JP5240480B2 - トレハロース遊離酵素とその製造方法並びに用途 - Google Patents
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Description
肉汁寒天培養、27℃
通常0.6乃至0.8×1.0乃至1.5μmの桿菌。単独、希に直鎖状の二対をなし、連鎖した細胞も観察される。多形性なし。運動性あり。無胞子。鞭毛は周鞭毛。非抗酸性。グラム陰性。カプセル陰性。異染顆粒陽性。Poly−β−hydroxybutyrateを蓄積。
(1) 肉汁寒天平板培養、27℃
形状 :円形 大きさは24時間で1.5mm。
周縁 :全縁
隆起 :偏平状ないし半レンズ状
光沢 :あり
表面 :平滑
色調 :半透明、クリーム色、ピンク色色素生成なし
(2) デキストロース・トリプトン寒天平板培養、27℃
コロニーは半透明、クリーム色、mucoid生成
(3) 酵母エキス・マンニトール寒天平板培養、27℃
形状 :円形 大きさは5日で約3mm。
色調 :半透明、クリーム色、mucoid生成
(4) コンゴ−レッド含有酵母エキス・マンニトール寒天平板培養、27℃
コロニーは仄かなピンク色で、ほとんどコンゴ−レッドを吸収しない。
(5) 2w/v%NaCl含有酵母エキス・マンニトール寒天平板培養、27℃
生育する。
(6) 肉汁寒天斜面培養、27℃
生育度 :良好
形状 :糸状
(7) 肉汁ゼラチン穿刺培養、27℃
液化しない。
(1) 硝酸塩の還元性 :陽性
(2) 脱窒反応 :陰性
(3) メチルレッド試験 :陰性
(4) VP試験 :陰性
(5) インドールの生成 :陰性
(6) 硫化水素の生成 :陽性
(7) 澱粉の加水分解 :陰性
(8) クエン酸の利用 :陽性
(9) 無機窒素源の利用:アンモニウム塩および硝酸塩ともに利用できる。
(10) 色素の生成 :なし
(11) ウレアーゼ :陽性
(12) オキシダーゼ :陰性
(13) カタラーゼ :陽性
(14) 生育の範囲 :pH 5.5乃至9.0
温度 4乃至35℃
(15) 酸素に対する態度 :好気性
(16) 炭素源の利用と酸生成の有無
利用性 酸生成
D−グルコース 利用する 陽性
D−ガラクトース 利用する 陽性
D−フラクトース 利用する 陽性
L−アラビノース 利用する 陽性
D−キシロース 利用する 陽性
L−ラムノース 利用する 陽性
マルトース 利用する 陰性
スクロース 利用する 陽性
ラクトース 利用する 陰性
トレハロース 利用する 陰性
ラフィノース 利用する 陽性
マンニトール 利用する 陰性
デキストリン 利用する 陰性
ズルシトール 利用する 陰性
(17) アミノ酸の脱炭酸試験 :L−リジン、L−アルギニン、L−オルニチン、いずれに対しても陰性。
(18) アミノ酸の利用 :L−グルタミン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−ヒスチジン、L−プロリンいずれも利用する。
(19) DNase :陰性
(20) 3−ケトラクトースの生成 :陰性
(21) DNAのG−C含量 :61%
(1) 肉汁寒天培養、27℃
通常0.5乃至0.7×0.8乃至1.6μmの桿菌。単独。
多形性あり。運動性なし。無胞子。鞭毛なし。非抗酸性。グラム陽性。カプセル陰性。
(2) EYG寒天培養、27℃
桿菌−球菌の生育サイクルを示す。
(1) 肉汁寒天平板培養、27℃
形状 :円形 大きさは3日間で2乃至2.5mm。
周縁 :全縁
隆起 :半レンズ状
光沢 :湿光
表面 :平滑
色調 :半透明、白色乃至淡い黄色
(2) 肉汁寒天斜面培養、27℃
生育度 :良好
形状 :糸状
(3) 酵母エキス・ペプトン寒天斜面培養、27℃
生育度 :良好
形状 :糸状
(4) 肉汁ゼラチン穿刺培養、27℃
液化する。
(1) 硝酸塩の還元性 :陽性
(2) 脱窒反応 :陰性
(3) メチルレッド試験 :陰性
(4) VP試験 :陽性
(5) インドールの生成 :陰性
(6) 硫化水素の生成 :陽性
(7) 澱粉の加水分解 :陰性
(8) セルロースの分解 :陰性
(9) クエン酸の利用 :陽性
