(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる駐車支援装置を概略的に示す構成図である。駐車支援装置は、駐車枠への後進並列駐車を支援する装置である。本実施形態において、駐車支援装置は、複数のカメラ1と、駐車支援スイッチ2と、モニタ3と、コントロールユニット10とを主体に構成されている。複数のカメラ1と、駐車支援スイッチ2と、モニタ3とはコントロールユニット10に接続されている。
カメラ(撮像手段)1は、車両の周囲に複数箇所、例えば、前後左右の4箇所に設置されている。個々のカメラ1は、車両の周囲、例えば、自車から5m程度の範囲の路面を撮像して、撮像画像をコントロールユニット10へ出力する。
駐車支援スイッチ2は、インストルメントパネル、若しくは、ステアリングハンドルに設置されている。駐車支援スイッチ2は、乗員に操作されることによって、駐車支援動作の開始・終了を指示する信号をコントロールユニット10に対して出力する。また、駐車支援スイッチ2は、乗員に操作されることによって、コントロールユニット10に対して、車両を駐車させる駐車枠を目標駐車枠として設定する。
モニタ(表示手段)3は、車室内のインストルメントパネルに設置されており、コントロールユニット10からの出力により、駐車支援のための情報を表示する。モニタ3としては、液晶パネルやCRTなど周知の表示装置を利用することができる。モニタ3は、例えば、ナビゲーション情報の表示に使用している表示装置などを流用することも可能である。
コントロールユニット10としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。このコントロールユニット10は、各カメラ1からの信号と、駐車支援スイッチ2からの信号とを入力として、ROMに格納された制御プログラムに従い、駐車支援に関する各種の処理を行い、駐車支援のための情報をモニタ3に出力する。コントロールユニット10は、これを機能的に捉えた場合、視点変換部11、俯瞰画像作成部12、障害物距離検出部13と、駐車枠幅検出部14と、切返境界演算部15と、記憶部16と、画像合成部17とを有している。
視点変換部11は、個々のカメラ1から出力される1フレーム相当の撮像画像のそれぞれを処理対象として、視点変換処理を行う。この視点変換処理は、撮像画像について画素の並べ替えを行うことにより、カメラ光軸が路面に垂直となる視点から撮像した画像となるような視点変換を行う。視点変換部11は、視点変換された各撮像画像を、俯瞰画像作成部12に出力する。
俯瞰画像作成部(俯瞰画像作成手段)12は、視点変換された各撮像画像を繋ぎ合わせる。この繋ぎ合わせにより、車両の直上を仮想視点として車両の全周囲を見下ろした俯瞰画像が作成される。俯瞰画像作成部12は、作成した俯瞰画像を障害物距離検出部13、駐車枠幅検出部14および画像合成部17にそれぞれ出力する。
障害物距離検出部(検出手段)13は、エッジ検出などの画像処理を用いることにより、俯瞰画像に基づいて、障害物距離Lを検出する。障害物距離Lは、駐車枠から、この駐車枠の対向方向に存在する障害物(例えば、壁)までの距離である。具体的には、図2に示すように、障害物距離検出部13は、カメラ1の焦点距離と、1画素あたりの距離とに基づいて、駐車枠を規定する路面上の左右一対の枠線Fの入口端部(駐車枠の車両の進入側の先端部)から、この駐車枠の対向方向に存在する障害物OBまでの距離を俯瞰画像上において検出することにより、障害物距離Lを演算する。障害物距離検出部13は、検出した障害物距離Lを切返境界演算部15に出力する。
駐車枠幅検出部(検出手段)14は、エッジ検出などの画像処理を用いることにより、俯瞰画像に基づいて、駐車枠の幅方向の距離である駐車枠幅Wを検出する。ここで、駐車枠幅Wにおける幅方向は、駐車枠内に車両CAを駐車した際に、車両CAの車幅方向(左右方向)と対応する。具体的には、図2に示すように、駐車枠幅検出部14は、カメラ1の焦点距離と、1画素あたりの距離とに基づいて、路面上に描かれて駐車枠を規定する左右一対の枠線Fの幅方向の距離を俯瞰画像上において検出することにより、駐車枠幅Wを演算する。駐車枠幅検出部14は、検出した駐車枠幅Wを切返境界演算部15に出力する。
切返境界演算部(演算手段)15は、障害物距離Lと、駐車枠幅Wと、記憶部16に記憶される後述の車両パラメータとに基づいて、切返境界を演算する。ここで、切返境界は、車両を目標駐車枠へ駐車させるために、前進または後進を切り換えるための境界線を示すものであり、後進切返境界と前進切返境界とで構成される。後進切返境界は、ステアリングを最大転舵角に設定して後進させることにより、目標駐車枠内へと一度に進入することができる境界を示す境界線であり、後述する第1および第2の切返境界で構成される。換言すれば、後進切返境界は、駐車枠へ進入するために車両を前進から後進へと切り返す境界線を示している。これに対して、前進切返境界は、目標駐車枠へ進入するために車両を後進から前進へと切り返す境界を示す境界線であり、後述する第3および第4の切返境界で構成される。演算された切返境界は、俯瞰画像上に重畳表示されることにより、車両を挟んで駐車枠の反対側に存在する障害物と干渉することなく、駐車枠に進入することができる境界線を示している。切返境界演算部15は、演算した切返境界を画像合成部17に出力する。
また、切返境界演算部15は、この切返境界を演算する前提として、乗員に操作される駐車支援スイッチ2から信号に基づいて、撮像画像において、車両を駐車させる駐車枠を目標駐車枠として設定する(設定手段)。なお、切返境界演算部15によって実行される処理の詳細については、後述する。
