JP5192628B2 - コア材料としての1種以上の親油性物質とカプセルシェルとしてのポリマーを含むマイクロカプセル、その製法、その使用およびこれを含有する石膏ボード - Google Patents
コア材料としての1種以上の親油性物質とカプセルシェルとしてのポリマーを含むマイクロカプセル、その製法、その使用およびこれを含有する石膏ボード Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、
−モノマーの全質量に対して、アクリル酸および/またはメタクリル酸の1種以上のC1〜C24−アルキルエステル(モノマーI)30〜100質量%
−モノマー全質量に対して、水に不溶性または僅かにだけ溶解性である二官能性または多官能性モノマー(モノマーII)0〜80質量%および
−モノマーの全質量に対して、他のモノマー(モノマーIII)0〜40質量%、親油性物質および45〜1000nmの平均粒度の無機固体粒子を含む水中油エマルションのラジカル重合により得られる、コア材料としての1種以上の親油性物質と、カプセルシェルとしてのポリマーを含むマイクロカプセル、その製法および結合建築材料、テキスタイルおよび石膏ボードにおけるその使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラジカル重合により製造されるカプセルシェルを有するマイクロカプセルは、多様な適用分野において公知である。従って、これらはカプセル壁の浸透性に応じて、作用物質をカプセル封入するために薬剤または植物保護剤、無カーボン複写紙において、または蓄熱媒体において使用される。作用物質の場合には、制御された作用物質の放出を可能にするために一定の浸透性が望ましいのに対して、、複写用紙中、かつ熱貯蔵媒体として使用するためには不浸透性のカプセル壁が必要である。壁厚はカプセルのサイズに伴うので、最小のカプセル分布は、しばしば不所望である。狭いカプセルサイズの分布を形成する製法が必要とされている。
【0003】
EP-A-463926には、アミノ樹脂から成るマイクロカプセルを製造するための鉱物性微分散粉末の使用が示唆されている。
【0004】
EP-A-539142には、水中油エマルションを安定化するために、<30nmの平均粒度を有するコロイド状無機粒子を使用して、アミノ樹脂とポリウレアの両方から成るマイクロカプセルを製造することが記載されている。この文献によれば、100nmの粒度は、表1から分かるように、不所望な広いカプセルサイズ分布を生じる。
【0005】
US 3615972には、無機固体粒子を使用し、カプセル壁としてのメチルメタクリレートとカプセルコアとしてのネオペンタンから成る発泡性マイクロカプセルの製法が記載されている。エマルションを安定化するために、“Ludox(R) HS”が使用されており、これは平均粒度が12nmであるコロイド状ケイ酸分散液である。
【0006】
WO 99/24525には、平均粒度12nmを有する二酸化ケイ素粒子のコロイド状ケイ酸分散液を使用するマイクロカプセル化された潜熱蓄熱油および/またはワックスの製造が示唆されている。得られたマイクロカプセル化された潜熱貯蔵材料は、鉱物性成形体および塗料において使用するために有利である。
【0007】
より以前のドイツ国特許第10139171.4号明細書では、このようなマイクロカプセル化された潜熱貯蔵材料を石膏ボードにおいて使用することを教示している。
【0008】
二酸化ケイ素の平均粒度が12nmであるケイ酸分散液を使用して、アクリル酸および/またはメタクリル酸のアルキルエステルを基礎とするマイクロカプセルを製造する際に、直径≦4μmを有するマイクロカプセルの割合が約10%であるケイ酸分散液を使用することが示されている。
【0009】
【特許文献1】
EP-A-463926
【特許文献2】
EP-A-539142
【特許文献3】
US 3615972
【特許文献4】
WO 99/24525
【特許文献5】
ドイツ国特許第10139171.4号明細書