(10) 無機窒素源の利用 :アンモニウム塩および硝酸塩ともに利用できる。
(11) 色素の生成 :なし
(12) ウレアーゼ :陽性
(13) オキシダーゼ :陰性
(14) カタラーゼ :陽性
(15) 生育の範囲 :pH 5乃至10
温度 4乃至37℃
(16) 酸素に対する態度 :好気性
(17) 炭素源の利用性と酸生成の有無
利用性 酸生成
D−グルコース 利用する 陰性
D−ガラクトース 利用する 陰性
D−フラクトース 利用する 陰性
L−アラビノース 利用する 陰性
D−キシロース 利用する 陰性
L−ラムノース 利用する 陰性
マルトース 利用する 陰性
スクロース 利用する 陰性
ラクトース 利用する 陰性
ラフィノース 利用する 陰性
マンニトール 利用する 陰性
デキストリン 利用する 陰性
ズルシトール 利用する 陰性
(18) アミノ酸の利用 :L−グルタミン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−ヒスチジン、L−プロリンいずれも利用する。
(19) DNase :陽性
(20)3−ケトラクトースの生成 :陰性
(21) 細胞壁の主要ジアミノ酸 :リジン
(22) DNAのG−C含量 :63%
(1) 作用
末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度が3以上の非還元性糖質のトレハロース部分とそれ以外のグリコシル部分との間の結合を特異的に加水分解する。
(2) 分子量
SDS−ゲル電気泳動法により、約57,000乃至68,000ダルトン。
(3) 等電点
アンフォライン含有電気泳動法により、pI約3.3乃至4.6。
(4) 至適温度
pH7.0、30分間反応で、35乃至45℃付近。
(5) 至適pH
40℃、30分間反応で、pH約6.0乃至7.5。
(6) 温度安定性
pH7.0、60分間保持で、30乃至45℃付近まで安定。
(7) pH安定性
25℃、16時間保持で、pH約5.0乃至10.0。
パインデックス#4(松谷化学工業株式会社製造)2.0w/v%、ペプトン0.5w/v%、酵母エキス0.1w/v%、リン酸二ナトリウム0.1w/v%、リン酸一カリウム0.1w/v%および水からなる液体培地をpH7.0に調整した。500ml容三角フラスコにこの培地を約100mlずつ入れ、オートクレーブで120℃で20分間滅菌し、冷却して、リゾビウム・スピーシーズ M−11(FERM BP−4130)を接種し、27℃、130rpmで24時間培養したものを種培養液とした。
実験1の方法で得られた培養液約18lを超高圧菌体破砕装置ミニラボ(大日本製薬株式会社製)で処理し、含まれる菌体を破砕した。処理液を遠心分離(10,000rpm、30分間)することにより、約16lの遠心上清液を得た。その液に飽和度0.2になるように硫安を加え溶解させ、4℃、1時間放置した後、遠心分離(10,000rpm、30分間)することにより上清を回収した。
実験2の方法で得られた精製トレハロース遊離酵素標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル(ゲル濃度10%)を用いる電気泳動法に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラド・ラボラトリーズ株式会社製)と比較して本酵素の分子量を測定したところ、分子量約58,000乃至68,000ダルトンであった。
基質として用いる末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度が3以上の非還元性糖質は、特願平4−362131号明細書に記載する方法に従って調製した。即ち、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオースおよびマルトヘプタオースから選ばれる還元性澱粉部分分解物の20%水溶液に実験2の方法で得られた精製非還元性糖質生成酵素標品を基質固形物グラム当りそれぞれ2単位の割合で加え、40℃、pH7.0で48時間作用させた後、常法に従って、加熱失活、瀘過、脱色、脱塩、濃縮し、アルカリ金属型強酸性カチオン交換樹脂(XT−1016,Na+型、架橋度4%、東京有機化学工業株式会社製造)を用いたイオン交換カラムクロマトグラフィーを行った。