(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる駐車支援装置を概略的に示す構成図である。駐車支援装置は、駐車枠への後進並列駐車を支援する装置である。本実施形態において、駐車支援装置は、複数のカメラ1と、駐車支援スイッチ2と、モニタ3と、コントロールユニット10とを主体に構成されている。複数のカメラ1と、駐車支援スイッチ2と、モニタ3とはコントロールユニット10に接続されている。
カメラ(撮像手段)1は、車両の周囲に複数箇所、例えば、前後左右の4箇所に設置されている。個々のカメラ1は、車両の周囲、例えば、自車から5m程度の範囲の路面を撮像して、撮像画像をコントロールユニット10へ出力する。
駐車支援スイッチ2は、インストルメントパネル、若しくは、ステアリングハンドルに設置されている。駐車支援スイッチ2は、乗員に操作されることによって、駐車支援動作の開始・終了を指示する信号をコントロールユニット10に対して出力する。また、駐車支援スイッチ2は、乗員に操作されることによって、コントロールユニット10に対して、車両を駐車させる駐車枠を目標駐車枠として設定する。
モニタ(表示手段)3は、車室内のインストルメントパネルに設置されており、コントロールユニット10からの出力により、駐車支援のための情報を表示する。モニタ3としては、液晶パネルやCRTなど周知の表示装置を利用することができる。モニタ3は、例えば、ナビゲーション情報の表示に使用している表示装置などを流用することも可能である。
コントロールユニット10としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。このコントロールユニット10は、各カメラ1からの信号と、駐車支援スイッチ2からの信号とを入力として、ROMに格納された制御プログラムに従い、駐車支援に関する各種の処理を行い、駐車支援のための情報をモニタ3に出力する。コントロールユニット10は、これを機能的に捉えた場合、視点変換部11、俯瞰画像作成部12、障害物距離検出部13と、駐車枠幅検出部14と、切返領域演算部15と、記憶部16と、画像合成部17とを有している。
視点変換部11は、個々のカメラ1から出力される1フレーム相当の撮像画像のそれぞれを処理対象として、視点変換処理を行う。この視点変換処理は、撮像画像について画素の並べ替えを行うことにより、カメラ光軸が路面に垂直となる視点から撮像した画像となるような視点変換を行う。視点変換部11は、視点変換された各撮像画像を、俯瞰画像作成部12に出力する。
俯瞰画像作成部(俯瞰画像作成手段)12は、視点変換された各撮像画像を繋ぎ合わせる。この繋ぎ合わせにより、車両の直上を仮想視点として車両の全周囲を見下ろした俯瞰画像が作成される。俯瞰画像作成部12は、作成した俯瞰画像を障害物距離検出部13、駐車枠幅検出部14および画像合成部17にそれぞれ出力する。
障害物距離検出部(検出手段)13は、エッジ検出などの画像処理を用いることにより、俯瞰画像に基づいて、障害物距離Lを検出する。障害物距離Lは、駐車枠から、この駐車枠の対向方向に存在する障害物(例えば、壁)までの距離である。具体的には、図2に示すように、障害物距離検出部13は、カメラ1の焦点距離と、1画素あたりの距離とに基づいて、駐車枠を規定する路面上の左右一対の枠線Fの入口端部(駐車枠の車両の進入側の先端部)から、この駐車枠の対向方向に存在する障害物OBまでの距離を俯瞰画像上において検出することにより、障害物距離Lを演算する。障害物距離検出部13は、検出した障害物距離Lを切返領域演算部15に出力する。
駐車枠幅検出部(検出手段)14は、エッジ検出などの画像処理を用いることにより、俯瞰画像に基づいて、駐車枠の幅方向の距離である駐車枠幅Wを検出する。ここで、駐車枠幅Wにおける幅方向は、駐車枠内に車両CAを駐車した際に、車両CAの車幅方向(左右方向)と対応する。具体的には、図2に示すように、駐車枠幅検出部14は、カメラ1の焦点距離と、1画素あたりの距離とに基づいて、路面上に描かれて駐車枠を規定する左右一対の枠線Fの幅方向の距離を俯瞰画像上において検出することにより、駐車枠幅Wを演算する。駐車枠幅検出部14は、検出した駐車枠幅Wを切返領域演算部15に出力する。
切返領域演算部(演算手段)15は、障害物距離Lと、駐車枠幅Wと、記憶部16に記憶される後述の車両パラメータとに基づいて、切返領域を演算する。ここで、切返領域は、俯瞰画像上に重畳表示されることにより、車両を挟んで駐車枠の反対側に存在する障害物と干渉することなく、切り返しの回数を抑制して、駐車枠に後進並列駐車することができる領域を示している。具体的には、切返領域は、第1の領域と、一回切返領域とで構成される。第1の領域は、旋回内側に対応する車両後輪を領域内に存在させて後進することにより、駐車枠内へと一度に進入することができる領域である。また、一回切返領域は、それぞれが独立した第2から第4の領域を含み、旋回内側に対応する車両後輪を、第2の領域から後進して第3の領域へ、第3の領域から前進して第4の領域へ、第4の領域から後進して第1の領域へと移動させることにより一回の切り返しで駐車枠へと進入することができる領域である。なお、切返領域の演算手法の詳細については、後述する。切返領域演算部15は、演算した切返領域を画像合成部17に出力する。
また、切返領域演算部15は、この切返領域を演算する前提として、乗員に操作される駐車支援スイッチ2から信号に基づいて、撮像画像において、車両を駐車させる駐車枠を目標駐車枠として設定する(設定手段)。なお、切返領域演算部15によって実行される処理の詳細については、後述する。
記憶部(記憶手段)16は、車両パラメータおよび画像表示用のアイコンを記憶する機能を担っている。記憶部16は、寸法記憶部16aと、回転半径記憶部16bと、アイコン記憶部16cとを有している。
寸法記憶部16aは、車両の全長、全幅、車両における左右の後輪位置、および車両における左右の前端隅部位置を記憶している。ここで、左右の後輪位置は、アッカーマン旋回における旋回軌跡の始点に対応する位置である。また、左右の前端位置は、車両の旋回時に最も外側を通る車両上の位置に対応する。寸法記憶部16aに記憶されている種々の値は、車両パラメータとして切返領域演算部15によって読み込まれる。
