JP3725148B2 - マルトース・トレハロース変換酵素とその製造方法並びに用途 - Google Patents
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Description
<A:細胞形態>
(1)肉汁寒天培養、27℃:
通常、0.5乃至0.9×1.5乃至4.0μmの桿菌。単独、希にV型の対をなし、連鎖した細胞も観察される。運動性なし。無胞子。非抗酸性。グラム陽性。
(2)酵母エキス・麦芽エキス寒天培養、27℃:
培養1日の細胞の大きさは、0.6乃至1.0×1.3乃至4.2μm、培養3日で0.6乃至1.0×1.0乃至2.5μmとなり、球菌に近い細胞もみられ、多形性が認められる。また、単独、希にV型の対をなし、連鎖した細胞も観察される。
(1)肉汁寒天平板培養、27℃
形状 :円形 大きさは24時間で0.5mm。3日で1.5乃至2mm。
周縁 :波状
隆起 :半レンズ状
光沢 :なし
表面 :しわ状
色調 :不透明、クリーム色。
(2)酵母エキス・麦芽エキス寒天平板培養、27℃
形状 :円形 大きさは3日で約1乃至1.5mm。
周縁 :波状
隆起 :半レンズ状
光沢 :なし
表面 :粗面
色調 :不透明、クリーム色。
(3)肉汁寒天斜面培養、27℃
生育度 :良好
形状 :糸状
(4)肉汁ゼラチン穿刺培養、27℃
:液化
(1)硝酸塩の還元性 :陽性
(2)脱窒反応 :陰性
(3)メチルレッド試験 :陰性
(4)VP試験 :陰性
(5)インドールの生成 :陰性
(6)硫化水素の生成 :陽性
(7)澱粉の加水分解 :陰性
(8)クエン酸の利用 :陽性
(9)無機窒素源の利用 :アンモニウム塩及び硝酸塩ともに利用できる。
(10)色素の生成 :陰性
(11)ウレアーゼ :陰性
(12)オキシダーゼ :陰性
(13)カタラーゼ :陰性
(14)生育の範囲 :pH5乃至9、温度15乃至40℃。
(15)酸素に対する態度 :好気性
(16)炭素源の利用と酸生成の有無
利用性 酸生成能
D−グルコース 利用する 陰性
D−ガラクトース 利用しない 陰性
D−マンノース 利用する 陰性
D−フラクトース 利用する 陰性
L−アラビノース 利用する 陰性
D−キシロース 利用する 陰性
L−ラムノース 利用する 陰性
マルトース 利用する 陰性
スクロース 利用する 陰性
ラクトース 利用しない 陰性
トレハロース 利用する 陰性
ラフィノース 利用する 陰性
マンニトール 利用しない 陰性
デキストリン 利用する 陰性
ズルチトール 利用しない 陰性
(17)アミノ酸の脱炭酸試験:L−リジン、L−アルギニン、オルニチン、いずれに対しても陰性。
(18)アミノ酸の利用:L−グルタミン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸ナトリウムいずれも利用する。
(19)DNase :陰性
(20)3−ケトラクトースの生成 :陰性
(21)DNAのG−C含量 :72%
(22)細胞壁の主要ジアミノ酸 :LL−ジアミノピメリン酸
<A:細胞形態>
(1)肉汁寒天培養、27℃:
通常0.5〜0.7×1.0〜2.0μmの桿菌で胞子は形成しない。極鞭毛による運動性あり。グラム陰性。非抗酸性。
(2)酵母エキス・麦芽エキス寒天培養、27℃:
培養1日の細胞の大きさは、0.6〜0.8×2.0〜4.0μm
(1)肉汁寒天平板培養、27℃
形状 :円形、大きさは24時間で1〜2mm。3日で3.5〜4mm
周縁 :全縁
隆起 :半レンズ状
光沢 :湿光
表面 :平滑
色調 :不透明、白〜うすい黄色
(2)酵母エキス・麦芽エキス寒天平板培養、27℃
形状 :円形 大きさは3日で約4〜5mm
周縁 :全縁
隆起 :半レンズ状
光沢 :湿光
表面 :平滑
色調 :不透明、白〜クリーム色
(3)肉汁寒天斜面培養、27℃
生育度 :良好
形状 :糸状。隆起は薄く、表面は平滑で湿光、不透明でやや黄味がかったクリーム色
(4)肉汁ゼラチン穿刺培養、27℃
:液化しない
(1)硝酸塩の還元性 :陽性(コハク酸培地)
(2)脱窒反応 :陰性
(3)メチルレッド試験 :陰性
(4)VP試験 :陰性
(5)インドールの生成 :陰性
(6)硫化水素の生成 :陰性
(7)澱粉の加水分解 :陰性
(8)ポリ−β−ヒドロキシブチレートの蓄積 :陰性
(9)プロカテク酸の分解 :オルト型
(10)クエン酸の利用 :陽性
(11)無機窒素源の利用 :アンモニウム塩及び硝酸塩ともに利用できる。
(12)色素の生成 :うすい黄色の色素生成
(13)蛍光性色素の生成 :陽性
(14)ウレアーゼ :陽性
(15)オキシダーゼ :陽性
(16)カタラーゼ :陽性
(17)生育の範囲 :pH5乃至9、温度10乃至37℃
(18)酸素に対する態度 :好気性
(19)炭素源の利用と酸生成の有無
