以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、洗濯機として、洗濯から乾燥までの工程を行うことができる洗濯乾燥機を例に挙げて説明する。
なお、以下では、第1実施形態および第2実施形態を、第1参考形態および第2参考形態として説明する。
≪第1実施形態≫
図1に示すように、洗濯乾燥機1Aは、洗濯兼脱水槽8(内槽、図2参照)の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯機(縦型式洗濯乾燥機)である。この洗濯乾燥機1Aの筐体2の上部には上面カバー2aが設けられており、上面カバー2aには外蓋3が設けられている。外蓋3は、山型に折れ曲がりながら後ろ側に開くことにより、開口部2b(図2参照)を開口し、洗濯兼脱水槽8(図2参照)に衣類等(洗濯物)が出し入れ可能になっている。
上面カバー2aの奥側(後側)には、水道栓からの給水ホース接続口4および風呂の残り湯の吸水ホース接続口5が設けられている。上面カバー2aの手前側には、電源スイッチ6が設けられ、外蓋3の手前側には、操作スイッチ7aおよび表示器7bからなる操作パネル7が設けられている。
図2に示すように、洗濯乾燥機1Aは、筐体2内に、洗濯兼脱水槽8、外槽9、駆動装置10、洗剤・仕上剤の投入装置11、給水ユニット12A、乾燥ダクト20などを備えている。
洗濯兼脱水槽8は、有底円筒形状を呈し、ステンレス鋼板などで形成された胴板8aを有している。胴板8aには、通水および通風のための多数の貫通孔(図2参照、一部のみ図示)8a1が形成されている。洗濯兼脱水槽8は、内側底面に回転翼8bを備える。
外槽9は、有底円筒形状を呈し、洗濯兼脱水槽8を同軸上に内包し、その上部に外槽カバー9aを備えて構成されている。洗濯乾燥機1Aの使用者は、外蓋3および外槽カバー9aの蓋部材9cを開くことにより、開口部2bから洗濯兼脱水槽8内に洗濯物の出し入れを行うことができる。
駆動装置10は、外槽9の底面の外側中央に配置されている。この駆動装置10は、モータ10aとクラッチ機構10bとを有し、駆動装置10の回転軸10cが外槽9を貫通し、洗濯兼脱水槽8および回転翼8bと結合するように構成されている。クラッチ機構10bは、モータ10aの回転動力を洗濯兼脱水槽8および/または回転翼8bに伝達する機能を有する。モータ10aは、その回転を検出するホール素子あるいはフォトインタラプタなどで構成される回転検出装置28と、モータ10aに流れる電流を検出するモータ電流検出装置29を備える。
投入装置11は、上面カバー2aの手前側に備えられる。洗剤や仕上剤の投入は、投入ホース11aにより、外槽9と洗濯兼脱水槽8の間に行われる。
給水ユニット12Aは、上面カバー2aの奥側に設けられる。この給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水を投入装置11、後記する水冷除湿機構(図示せず)へ給水する。また、給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水や吸水ホース接続口5(図1参照)からの風呂水を、注水ホース11bを介して、外槽9と洗濯兼脱水槽8の間から外槽9内に注水することができる。また、給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水を洗浄ホース11cを介して、洗濯兼脱水槽8の上部に注水することができる。なお、給水ユニット12Aの詳細な説明は、図4を用いて後記する。
外槽9の底面に設けられた落込部9mは、下部連通管13と連通している。下部連通管13は、排水弁14を介して、洗濯水排水路15と連通するように接続されている。排水弁14を閉弁することにより、外槽9内に洗い水やすすぎ水を貯水可能となる。また、排水弁14を開弁することにより、外槽9内の水を、洗濯水排水路15を介して、洗濯乾燥機1Aの機外へ排水することができる。
また、下部連通管13は、筐体2の下部に設置された異物除去装置16および循環ポンプ17を介して洗濯水循環水路18(一部省略)と連通するように接続されている。また、洗濯水循環水路18は、洗濯兼脱水槽8より上側に設けられた糸くず除去装置(図示せず)と連通するように接続されている。
循環ポンプ17を駆動すると、外槽9内の水が、落込部9mおよび下部連通管13を介して異物除去装置16に流入し異物が除去され、循環ポンプ17の吸込口に流入する。循環ポンプ17から送られた水は、洗濯水循環水路18を介して糸くず除去装置に流入し糸くずが除去され、糸くずが除去された水(循環水)は洗濯兼脱水槽8内に上部から散布するように注水される。
乾燥ダクト20は、筐体2の背面内側に縦方向に設置され、ダクト下部は外槽9の落込部9mとゴム製の蛇腹管20aによって接続されている。乾燥ダクト20内には、水冷除湿機構(図示せず)を内蔵しており、給水ユニット12Aから水冷除湿機構へ冷却水を供給する。冷却水は乾燥ダクト20の壁面(ステンレス製などの金属プレート)を伝わって流下して落込部9mに入り、下部連通管13、洗濯水排水路15を通り機外へ排出される。
乾燥ダクト20の出口はファン21の吸気口と接続され、ファン21の出口はヒータ22と接続されている。ヒータ22の出口は、送風ダクト23およびゴム製の蛇腹管23aを介して、吹出ノズル24と接続されている。
このように、乾燥工程においては、外槽9内の空気を乾燥ダクト20で水冷除湿してファン21の吸込口から吸込し、ファン21から吐出された空気をヒータ22で加熱して、高温低湿の風を吹出ノズル24から洗濯兼脱水槽8内に向けて吹き出すことができる。
なお、図示していないが、送風ダクト23には、乾燥運転中に洗濯兼脱水槽8内に向けて吹き出される風の温度を検出する温度センサ、外槽9の落込部9mには、洗濯水の温度や、乾燥運転中に乾燥ダクト20に吸い込まれる空気の温度を検出する温度センサ、下部連通管13と排水弁14の間には、洗濯水の温度や、乾燥運転中に洗濯水排水路15から機外に排出される空気の温度を検出する温度センサ、外槽9の側面上部には、外槽9の振動による振動加速度を検知する加速度センサが設けられている。また、外槽9に溜められた洗濯水の水位を検出する水位センサ(図示せず)を備えている。