記憶部(記憶手段)16は、車両パラメータおよび画像表示用のアイコンを記憶する機能を担っている。記憶部16は、寸法記憶部16aと、回転半径記憶部16bと、アイコン記憶部16cとを有している。
寸法記憶部16aは、車両の全長、全幅、車両における左右の後輪位置、および車両における左右の前端隅部位置を記憶している。ここで、左右の後輪位置は、アッカーマン旋回における旋回軌跡の始点に対応する位置である。また、左右の前端位置は、車両の旋回時に最も外側を通る車両上の位置に対応する。寸法記憶部16aに記憶されている種々の値は、車両パラメータとして切返境界演算部15によって読み込まれる。
回転半径記憶部16bは、車両の最小回転半径に対応する後輪の回転半径、すなわち、最大転舵角による旋回時に旋回内側に対応する車両後輪が描く旋回軌跡(以下「内側後輪軌跡」という)および旋回外側に対応する車両後輪が描く旋回軌跡(以下「外側後輪軌跡」という)を記憶している。また、回転半径記憶部16bは、車両の最小回転半径に対応する前端の回転半径、すなわち、最大転舵角による旋回時に旋回外側に対応する車両前端が描く旋回軌跡(以下「外側前端軌跡」という)を記憶している。回転半径記憶部16bに記憶されている種々の値は、車両パラメータとして切返境界演算部15によって必要に応じて読み込まれる。
アイコン記憶部16cは、車両に対応するアイコン(以下「車両アイコン」という)を記憶している。この車両アイコンは、俯瞰画像上で車両の現在位置を表すアイコンであり、車両を摸擬したコンピュータグラフィックス画像などが用いられる。また、アイコン記憶部16cは、車両アイコンに付随するデータとして、車両アイコンの大きさ(車長および車幅)および左右の後輪位置を記憶している。アイコン記憶部16cに記憶されている車両アイコンおよび付随データは、表示用データとして画像合成部17によって必要に応じて読み込まれる。
画像合成部(画像合成手段)17は、俯瞰画像上に車両アイコンを重畳した第1の提示画像を作成する。具体的には、画像合成部17は、記憶部16のアイコン記憶部16cから車両アイコンを読み出すと、実空間上の車両位置と対応する位置に、車両の大きさに相当するサイズで、車両アイコンを俯瞰画像に重畳する。俯瞰画像作成部12により作成される俯瞰画像は、車両の現在位置を基準として、例えば、車両の現在位置が画像の中心となるように作成される。そのため、画像合成部17は、この俯瞰画像の基準となる位置、すなわち、画像の中心に、車両アイコンを重畳する。これにより、画像合成部17は、第1の提示画像を作成する。作成された提示画像はモニタ3に出力され、この提示画像はモニタ3に表示される。
また、画像合成部17は、第1の提示画像上に切返境界演算部15において演算された切返境界を重畳した第2の提示画像を作成する。具体的には、画像合成部17は、切返境界演算部15によって切返境界が演算されると、この切返境界を第1の提示画像に重畳する。切返境界演算部15により演算される切返境界は、後述するように、俯瞰画像における駐車基点および駐車枠の位置を基準に設定される。そのため、画像合成部17は、この俯瞰画像上の駐車基点および駐車枠の位置と対応させて切返境界を重畳する。これにより、画像合成部17は、第2の提示画像を作成する。作成された提示画像はモニタ3に出力され、この提示画像はモニタ3に表示される。
図3は、第1の実施形態にかかる駐車支援処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される駐支支援動作の開始を指示する信号をトリガーとして、コントロールユニット10によって実行される。図4に示すように、駐車支援動作の開始に対応する駐車支援スイッチ2の操作は、例えば、ドライバーが、車両CAの左前方にある駐車枠を視認して車両を停車させた状態で行われる。
ステップ10(S10)において、視点変換部11は、各カメラ1によって撮像された1フレーム相当の撮像画像をそれぞれ読み込む。ステップ11(S11)において、視点変換部11は、読み込まれた撮像画像のそれぞれを処理対象として、視点変換処理を行う。
ステップ12(S12)において、俯瞰画像作成部12は、視点変換された各撮像画像に基づいて、俯瞰画像を作成する。ステップ13(S13)において、画像合成部17は、作成された俯瞰画像に車両アイコンを重畳することにより、第1の提示画像を作成する。そして、俯瞰画像作成部12は、第1の提示画像をモニタ3に出力することにより、この第1の提示画像をモニタ3に表示する。
ステップ14(S14)において、切返境界演算部15は、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される設定信号に基づいて、車両を駐車させる駐車枠を目標駐車枠として設定する。例えば、切返境界演算部15が、画像合成部17に設定信号を出力すると、画像合成部17は、第1の提示画像上に駐車枠に対応するアイコン(例えば、矩形状の枠体)を第1の提示画像に重畳させる。そして、画像合成部17は、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される信号に対応して、アイコンを第1の提示画像上で移動させる。そして、乗員が、俯瞰画像において、路面に描かれた駐車枠の枠線Fに対応してアイコンの位置を設定する。俯瞰画像におけるアイコンの位置は、画像合成部17から切返境界演算部15に対して出力され、切返境界演算部15は、アイコン位置に基づいて、俯瞰画像上に目標駐車枠を設定する。
図4を参照するに、本実施形態では、車両CAの左前方に存在する駐車枠が目標駐車枠として設定される。このケースでは、車両を一旦前進させた上で、左旋回を伴う後進によって駐車枠に車両を駐車させる際の駐車動作が支援される。また、本実施形態では、目標駐車枠に対して設定する切返境界を規定するための基点(以下「駐車基点」という)は、旋回内側に対応する駐車枠の枠線Fの入口端部に設定されている。この駐車基点は、目標駐車枠へ進入する際に車両が通過可能な最内側位置に対応する。