樹脂を内径2.0cm、長さ1mのジャケット付ステンレス製カラム3本に充填し、直列につなぎ、カラム内温度を55℃に維持しつつ、反応糖液を樹脂に対して5v/v%加え、これに55℃の温水をSV0.13で流して分画し、末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度が3以上の非還元性糖質の高純度標品を調製した。得られた高純度標品のうち、グルコシルトレハロース標品中のグルコシルトレハロースの純度は97.6%で、マルトシルトレハロース標品中のマルトシルトレハロースの純度は98.6%で、マルトトリオシルトレハロース標品中のマルトトリオシルトレハロースの純度は99.6%で、マルトテトラオシルトレハロース標品中のマルトテトラオシルトレハロースの純度は98.3%で、マルトペンタオシルトレハロース標品中のマルトペンタオシルトレハロースの純度は98.1%であった。
1.トレハロース遊離酵素は、末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度が3以上の非還元性糖質のトレハロース部分とグリコシル部分との間の結合を特異的に加水分解し、トレハロースとグルコース重合度が1以上の還元性糖質とを生成する。
2.マルトオリゴ糖は、トレハロース遊離酵素によって全く作用をうけない。
5%ワキシーコーンスターチ懸濁液を加熱糊化させた後、pH4.5、温度50℃に調整し、これにイソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を澱粉グラム当り4,000単位の割合になるように加え、20時間反応させた。その反応液をオートクレーブ(120℃、10分間)し、次いで60℃に冷却し、これをトヨパール HW−50S樹脂(東ソー株式会社製造)を用いたゲル瀘過クロマトグラフィー(ゲル量750ml)でグルコース重合度35乃至10の還元性澱粉部分分解物を調製した。
実験4の方法で得られた高純度トレハロース標品(純度99.5%)の10%とグリシン1%と、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)とを含む溶液を100℃で90分間保ち、冷却後、この溶液の480nm、1cmセルにおける吸光度を測定した。対照として、グルコース、マルトースを用いて、同様に処理し、480nmにおける吸光度を測定した。結果を表5に示す。
厚治等が、『臨床栄養』、第41巻、第2号、第200乃至208頁(1972年)で報告している方法に準じて、実験4の方法で得られた高純度トレハロース標品(純度99.5%)30gを20w/v%水溶液とし、これをボランティア6名(健康な26才、27才、28才、29才、30才、31才の男性)にそれぞれ経口投与し、経時的に採血して、血糖値およびインスリン値を測定した。対照としては、グルコースを用いた。その結果、トレハロースは、グルコースの場合と同様の挙動を示し、血糖値、インスリン値ともに、投与後、約0.5乃至1時間で最大値を示した。トレハロースは、容易に消化吸収、代謝利用されて、エネルギー源になることが判明した。
マウスを使用して、実験4の方法で得られた高純度トレハロース標品(純度99.5%)を経口投与して急性毒性試験を行った。その結果、トレハロースは低毒性の物質で、投与可能な最大投与量においても死亡例は認められなかった。従って、正確な値とはいえないが、そのLD50値は、50g/kg以上であった。
リゾビウム・スピーシーズ M−11(FERM BP−4130)に代えて、アルスロバクター・スピーシーズ Q36(FERM BP−4316)を用いた以外は、実験1と同様に、ファーメンターで約72時間培養した。培養液の非還元性糖質生成酵素の酵素活性は約1.3単位/mlで、本発明のトレハロース遊離酵素の酵素活性は約1.8単位/mlであった。実験1と同様にして菌体懸濁液と培養上清との酵素活性を測定したところ、菌体懸濁液には、非還元性糖質生成酵素の酵素活性が約0.5単位/ml、トレハロース遊離酵素の酵素活性が約0.5単位/ml認められ、培養上清には、非還元性糖質生成酵素の酵素活性が約0.8単位/ml、トレハロース遊離酵素の酵素活性が約1.3単位/ml認められた。