図3に示すように、洗濯兼脱水槽8は、胴板8aの上端縁部に合成樹脂などで形成されたバランスリング(流体バランサともいう)8cを備えている。このバランスリング8cは、その内部に比重の大きな流体を封入して構成され、洗濯兼脱水層8の回転時に洗濯物の偏り等によって偏心が生じたときに、バランスリング8c内での流体の移動によって偏心をキャンセルし、回転のバランスを維持する働きを有する。
外槽カバー9aは、略半円形状の投入口9bを有し、外槽9の上端縁部に取り付けられる。なお、投入口9bには、開閉可能に取り付けられた蓋部材9c(図2参照)が設けられている。また、外槽カバー9aの奥側(後側)には、洗濯水循環水路18(図2参照)の端部が接続される接続口9d、蛇腹管23a(図2参照)が接続される接続口9e、後記する槽洗浄用の洗浄ホース11cが接続される接続口9fが設けられている。なお、図2と重複する部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、給水ユニット12Aは、洗剤給水電磁弁12aと、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁12bと、冷却水給水電磁弁12cと、外槽給水電磁弁12dと、切替電磁弁12eと、風呂水ポンプ12fと、給水経路ユニット30と、を備えている。
洗剤給水電磁弁12aは、給水ホース接続口4からの水道水を、入水口(図示せず)から給水経路ユニット30内を通り、出水口32に接続されるホース12i(図2参照)を介して、投入装置11(図2参照)の洗剤投入室(図示せず)に給水する。洗剤投入室に注水された水道水は、投入された洗剤とともに、投入ホース11a(図2参照)を介して、外槽9内に注水される。
仕上剤/槽洗浄給水電磁弁12bは、給水ホース接続口4からの水道水を、入水口33から給水経路ユニット30内を通り、出水口34に接続される洗浄ホース11cを介して後記する水路部材50に給水する。
また、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁12bは、切替電磁弁12eの開弁時に、給水ホース接続口4からの水道水を、入水口33から給水経路ユニット30内を通り、出水口35に接続されるホース12jを介して、投入装置11(図2参照)の仕上剤投入室(図示せず)に給水する。仕上剤投入室に注水された水道水は、投入された仕上剤とともに、投入ホース11a(図2参照)を介して、外槽9内に注水される。
冷却水給水電磁弁12cは、給水ホース接続口4からの水道水を、図示しないホースを介して、乾燥ダクト20(図2参照)の水冷除湿機構(図示せず)に給水する。
外槽給水電磁弁12dは、給水ホース接続口4からの水道水を、流路12hに接続される注水ホース11b(図2参照)から外槽9内に給水する。
切替電磁弁12eは、仕上剤用として給水するかを切り替えるものである。
なお、風呂水ポンプ12fで汲み上げられた吸水ホース接続口5からの風呂水は、流路12hに合流して接続される注水ホース11b(図2参照)から外槽9内に給水する。
図5に示すように、外槽カバー9aには、水路部材50が複数のねじ60を介して外槽カバー9aの下面に固定される。この水路部材50は、合成樹脂などで略円形に形成され、凹面が外槽カバー9a側を向くようにして形成された凹条の水路50sを有している。また、水路部材50は、外槽カバー9aの周縁部に沿って周回する(ひとまわりする)よう配設される。
また、水路部材50は、ねじ固定のための複数の取付部51,52を備えている。この取付部51は、内方(径方向内側)に突出して形成された山型の片部51aを有し、この片部51aに鉛直方向に貫通するねじ挿通孔51bが形成されて構成されている。取付部52は、外方に形成された片部52aを有し、この片部52aに鉛直方向に貫通するねじ挿通孔52bが形成されて構成されている。本実施形態では、それぞれ6個の取付部51および取付部52が周方向に間隔を置いて、かつ、取付部51と取付部52が交互に配置されるように構成されている。
また、水路部材50は、取付部52が形成される位置では、水路50sが内方に突出して蛇行するように形成されている。したがって、水路部材50の外周縁部は、ほぼ円となるように形成されている。このように、水路部材50の外側に突出する部分を無くすことで、水路部材50を外槽カバー9aの外周縁部により近い側に配置することができ、洗濯兼脱水槽8と外槽9との隙間に対向する位置に水路部材50を好適に配置することができる。
図6(a)に示すように、水路部材50の内側面50bには、24個の側面側散水口50b1が周方向に間隔を置いて形成されている(一部のみ図示)。図6(b)に示すように、水路部材50の底面50aには、4個の底面側散水口50a1が周方向に間隔を置いて形成されている。
図7に示すように、底面側散水口50a1は、内側を向くように底面50aに鉛直方向に対して傾斜するように貫通している。底面側散水口50a1および側面側散水口50b1は、それぞれ本実施形態の個数に限定されるものではなく、洗濯乾燥機1Aの種類や内部の構造に応じて適宜増減することができる。
図8に示すように、外槽カバー9aの外周縁部の下面には、水路部材50が収容され、下側が開放されている凹部9a1が周方向に沿って形成されている。また、凹部9a1の底面9a2には、2本の溝9a3,9a4が、水路部材50の内側面50b、外側面50cに対応する位置に形成されている。この溝9a3,9a4にシール部材(図示せず)を注入して、溝9a3,9a4に内側面50b、外側面50cを付き合わせた状態において、取付部51,52を外槽カバー9aにねじ固定することによって水路部材50が外槽カバー9aに対して水密に固定される。また、このとき、水路部材50の側面側散水口50b1は、凹部9a1の側壁部9a5と対向している。