利用性 酸生成能
D−グルコース 利用する 陰性
D−ガラクトース 利用しない 陰性
D−マンノース 利用する 陽性
D−フラクトース 利用する 陽性
L−アラビノース 利用する 陽性
D−キシロース 利用する 陽性
L−ラムノース 利用しない 陰性
マルトース 利用しない 陰性
スクロース 利用しない 陰性
ラクトース 利用しない 陰性
トレハロース 利用しない 陰性
ラフィノース 利用しない 陰性
マンニトール 利用しない 陰性
ソルビトール 利用しない 陰性
ズルチトール 利用しない 陰性
グリセロール 利用する 陽性
(20)アミノ酸の脱炭酸試験 :L−リジン、L−オルニチンに対して陰性。L−アルギニンに対して陽性。
(21)アミノ酸の利用 :L−グルタミン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−バリン、D−アラニンいずれも利用する。L−トリプトファンを利用しない。
(22)DNase :陰性
(23)3−ケトラクトースの生成 :陰性
(24)DNAのG−C含量 :63%
(1)作用
マルトースをトレハロースに変換し、トレハロースをマルトースに変換する。
(2)分子量
SDS−ゲル電気泳動法で、約57,000乃至120,000ダルトン。
(3)等電点
アンフォライン含有電気泳動法により、pI約3.8乃至5.1。
(4)活性阻害
1mMCu++、Hg++又は50mMトリス塩酸緩衝液で阻害を受ける。
(5)起源
微生物により産生された酵素である。
<ピメロバクター・スピーシーズ R48由来のマルトース・トレハロース変換酵素>
(1)作用
マルトースをトレハロースに変換し、トレハロースをマルトースに変換する。1モルのマルトース又はトレハロースからそれぞれ約1モルのトレハロース又はマルトースを生成する。
(2)分子量
SDS−ゲル電気泳動法で、約57,000乃至67,000ダルトン。
(3)等電点
アンフォライン含有電気泳動法で、pI約4.1乃至5.1。
(4)活性阻害
1mMCu++、Hg++又は50mMトリス塩酸緩衝液で阻害を受ける。
(5)至適温度
pH7.0、60分間反応で、20℃付近。
(6)至適pH
25℃、60分間反応で、約7.0乃至8.0。
(7)温度安定性
pH7.0、60分間保持で、30℃付近まで安定。
(8)pH安定性
20℃、60分間保持で、約6.0乃至9.0。
(1)作用
マルトースをトレハロースに変換し、トレハロースをマルトースに変換する。1モルのマルトース又はトレハロースからそれぞれ約1モルのトレハロース又はマルトースを生成する。
(2)分子量
SDS−ゲル電気泳動法で、約110,000乃至120,000ダルトン。
(3)等電点
アンフォライン含有電気泳動法で、pI約4.1乃至5.1。
(4)活性阻害
1mMCu++、Hg++又は50mMトリス塩酸緩衝液で阻害を受ける。
(5)至適温度
pH7.0、60分間反応で、37℃付近。
(6)至適pH
35℃、60分間反応で、約7.3乃至8.3。
(7)温度安定性
pH7.0、60分間保持で、40℃付近まで安定。
(8)pH安定性
35℃、60分間保持で、約6.0乃至9.5。
(1)作用
マルトースをトレハロースに変換し、トレハロースをマルトースに変換する。1モルのマルトース又はトレハロースからそれぞれ約1モルのトレハロース又はマルトースを生成する。
(2)分子量
SDS−ゲル電気泳動法で、約100,000乃至110,000ダルトン。
(3)等電点
アンフォライン含有電気泳動法で、pI約3.8乃至4.8。
(4)活性阻害
1mMCu++、Hg++又は50mMトリス塩酸緩衝液で阻害を受ける。
(5)至適温度
pH7.0、60分間反応で、65℃付近。
(6)至適pH
60℃、60分間反応で、約6.0乃至6.7。
(7)温度安定性
pH7.0、60分間保持で、80℃付近まで安定。
(8)pH安定性
60℃、60分間保持で、約5.5乃至9.5。
グルコース2.0w/v%、ポリペプトン0.5w/v%、酵母エキス0.1w/v%、リン酸二カリウム0.1w/v%、リン酸一ナトリウム0.06w/v%、硫酸マグネシウム・7水塩0.05w/v%、炭酸カルシウム0.5w/v%、及び水からなる液体培地を、500ml容三角フラスコに100mlずつ入れ、オートクレーブで115℃、30分間滅菌し、冷却して、ピメロバクター・スピーシーズ R48(FERM BP−4315)を接種し、27℃、200rpmで24時間回転振盪培養したものを種培養とした。
実験1で得た培養液を遠心分離して湿質量約0.5kgの菌体を回収し、これを10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。この菌体懸濁液約5lをヴィブローゲン セルミル(エドモンドビューラー社製)にかけ、菌体を破砕し、この破砕処理液を遠心分離(15,000G、30分間)することにより、約4.5lの上清を得た。その上清液に飽和度0.3になるように硫安を加え溶解させ、4℃、4時間放置した後、遠心分離することにより上清を回収した。