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、直径が≦4μmであるマイクロカプセルの低い割合を有するマイクロカプセル分散液を提供することである。さらに、得られるマイクロカプセル分散液は、狭いカプセルサイズ分布を有するべきである。前記カプセルは、特に石膏ボードおよび鉱物性成形体および塗料において使用するために高い浸透性および良好な蓄熱特性を有するべきである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、前記のマイクロカプセル、その製法ならびに石膏ボード、鉱物性成形体および鉱物性塗料におけるその使用により達成されることが見出された。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のマイクロカプセルは、いわゆるインシチュでの重合により製造することができる。カプセルコアは、水中で乳化可能な親油性物質により形成される。親油性物質は、モノマーのための溶剤または分散剤として同時に利用され、これからカプセル壁が形成される。はじめにモノマー、親油性物質および無機固体粒子から安定な水中油エマルションが製造され、このエマルション中で、親油性物質およびモノマーは分散相を本質的に形成する。次に、重合は、安定な水中油エマルションの油相中で行われる。これは、エマルションを加熱することにより引き起こされる。モノマーは油相中で本質的に溶解性であるのに対して、形成されたオリゴマーおよびポリマーは不溶性であり、油相と水相から成る界面に移動する。その場所で、さらなる重合の過程で、これらは最後には親油性物質を封入する壁材料を形成する。
【0013】
この場合に無機固体粒子は、保護コロイドのように作用する。これらは、細かい固体粒子により安定化可能である。粒子は、反応条件下で固体のままである。前記粒子は水中で不溶性であっても分散可能であるか、または水中で溶解性でもなく分散可能でもないが、親油性物質により湿潤可能である。これらの無機固体粒子は、油相と水相の間の界面に位置するのが有利である。本発明のマイクロカプセルは、部分的に壁中に組込むことができる無機固体粒子の被覆を有する。作用の様式に応じて、無機固体粒子は、ピカリング(Pickering)系とも称される(US 3615972およびUS 4016110参照)。
【0014】
ピカリング系は、単独に無機固体粒子から成るか、または付加的に水中での粒子の分散性または粒子の湿潤性を親油相により改善する助剤から成ることができる。これらの助剤は、例えば以下に記載されているような非イオン性、アニオン性、カチオン性または双生イオンの界面活性剤またはポリマー保護コロイドである。さらに、特に水相の有利なpH値を決定するために緩衝物質を添加することができる。これは、微細粒子の溶解性を減少させ、かつエマルションの安定性を増大させることができる。慣用の緩衝物質は、リン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液およびクエン酸塩緩衝液である。
【0015】
無機固体粒子は、金属塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、チタン、アルミニウム、シリコン、バリウムおよびマンガンの塩、酸化物および水酸化物であることができる。特に、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、オキサル酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび硫化亜鉛を挙である。シリケート、ベントナイト、ヒドロキシアパタイトおよびヒドロタルサイトを同様に挙げることができる。特に、高分散性ケイ酸、ピロリン酸マグネシウムおよびトリリン酸カルシウムを使用するのが有利である。平均粒度45〜500nm、特に45〜200nmを有する無機固体粒子が有利である。より低い平均粒度の限界は、有利には50nm、特に有利には60nmである。記載されたサイズは、使用されたコロイド状分散液の数平均に基づき、光散乱により測定されたものである。
【0016】
ピカリング系は、はじめに水相中に添加することも、油相および水相から成る混合物に添加することもできる。相当数の無機固体粒子は、沈殿により製造される。このように、ピロリン酸マグネシウムは、ピロリン酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウムの水溶液と一緒に添加することにより製造される。
【0017】
一般的には、ピロリン酸塩は、分散の前に直接にアルカリ金属ピロリン酸塩の水溶液と、少なくとも化学量論的に必要な量のマグネシウム塩とを混合することにより製造されるが、その際、マグネシウム塩は固体の形または水溶液の形で存在することができる。有利な実施態様においては、ピロリン酸マグネシウムは、ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7)と硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O)の水溶液を混合することにより製造される。
【0018】