このようにして水路部材50を外槽カバー9aに取り付けることで、本実施形態では、水路部材50が、洗濯兼脱水槽8(バランスリング8c)と外槽9との間の隙間Tに対応する位置に配置される。なお、本実施形態では、水路部材50の底面50a、内側面50bおよび外側面50cと、この水路部材50の凹面が対向する外槽カバー9aの底面9a2とで囲まれる空間が給水経路に相当する。
なお、水路部材50は、水路50sがひと続きで形成されるものに限定されず、円弧状に形成された水路部材を複数組み合わせて、円形状に形成したものでもよい。その場合には、組み合わせた個数分の接続口9fを外槽カバー9aに設ける必要がある。
図9に示すように、洗濯乾燥機1Aは、制御装置100を備える。制御装置100は、マイコン110を中心に構成される。マイコン110は、運転パターンデータベース111、工程制御部112、回転速度算出部113、衣類重量算出部114などを備える。
マイコン110は、操作スイッチ7aから入力された運転コースにあった運転パターンを呼び出し、洗濯または/および乾燥を開始する機能を有する。
工程制御部112は、運転パターンデータベース111から呼び出された運転パターンに基づき、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、槽洗浄工程、乾燥工程の各工程を運転制御する機能を有する。各工程において、工程制御部112は、それぞれ駆動回路を介して、給水ユニット12A(給水電磁弁12a〜12d、切替電磁弁12e)、排水弁14、モータ10a、クラッチ機構10b、ヒータ22、ファン21、循環ポンプ17を駆動制御する機能を有する。
回転速度算出部113は、モータ10aの回転を検出する回転検出装置28からの検出値に基づき、モータ10aの回転速度を算出する機能を有する。
衣類重量算出部114は、回転速度算出部113で算出された回転速度と、モータ電流検出装置29の検出値に基づいて、洗濯兼脱水槽8内の衣類の重量を算出する機能を有する。衣類の重量が増加することにより洗濯兼脱水槽8を回転させるための負荷が大きくなり、モータ10aに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータ10aのモータ電流と回転速度により衣類の重量を算出することができる。
次に、第1実施形態に係る洗濯乾燥機1Aの動作について図10ないし図12を参照して説明する。図10は第1実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の給水ユニットから洗濯機(洗濯乾燥機)までの経路を示す概略図、図11は第1実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の運転工程を説明する工程図、図12は第1実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の槽洗浄時の水の流れを示す模式図である。なお、図11に示す洗濯運転は、洗い→すすぎ→槽洗浄→脱水→槽洗浄→(乾燥)の運転工程を説明する工程図である。
図10に示すように、洗濯乾燥機1Aでは、外槽給水電磁弁12d(メイン)が開弁されると、水道水が注水ホース11bを介して外槽9内に注水される。洗剤給水電磁弁12aが開弁されると、水道水がホース12i、投入装置11、投入ホース11aを介して外槽9内に供給される。仕上剤/槽洗浄給水電磁弁12bおよび切替電磁弁12eが開弁されると、水道水がホース12j、投入装置11、投入ホース11aを介して外槽9内に供給される。また、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁12bが開弁されると、水道水が洗浄ホース11cを介して水路部材50に給水される。冷却水給水電磁弁12cが開弁されると、水道水が図示しないホースを介して乾燥ダクト20内の水冷除湿機構(図示せず)に供給される。
図11に示すように、布量センシング工程S1では、工程制御部112が洗濯兼脱水槽8を回転させ、衣類重量算出部114が注水前の衣類について布量を算出する。
給水工程S2では、工程制御部112が外槽給水電磁弁12dを開弁し、水道水を注水ホース11bを介して外槽9と洗濯兼脱水槽8の間から外槽9内に注水する。また、工程制御部112は、外槽給水電磁弁12dが開弁されてから所定時間経過後に閉弁する。
洗剤とかし工程S3では、工程制御部112が洗剤給水電磁弁12aを開弁し、水道水を投入装置11の洗剤投入室(図示せず)に給水する。洗剤投入室に注水された水道水は、投入された洗剤とともに、外槽9内に注水される。また、工程制御部112は、洗剤給水電磁弁12aが開弁されてから所定時間経過後に洗剤給水電磁弁12aを閉弁する。
回転給水工程S4では、工程制御部112が外槽給水電磁弁12dを開弁して外槽に給水し、洗濯兼脱水槽8および/または回転翼8bを回転させながら、循環ポンプ17を駆動して、高濃度の洗剤溶液を糸くず除去装置19から洗濯兼脱水槽8内の衣類に散布する。
前洗い工程S5では、高濃度の洗剤溶液で衣類を洗う。
布質センシング工程S6では、まず、衣類重量算出部114が、水を含んだ状態の衣類の重量を算出する。そして、布量センシング工程S1で算出した衣類の重量と布質センシング工程S6で算出した水を含んだ状態の衣類の重量から、衣類の布質(吸水性)を判断する。判断された衣類の布質に従って以下の工程が制御される。
給水工程S7では、工程制御部112が、布量センシング工程S1で算出した衣類の重量と、布質センシング工程S6で判断した衣類の布質に合わせて外槽9の内部に給水する。
本洗い工程S8では、工程制御部112が、回転翼8bを回転して、衣類を洗う。なお、図示していないが、本洗い工程S8では、回転翼8bを正方向逆方向に交互に回転させ衣類をほぐす運転も行う。また、工程制御部112は、この本洗い工程とほぐし工程を数回繰り返す。本洗いが終了すると、衣類のアンバランス状態を監視し、脱水に移行するか否かを判断する。
