以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、洗濯から乾燥までの工程を行うことができるドラム式洗濯機(以下、洗濯機と表記する)を例に挙げて説明する。また、以下では、洗濯機S1を正面から見たときの方向を基準として説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の洗濯機S1は、外郭が鋼板と樹脂成型品とを組み合わせて構成された筐体1を有し、筐体1がベース1hの上に取り付けられて構成されている。筐体1は、左右の側板1a,1b(1bは図4参照)、前面カバー1c、背面カバー1d(図2参照)、上面カバー1e、下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材(図示せず)、前補強材(図示せず)、後補強材(図示せず)で結合されており、ベース1hを含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
前面カバー1cの略中央には、衣類など(洗濯物、乾燥対象物)を出し入れするための投入口を塞ぐドア2が、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されて構成されている。ドア2の近傍の前面カバー1cには、ドア2のロック機構(図示せず)を解除するドア開放ボタン3が設けられている。ドア開放ボタン3を押すことで、ロック機構(図示せず)が外れてドア2が開き、ドア2を前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じるようになっている。図示しない前補強材は、後記する外槽20(図2参照)の開口部20b(図3参照)と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
筐体1の上部中央には、電源スイッチ4a、操作スイッチ4b,4c、表示器4dなどを備えた操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、筐体1下部に設けた制御装置60(図2および図3参照)に電気的に接続されている。また、操作パネル4の左側には、洗剤や柔軟剤などを投入する引き出し式のトレイ5が設けられている。
また、操作パネル4の右側には、引き出し式の乾燥フィルタ6が設けられている。乾燥フィルタ6は、メッシュ式のフィルタ6a(図3参照)を備えており、糸くずなどが除去されるようになっている。乾燥フィルタ6の掃除は、乾燥フィルタ6を引き出してメッシュ式のフィルタ6a(図3参照)を取り出して行う。また、上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口7a,風呂の残り湯の吸水ホース接続口7bが設けられている。
図2に示すように、洗濯機S1は、筐体1内に、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽としての内槽(回転ドラム)10が設けられている。この内槽10は、前側(手前側)端面に衣類を出し入れするための開口部10aを有するとともに、その周壁に通水および通風のための多数の貫通孔10h(図11参照)を有している。
開口部10aの縁部には、内槽10と一体のバランスリング(流体バランサともいう)10bが設けられている。このバランスリング10bは、その内部に比重の大きな流体を封入して構成され、内槽10の回転時に洗濯物の偏り等によって偏心が生じたときに、バランスリング10b内での流体の移動によって偏心をキャンセルし、回転のバランスを維持する働きを有する。
内槽10の内周壁には、奥行き方向(軸方向)に延びるリフタ10cが複数個設けられている。洗濯、乾燥時に内槽10が回転すると、衣類などがリフタ10cと遠心力で周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するような動きを繰り返すようになっている。内槽10の回転中心O1は、開口部10a側が高くなるように傾斜している。
また、洗濯機S1は、内槽10を同軸上に内包し、前面が開口した円筒状の外槽20を備えている。外槽20は、外槽本体21と外槽カバー22とで構成されている。外槽本体21の前面の開口21s(図11参照)には、合成樹脂製の外槽カバー22が設けられ、外槽20内への貯水を可能としている。外槽カバー22の前側(手前側)中央には、衣類などを出し入れするための開口部22a(図8参照)が形成されている。開口部22aと前補強材に設けた開口部は、ゴム製のパッキン23(図9参照)で接続されている。このパッキン23は、外槽20とドア2との水密性を維持する役割を果たしている。これにより、洗い、すすぎおよび脱水時の水漏れの防止が図られている。外槽20の底面最下部には、排水口20cが設けられ、排水ホース8が接続されている。
排水ホース8の先端部は、床面Gに設けられた排水孔101に接続されている。また、排水ホース8の途中には、排水弁Vが設けられ、この排水弁Vを閉じて給水することで外槽20内に水が溜められ、排水弁Vを開くことで外槽20内の水が機外へ排出される。
また、洗濯機S1は、外槽20の背面中央(底面中央)に、内槽10を回転駆動するためのモータMが取り付けられている。なお、モータMの回転軸m1は、外槽20を貫通し、内槽10の背面に設けられた金属製フランジ10eと結合している。また、外槽20の下部は、下側をベース1hに固定された複数のサスペンション9(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽20の上部は、上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽20の前後方向への倒れを防ぐように構成されている。