実験2の方法で得た精製マルトース・トレハロース変換酵素標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(ゲル濃度10%)に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社製)と比較して本酵素の分子量を測定したところ、分子量約57,000乃至67,000ダルトンであった。
各種糖質を用いて、基質になりうるかどうかの試験をした。グルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、可溶性澱粉、アミロース(平均重合度18)、トレハロース、ネオトレハロース、ゲンチオビオース、コージビオース、イソマルトース、セロビオース、マルチトール、シュクロース、マルツロース、ツラノース、パラチノース、トレハルロース、あるいはラクトースの溶液、更に、α−グルコース・1−リン酸と等量のグルコース、又は、β−グルコース・1−リン酸と等量のグルコースとを含む溶液を調製した。
最終濃度5%のマルトース水溶液に実験2の方法で得た精製マルトース・トレハロース変換酵素を基質固形物グラム当たり2単位加え、20℃、pH7.0で24時間作用させた。酵素反応液の糖組成は、ガスクロマトグラフィー(以下、GLCと略称する。)で分析した。酵素反応液の一部を乾固し、ピリジンに溶解した後トリメチルシリル化したものを分析試料とした。ガスクロマトグラフ装置はGC−16A(株式会社島津製作所製)、カラムは2%シリコンOV−17/クロモゾルブW(ジー・エル・サイエンス株式会社製)を充填したステンレスカラム(3mmφ×2m)、キャリアーガスは窒素ガスを流量40ml/分で、カラムオーブン温度は160℃から320℃まで7.5℃/分の昇温速度で分析した。検出は水素炎イオン検出器を用いた。その結果を表3に示す。
マルトース濃度を2.5%、5%、10%、20%あるいは40%で、温度20℃、pH7.0にて、実験2の方法で得た精製マルトース・トレハロース変換酵素をマルトースグラム当たり2単位加えて反応させ、経時的に反応液を採取し、100℃で10分間加熱して酵素を失活させた。
マルトース濃度20%で、pH7.0にして、実験2の方法で得た精製マルトース・トレハロース変換酵素をマルトースグラム当たり2単位加えて、温度5℃、10℃、15℃、20℃あるいは25℃で反応させ、経時的に反応液を採取し、100℃で10分間加熱して酵素を失活させた。この酵素反応液を実験6と同様にして、HPLCにて糖組成を分析した。各温度、各時間でのトレハロース含量を表6に示す。
マルトース(株式会社林原生物化学研究所製)10質量部を水40質量部に溶解し、温度15℃、pH7.0にて、実験2の方法で得た精製マルトース・トレハロース変換酵素をマルトースグラム当たり2単位加えて48時間反応させ、次いで100℃で10分間加熱して酵素を失活させた。本溶液には、トレハロースを固形物当たり約74%含有していた。本溶液を活性炭で脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩して精製し、濃度約78%に濃縮して、トレハロース含水結晶を種晶として固形物当たり0.1%添加し、室温に一夜放置したところ、結晶が析出した。得られたマスキットを分蜜し、結晶に少量の水をスプレーして結晶を洗浄し、純度99.8%の極めて高純度のトレハロース含水結晶約3.0質量部を得た。
グルコース2.0w/v%、硫酸アンモニウム1.0w/v%、リン酸二カリウム0.1w/v%、リン酸一ナトリウム0.06w/v%、硫酸マグネシウム0.05w/v%、炭酸カルシウム0.3w/v%、及び水からなる液体培地を、500ml容三角フラスコに100mlずつ入れ、オートクレーブで115℃で、30分間滅菌し、冷却して、シュードモナス・プチダ H262(FERM BP−4579)を接種し、27℃、200rpmで24時間回転振とう培養したものを種培養とした。
実験9で得た培養液を遠心分離して湿質量約0.45kgの菌体を回収し、これを10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。この菌体懸濁液約2lを超高圧菌体破砕装置ミニラボ(大日本製薬株式会社販売)で処理し、菌体を破砕し、この破砕処理液を遠心分離(15,000G、30分間)することにより、約1.7lの上清を得た。その上清液に飽和度0.7になるように硫安を加え溶解させ、4℃、一夜放置した後、遠心分離することにより硫安塩析物を回収した。