実験9の方法で得られた培養液約18lを用いて、実験2と同様の方法で精製した。精製の各工程結果は非還元性糖質生成酵素の場合は表6に、トレハロース遊離酵素の場合は表7にまとめた。
実験10の方法で得られた精製トレハロース遊離酵素を、実験3の場合と同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で分子量を測定したところ、約57,000乃至67,000ダルトンであった。また、本酵素の等電点を実験3の場合と同様に等電点電気泳動法で求めたところ、等電点は3.6乃至4.6であった。また、本酵素活性に対する温度の影響、pHの影響、および本酵素の温度安定性、pH安定性について、実験3の場合と同様にして求めた。結果は、温度の影響を図6に、pHの影響を図7に、温度安定性を図8に、pH安定性を図9に示した。
実験10の方法で得られた精製酵素を用いて、実験4の方法に従って、末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度が3以上の非還元性糖質からのトレハロースの調製の実験を行ったところ、リゾビウム・スピーシーズ M−11由来のトレハロース遊離酵素の場合と同様に、末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度が3以上の非還元性糖質からのトレハロースを遊離することが判明した。
公知微生物のうち、本発明のトレハロース遊離酵素産生能の確認されたブレビバクテリウム・ヘロボルムATCC11822およびミクロコッカス・ロゼウスATCC186を、実験1の場合と同様にファーメンターで27℃で72時間培養した。それぞれの培養液約18lを用いて、実験2の場合と同様に、培養液を破砕装置で処理し、その遠心上清を回収し、続いて、硫安塩析、透析、イオン交換カラムクロマトグラフィーし、得られた部分精製酵素標品の性質を調べた。これらの結果を、前述のリゾビウム・スピーシーズ M−11およびアルスロバクター・スピーシーズ Q36の場合とともに表8にまとめた。
(1)N末端アミノ酸配列
実験2の方法で得られたリゾビウム・スピーシーズ M−11由来の精製酵素標品および実験10の方法で得られたアルスロバクター・スピーシーズ Q36由来の精製酵素標品の一部をそれぞれ蒸留水に対して透析した後、蛋白量として約80μgをN末端アミノ酸配列分析用の試料とした。N末端アミノ酸配列は、プロテインシーケンサー モデル473A(アプライドバイオシステムズ社製造、米国)を用い、N末端から10残基まで分析した。それぞれ得られたN末端配列を表9に示す。
実験2の方法で得られたリゾビウム・スピーシーズ M−11由来の精製酵素標品および実験10の方法で得られたアルスロバクター・スピーシーズ Q36由来の精製酵素標品の一部をそれぞれ10mMトリス・塩酸緩衝液(pH9.0)に対して透析した後、同緩衝液で約1mg/mlの濃度になるように希釈した。これら試料液(1ml)それぞれに10μgのリジルエンドペプチダーゼ(和光純薬株式会社販売)を加え、30℃、22時間反応させることによりペプチド化した。生成したペプチドを単離するため、逆相HPLCを行った。リゾビウム・スピーシーズ M−11由来酵素の場合、カプセルパックC18カラム(直径4.6mm×長さ250mm、株式会社資生堂製造)を用い、流速0.6ml/分、室温で、0.1v/v%トリフルオロ酢酸−16v/v%アセトニトリル溶液から0.1v/v%トリフルオロ酢酸−48v/v%アセトニトリル溶液の60分間のリニアグラジエントの条件で行った。アルスロバクター・スピーシーズ Q36由来酵素の場合、マイクロボンダパックC18カラム(直径2.1mm×長さ150mm、ウオーターズ社製造、米国)を用い、流速0.9ml/分、室温で、0.1v/v%トリフルオロ酢酸−30v/v%アセトニトリル溶液から0.1v/v%トリフルオロ酢酸−55v/v%アセトニトリル溶液の60分間のリニアグラジエントの条件で行った。