回転半径記憶部16bは、車両の最小回転半径に対応する後輪の回転半径、すなわち、最大転舵角による旋回時に旋回内側に対応する車両後輪が描く旋回軌跡(以下「内側後輪軌跡」という)および旋回外側に対応する車両後輪が描く旋回軌跡(以下「外側後輪軌跡」という)を記憶している。また、回転半径記憶部16bは、車両の最小回転半径に対応する前端の回転半径、すなわち、最大転舵角による旋回時に旋回外側に対応する車両前端が描く旋回軌跡(以下「外側前端軌跡」という)を記憶している。回転半径記憶部16bに記憶されている種々の値は、車両パラメータとして切返領域演算部15によって必要に応じて読み込まれる。
アイコン記憶部16cは、車両に対応するアイコン(以下「車両アイコン」という)を記憶している。この車両アイコンは、俯瞰画像上で車両の現在位置を表すアイコンであり、車両を摸擬したコンピュータグラフィックス画像などが用いられる。また、アイコン記憶部16cは、車両アイコンに付随するデータとして、車両アイコンの大きさ(車長および車幅)および左右の後輪位置を記憶している。アイコン記憶部16cに記憶されている車両アイコンおよび付随データは、表示用データとして画像合成部17によって必要に応じて読み込まれる。
画像合成部(画像合成手段)17は、俯瞰画像上に車両アイコンを重畳した第1の提示画像を作成する。具体的には、画像合成部17は、記憶部16のアイコン記憶部16cから車両アイコンを読み出すと、実空間上の車両位置と対応する位置に、車両の大きさに相当するサイズで、車両アイコンを俯瞰画像に重畳する。俯瞰画像作成部12により作成される俯瞰画像は、車両の現在位置を基準として、例えば、車両の現在位置が画像の中心となるように作成される。そのため、画像合成部17は、この俯瞰画像の基準となる位置、すなわち、画像の中心に、車両アイコンを重畳する。これにより、画像合成部17は、第1の提示画像を作成する。作成された提示画像はモニタ3に出力され、この提示画像はモニタ3に表示される。
また、画像合成部17は、第1の提示画像上に切返領域演算部15において演算された切返領域を重畳した第2の提示画像を作成する。具体的には、画像合成部17は、切返領域演算部15によって切返領域が演算されると、この切返領域を第1の提示画像に重畳する。切返領域演算部15により演算される切返領域は、後述するように、俯瞰画像における駐車基点および駐車枠の位置を基準に設定される。そのため、画像合成部17は、この俯瞰画像上の駐車枠の位置と対応させて切返領域を重畳する。これにより、画像合成部17は、第2の提示画像を作成する。作成された提示画像はモニタ3に出力され、この提示画像はモニタ3に表示される。
図3は、第1の実施形態にかかる駐車支援処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される駐支支援動作の開始を指示する信号をトリガーとして、コントロールユニット10によって実行される。図4に示すように、駐車支援動作の開始に対応する駐車支援スイッチ2の操作は、例えば、ドライバーが、車両CAの左前方にある駐車枠を視認して車両を停車させた状態で行われる。
ステップ10(S10)において、視点変換部11は、各カメラ1によって撮像された1フレーム相当の撮像画像をそれぞれ読み込む。ステップ11(S11)において、視点変換部11は、読み込まれた撮像画像のそれぞれを処理対象として、視点変換処理を行う。
ステップ12(S12)において、俯瞰画像作成部12は、視点変換された各撮像画像に基づいて、俯瞰画像を作成する。ステップ13(S13)において、画像合成部17は、作成された俯瞰画像に車両アイコンを重畳することにより、第1の提示画像を作成する。そして、俯瞰画像作成部12は、第1の提示画像をモニタ3に出力することにより、この第1の提示画像をモニタ3に表示する。
ステップ14(S14)において、切返領域演算部15は、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される設定信号に基づいて、車両を駐車させる駐車枠を目標駐車枠として設定する。例えば、切返領域演算部15が、画像合成部17に設定信号を出力すると、画像合成部17は、第1の提示画像上に駐車枠に対応するアイコン(例えば、矩形状の枠体)を第1の提示画像に重畳させる。そして、画像合成部17は、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される信号に対応して、アイコンを第1の提示画像上で移動させる。そして、乗員が、俯瞰画像において、路面に描かれた駐車枠の枠線Fに対応してアイコンの位置を設定する。俯瞰画像におけるアイコンの位置は、画像合成部17から切返領域演算部15に対して出力され、切返領域演算部15は、アイコン位置に基づいて、俯瞰画像上に目標駐車枠を設定する。
図4を参照するに、本実施形態では、車両CAの左前方に存在する駐車枠が目標駐車枠として設定される。このケースでは、車両を一旦前進させた上で、左旋回を伴う後進によって目標駐車枠に車両を駐車させる際の駐車動作が支援される。また、本実施形態では、目標駐車枠に対して設定する切返境界を規定するための基点(以下「駐車基点」という)は、旋回内側に対応する目標駐車枠の枠線Fの入口端部に設定されている。この駐車基点は、目標駐車枠へ進入する際に車両が通過可能な最内側位置に対応する。
ステップ15(S15)において、障害物距離検出部13は、俯瞰画像に基づいて、障害物距離Lを検出する。また、駐車枠幅検出部14は、俯瞰画像に基づいて、駐車枠幅Wを検出する。
ステップ16(S16)において、切返領域演算部15は、記憶部16に記憶される車両パラメータを読み込む。具体的には、切返領域演算部15は、寸法記憶部16aから車両の全長、全幅、左右の後輪位置および左右の前端位置を読み込む。また、切返領域演算部15は、回転半径記憶部16bから内側後輪軌跡、外側後輪軌跡および外側前端軌跡を読み込む。