排水工程S9では、工程制御部112が、排水弁14を開弁し、外槽9内の洗い水を排水する。
脱水工程S10では、排水終了後、工程制御部112が、洗濯兼脱水槽8を回転させて衣類に含まれる水(洗い水)を脱水する。
回転シャワー工程S11では、工程制御部112が、排水弁14を閉弁、外槽給水電磁弁12dを開弁して、外槽9にすすぎ水を供給する。そして、洗濯兼脱水槽8を回転させつつ、循環ポンプ17を駆動して、すすぎ水を糸くず除去装置19から洗濯兼脱水槽8内の衣類に散布する。
脱水工程S12では、工程制御部112が、洗濯兼脱水槽8を回転させつつ、循環ポンプ17を停止させて、衣類からすすぎ水を脱水する。
回転シャワー工程S13では、工程制御部112が、洗濯兼脱水槽8を回転させつつ、再び循環ポンプ17を駆動して、すすぎ水を糸くず除去装置19から洗濯兼脱水槽8内の衣類に散布する。
排水工程S14では、工程制御部112が、洗濯兼脱水槽8および循環ポンプ17を停止させて、排水弁14を開弁し、外槽9内のすすぎ水を排水する。
脱水工程S15では、排水終了後、工程制御部112が、洗濯兼脱水槽8を回転させて衣類に含まれる水(すすぎ水)を脱水する。
給水工程S16では、工程制御部112が、排水弁14を閉弁、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁12bおよび切替電磁弁12eをそれぞれ所定時間開弁して、外槽9に仕上剤を含むすすぎ水を供給する。また、給水工程S16では、工程制御部112が、外槽給水電磁弁12dを開弁して、外槽9にすすぎ水を供給する。
ほぐし工程S17では、工程制御部112が、回転翼8bを正方向逆方向に交互に回転させ衣類をほぐす運転を行う。
かくはん工程S18では、工程制御部112が、外槽9にすすぎ水を溜めた状態で洗濯兼脱水槽8を回転させて衣類を攪拌しつつすすぐ。
槽洗浄シャワー工程S19では、工程制御部112が、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁12bを開弁して、水路部材50に洗浄水(水道水)を供給する。このとき、工程制御部112は、洗濯兼脱水槽8を、前記回転給水工程S4、回転シャワー工程S11,S13での回転速度(35rpm)よりも脱水工程時の回転速度よりも低い回転速度(80〜130rpm)で所定時間(例えば、90秒)回転させる。なお、洗濯兼脱水槽8を回転させるパターンとしては、常に正方向に回転させる手段に限定されず、逆方向も取り入れて回転させるようにしてもよく、適宜変更することができる。
これにより、図12に示すように、水路部材50の側面側散水口50b1から水道水が吐出されると、実線矢印で示すように、外槽カバー9aに形成された凹部9a1(図8参照)の底面9a2に当たり、そして洗濯兼脱水槽8のバランスリング8cの外周縁部上面8c1に降りかかる。このとき、洗濯兼脱水槽8は高速で回転しているで、バランスリング8cの外周縁部上面8c1に降りかかった水道水は、洗濯兼脱水槽8の回転時の遠心力によって外槽9の内周面9sに向けて吹き飛ばされる。外槽9の内周面9sまで飛ばされた水道水は、重力の作用により外槽9の内周面9sを鉛直方向下方に向けて流れ落ちる。また、水路部材50に側面側散水口50b1が複数形成されるとともに遠心力によって吹き飛ばされるので、外槽9の上部において、その内周面9sの全体に水道水が吹き付けられ、その後下方に流れ落ちる。したがって、外槽9の内周面の上部から下部までの全体に水道水が流れることになる。よって、外槽9の内周面の全体の汚れやゴミが取り除かれ、また汚れやゴミの付着を抑制することができる。
また、図12に示すように、水路部材50の底面側散水口50a1から水道水が散水されると、洗濯兼脱水槽8の上部(バランスリング8c)の外周面8sに吹き付けられる。外周面8sに吹き付けられた水道水は、重力の作用により洗濯兼脱水槽8の外周面8sを鉛直方向下方に向けて流れ落ちる。なお、側面側散水口50b1から外周縁部上面8c1に滴下した水道水の一部も、図12において細い破線で示すように、重力の作用により、洗濯兼脱水槽8の外周面8sを下方へと流れ落ちる。
このようにして、水路部材50の側面側散水口50b1と底面側散水口50a1から水道水を洗濯兼脱水槽8の上部(外周縁部)に散水することにより、外槽9の内周面9sおよび洗濯兼脱水槽8の外周面8sに対する汚れやごみの付着を抑制することができる。
また、この槽洗浄シャワー工程S19では、給水工程S16にて給水された水道水が外槽9の底に溜められた状態で洗濯兼脱水槽8を高速で回転させるので、洗濯兼脱水槽8の外側の底面に付着した汚れやゴミを除去することができ、また汚れやゴミが付着するのを抑制することができる。
図11に戻って、槽洗浄シャワー工程S19が終了すると、工程制御部112は、衣類のアンバランス状態を監視し、最終脱水に移行するか否かを判断する。
排水工程S20では、工程制御部112が、排水弁14を開弁し、外槽9内のすすぎ水を排水する。
脱水工程S21では、排水終了後、工程制御部112が、洗濯兼脱水槽8を高速で回転させて衣類に含まれる水分を取り除く。
なお、洗濯から乾燥までの一連の運転を行うモードが設定されている場合には、脱水工程S21後に乾燥工程S22を行う。乾燥工程S22では、工程制御部112が、冷却水給水電磁弁12cを開弁して、ヒータ22を通電し、ファン21を駆動させる。乾燥工程(S22)終了後、ユーザが外蓋3および蓋部材9cを開いて衣類を取り出し、蓋部材9cおよび外蓋3を閉め、所定のボタン(例えばスタートボタン)を押すことで、以下の槽洗浄シャワー工程S23が開始される。
槽洗浄シャワー工程S23では、前記槽洗浄シャワー工程S19と同様にして、洗濯兼脱水槽8の外周面8sや外槽9の内周面9sに水路部材50から水道水を散水する。
なお、槽洗浄シャワー工程S19,S23は、洗濯乾燥機1Aに設けられたスイッチによってON/OFFを設定できるようになっている。