また、洗濯機S1は、筐体1の背面内側および上面内側を通る送風ダクト(送風路)30を備えている。送風ダクト30は、外槽20の背面側を上下方向に延びるダクト32と、外槽20の上面側を後方から前方に延びるダクト33とを有している。
ダクト32の下部には、排水弁Vの下流において排水ホース8と合流するように接続されるオーバーフロー用のホース15が接続されている。このホース15の上流端は、後記するベローズ31よりも上側に位置するように接続されている。
ダクト33の下流側には、ファン41(送風手段)とヒータ42(加熱手段)とを備えた送風ファンユニット40が設けられている。
なお、図示していないが、ダクト32内には、例えば、水冷除湿機構として、多数の突起が形成されたステンレス製のプレート(熱交換板)が配設されており、プレートには、その壁面に沿って冷却水を流すための給水管(不図示)が接続されている。後記する冷却水給水電磁弁12dが開弁されることにより、水冷除湿が機能するようになっている。
送風ダクト30(ダクト32)の下部は、外槽20の背面下部に設けられた出口20dに柔軟構造のベローズ31で略水平に接続されている。
図3に示すように、ファン41は、いわゆるターボファンなどと称されるものであり、ファンケース41a内に、複数枚の羽根で構成された羽根車(不図示)が収容され、羽根車の周囲にスクロール状(渦巻き状)の流路(不図示)が形成されて構成されている。また、ファンケース41aの外面には、羽根車の回転中心の一面側に、空気を吸い込む吸気孔(不図示)が形成され、他面側に、羽根車を高速で回転させる電動機M1が取り付けられている。
ヒータ42(図2参照)は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータなどで構成され、ファンケース41a内のスクロール状の流路の下流側に設けられている。また、ヒータ42の下流側のファンケース41aには、ヒータ42により生成された温風(乾燥用の空気)が吐出される吐出口(不図示)が形成されている。
ダクト33(図2参照)は、フィルタダクト33aを備え、フィルタダクト33aの前面は開口部を有しており、この開口部に引き出し式の乾燥フィルタ6が挿入される。乾燥フィルタ6の下流側は、送風ファンユニット40の吸気孔(不図示)と接続され、送風ファンユニット40の吐出口(不図示)に、温風ダクト35、ベローズ36、温風吹出ノズル37が順に接続されている。
洗濯機S1は、循環ポンプPと循環ホースH1,H2を備え、外槽20内の貯留水を循環させる機能を有している。循環ポンプPは、外槽20の下方に配置され、その導入ポートが循環ホースH1を介して外槽20の底部と接続され、導出ポートが循環ホースH2を介して外槽カバー22の側部に接続されている。これにより、外槽20内に貯留された水を循環ポンプPによって汲み上げて、外槽20内の洗濯物の上部に散水されるように構成されている。
図4に示すように、トレイ5(図1参照)の後方には、5連の給水電磁弁Tや風呂水給水ポンプU、給水経路ユニット(不図示)などを備えた給水ユニット12(給水手段)が設けられている。5連の給水電磁弁Tは、洗剤給水電磁弁12aと、仕上剤給水電磁弁12bと、外槽給水電磁弁12cと、冷却水給水電磁弁12dと、槽洗浄給水電磁弁12e(給水手段)とを備えている。
洗剤給水電磁弁12aは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、トレイ5(図3参照)の洗剤投入室(図示せず)に給水する。洗剤投入室に注水された水道水は、投入された洗剤とともに、投入ホース(図示せず)を介して、外槽20内に注水される。
仕上剤給水電磁弁12bは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、トレイ5(図3参照)の仕上剤投入室(図示せず)に給水する。仕上剤投入室に注水された水道水は、投入された仕上剤とともに、投入ホース(図示せず)を介して、外槽20内に注水される。
外槽給水電磁弁12cは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、注水ホース(図示せず)から外槽20内に給水する。
冷却水給水電磁弁12dは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、送風ダクト30(図2参照)の水冷除湿機構(図示せず)に給水する。
槽洗浄給水電磁弁12eは、給水ホース接続口7aからの水道水を、図示しない給水経路を通って、洗浄水供給ホース55(洗浄水供給配管)を介して後記する外槽カバー側ノズル50A(水路部材)に給水する。
なお、風呂水給水ポンプUで汲み上げられた吸水ホース接続口7bからの風呂水は、図示しない給水経路を通って、注水ホース(図示せず)から外槽20内に給水される。
図5に示すように、5連の給水電磁弁Tは、外槽20の上部左寄りに配置されている。なお、図5では、給水ユニット12(図4参照)から5連の給水電磁弁Tのみを抜き出した状態を示している。
槽洗浄給水電磁弁12eの吐出ポート(不図示)には、分岐継手54が図示しないシール部材(Oリングなど)を介して接続され、この分岐継手54の先端に洗浄水供給ホース55の一端が接続され、分岐継手54の側面(周面)に水抜きホース56(水抜き配管)が接続されている。