ステップ15(S15)において、障害物距離検出部13は、俯瞰画像に基づいて、障害物距離Lを検出する。また、駐車枠幅検出部14は、俯瞰画像に基づいて、駐車枠幅Wを検出する。
ステップ16(S16)において、切返境界演算部15は、記憶部16に記憶される車両パラメータを読み込む。具体的には、切返境界演算部15は、寸法記憶部16aから車両の全長、全幅、左右の後輪位置および左右の前端位置を読み込む。また、切返境界演算部15は、回転半径記憶部16bから内側後輪軌跡、外側後輪軌跡および外側前端軌跡を読み込む。
図5は、第1の切返境界R1の説明図である。ステップ17(S17)において、切返境界演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第1の切返境界R1を設定する。この第1の切返境界R1は、以下の述べる第1の条件を満たす車両位置をベースに描かれる外側前端軌跡Routに対応する。具体的には、第1の条件を満たす車両位置は、外側前端軌跡Routが障害物境界ラインLBと接し、かつ、旋回外側に対応する車両CAの側面が旋回外側に対応する駐車枠の枠線Fと位置的に対応するように、車両CAの位置を規定することにより設定することができる。ここで、障害物境界ラインLBは、駐車枠と対向する障害物OBの境界を示すラインである。
本実施形態では、左旋回を伴う後進による駐車動作である。したがって、旋回外側に対応する車両CAの側面は、車両CAの右側面に相当し、旋回外側に対応する枠線Fは、駐車枠における一対の枠線Fのうち右側の枠線Fに相当する。また、外側前端軌跡Routは、右側前端の旋回軌跡に相当する。
なお、後述する第2の提示画像の作成の観点から、切返境界演算部15は、第1の条件を満たす車両位置をベースに描かれる外側前端軌跡Routのうち、障害物OBとの接点から旋回外側に対応する車両前端までの軌跡を第1の切返境界R1とする。
また、図5に示す駐車枠の枠幅よりも、駐車枠の枠幅Wが狭いシーンでは、第1の切返境界R1が、旋回内側に対応する枠線F(本実施形態では、左側の枠線F)の入口端部(駐車基点)と接触、あるいは、枠線Fと交差することがある。第1の切返境界R1が当該枠線Fの入口端部と接触する場合、第1の切返境界R1は、後述する第2の切返境界R2と対応する軌跡を描く。一方、第1の切返境界R1が当該枠線Fと交差する場合には、駐車枠の枠幅Wが極端に狭い、もしくは、障害物距離が短いため、第1の切返境界R1を設定することができない。このケースでは、本処理を終了する。
図6は、第2の切返境界R2の説明図である。ステップ18(S18)において、切返境界演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第2の切返境界R2を設定する。この第2の切返境界R2は、以下に述べる第2の条件を満たす車両位置をベースに描かれる外側前端軌跡Routに対応する。具体的には、第2の条件を満たす車両位置は、外側前端軌跡Routが障害物境界ラインLBと接し、かつ、内側後輪軌跡Rinが駐車基点、すなわち、旋回内側に対応する枠線Fの入口端部を通るように、車両CAの位置を規定することにより設定することができる。
本実施形態では、左旋回を伴う後進による駐車動作である。したがって、内側後輪軌跡Rinは、左側後輪の旋回軌跡に相当する。なお、後述する第2の提示画像の作成の観点から、切返境界演算部15は、第2の条件を満たす車両位置をベースに描かれる外側前端軌跡Routのうち、障害物OBとの接点から旋回外側に対応する軌跡を第2の切返境界R2とする。
ステップ19(S19)において、切返境界演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第3の切返境界R3を設定する。この第3の切返境界R3は、図6に示すように、上述した第2の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinに対応する。なお、後述する第2の提示画像の作成の観点から、切返境界演算部15は、第2の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinのうち、内側後輪位置から駐車基点までの軌跡を第3の切返境界R3とする。
ステップ20(S20)において、切返境界演算部15は、俯瞰画像において、駐車枠境界ラインL1を設定する。この駐車枠境界ラインL1は、駐車枠を規定する一対の枠線Fの入口端部を通り、駐車枠の幅方向に延在する直線である。
図7は、第4の切返境界R4の説明図である。ステップ21(S21)において、切返境界演算部15は、車両パラメータ、障害物距離Lおよび駐車枠幅Wに基づいて、俯瞰画像において、第4の切返境界R4を設定する。第4の切返境界R4は、以下に述べる第3の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinに対応する。具体的には、第3の条件を満たす車両位置は、旋回内側に対応する車両CAの側面が駐車枠境界ラインL1と位置的に対応するように、かつ、内側後輪軌跡Rinが、駐車基点、すなわち、旋回内側に対応する枠線Fの入口端部を通るように、車両CAの位置を規定することにより設定することができる。
なお、後述する第2の提示画像の作成の観点から、切返境界演算部15は、第3の条件を満たす車両位置をベースに描かれる内側後輪軌跡Rinのうち、内側後輪位置から駐車基点までの軌跡を第4の切返境界R4とするとともに、内側後輪位置に接続する他方の軌跡は駐車枠境界ラインL1を用いる。ただし、本実施形態では、駐車枠境界ラインL1が駐車基点を通過する関係上、第4の切返境界R1は、実質的に駐車枠境界ラインL1に対応する。