高分散性ケイ酸は、細かい固体粒子として水中で分散することができる。しかし、いわゆる水中のケイ酸のコロイド状分散液を使用することもできる。コロイド状分散液は、ケイ酸のアルカリ性水性混合物である。一般的には、コロイドケイ酸分散液はアルカリにより、例えば、水酸化ナトリウムまたはアンモニアを添加することにより安定化される。しかし、酸性pH範囲内、ほぼpH2と5の間で安定化された(“貯蔵安定性”)低塩または脱塩された分散液を使用することもできる。アルカリにより安定化された分散液をピカリング系として使用する場合には、水中油エマルションを製造するための混合物のpHを、酸でpH2〜7、有利にはpH2〜6,特にpH2〜5に調節することが有利である。調節するために有利な酸は、鉱酸、例えば、硝酸、塩酸、リン酸および硫酸ならびに有機酸、例えば、クエン酸、ギ酸およびアミドスルホン酸である。水中油エマルションは、クエン酸、ギ酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸および/またはアミドスルホン酸で2〜6の範囲内のpH値に調節することが有利である。石膏製品中でマイクロカプセルを使用するために、鉱酸、特に一価の鉱酸、例えば硝酸が有利であることが証明されている。
【0019】
無機固体粒子は、一般的には、水相に対して0.5〜15質量%の量で使用される。
【0020】
平均サイズ45〜1000nmの無機固体粒子を、場合により有機保護コロイドと混合物の形で使用することが特に有利である。保護コロイドと45〜1000nmの平均サイズの無機固体粒子との全質量は、水相に対して0.5〜15質量%である。
【0021】
有機保護コロイドは、非電荷とアニオン保護コロイドの間で分離することができ、これは別個にまたは一緒に使用することができる。
【0022】
非電荷保護コロイドは、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、アラビアゴム、キサントン、アルギン酸ナトリウム、カゼイン、ポリエチレングリコール、有利には、ポリビニルアルコールおよび部分的に加水分解されたポリビニルアセテートである。
【0023】
アニオン性保護コロイドとしては、ポリメタクリル酸、スルホエチルアクリレートとスルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレートとスルホピロピルメタクリレート、N−(スルホエチル)マレインアミド、2−アクリルアミド−2−アクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ならびにビニルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のコポリマー、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合体、ポリアクリル酸とフェノールスルホン酸−ホルムアルデヒド−縮合体が好適である。
【0024】
非電荷保護コロイドは、一般的には、エマルションの水相に対して、0.001〜5質量%、有利には0.01〜2質量%の量で使用される。アニオン性保護コロイドは、一般的にはエマルションの水相に対して0.01〜5質量%の量で使用される。
【0025】
アニオン性保護コロイドは、有利には非電荷保護コロイドを、無機固体粒子と組合せて使用する。特に有利な非電荷保護コロイドは、メチルセルロースである。
【0026】
それぞれエマルションの水相に対して、無機固体粒子1〜10質量%、有利には2〜8質量%、および非電荷保護コロイド0.01〜2質量%、特に0.01〜1質量%を使用するのが有利である。
【0027】
この方法で得られたマイクロカプセルは、石膏製品中に混入する際に有利な特性を示す。
【0028】
分散相は、モノマー、親油性物質およびラジカル開始剤を含有する。水中油エマルション中の分散相の割合は有利には20〜60質量%である。カプセル壁は、前記のモノマー混合物のラジカル重合により製造される。モノマー混合物は、モノマーI 30〜95質量%、モノマーII 5〜60質量%、特に10〜50質量%、およびモノマーIII 0〜40質量%、有利には0〜30質量%から成り、その際、全てのモノマーの全質量は100質量%である。
【0029】
モノマーIとしては、アクリル酸および/またはメタクリル酸のC1〜C24−アルキルエステルが適切である。特に有利なモノマーIは、メチル−、エチル−、n−プロピル−およびn−ブチルアクリレートおよび/または相応のメタクリレートである。イソ−プロピル−、イソ−ブチル−、sec−ブチル−およびtert−ブチルアクリレートおよび相応のメタクリレートが有利である。さらに、メタクリロニトリルを挙げることができる。一般的にはメタクリレートが有利である。