洗浄水供給ホース55は、外槽本体21に沿って前方に延び、外槽カバー22の位置で左右方向の中央に折れ曲がるようにして延び、外槽カバー22の頂点部(中央部)に設けられた後記する給水口51f1(図8参照)に図示しないシール部材を介して接続されている。
水抜きホース56は、分岐継手54から下方に延び、そして後方に折れ曲がりながら延び、外槽20(外槽本体21)の外側面後部に設けられた外槽給水継手24に接続されている。なお、外槽給水継手24は、トレイ5の洗剤投入室(図示せず)や仕上剤投入室(図示せず)に連通するケースと蛇腹ホース(不図示)を介して接続されている。
図6に示すように、外槽給水継手24は、外槽本体21に接続される継手24aと、前記蛇腹ホースと接続される継手24bとが側断面視L字状に組み付けられて構成されている。また、継手24aにより構成される流路と継手24bにより構成される流路との境界に、ゴム製の逆止弁24cが設けられている。この逆止弁24cは、継手24b側の流路から継手24a側の流路への流体の通流のみを可能とするものであり、後記する乾燥工程時に外槽20内に発生する蒸気が継手24aから継手24bへ通流するのを遮断するようになっている。
また、水抜きホース56は、継手24aの上部に接続されている。この継手24aには、水抜きホース56が接続される円筒状のホース接続部24a1が形成されている。このホース接続部24a1の底部には、継手24a内部の流路と連通する水抜き孔24a2が形成されている。なお、この水抜き孔24a2が、水抜きホース56(水抜き配管)が接続される出口に相当する。また、水抜き孔24a2の大きさについては後記する。
図7に示すように、洗浄水供給ホース55および水抜きホース56は、洗浄水供給ホース55が水抜きホース56よりも鉛直方向(上下方向)において上側に位置している。これにより、洗浄水供給ホース55内の残留水が、水抜きホース56を介して外槽20内に排出されることで、洗浄水供給ホース55内が残留水凍結によって閉塞するのを防止できる。
つまり、水抜きホース56が設けられておらず、槽洗浄給水電磁弁12eと後記する外槽カバー側ノズル50Aとが洗浄水供給ホース55を介して直結で接続されていると、外槽カバー側ノズル50Aから洗浄水を供給して槽洗浄給水電磁弁12eを閉じたときに、外槽カバー側ノズル50Aや洗浄水供給ホース55内の洗浄水の流れが止まり、外槽カバー側ノズル50Aの散水口50b2から洗浄水が排出されなくなる。そこで、本実施形態では、洗浄水供給ホース55に対して水抜きホース56を分岐して配置し、洗浄水供給ホース55を水抜きホース56よりも鉛直方向において上方に配置することにより、洗浄水供給ホース55内に洗浄水が残るのを防止することが可能になる。
図8に示すように、外槽カバー22の前側には、槽洗浄用として水道水(洗浄水)を散水する外槽カバー側ノズル50Aが設けられている。外槽カバー側ノズル50Aは、合成樹脂などで形成され、略弓形形状(円弧形状)を呈し、外槽カバー22内の上部に設けられている。また、外槽カバー側ノズル50Aは、円周の四分の1程度の長さで形成され、中央から左右に同様の長さで延びている。また、外槽カバー側ノズル50Aの周方向の中央部には、洗浄水供給ホース55(図7参照)が接続される給水口50f1が形成され、外槽カバー22を貫通して、外槽カバー22の外側に突出している。なお、外槽カバー22と給水口50f1との境界には、Oリングなどのシール部材(不図示)が設けられて水漏れしないようになっている。
図9に示すように、外槽カバー側ノズル50Aが取り付けられる外槽カバー22の形状は、外槽本体21(図11参照)の開口21s(図11)と接続される大径部22bと、この大径部22bに対して手前側(前方)に向けて縮径する傾斜部22cと、この傾斜部22cに対して略鉛直方向に延びる前面部22dと、を有している。また、前面部22dには、前記パッキン23が取り付けられる凸部22eが前方に突出して形成されている。前記外槽カバー側ノズル50Aは、外槽カバー22の大径部22bの前端に位置するように配設されている。
図10(a)に示すように、外槽カバー側ノズル50Aの前面50dには、周方向に間隔を置いて複数(本実施形態では、15個)の散水口50b2が形成されている。また、散水口50b2の孔径(直径)は、例えば、1.2mmとなるように形成されている。なお、この散水口50b2の個数、位置、孔径については、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
図10(b)および(c)に示すように、外槽カバー側ノズル50Aの上面50eには、複数の取付部51Aが周方向に間隔を置いて上面50eから後方に突出するように形成されている。この取付部51Aは、矩形状の片部51aを有し、この片部51aにねじ挿通孔51bが形成されて構成されている。また、各取付部51Aは、上面50eと面一になるように形成され、図示しないねじを挿通孔51bに挿通し、外槽カバー22の内壁面22b1にねじ止めされるようになっている。
図10(d)に示すように、外槽カバー側ノズル50Aの底面50fには、給水口50f1と対応する位置に散水口50a2が形成されている。なお、本実施形態では、散水口50a2は1個のみ設けられているが、複数個所に設けられていてもよい。