実験10の方法で得た精製マルトース・トレハロース変換酵素標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(ゲル濃度7.5w/v%)に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社製)と比較して本酵素の分子量を測定したところ、分子量約110,000乃至120,000ダルトンであった。
反応温度を35℃とした以外は、実験4の方法に準じて、実験10で得たシュードモナス・プチダ H262の精製酵素を各種糖質に作用させて、基質になりうるかどうかの試験をした。その結果、シュードモナス・プチダ H262の酵素は、ピメロバクター・スピーシーズ R48の酵素と同様、マルトースとトレハロースにのみ作用しマルトースをトレハロースに変換し、トレハロースをマルトースに変換した。その平衡点は、トレハロース側に片寄っており、マルトースからのトレハロースへの変換率が高く、約70%になることが判明した。
マルトース濃度を5%、10%、20%あるいは30%で、温度35℃、pH7.0にて、実験10の方法で得た精製マルトース・トレハロース変換酵素をマルトースグラム当たり2単位加えて反応させ、経時的に反応液を採取し、100℃で10分間加熱して酵素を失活させた。
マルトース(株式会社林原生物化学研究所販売)10質量部を水40質量部に溶解し、温度35℃、pH7.0にして、本発明の精製マルトース・トレハロース変換酵素をマルトースグラム当たり2単位加えて48時間反応させ、次いで100℃で10分間加熱して酵素を失活させた。本溶液には、トレハロースを固形物当たり約69%含有していた。本溶液を活性炭で脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩して精製し、濃度約78%に濃縮して、トレハロース含水結晶を種晶として固形物当たり0.1%添加し、室温に一夜放置したところ、結晶が析出した。得られたマスキットを分蜜し、結晶に少量の水をスプレーして結晶を洗浄し、純度99.7%の極めて高純度のトレハロース結晶約2.3質量部を得た。
ポリペプトン0.5w/v%、酵母エキス0.1w/v%、硝酸ナトリウム0.07w/v%、リン酸二ナトリウム0.01w/v%、硫酸マグネシウム0.02w/v%、塩化カルシウム0.01w/v%及び水からなる液体培地を、pH7.5に調整した後、500ml容三角フラスコに100mlずつ入れ、オートクレーブで120℃で、20分間滅菌し、冷却して、サーマス・アクアティカス ATCC33923を接種し、60℃、200rpmで24時間回転振とう培養したものを種培養とした。
実験15で得られた培養液を遠心分離して湿質量約0.28kgの菌体を回収し、これを10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。この菌体懸濁液約1.9lを、超音波破砕機 モデルUS300(株式会社日本精機製作所製)で処理し、菌体を破砕した。この破砕処理液を遠心分離(15,000G、30分間)することにより、約1.8lの上清を得た。その上清に飽和度0.7になるように硫安を加え溶解させ、4℃、一夜放置した後、遠心分離機にかけ、硫安塩析物を回収した。
実験16の方法で得た精製マルトース・トレハロース変換酵素標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(ゲル濃度7.5w/v%)に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社製)と比較して本酵素の分子量を測定したところ、分子量約100,000乃至110,000ダルトンであった。
反応温度を50℃とした以外は、実験4の方法に準じて、実験16で得たサーマス・アクアティカス ATCC33923の精製酵素を各種糖質に作用させて、基質になりうるかどうかの試験をした。その結果、サーマス・アクアティカス ATCC33923の酵素はピメロバクター・スピーシーズ R48の酵素、あるいは、シュードモナス・プチダ H262の酵素と同様、マルトースとトレハロースにのみ作用しマルトースをトレハロースに変換し、トレハロースをマルトースに変換した。その平衡点は、トレハロース側に片寄っており、マルトースからトレハロースへの変換率が高く、70%以上になることが判明した。
マルトース濃度を2.5%、5%、10%、20%あるいは40%で、温度60℃、pH6.5にて、実験16の方法で得たサーマス・アクアティカス ATCC33923の精製マルトース・トレハロース変換酵素をマルトースグラム当たり2.5単位加えて反応させ、72時間目に反応液を採取し、100℃で30分間加熱して酵素を失活させた。この反応液を用いて、実験6と同様に還元力及び糖組成を測定した。その結果を表10に示した。