以上説明したように、第1実施形態に係る洗濯乾燥機1Aでは、外槽カバー9aに、洗濯兼脱水槽8の周方向に延びる給水経路(水路部材50)が設けられ、この給水経路に給水ユニット12A(給水手段)から供給された水道水を洗濯兼脱水槽8の上部(外周縁部上面8c1)に散水する側面側散水口50b1が設けられている。これによれば、洗濯兼脱水槽8の回転時に水路部材50に給水することで、外槽9の内周面9sに水道水を吹き飛ばすことで、外槽9の内周面9sに付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミの付着を抑制することができる。このようにして汚れやゴミの付着を抑制できることで、カビの繁殖や異臭の発生を抑制することが可能になる。さらに、洗濯中の洗濯物へのゴミの付着も防止または抑制することができる。
また、第1実施形態では、洗濯兼脱水槽8の外周面8s(バランスリング8cの外周面)に散水する底面側散水口50a1が設けられているので、洗濯兼脱水槽8の外周面8sに付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミの付着を抑制することができる。このようにして汚れやゴミの付着を抑制できることで、カビの繁殖、異臭発生を抑制でき、また洗濯中の洗濯物へのゴミの付着を防止、抑制できる。
また、工程制御部112が槽洗浄シャワー工程S19,S23を実行するタイミングを制御することで、使用水量を抑えることができる。つまり、すすぎ工程と脱水工程の間に行うことにより、きれいな状態の水道水で洗浄化できるので、槽洗浄を効率的に行うことができる。
また、水道水を遠心力によって吹き飛ばして外槽9の内周面を清浄化することで、水道水を勢いよく吹き付けて洗浄する場合よりも使用水量を減らすことができる。
≪第2実施形態≫
図13は第2実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)を示す概略図、図14は第2実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の水路部材を示す概略図、図15は第2実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の水路部材の変形例を示す概略図である。
図13に示すように、洗濯乾燥機(洗濯機)1Bは、第1実施形態と同様に、縦型式洗濯乾燥機であり、第1実施形態に係る給水ユニット12Aに替えて給水ユニット12Bを備えたものである。給水ユニット12Bは、メイン(外槽給水)用としての外槽給水電磁弁12m、仕上剤給水電磁弁12n、冷却水給水電磁弁12o、槽洗浄給水電磁弁12pを備えている。
外槽給水電磁弁12mは、制御装置100(工程制御部112)によって開弁されることにより、給水ホース接続口4からの水道水を、投入装置11の洗剤投入室(図示せず)を通って外槽9内に給水するように構成されている。
仕上剤給水電磁弁12nは、制御装置100(工程制御部112)によって開弁されることにより、給水ホース接続口4からの水道水を、投入装置11の仕上剤投入室(図示せず)を通って外槽9内に給水するように構成されている。
冷却水給水電磁弁12oは、制御装置100(工程制御部112)によって開弁されることにより、給水ホース接続口4からの水道水を、図示しないホースを介して、乾燥ダクト20(図2参照)の水冷除湿機構(図示せず)に給水するように構成されている。
槽洗浄給水電磁弁12pは、制御装置100(工程制御部112)によって開弁されることにより、給水ホース接続口4からの水道水を、水路部材50(給水経路)に水道水を供給するように構成されている。
なお、給水ユニット12Bは、給水ホース接続口4と接続され、各給水電磁弁12m,12n,12o,12pの開閉によって、水道水が適切な位置を流れるように給水経路ユニットが構成されている。
第2実施形態における給水経路は、第1実施形態と同様に、水路部材50と外槽カバー9aによって構成され、例えば、水路部材50の底面50aに底面側散水口50a1が周方向に沿って間隔を置いて形成されたものである。
図14に示すように、水路部材50は、底面側散水口50a1と、洗濯兼脱水槽8の外周縁部上面8c1とが対向するように配置されている。これにより、底面側散水口50a1から散水された水道水は、実線矢印で示すように、洗濯兼脱水槽8の上部(バランスリング8cの外周縁部上面8c1)に直接的に散水される。このとき、洗濯兼脱水槽8が回転することで、洗濯兼脱水槽8の回転時の遠心力によって水道水が外槽9の内周面9sに飛散する。外槽9の内周面9sに降りかかった水道水は、重力の作用によって鉛直方向下方に向けて流れ落ちる。これにより、外槽9の内周面9sに付着した汚れやゴミが取り除かれ、また内周面9sに汚れやゴミが付着するのを抑制することができる。
また、図15に示すように、水路部材50の外側面50cに複数の側面側散水口50c1が周方向に沿って間隔を置いて形成されていてもよい。これにより、側面側散水口50c1から散水された水道水は、実線矢印で示すように、外槽9の内周面9sに直接に散水される。内周面9sに散水された水道水は、重力の作用によって内周面9sを鉛直方向下方に流れ落ち、内周面9sに付着した汚れやゴミが取り除かれ、または内周面9sに汚れやゴミが付着するのを抑制することができる。
また、内周面9sに散水された水道水は、洗濯兼脱水槽8(バランスリング8c)側に向けて飛び散って、洗濯兼脱水槽8の外周面8sに付着する。外周面8sに付着した水道水は、洗濯兼脱水槽8の回転時の遠心力と重力の作用によって外周面8sを鉛直方向に傾斜しながら下方に向けて流れ落ちる。これにより、洗濯兼脱水槽8の外周面8sに付着した汚れやゴミが取り除かれ、また外周面8sに汚れやゴミが付着するのを抑制することができる。
前記した第1実施形態および第2実施形態では、第1参考形態および第2参考形態として説明したが、以下では、第3実施形態を、本実施形態として説明する。