図5は、第1の切返境界R1の説明図である。ステップ17(S17)において、切返領域演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第1の切返境界R1を設定する。この第1の切返境界R1は、以下の述べる第1の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinに対応する。具体的には、第1の条件を満たす車両位置は、外側前端軌跡Routが障害物境界ラインLBと接し、かつ、旋回外側に対応する車両CAの側面が旋回外側に対応する目標駐車枠の枠線Fと位置的に対応するように、車両CAの位置を規定することにより設定することができる。障害物境界ラインLBは、駐車枠と対向する障害物OBの境界を示すラインである。
本実施形態では、左旋回を伴う後進による駐車動作である。したがって、旋回外側に対応する車両CAの側面は、車両CAの右側面に相当し、旋回外側に対応する枠線Fは、目標駐車枠における一対の枠線Fのうち右側の枠線Fに相当する。また、内側後輪軌跡Rinは、左側後輪の旋回軌跡に相当し、外側前端軌跡Routは、右側前端の旋回軌跡に相当する。
なお、図5に示す駐車枠の枠幅よりも、駐車枠の枠幅Wが狭いシーンでは、第1の切返境界R1が、旋回内側に対応する枠線F(本実施形態では、左側の枠線F)の先端部(駐車基点)と接触、あるいは、枠線Fと交差することがある。第1の切返境界R1が当該枠線Fの先端部と接触する場合、第1の切返境界R1は、後述する第2の切返境界R2と対応する軌跡を描く。一方、第1の切返境界R1が当該枠線Fと交差する場合には、駐車枠の枠幅Wが極端に狭い、もしくは、障害物距離が短いため、第1の切返境界R1をすることができない。このケースでは、本処理を終了する。
図6は、第2の切返境界R2の説明図である。ステップ18(S18)において、切返領域演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第2の切返境界R2を設定する。この第2の切返境界R2は、以下に述べる第2の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinに対応する。具体的には、第2の条件を満たす車両位置は、外側前端軌跡Routが障害物境界ラインLBと接し、かつ、内側後輪軌跡Rinが駐車基点、すなわち、旋回内側に対応する枠線Fの先端部を通るように、車両CAの位置を規定することにより設定することができる。
図7は、第3の切返境界R3の説明図である。ステップ19(S19)において、切返領域演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第3の切返境界R3を設定する。この第3の切返境界R3は、以下に述べる第3の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinに対応する。具体的には、第3の条件を満たす車両位置は、旋回外側に対応する車両CAの側面が旋回外側に対応する駐車枠の枠線Fと位置的に対応し、かつ、内側後輪軌跡Rinが、駐車基点、すなわち、旋回内側に対応する枠線Fの先端部を通るように、車両CAの位置を規定することにより設定することができる。
ステップ20(S20)において、切返領域演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第4の切返境界R4を設定する。この第4の切返境界R4は、以下に述べる第4の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinに対応する。具体的には、第4の条件を満たす車両位置は、内側後輪軌跡Rinが、駐車基点、すなわち、旋回内側に対応する枠線Fの先端部を通り、かつ、外側前端軌跡Routが障害物境界ラインLBから最も離れるように、車両CAの位置を規定することにより設定することができる。
一般的な枠幅Wを想定する本実施形態では、第4の切返境界R4は、図7に示す第3の切返境界R3と軌跡が対応する。なお、駐車枠幅が極端に広く設定されている駐車枠では、それぞれの切返境界R3,R4は異なる位置に設定される。
図8は、駐車枠境界ラインL1の説明図である。ステップ21(S21)において、切返領域演算部15は、俯瞰画像において、駐車枠境界ラインL1を設定する。この駐車枠境界ラインL1は、駐車枠を規定する一対の枠線Fの先端を通り、駐車枠の幅方向に延在する直線である。
ステップ22(S22)において、切返領域演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第5の切返境界R5を設定する。第5の切返境界R5は、以下に述べる第5の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinに対応する。具体的には、第5の条件を満たす車両位置は、図8に示すように、旋回内側に対応する車両CAの側面が駐車枠境界ラインL1と位置的に対応するように、かつ、内側後輪軌跡Rinが、駐車基点、すなわち、旋回内側に対応する枠線Fの先端部を通るように、車両CAの位置を規定することにより設定することができる。
図9は、第6の切返境界R6の説明図である。ステップ23(S23)において、切返領域演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第6の切返境界R6を設定する。第6の切返境界R6は、以下のようにして描かれる軌跡である。図9に示すように、上述した第5の条件の車両位置から左後方の駐車枠へと進入するように、最大転舵角(第1の最大転舵角)の状態で車両CAを後進させたと仮定する。この際、旋回外側に対応する車両CAの後端部が、旋回外側に対応する枠線Fあるいはその延長線L2と接触する位置まで車両CAを移動させる。そして、この車両位置において、第1の最大転舵角から反転させた最大転舵角(第2の最大転舵角)の状態において、前進旋回を行った際の外側後輪軌跡Rtoutが第6の切返境界R6となる。
