JP5199580B2 - 共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート - Google Patents
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で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であり、グリコール成分の90モル%以上がエチレングリコール残基であって、かつ固有粘度が0.4〜3.0であることを特徴とする共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート(グリコール成分の90モル%がエチレングリコール残基であり、10モル%が1,4−ベンゼンジエタノール残基であるものを除く)、およびそれを用いたフィルムが提供される。
で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であり、グリコール成分の90モル%以上がエチレングリコール残基であることを特徴とする。
で表される。さらに具体的には下記式(1)−2
本発明の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、340℃で一旦溶融させその後氷浴で急冷することによって得た非晶体についてのXRD測定において2θの5〜10°の範囲にピークが観察されないものであることが好ましい。また本発明の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートにおいて、なかでもDSC測定において昇温速度20℃/minで320℃まで昇温した後、10℃/minで冷却したときの吸熱ピークが120℃〜220℃の範囲に0〜1点観測されること、すなわち吸熱ピークが観察されないか、1点だけ吸熱ピークが観察されることが好ましい。
本発明の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形などの通常の溶融成形に供することができ、繊維、フィルム、三次元成形品、容器、ホース等に加工することができる。本発明の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、結晶性の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を特定量、共重合成分として有することにより、共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートを成形しフィルムを得ようとするときの延伸性、なかでも二軸延伸フィルムを得ようとするときの双方向の延伸性に優れるという特徴を有する。
つぎに、本発明の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造方法について、詳述する。本発明の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、下記式(2)
で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸またはそのエステルと
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、またはそのエステルとエチレングリコールとを反応させ重合させることにより製造することができる。
ポリエステルの前駆体を製造する反応工程では、公知のエステル化もしくはエステル交換反応触媒を用いてもよい。
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解してポリマー濃度0.5g/dLの溶液を調整し35℃で測定して求めた。
ガラス転移点、融点はDSC(TA Instrument株式会社製、DSC2920)により昇温速度20℃/minで測定した。また液晶性の評価のために昇温速度20℃/minで320℃まで昇温した後、10℃/minで冷却したときの吸熱ピークを観察した。
末端カルボキシ基量は、600MHzの1H−NMR(日本電子株式会社製、JEOL A-600)によって測定した。
エステル化率は、600MHzの1H−NMR(日本電子株式会社製、JEOL A-600)によって測定した。
共重合は、600MHzの1H−NMR(日本電子株式会社製、JEOL A-600)によって測定した。
XRD測定はリガク製粉末X線回折装置RAD−Bを用いた。サンプルは340℃で一旦溶融させその後氷浴で急冷することによって得た非晶サンプルを用いて測定を行った。
得られた共重合芳香族ポリエステル樹脂を融点+20℃の温度で溶融し、厚さ600μmの未延伸シートとして冷却ドラム上に押出し、これを製膜方向に140℃でロール間で3.4倍延伸した。その後、得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。なお、ヤング率の測定方向が製膜方向である。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(ppm/℃)である。
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L70−L30)/(L30×△H)
ここで、上記式中のL30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70−30)%RHである。
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸100重量部、エチレングリコール62重量部、テトラーn−ブチルチタネート0.085重量部を1Lの攪拌機、窒素ガス導入口を供えたオートクレーブに仕込み、窒素置換後、窒素圧0.2MPaを印加し温度230℃で6時間反応を行った。反応後析出した結晶をろ過し、メタノールにて洗浄を行った。洗浄後120℃で真空乾燥しビス(β―ヒドロキシエチル)6,6’−(エチレンジオキシ)ジー2−ナフトエ酸115重量部を得た。このもののエステル化度は96%であった。融点は240℃であった。
参考例1で得られたビス(β―ヒドロキシエチル)6,6’−(エチレンジオキシ)ジー2−ナフトエ酸100重量部、2,6−ビス(ヒドロキシエトキシカルボニル)ナフタレン352重量部、テトラーn−ブチルチタネート0.09重量部を精留塔付き反応器に仕込み窒素下270℃にて融解させた。その後減圧を徐々に行い500mmHgにて約20分攪拌反応後重合温度320℃に上昇させた。次いで系内をさらに徐々に減圧にし0.2mmHg到達後約20分攪拌反応させ、ナフタレンジカルボン酸成分が87.4モル%であり、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が12.6モル%である共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。得られたポリマーの固有粘度0.98、ガラス転移温度115℃、融点は238℃であった。得られたポリマーの物性を表1中に示す。