なお、水抜き孔24a2の断面積(流路断面積)は、外槽カバー側ノズル50Aの15個の散水口50a2と1個の50b2の合計断面積(合計流路断面積)に対して1割(10%)に設定されることが好ましい。このような割合に設定されることにより、水抜き機能を充分に発揮することができる。なお、外槽カバー側ノズル50A側の流量を抑えるなどの目的で散水口50a2,50b2の個数や孔径を1割よりも大きくなるように設定してもよい。
図11に示すように、外槽カバー側ノズル50Aは、外槽カバー22(外槽20)と内槽10の側面(周面)との間に配置されている。さらに説明すると、内槽10は、前端部に縮径した絞り部10dを有しており、外槽カバー側ノズル50Aが、外槽カバー22の大径部22bと絞り部10dとの間に位置している。なお、この絞り部10dの内周縁部にバランスリング10bが取り付けられている。
このように外槽カバー側ノズル50Aが設けられた洗濯機S1では、図11において実線矢印R1で示すように、散水口50b2から前方に洗浄水が吐出され、外槽カバー22の傾斜部22cの内壁面22c1に当たり、内壁面22c1に沿って下方へ流れる。
さらに説明すると、散水口50b2から吐出された洗浄水は、直線状に吐出されて内壁面22c1に当たり、当たった後にその位置を中心として周囲に放射状に広がるようになっている。そして、内壁面22c1に散水された洗浄水は、外槽カバー22の傾斜部22cの内壁面22c1および前面部22dの内壁面22d1を重力の作用によって伝わって流れ落ちる。
また、散水口50a2から吐出された洗浄水は、実線矢印R2で示すように、内槽10の絞り部10dに当たる。絞り部10dに散水された洗浄水は、内槽10が回転するときの遠心力によって外槽カバー22(外槽20)の大径部22bの内壁面22b1に飛び散り、また絞り部10dよりも後方の外槽カバー22の内面や内槽10の外周面10sに飛散する。なお、内槽10側に散水される散水口50a2は、ひとつではあるが、内槽10を回転させながら散水することで、内槽10の絞り部10dの周面全体に散水することが可能になる。このように、水道水を遠心力によって吹き飛ばして外槽カバー22内を洗浄することで、水道水を勢いよく吹き付けて洗浄する場合よりも使用水量を減らすことができる。
図12に示すように、外槽カバー側ノズル50Aのそれぞれの散水口50b2(図10参照)から外槽カバー22の前方(内壁面22b1)に吐出された洗浄水が放射状に飛散したときに、鉛直方向(重力方向)に直交する水平方向において、隣り合う散水口50b1からの洗浄水が互いに重なるようになっている。これにより、洗浄水が下方に流れ落ちたときに、外槽カバー22の内壁面22c1,22d1において、洗浄水が流れない領域を無くすことができ、汚れが縦縞状に残るのを防止することができる。
なお、前記した外槽カバー側ノズル50Aの散水口50b1の個数、孔径、位置は、図12で説明したように、洗浄水が外槽カバー22の内面全体に流れるように設定されるものであれば、個数、孔径、位置を適宜変更することができる。
次に、本実施形態の洗濯機S1の動作について説明する。まず、本実施形態の洗濯機S1の全体の構成について簡単に説明する。図13に示すように、制御装置(マイクロコンピュータ)60は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路などで構成され、各種スイッチ4b,4cに接続される操作ボタン入力回路62や、水位センサ63、温度センサ64、振動センサ65と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号を取得する。なお、温度センサ64は、外気温度を検出する外気温度センサ、排水口20cの温度を検出する温度センサなどが含まれる。
また、制御装置60は、各駆動回路66を介して、各給水電磁弁12a〜12e、風呂水給水ポンプU、排水弁V、モータMの回転速度(内槽10の回転速度)およびファン41の回転速度、ヒータ42の通電(ON/OFF)を制御する。また、制御装置60は、使用者に洗濯機S1の動作状態を知らせるための表示器4dや発光ダイオード67、ブザー68を制御する。
制御装置60は、電源スイッチ4aが押されて電源が投入されると起動し、例えば、図14ないし図16に示す洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。なお、以下では、洗濯から乾燥までの一連の運転が行われる場合について図14ないし図17を参照して説明する。
図14に示すように、制御装置60は、洗い工程(ステップS100)、すすぎ工程(ステップS200)、槽洗浄工程1(ステップS300−1)、槽洗浄工程2(ステップS300−2)、脱水工程(ステップS400)、乾燥工程(ステップS500)が順に実行される。
図17に示すように、洗い工程(S100)の布量センシング工程(S100−1)において、制御装置60は、内槽10を回転させ、注水前の衣類について布量を算出する。なお、布量は、モータMの回転速度と電流値に基づいて、内槽10内の衣類の重量を算出することができる。衣類の重量が増加することにより内槽10を回転させるための負荷が大きくなり、モータMに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータMのモータ電流と回転速度により衣類の重量を算出することができる。なお、図17の表に示す槽回転速度の25〜45rpmは、内槽回転時(脱水時を除く)の回転速度である。