【0030】
適切なモノマーIIは、水中で不溶性または難溶性であるが、しかし親油性物質中では良好から中程度の溶解性を有する二官能性または多官能性モノマーである。難溶性とは、20℃で60g/l未満の溶解度であると解釈される。
【0031】
二官能性または多官能性モノマーとは、少なくとも2個の隣り合わないエチレン性二重結合を有する化合物であると解釈される。
【0032】
特にジビニルモノマーおよびポリビニルモノマーは、重合の間にカプセル壁の架橋を引き起こす。
【0033】
有利な二官能性モノマーは、ジオールとアクリル酸またはメタクリル酸とのジエステル、さらに、これらのジオールのジアリルエーテルおよびジビニルエーテルである。
【0034】
有利なジビニルモノマーは、エタンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、メタリルメタクリルアミドおよびアリルメタクリレートである。特に有利には、プロパンジオール−、ブタンジオール−、ペンタンジオール−およびヘキサンジオールジアクリレートまたは相応のメタクリレートである。
【0035】
有利なポリビニルモノマーは、トリメチロールプロパントリアクリレートおよび−メタクリレート、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルおよびペンタエリトリトールテトラアクリレートである。
【0036】
モノマーIIIとしては、通常のモノマーが該当し、モノマーIIIa、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルアセテート、ビニルプロピオネートおよびビニルピロリドンが有利である。
【0037】
水溶性モノマーIIIb、例えば、アクリロニトリル、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび−メタクリレートおよびアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が特に有利である。さらに、特に、N−メチロールアクリルアミド、Nーメチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびジエチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。
【0038】
親油性物質としては、水中で僅かにだけ溶解する物質が該当する。水中での溶解度は、5質量%を上回らないのが有利である。例としては、アルキルナフタレン、部分的に水素化されたテルフェニル、芳香族炭化水素、例えば、キシレン、トルエン、ドデシルベンゼン、芳香族炭化水素、例えば、ベンゼンおよび鉱油、クロロパラフィン、フッ化炭化水素、天然油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、さらに、バインダー、香気物質および香油が挙げられる。これらの液体は、植物保護剤または薬剤、染料または着色剤のような作用物質を溶解または懸濁させた形で含有することができる。
【0039】
−20〜120℃の温度範囲内に、その固体/液体相転移を有している親油性物質、いわゆる潜熱貯蔵材料を含有するマイクロカプセルが特に有利である。
【0040】
適切な親油性物質としては、例えば、次のものが挙げられる:
− 脂肪族炭化水素化合物、例えば、分枝状または有利には直鎖状である飽和または不飽和C10〜C40−炭化水素、例えば、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナンデカン、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサンならびに環状炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロドデカン;
− 芳香族炭化水素化合物、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、o−またはn−テルフェニル、C1〜C40−アルキル置換芳香族炭化水素、例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ヘキサデシルベンゼン、ヘキサナフタレンまたはデシルナフタレン;
− 飽和または不飽和C6〜C30−脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、油酸またはベヘン酸、有利には、デカン酸と例えば、ミリスチル酸、パルミチン酸またはラウリン酸との共融混合物;