カラムから溶出したペプチドは、波長210nmの吸光度を測定することにより検出した。他のペプチドとよく分離したそれぞれ3ペプチド[リゾビウム属酵素由来ペプチド、RT41(保持時間約41分)、RT46(保持時間約46分)、RT54(保持時間約54分);アルスロバクター酵素由来ペプチド、AT7(保持時間約7分)、AT30(保持時間約30分)、AT48(保持時間約48分)]を分取し、それぞれを真空乾燥した後、200μlの0.1v/v%トリフルオロ酢酸−50v/v%アセトニトリル溶液に溶解した。それらペプチド試料をプロテインシーケンサーに供し、それぞれ10残基までアミノ酸配列を分析した。得られた部分内部配列を表10に示す。
よび、アスパラギン酸−グルタミン酸−アルギニン−アラニン−バリン−ヒスチジン−イソロイシン−ロイシン−グルタミン酸−X3(但し、X3はグルタミン酸またアスパラギン酸を意味する。)、更に、X4−グリシン−グルタミン酸−グリシン−アスパラギン−トレオニン−トリプトファン−グリシン−アスパラギン−セリン(但し、X4はヒスチジンまたはグルタミンを意味する。)と表すことができる。
分間行った後、45℃に冷却し、これにプルラナーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を澱粉グラム当り1,000単位、前記方法で調製した非還元性糖質生成酵素とトレハロース遊離酵素とを含む濃縮液を澱粉グラム当り0.2mlの割合になるように加え、48時間反応させた。その反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、瀘過して得られる瀘液を、常法に従って、活性炭で脱色し、H型及びOH型イオン交換樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮して濃度60%のシラップを固形物当り約92%で得た。
架橋度4%、東京有機化学工業株式会社製造)を用いたイオン交換カラムクロマトグラフィーを行った。樹脂を内径5.4cmのジャケット付ステンレス製カラム4本に充填し、直列につなぎ樹脂層全長20mとした。カラム内温度を55℃に維持しつつ、糖液を樹脂に対して5v/v%加え、これに55℃の温水をSV0.13で流して分画し、マルトースおよびマルトトリオースなどの夾雑糖類を除去し、トレハロース高含有画分を採取した。更に、精製、濃縮し、真空乾燥し、粉砕して、トレハロース高含有粉末を固形物当り約56%の収率で得た。本品はトレハロースを約97%含有しており、極めて低い還元性、まろやかで上品な甘味を有し、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定剤、賦形剤などとして、各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物に有利に利用できる。
部より送風し、底部に設けた移送金網コンベア上に結晶粉末を補集し、コンベアの下より45℃の温風を送りつつ、該粉末を乾燥塔外に徐々に移動させて、取り出した。この結晶粉末を熟成塔に充填して温風を送りつつ、10時間熟成させ、結晶化と乾燥を完了し、トレハロース含水結晶粉末を、原料のトレハロース高含有糖液に対して固形物当り約90%の収率で得た。
カラムクロマトグラフィーを行い、トレハロース高含有画分を採取した。本高含有液は、固形物当り約95%のトレハロースを含有していた。本溶液を濃度75%に濃縮した後、助晶機にとり、種晶としてトレハロース含水結晶約2%を加えて撹拌助晶し、次いで、プラスチック製バットに取り出し、室温で3日間放置し晶出熟成させてブロックを調製した。次いで、本ブロックを切削機にて粉砕してトレハロース含水結晶粉末を、原料澱粉に対して固形物当り約70%の収率で得た。
実施例5の方法で得たトレハロース含水結晶粉末1質量部に、α−グリコシルステビオシド(東洋精糖株式会社販売、商品名αGスイート)0.01質量部およびL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(商品名アスパルテーム)0.01質量部を均一に混合し、顆粒成型機にかけて、顆粒状甘味料を得た。本品は、甘味の質が優れ、蔗糖の約2.5倍の甘味度を有し、甘味度当りカロリーは、蔗糖の約1/2.5に低下している。