本実施形態では、第5の条件の車両位置からみて駐車枠は左後方に存在するため、第1の最大転舵角は、左旋回時の最大転舵角、すなわち、中立状態から左方向(半時計回り方向)へとステアリングホイールを操作した際の最大転舵角に相当する。また、旋回外側に対応する車両CAの後端部は、車両CAの右後端部に相当する。さらに、第2の最大転舵角は、右旋回時の最大転舵角であり、外側後輪軌跡Rtoutは、左後輪の旋回軌跡に相当する。
図10は、第1の領域Aの説明図である。ステップ24(S24)において、切返領域演算部15は、俯瞰画像において、第1の領域Aを設定する。第1の領域Aは、ステップ17において設定された第1の切返境界R1の内側(旋回内側)と、ステップ19において設定された第3の切返境界R3の外側(旋回外側)とで構成される領域に相当する。
図11は、第2の領域Bの説明図である。ステップ25(S25)において、切返領域演算部15は、俯瞰画像において、第2の領域Bを設定する。第2の領域Bは、ステップ19において設定された第3の切返境界R3の内側(旋回内側)と、ステップ22において設定された第5の切返境界R5の外側(旋回外側)とで構成される領域に相当する。なお、本実施形態では、第5の切返境界R5が駐車基点よりも駐車枠の内側方向に存在している。このケースでは、第5の切返境界R5に変えて、駐車枠境界ラインL1を用いて第2の領域Bを設定する。
図12は、第3の領域Cの説明図である。ステップ26(S26)において、切返領域演算部15は、俯瞰画像において、第3の領域Cを設定する。第3の領域Cは、ステップ17において設定された第1の切返境界R1の外側(旋回外側)と、ステップ22において設定された第5の切返境界R5の内側(旋回内側)と、ステップ23において設定された第6の切返境界R6の始点を通り駐車枠の前後方向へと延在する直線L3とで構成される領域に相当する。
図13は、第4の領域Dの説明図である。ステップ27(S27)において、切返領域演算部15は、俯瞰画像において、第4の領域Dを設定する。この第4の領域Dは、ステップ23において設定された第6の切返境界R6の内側(旋回内側)と、ステップ17において設定された第1の切返境界R1の内側(旋回内側)とで構成される領域に相当する。
図14は、第2の提示画像の説明図である。ステップ28(S28)において、画像合成部17は、切返領域演算部15において設定された第1から第4の領域A〜Dを、第1の提示画像に重畳させることにより、第2の提示画像を作成する。第1から第4の領域A〜Dの位置は、俯瞰画像上の駐車基点および目標駐車枠の位置をベースに設定されており、画像合成部17は、第1の提示画像上の駐車基点および目標駐車枠の位置をベースに、第1から第4の領域A〜Dを重畳させる。これらの第1から第4の領域A〜Dは、切返領域を構成する。
ステップ29(S29)において、画像合成部17は、作成された第2の提示画像をモニタ3に出力することにより、第2の提示画像をモニタに表示させる。
また、画像合成部17は、ステップ29において第2の提示画像を出力すると、それ以降は、第2の提示画像を更新する。具体的には、カメラ1は、所定の周期で撮像を繰り返しており、当該周期毎に、ステップ10からステップ12の処理にしたがって最新の俯瞰画像が常に作成される。画像合成部17は、作成された最新の第1の提示画像において、駐車基点および目標駐車枠の位置を検出すると、当該位置をベースに、第1から第4の領域A〜Dを重畳させることにより、第2の提示画像を更新する。そして、画像合成部17は、更新された第2の提示画像をモニタ3に出力することにより、当該第2の提示画像をモニタに表示させる。
ステップ30(S30)において、切返領域演算部15は、終了指示があったか否かを判断する。具体的には、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される駐支支援動作の終了を指示する信号、または、図示しないイグニッションスイッチから出力されるイグニッションオフを指示する信号を取得した場合には、終了指示を取得したと判断する。このステップ30において肯定判定された場合には、本処理を終了する。一方、ステップ30において否定判定された場合には、再度ステップ30(S30)に戻る。
以上に示す一連の手順により、第1の提示画像(俯瞰画像)に、第1から第4の領域A〜Dが重畳された第2の提示画像が表示される。図14に示すように、第1の領域A、第2の領域Bおよび第3の領域Cは、それぞれ独立した領域であり、第4の領域Dは、第1の領域Aのなかの一部に存在している。
ここで、第1の領域Aは、旋回内側に対応する後輪(本実施形態では、左後輪)が、当該領域A内に存在する状態で後進することができた場合には、切り返しを行うことなく、一度の後進で駐車が可能となる領域を示している。これに対して、第2から第4の領域B〜Dは、旋回内側に対応する後輪(本実施形態では、左後輪)が、第2の領域B内に存在する場合に、第3の領域Cへと当該後輪(本実施形態では、左後輪)を後進させた後に、第4の領域Dへと当該後輪(本実施形態では、左後輪)を前進させることにより、第1の領域Aへと当該後輪(本実施形態では、左後輪)が移動する。そして、旋回内側に対応する後輪を第1の領域A内に維持するように後進することにより、少なくとも一回の切り返しで駐車枠への駐車が可能となる領域を示している。
このように本実施形態において、駐車支援装置は、車両パラメータと、駐車枠幅Wと、障害物距離Lとに基づいて、目標駐車枠内へと一回の切り返しで進入することができる領域を示す切返領域を演算する。そして、車両の周囲を撮像した撮像画像に切返領域を重畳することにより、提示画像を作成し、この提示画像をモニタ3に表示する。
かかる構成によれば、車両の周囲を撮像した撮像画像(本実施形態では、俯瞰画像)に、切返領域が重畳表示される。ドライバーは、切返領域から、障害物OBと干渉することなく目標駐車枠へと一回の切り返しで進入することができる領域を把握することができる。また、切返領域は、車両パラメータと、駐車枠幅Wと、障害物距離Lとに基づいて設定されており、この切返領域を目安として切り返しを行うことにより、目標駐車枠と障害物との間のスペースを、障害物と接触しない最大の範囲で有効に活用することができる。これにより、切り返しの回数を抑制することが可能となり、駐車を簡単に行うことができる。