− 脂肪族アルコール、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヤシ油アルコールのような混合物、ならびにα−オレフィンのヒドロホルミル化および更なる反応により得られるいわゆるオキサルアルコール;
− C6〜C30−脂肪族アミン、例えば、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラでシルアミンまたはヘキサデシルアミン;
− エステル、例えば、脂肪酸のC1〜C10−アルキルエステル、例えば、プロピルパルミテート、メチルステアレートまたはメチルパルミテートならびに有利にはそれらの共融混合物またはメチルシンナメート;
− 天然および合成ワックス、例えば、モンタンワックス、モンタンエステルワックス、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、酸化ワックス、ポリビニルエーテルワックス、エチレンビニルアセテートワックスまたはフリッシャー・トロッシュ(Frischer-Tropsch)法により得られる硬ろう;
− ハロゲン化炭化水素、例えば、クロロパラフィン、ブロモオクタデカン、ブロモペンタデカン、ブロモノナデカン、ブロモエイコサン、ブロモドコサン;
さらに、融点が所望の範囲を下回らないか、または混合物の融合熱が実際の使用に関して低くなりすぎない限り、これらの物質の混合物も適切である。
【0041】
適用技術的理由から、凝固点の低下を回避するために溶解性化合物を親油性物質に添加するのが有利である。このような化合物は、親油性物質の融点よりも20〜120℃高い融点を有し、例えば、US-A 4797160に記載されている。挙げられる例は、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミドおよび脂肪族炭化水素化合物である。
【0042】
同様のことは、上記のハロゲン化炭化水素、デカブロモジフェニルオキシド、オクタブロモジフェニルオキシド、酸化アンチモンのような難燃剤またはUS-A 4797160に記載されているような難燃添加剤にも当てはまり、これは適用技術的理由で加えることができる。
【0043】
蓄熱材料の望ましい温度範囲に応じて、親油性物質が選択される。例えば、ヨーロッパの建築材料中の熱貯蔵材料には、固体/液体相転移が0〜60℃の温度範囲内である親油性物質を使用することが挙げられる。従って、0〜25℃の変換温度を有する単独または混合物が、一般的には外部用途に使用され、かつ15〜30℃の転移温度を有するものは、一般的には内部用途に使用される。貯蔵媒体として建築材料と組み合わせるソーラー用途の場合、またはEP-A 333145に記載されているような透明断熱材の過熱を回避するために、30〜60℃の変態温度が特に適切である。例えば、工業的留出液として生じるアルカン混合物および市販のものを使用するのが有利である。
【0044】
モノマー/親油性物質の質量比は、≦1、有利には≦0.5、特に≦0.35である。
【0045】
安定な水中油エマルションは、水中での親油性物質の乳化および引き続くモノマーの添加によるか、または水中での親油性物質中のモノマー溶液の乳化により製造することができる。場合により、親油性物質は、その相転移温度に応じて、溶融物に誘導される。エマルションを製造するための一般的な条件および装置は当業者に公知である。
【0046】
水中油エマルション、特に潜熱貯蔵材料をを工業的スケールで製造するために、以前のドイツ国特許第10156017.6号明細書に記載されているように、油相と水相からなる混合物を、所望の液滴サイズが達成されるまで貯蔵容器/重合容器の外部に存在する剪断場に複数回通導することが推奨される。水中油エマルション中に導入される剪断力は、必要なポンプエネルギーを差し引いて250〜25000ワット・h/m3のバッチサイズである。
【0047】
剪断場を形成するために適切な装置は、ローター・ステーター原則により運転する粉砕機、例えば、爪付輪型分散機、コロイドミルおよびコランダムディスクミルならびに高圧ホモジナイザーおよび超音波ホモジナイザーである。液滴サイズを調節するために、付加的にポンプおよび/または調整器をエマルションの循環中に取付けるのが有利である。
【0048】
0.5〜100μm、有利には1〜80μm、特に1〜50μm、殊に1〜30μmの所望の平均液滴サイズを有する安定な水中油エマルションを製造した後に、重合が加熱により引き起こされる。乳化過程の間にまだ生じていない場合には、ラジカル開始剤を重合の前に添加する。
【0049】