濃度55%蔗糖溶液100質量部に実施例7の方法で得たトレハロース含有シラップ30質量部を加熱混合し、次いで減圧下で水分2%未満になるまで加熱濃縮し、これにクエン酸1質量部および適量のレモン香料と着色料とを混和し、常法に従って成型し、製品を得た。
ガムベース3質量部を柔らかくなる程度に加熱溶融し、これに蔗糖4質量部および実施例3の方法で得たトレハロース含水結晶3質量部とを加え、更に適量の香料と着色料とを混合し、常法に従って、ロールにより練り合わせ、成形、包装して製品を得た。
原乳100質量部に実施例1の方法で得たトレハロース含有シラップ3質量部および蔗糖1質量部を溶解し、プレートヒーターで加熱殺菌し、次いで濃度70%に濃縮し、無菌状態で缶詰して製品を得た。
脱脂粉乳175質量部、実施例1の方法で得たトレハース含有シラップ130質量部および特開平4−281795号公報で開示されているラクトスクロース高含有粉末50質量部を水1,150質量部に溶解し、65℃で30分間殺菌し、40℃に冷却後、これに、常法に従って、乳酸菌のスターターを30質量部植菌し、37℃で8時間培養して乳酸菌飲料を得た。
噴霧乾燥により製造したオレンジ果汁粉末33質量部に対して、実施例2の方法で得たトレハロース高含有粉末50質量部、蔗糖10質量部、無水クエン酸0.65質量部、リンゴ酸0.1質量部、L−アスコルビン酸0.1質量部、クエン酸ソーダ0.1質量部、プルラン0.5質量部、粉末香料適量をよく混合攪拌し、粉砕し微粉末にしてこれを流動層造粒機に仕込み、排風温度40℃とし、これに、実施例1の方法で得たトレハロース含有シラップをバインダーとしてスプレーし、30分間造粒し、計量、包装して製品を得た。
コーンスターチ100質量部、実施例7の方法で得たトレハロース含有シラップ100質量部、マルトース80質量部、蔗糖20質量部および食塩1質量部を充分に混合し、鶏卵280質量部を加えて攪拌し、これに沸騰した牛乳1,000質量部を徐々に加え、更に、これを火にかけて攪拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバニラ香料を加え、計量、充填、包装して製品を得た。
米粉90質量部に、コーンスターチ20質量部、蔗糖40質量部、実施例A3の方法で得たトレハロース含水結晶粉末80質量部およびプルラン4質量部を均一に混合してういろうの素を製造した。ういろうの素と適量の抹茶と水とを混練し、これを容器に入れて60分間蒸し上げて抹茶ういろうを製造した。
原料あずき10質量部に、常法に従って、水を加えて煮沸し、渋切り、あく抜きし、水溶性夾雑物を除去して、あずきつぶあん約21質量部を得た。この生あんに、蔗糖14質量部、実施例1の方法で得たトレハロース含有シラップ5質量部および水4質量部を加えて煮沸し、これに少量のサラダオイルを加えてつぶあんをこわさないように練り上げ、製品のあんを約35質量部得た。
小麦粉100質量部、イースト2質量部、砂糖5質量部、実施例3の方法で得たトレハロース含有粉末1質量部および無機フード0.1質量部を、常法に従って、水でこね、中種を26℃で2時間発酵させ、その後30分間熟成し、焼き上げた。
豚もも肉1,000質量部に食塩15質量部および硝酸カリウム3質量部を均一にすり込んで、冷室に1昼夜堆積する。これを水500質量部、食塩100質量部、硝酸カリウム3質量部、実施例6の方法で得たトレハロース含水結晶粉末40質量部および香辛料からなる塩漬液に冷室で7日間漬け込み、次いで、常法に従い、冷水で洗浄し、ひもで巻き締め、燻煙し、クッキングし、冷却包装して製品を得た。
40%食品用大豆ペプチド溶液(不二製油株式会社製造、商品名ハイニュートS)1質量部に、実施例6の方法で得たトレハロース含水結晶粉末2質量部を混合し、プラスチック製バットに入れ、50℃で減圧乾燥し、粉砕して粉末ペプチドを得た。