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を100重量部、2,6−ビス(ヒドロキシエトキシカルボニル)ナフタレンを145重量部とした以外は実施例1と同様にして、ナフタレンジカルボン酸成分が69.5モル%であり、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が30.5モル%である共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。得られたポリマーの物性を表1および表2中に示すが、得られた共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートについてXRD測定において2θの値5〜10°の範囲にはピークは観察されなかった。また得られた共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートについてDSC測定において昇温速度20℃/minで320℃まで昇温した後、10℃/minで冷却したときの吸熱ピークが1点観測された(図3)。
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を100重量部、2,6−ビス(ヒドロキシエトキシカルボニル)ナフタレンを93重量部とした以外は実施例1と同様にして、ナフタレンジカルボン酸成分が62.3モル%であり、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が37.7モル%である共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。得られたポリマーの物性を表1および表2中に示すが、得られた共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートについてXRD測定において2θの値5〜10°の範囲にはピークは観察されなかった。また得られた共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートについてDSC測定において昇温速度20℃/minで320℃まで昇温した後、10℃/minで冷却したときの吸熱ピークとして、メインピークが1点、微小のピークが1点それぞれ観測された(図4)。
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を100重量部、2,6−ビス(ヒドロキシエトキシカルボニル)ナフタレンを168重量部とした以外は実施例1と同様にして、ナフタレンジカルボン酸成分が73モル%であり、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が27モル%である共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gで、グリコール成分の1.5モル%がジエチレングリコール成分であるポリエチレン−2,6-ナフタレートを得た。これを実施例4と同様に表3に記載の延伸倍率で二軸配向ポリエステルフィルムを得て、得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表3に示す。
実施例1と同様にして、ナフタレンジカルボン酸成分が表4中のモル%である共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートを得て、実施例4と同様に厚さ8〜10μmのフィルムを得て、二軸延伸フィルムの製膜〜評価を行った結果を表4中に示す。
特開昭60−135428号公報に記載される手法にて実施例1と同種のポリマーを合成した。具体的にはジエチル6.6’−(エチレンジオキシ)ジー2−ナフトエート458重量部とエチレングリコール130重量部、テトラーn−ブチルチタネート0.1重量部を仕込み、200℃〜260℃にて加熱し反応により生じるエタノールを系外に留出せしめた。徐々に反応物が結晶化し固化し始めた。攪拌を一旦中止し、理論量のエタノールが留出してから温度を290℃に上昇させ融解させ、窒素ガス気流中常圧で30分間反応させ、次いで反応温度を310℃に昇温し、かつ系内を徐々に減圧し0.2mmHg到達後更に10分間反応せしめた。得られたポリマーの融点は294℃で、ジエチレングリコール成分が12mol%、アルカリ金属含有量が30ppmであった。
Claims (6)
- 芳香族ジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分からなり、芳香族ジカルボン酸成分の50モル%以上95モル%未満がナフタレンジカルボン酸成分であり、芳香族ジカルボン酸成分の5モル%以上50モル%未満が、下記式(1)
で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であり、グリコール成分の90モル%以上がエチレングリコール残基であって、かつP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度が0.4〜3.0であることを特徴とする共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート(グリコール成分の90モル%がエチレングリコール残基であり、10モル%が1,4−ベンゼンジエタノール残基であるものを除く)。 - 融点が195〜260℃の範囲にある請求項1に記載の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート。
- 340℃で一旦溶融させその後氷浴で急冷することによって得た非晶体についてのXRD測定において2θの5〜10°の範囲にピークが観察されない事を特徴とする請求項1または2に記載の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート。
- DSC測定において昇温速度20℃/minで320℃まで昇温した後、10℃/minで冷却したときの吸熱ピークが120℃〜220℃の範囲に0〜1点観測される事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート。
- NMRによって測定された末端カルボキシル基量200当量/トン以下である請求項1〜4のいずれかに記載の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート。
- DSC測定におけるガラス転移温度が105〜120℃の範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート。
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