ラジカルにより進行する重合反応用のラジカル開始剤としては、通常のペルオキソ化合物およびアゾ化合物を、有利にはモノマーの質量に対して0.2〜5質量%の量で使用することができる。
【0050】
ラジカル開始剤の凝集状態およびその溶解挙動に応じて、溶液として、エマルション(液-液)または懸濁液(固-液)を供給するのが有利であり、これにより特に少量のラジカル開始剤をより正確に計量供給することができる。
【0051】
有利なラジカル開始剤としては、tert.-ブチルペルオキシネオデカノエート、tert.-アミルペルオキシピバレート、ジラウロイルペルオキシド、tert.-アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチル)バレロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、ジベンゾイルペルオキシド、tert.-ブチル−ペル−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert.-ブチルペルオキシド、tert.-ブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert.-ブチルペルオキシド)ヘキサンおよびクメンヒドロペルオキシドを挙げることができる。
【0052】
特に有利なラジカル開始剤は、ジ−(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、4,4’−アゾビスイソブチロニトリル、tert.-ブチルペルピバレートおよびジメチル−2,2−アゾビスイソブチレートである。これらは、30〜100℃の温度範囲内で10時間の半減期を有する。
【0053】
一般的には、重合は20〜100℃、有利には40〜80℃で実施される。所望の親油性物質に応じて、コア材料が液体/油である温度で水中油エマルションが形成されるべきである。従って、分解温度がこの温度を上回るラジカル開始剤が選択され、かつ重合も同様にこの温度を2〜50℃上回って実施されるべきであるため、場合によりその分解温度が親油性物質の融点を上回るラジカル開始剤が選択される。
【0054】
約60℃までの融点を有する親油性物質に有効な変法は、60℃で開始され、かつ反応過程で85℃まで増大する反応温度である。有利なラジカル開始剤は、45〜65℃の範囲内で、10時間の半減期を有する例えば、t−ブチルペルピバレートである。
【0055】
60℃を上回る融点を有する親油性物質のもう1つの変法により、相応してより高い反応温度で開始される温度プログラムが選択される。約85℃の初期温度に関しては、70〜90℃の範囲内で10時間の半減期を有するラジカル開始剤、例えばt−ブチルペル−2−エチルヘキサノエートが有利である。
【0056】
常圧で重合を行うのが有利であるが、しかし減圧または僅かに高い圧力、例えば、100℃を上回る重合温度で、すなわち、約0.5〜5バールの範囲内で運転することができる。
【0057】
重合の反応時間は、通常は1〜10時間、大抵は2〜5時間である。
【0058】
マイクロカプセルは、水中油エマルションを徐々に加熱することにより形成させるのが有利である。この場合に、徐々にとは、温度増大によりラジカル開始剤が分解することによって反応が引き起こされ、かつ連続的または周期的に行うことができる更なる加熱が、重合を制御することであると解釈される。従って、重合の速度は、ラジカル開始剤の温度および量の選択により制御することができる。これは、有利には増大温度を用いるプログラムにより有利に行われる。全体の重合時間は、この目的のために2個以上の期間に分けることができる。1番目の重合期間は、ゆっくりした重合開始剤の分解により特徴付けられる。2番目の重合期間および場合により他の重合期間では、重合開始剤の分解を促進するために反応混合物の温度を高める。温度は、1工程または複数の工程で、または連続的に線形または非線形の方法で加熱することができる。重合の開始と終了の間の温度差は、50℃までであってよい。一般的には、この差は3〜40℃、有利には3〜30℃である。
【0059】
目的温度が達成された後に、残留モノマー含量を低下させるために重合を約2時間までさらに適切に継続する。
【0060】
90〜99質量%の転化率での本来の重合反応に引き続き、マイクロカプセル水性分散液は、臭気キャリアー、例えば、残留モノマーおよび他の揮発性有機成分を十分に含まないことが有利である。このことは、通常自体公知の方法で物理的に蒸留による除去(特に水蒸気蒸留)によるか、または不活性ガスで取り去ることにより達成される。
【0061】
