JP5138990B2 - 前置増幅器および光受信装置 - Google Patents
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Description
図12において、101は光受信装置であり、受光素子103、前置増幅器104、閾値設定リミッタ増幅回路105、およびクロック・データ識別再生回路106等で構成されたものである。
前置増幅器104は受光素子103から出力される電流信号を電圧信号に変換し、増幅するためのものであり、例えばTIA(Trans−impedance Amplifier)等である。
また、光通信システムを構成する光送信装置と光受信装置101の間に図示しない光増幅器(例えばEDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier等)が設けられる場合もある。この光増幅器は送信側の光パワーを上げる目的で光送信装置の直後に設けられ、また伝送による減衰する光パワーを補い伝送距離を長距離化させる目的で光ファイバ102の途中に設けられ、さらに信号レベルの幅を広げるために光受信装置101の直前に設けられる。
説明の簡便化のため、まず上述した光増幅器を設けない構成での動作を説明する。
図13は従来の光受信装置に入力される光信号の波形および統計的ノイズ確率の分布を示す説明図(光増幅装置を使用しない場合)であり、光増幅器を使用しない場合の光受信装置101に入力される光信号の波形を模式化したもの(アイパターン)を図13(a)に示し、“1”(ハイレベル)ならびに“0”(ローレベル)の統計的ノイズ確率の分布状態を図13(b)に示している。
このような光信号波形が光受信装置101に入力された場合、まず入力された光信号は受光素子103で電流信号に変換される。変換された電流信号は前置増幅器104において電圧信号に変換され、電流振幅が小さい場合には線形増幅した電気信号が出力される。一方、電流振幅が大きい場合は飽和された電気信号が出力される。どちらの場合においても前置増幅器104の出力部での最適な閾値は“1”と“0”の中間レベル、つまり出力振幅の中心値となる。
図14は従来の光受信装置に入力される光信号の波形および統計的ノイズ確率の分布を示す説明図(光増幅装置を使用した場合)であり、光増幅器を使用した場合の光受信装置101に入力される光信号の波形を模式化したもの(アイパターン)を図14(a)に示し、“1”(ハイレベル)ならびに“0”(ローレベル)の統計的ノイズ確率の分布状態を図14(b)に示している。
このような光通信システムにおいて、受光素子としてPIN−PDを用いて10Gbpsの転送速度を実現させる場合、光受信装置101に要求される入力光信号パワーは−20dBm〜+1dBm程度であり、そのダイナミックレンジは電圧換算で42dB:125倍にもなる。また、光増幅器を用いた場合、光受信装置101に要求される入力光信号パワーは上述した要求に対して光信号に含まれるノイズに起因するペナルティ(光受信装置に起因しない入力光信号パワーのダイナミックレンジを狭くさせる外的な要因)を差し引いた特性になる。
この問題を解決するため、大光信号入力時に自動的に利得を下げる自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)機能を搭載させた前置増幅器104が開発されている。
さらに、受光パワーの急激な変化に応答できるように前置増幅器の出力を一定電圧でクランプするようにしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
このような自動利得制御機能を搭載させた前置増幅器104を用いた光受信装置101においては良好な誤り特性が得られるものの図17に示されるように閾値設定リミッタ増幅回路105の閾値設定値に対して、受光素子103の電流に比例する領域と自動利得制御機能が動作し始める受光素子103の電流の領域がICの電源変動や動作温度で変化したり、自動利得制御動作領域での閾値設定値の制御が難しいことから周辺回路にプログラマブルな制御IC等を用いることになり煩雑な閾値制御が必要になるという問題がある。