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係る洗濯乾燥機1Cについて図16ないし図24を参照して説明する。図16は第3実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の外観斜視図、図17は第3実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の内部構成を示す概略図、図18は第3実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の手前側に設けられる水路部材の配置を示す平面図、図19は外槽カバーに設けられる水路部材を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)は下面図、図20は第3実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の前側に設けられる水路部材の配置を示す平面図、図21は第3実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の後側の水路部材を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、図22は第3実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の前側の水路部材による水の流れを示す拡大断面図、図23は第3実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の後側の水路部材による水の流れを示す拡大断面図、図24は第3実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の槽洗浄時の全体の水の流れを示す模式図である。
図16に示すように、第3実施形態の洗濯乾燥機1Cは、ドラム式の洗濯乾燥機であり、筐体2A、破線で示す回転ドラム(内槽)8A(図17参照)、外槽9A(図17参照)、水路部材50A,50B(給水経路)、駆動装置10A(駆動装置、図17参照)などを備え、筐体2Aに操作パネル7Aが設けられて構成されている。なお、水路部材50A,50Bには、給水ユニット12Cから分岐ホース11c1、11c2を介してそれぞれに給水されるようになっている(図24参照)。
筐体2Aは、外郭が鋼板と樹脂成型品とを組み合わされるとともにベースBsの上に取り付けられて構成されている。筐体2Aの前面の略中央には、衣類など(洗濯物、乾燥対象物)を出し入れするための投入口を塞ぐドア3Aが、開閉可能に支持されて構成されている。ドア3Aの近傍には、ドア3Aのロック機構(図示せず)を解除するドア開放ボタン3aが設けられている。
操作パネル7Aの右側には、電源をON/OFFする電源スイッチ6Aが設けられている。操作パネル7Aの左側には、洗剤や柔軟剤などを投入する引き出し式のトレイF1が設けられ、操作パネル7Aの右側には、引き出し式の乾燥フィルタF2が設けられている。乾燥フィルタF2は、メッシュ式のフィルタを備えており、乾燥運転時に糸くずや埃などが除去されるようになっている。また、筐体2Aの上面には、水道栓と接続される給水ホース接続口4A、風呂の残り湯を汲み上げるホースが接続される吸水ホース接続口5Aが設けられている。
図17に示すように、破線で示す回転ドラム8A(内槽)は、筐体2A内に設けられ、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽として機能するようになっている。この回転ドラム8Aは、前側(手前側)端面に衣類を出し入れするための開口部8dを有するとともに、その周壁および底壁(奥側)に通水および通風のための多数の貫通孔8a1(図22および図23参照)を有している。開口部8dの縁部には、回転ドラム8Aと一体のバランスリング8eが設けられている。また、回転ドラム8Aの内周壁には、奥行き方向(軸方向)に延びるリフタ8fが複数個設けられており、洗濯、乾燥時に回転ドラム8Aが回転すると、衣類などがリフタ8fと遠心力で周壁に沿って持ち上がり、重力で落下する動きを繰り返すようになっている。なお、回転ドラム8Aの回転中心は、開口部8d側が高くなるように傾斜している。
外槽9Aは、回転ドラム8Aを同軸上に内包するとともに前面が開口した円筒状に形成され、内部が洗濯室および乾燥室として機能するようになっている。外槽9Aの前面の開口には、合成樹脂製の外槽カバー9hが設けられ、外槽9A内への貯水を可能としている。外槽カバー9hの前側(手前側)中央には、衣類などを出し入れするための開口部9h1が形成されている。この開口部9h1と図示しない補強部材に設けた開口部は、ゴム製のパッキンで接続されている。このパッキンは、外槽9Aとドア3Aとの水密性を維持する役割を果たしている。これにより、洗い、すすぎおよび脱水時の水漏れの防止が図られている。外槽9Aの底面には、排水口9iが設けられ、排水ホースHが接続されている。
また、外槽9Aの下部は、下側をベースBsに固定された複数の防振手段F3(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽9Aの上部は、上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽9Aの前後方向への倒れを防ぐように構成されている。
排水ホースHの途中には、排水弁14Aが設けられ、この排水弁14Aを閉じて給水することで外槽9A内に水が溜められ、排水弁14Aを開くことで外槽9A内の水が機外へ排出される。
駆動装置10Aは、回転ドラム8Aを回転駆動するものであり、外槽9Aの背面中央に設けられている。なお、駆動装置10Aの回転軸10gは、外槽9Aを貫通し、回転ドラム8Aの背面に設けられた金属製フランジ10hと結合している。