残留モノマーの減少は、さらに化学的にラジカル後重合、特に例えば、DE-A 4435423、DE-A 4419518ならびにDE-A 4435422で引用されているようなレドックス開始剤系の作用下に行うことができる。レドックスにより開始される後重合のための酸化剤としては、特に過酸化水素、tert.-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドまたはアルカリペルオキシドスルフェートが適切である。適切なレドックス剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、ナトリウムヒドロキシエタンスルフィネート、ホルムアミジンスルフィン酸、アセトンビスルフィット(=アセトンとの亜硫酸水素ナトリウム付加生成物)、アスコルビン酸または還元作用を有する糖化合物、または水溶性メルカプタン、例えば、メルカプトエタノールである。レドックス開始剤系を用いる重合後は、10〜100℃、有利には20〜90℃の温度範囲で実施される。レドックスの相手は、マイクロカプセル分散液に相互に独立に全て一度にまたは少量ずつまたは連続的に、10分間から4時間の時間にわたり添加することができる。レドックス開始系の後重合作用を改善するために、様々な酸化数を有する金属の可溶塩、例えば、鉄、銅またはバナジウム塩を、マイクロカプセル分散液に添加することができる。金属塩を反応条件下で溶液中に保持する錯化剤が、頻繁に添加される。
【0062】
重合が終了した後、マイクロカプセルは水中で分散して存在する。この分散液は、このまま加工されるか、またはWO-A-9924525に記載されているように、マイクロカプセルを水相から分離し、かつスプレー乾燥することができる。
【0063】
マイクロカプセル分散液のスプレー乾燥は、通常の方法で行うことができる。一般的には、熱気流の入口温度が100〜200℃、有利には120〜160℃の範囲内であり、かつ熱気流の出口温度が30〜90℃、有利には60〜80℃の範囲内であるように行われる。熱空気流中の水性重合分散液の噴霧は、例えば、一成分または多成分ノズルによるか、または回転円板により行うことができる。ポリマー粉末の分離は、通常の方法でサイクロンまたは濾過器の使用下に行われる。噴霧された水性ポリマー分散液および熱風流は、有利には並流で運搬される。
【0064】
本発明のマイクロカプセルは、乳化工程で調節される平均粒径を有する。これらは、狭い粒度分布により傑出している。本発明のマイクロカプセルは、同じ平均粒径を有する先行技術のマイクロカプセルの全体的な分布と比較して、直径≦4μmを有するカプセルの割合が低い。さらに、本発明のマイクロカプセルは、良好な熱融解を示す。
【0065】
親油性物質に応じて、本発明のマイクロカプセルは、無カーボン複写紙、化粧品、香料、香気またはバインダーの封入または植物保護剤において適切である。本発明のマイクロカプセルは、特に潜熱貯蔵材料として適切である。このような潜熱貯蔵材料の利用は、多岐に渡る。従って、これらは、テキスタイル、例えば、織物、織物被覆、不織布(例えば、フェルト)等に有利に混入することができる。さらなる適用分野は、鉱物、ケイ素含有またはポリマー結合剤を含有する結合建築材料である。その際に、成形体と塗料は区別される。これらは、水性物質、しばしばアルカリ性水性物質の存在で加水分解に安定であることが傑出している。
【0066】
鉱物性成形体とは、鉱物性結合剤、水、添加剤ならびに場合により助剤から成る混合物から、付形後に、鉱物性結合剤−水−混合物を時間の経過と共に、場合により高温の作用下に硬化させることにより得られる成形体であると解釈される。鉱物性結合剤は、一般的に公知である。これらの結合剤は、微分散無機材料、例えば、水と撹拌することにより直ちに使用できる形に変わるタルク、石膏、クレー、ライムおよび/またはセメントであり、その際、前記混合物は、場合により高温の作用下に、空気中または水中に放置される際に、時間の経過と共に岩石のように固くなる。
【0067】
添加剤は、一般的には、粒状または繊維状、天然または合成の岩石(砂利、砂、ガラス繊維または鉱物性繊維)から成り、特別な場合には、自体公知の方法で、それぞれの用途目的に適合した粒度または繊維長さを有する金属または有機添加剤または前記添加剤の混合物から成る。顔料は、しばしば色を付与するために添加剤中で使用される。
【0068】
助剤として、特に硬化を促進または遅らせる物質、または鉱物性硬化成形体の弾性または多孔性に影響を与える物質が該当する。これらは、特に、例えば、US-A 4340510、GB-B 1505558、US-A 3196122、US-A 3043790、US-A 3239479、DE-A 4317035、DE-A 4317036、JP-A 91/131533および他の文献から公知のポリマーである。