また、本実施形態において、切返領域は、第1の領域Aと、第2の領域から第4の領域B〜Dを含む一回切返領域とで構成されている。かかる構成によれば、切返領域として、第1の領域Aと、一回切返領域が表示される。そのため、第1の領域Aにしたがって切り返し無しで駐車を行おうとしていて、この領域Aから外れてしまった場合でも、一回の切り返しを行う駐車を支援することができる。
ここで、第1の領域Aは、第1の切返境界R1の内側と、第3の切返境界R3の外側とで構成される領域である。かかる構成によれば、本領域Aを旋回内側の後輪で辿ることで、切り返しを行うことなく、一度に目標駐車枠に進入することができる。
また、第2の領域Bは、第3の切返境界R3の内側と、第5の切返境界R5の外側とで構成される領域であり、第3の領域Cは、第1の切返境界R1の外側と、第5の切返境界R5の内側と、第6の切返境界R6の始点を通り駐車枠の前後方向へと延在する直線L3とで構成される領域である。そして、第4の領域Dは、第6の切返境界R6の内側と、第1の切返境界R1の内側とで構成される領域である。かかる構成によれば、障害物との間の限られたスペース内で、一回の切り返しを行って駐車する行動を支援することができる。
本実施形態において、駐車基点は、旋回内側に対応する目標駐車枠の枠線Fの先端部に設定される。かかる構成によれば、隣接する駐車枠に駐車する駐車車両との間にギャップが確保されるので、当該駐車車両に近づきすぎてしまうといった事態を抑制することができる。
なお、本実施形態では、障害物OBや駐車枠の枠線Fと、第1から第6の切返境界R1〜R6とは接触(ギャップ0)する形で説明を行っている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。これらの間隔に所定の余裕代(例えば、30cmの間隔)を確保した状態で、第1から第6の切返境界R1〜R6を設定してもよい。このようにギャップを確保した状態で第1から第6の切返境界R1〜R6を設定すれば、障害物や駐車枠線との間により大きなギャップが確保されるので、障害物や隣に隣接する駐車枠に対し余裕を持って駐車動作を行うことできる。
以下、図15から図17を参照して、種々なシーンにおける切返領域について説明する。
図15は、旋回内側に存在する隣接駐車車両の前端隅部を駐車始点として設定された切返領域の説明図である。上述した実施形態では、駐車枠のうち旋回内側に対応する枠線Fの先端部を駐車基点に設定している。しかしながら、本発明はかかる手法に限定されない。駐車基点は、旋回内側方向に存在する隣接駐車枠の一部に入り込んだ位置に設定してもよい。例えば、駐車基点は、旋回内側に存在する隣接駐車車両CA1の前端隅部に設定するといった如くである。隣接駐車車両の前端隅部は、俯瞰画像に基づいて画像処理より認識してもよいし、例えば、当該駐車枠の隅部を始点として前後方向へ30cm、左右方向へ30cmだけ内側へ入り込んだ位置を予め設定しておいてもよい。
かかる手法によれば、隣接する駐車枠に車両が駐車している場合であっても、隣接駐車枠の一部を自車両の駐車行動に利用することができる。これにより、より広い範囲に切返領域を設定することができるので、駐車支援を有効に行うことができる。これにより、駐車に必要な切返回数の減少を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、第5の切返境界R5が駐車基点よりも内側(すなわち、駐車枠の奥行き方向)に存在しているため、第5の切返境界R5に変えて、駐車枠境界ラインL1を用いて第2の領域Bを設定した。しかしながら、駐車基点を旋回内側に対応する枠線Fの先端部以外に設定した場合、例えば、旋回内側に存在する隣接駐車車両CA1の前端隅部に設定した場合には、第3の領域Cを設定する際に、第5の切返境界R5を用いる必要がある。
図16は、駐車枠幅Wが広いケースでの切返領域の説明図である。同図に示す例では、上述した実施形態で示す駐車枠幅Wよりも、駐車枠のそれが広く設定されている。具体的には、上述した実施形態で示す駐車枠は、旋回外側に対応する枠線が枠線F’に対応する。また、同図に示す例では、駐車基点が、旋回内側に存在する隣接駐車車両CA1の前端隅部に設定されている。なお、同図において、直線L4は、第1の切返境界R1の端部から前後方向へと延在する直線であり、第3の領域Cは、第1の切返境界R1に対応する直線L4の外側(旋回外側)と、第5の切返境界R5の内側(旋回内側)とで構成される領域に相当する。
かかる手法によれば、広いスペースを有する駐車枠を利用して、より広い範囲に切返領域を設定することができるので、駐車支援を有効に行うことができる。これにより、駐車に必要な切返回数の減少を図ることができる。
図17は、障害物距離Lが広いケースでの切返領域の説明図である。同図に示す例では、上述した実施形態で示す障害物OB’よりも、障害物距離Lが広くなるような位置に障害物OBが存在している。また、同図に示す例では、駐車基点が、旋回内側に存在する隣接駐車車両CA1の前端隅部に設定されている。なお、同図において、第3の領域Cは、第1の切返境界R1の端部から駐車枠の奥行き方向へと延在する直線によって規程される。
かかる手法によれば、広いスペースを有する駐車枠を利用して、より広い範囲に切返領域を設定することができるので、駐車支援を有効に行うことができる。これにより、駐車に必要な切返回数の減少を図ることができる。
(第2の実施形態)
図18は、本発明の第2の実施形態にかかる駐車支援装置を概略的に示す構成図である。第2の実施形態にかかる駐車支援装置が、第1の実施形態のそれと相違する点は、切返領域と車両との位置関係に応じて、目標駐車枠へ車両を誘導することにある。なお、第1の実施形態と共通する構成については、符号を引用することにより説明を省略することとし、以下相違点を中心に説明を行う。
第2の実施形態にかかる駐車支援装置は、駐車支援装置は、複数のカメラ1、駐車支援スイッチ2、モニタ3およびコントロールユニット10に加え、超音波センサ4、インヒビタースイッチ5およびスピーカ6を有している。