さらに、特許文献2の技術では、出力波形のローレベルおよびハイレベルをクリップさせ、上下対象で振幅が一定の波形を出力させるようにしているため、信号の良好な識別再生を得ることができないという問題がある。
また、光信号を受けた受光素子からの電流信号を電圧信号に変換して増幅する前置増幅器において、受光素子からの電流信号を電圧信号に変換して所定の利得で増幅するシングルエンドアンプと、前記シングルエンドアンプから入力した電圧信号を増幅するとともに逆相信号および正相信号を生成して出力する差動アンプと、前記差動アンプの逆相出力および正相出力の両相出力の電圧を入力し、出力を差動アンプの片側の入力にフィードバックするオペレーショナルアンプと、前記差動アンプの逆相出力および正相出力の両相出力の電圧を入力し、所定の出力インピーダンスで信号を出力する出力バッファ差動アンプと、前記差動アンプの正相出力電圧を逆相出力電圧よりも高くなるようにオフセットを持たせるオフセット生成回路とを設け、前記オフセット生成回路を、前記差動アンプの正相出力および逆相出力と前記オペレーショナルアンプの入力との間に配置するとともに、前記差動アンプの正相出力と前記出力バッファ差動アンプの正相入力との間および前記差動アンプの逆相出力と前記出力バッファ差動アンプの逆相入力との間に接続したことを特徴とする。
以下、図面を参照して本発明による前置増幅器および光受信装置の実施例を説明する。
図1において、1は光受信装置であり、受光素子3、前置増幅器4、閾値設定リミッタ増幅回路5、およびクロック・データ識別再生回路6等で構成されたものである。
受光素子3は光ファイバ2から受光した光信号を電流信号に変換するものであり、例えばPIN−PD(Positive Intrinsic Negative−Photo Diode)やAPD(Avanlanche Photo Diode)等である。
閾値設定リミッタ増幅回路5は前置増幅器4から出力される電圧信号を設定された閾値に基づいて“1”(ハイレベル)か“0”(ローレベル)のいずれかであるかを識別し、また伝送されてくる光のパワーに依存せず一定の振幅を出力するためのものであり、例えばリミッティングアンプ(LA:Limiting Amplifier)等である。
なお、光通信システムを構成する光送信装置と光受信装置1の間に図示しない光増幅器(例えばEDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier等)が設けられる場合もあるのは従来の技術と同様である。
図2において、41はシングルエンドアンプ、42はシングルエンドアンプ41と並列に接続された帰還抵抗であり、受光素子からの電流信号を電圧信号に変換して所定の利得で増幅するためのものである。
このように前置増幅器4は、シングルエンドアンプ41、およびそれに続く差動アンプ43、またシングルエンドアンプ41と並列に帰還抵抗42が接続されて、逆相出力44および正相出力45の両相出力の電圧を参照したオペレーショナルアンプ46の出力を差動アンプ43の片側の入力にフィードバックさせる構成となっている。また、逆相出力44と正電源端子47の間にはダイオード48が、そのアノードを正電源端子47に接続させる極性で設置されている。
図3は第1の実施例における前置増幅器の構成を示すブロック図である。
逆相出力44の出力部分から見て1段前の負理論信号が通過する部位と正電源との間にアノードが正電源端子47に接続される極性で2段のクリップ手段としてのダイオード48を設けた。出力部分ではなく、1段前の部位に当該ダイオード48を設けたのは、図2のような構成の場合、大光信号入力時、当該ダイオード48に電流が流れ始める状況においてダイオード48が低インピーダンスになり、出力インピーダンスが50Ωからずれてしまうのを防ぐためである。
上述した構成の作用について説明する。
小さいパワーの光信号が入力された場合には、ダイオード48の有無による特性の差異は無いが、大きなパワーの光信号が入力された場合には、ダイオード48が光増幅器によりノイズが乗った“1”レベルの振幅をその振幅に応じてクリップする(振幅が小さいときにはほとんどクリップすることなく、振幅が大きくなるとより多くの部分をクリップする)。
