴム成分を用いたコントロールの耐摩耗性を100として、耐摩耗指数として指数表示した。指数が大きい方が良好となる。
【0052】
(重合体の製造)
重合に用いた原材料に関しては特に指示がある場合をのぞいて乾燥精製した原材料を用いて実験を行った。
【0053】
乾燥し、窒素置換された800mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン単量体32.5g、スチレン単量体17.5g、カリウム−t−アミレート0.025mmol、THF1mmolを注入し、これにn−ブチルリチウム(BuLi)0.55mmolを加えた後、50℃で2時間重合を行った。重合系は重合開始から終了まで、全く沈殿は見られず均一で透明であった。重合転化率は、ほぼ100%であった。
【0054】
重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し、ゴム状共重合体を得た。この共重合体についてミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表1)に示した。
【0055】
この重合系にさらに第一段目の、末端変性剤としてベンジリデンアニリン0.55mmolを加えた後にさらに15分間変性反応を行った。この後重合系にさらにGPMOS0.55molを加え2段目の変性反応を15分間行った。その後重合系に2,6−ジ(t−ブチル)パラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することにより重合体Aを得た。得られた重合体の分析値を(表1)に示す。
【0056】
またこのn−ブチルリチウムの量および変性剤の種類と量を表1に示される変性剤に置換することにより重合体B〜G、I〜Kを得た。
【0057】
なお、重合体Hは、重合終了後、変性反応を行なわずに、2,6−ジ(t−ブチル)パラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することにより得た。
【0058】
これらの重合体についても重合体Aと同様にミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表1)に示した。
【0059】
【表1】
BaseMw :変性反応前の分子量 (Mw)
TotalMw :変性反応後の分子量 (Mw)
CPL :変性反応後のカップリング率(%)
Mw/Mn :変性反応後の分子量分布
BZAN:ベンジリデンアニリン
DMABZA:4−ジメチルアミノメチルベンジリデンアニリン
DMABMA:4−ジメチルアミノメチルベンジリデンメチルアミン
GPMOS :3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
GPEOS :3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
ECTMS :2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
TTC :四塩化スズ
TEOS :テトラエトキシシラン
TMEOS :テトラメトキシしラン
NTPOS :メチルトリフェノキシシラン
【0060】
分析結果のカップリング率より解るように従来のアルコキシシラン系カップリング剤であるTEOSを用いた比較例においてはは50%程度のポリマーがカップリングしてしまい分子量分布が拡大し好ましくない。またさらに分子量の設定を行う場合このカップリング反応をあらかじめ考慮しなければならないために、分子量のコントロールが困難となる事が分かる。これに対し本発明による手法を用いた実施例においては、結果より解るようにカップリング反応を全く伴わないために得られた重合体の分子量分布は非常に狭い値にコントロールされており又同じにカップリング反応による分子量の変化を考慮する事無しに分子量の設定が可能である事が理解できる。
【0061】
乾燥し、窒素置換された800ml の耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、ブタジエン単量体40g、スチレン単量体10g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.16mmolを注入し、これに0.55mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、50℃で2時間重合を行った。重合系は重合開始から終了まで、全く沈澱は見られず均一に透明であった。重合転化率はほぼ 00%であった。
【0062】
重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し、ゴム状共重合体を得た。この共重合体についてミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表2)に示した。
【0063】
この重合系にさらに第一段目の、末端変性剤としてベンジリデンアニリン0.55mmolを加えた後にさらに15分間変性反応を行った。この後重合系にさらにGPMOS0.55mmolを加え2段目の変性反応を15分間行った。その後重合系に2,6−ジ(t−ブチル)パラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することにより重合体Lを得た。得られた重合体の分析値を(表2)に示す。