超音波センサ4は、車両の周囲に複数箇所、例えば、前端部の左右の2箇所に設置されている。個々の超音波センサ4は、検出領域内に存在する障害物の位置と距離とを検出し、当該検出結果をコントロールユニット10へ出力する。
インヒビタースイッチ5は、車両のシフトレバーの付近に設けられており、シフトレバーの操作に連動してシフトポジションを検出する。インヒビタースイッチ5は、当該検出結果をコントロールユニット10へ出力する。
スピーカ6は、車室内に設置されており、コントロールユニット10からの出力により、駐車支援のための情報を音声出力する。
また、本実施形態において、コントロールユニット10は、これを機能的に捉えた場合、第1の実施形態に示す要素に加えて、後輪位置判断部18および車両誘導部19をさらに有している。後輪位置判断部18には、画像合成部17により作成(更新)された第2の提示画像が入力されている。また、車両誘導部19には、インヒビタースイッチ5の検出結果が入力されている。
後輪位置判断部(後輪位置判断手段)18は、記憶部16のアイコン記憶部16cから車両アイコンの左右の後輪位置を読み込む。後輪位置判断部18は、車両アイコンの旋回内側に対応する後輪が、画像合成部17により作成された第2の提示画像、すなわち、俯瞰画像に設定される切返領域のどこに存在しているかを判定する。換言すれば、後輪位置判断部18は、車両の旋回内側に対応する後輪が、第1から第4の領域A〜Dのいずれに存在するか、あるいは、切返領域には存在しないかを検出する。具体的には、後輪位置判断部18は、切返領域を構成する画素と、車両アイコンの後輪位置を構成する画素との位置関係から、後輪位置を検出する。後輪位置判断部18は、監視結果を車両誘導部19に出力する。
車両誘導部(車両誘導手段)19は、後輪位置判断部18による判定結果と、インヒビタースイッチ5によって検出されたシフトポジションとに基づいて、目標駐車枠へと車両を誘導する。具体的には、車両誘導部19は、画像合成部17と協働することにより、モニタ3上に表示される切返領域の一部領域のみの表示、または、強調表示(例えば、点滅表示)を行う。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の信号を出力することにより、ドライバーに駐車操作を教示するための音声アナウンスを行う。これにより、表示と音声とを用いて、目標駐車枠へと車両を誘導する。
また、第1の実施形態では、障害物距離検出部13は、俯瞰画像に基づいて、障害物距離Lを検出しているが、本実施形態では、画像処理等による手法に加え、超音波センサ4による検出結果を利用することができる。
図19および図20は、第2の実施形態にかかる駐車支援処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される駐支支援動作の開始を指示する信号をトリガーとして、コントロールユニット10によって実行される。図4に示すように、駐車支援動作の開始に対応する駐車支援スイッチ2の操作は、例えば、ドライバーが、車両CAの左前方にある目標駐車枠を視認して車両を停車させた状態で行われる。
まず、ステップ40(S40)において、切返領域設定処理が行われる。この切返領域設定処理では、上述した第1の実施形態におけるステップ10からステップ28までの処理にしたがって、第2の提示画像が作成される。なお、本実施形態において、駐車基点は、旋回内側に存在する隣接駐車車両CA1の前端隅部に設定されており、当該駐車基点をベースに切返領域が設定されている。
ステップ41(S41)において、画像合成部17は、作成された第2の提示画像をモニタ3に出力することにより、第2の提示画像をモニタに表示させる。
また、画像合成部17は、ステップ41において第2の提示画像を出力すると、それ以降は、第2の提示画像を更新する。具体的には、カメラ1は、所定の周期で撮像を繰り返しており、当該周期毎に、ステップ10からステップ12の処理にしたがって最新の俯瞰画像が常に作成される。画像合成部17は、作成された最新の第1の提示画像において、駐車基点および目標駐車枠の位置を検出すると、当該位置をベースに、第1から第4の領域A〜Dを重畳させることにより、第2の提示画像を更新する。そして、画像合成部17は、更新された第2の提示画像をモニタ3に出力することにより、当該第2の提示画像をモニタに表示させる。この際、画像合成部17は、第2の提示画像の後進に併せて、後述する処理も実行する。
ステップ42(S42)において、車両誘導部19は、切返領域における第1の領域Aへと車両(具体的には、旋回内側に対応する後輪)を誘導する。具体的には、車両誘導部19は、車両アイコンの旋回内側に対応する後輪(本実施形態では、左後輪)と、切返領域における第1の領域Aとを点滅表示させる旨の信号を画像合成部17に対して出力する。これにより、図21に示すように、モニタ3に表示される第2の提示画像において、車両アイコンの左後輪と、切返領域における第1の領域Aとが点滅表示される。なお、図21において、斜線のハッチングで示す領域は、モニタ3において点滅表示されている領域を示す(以下同様)。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、車両の旋回内側に対応する後輪が第1の領域Aへ入るように前進する旨を音声出力する。
ステップ43(S43)において、車両誘導部19は、インヒビタースイッチ5によって検出されたシフトポジションに基づいて、現在のシフトポジションが後進(Rレンジ)であるか否かを判定する。このステップ43において肯定判定された場合、すなわち、現在のシフトポジションがRレンジである場合には、ステップ45(S45)に進む。一方、このステップ43において否定判定された場合、すなわち、現在のシフトポジションがRレンジではない場合には、ステップ42(S42)に戻る。
