JP5100974B2 - 油脂組成物 - Google Patents
油脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5100974B2 JP5100974B2 JP2005097120A JP2005097120A JP5100974B2 JP 5100974 B2 JP5100974 B2 JP 5100974B2 JP 2005097120 A JP2005097120 A JP 2005097120A JP 2005097120 A JP2005097120 A JP 2005097120A JP 5100974 B2 JP5100974 B2 JP 5100974B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fatty acid
- oil
- mass
- fat
- fats
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Fats And Perfumes (AREA)
- Fodder In General (AREA)
Description
また、共役リノール酸やジアシルグリセロールに、抗肥満作用等が見出されている(特許文献1〜5参照)。更に、ω3系脂肪酸、リノール酸といった特定の脂肪酸含量の高いジアシルグリセロールを含む油脂が知られている(特許文献6〜8参照)。
このほか、ジアシルグリセロールと植物ステロールとを組合せることが既に知られており、血中コレステロール値改善効果等が見出されている(特許文献9〜14参照)。
ジアシルグリセロールを調理油用途に使用すると、油ちょう時の泡立ちが少ない、風味や食感が良好になる等の利点のあることが知られている(特許文献15、16参照)。また、乳化物にも応用できることが示されている(特許文献17〜19参照)。このような観点から、ジアシルグリセロール含量の高い油脂組成物が、食用油として広く使用されている。
(A)構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸含量が80質量%以上であるジアシルグリセロールを15質量%以上含有し、かつ油脂を構成する全脂肪酸中の共役不飽和脂肪酸含量が1質量%以下で、トランス不飽和脂肪酸含量が4質量%以下である油脂 100質量部
(B)植物ステロール 0.01〜4.7質量部
(C)植物ステロール脂肪酸エステル 0.2〜8質量部
を含有する油脂組成物を提供するものである。
本発明においては、トランス不飽和脂肪酸は、AOCS法(American Oil Chem.Soc.Official Method:Ce1f−96、2002年)で測定した値のことである。
本発明においては、共役不飽和脂肪酸量は、基準油脂分析試験法「共役不飽和脂肪酸(スペクトル法)2.4.3−1996」(日本油化学協会編)に従って定量した値のことである。
C=10R+Y (1)
また、エステル化に用いる酵素は、固定化されたものを用いることが、コストの点から好ましい。
また、植物ステロール(B)として、植物油由来のものを残存させる場合には、その含有量は、油脂(A)100質量部に対して、0.01〜1.0質量部、好ましくは0.02〜0.5質量部、更に0.03〜0.3質量部、特に0.05〜0.25質量部、特に0.1〜0.22質量部であるのが、風味、外観、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
更に、植物油由来のものの他に別途添加する場合には、成分(B)の含有量は、油脂(A)100質量部に対して、1.0超4.7質量部以下、好ましくは1.2〜4.6質量部、更に2.0〜4.5質量部、特に3.0〜4.4質量部、殊更3.5〜4.3質量部であるのが、風味、外観、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
植物ステロール中、ブラシカステロール、カンペステロール、スチグマステロール、β−シトステロールの合計含有量は90%以上であるのが好ましく、更に92〜100%、特に94〜99%であるのが、風味、外観、油脂の工業的生産性、結晶析出、低温での保存性、生理効果の点で好ましい。
植物ステロール中の、カンペステロールの含有量は10〜40%であるのが好ましく、更に20〜35%、特に23〜29%であるのが、風味、外観、油脂の工業的生産性、結晶析出、低温での保存性、生理効果の点で好ましい。
植物ステロール中の、スチグマステロールの含有量は3〜30%であるのが好ましく、更に11〜25%、特に17〜24%であるのが、風味、外観、油脂の工業的生産性、結晶析出、低温での保存性、生理効果の点で好ましい。
植物ステロール中の、β−シトステロールの含有量は20〜60%であるのが好ましく、更に30〜56%、特に42〜51%であるのが、風味、外観、油脂の工業的生産性、結晶析出、低温での保存性、生理効果の点で好ましい。