【0064】
またこのn −ブチルリチウムの量および変性剤の種類と量をを表2に示される変性剤に置換することにより重合体M〜R、T〜Vを得た。
【0065】
なお、重合体Sは、重合終了後、変性反応を行なわずに、2,6−ジ(t−ブチル)パラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することにより得た。
【0066】
これらの重合体について、重合体Lと同様にミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表2)に示す。
【0067】
【表2】
BaseMw:変性反応前の分子量(Mw)
TotalMw:変性反応後の分子量(Mn)
Mw/Mn:変性反応後の分子量分布
CPL:変性反応後のカップリング率(%)
BZAN:ベンジリデンアニリン
DMABZA:4−ジメチルアミノメチルベンジリデンアニリン
DMABMA:4−ジメチルアミノメチルベンジリデンメチルアミン
GPMOS:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
GPEOS:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
ECTMS:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
TTC:四塩化スズ
TEOS:テトラエトキシシラン
TMEOS:テトラメトキシシラン
NTPOS:メチルトリフェノキシシラン
結果より解るように、先の例と同様に、主鎖のミクロ構造を変えた場合でも同様0結果が得られた。
【0068】
乾燥し、窒素置換された800ml の耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、ブタジエン単量体50g、テトラヒドロフラン(THF)1mmolを注入し、これに0.55mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、50℃で2時間重合を行った。重合系は重合開始から終了まで、全く沈澱は見られず均一に透明であった。重合転化率は、ほぼ100%であった。
【0069】
重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し、ゴム状重合体を得た。この重合体についてミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表3)に示す。
【0070】
この重合系にさらに第一段目の、末端変性剤としてベンジリデンアニリン0.55mmolを加えた後にさらに15分間変性反応を行った。この後重合系にさらにGPMOS0.05mmolを加え2段目の変性反応を15分間行った。その後重合系に2,6−ジ(t−ブチル)パラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することにより重合体Wを得た。得られた重合体の分析値を(表3)に示す。
【0071】
またこのn −ブチルリチウムの量および変性剤の種類と量をを表2に示される変性剤に置換することにより重合体X,Yを得た。
【0072】
結果より解るように、BRを主鎖として用いた場合においても本発明による方法を用いた場合カップリング反応を伴うことなく変性ポリマーを得る事ができる。
【0073】
【表3】
BaseMw :変性反応前の分子量 (Mw)
TotalMw :変性反応後の分子量 (Mw)
Mw/Mn :変性反応後の分子量分布
CPL :変性反応後のカップリング率(%)
BZAN:ベンジリデンアニリン
GPEOS :3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
TTC :四塩化スズ
TEOS :テトラエトキシシラン
【0074】
(ゴム組成物の調製)
上記のようにして得られた各々の重合体を用い、表4に示す配合に基づき、カーボン及び/又はシリカを充填剤としてゴム組成物を調製し、各ゴム組成物の物性の評価を行った。
【0075】
実施例1〜6、比較例1〜6
重合体A〜Kを用いて、表4示す配合1または2(充填剤はシリカ及びカーボンブラック)にて各ゴム組成物を調製し、その物性を評価した。結果を表5- に示す。ウェット特性、及び、摩耗特性は、比較例1(重合体G)をコントロールとした。
【0076】
【表4】
カーボンブラック:N339(HAF)
シリカ :日本シリカ工業(株)製、ニプシルAQ)
カップリング剤 :デグサ社製シランカップリング剤、Si69( ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
6C :N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
DPG :ジフェニルグアニジン
DM :メルカプトベンゾチアジルダイスルフィド
NS :N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
【0077】
【表5−1】
【0078】
実施例7〜12、比較例7〜11
重合体L〜Vを用いて、表4に示す配合3(充填剤はシリカ及びカーボンブラック)にて各ゴム組成物を調製し、その物性を評価した。結果を表5−2に示す。ウェット特性、および、摩耗特性は、比較例7(重合体G)をコントロールとした。