マルトース濃度20%で、pH6.5にして、実験16の方法で得たサーマス・アクアティカス ATCC33923の精製マルトース・トレハロース変換酵素をマルトースグラム当たり2.5単位加えて、温度40℃、50℃、60℃、あるいは70℃で反応させ、経時的に反応液を採取し、100℃で30分間加熱して酵素を失活させた。この反応液を実験6と同様にして、HPLCにて糖組成を分析した。各温度、各時間でのトレハロース含量を表11に示す。
公知微生物のうち、本発明のマルトース・トレハロース変換酵素産生能の確認された特定の微生物を、実験15の場合に準じて三角フラスコにて48時間培養した。培養液の酵素活性を調べた後、実験16の方法に準じて、培養液を破砕装置にかけ、その上清を透析して、部分精製酵素を得、実験17の方法に従って、その性質を調べた。結果を表12に示した。
実験2の方法で得られたピメロバクター・スピーシーズ R48由来の精製酵素標品、実験10の方法で得られたシュードモナス・プチダ H262由来の精製酵素標品及び実験16の方法で得られたサーマス・アクアティカス ATCC33923由来の精製酵素標品の一部を、それぞれ蒸留水に対して透析した後、蛋白量として約80μgをN末端アミノ酸配列分析用の試料とした。N末端アミノ酸配列は、プロテインシーケンサーモデル473A(アプライドバイオシステムズ社製造、米国)を用いて分析した。それぞれ得られたN末端配列を表13に示す。
実験8の方法で調製したトレハロースの高純度標品を用いて理化学的性質を調べた。融点は97.0℃、比旋光度は[α]20D+199゜(c=5)、融解熱は57.8KJ/mole、溶解度は25℃の水に対し、無水物として77.0gであった。これらの物性値は、同時に測定した市販トレハロース含水結晶(和光純薬工業株式会社製)の値とよく一致した。
厚治等が、『臨床栄養』、第41巻、第2号、第200乃至208頁(1972年)で報告している方法に準じて、実験8において調製した高純度トレハロース標品(純度99.8%)30gを20w/v%水溶液とし、これをボランティア3名(健康な26才、27才、30才の男性)にそれぞれ経口投与し、経時的に採血して、血糖値及びインスリン値を測定した。対照としては、グルコースを用いた。その結果、トレハロースは、グルコースの場合と同様の挙動を示し、血糖値、インスリン値ともに、投与後、約0.5乃至1時間で最大値を示した。トレハロースは、容易に消化吸収、代謝利用されて、エネルギー源になることが判明した。従って、本発明の方法で得られるトレハロース及びこれを含む糖質は、エネルギー補給用糖源として好適である。
マウスを使用して、実験8において調製した高純度トレハロース標品(純度99.8%)を経口投与して急性毒性試験を行った。その結果、トレハロースは低毒性の物質で、投与可能な最大投与量においても死亡例は認められなかった。従って、正確な値とはいえないが、そのLD50値は、50g/kg以上であった。
実施例8の方法で得たトレハロース含水結晶粉末1質量部に、α−グリコシルステビオシド(東洋精糖株式会社製、商品名αGスイート)0.01質量部及びL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(商品名アスパルテーム)0.01質量部を均一に混合し、顆粒成型機にかけて、顆粒状甘味料を得た。本品は、甘味の質が優れ、蔗糖の約2.5倍の甘味度を有し、甘味度当たりカロリーは、蔗糖の約1/2.5に低下している。本甘味料は、それに配合した高甘味度甘味物の分解もなく、安定性に優れており、低カロリー甘味料として、カロリー摂取を制限している肥満者、糖尿病者などのための低カロリー飲食物などに対する甘味付けに好適である。また、本甘味料は、虫歯誘発菌による酸の生成が少なく、不溶性グルカンの生成も少ないことより、虫歯を抑制する飲食物などに対する甘味付けにも好適である。
濃度55%蔗糖溶液100質量部に実施例1の方法で得たトレハロース含有シラップ30質量部を加熱混合し、次いで減圧下で水分2%未満になるまで加熱濃縮し、これにクエン酸1質量部及び適量のレモン香料と着色料とを混和し、常法に従って成型し、製品を得た。本品は、歯切れ、呈味良好で、蔗糖の晶出も起こらない高品質のハードキャンディーである。
ガムベース3質量部を柔らかくなる程度に加熱溶融し、これに結晶マルチトール粉末3質量部及び実施例3の方法で得たトレハロース含水結晶粉末4質量部とを加え、更に適量の香料と着色料とを混合し、常法に従って、ロールにより練り合わせ、成形、包装して製品を得た。本品は、テクスチャー、風味とも良好なチューインガムである。また、本品は、低う蝕性乃至難う蝕性チューインガムとして好適である。