ステップ45(S45)において、車両誘導部19は、後輪位置判断部18の判定結果を読み込むと、車両の旋回内側に対応する後輪が第1の領域A内に存在するか否かを判断する。このステップ45において肯定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第1の領域A内に存在する場合には、ステップ46(S46)に進む。一方、ステップ45において否定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第1の領域A外に存在する場合には、後述するステップ49(S49)に進む。
ステップ46において、車両誘導部19は、第1の領域Aの点滅表示を終了させる旨の信号を画像合成部17に対して出力する。これにより、図22に示すように、モニタ3に表示される第2の提示画像において、切返領域における第1の領域Aの点滅表示が終了する。
ステップ47(S47)において、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、旋回内側の後輪が第1の領域A内を維持するように、後進操舵を行いながら目標駐車枠へと進入する旨を音声出力する。また、車両誘導部19は、切返領域において、第1の領域Aのみを表示させ、それ以外の領域、すなわち、第2から第4の領域B〜Dを表示させない旨の信号を画像合成部17に対して出力する。
ステップ48(S48)において、車両誘導部19は、終了指示があったか否かを判断する。具体的には、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される駐支支援動作の終了を指示する信号、または、図示しないイグニッションスイッチから出力されるイグニッションオフを指示する信号を取得した場合には、終了指示を取得したと判断する。このステップ48において肯定判定された場合には、本処理を終了する。一方、ステップ48において否定判定された場合には、後述するステップ45の処理に戻る。
ステップ49において、車両誘導部19は、後輪位置判断部18の判定結果を読み込むと、車両の旋回内側に対応する後輪が第2の領域B内に存在するか否かを判断する。このステップ45において肯定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第2の領域B内に存在する場合には、ステップ50(S50)に進む。一方、ステップ45において否定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第2の領域B外に存在する場合には、後述するステップ53(S53)に進む。
ステップ50において、車両誘導部19は、切返領域における第3の領域Cへと車両(具体的には、旋回内側に対応する後輪)を誘導する。具体的には、車両誘導部19は、車両アイコンの旋回内側に対応する後輪(本実施形態では、左後輪)と、切返領域における第3の領域Cとを点滅表示させる旨の信号を画像合成部17に対して出力する。これにより、図23に示すように、モニタ3に表示される第2の提示画像において、車両アイコンの左後輪と、切返領域における第3の領域Cとが点滅表示される。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、車両の旋回内側に対応する後輪が第3の領域Cへ入るように後進操舵する旨を音声出力する。
なお、車両誘導部19は、第3の領域Cを点滅表示させる際には、切返領域における他の領域を非表示としてもよい。もっとも、車両誘導部19は、第3の領域Cへ向けて後進操舵を行っている際、旋回内側に対応する後輪が第2の領域B内に存在している場合には、第2の領域Bも表示させておくことにより、目標駐車枠に至る経路を誘導してもよい。
ステップ51(S51)において、車両誘導部19は、後輪位置判断部18の判定結果を読み込むと、車両の旋回内側に対応する後輪が第3の領域C内に存在するか否かを判断する。このステップ51において肯定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第3の領域C内に存在する場合には、ステップ52(S52)に進む。一方、ステップ51において否定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第3の領域C外に存在する場合には、ステップ50の処理に戻る。
ステップ52において、車両誘導部19は、第3の領域Cの点滅表示を終了させる旨の信号を画像合成部17に対して出力する。これにより、モニタ3に表示される第2の提示画像において、切返領域における第3の領域Cの点滅表示が終了する。
ステップ53において、車両誘導部19は、後輪位置判断部18の判定結果を読み込むと、車両の旋回内側に対応する後輪が第3の領域C内に存在するか否かを判断する。このステップ53において肯定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第3の領域C内に存在する場合には、ステップ54(S54)に進む。一方、ステップ53において否定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第3の領域C外に存在する場合には、後述するステップ57(S57)に進む。
ステップ54において、車両誘導部19は、切返領域における第4の領域Dへと車両(具体的には、旋回内側に対応する後輪)を誘導する。具体的には、車両誘導部19は、車両アイコンの旋回内側に対応する後輪(本実施形態では、左後輪)と、切返領域における第4の領域Dとを点滅表示させる旨の信号を画像合成部17に対して出力する。これにより、図24に示すように、モニタ3に表示される第2の提示画像において、車両アイコンの左後輪と、切返領域における第4の領域Dとが点滅表示される。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、車両の旋回内側に対応する後輪が第4の領域Dへ入るように前進操舵する旨を音声出力する。
なお、車両誘導部19は、第4の領域Dを点滅表示させる際には、切返領域における他の領域を非表示としてもよい。もっとも、車両誘導部19は、第4の領域Dへ向けて前進操舵を行っている際、旋回内側に対応する後輪が第3の領域C内に存在している場合には、第3の領域Cも表示させておくことにより、目標駐車枠に至る経路を誘導してもよい。