洗剤溶かし給水工程(S100−2)において、制御装置60は、洗剤給水電磁弁12aを開弁し、トレイ5の洗剤投入室(図示せず)に水道水を給水する。トレイ5に注水された水道水は、洗剤を溶かしながら、蛇腹ホース(図示せず)、外槽給水継手24を介して外槽20内に注水される。なお、制御装置60は、洗剤給水電磁弁12aが開弁されてから所定時間経過後に閉弁する。
回転給水工程(S100−3)において、制御装置60は、洗剤給水電磁弁12aの開弁を維持した状態において、内槽10を回転させながら、循環ポンプPを駆動して、洗濯水(高濃度の洗剤溶液)を循環させて衣類に洗濯水を散布しながら給水する。なお、ここでは、内槽10を所定の回転速度で回転させる。また、制御装置60は、回転給水終了後、洗剤給水電磁弁12aを閉じる。
前洗い工程(S100−4)において、制御装置60は、高濃度の洗剤溶液で衣類を洗う。
布質センシング工程(S100−5)において、制御装置60は、水を含んだ状態の衣類の重量を算出する。そして、制御装置60は、布量センシング工程(1)で算出した衣類の重量と布質センシング工程(5)で算出した水を含んだ状態の衣類の重量から、衣類の布質(吸水性)を判定する。判定された衣類の布質に従って以下の工程が実行される。
補給水工程(S100−6)において、制御装置60は、布量センシング工程(1)で算出した衣類の重量と、布質センシング工程(5)で判断した衣類の布質に合わせて、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して、外槽20の内部に給水する。例えば、タオル生地など吸水性の高いものであれば、補給水工程において洗濯水を補給する。なお、給水終了後、制御装置60は、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを閉弁する。この補給水工程において、槽洗浄給水電磁弁12eを開弁することにより、外槽カバー側ノズル50Aから洗浄水が散水され、それまでの洗い工程で外槽カバー22内の上部や内槽10の前端側面部などに付着した洗剤成分を流すことができる。
本洗い工程(S100−7)において、制御装置60は、内槽10を正逆両方向に回転させながら衣類を洗う。本洗いが終了すると、衣類のアンバランス状態を監視し、脱水に移行するか否かを判断する。
ステップS200のすすぎ工程では、すすぎ1工程およびすすぎ2工程が実行される。すなわち、すすぎ1の排水工程(S200−1)において、制御装置60は、排水弁Vを開弁し、外槽20内の洗濯水を排水する。なお、排水の終了判定は、水位センサの検出値によって行われる。
脱水工程(S200−2)において、制御装置60は、排水終了後、内槽10を高速で回転させて衣類に含まれる洗濯水を脱水する。なお、脱水時の内槽10の回転速度は、例えば1000rpm以上に設定される。
回転シャワー工程(S200−3)において、制御装置60は、排水弁Vを閉弁し、外槽給水電磁弁12cを開弁して、外槽20にすすぎ水を供給する。また、内槽10を回転させつつ、循環ポンプPを駆動して、すすぎ水を内槽10内の衣類に散布する。
脱水工程(S200−4)において、制御装置60は、内槽10を高速で回転させつつ、循環ポンプPを停止させて、衣類からすすぎ水を脱水する。
回転シャワー工程(S200−5)において、制御装置60は、内槽10を回転させつつ、再び循環ポンプPを駆動して、すすぎ水を内槽10内の衣類に散布する。
すすぎ2の排水工程(S200−6)において、制御装置60は、内槽10および循環ポンプPを停止させて、排水弁Vを開弁し、外槽20内のすすぎ水を排水する。
脱水工程(S200−7)において、制御装置60は、排水終了後、内槽10を高速で回転させて衣類に含まれる水(すすぎ水)を脱水する。
給水工程(S200−8)において、制御装置60は、排水弁Vを閉弁、槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して、外槽20にすすぎ水を供給する。制御装置60は、給水終了後、槽洗浄給水電磁弁12eを閉弁する。給水工程において、槽洗浄給水電磁弁12eを開弁して給水を行うことにより、すすぎ工程時に、外槽カバー22の上部などに付着した汚れを流すことができる。
仕上剤給水工程(S200−9)において、制御装置60は、仕上剤給水電磁弁12bを開弁し、外槽20に仕上剤を含んだすすぎ水を供給する。制御装置60は、仕上剤給水終了後、仕上剤給水電磁弁12bを閉弁する。
回転給水・補給水工程(S200−10)において、制御装置60は、外槽給水電磁弁12cおよび槽洗浄給水電磁弁12eを開弁し、すすぎ水を外槽20内に給水する。なお、吸水性の高い衣類が投入されていて、給水量が不足する場合には、すすぎ水を補給する。また、制御装置60は、外槽20にすすぎ水を溜めた状態で内槽10を回転させて衣類を攪拌しつつすすぐ。なお、このときの内槽10の回転速度は、35〜45rpmに設定される。
ステップS301において、制御装置60は、内槽10を、洗い工程時の回転速度(例えば、25rpm)よりも高く、脱水工程時の回転速度(例えば、1000rpm)よりも低い回転速度で回転させる。なお、回転速度は、例えば、80〜300rpmに設定される。ただし、特に前記した範囲の回転速度に限定されるものではなく、洗濯槽(内槽10、外槽20)内を充分に洗浄できるものであれば、前記した範囲に限定されるものではない。例えば、モータMの最大可能出力(最大負荷)に応じて上限を適宜変更できる。また、内槽10の形状(水を巻き上げ易い形状であるか否か)に応じて、下限を適宜変更できる。つまり、水を巻き上げ易い形状である場合には、より低い回転速度でも充分に水を巻き上げることができる。