植物ステロール中の、コレステロールの含有量は1%以下であるのが好ましく、更に0.01〜0.8%、特に0.1〜0.7%、特に0.2〜0.6%であるのが、血中コレステロール低下、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明の態様において、成分(A)に、成分(B)及び/又は(C)を配合すると、配合する成分(B)及び/又は(C)に含まれている水分が、風味、低温における外観に影響する場合がある。これを防止するために、予め水分量の低い成分(B)及び/又は(C)を油脂(A)に配合したり、成分(B)及び/又は(C)を成分(A)に配合した後に、減圧下で加熱して脱水操作を行うことにより、本発明の油脂組成物の水分量を低減させることが好ましい。更に、熱履歴をより低くしてトランス不飽和脂肪酸の生成を抑制するために、成分(A)に予め成分(B)及び/又は(C)を高含量配合した組成物(マスターバッチ)を製造し、上記脱水操作を行った後に、成分(A)を添加して希釈することにより、本発明の油脂組成物を製造することが好ましい。
好ましい。(i)予め成分(A)を加熱した後、成分(B)及び/又は(C)を溶解する
。(ii)予め成分(A)と、成分(B)及び/又は(C)を別々に加熱してから、これらを混合、溶解する。(iii)成分(A)と成分(B)及び/又は(C)とを混合してから、加熱、溶解する。(iv)予め成分(B)及び/又は(C)を加熱した後、成分(A)と混合、溶解する。
このように溶解して得られたマスターバッチの温度は、次の脱臭工程までは、溶解時の温度から±20℃以上、好ましくは±10℃以上変動しないように維持するのが、結晶析出防止、酸化安定性の点で好ましい。
成分(C)を含む油脂(A)80質量部(水分量800ppm)に、水分量1.5%の成分(B)を20質量部添加(成分(B)の組成:ブラシカステロール;9%、カンペステロール27%、スチグマステロール;22%、β−シトステロール;42質量%)し、120℃に加熱、溶解してマスターバッチを製造する。次いで、マスターバッチを、温度95℃、30torrの減圧下にて、水蒸気を吹き込みながら1時間脱臭する。本脱臭油脂に成分(A)を配合し、成分(B)の含有量が4.22%、成分(C)の含有量が0.26%となるように調製する。このようにして得られる油脂組成物の水分量は800ppmであり、風味、低温における外観が良好である。低温における外観の試験方法を以下に示す。
油脂組成物45gを、50mLのガラスサンプル瓶に入れて密封後、次の冷却条件A又はBにて保存する。
冷却条件A:5℃にて4週間静置
冷却条件B:0℃にて1日間静置
保存後、各ガラスサンプル瓶中の結晶の析出状況を目視にて観察する。透明なものほど、低温における外観の評価は良好である。
本発明の態様において、ビタミンC又はその誘導体の含有量は、油脂(A)100質量部に対して、アスコルビン酸として0.004〜0.1質量部が好ましく、0.006〜0.08質量部がより好ましく、0.008〜0.06質量部が特に好ましい。
また、本発明の油脂組成物が水と混合され、又は水を含む食品に使用された場合であって、長期保存又は明所保存される場合には、抗酸化剤としてL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを実質的に含ませず、ビタミンE、好ましくはδ−トコフェロールを使用することが、風味劣化、異味発生を防止する点から好ましい。この場合の風味劣化は、水相を含まないジアシルグリセロール含有油脂において生じた加熱調理時の劣化とは全く相違するものである。すなわち、水相を含まないジアシルグリセロール含有油脂の加熱調理時の劣化は、加熱による酸化によるものである。これに対し、本発明におけるジアシルグリセロールを含有する油相と水とを含む食品の保存後の風味劣化は、金属味及び異味の発生によるものである。
本発明の態様において、水を含む食品の水相には、食品の目的に応じて、水、米酢、酒粕酢、リンゴ酢、ブドウ酢、穀物酢、合成酢等の食酢、食塩、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、砂糖、水飴等の糖類、酒、みりん、醤油等の呈味料、各種ビタミン、クエン酸等の有機酸及びその塩、香辛料、レモン果汁等の各種野菜又は果実の搾汁液を配合することができる。また、必要に応じて、本発明の食品にキサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、タマリンドガム、カラギーナン、ペクチン、トラガントガム等の増粘多糖類、馬鈴薯澱粉や化工澱粉等の澱粉類及びそれらの分解物、大豆タンパク質、乳タンパク質、卵タンパク質、小麦タンパク質等タンパク質類及びそれらの分解物や分離物、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンあるいはその酵素分解物等の乳化剤、牛乳等の乳製品、各種リン酸塩等を配合することができる。