噴霧乾燥により製造したオレンジ果汁粉末33質量部に対して、実施例7の方法で得た含蜜型トレハロース含水結晶粉末50質量部、蔗糖10質量部、無水クエン酸0.65質量部、リンゴ酸0.1質量部、L−アスコルビン酸0.1質量部、クエン酸ソーダ0.1質量部、プルラン0.5質量部、粉末香料適量をよく混合撹拌し、粉砕し微粉末にしてこれを流動層造粒機に仕込み、排風温度40℃、風量150m3とし、これに、実施例6の方法で得たトレハロース含有シラップをバインダーとしてスプレーし、30分間造粒し、計量、包装して製品を得た。本品は、果汁含有率約30%の粉末ジュースで、異味、異臭がなく、高品質を長期に保った。
脱脂粉乳175質量部、実施例9の方法で得たトレハロース含有シラップ130質量部及び特開平4−281795号公報で開示されているラクトスクロース高含有粉末50質量部を水1,150質量部に溶解し、65℃で30分間殺菌し、40℃に冷却後、これに、常法に従って、乳酸菌のスターターを30質量部植菌し、37℃で8時間培養して乳酸菌飲料を得た。本品は、風味良好な乳酸菌飲料である。また、本品は、オリゴ糖を含有し、乳酸菌を安定に保持するだけでなく、ビフィズス菌増殖促進作用をも有する。
コーンスターチ100質量部、実施例6の方法で得たトレハロース含有シラップ100質量部、マルトース80質量部、蔗糖20質量部及び食塩1質量部を充分に混合し、鶏卵280質量部を加えて撹拌し、これに沸騰した牛乳1,000質量部を徐々に加え、更に、これを火にかけて撹拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバニラ香料を加え、計量、充填、包装して製品を得た。本品は、なめらかな光沢を有し、温和な甘味で美味である。
米粉90質量部に、コーンスターチ20質量部、蔗糖40質量部、実施例11の方法で得た含蜜型トレハロース含水結晶粉末80質量部及びプルラン4質量部を均一に混合してういろうの素を製造した。ういろうの素と適量の抹茶と水とを混練し、これを容器に入れて60分間蒸し上げて抹茶ういろうを製造した。本品は、照り、口当たりも良好で、風味も良い。また、澱粉の老化も抑制され、日持ちも良い。
40%食品用大豆ペプチド溶液(不二精油株式会社製造、商品名ハイニュートS)1質量部に、実施例10の方法で得たトレハロース含水結晶2質量部を混合し、プラスチック製バットに入れ、50℃で減圧乾燥し、粉砕して粉末ペプチドを得た。本品は、風味良好で、プレミックス、冷菓などの製菓用材料としてのみならず、経口流動食、経管流動食などの離乳食、治療用栄養剤などとしても有利に利用できる。
赤味噌1質量部に実施例4の方法で得た無水結晶トレハロース粉末3質量部を混合し、多数の半球状凹部を設けた金属板に流し込み、これを室温下で一夜静置して固化し、離型して1個当たり約4gの固形味噌を得、これを粉砕機にかけて粉末味噌を得た。本品は、即席ラーメン、即席吸物などの調味料として有利に利用できる。また、固形味噌は、固形調味料としてだけでなく味噌菓子などにも利用できる。
生卵から調製した黄卵をプレート式加熱殺菌機で60乃至64℃で殺菌し、得られる液状卵黄1質量部に対して、実施例4の方法で得た無水結晶トレハロース粉末4質量部の割合で混合した後バットに移し、一夜放置して、トレハロース含水結晶に変換させてブロックを調製した。本ブロックを切削機にかけて粉末化し、粉末卵黄を得た。本品は、プレミックス、冷菓、乳化剤などの製菓用材料としてのみならず、経口流動食、経管流動食などの離乳食、治療用栄養剤などとしても有利に利用できる。また、美肌剤、育毛剤などとしても有利に利用できる。
原料あずき10質量部に、常法に従って、水を加えて煮沸し、渋切り、あく抜きして、水溶性夾雑物を除去して、あずきつぶ生あん約21質量部を得た。この生あんに、蔗糖14質量部、実施例12の方法で得たトレハロース含有シラップ5質量部及び水5質量部を加えて煮沸し、これに少量のサラダオイルを加えてつぶあんをこわさないように練り上げ、製品のあんを約35質量部得た。本品は、色焼けもなく、舌ざわりもよく、風味良好で、あんパン、まんじゅう、だんご、もなか、氷菓などのあん材料として、好適である。
小麦粉100質量部、イースト2質量部、砂糖5質量部、実施例14の方法で得たトレハロース含有粉末1質量部及び無機フード0.1質量部を、常法に従って、水でこね、中種を26℃で2時間発酵させ、その後30分間熟成し、焼き上げた。本品は、色相、すだちともに良好で適度な弾力、温和な甘味を有する高品質のパンである。
豚もも肉1,000質量部に食塩15質量部及び硝酸カリウム3質量部を均一にすり込んで、冷室に1昼夜堆積する。これを、水500質量部、食塩100質量部、硝酸カリウム3質量部、実施例3の方法で得たトレハロース含水結晶粉末40質量部及び香辛料適量からなる塩漬液に冷室で7日間漬込み、次いで、常法に従い、冷水で洗浄し、ひもで巻き締め、燻煙し、クッキングし、冷却、包装して製品を得た。本品は、色合いもよく、風味良好な高品質のハムである。