図8は、第2の提示画像の説明図である。ステップ22(S22)において、画像合成部17は、切返境界演算部15において設定された第1から第4の切返境界R1〜R4を、第1の提示画像に重畳させることにより、第2の提示画像を作成する。第1から第4の切返境界R1〜R4の位置は、俯瞰画像上の駐車基点および駐車枠の位置をベースに設定されており、画像合成部17は、第1の提示画像上の駐車基点および駐車枠の位置をベースに、第1から第4の切返境界R1〜R4を重畳させる。
ステップ23(S23)において、画像合成部17は、作成された第2の提示画像をモニタ3に出力することにより、第2の提示画像をモニタに表示させる。
ステップ24(S24)において、切返境界演算部15は、終了指示があったか否かを判断する。具体的には、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される駐支支援動作の終了を指示する信号、または、図示しないイグニッションスイッチから出力されるイグニッションオフを指示する信号を取得した場合には、終了指示を取得したと判断する。このステップ24において肯定判定された場合には、本処理を終了する。一方、ステップ24において否定判定された場合には、ステップ25(S25)の処理を行った後に、ステップ23の処理に戻る。
ステップ25(S25)において、画像合成部17は、第2の提示画像を更新する。具体的には、カメラ1は、所定の周期で撮像を繰り返しており、当該周期毎に、ステップ10からステップ12の処理にしたがって最新の俯瞰画像が常に作成される。画像合成部17は、作成された最新の第1の提示画像において、駐車基点および駐車枠の位置を検出すると、当該位置をベースに、第1から第4の切返境界R1〜R4を重畳させることにより、第2の提示画像を更新する。
以上の一連のプロセスにより、車両の駐車時には、第2の提示画像、すなわち、第1の提示画像(俯瞰画像)に第1から第4の切返境界R1〜R4が重畳表示される。この場合、ドライバーは、これらの切返境界R1〜R4の中へ車両を前進させ、その後に、目標駐車枠に向かって旋回後進する。後進の途中で車両アイコンが、切返境界R1〜R4のいずれかに接触した場合、そのまま旋回後進を継続しても目標駐車枠へ納まることができない。そのため、切返境界R1〜R4の表示により、進行方向を前進へと切り返す契機を与えることができる。また、前進の途中で車両アイコンが、切返境界R1〜R4のいずれかに接触した場合、そのまま前進を継続した場合には、その後、後進しても目標駐車枠へ一度に進入することができない。そのため、切返境界R1〜R4の表示により、進行方向を後進へと切り返す契機を与えることができる。
このように本実施形態において、駐車支援装置は、車両パラメータと、駐車枠幅Wと、障害物距離Lとに基づいて、後進切返境界を演算する。そして、車両の周囲を撮像した撮像画像に後進切返境界を重畳することにより、提示画像が作成される。作成された提示画像はモニタ3に表示される。
かかる構成によれば、第1の提示画像(俯瞰画像)に後進切返境界が重畳表示される。この後進切返境界は、最大転舵角で目標駐車枠へと後進した際に、目標駐車枠内へと一度に進入することができる境界線を示しており、車両パラメータと、駐車枠幅Wと、障害物距離Lとに基づいて設定される。ドライバーは、後進切返境界から、障害物OBと干渉することなく目標駐車枠へと一度に進入することができる境界線を把握することができる。したがって、この後進切返境界を目安として前進から後進への切り返しを行うことにより、目標駐車枠と障害物との間のスペースを、障害物と接触しない最大の範囲で有効に活用することができる。これにより、切り返しの回数を抑制することが可能となり、駐車を簡単に行うことができる。また、一度の後進では目標駐車枠に収まることができないような車両の位置の場合には、後進切返境界と車両とが干渉する。そのため、後進を開始する前に、駐車枠に収めることができるか否かを判断することができる。
また、本実施形態によれば、後進切返境界は、第1の切返境界R1と、第2の切返境界R2とによって構成される。これにより、後進切返境界を有効に設定することができる。
また、本実施形態において、駐車支援装置は、車両パラメータと、駐車枠幅Wと、障害物距離Lとに基づいて、前進切返境界をさらに演算する。そして、車両の周囲を撮像した撮像画像に、後進切返境界および前進切返境界を重畳することにより、提示画像が作成される。作成された提示画像がモニタ3に表示される。
かかる構成によれば、第1の提示画像(俯瞰画像)に前進切返境界が重畳表示される。この前進切返境界は、目標駐車枠へ進入するために車両を後進から前進へと切り返す境界を示しており、車両パラメータと、駐車枠幅Wと、障害物距離Lとに基づいて設定される。ドライバーは、前進切返境界から、そのまま後進を続けても、目標駐車枠へと一度に進入することができないことを把握することができる。したがって、この後進切返境界を目安として後進から前進への切り返しを行うことにより、隣接する駐車枠に駐車する車両に近づきすぎるといった事態を抑制しつつも、対向する障害物までのスペースを最大限に確保することができる。これにより、切り返しの回数を抑制することが可能となり、駐車を簡単に行うことである。また、一度の後進では目標駐車枠に収まることができない、または、一回の切り返しで駐車枠に収まることができないような車両の位置の場合には、前進切返境界と車両とが干渉する。そのため、これから行う後進によって、駐車枠に収めることができるか否かを判断することができる。