本発明の態様において、結晶抑制剤(E)の含有量は、油脂(A)100質量部に対して0.01〜2質量部、更に0.02〜0.5質量部、特に0.05〜0.2質量部であるのが作業性、風味、結晶抑制の点で好ましい。結晶抑制剤を用いた処方例を示す。
処方例
油脂(A) 100質量部
植物ステロール(B) 4.2質量部
植物ステロール脂肪酸エステル(C) 0.3質量部
結晶抑制剤(E)*1 0.075質量部
*1:ポリグリセリン脂肪酸エステルP(構成脂肪酸組成;C14:0=1.5質量%,C16:0=43.9質量%,C18:0=1.2質量%,C18:1=51.3質量%,C18:2=1.9質量%,C20:1=0.2質量%,エステル化度;80%以上)
本発明の態様において、食品としては、該油脂組成物を食品の一部として含む油脂加工食品に用いることができる。かかる油脂加工食品としては、例えば特定の機能を発揮して健康増進を図る健康食品、機能性食品、特定保健用食品、メディカルフード等が挙げられる。具体的な製品としては、パン、ケーキ、ビスケット、パイ、ピザクラスト、ベーカリーミックス等のベーカリー食品類、スープ、ソース、乳化型ドレッシング、マヨネーズ、コーヒーホワイトナー、アイスクリーム、ホイップクリーム等の水中油型乳化物、マーガリン、スプレッド、バタークリーム等の油中水型乳化物、ポテトチップス等のスナック菓子、チョコレート、キャラメル、キャンデー、デザート等の菓子、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の肉加工食品、牛乳、チーズ、ヨーグルト等の乳製品、ドウ、エンローバー油脂、フィリング油脂、麺、冷凍食品、レトルト食品、飲料、ルー、分離型ドレッシング等が挙げられる。上記油脂組成物の他に、油脂加工食品の種類に応じて一般に用いられる食品原料を添加し製造することができる。本発明の油脂組成物の食品への配合量は、食品の種類によっても異なるが、一般に0.1〜100%、特に1〜80%が好ましい。
肉類としては、牛、豚、羊(マトン又はラム)、ウサギ、カンガルー等の畜肉、獣肉及びその副生物、加工品(ミートボール、ミートボーンミール、チキンミール等の上記原料のレンダリング物)、マグロ、カツオ、アジ、イワシ、ホタテ、サザエ、魚粉(フィッシュミール)等の魚介類等が例示される。蛋白質としては、カゼイン、ホエー等の乳蛋白質や卵蛋白質等の動物蛋白質、大豆蛋白質等の植物蛋白質が例示される。穀物類としては、小麦、大麦、ライ麦、マイロ、トウモロコシ等が挙げられる。ぬか類としては、米ぬか、ふすま等が挙げられる。粕類としては大豆粕等が例示される。飼料中の肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類の合計量は5〜93.9%であるのが好ましい。
試験例1
原料油脂として、表1に示す菜種未脱臭油を用いた。原料油脂の50%は、高圧分解法により加水分解を行い、脂肪酸を得た。すなわち、油脂に対油50%の水を加え、温度240℃、圧力4MPa、滞留時間3時間にて高圧分解を行った後、減圧脱水し、菜種脂肪酸を得た。残りの50%は、酵素分解法により加水分解を行い、脂肪酸を得た。すなわち、リパーゼAY(天野エンザイム社製)を用いて、温度40℃、反応時間15時間にて油脂の酵素分解を行った後、油層を減圧脱水し、菜種脂肪酸を得た。
高圧分解及び酵素分解にて得られた脂肪酸を混合し、脂肪酸aを調製した。この脂肪酸aとグリセリンを、固定化リパーゼ(ノボザイムズ社製Lipozyme RM IM)を用いて、脂肪酸aとグリセリンのモル比2:1、温度50℃、減圧脱水、反応時間3時間にて、エステル化反応を行った。反応終了後、固定化酵素を分離し、エステル化油を得た。
エステル化油を、減圧蒸留により脱酸(未反応脂肪酸の除去)し、クエン酸水溶液を添加混合した。次いで、減圧脱水した後、水洗した。これを、温度240℃、減圧下、脱臭時間1時間にて脱臭を行い、油脂A(ジアシルグリセロール含量84%)を製造した。
脂肪酸のトランス不飽和脂肪酸含量、色相、及び製造した油脂のトランス不飽和脂肪酸含量、色相、風味を表1に示す。ジアシルグリセロール含量の測定は、ガスクロマトグラフィーにより行った。トランス不飽和脂肪酸含量及び色相の測定は、前記の方法により行った。また、風味の評価は、下記基準にて官能評価により行った。
○:風味が良好。
△:風味がやや劣る。
×:風味が劣る。
原料油脂の50%は、表1に示す菜種未脱臭油を用い、実施例1に記載した高圧分解法と同じ方法にて加水分解を行い、菜種脂肪酸を得た。原料油脂の他の50%は、表1に示す菜種脱臭油を用い、実施例1に記載した酵素分解法と同じ方法にて加水分解を行い、菜種脂肪酸を得た。
高圧分解及び酵素分解にて得られた脂肪酸を混合し、脂肪酸bを得た。更に、脂肪酸bとグリセリンから、実施例1に記載したのと同じ方法にてエステル化反応、後処理を行い、油脂B(ジアシルグリセロール含量85%)を製造した。