赤味噌1質量部に実施例4の方法で得た結晶性無水トレハロース粉末3質量部を混合し、多数の半球状凹部を設けた金属板に流し込み、これを室温下で一夜静置して固化し、離型して1個当り約4gの固形味噌を得、これを粉砕機にかけて粉末味噌を得た。
生卵から調製した卵黄をプレート式加熱殺菌機で60乃至64℃で殺菌し、得られる液状卵黄1質量部に対して、実施例4の方法で得た無水結晶トレハロース粉末4質量部の割合で混合した後バットに移し、一夜放置して、トレハロース含水結晶に変換させてブロックを調製した。本ブロックを切削機にかけて粉末化し、粉末卵黄を得た。
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2質量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5質量部、実施例2の方法で得たトレハロース高含有粉末2質量部、α−グリコシルルチン1質量部、流動パラフィン1質量部、トリオクタン酸グリセリン10質量部および防腐剤の適量を常法に従って加熱溶解し、これにL−乳酸2質量部、1,3−ブチレングリコール5質量部および精製水66質量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて攪拌混合しクリームを製造した。
薬用人参エキス0.5質量部に実施例4の方法で得た無水結晶トレハロース粉末1.5質量部を混捏した後、バットに移し、2日間放置してトレハロース含水結晶に変換させブロックを調製した。本ブロックを切削機にかけて粉末化し、分級して粉末薬用人参エキスを得た。
ヒト天然型インターフェロン−α標品(株式会社林原生物化学研究所製造、コスモ・バイオ株式会社販売)を、常法に従って、固定化抗ヒトインターフェロン−α抗体カラムにかけ、該標品に含まれるヒト天然型インターフェロン−αを吸着させ、安定剤である牛血清アルブミンを素通りさせて除去し、次いで、pHを変化させて、ヒト天然型インターフェロン−αを実施例2の方法で得たトレハロース高含有粉末を5%含有する生理食塩水を用いて溶出した。本液を精密濾過し、約20倍量の無水結晶マルトース粉末(株式会社林原商事販売、商品名ファイントース)に加えて脱水、粉末化し、これを打錠機にて打錠し、1錠(約200mg)当りヒト天然型インターフェロン−αを約150単位含有する錠剤を得た。
重量150mgの素錠を芯剤とし、これに実施例3の方法で得たトレハロース含水結晶粉末40質量部、プルラン(平均分子量20万)2質量部、水30質量部、タルク25質量部および酸化チタン3質量部からなる下掛け液を用いて錠剤重量が約230mgになるまで糖衣し、次いで、同じトレハロース含水結晶粉末65質量部、プルラン1質量部および水34質量部からなる上掛け液を用いて、糖衣し、更に、ロウ液で艶出しして光沢のある外観の優れた糖衣錠を得た。
配合
第2リン酸カルシウム 45.0%
プルラン 2.95%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5%
グリセリン 20.0%
ポリオキシエチレンソルビタンラウレート 0.5%
防腐剤 0.05%
実施例3の方法で得たトレハロース含水結晶粉末 12.0%
マルチトール 5.0%
水 13.0%
上記の材料を常法に従って混合し、練歯磨を得た。
実施例6の方法で製造したトレハロース含水結晶粉末500質量部、粉末卵黄270質量部、脱脂粉乳209質量部、塩化ナトリウム4.4質量部、塩化カリウム1.8質量部、硫酸マグネシウム4質量部、チアミン0.01質量部、アスコルビン酸ナトリウム0.1質量部、ビタミンEアセテート0.6質量部及びニコチン酸アミド0.04質量部からなる配合物を調製し、この配合物25グラムずつ防湿性ラミネート小袋に充填し、ヒートシールして製品を得た。
実施例8の方法で製造した高純度トレハロース含水結晶を水に濃度約10w/v%に溶解し、次いで、常法に従って、精密濾過してパイロジェンフリーとし、プラスチック製ボトルに無菌的に充填し施栓して製品を得た。
実施例8の方法で製造した高純度トレハロース含水結晶と下記の組成のアミノ酸配合物とがそれぞれ5w/v%、30w/v%になるように水に混合溶解し、次いで実施例10と同様に精製してパイロジェンフリーとし、更に、プラスチック製バックに充填し施栓して製品を得た。