また、本実施形態によれば、前進切返境界は、第3の切返境界Rと、第4の切返境界R4とによって構成される。これにより、後進切返境界を有効に設定することができる。
また、本実施形態では、俯瞰画像に基づいて、第2の提示画像が作成される。かかる構成によれば、自車両と、その周囲の障害物OBや駐車枠の枠線Fとの位置関係を高精度で把握することができるので、駐車に使えるスペースを最大限確保することができる。これにより、切り返しの回数を抑制することが可能となり、駐車を簡単に行うことである。
また、本実施形態において、駐車基点は、旋回内側に対応する目標駐車枠の枠線Fの入口端部に設定される。かかる構成によれば、隣接する駐車枠に駐車する駐車車両との間にギャップが確保されるので、当該駐車車両に近づきすぎてしまうといった事態を抑制することができる。
なお、本実施形態では、障害物OBや駐車枠の枠線Fと、第1から第4の切返境界R1〜R4とは接触(ギャップ0)する形で説明を行っている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。これらの間隔に所定の余裕代(例えば、30cmの間隔)を確保した状態で、第1から第4の切返境界R1〜R4を設定してもよい。このようにギャップを確保した状態で第1から第4の切返境界R1〜R4を設定すれば、障害物や駐車枠線との間により大きなギャップが確保されるので、障害物や隣に隣接する駐車枠に対し余裕を持って駐車動作を行うことできる。
図9は、第1から第4の切返境界R1〜R4の変形例を示す説明図である。上述した実施形態では、駐車枠のうち旋回内側に対応する枠線Fの入口端部を駐車基点に設定している。しかしながら、本発明はかかる手法に限定されない。駐車基点は、旋回内側方向に存在する隣接駐車枠の一部に入り込んだ位置に設定してもよい。例えば、駐車基点は、旋回内側に存在する隣接駐車車両CA1の前端隅部に設定するといった如くである。隣接駐車車両の前端隅部は、俯瞰画像に基づいて画像処理より認識してもよいし、例えば、当該駐車枠の隅部を始点として前後方向へ30cm、左右方向へ30cmだけ内側へ入り込んだ位置を予め設定しておいてもよい。
かかる手法によれば、隣接する駐車枠に車両が駐車している場合であっても、隣接駐車枠の一部を自車両の駐車行動に利用することができる。これにより、より広い範囲に切返境界を設定することができるので、駐車支援を有効に行うことができる。これにより、駐車に必要な切返回数の減少を図ることができる。
なお、駐車基点を旋回内側に対応する枠線Fの入口端部を設定した場合、第4の切返境界R4が駐車基点よりも内側(すなわち、駐車枠の奥行き方向)に存在しているため、第4の切返境界R4に変えて、駐車枠境界ラインL1を用いた。しかしながら、駐車基点を旋回内側に対応する枠線Fの入口端部以外に設定した場合、例えば、旋回内側に存在する隣接駐車車両CA1の前端隅部に設定した場合には、第5の切返境界R5を用いる必要がある。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態にかかる駐車支援装置について説明する。この第2の実施形態にかかる駐車支援装置が、第1の実施形態のそれと相違する点は、乗員により分かり易い形態で駐車支援を行うことにある。なお、駐車支援装置の構成については、第1の実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。以下、相違点について説明する。
図10は、初期的に表示される第2の提示画像を示す説明図である。本実施形態において、画像合成部17は、切返境界演算部15において演算された第1から第4の切返境界R1〜R4が出力されると、切返境界演算部15において設定された第1から第4の切返境界R1〜R4を、第1の提示画像に重畳させることにより、第2の提示画像を作成する。また、本実施形態において、画像合成部17は、第1から第4の切返境界R1〜R4によって囲まれる内側領域に対応してハッチング処理を施す。これにより、第1から第4の切返境界R1〜R4によって囲まれる内側領域にハッチング領域RSが設定される。さらに、画像合成部17は、車両アイコンの旋回内側に対応する側面部に車両の前後方向に延在する直線(以下「車両通過直線」という)LCを第1の提示画像に重畳させる。
図11は、更新された第2の提示画像の一例を示す説明図である。同図は、図10に示す位置から車両CAが後進を開始して、車両アイコンが切返境界、具体的には、第1の切返境界R1と接触した状態を示している。画像合成部17は、後進から前進へと切り返しが行われた場合には、第2の提示画像の更新に伴い、車両通過直線LCが通過した領域(特に、車両アイコンよりも車両前方に存在する領域)のハッチングを解除する。
ハッチング領域RSを狭くする事によって、狭まったハッチング領域RSの存在方向へ転舵すればよいことが把握させることができる。これにより、進行方向の切り換えがあった場合でも、転舵方向もイメージすることが可能となる。
図12は、更新された第2の提示画像の一例を示す説明図である。同図は、図11に示す位置から車両CAが右転舵を行いつつ前進して、車両アイコンが切返境界、具体的には、第1の切返境界R1と接触した状態を示している。画像合成部17は、前進から後進へと切り返しが行われた場合には、第2の提示画像の更新に伴い、車両通過直線LCが通過した領域(特に、車両アイコンよりも車両前方に存在する領域)のハッチングを解除する。
上述した例と同様に、ハッチング領域RSを狭くする事によって、狭まったハッチング領域RSの存在方向へ転舵すればよいことが把握させることができる。これにより、進行方向の切り換えがあった場合でも、転舵方向もイメージすることが可能となる。