原料油脂として、表1に示す菜種脱臭油を用い、全量を実施例1に記載したのと同じ方法にて高圧分解法により加水分解し、脂肪酸cを得た。更に、脂肪酸cとグリセリンから実施例1に記載したのと同じ方法にてエステル化反応、後処理を行い、油脂C(ジアシルグリセロール含量86%)を製造した。
原料油脂として、表1に示す菜種脱臭油を用い、原料油脂の50%は、実施例1に記載した高圧分解法と同じ方法にて加水分解し、菜種脂肪酸を得た。原料油脂の他の50%は、実施例1に記載した酵素分解法と同じ方法にて加水分解し、菜種脂肪酸を得た。
高圧分解及び酵素分解にて得られた脂肪酸を混合し、脂肪酸dを得た。更に、脂肪酸dとグリセリンを用いて、実施例1に記載したのと同じ方法にてエステル化反応、後処理を行い、グリセリドを製造し、グリセリド油脂D(ジアシルグリセロール含量85%)を製造した。
原料油脂として、表1に示す菜種脱臭油を用い、全量を実施例1に記載した酵素分解法と同じ方法にて加水分解を行い、菜種脂肪酸eを得た。更に、脂肪酸eとグリセリンを用いて、実施例1に記載したのと同じ方法にてエステル化反応、後処理を行い、油脂E(ジアシルグリセロール含量85%)を製造した。
原料油脂として、表1に示す菜種未脱臭油を用い、全量を実施例1に記載した酵素分解法と同じ方法にて加水分解を行い、菜種脂肪酸fを得た。更に、脂肪酸fとグリセリンを用いて、実施例1に記載したのと同じ方法にてエステル化反応、後処理を行い、油脂F(ジアシルグリセロール含量84%)を製造した。
一方、原料油脂を高圧分解法と酵素分解法を組み合わせて加水分解を行った脂肪酸a、b、及びこれを用いてエステル化した油脂A及びBは、トランス不飽和脂肪酸含量の低下と風味、色相のバランスが高く、脂肪酸及び油脂としての品質が高かった。
実施例1
油脂G及びH
原料油脂として、大豆未脱臭油と菜種脱臭油とを用いた。大豆未脱臭油は、対油50%の水量、温度250℃、圧力5MPa、滞留時間3時間にて高圧分解を行い、減圧脱水し、大豆脂肪酸を得た。次いで、これをウインタリングすることにより、飽和脂肪酸含量を低減化し、大豆脂肪酸(不飽和画分)を製造した。菜種脱臭油は、リパーゼAY(天野エンザイム社製)を用いて、温度40℃、反応時間15時間にて酵素分解を行い、油層を減圧脱水し、菜種脂肪酸を得た。
高圧分解及び酵素分解にて得られた脂肪酸を混合し、脂肪酸gを調製した。この脂肪酸gとグリセリンを、固定化リパーゼ(ノボザイムズ社製Lipozyme RM IM)を用いて、脂肪酸とグリセリンのモル比2:1、温度50℃、減圧脱水、反応時間3時間にてエステル化反応を行い、固定化酵素を分離し、エステル化反応油を得た。
エステル化反応油を、減圧蒸留により脱酸(未反応脂肪酸の除去)し、クエン酸水溶液を添加混合後、減圧脱水し、次に水洗した。これを、温度240℃、減圧下、脱臭時間1時間にて脱臭を行い、トコフェロールを添加して油脂Gを製造した。
また、油脂Gに植物ステロールを添加して油脂Hを製造した。
油脂I及びJ
原料油脂として、大豆脱臭油と菜種脱臭油とを用いた。菜種脱臭油は、油脂Gの製法に記載した高圧分解法と同じ方法にて加水分解を行い、菜種脂肪酸を得た。
大豆脱臭油は、油脂Gの製法に記載した高圧分解法と同じ方法にて加水分解を行った後、ウインタリングを行うことにより、飽和脂肪酸含量を低減化し、大豆脂肪酸(不飽和画分)を製造した。
このようにして得られた脂肪酸を混合し、混合脂肪酸iを調製した。次いで、油脂Gと同様の方法で、エステル化反応、後処理を行い、トコフェロールを添加して油脂Iを製造した。
また、油脂Iに植物ステロールを添加して油脂Jを製造した。
(i)グリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、サンプル10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLとを加え、密栓した後、70℃で15分間加熱した。これをガスクロマトグラフィー(GLC)に供して、グリセリド組成の分析を行なった。
GLC条件
装置;Hewlett Packard製 6890型
カラム;DB−1HT(J&W Scientific製) 7m
カラム温度;initial=80℃、final=340℃
昇温速度=10℃/分、340℃にて20分間保持
検出器;FID、温度=350℃
注入部;スプリット比=50:1、温度=320℃
サンプル注入量;1μL
キャリアガス;ヘリウム、流量=1.0mL/分
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.2−1996)」に従って、脂肪酸メチルエステルを調製した。得られたサンプルを、GLCに供して分析を行った(American Oil Chem.Soc.Official Method:Ce1f−96、2002年)。
(i)のグリセリド組成と同じ方法で、分析を行った。
日本油化学協会偏「基準油脂分析試験法」の中の「トコフェロール(2.4.10−1996)」に従って分析した。