ステップ55(S55)において、車両誘導部19は、後輪位置判断部18の判定結果を読み込むと、車両の旋回内側に対応する後輪が第4の領域D内に存在するか否かを判断する。このステップ55において肯定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第4の領域D内に存在する場合には、ステップ56(S56)に進む。一方、ステップ55において否定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第4の領域D外に存在する場合には、ステップ54の処理に戻る。
ステップ56において、車両誘導部19は、第4の領域Dの点滅表示を終了させる旨の信号を画像合成部17に対して出力する。これにより、モニタ3に表示される第2の提示画像において、切返領域における第4の領域Dの点滅表示が終了する。
ステップ57において、車両誘導部19は、後輪位置判断部18の判定結果を読み込むと、車両の旋回内側に対応する後輪が第4の領域D内に存在するか否かを判断する。このステップ53において肯定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第4の領域D内に存在する場合には、ステップ58(S58)に進む。一方、ステップ57において否定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第4の領域D外に存在する場合には、上述したステップ48に進む。
ステップ58において、車両誘導部19は、切返領域における第1の領域Aへと車両(具体的には、旋回内側に対応する後輪)を誘導する。具体的には、車両誘導部19は、車両アイコンの旋回内側に対応する後輪(本実施形態では、左後輪)と、切返領域における第1の領域Aとを点滅表示させる旨の信号を画像合成部17に対して出力する。これにより、図25に示すように、モニタ3に表示される第2の提示画像において、車両アイコンの左後輪と、切返領域における第1の領域Aとが点滅表示される。この場合、旋回内側に対応する後輪が現在存在する第4の領域Dと重複する領域については点滅表示の対象外としてもよい。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、車両の旋回内側に対応する後輪が第1の領域Aへ入るように後進操舵する旨を音声出力する。
なお、車両誘導部19は、第1の領域Aを点滅表示させる際には、切返領域における他の領域を非表示としてもよい。もっとも、車両誘導部19は、後進操舵を行っている際、旋回内側に対応する後輪が第4の領域D内に存在している場合には、第4の領域Dも表示させておくことにより、目標駐車枠に至る経路を誘導してもよい。
ステップ59(S59)において、車両誘導部19は、後輪位置判断部18の判定結果を読み込むと、車両の旋回内側に対応する後輪が、第4の領域Dと重複しない第1の領域A内に存在するか否かを判断する。このステップ59において否定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第1の領域A外に存在する場合には、ステップ58の処理に戻る。一方、ステップ59において肯定判定された場合、すなわち、旋回内側の後輪が第1の領域A内に存在する場合には、上述したステップ46,47に進む。すなわち、図26に示すように、第1の領域Aの点滅表示を終了するとともに、旋回内側の後輪が第1の領域A内を維持するように、後進操舵を行いながら目標駐車枠へと誘導させる。
このように本実施形態において、駐車支援装置は、旋回内側に対応する車両後輪の位置が、第1の領域Aから第4の領域Dのいずれの領域に存在するかを判断する。また、駐車支援装置は、この判断結果に基づいて、目標駐車枠へ車両を誘導する。具体的には、車両後輪の位置が第1の領域Aに存在する場合には、第1の領域Aのみを表示する。また、車両後輪の位置が第2の領域Bに存在する場合には、第3の領域Cを強調表示する。さらに、車両後輪の位置が第3の領域Cに存在する場合には、第4の領域Dを強調表示する。車両後輪の位置が第4の領域Dに存在する場合には、第1の領域Aを強調表示する。かかる構成によれば、第1の領域Aに車両が位置する場合には、一度の後進で駐車可能な領域のみをドライバーに把握させることができる。また、第1の領域Aから外れてしまった場合であっても、第2から第4の領域B〜D、第1の領域Aの順に、一度の切り返しで駐車するように誘導する。そのため、運転に不慣れたドライバーであっても、切り返しの回数を抑制することが可能となり、駐車を簡単に行うことができる。また、いづれの領域からも車両後輪が外れてしまった場合でも、前進または後進で付近の領域に入れば、周囲障害物との接触の可能性がなくなり、右側隣接駐車枠に存在する車両と障害物との間に自車が縦方向にはまり、前進も後進もできない状態を抑制することができる。
なお、車両誘導の手法としては、上述した手法に限定されず、車両後輪の位置が第1の領域Aに存在する場合には、第1の領域Aのみを表示し、車両後輪の位置が第2から第4の領域B〜Dのいずれか一つの領域に存在する場合には、第2の領域Bから第4の領域Dをそれぞれ表示してもよい。かかる手法であっても、一度の後進での進入、あるいは、一回の切り返しの目安を表示することができる。
また、本実施形態では、障害物距離を検出するための超音波センサ4を備える構成であるが、第1の実施形態のように、画像処理のみで障害物距離Lを検出してもよい。また、上述した第1の実施形態は、第2の実施形態に示すように、駐車支援装置の構成に超音波センサ4を備えるものであってもよい。
なお、上述した各実施形態では、駐車枠の左前方に停止する車両が、左旋回を伴う後進によって駐車枠に駐車する手法を説明した。しかしながら、本発明は、駐車枠の右前方に停止する車両が、右旋回を伴う後進によって駐車枠に駐車する手法であっても、旋回方向が右旋回として一義的に定まるため、上述実施形態と同様に適用することができる。