図13は、更新された第2の提示画像の一例を示す説明図である。同図は、図12に示す位置から車両CAが左転舵を行いつつ後進して、車両アイコンが切返境界、具体的には、第1の切返境界R1と接触した状態を示している。画像合成部17は、ステアリング角が概ね中立状態で保持された場合、あるいは、車両アイコンが枠線Fと概ね平行となったことを検出した場合には、第2の提示画像の更新に伴い、車両通過直線LCが通過した領域(特に、車両アイコンよりも車両前方に存在する領域)のハッチングを解除する。
残されたハッチング領域RSが車両後方に直線的に延びていることから、真っ直ぐに後進することで駐車枠に収まることイメージさせることができる。
このように本実施形態によれば、画像合成部17は、後進切返境界および前進切返境界によって囲まれる領域にハッチング処理を施して、第2の提示画像を作成する。また、画像合成部17は、第2の提示画像を更新する毎に、車両の通過した領域のハッチング処理を解除する。
かかる構成によれば、切り返し時の転舵方向をドライバーにイメージさせることができる。そのため、運転に不慣れなドライバーであっても、切り返しを行うことができる。これにより、駐車を簡単に行うことが可能となる。
(第3の実施形態)
図14は、本発明の第3の実施形態にかかる駐車支援装置を概略的に示す構成図である。第3の実施形態にかかる駐車支援装置が、第1の実施形態のそれと相違する点は、切返境界と車両との位置関係に応じて、駐車枠へ車両を誘導することにある。なお、第1の実施形態と共通する構成については、符号を引用することにより説明を省略することとし、以下相違点を中心に説明を行う。
第2の実施形態にかかる駐車支援装置は、駐車支援装置は、複数のカメラ1、駐車支援スイッチ2、モニタ3およびコントロールユニット10に加え、超音波センサ4、インヒビタースイッチ5およびスピーカ6を有している。
超音波センサ4は、車両の周囲に複数箇所、例えば、前端部の左右の2箇所に設置されている。個々の超音波センサ4は、検出領域内に存在する障害物の位置と距離とを検出し、当該検出結果をコントロールユニット10へ出力する。
インヒビタースイッチ5は、車両のシフトレバーの付近に設けられており、シフトレバーの操作に連動してシフトポジションを検出する。インヒビタースイッチ5は、当該検出結果をコントロールユニット10へ出力する。
スピーカ6は、車室内に設置されており、コントロールユニット10からの出力により、駐車支援のための情報を音声出力する。
また、本実施形態において、コントロールユニット10は、これを機能的に捉えた場合、第1の実施形態に示す要素に加えて、切返判断部18および車両誘導部19をさらに有している。切返判断部18には、画像合成部17により作成(更新)された第2の提示画像が入力されている。また、車両誘導部19には、インヒビタースイッチ5の検出結果が入力されている。
切返判断部(切返判断手段)18は、記憶部16のアイコン記憶部16cから車両アイコンの寸法(車両の車長および車幅)を読み込む。切返判断部18は、車両アイコンが、画像合成部17により作成された第2の提示画像、すなわち、俯瞰画像に設定される切返境界のどこに接触しているかを判定する。換言すれば、切返判断部18は、車両アイコンが、第1から第4の切返境界R1〜R4のいずれと接触しているか、あるいは、いずれの切返境界にも接触していないかを検出する。具体的には、切返判断部18は、切返境界を構成する画素と、車両アイコンを構成する画素との位置関係から、両者が接触しているか否かを検出する。切返判断部18は、判定結果を車両誘導部19に出力する。
車両誘導部(車両誘導手段)19は、切返判断部18による判定結果と、インヒビタースイッチ5によって検出されたシフトポジションとに基づいて、駐車枠へと車両を誘導する。具体的には、車両誘導部19は、画像合成部17と協働することにより、モニタ3上に表示される切返境界内での車両の進行方向を表示する。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の信号を出力することにより、ドライバーに駐車操作を教示するための音声アナウンスを行う。これにより、表示と音声とを用いて、駐車枠へと車両を誘導する。
また、第1の実施形態では、障害物距離検出部13は、俯瞰画像に基づいて、障害物距離Lを検出しているが、本実施形態では、画像処理等による手法に加え、超音波センサ4による検出結果を利用することができる。
図15は、第3の実施形態にかかる駐車支援処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される駐支支援動作の開始を指示する信号をトリガーとして、コントロールユニット10によって実行される。図4に示すように、駐車支援動作の開始に対応する駐車支援スイッチ2の操作は、例えば、ドライバーが、車両CAの左前方にある駐車枠を視認して車両を停車させた状態で行われる。
まず、ステップ30(S30)において、切返境界設定処理が行われる。この切返境界設定処理では、上述した第1の実施形態におけるステップ10からステップ22までの処理にしたがって、第2の提示画像が作成される。
ステップ31(S31)において、画像合成部17は、作成された第2の提示画像をモニタ3に出力することにより、第2の提示画像をモニタに表示させる。
ステップ32(S32)において、切返境界演算部15は、旋回内側に対応する枠線F(本実施形態では、左側の枠線F)を前後方向に延長させた直線L2を設定する。そして、画像合成部17は、直線L2と第1の切返境界R1との交点を設定する。切返境界演算部15は、図16に示すように、設定された交点よりも反旋回側(具体的には、右側)に該当する第1の切返境界R1を新たな第1の切返境界R1’として設定する。また、切返境界演算部15は、設定された交点よりも旋回側(具体的には、左側)に該当する第1の切返境界R1および第2の切返境界R2を新たな第2の切返境界R2’として設定する。設定された新たな切返境界R1',R2’は、画像合成部17に対しても出力される。