油脂G〜Jをロビボンド試験用ガラス製容器(奥行1.6cm×幅13.3cm×深さ3.7cm)に30g入れた(このときの液の深さは1.6cm)。これを、蛍光灯:2000ルクスの露光条件下にて、20℃、48時間静置して保存試験を行った。保存前、保存後の油脂について、風味、過酸化物価の評価を行った。
下記評価基準にて官能評価を行うと共に、過酸化物価(POV)を測定した。POVの測定は、日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」中の「過酸化物価(2.5.2.1−1996)」に従って行った。結果を表3に示す。
油脂の風味
4:新鮮な油脂の風味が感じられ、良好。
3:新鮮な油脂の風味と青臭さや豆風味がやや感じられ、やや良好。
2:青臭さや豆風味が強く、やや刺激臭が感じられ、やや不良。
1:刺激臭を感じ、重い感じがあり、不良。
〔調理試験1〕
油脂G、I及びKを用いて、下記調理方法にて炒めご飯を作製した。直径24cmのフライパンに油脂10gを入れ、火にかけ、都市ガスの流量を4.0L/minに設定した。30秒後、東洋水産製「ごはん」200gを電子レンジで550Wにて2分間加熱したものをフライパンに入れ、木へらでほぐしながら120秒間炒めた。次いで、食塩1gを入れ、更に30秒間炒めた後、フライパンを火から外し、炒めご飯を皿に盛り付けた。
得られた炒めご飯の風味、色調を下記基準にて官能評価した。結果を表4に示す。
4:米本来の風味が感じられ、米櫃の香りが強く、良好。
3:米の風味がやや感じられ、米櫃の香りがやや強く、やや良好。
2:油脂のにおいで米の風味がややマスキングされ、やや不良。
1:油脂のにおいで米の風味がマスキングされ、不良。
4:米が白く、光沢があり、良好。
3:米がやや白く、やや光沢があり、やや良好。
2:米がやや黄色っぽくて、やや光沢がなく、ややくすんで見え、やや不良。
1:米が黄色っぽくて、光沢がなく、くすんで見え、不良。
〔調理試験2〕
実施例2のサンプルである保存前及び保存後の油脂G〜J、及びKを用いて、下記調理方法にてスクランブルエッグを作製した。直径24cmのフライパンに油脂14gを入れ、火にかけ、都市ガスの流量を5.0L/minに設定した。60秒後、全卵500gに食塩1gと胡椒0.2gを加え、菜箸でといた卵100gをフライパンに入れ、15秒間保持した。次いで、15秒間菜箸でよくかき混ぜた後、フライパンを火から外し、スクランブルエッグを皿に盛り付けた。得られたスクランブルエッグの風味、色調を下記基準にて官能評価した。結果を表5に示す。
色調
4:鮮やかな濃い黄色で、ツヤがあり、良好。
3:やや鮮やかな黄色で、ややツヤがあり、やや良好。
2:やや鮮やかでなく、ややくすんだ黄色で、やや不良。
1:鮮やかでなく、くすんでおり、不良。
4:卵本来の風味が感じられ、コクがあり、良好。
3:卵本来の風味がやや感じられ、ややコクがあり、やや良好。
2:油脂の劣化臭がやや感じられ、卵の風味がややマスキングされ、やや不良。
1:油脂の劣化臭が感じられ、卵の風味がマスキングされ、不良。
〔低温耐性〕
油脂Gに、結晶抑制剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルPを溶解したものを試験品1、ポリグリセリン脂肪酸エステルQを溶解したものを試験品2とした。これら試験品を20℃に24時間静置した後、0℃に静置し(3日間)、油脂の外観を目視で観察した。その結果を表6に示す。
表7に記載のジアシルグリセロール含有油脂を用いた油相成分及び水相を混合し、ドレッシングを製造した。得られたドレッシングを50℃で4週間保存し、下記方法にて風味を評価した。その結果を表8に示す。
保存したドレッシングをレタスに和えて試食し、味の劣化度について、4名の専門評価パネルにより、以下の基準で10段階評価し、平均値を求めた。
評価基準:保存劣化していない5℃保管品と比較して、10:味の差なし、9:微妙だが僅かに劣化を感じる、8:僅かに劣化が認められる、7:やや劣化が認められる、6:劣化が認められる、5:明らかに劣化が認められる、4:明らかに劣化している、3:やや著しい劣化が認められる、2:著しい劣化が認められる、1:劣化が著しい
表9に記載の油相成分及び水相を混合し、ドレッシングを製造した。得られたドレッシングを2000ルクスの蛍光灯下に、15日間室温保存し(720000ルクス・hr)、実施例7と同様な方法で風味を評価した。その結果を表9に示す。
Claims (10)
- 次の(A)、(B)及び(C):
(A)1種又は2種以上の原料油脂を、高圧分解法と酵素分解法を組み合わせて加水分解して脂肪酸を製造し、当該脂肪酸とグリセリンをリパーゼを用いてエステル化することにより得られた油脂であって、構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸含量が80質量%以上であるジアシルグリセロールを15質量%以上含有し、かつ油脂を構成する全脂肪酸中の共役不飽和脂肪酸含量が1質量%以下で、トランス不飽和脂肪酸含量が0〜3.5質量%であり、色相(10R+Y)が30以下である油脂 100質量部