ステップS301において、制御装置60は、第1の槽洗浄回転数として、100rpmで右回転させる。槽洗浄工程1においては、槽の下部の大きな汚れを落とすことを主とした暫定的な洗浄工程であるため、清水でなく、すすぎの水を利用し、しかも、内槽10の回転数を低めに設定している。なお、このときの水位は、上述の回転給水・補給水工程(S200−10)で、回転給水・補給水を行った後と同じ水位(第1の槽洗浄水位)であり、衣類の量に応じて異なるが、最大でも水量11.5リットル(第1の槽洗浄水量)を給水した場合の水位となる。そして、内槽10が回転し、外槽20の底部に溜められた洗浄水(水道水)が上方へ巻き上げられることにより、水が巻き上げられる側の外槽20の内側左側半分の領域や内槽10の左側半分の領域が主に洗浄される。なお、内槽10の側面に多数形成された貫通孔10hから外槽20内側の側面(周面)に洗浄水が吹きかけられて洗浄される。
ステップS302に進み、制御装置60は、内槽10を右回転させてから所定時間が経過したか否かを図示しないタイマによって判定する。なお、所定時間は特に限定されるものではなく、例えば、60秒に設定される。ステップS302において、制御装置60は、所定時間が経過していないと判定した場合には、ステップS301に戻り、所定時間が経過したと判定した場合には、ステップS303に進む。
ステップS303において、制御装置60は、100rpmで内槽10を左回転させる。これにより、右回転のときと同様に外槽20内に溜められた洗浄水が巻き上げられて、外槽20の内側の右側半分の領域や内槽10の右側半分の領域が主に洗浄される。このように、内槽10を右回転と左回転させることにより、洗浄される領域に偏りが発生するのを防止できる。
ステップS304において、制御装置60は、内槽10を左回転させてから所定時間が経過したか否かを図示しないタイマによって判定する。なお、所定時間は特に限定されるものではなく、前記と同様に、例えば、60秒に設定される。ステップS304において、制御装置60は、所定時間が経過していないと判定した場合には、ステップS303に戻り、所定時間が経過したと判定した場合には、ステップS305に進む。
ステップS305において、制御装置60は、内槽10の回転(左回転、100rpm)はそのまま維持する。そして、排水弁を開状態にして、図16に示す脱水工程1に進む。
図16に示すように、ステップS401において、制御装置60は、内槽10の回転を維持した状態で排出弁Vを開弁する。これにより、槽洗浄工程で使用された外槽20内の使用済みの洗浄水が排水ホース8を介して機外に排出される。
このようにして槽洗浄工程を実行することにより、洗濯槽(内槽10、外槽20)内の全体の汚れやゴミが取り除かれ、また次回運転する際に汚れやゴミの付着を抑制することができる。
脱水工程1に入り、内槽10の回転数が維持された状態で、ステップS401において制御装置60は、排水が完了したか否かを判定する。排水が完了したか否かは、水位センサ63の検出値に基づいて判定できる。ステップS401において、制御装置60は、排水が完了していないと判定した場合には(No)、ステップS401を繰り返し、排水が完了したと判定した場合には(Yes)、ステップS402に進み、内槽10の回転数を上昇させる。そして図17に示す槽洗浄工程2に進む。
槽洗浄工程2の動作は、まずステップS306において、脱水回転数を上昇させていき、内槽10の回転数を380rpm程度とする。このとき、電導度センサで脱水度合を確認後し、衣類に含まれる水分が一定程度にまで減少したことを検知すると、内槽10の回転数を低下させる(ステップS307)。なお、本実施形態における電導度センサは、図示していないが、互いに向かい合う一対の電極で構成されており、この電極間の水の硬度を測定することが可能である。また、この電導度センサは、外槽20の下部側面付近に配置されているので、排水が進んで洗濯槽内の水が僅かとなった状態であっても、感度良く脱水度合いを検知できる。
このように、電導度センサで脱水状態を検知した後に、内槽10の回転数を第2の槽洗浄回転数である240rpm程度まで低下させ、槽洗浄の動作を開始する(ステップS308)。この第2の槽洗浄回転数240rpmは、槽洗浄工程1における内槽10の回転数よりも高いので、槽洗浄工程1では届かない高い場所まで水を掻き揚げることができる。ステップS308では、制御装置60が、排水弁を閉じ、槽洗浄給水電磁弁12eを開放して、外槽20内に洗浄水を溜める。洗浄水を溜めているときも内槽10の回転数は240rpmを維持する。洗浄水を溜める時間は水道水圧により変動している。初期の給水量と時間の関係にて、水道水圧を判定して、その水圧に合った給水時間を選択して時間制御にて給水を行う。ここで、第2の槽洗浄水量として約7リットルの洗浄水を給水することで、内槽10底面高さの25%程度の第2の槽洗浄水位まで水を溜める。内槽10の回転数が240rpmの条件下では、洗浄水量が約7リットルあれば、外槽20及び外槽カバー22の内面全体に洗浄水を流すことが可能なためである。
この動作により、外槽20の下部に溜まった水が、内槽10の外側に存在する脱水孔等の凹凸によって掻き揚げられ、外槽20の底面や側面に当たって沿うように持ち上がり、槽洗浄工程1で落としきれない汚れを洗い流す。また、乾燥工程で付着する、外槽20の上部や外槽カバー22の上部の埃についても、この槽洗浄工程2によって洗い流すことができる。しかも、槽洗浄工程1のすすぎ水と異なり、清水を利用するため、粉末汚れ等の付着を防止することが可能となる。