原乳100質量部に実施例5の方法で得たトレハロース含有シラップ3質量部及び蔗糖1質量部を溶解し、プレートヒーターで加熱殺菌し、次いで濃度70%に濃縮し、無菌状態で缶詰して製品を得た。本品は、温和な甘味で、風味もよく、乳幼児食品、フルーツ、コーヒー、ココア、紅茶などの調味用に有利に利用できる。
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2質量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5質量部、実施例7の方法で得た含蜜型トレハロース含水結晶粉末2質量部、α−グリコシルルチン1質量部、流動パラフィン1質量部、トリオクタン酸グリセリン10質量部及び防腐剤の適量を常法に従って加熱溶解し、これにL−乳酸2質量部、1,3−ブチレングリコール5質量部及び精製水66質量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて撹拌混合しクリームを製造した。本品は、安定性に優れ、高品質の日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利に利用できる。
薬用人参エキス0.5質量部に実施例4の方法で得た無水結晶トレハロース粉末1.5質量部を混捏した後、バットに移し、2日間放置してトレハロース含水結晶に変換させブロックを調製した。本ブロックを切削機にかけて粉末化し、分級して粉末薬用人参エキスを得た。本品を適量のビタミンB1及びビタミンB2粉末とともに顆粒成型機にかけ、ビタミン含有顆粒状薬用人参エキスとした。本品は、疲労回復剤、強壮、強精剤などとして有利に利用できる。また、育毛剤などとしても利用できる。
天然型ヒトインターフェロン−α標品(株式会社林原生物化学研究所製、コスモ・バイオ株式会社販売)を、常法に従って、固定化抗ヒトインターフェロン−α抗体カラムにかけ、該標品に含まれる天然型ヒトインターフェロン−αを吸着させ、安定剤である牛血清アルブミンを素通りさせて除去し、次いで、pHを変化させて、天然型ヒトインターフェロン−αを実施例2の方法で得たトレハロース高含有粉末を5%含有する生理食塩水を用いて溶出した。本液を精密濾過し、約20倍量の無水結晶マルトース粉末(株式会社林原商事製、商品名ファイントース)に加えて脱水、粉末化し、これを打錠機にて打錠し、1錠(約200mg)当たり天然型ヒトインターフェロン−αを約150単位含有する錠剤を得た。本品は、舌下錠などとして、一日当たり、大人1乃至10錠程度が経口的に投与され、ウイルス性疾患、アレルギー性疾患、リューマチ、糖尿病、悪性腫瘍などの治療に有利に利用できる。とりわけ、近年、患者数の急増しているエイズ、肝炎などの治療剤として有利に利用できる。本品は、トレハロースと共にマルトースが安定剤として作用し、室温で放置してもその活性を長期間よく維持する。
質量150mgの素錠を芯剤とし、これに実施例3の方法で得たトレハロース含水結晶粉末40質量部、プルラン(平均分子量20万)2質量部、水30質量部、タルク25質量部及び酸化チタン3質量部からなる下掛け液を用いて錠剤質量が約230mgになるまで糖衣し、次いで、同じトレハロース含水結晶粉末65質量部、プルラン1質量部及び水34質量部からなる上掛け液を用いて、糖衣し、更に、ロウ液で艶出しして光沢のある外観の優れた糖衣錠を得た。本品は、耐衝撃性にも優れており、高品質を長期間維持する。
配合
第2リン酸カルシウム 45.0%
プルラン 2.95%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5%
グリセリン 20.0%
ポリオキシエチレンソルビタンラウレート 0.5%
防腐剤 0.05%
実施例14の方法で得たトレハロース含有粉末 12.0%
マルチトール 5.0%
水 13.0%
上記の材料を常法に従って混合し、練歯磨を得た。本品は、適度の甘味を有しており、特に子供用練歯磨として好適である。
実施例8の方法で製造したトレハロース含水結晶500質量部、粉末卵黄270質量部、脱脂粉乳209質量部、塩化ナトリウム4.4質量部、塩化カリウム1.8質量部、硫酸マグネシウム4質量部、チアミン0.01質量部、アスコルビン酸ナトリウム0.1質量部、ビタミンEアセテート0.6質量部及びニコチン酸アミド0.04質量部からなる配合物を調製し、この配合物25グラムずつ防湿性ラミネート小袋に充填し、ヒートシールして製品を得た。本品は、1袋分を約150乃至300mlの水に溶解して流動食とし、経口的、又は鼻腔、胃、腸などへ経管的使用方法により利用され、生体へのエネルギー補給用に有利に利用できる。