また、前置増幅器4へ供給する電源の変動を考えた場合、通常、回路内の電流源は、負電源側に設けられ、主信号が増幅・伝達される経路の電位は、電源変動に対して正電源側に追従することになるため、電源変動に対する“1”レベルの振幅のクリップの安定性は良い。
第2の実施例の構成は、第1の実施例において設けた正電源−逆相出力44間のダイオード48の代わりに、負電源−正相出力45間にカソードを負電源端子50に接続させる極性でクリップ手段としてのダイオード51を設置するようにした。
図6において、前置増幅器4は、第2の実施例と同様に1段のシングルエンドアンプ41、およびそれに続く2段で構成される差動アンプ43、そして、例えば、50Ωの出力インピーダンスで信号を出力するための1段の出力バッファ差動アンプ49により構成される。なお、この実施例においては、負側電源はグランド、正電源は+3.3Vを用いている。
上述した構成の作用について説明する。
第1の実施例と同様に、小さいパワーの光信号が入力された場合には、ダイオード51の有無による特性の差異は無いが、大きなパワーの光信号が入力された場合には、ダイオード51が光増幅器によりノイズが乗った“1”レベルの振幅をその振幅に応じてクリップする。
なお、第1の実施例と比較すると設定閾値の変動が若干悪くなっているが、これは、第1の実施例と同様の構成のダイオードを一義的に導入したためで、ダイオードの段数や、接合面積を調整することで、第1の実施例と同様の結果が得られるものと考えられる。
図8において、前置増幅器4は、1段のシングルエンドアンプ41、およびそれに続く3段の差動アンプ43で構成される。また、第1の実施例および第2の実施例と同様にシングルエンドアンプ41と並列に帰還抵抗42が接続されている。差動アンプ43の逆相出力44および正相出力45の両相出力の電圧を参照したオペレーショナルアンプ46が設けられており、その出力が差動アンプ43の片側の入力にフィードバックさせる構成となっている。また、差動アンプ43の両相出力とオペレーショナルアンプ46の入力との間にクリップ手段としての出力オフセット生成回路52が接続されている。
出力のオフセットは、正相出力電圧を、逆相出力電圧よりも高くなるように設定する。出力オフセット生成回路52として、図9のような回路を用いた場合、正相出力電圧が、逆相出力電圧よりも高くなるように、正相側と逆相側のダイオードの段数に差を付ける等の正相側と逆相側が非対称になる構成をとる。また、図10のような回路を用いた場合、分割抵抗値を、正相側と逆相側で異なる値にするような構成をとる。さらに、図10のe端子を前置増幅器4の外部に取り出し、外部から電圧を印加することにより、両相出力電圧にオフセットを持たせることもできる。
図10に示す出力オフセット生成回路52を採用し、正相出力電圧と逆相出力電圧のオフセットは、図10に示すe端子を前置増幅器の外部に取り出し、外部から一定電圧を印加させ、正相出力電圧を逆相出力電圧よりも高く設定した前置増幅器4を用いた場合の効果を図11に示す。
また、測定に際しては、閾値設定リミッタ増幅回路5の設定閾値は−10mVで固定し、ビットレートは10Gbps、光増幅器を用い、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)を15dBに設定した。
以上説明したように、第3の実施例では、出力オフセット生成回路52を採用し、出力のオフセットは、正相出力電圧を、逆相出力電圧よりも高くなるように設定するようにしたことにより、入力光パワーに応じて閾値設定リミッタ増幅回路5に閾値を設定するフィードバック制御を必要とせず、固定された閾値設定値を閾値設定リミッタ増幅回路5に設定することで良好に信号の識別再生ができることができるという効果が得られる。
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である光受信装置の前置増幅器として利用する。
2 光ファイバ
3 受光素子
4 前置増幅器
5 閾値設定リミッタ増幅回路
6 クロック・データ識別再生回路
41 シングルエンドアンプ
42 帰還抵抗
43 差動アンプ
44 逆相出力
45 正相出力
46 オペレーショナルアンプ
47 正電源端子
48、51 ダイオード
49 出力バッファ差動アンプ