また、ステップS308では、槽洗浄給水電磁弁12eから、洗浄水供給ホース55を介して、外槽カバー側ノズル50Aへ給水される動作も行われる。そして、外槽カバー側ノズル50Aの前面50d側に設けられた散水口50b2から水を吐出し、外槽カバー22の内壁面に水を当て、外槽カバー側ノズル50Aの底面50f側に設けられた散水口50a2から水を吐出し、内槽10の側壁面に水を当てる。内槽10の側壁面に散水された水は、内槽10の回転による遠心力により周方向外側へ向かって飛び散り、外槽カバー22の後方の内壁面や内槽10の外壁面にも行き渡る。
このように、本実施形態では、外槽カバー側ノズル50Aによって散水されるシャワーを利用して、外槽カバー22の内側等に汚れが残り難くし、このシャワーでは届かない領域、例えば、外槽20の後方の高い位置における内壁面付近の領域については、上述の通り、外槽20の下部に溜められた水を上方へ掻き揚げることで、汚れの付着を防ぐ。
なお、本実施形態では、第2の槽洗浄回転数を第1の槽洗浄回転数よりも高速の240rpm、第2の槽洗浄水量を7リットルとしたが、これに限られない。すなわち、第2の槽洗浄回転数をより高くすると第2の槽洗浄水位はより低くても十分であり、第2の槽洗浄回転数をより低くすると第2の槽洗浄水位はより高くする必要がある。
そこで、第2の槽洗浄水量と第2の槽洗浄回転数を他の条件に変更して、槽洗浄の効果を検証してみたところ、次のような結果が得られた。まず、水量が4リットルで回転数が450rpmの場合、外槽カバー22の上部まで殆ど水が届かなかったが、水量が5リットルで回転数が400rpmの場合、外槽カバー22の上部まで一定程度の水が届いた。また、水量が6リットルで回転数が330rpmの場合は、外槽カバー22の内面の散水される領域が増加し、水量が7リットルで回転数が240rpmの場合、水量が8リットルで回転数が200rpmの場合、及び、水量が9リットルで回転数が160rpmの場合は、外槽カバー22の内面を満遍なくきれいに洗い流すことができた。さらに、水量が10リットルで回転数が160rpmの場合、及び、水量が11.5リットルで回転数が130rpmの場合は、外槽カバー22の内面をきれいに洗い流すことができるものの、一部の水がオーバーフローする。
したがって、槽洗浄効果を得るためには、少なくとも水量が5リットル以上必要であり、高い槽洗浄効果を得るためには、7リットル以上必要であるが、節水性を考慮すると、9リットル以下であることが望ましい。一方、回転数については、節水性を考慮せず水量を11.5以上に多くすれば、130rpm以上あれば、槽洗浄の効果が得られる。しかし、150rpm前後の1次共振点、300rpmから400rpm付近の3次共振点と一致する回転数だと、振動が大きくなる可能性があるので、これらを避けて、回転数を160rpmから300rpm付近としても良い。さらに、200rpm前後を避ければ、2次共振点の発生も防ぐことが可能である。したがって、水量が7リットルで回転数が240rpmの場合が、水を節約でき、かつ、槽洗浄の効果を高く保てることが分かる。
尚、本実施形態は、外槽カバー側ノズル50Aによるシャワーと、外槽20に溜めた水の掻き揚げとを組合せることで、皮脂汚れや洗剤カスなどを自動で洗い流す方式であるが、外槽カバー側ノズル50Aによるシャワーは用いなくても、汚れ等を洗い流す効果は一定程度期待できる。その場合、ステップS308における外槽20内への給水は、槽洗浄給水電磁弁12e以外の給水弁を用いても構わない。ただし、仕上剤給水電磁弁12b及び冷却水給水電磁弁12dのように、給水流量が少ない弁で動作させると、給水時間が増加し、結果として運転時間が長くなってしまうので、洗剤給水電磁弁12aや外槽給水電磁弁12cが望ましい。
また、槽内で汚れが最も残りやすいのは、外槽20内部底面であり、一定水位付近に喫水線が発生する可能性がある。この喫水線は、洗濯工程及びすすぎ工程で付着し、その後の槽洗浄動作でも流れ落ち難い汚れである。そこで、本実施形態では、この喫水線を落とすために、内槽10の背面に突起を設けて形成した水掻き部70の機械力を利用する。この水掻き部70は、内槽10の底面のフランジの外周側近傍において径方向へ延びる形状となっており、これが水面に当たることで水流を発生させ、強い力が加わることで喫水線を落とすことが可能となる。なお、この水掻き部70を設ける代わりに、内槽10の背面と外槽10の底面との間に散水するためのノズルを別途設ける方法も考えられる。
次に、槽内に十分な洗浄水が給水されたら、ステップ309において、槽洗浄給水電磁弁12eを閉弁するが、内槽10の第2の槽洗浄回転数はそのまま維持して(30秒)、外槽20に溜まった水の掻き揚げを継続し、洗浄される領域に偏りが発生するのを防止する。本実施形態では、運転時間が長くならないよう、第2の槽洗浄回転数による内槽10の回転は一方向のみとしたが、所定時間経過後に回転方向を逆にしたり、これらを複数回繰り返えしたりして、より洗いムラを小さくする制御としても構わない。
その後のステップS311においては、内槽10の回転数を維持したまま、排水弁を開いて洗浄水を排水する。回転数を維持したまま排水するため、汚れ分を含んだ洗浄水が衣類に触れることなく排水をすることが可能である。
そして、洗浄水の排水が完了すると、再度排水弁を閉じ、再度槽洗浄給水電磁弁12eを開放して、約2.5リットルの水道水の給水を行う(ステップS313)。この2.5リットルの洗浄水量(第3の槽洗浄水量)は、内槽10の回転数が240rpm(第2の槽洗浄水量と同じ)の条件下では、外槽カバー22の内側全体までは行き渡り難いものの、外槽20の内部底面全体には洗浄水を流すことが可能な程度の量である。このように、汚れの付着しやすい外槽20内部底面が、繰り返し清水で洗浄されるので、確実に汚れを落とすことができる。しかも、このときに使用する水量は、第2の槽洗浄水量と比べて少なくしているため、節水にもつながる。なお、このステップS313のときにも、槽洗浄給水電磁弁12eから外槽カバー側ノズル50Aへ給水して、外槽カバー22等へ散水を行っている。
次に、槽内に十分な洗浄水が給水されたら、ステップS314において、槽洗浄給水電磁弁12eを閉弁するが、内槽10の槽洗浄回転数はそのまま維持する(30秒)。そして所定時間が経過すると(ステップS315)、内槽10の回転数を維持したまま、排水弁を開いて洗浄水を排水する(ステップS316)。このように、第2の槽洗浄水量と第3の槽洗浄水量とを入れ替えてきれいな水を利用することにより、槽洗浄の効果が向上する。
さらに、図18に示す脱水工程2に進む。ステップS403において、排水が完了したら、最終脱水工程を所定時間実行した後、排水弁Vを開けたまま、乾燥工程(S500)に移行する。そして、乾燥工程S500の運転が終了すると、排水弁Vを閉じる。
このように、槽洗浄工程(S300)から脱水工程(S400)に移行する際に、内槽10の回転を維持したまま脱水工程に移行することで、運転時間の短縮を図ることができる。すなわち、脱水工程前に内槽10の回転を停止させてしまうと、脱水工程を開始する際に、内槽10のバランスをとりながら回転速度を上昇させることが必要になり、脱水に対応した回転速度に上昇するまでに時間がかかることになる。本実施形態のように、槽洗浄工程で内槽10の回転を停止させないようすることで、前記したバランスとりの時間を省略することができ、運転時間の短縮を図ることが可能になる。
また、乾燥工程(S500)において、制御装置60は、冷却水給水電磁弁12dを開弁して、ヒータ42を通電し、ファン41を駆動させる。これにより、衣類から発生した蒸気が水冷除湿部材(不図示)によって水分が取り除かれ(除湿され)、ヒータ42によって暖められた後に、乾燥した空気となって再び内槽10内に戻される。
なお、乾燥工程においても、槽洗浄を行うようにして、乾燥運転で付着した埃を取り除くようにしてもよい。なお、内槽10に衣類が残っていないことを確認する処理を行う。例えば、ユーザがドア2を開いて衣類を取り出し、ドア2を閉め、所定のボタン(例えばスタートボタン)を押すことで、槽洗浄工程を開始できる。ちなみに、衣類が投入されていないことで、内槽10を高速で回転させることが可能となり、少ない水量で回転させることができ、節水性能を高めることができる。
以上説明したように、洗濯機S1では、外槽カバー22(外槽20)内の上部において、外槽カバー22(外槽20)と内槽10の絞り部10d(内槽の前端部側面)との間に、槽洗浄給水電磁弁12e(給水手段)から供給された洗浄水を、洗浄水供給ホース55を介して外槽カバー側ノズル50A(水路部材)を設けたので、外槽カバー22の内面や内槽10の前面に付着した汚れやゴミを取り除くことができ、また汚れやゴミが堆積する前に洗い流すことで、洗濯槽(内槽10、外槽20)を清潔に保つことが可能になる。このようにして汚れやゴミの付着を抑制できることで、カビの繁殖や異臭の発生を抑制することが可能になる。さらに、洗濯中の洗濯物へのゴミの付着も防止または抑制することができる。
また、本実施形態では、洗浄水供給ホース55に水抜きホース56が分岐して接続され、洗浄水供給ホース55が水抜きホース56よりも鉛直方向において上方に位置するように配置したので、洗浄水供給ホース55内に洗浄水が残るのを防止できる。これにより、凍結によって洗浄水供給ホース55が閉塞するのを防止でき、また、閉塞によって生じる洗濯機S1の不具合を防止することができる。
また、洗浄水供給ホース55と水抜きホース56との分岐部を槽洗浄給水電磁弁12eの近傍に位置するように構成したので、洗浄水供給ホース55に残留する洗浄水を極力減らすことができる。
また、専用の槽洗浄給水電磁弁12eを設けたので、槽洗浄時の機能を損なうことがない。なお、洗浄水供給ホース55が専用の槽洗浄給水電磁弁12eに接続される構成に限定されるものでなく、別の給水電磁弁の下流に切替弁を設けて、分岐する構成にしてもよい。
また、モータMおよび槽洗浄給水電磁弁12eを制御する制御装置60を備え、制御装置60が、外槽20に所定量の水道水が溜まるように槽洗浄給水電磁弁12eを制御し、内槽10を洗い工程時の回転速度よりも高い回転速度で回転するようにモータMを制御する構成にしたので、外槽カバー側ノズル50Aによる槽洗浄だけではなく、外槽20に溜められた洗浄水の巻上げによって槽洗浄を行うことが可能となり、洗濯槽(内槽10、外槽20)内の全体を洗浄することが可能になる。
なお、本実施形態における槽洗浄工程1(S300−1)及び槽洗浄工程2(S300−2)は、所定の槽洗浄ボタンがオンに設定された状態で洗濯コース又は洗濯乾燥コースが開始された場合にのみ行い、オフに設定された状態で洗濯コース又は洗濯乾燥コースが開始された場合には、これらの槽洗浄工程を省略して通常の洗濯運転又は洗濯乾燥運転が行われる。したがって、槽洗浄をオンに設定していれば、洗濯コースや洗濯乾燥コースとは別の特別な槽洗浄コースを行わなくても、洗濯コースや洗濯乾燥コースの途中で自動的に槽壁面に水を流して汚れが残り難くできる。