ステップ33(S33)において、切返判断部18は、車両アイコンと切返境界とが接触したか否かを判断する。このステップ33において肯定判定された場合、すなわち、車両アイコンと切返境界とが接触した場合には、後述するステップ37(S37)に進む。一方、ステップ33において否定判定された場合、すなわち、車両アイコンと切返境界とが接触していない場合には、ステップ34(S34)に進む。
ステップ34において、車両誘導部19は、終了指示があったか否かを判断する。具体的には、乗員の操作に応じて駐車支援スイッチ2から出力される駐支支援動作の終了を指示する信号、または、図示しないイグニッションスイッチから出力されるイグニッションオフを指示する信号を取得した場合には、終了指示を取得したと判断する。このステップ34において肯定判定された場合には、本処理を終了する。一方、ステップ34において否定判定された場合には、ステップ35,36(S35,S36)の処理を経て、上述したステップ33に戻る。
ステップ35において、画像合成部17は、第2の提示画像を更新する。具体的には、カメラ1は、所定の周期で撮像を繰り返しており、当該周期毎に、ステップ10からステップ12の処理にしたがって最新の俯瞰画像が常に作成される。画像合成部17は、作成された最新の第1の提示画像において、駐車基点および駐車枠の位置を検出すると、当該位置をベースに、第1から第4の切返境界R1’R2’を重畳させることにより、第2の提示画像を更新する。
ステップ36において、画像合成部17は、後進された第2の提示画像をモニタ3に出力することにより、第2の提示画像をモニタに表示させる。
これに対して、ステップ37(S37)において、車両誘導部19は、インヒビタースイッチ5によって検出されたシフトポジションに基づいて、車両の進行方向を検出する。
ステップ38(S38)において、車両誘導部19は、進行方向の検出結果に基づいて、現在の進行方向が前進か否かを判定する。このステップ38において肯定判定された場合、すなわち、前進である場合には、ステップ39(S39)に進む。一方、ステップ38において否定判定された場合、すなわち、後進である場合には、後述するステップ44(S44)に進む。
ステップ39において、車両誘導部19は、切返判断部18による判定結果に基づいて、車両アイコンと接触している切返境界が、旋回外側に対応する切返境界、すなわち、第1の切返境界R1’または第2の切返境界R2’かを判断する。このステップ39において肯定判定された場合、すなわち、車両アイコンが旋回外側の切返境界と接触している場合には、ステップ40(S40)に進む。一方、ステップ39において否定判定された場合、すなわち、車両アイコンが旋回外側以外の切返境界と接触している場合には、ステップ41(S41)に進む。
ステップ40において、車両誘導部19は、ステアリングを中立状態に保持して後進することを教示する旨の信号を画像合成部17に対して出力する。画像合成部17は、例えば、図17に示すように、第2の提示画像において、車両後方へと直線的に延びる矢印I1を車両アイコンの後端部に重畳させる。この提示画像は、画像合成部17からモニタ3に出力され、車両アイコンが重畳された第2の提示画像がモニタに表示される。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、ステアリングを中立状態に保持して後進する旨を音声出力する。
ステップ41において、車両誘導部19は、切返判断部18による判定結果に基づいて、車両アイコンと接触している切返境界が、旋回内側に対応する切返境界、すなわち、第3の切返境界R3または第4の切返境界R4(本実施形態では、代替的に用いられる駐車枠境界ラインL1)であるかを判断する。このステップ41において肯定判定された場合、すなわち、車両アイコンが旋回内側の切返境界と接触している場合には、ステップ42(S42)に進む。一方、ステップ41において否定判定された場合、すなわち、車両アイコンが旋回内側以外の切返境界、具体的には、旋回外側に対応する駐車枠の枠線Fと接触している場合には、ステップ43(S43)に進む。
ステップ42において、車両誘導部19は、ステアリングの状態を保持して前進することを教示する旨の信号を画像合成部17に対して出力する。画像合成部17は、例えば、図18に示すように、第2の提示画像において、車両左前方へと湾曲しながら延びる矢印I2を車両アイコンの前端部に重畳させる。この提示画像は、画像合成部17からモニタ3に出力され、車両アイコンが重畳された第2の提示画像がモニタに表示される。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、ステアリングの状態を左旋回方向へ最大転舵角で転舵させて前進することを教示する旨を音声出力する。
車両アイコンが旋回外側の切返境界と接触している場合には、駐車枠へ進入するための転舵開始のタイミングが早すぎる傾向がある。かかる車両誘導部19による誘導により、転舵タイミングを遅くして同じ操作を再度行わせることができる。
ステップ43において、車両誘導部19は、ステアリングを反転、すなわち、右旋回方向へと最大転舵角で転舵させて前進することを教示する旨の信号を画像合成部17に対して出力する。画像合成部17は、例えば、図19に示すように、第2の提示画像において、車両右前方へと湾曲しながら延びる矢印I3を車両アイコンの前端部に重畳させる。この提示画像は、画像合成部17からモニタ3に出力され、車両アイコンが重畳された第2の提示画像がモニタに表示される。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、ステアリングを右旋回方向へと最大転舵角で転舵させて前進することを教示する旨を音声出力する。