L−イソロイシン 180
L−ロイシン 410
L−リジン塩酸塩 620
L−メチオニン 240
L−フェニルアラニン 290
L−スレオニン 180
L−トリプトファン 60
L−バリン 200
L−アルギニン塩酸塩 270
L−ヒスチジン塩酸塩 130
グリシン 340
実施例2の方法で製造したトレハロース高含有粉末200質量部およびマルトース300質量部に、ヨウ素3質量部を溶解したメタノール50質量部を加え混合し、更に10w/v%プルラン水溶液200質量部を加えて混合し、適度の延び、付着性を示す外傷治療用膏薬を得た。
Claims (4)
- 末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度3以上の非還元性糖質のトレハロース部分とそれ以外のグリコシル部分との間の結合を特異的に加水分解する作用を有し、部分アミノ酸配列として、
(1)ロイシン−アスパラギン酸−トリプトファン−アラニン−グルタミン酸−アラニン−X1−X2−グリシン−アスパラギン酸(但し、X1はセリン又はアラニンを意味し、X2はアラニン又はグルタミン酸を意味する)
(2)アスパラギン酸−グルタミン酸−アルギニン−アラニン−バリン−ヒスチジン−イソロイシン−ロイシン−グルタミン酸−X3(但し、X3はグルタミン酸又はアスパラギン酸を意味する)
(3)X4−グリシン−グルタミン酸−グリシン−アスパラギン−トレオニン−トリプトファン−グリシン−アスパラギン酸−セリン(但し、X4はヒスチジン又はグルタミンを意味する)
から選ばれる1種又は2種以上の部分アミノ酸配列を有し、かつ、SDS−ゲル電気泳動法において、約57,000乃至68,000ダルトンの分子量を有するトレハロース遊離酵素の活性測定方法であって、基質溶液として末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度3以上の非還元性糖質を含有する水溶液を用い、これにトレハロース遊離酵素を作用させ、該非還元性糖質の末端からトレハロースが遊離することにより生成した還元性糖質の生成量を測定することを特徴とするトレハロース遊離酵素の活性測定方法。 - トレハロース遊離酵素が、リゾビウム属、アルスロバクター属、ブレビバクテリウム属及びミクロコッカス属から選ばれる微生物に由来し、下記の理化学的性質を有する酵素であることを特徴とする、請求項1記載のトレハロース遊離酵素の活性測定方法:
(1)作用
末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度が3以上の非還元性糖質のトレハロース部分とそれ以外のグリコシル部分との間の結合を特異的に加水分解する;
(2)分子量
SDS−ゲル電気泳動法により、約57,000乃至68,000ダルトン;
(3)等電点
アンフォライン含有電気泳動法により、pI約3.3乃至4.6;
(4)至適温度
pH7.0、30分間反応で、35乃至45℃付近;
(5)至適pH
40℃、30分間反応で、pH約6.0乃至7.5;
(6)温度安定性
pH7.0、60分間保持で、30乃至45℃付近まで安定;
(7)pH安定性
25℃、16時間保持で、pH約5.0乃至10.0。 - 末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度3以上の非還元性糖質が、グルコシルトレハロース、マルトシルトレハロース、マルトトリオシルトレハロース、マルトテトラオシルトレハロース、及び、マルトペンタオシルトレハロースから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載のトレハロース遊離酵素の活性測定方法。
- 酵素反応液の還元力を測定することにより生成した還元性糖質の生成量を測定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトレハロース遊離酵素の活性測定方法。
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