また、洗濯乾燥機1Cは、筐体2Aの内部に送風ダクト(送風路)20Aを備えている。送風ダクト20Aは、外槽9Aの背面側を上下方向(鉛直方向)に延びる後ダクト20bと、外槽9Aの上面側を後方から前方に延びる上ダクト20cとを有している。後ダクト20bの下部は、外槽9Aの背面下部に設けられた出口9jが柔軟構造のベローズ20dを介して略水平に接続されている。なお、後ダクト20b内には、水冷除湿機構(図示せず)が設けられている。
上ダクト20cの下流側には、送風手段としてのファン21Aと加熱手段としてのヒータ22Aとを備えた送風ファンユニットが設けられている。送風ファンユニットが作動すると、ファン21Aの吸引力によって上ダクト20cから送風ファンユニット内に空気が取り込まれ、ヒータ22Aを通過することにより、取り込まれた空気が加熱されて、送風ファンユニットの吐出口(図示せず)から排出される。また、空気が後ダクト20bを通過する際、図示しない水冷除湿機構によって冷却されて除湿が行われる。送風ファンユニットから排出された加熱空気は、温風ダクト20k、ベローズ20l、吹き出しノズル20mを介して回転ドラム8A内に供給されるようになっている。
図18は、外槽カバー9hを内側から見た状態である。
図18に示すように、外槽カバー9h(外槽9Aの手前側)には、槽洗浄用として水道水を散水する水路部材50Aが取り付けられる。この水路部材50Aは、略弓形形状(円弧形状)を呈し、外槽カバー9hの内面9kの上部に周方向に沿って、換言すると回転ドラム8A(図17参照)の周方向に沿って配置されている。また、水路部材50Aは、円周の四分の1程度の長さで形成され、中央から左右に同様の長さで延びるように配設されている。
図19(a)に示すように、水路部材50Aの前面(側面)50dには、周方向に間隔を置いて複数の散水口50b2が形成されている。本実施形態では、9個の散水口50b2が形成されているが、9個未満であっても、10個以上であってもよい。また、水路部材50Aの上面50eには、長さ方向の中央部に給水口50f1が形成されている。
図19(b)に示すように、水路部材50Aの左右両端には、散水口50c2が形成されている。この散水口50c2は、左右側方に散水されるように構成されている。
図19(c)に示すように、水路部材50Aの上面50eには、複数の取付部51Aが周方向に間隔を置いて後方に突出するように形成されている。取付部51Aは、矩形状の片部51aを有し、この片部51aにねじ挿通孔51bが形成されて構成されている。また、各取付部51は、上面50eと面一になるように形成されている。
図19(d)に示すように、水路部材50Aの底面50fには、給水口50f1と対向する位置に散水口50a2が形成されている。なお、本実施形態では、散水口50a2は1個のみ設けられているが、複数個所に設けられていてもよい。
図20は、外槽カバー9hを取り外した外槽9A内を前側(手前側)から見た状態である。
図20に示すように、外槽9Aの底面(奥側の面)9tには、槽洗浄用として水道水を散水する水路部材50Bが取り付けられる。この水路部材50Bは、略弓形状(円弧形状)を呈し、外槽9Aの底面9t(奥側の面)の上部に周方向に沿って、換言すると回転ドラム8A(図17参照)の周方向に沿って配置されている。また、水路部材50Bは、円周の四分の1程度の長さで形成され、中央から左右に同様の長さで延びるように配設されている。
図21(a)に示すように、水路部材50Bの前面(側面)50gには、散水口50b3,50b3が形成されている。また、水路部材50Bは、その上面と下面に交互に周方向に間隔を置いて取付部51Bが形成されている。この取付部51Bは、矩形状の片部51aを有し、この片部51aにねじ挿通孔51bが形成されて構成されている。
図21(b)に示すように、水路部材50Bの背面(側面)50hには、複数の散水口50b4が周方向に間隔を置いて形成されている。散水口50b4は、水路部材50Bの周方向に間隔を置いて形成されている。また、水路部材50Bの前記取付部51Bは、背面50hと面一に形成されている。
なお、第3実施形態に係る洗濯乾燥機1Cでは、第1実施形態と同様にして各工程が実行される。すなわち、外槽9Aに水道水を溜めた状態で、回転ドラム8Aを洗い時の回転速度よりも高く、脱水時の回転速度よりも低い回転速度(80〜130rpm)で回転させる。
図22に示すように、水路部材50Aは、外槽カバー9h内に回転ドラム8Aの周方向(図示奥側と手前側)に延びて配設される。なお、本実施形態における外槽カバー9hは、回転ドラム8Aの前端部のバランスリング8eの周面を覆うように配置され、前側に向かうにつれて縮径する傾斜面9h2を有している。また、回転ドラム8Aの胴板8fは、水路部材50Aの位置において縮径する絞り部8vを有しており、この絞り部8vにバランスリング8eが取り付けられている。また、水路部材50Aの給水口50f1は、外槽カバー9hを貫通して、外槽カバー9hから上方に突出している。この給水口50f1には、図示しない給水ユニットから水道水がホースを介して供給される。
このようにして構成された洗濯乾燥機1Cでは、水路部材50Aの前面50dに形成された散水口50b2から、外槽カバー9h(外槽9A)の内周面9sに向けて散水される。内周面9sに散水された水道水は、実線矢印で示すように、外槽カバー9hの内周面9sの表面を重力の作用によって流れ落ちる。また、水路部材50Aの底面50fに形成された散水口50a2からは、実線矢印で示すように、回転ドラム8Aの上部(絞り部8v)に散水される。絞り部8vに散水された水道水は、回転ドラム8Aの遠心力によって外槽カバー9h(外槽9A)の内周面9sに飛び散り、また絞り部8vよりも後方の外槽9Aや回転ドラム8Aの外周面8sに飛び散って後方へ流れる。
また、図23に示すように、水路部材50Bは、外槽9Aの底面9tに回転ドラム8Aの周方向(図示奥側と手前側)に延びて配設される。また、水路部材50Bは、その背面50hと底面9tとの間に散水口50b4から底面9tに散水可能となる隙間が形成されるように配設されている。本実施形態における回転ドラム8Aは、底面8tの外周縁部に環状のフランジ部8t1が後方に向けて突出して形成され、このフランジ部8t1内に合成樹脂製の底板8uが固定されている。