車両アイコンが旋回外側に対応する駐車枠の枠線Fまたはその延長線と接触している場合、そのまま後退を継続すると、右隣接の駐車枠内へ進入してしまうおそれがある。かかる車両誘導部19による誘導により、前方へ切返しを行い、右隣接の駐車枠内への進入を避ける旨を教示する。
ステップ44において、車両誘導部19は、切返判断部18による判定結果に基づいて、車両アイコンと接触している切返境界が、旋回外側に対応する切返境界、すなわち、第1の切返境界R1’または第2の切返境界R2’かを判断する。このステップ44において肯定判定された場合、すなわち、車両アイコンが旋回外側の切返境界と接触している場合には、ステップ45(S45)に進む。一方、ステップ44において否定判定された場合、すなわち、車両アイコンが旋回外側以外の切返境界と接触している場合には、上述したステップ34(S34)に進む。
ステップ45において、車両誘導部19は、ステアリングを反転、すなわち、左旋回方向へと最大転舵角で転舵させて後進することを教示する旨の信号を画像合成部17に対して出力する。画像合成部17は、例えば、図20に示すように、第2の提示画像において、車両左後方へと湾曲しながら延びる矢印I4を車両アイコンの前端部に重畳させる。この提示画像は、画像合成部17からモニタ3に出力され、車両アイコンが重畳された第2の提示画像がモニタに表示される。また、車両誘導部19は、スピーカ6に所定の音声信号を出力することにより、ステアリングを左旋回方向へと最大転舵角で転舵させて後進することを教示する旨を音声出力する。
車両アイコンが旋回外側の切返境界と接触している場合、そのまま前進を継続すると、対向スペースの障害物OBに接触する恐れがある。かかる車両誘導部19による誘導により、後方へ切返しを促すので、障害物OBとの接触を避ける旨を教示することができる。
このように本実施形態において、駐車支援装置は、後進切返境界または前進切返境界と、車両(具体的には、車両アイコン)との接触を判断する。そして、この判断結果と、シフトポジションとに基づいて、目標駐車枠へ車両を誘導するために必要な次の操作を教示する。
かかる構成によれば、切り返し駐車における次の行動をドライバーに教示して、車両を目標駐車枠へと誘導することができる。これにより、ドライバーが次の行動を間違えることにより、切り返し回数が増加するといった不都合を抑制することができる。また、車両が切返境界に接触した場合に、次操作を教示することで、目標駐車枠と障害物との間のスペースを、障害物と接触しない最大の範囲で有効に活用することができる。これにより、切り返しの回数を抑制することが可能となり、駐車を簡単に行うことができる。
また、本実施形態によれば、俯瞰画像上で、車両アイコンと後進切返境界または前進切返境界との接触を判断するため、安価な構成で、このような機能を実現することができる。
なお、本実施形態では、ステップ43において、ステアリングを右旋回方向へと最大転舵角で転舵させて前進することを教示する。これにともない、車両が前進を行い、車両アイコンが旋回外側に対応する切返境界と接触した場合には、ステップ45において、ステアリングを左旋回方向へと最大転舵角で転舵させて後進することを教示する。ただし、以下の示すようなシーンでは、切返境界線を越えて駐車行動を行ってもよい。
第1のシーンとしては、図21に示すように、ステップ43の処理によって示される矢印I3に従って右転舵および前進を行った場合、車両が対向スペースの障害物OBと接触する前に、駐車枠の枠線Fに対して車両が平行となる場合である。この第1のシーンでは、次に行う操作として、ステアリングを中立状態にして後進すれば駐車枠に収まることができる。そのため、ステップ45の処理の実行条件を具備した場合であっても、切返境界を越えて前進させるよう教示してもよい。
このような第1のシーンを判定する方法としては、図21に示すように、車両の前後方向の中心線に関して回転半径の中心点P1と線対称となる点P2を確認する方法がある。車両CAが対向スペースの障害物OBと接触する前に、点P2が直線L3に到達する場合には、第1のシーンであると判定することができる。ここで、直線L3は、車両CAが駐車枠に収まった状態での点P2を通り駐車枠と平行な直線である。
また、この第1のシーンでは、図22に示すように、第1の切返境界R1を非表示にして、該当部分を、第2の切返境界R2の端点から障害物OBに沿った直線形状にしてもよい。かかる構成によれば、あと少し前進すれば、目標駐車枠に収まるといった場合には、それを許容するので切り返しの回数を減少させることができる。さらに、旋回外側に対応する隣接駐車枠の車両と、対向スペースの障害物OBとの間に、自車両が縦方向に挟まり、身動きが取れなくなるといった事態を抑制することができる。
また、本実施形態では、障害物距離を検出するための超音波センサ4を備える構成であるが、第1の実施形態のように、画像処理のみで障害物距離Lを検出してもよい。また、上述した第1の実施形態は、第2の実施形態に示すように、駐車支援装置の構成に超音波センサ4を備えるものであってもよい。
なお、上述した各実施形態では、駐車枠の左前方に停止する車両が、左旋回を伴う後進によって駐車枠に駐車する手法を説明した。しかしながら、本発明は、駐車枠の右前方に停止する車両が、右旋回を伴う後進によって駐車枠に駐車する手法であっても、旋回方向が右旋回として一義的に定まるため、上述実施形態と同様に適用することができる。