実施例13比較例12、13
重合体W〜Yを用いて、表4に示す配合3(充填剤はシリカ及びカーボンブラック)にて各ゴム組成物を調製し、その物性を評価した。結果を表5−3に示す。ウェット特性、および、摩耗特性は、比較例12(重合体X)をコントロールとした。
【0079】
【表5−2】
【0080】
本発明の共役ジエン系重合体A〜Fを用いている実施例1〜12は、低発熱性及び摩耗特性について比較例と比べた場合、本発明の範囲外である変性又は未変性のジエン系重合体G〜Kを用いている比較例2〜5、及び、7〜10に比べ、摩耗特性、低発熱性共に優れることが解る。また比較例2に示すように、従来の重合体Gに配合にてカップリング剤を用いた場合においても摩耗特性を改良する事が可能である。しかしながら本発明による重合体を使用した場合においてはたとえば実施例4に示されるように高価なカップリング剤を用いない場合においても、カップリング剤を用いた比較例とほとんど同等の摩耗特性を得る事ができる事が解る。また本発明による変性方法においては、変性反応時のカップリング反応を避けられるために分子量分布が狭く保たれるこのため、比較例の直接アルコキシシランを導入した重合体の例に対して低いTanδを得る事ができる。すなわち低ロス特性に優れる配合物を得る事ができる。
【0081】
さらにミクロ構造の異なる主鎖構造に導入しさらにNRブレンド系の配合を用いた場合においてもも実施例7〜12及び比較例7〜11に示されるように、本発明により製造される重合体は良好な摩耗/低ロス特性を示した。
またBR主鎖に導入した場合においても良好な破壊摩耗特性が得られることが表5−3に示される例より明らかである。
【0082】
【表5−3】
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、シリカ及びカーボンブラックの双方との相互作用性を高めた変性ジエン系重合体の製造方法、得られた重合体を提供できるため、該重合体を用いることにより、ゴム組成物の破壊特性、耐摩耗性、低発熱性を同時に高度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の方法によるアルコキシシラン変性のメカニズムである。
【図2】本発明の方法によるアルコキシシラン変性のメカニズムである。
Claims (11)
- 有機リチウム化合物を開始剤として有機溶媒中で重合した重合体であり、その重合活性末端に、下記式1で示されるメチレンアミノ基を有する化合物を反応させて、末端のカルバニオン構造をリチウムアミド構造に転換した後、分子内にエポキシ基を含有するアルコキシシラン化合物とを反応させてなる、末端にアルコキシシリル基を有する基及びアミノ基を含み、その分子量分布がGPC測定のMw/Mnにおいて1.4以下であることを特徴とする、主鎖が共役ジエン単量体の重合体、または共役ジエン単量体とモノビニル芳香族化合物との共重合体である重合体。
- 前記アルコキシシリル基を有する基が、アルコキシシリル基とグリシドキシアルキル基とが連結した連結基であり、該連結基に含まれるエポキシ基が前記アミノ基と付加反応するものであることを特徴とする請求項1に記載の重合体。
- 前記グリシドキシアルキル基が、グリシドキシプロピル基であることを特徴とする請求項2に記載の重合体。
- 前記アルコキシシリル基を有する基が、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又は2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシシランに含まれるエポキシ基が前記アミノ基と付加反応するものであることを特徴とする請求項1に記載の重合体。
- DSCにて測定したガラス転移点が−90℃〜−30℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重合体。
- 前記重合体の共重合に供する共役ジエン単量体及びビニル芳香族炭化水素単量体が各々ブタジエン及びスチレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の重合体。
- 前記アルコキシシリル基が重合系内で生成されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合体。
- 前記分子内にエポキシ基を含有するアルコキシシラン化合物が、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又は2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシシランである請求項1〜7のいずれかに記載の重合体。
- 前記メチレンアミノ基を有する化合物のR2がフェニル基または、ジメチルアミノフェニル基、であることを特徴とする請求項8に記載の重合体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の重合体をゴム成分中に30重量%以上含有し、かつこのゴム成分100重量部に対しシリカを10〜100重量部含有することを特徴とするゴム組成物。
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