(B)植物ステロール 0.01〜4.7質量部
(C)植物ステロール脂肪酸エステル 0.2〜8質量部
を含有する油脂組成物。 - 成分(B)と成分(C)の質量比((B)/(C))が、1.3以下である請求項1記載の油脂組成物。
- 油脂(A)中のモノアシルグリセロール含量が0.1〜5質量%、トリアシルグリセロール含量が4.9〜84.9質量% 、遊離脂肪酸含量が5質量%以下である請求項1又は2記載の油脂組成物。
- 油脂(A)100質量部に対して、更に抗酸化剤(D)を0.001〜5質量部含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の油脂組成物。
- 油脂(A)100質量部に対して、更に結晶抑制剤(E)を0.01〜2質量部含有する請求項1〜4のいずれか1 項記載の油脂組成物。
- 前記高圧分解法により加水分解する原料油脂割合を30質量%以上としたものである請求項1〜5のいずれか1項記載の油脂組成物。
- 前記高圧分解法による加水分解に供する原料油脂の構成脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸含量が1質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項記載の油脂組成物。
- 前記酵素分解法による加水分解に供する原料油脂の構成脂肪酸中の不飽和結合を2以上含む脂肪酸含量が40質量%以上である請求項1〜7のいずれか1項記載の油脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の油脂組成物を含有する食品。
- 更に、水を含み、抗酸化剤としてL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを実質的に含まず、δ−トコフェロールを200ppm以上含有する請求項9記載の食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005097120A JP5100974B2 (ja) | 2004-04-28 | 2005-03-30 | 油脂組成物 |
Applications Claiming Priority (9)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004134749 | 2004-04-28 | ||
JP2004134749 | 2004-04-28 | ||
JP2004172102 | 2004-06-10 | ||
JP2004172102 | 2004-06-10 | ||
JP2004295634 | 2004-10-08 | ||
JP2004295634 | 2004-10-08 | ||
JP2004302271 | 2004-10-15 | ||
JP2004302271 | 2004-10-15 | ||
JP2005097120A JP5100974B2 (ja) | 2004-04-28 | 2005-03-30 | 油脂組成物 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012138677A Division JP5636398B2 (ja) | 2004-04-28 | 2012-06-20 | 油脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006137923A JP2006137923A (ja) | 2006-06-01 |
JP5100974B2 true JP5100974B2 (ja) | 2012-12-19 |
Family
ID=36618934
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005097120A Expired - Fee Related JP5100974B2 (ja) | 2004-04-28 | 2005-03-30 | 油脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5100974B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4823558B2 (ja) * | 2004-04-28 | 2011-11-24 | 花王株式会社 | 油脂組成物 |
EP1652513A1 (en) * | 2004-11-02 | 2006-05-03 | Denderah Pharm Sa | Reverse micelles based on sterols and acylglycerols and therapeutic uses thereof |
JP2008054669A (ja) * | 2006-08-01 | 2008-03-13 | Riken Vitamin Co Ltd | フライ用油脂組成物の製造方法 |