実施例10の方法で製造した高純度トレハロース含水結晶を水に濃度約10w/v%に溶解し、次いで、常法に従って、精密濾過してパイロジェンフリーとし、プラスチック製ボトルに無菌的に充填し施栓して製品を得た。本品は、経日変化もなく安定な輸液剤で、静脈内、腹腔内などに投与するのに好適である。本品は濃度10w/v%で血液と等張で、グルコースの場合の2倍濃度でエネルギー補給できる。
実施例13の方法で製造した高純度トレハロース含水結晶と下記の組成のアミノ酸配合物とがそれぞれ5w/v%、30w/v%になるように水に混合溶解し、次いで実施例10と同様に精製してパイロジェンフリーとし、更に、プラスチック製バックに充填し施栓して製品を得た。
アミノ酸配合物の組成(mg/100ml)
L−イソロイシン 180
L−ロイシン 410
L−リジン塩酸塩 620
L−メチオニン 240
L−フェニルアラニン 290
L−スレオニン 180
L−トリプトファン 60
L−バリン 200
L−アルギニン塩酸塩 270
L−ヒスチジン塩酸塩 130
グリシン 340
本品は、糖質とアミノ酸との複合輸液剤にもかかわらず、トレハロースが還元性を示さないため、経日変化もなく安定な輸液剤で、静脈内、腹腔内などへ投与するのに好適である。本品は、生体へのエネルギー補給のみならず、アミノ酸補給のためにも有利に利用できる。
実施例2の方法で製造したトレハロース高含有粉末200質量部及びマルトース300質量部に、ヨウ素3質量部を溶解したメタノール50質量部を加え混合し、更に10w/v%プルラン水溶液200質量部を加えて混合し、適度の延び、付着性を示す外傷治療用膏薬を得た。本品は、ヨウ素による殺菌作用のみならず、トレハロースによる細胞へのエネルギー補給剤としても作用することから、治癒期間が短縮され、創面もきれいに治る。
Claims (7)
- 基質としてマルトースを含有する水溶液を用い、当該マルトース含有水溶液に、マルトースを基質としてこれをトレハロースに変換し、且つ、グルコース・1−リン酸とグルコースは基質としない酵素を作用させることにより行われる酵素反応により、グルコースリン酸を経由することなくマルトースをトレハロースに変換する工程と、得られるトレハロース含有糖質を採取する工程とを含んでなるトレハロース含有糖質の製造方法。
- 基質としてマルトースを含有する水溶液が、澱粉にβ−アミラーゼ又はβ−アミラーゼとともに澱粉枝切酵素を作用させて得られるものである請求項1記載のトレハロース含有糖質の製造方法。
- マルトースを基質としてこれをトレハロースに変換し、且つ、グルコース・1−リン酸とグルコースは基質としない酵素反応が、下記(1)乃至(3)のいずれかのマルトース・トレハロース変換酵素を用いて行われる請求項1又は2記載のトレハロース含有糖質の製造方法;
(1)マルトースをトレハロースに変換しトレハロースをマルトースに変換する作用を有し、部分アミノ酸配列として、トリプトファン−フェニルアラニン−アルギニン−トレオニン−アラニン−バリン−フェニルアラニンを有し、且つ、SDS−ゲル電気泳動で、57,000乃至67,000ダルトンの分子量を有する、ピメロバクター属に属する微生物より得ることのできるマルトース・トレハロース変換酵素、
(2)マルトースをトレハロースに変換しトレハロースをマルトースに変換する作用を有し、部分アミノ酸配列として、トリプトファン−プロリン−アルギニン−プロリン−アラニン−アラニン−フェニルアラニンを有し、且つ、SDS−ゲル電気泳動で、110,000乃至120,000ダルトンの分子量を有する、シュードモナス属に属する微生物より得ることのできるマルトース・トレハロース変換酵素、
(3)マルトースをトレハロースに変換しトレハロースをマルトースに変換する作用を有し、部分アミノ酸配列として、アラニン−バリン−イソロイシン−チロシンを有し、且つ、SDS−ゲル電気泳動で、100,000乃至110,000ダルトンの分子量を有する、サーマス属に属する微生物より得ることのできるマルトース・トレハロース変換酵素。 - マルトースのトレハロースへの変換率が、60%を超えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトレハロース含有糖質の製造方法。
- 得られるトレハロース含有糖質に、さらにグルコアミラーゼ及び/又はα−グルコシダーゼを作用させる工程を含む請求項1乃至4のいずれかに記載のトレハロース含有糖質の製造方法。
- 得られるトレハロース含有糖質を、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけ、トレハロースの含量を向上させる工程を含む請求項1乃至5のいずれかに記載のトレハロース含有糖質の製造方法。
- さらに、トレハロースを結晶化する工程を含む請求項1乃至6のいずれかに記載のトレハロース含有糖質の製造方法。
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