50 負電源端子
52 出力オフセット生成回路
Claims (10)
- 光信号を受けた受光素子からの電流信号を電圧信号に変換して増幅する前置増幅器において、
受光素子からの電流信号を電圧信号に変換して所定の利得で増幅するシングルエンドアンプと、
前記シングルエンドアンプから入力した電圧信号を増幅するとともに逆相信号および正相信号を生成して出力する差動アンプと、
前記差動アンプの逆相出力および正相出力の両相出力の電圧を入力し、出力を差動アンプの片側の入力にフィードバックするオペレーショナルアンプと、
前記差動アンプの逆相出力および正相出力の両相出力の電圧を入力し、所定の出力インピーダンスで信号を出力する出力バッファ差動アンプと、
前記差動アンプの逆相出力のハイレベルおよび正相出力のローレベルのいずれか一方の振幅をクリップするクリップ手段とを設け、
前記クリップ手段を、前記差動アンプの正相出力と前記出力バッファ差動アンプの正相入力との間および前記差動アンプの逆相出力と前記出力バッファ差動アンプの逆相入力との間のいずれか一方に配置したことを特徴とする前置増幅器。 - 請求項1の前置増幅器において、
前記クリップ手段を、負論理信号が通過する部位と正電源端子の間にアノードを正電源端子に接続させる極性で設置されたダイオードとしたことを特徴とする前置増幅器。 - 請求項2の前置増幅器において、
前記負論理信号が通過する部位を、前記差動アンプの逆相出力端子としたことを特徴とする前置増幅器。 - 請求項1の前置増幅器において、
前記クリップ手段を、正論理信号が通過する部位と負電源端子の間にカソードを負電源端子に接続させる極性で設置されたダイオードとしたことを特徴とする前置増幅器。 - 請求項4の前置増幅器において、
前記正論理信号が通過する部位を、前記差動アンプの正相出力端子としたことを特徴とする前置増幅器。 - 光信号を受けた受光素子からの電流信号を電圧信号に変換して増幅する前置増幅器において、
受光素子からの電流信号を電圧信号に変換して所定の利得で増幅するシングルエンドアンプと、
前記シングルエンドアンプから入力した電圧信号を増幅するとともに逆相信号および正相信号を生成して出力する差動アンプと、
前記差動アンプの逆相出力および正相出力の両相出力の電圧を入力し、出力を差動アンプの片側の入力にフィードバックするオペレーショナルアンプと、
前記差動アンプの逆相出力および正相出力の両相出力の電圧を入力し、所定の出力インピーダンスで信号を出力する出力バッファ差動アンプと、
前記差動アンプの正相出力電圧を逆相出力電圧よりも高くなるようにオフセットを持たせるオフセット生成回路とを設け、
前記オフセット生成回路を、前記差動アンプの正相出力および逆相出力と前記オペレーショナルアンプの入力との間に配置するとともに、前記差動アンプの正相出力と前記出力バッファ差動アンプの正相入力との間および前記差動アンプの逆相出力と前記出力バッファ差動アンプの逆相入力との間に接続したことを特徴とする前置増幅器。 - 請求項6の前置増幅器において、
前記出力オフセット生成回路は、正相側と逆相側のダイオードの段数に差がつくように構成したことを特徴とする前置増幅器。 - 請求項6の前置増幅器において、
前記出力オフセット生成回路は、分割抵抗値を正相側と逆相側で異なる値になるように構成したことを特徴とする前置増幅器。 - 請求項6の前置増幅器において、
前記出力オフセット生成回路は、外部から逆相側に電圧を印加するように構成したことを特徴とする前置増幅器。 - 受光した光信号を電流信号に変換する受光装置と、前記受光素子から出力される電流信号を電圧信号に変換して増幅する前置増幅器と、前記前置増幅器から出力される電圧信号のレベルを設定された閾値に基づいて識別して出力する閾値設定リミッタ増幅回路と、前記閾値設定リミッタ増幅回路から出力される信号からクロック信号およびそのクロック信号に同期したデータ信号を再生して出力するクロック・データ識別再生回路とを備えた光受信装置において、
前記前置増幅器を、請求項1から請求項9のいずれかひとつの前置増幅器としたことを特徴とする光受信装置。
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