このようにして構成された洗濯乾燥機1Cでは、水路部材50Bの背面50hに形成された散水口50b4から、実線矢印で示すように外槽9Aの底面9tに向けて水道水が散水される。底面9tに散水された水道水は、重力の作用によって下方に向けて流れ落ちる。また、水路部材50Bの前面50gに形成された散水口50b3,50b3(図20、図21参照)からは、破線矢印で示すように回転ドラム8Aの底板8uに向けて散水される。底板8uに散水された水道水は、回転ドラム8Aが回転することによって底板8uの外周面全体に散水される。
図24に示すように、水路部材50Aには、外槽カバー9hの内周面9sに向けて散水される散水口50b2が周方向に沿って複数形成されているので、各散水口50b2から散水された水道水は、重力の作用によって外槽カバー9hの内周面9sを鉛直方向の下方へと流れ落ちる。また、水路部材50Aの両端部に形成された散水口50c2からは、外槽カバー9hの内周面9sに向けて散水されるので、外槽カバー9hの左右両端部の内周面9sに対しても散水できる。したがって、外槽カバー9hの内周面全体に水道水を流すことが可能になる。
また、水路部材50Aには、回転ドラム8Aの前端上部に向けて散水される散水口50a2が形成されているので、散水口50a2から散水された水道水は、回転ドラム8Aの遠心力によって、絞り部8vと対向する外槽9Aの内周面9sに向けて飛び散らせることができる。
一方、水路部材50Bには、回転ドラム8Aの底面8t側(底板8u、図22参照)に向けて散水する散水口50b3,50b3が形成されているので、この散水口50b3から散水された水道水は、回転ドラム8Aが回転することにより、底板8uの外周全体に散水されることになる。
また、水路部材50Bには、外槽9Aの底面9t(図23参照)に向けて散水する複数の散水口50b4が形成されているので、散水口50b4から底面9tに散水された水道水は、重力の作用によって、外槽9Aの底面9tを上部から下部へ向けて流れ落ちる。したがって、外槽9Aの底面9tの全体に水道水を流すことが可能になる。
また、第3実施形態に係る洗濯乾燥機1Cでは、例えば、第1実施形態と同様にして、図11に示す工程が実行される。槽洗浄シャワー工程を実行する際には、すすぎ2の給水工程S16(図11参照)で外槽9Aにすすぎ水(きれいない水)を溜めておき、回転ドラム8Aを回転させることで、溜まった水が上方にかき上げられ、回転ドラム8Aの周囲の外槽9Aの内周面が洗浄される。
以上説明したように、第3実施形態に係る洗濯乾燥機1Cでは、外槽カバー9h(外槽9A)に、回転ドラム8Aの周方向に延びる水路部材50A(給水経路)が設けられ、この水路部材50Aには、給水ユニット(不図示)から供給された水道水を外槽カバー9hの内周面9sに散水する散水口50b2が設けられている(図22参照)。これによれば、外槽カバー9h(外槽9A)の内周面9sに付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミの付着を抑制することができる。このようにして汚れやゴミの付着を抑制できることで、カビの繁殖や異臭の発生を抑制することが可能になる。さらに、洗濯中の洗濯物へのゴミの付着も防止または抑制することができる。
また、第3実施形態によれば、絞り部8v(回転ドラム8A)に散水する散水口50a2が形成された水路部材50Aを備えているので(図22参照)、絞り部8v(回転ドラム8A)の外周面に付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミの付着を抑制することができる。このようにして汚れやゴミの付着を抑制できることで、カビの繁殖、異臭発生を抑制でき、また洗濯中の洗濯物へのゴミの付着を防止、抑制できる。
また、第3実施形態によれば、底板8u(回転ドラム8A)に散水する散水口50b3が形成された水路部材50Bを備えているので(図23参照)、底板8u(回転ドラム8A)に付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミの付着を抑制することができる。
また、第3実施形態によれば、外槽9Aの底面9tに散水する散水口50b4が形成された水路部材50Bを備えているので(図23参照)、底面9t(外槽9A)に付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミの付着を抑制することができる。
本発明は、前記した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、図25に示すように、洗濯乾燥機1A,1Bの洗濯兼脱水槽8の胴板8aに形成される貫通孔8a1(脱水孔)において、上段に位置する貫通孔8a1の群とその下段に位置する貫通孔8a1の群とが鉛直方向において重なるように配置してもよい。これによれば、脱水時に上段に位置する貫通孔8a1から吐出された水と、その下段に位置する貫通孔8a1から吐出された水とが一部において重なり合って外槽9に排出される。よって、外槽9の内周面(胴板8aの上下方向の中央部分)には、脱水時に吐出される水が当たらない領域(すじ状の領域)が発生するのを防止できる。なお、ここでは、縦型式洗濯乾燥機1A,1Bについて説明したが、ドラム式洗濯乾燥機1Cに適用してもよい。
以上、第1実施形態および第2実施形態に係る洗濯機として、洗濯兼脱水槽8の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯乾燥機を用いて説明し、第3実施形態に係る洗濯機として、回転ドラム(洗濯兼脱水槽)の回転軸が略水平方向のドラム式洗濯乾燥機1Cを用いて説明したが、これらに限定されるものではなく、乾燥機能を有しない縦型式洗濯機、ドラム式洗濯機であってもよい。