WO2008018147A1 (en) * | 2006-08-11 | 2008-02-14 | Kao Corporation | Fat or oil composition |
MY148943A (en) * | 2006-08-28 | 2013-06-14 | Univ Putra Malaysia | Production of acylglycerol esters |
JP4589902B2 (ja) * | 2006-09-07 | 2010-12-01 | 花王株式会社 | 油脂組成物 |
JP5101206B2 (ja) | 2007-08-08 | 2012-12-19 | 花王株式会社 | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 |
WO2009144858A1 (ja) | 2008-05-29 | 2009-12-03 | 花王株式会社 | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 |
JP6124664B2 (ja) * | 2013-04-19 | 2017-05-10 | 株式会社Adeka | 可塑性油脂組成物 |
JP5646036B1 (ja) * | 2013-12-09 | 2014-12-24 | 築野食品工業株式会社 | 米風味食用油脂 |
JP6797269B2 (ja) | 2018-11-20 | 2020-12-09 | 花王株式会社 | 油脂組成物 |
WO2024181514A1 (ja) * | 2023-02-28 | 2024-09-06 | 株式会社Mizkan Holdings | 組成物及び油脂分解物 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3720057B2 (ja) * | 1998-03-24 | 2005-11-24 | 花王株式会社 | 植物ステロール含有油脂組成物 |
JP3779505B2 (ja) * | 1999-08-24 | 2006-05-31 | 花王株式会社 | 油脂組成物 |
JP4031179B2 (ja) * | 2000-05-26 | 2008-01-09 | 花王株式会社 | 液状油脂組成物 |
JP3774110B2 (ja) * | 2000-07-19 | 2006-05-10 | 花王株式会社 | 食用油脂及びその製造法 |
-
2005
- 2005-03-30 JP JP2005097120A patent/JP5100974B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006137923A (ja) | 2006-06-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5636398B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP4381037B2 (ja) | 油脂組成物 | |
KR100951756B1 (ko) | 유지 조성물 | |
JP5155863B2 (ja) | 油脂組成物 | |
AU2002328058A1 (en) | Oil composition | |
WO2006088188A1 (ja) | 油脂組成物 | |
JP5100974B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP5039291B2 (ja) | 油脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110705 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110829 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20120515 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120620 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20120717 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120918 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120926 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151005 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151005 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |