JP5249396B2 - 紙塗工用共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 - Google Patents
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Description
一般に紙塗工用組成物は、クレーや炭酸カルシウムなどの白色顔料を水に分散した顔料分散液、顔料同士および顔料を原紙に接着固定するためのバインダー、およびその他の添加剤によって構成される水性塗料である。バインダーとしてはスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスに代表されるような合成エマルションバインダーやデンプン、カゼインに代表されるような天然バインダーが使用される。その中でもスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスは、品質設計の自由度が大きく、今日では紙塗工用組成物に最も適したバインダーとして広く使用されており、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの性能が紙塗工用組成物の性能や塗工紙作製時の操業性あるいは最終的な塗工紙製品の表面強度、印刷光沢などの品質に影響することが知られている。
しかし、これらの様々な改良技術は、日々高速化している塗工マシンに対応できる紙塗工用組成物として要求される塗工操業性および塗工紙物性を十分に満足するレベルには至っておらず、特にラテックスからの更なる改良が強く求められている。
(1)ウンデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、
(2)ドデシルメルカプタン 0.025〜1.8重量部、
(3)トリデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、
(4)テトラデシルメルカプタン 0〜0.2重量部
(5)その他のメルカプタン 0〜0.2重量部
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。
脂肪族共役ジエン系単量体は全単量体中、20〜70重量%の範囲で使用されることが必要である。脂肪族共役ジエン系単量体が20重量%未満では、得られる塗工紙の印刷強度が低下する。一方、脂肪族共役ジエン系単量体が70重量%を越えるとラテックスフィルムのベタツキ性が高くなり、紙塗工用組成物の再分散性が低下する。好ましくは30〜60重量%である。
これらのエチレン性不飽和カルボン酸系単量体は0.1〜20重量%の範囲で使用されることが必要である。エチレン性不飽和カルボン酸系単量体が0.1重量%未満では共重合体の化学的安定性が劣る。一方、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体が20重量%を越えると共重合体の粘度が高くなり、取り扱いが困難となる。好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜6重量%である。
(1)ウンデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、好ましくは0.0005〜0.5重量部、
(2)ドデシルメルカプタン 0.025〜1.8重量部、好ましくは0.025〜1.5重量部、
(3)トリデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、好ましくは0.0005〜0.5重量部、
(4)テトラデシルメルカプタン 0〜0.2重量部、好ましくは0〜0.16重量部、
(5)その他のメルカプタン 0〜0.2重量部、好ましくは0〜0.16重量部
(1)〜(5)に記載のアルキルメルカプタンを一種使用した場合、もしくは、二種以上を上記範囲外の量で使用した場合は、塗工紙の印刷強度が低下したり、ラテックスのベタツキ性が劣る。アルキルメルカプタンのアルキル基としては、直鎖タイプ、分岐タイプがあるが、上記範囲内の量を用いた場合には、直鎖タイプ、分岐タイプのいずれのタイプでも塗工紙の優れた印刷強度が得られる。ただし、分岐タイプで第3級ブチル基を有するものは、紙塗工用組成物の再分散性が劣り、好ましくない。
各共重合体ラテックスの光子相関法による平均粒子径を測定した。尚、測定に際しては、FPAR−1000(大塚電子製)を使用した。
80℃にて各共重合体ラテックスのラテックスフィルムを作製する。その後ラテックスフィルムを約1g秤量しXgとする。これを400mlのトルエンに入れ48時間膨潤溶解させる。その後、これを秤量済みの300メッシュの金網で濾過し、その後トルエンを蒸発乾燥させ、その乾燥後重量から金網重量を減じて、試料の乾燥後重量を秤量しYgとする。下記式よりゲル含量を計算した。
ゲル含量(%)=(Y/X)*100
バッキングロール等へのラテックスの付着しやすさの目安として、共重合体ラテックスのフィルムのベタツキ性(粘着性)について試験を行った。ポリエステルフィルムに各共重合体ラテックスを固形分で塗布量12g/m2になるように塗工し、120℃オーブン中で1分間乾燥後、1cm幅の短冊状に切る。黒色台紙上に合成した全ての共重合体ラテックスフィルムの短冊を並べて貼り付ける。
その上に、濾紙を重ねてRI印刷機を用い圧着する。その後、濾紙を剥がした後の、濾紙の繊維の各ラテックスフィルム表面上への付着状態を目視で判断し、各ラテックスフィルムのベタツキ性を比較した。繊維の付着の少ないものをベタツキ性に優れるとして◎、繊維の付着が多いものをベタツキ性に劣るとして×とし、下記のとおり相対的に評価した。
(優)◎ > ○ > △ > ×(劣)
NBR黒ゴム板上に各組成物サンプルを並べて#6ワイヤーバーにて塗布し60℃熱風循環式オーブンにて3分間乾燥させた後、30℃の流水で1分間洗浄してNBR黒ゴム板上に残った組成物の皮膜を目視にて観察した。皮膜の残量の少ないものを再分散性に優れるとして◎、皮膜の残量の多いものを再分散性に劣るとして×とし、下記のとおり目視にて相対的に評価した。
(優)◎ > ○ > △ > × > ××(劣)
RI印刷機で各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(優)から1級(劣)まで相対的に目視評価した。
RI印刷機を用いてモルトンロールにより各塗工紙試料に同時に湿し水を付与し、その直後にインキロールにより各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(優)から1級(劣)まで相対的に目視評価した。
耐圧製の重合反応器に、重合水150部、過硫酸カリウム1部を仕込み、十分攪拌した後、1段目として表1および表2の添加1に示す各単量体および他の化合物を加えて70℃に昇温して重合を開始した。1段目の単量体の重合転化率が50%を越えた時点で、表1および表2の添加2に示す各単量体および他の化合物を7時間掛けて連続添加した。更に重合を行い、重合転化率が98%を越えた時点で重合を終了した。
次いで、得られた共重合体ラテックスを、水酸化カリウム水溶液を用いて、pHを7に調製し、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックス1〜10を得た。
下記に示した配合処方に従って、上記合成にて得られた共重合体ラテックス1〜10を用い、水酸化ナトリウム水溶液でpH9.5に調整し、紙塗工用組成物を作製した。
(紙塗工用組成物の配合処方)
配合処方
カオリン 40部
重質炭酸カルシウム 60部
変性デンプン 2部
共重合体ラテックス 7部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固形分濃度 67%
塗工原紙(坪量55g/m2)に、上記の紙塗工用組成物を片面あたりの塗被量が10g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工し乾燥した後、線圧60kg/cm、温度50℃の条件でカレンダー処理を行って塗工紙を得た。得られた塗工紙を各試験に供して評価し、その結果を表3および表4に示した。
Claims (2)
- 脂肪族共役ジエン系単量体20〜70重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜20重量%およびこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体10〜79.9重量%から構成される単量体を乳化重合するに際し、分子量調整剤として下記のアルキルメルカプタンを単量体100重量部に対して使用することを特徴とする紙塗工用共重合体ラテックス。
(1)ウンデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、
(2)ドデシルメルカプタン 0.025〜1.8重量部、
(3)トリデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、
(4)テトラデシルメルカプタン 0〜0.2重量部
(5)その他のメルカプタン 0〜0.2重量部 - 請求項1に記載の共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物。
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