【0069】
マイクロカプセルは、セメント70〜100質量%および石膏0〜30質量%から成る鉱物性結合剤を含有する鉱物性結合建築材料(モルタル様調製物)を変性するために適切である。これは、特にセメントが単独の鉱物性結合剤である場合に当てはまる。よって、本発明による作用は、セメントの種類に依存する。予定に応じて、高炉スラグセメント、オイルシェールセメント、ポートランドセメント、疎水化ポートランドセメント、急結セメント、膨張セメントまたはアルミナセメントを使用することができ、その際、ポートランドセメントを使用するのが特に有利であることが判明している。更なる詳細については、DE-A 19623413を参照されたい。
【0070】
一般的な方法では、鉱物性結合建築材料の乾燥組成物は、鉱物性結合剤の量に対してマイクロカプセル0.1〜20質量%含有する。本発明による鉱物性結合建築材料は、通常の建築材料に対して極めて良好な蓄熱容量を有する。
【0071】
マイクロカプセルは、鉱物性塗料、例えば、モルタルにおいて使用するのが特に有利である。内部領域用に使用されるこのようなモルタルは、一般的にはモルタルを結合剤として含む。塗料中のマイクロカプセルの割合が高くなればなるほど、当然ながら蓄熱作用は高まる。一般的には、石膏/マイクロカプセルの質量比は、95:5〜70:30である。当然ながら、より高いマイクロカプセルの割合も可能である。
【0072】
外部領域、例えば、外壁または湿度のある部屋の被覆は、セメント(セメント様モルタル)、タルクまたは水ガラス(鉱物性またはシリケート−モルタル)またはプラスチック分散液(プラスチックモルタル)を結合剤として、充填剤および場合により顔料と一緒に色を付与するために含有することができる。全固体中のマイクロカプセルの割合は、石膏モルタルの質量比に相当する。
【0073】
硬化された石膏モルタルは、改善された蓄熱容量の他に、水分吸収の傾向が低く、かつ高い弾性により傑出している。
【0074】
さらに、マイクロカプセルはポリマー成形体またはポリマー被覆剤中の添加剤として適切である。ここは、その加工の際に、マイクロカプセルを破壊しない熱可塑性および熱硬化性ポリマーであると解釈される。例えば、エポキシ、尿素、メラミン、ポリウレタンおよびシリコン樹脂ならびに溶剤ベース、ハイソリッド塗料、粉末塗料または水性塗料をベースとする塗料および分散フィルムである。マイクロカプセルは、プラスチックフォームおよび繊維中へ混入するためにも適切である。フォームの例は、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ラテックスおよびメラミン樹脂フォームである。
【0075】
マイクロカプセルが発泡状である鉱物性成形体中に混入される場合に、さらに有利な効果を達成することができる。
【0076】
本発明のマイクロカプセルは、鉱物性成形体、鉱物性塗料および石膏ボードにおいて使用するのが有利である。
【0077】
マイクロカプセルは、粉末としてまたは分散液として石膏ボード中に混入することができる。この場合に、石膏ボード(乾物)の全質量に対して、有利にはマイクロカプセル5〜40質量%、特に20〜35質量%が混入される。石膏ボードの製造は、一般的に公知である。
【0078】
石膏ボードは、一般的には、両側に厚紙片を取付けた石膏コアから成る。厚紙は、水性石膏スラリーを、不連続的または連続的にセルロースベースの2枚の厚紙片の間に組込み、プレートを形成することにより一般的に製造される。石膏スラリーは、一般的に公知のように、水中の硫酸カルシウムβ−半水化物と添加物との連続的な付加および継続的な混合により製造される。マイクロカプセルは、硫酸カルシウムと一緒に計量供給されるか、または既に水性分散液として存在することができる。このように得られる石膏スラリーは、厚紙片に、例えば噴霧により塗布され、かつ厚紙でカバーされる。
【0079】
硬化の開始の間に、厚紙を圧搾機中で、例えば1.2〜1,25m幅の細片かつ9.25、12.5、15.0、18.0または25mmの厚さに付形する。この細片を数分以内に硬化させ、かつプレートに切断する。この段階で、プレートは、通常はその質量の三分の1を遊離水として含有する。残りの水を除去するために、プレートを約250℃の温度で熱処理する。このように得られた石膏厚紙プレートは、750〜950kg/m3の厚さを有する。
【0080】
石膏厚紙プレートには、一般的には約300g/m2の質量を有する厚紙が使用される。この種類の厚紙は、大抵は多層で製造され、その際、最後の相は、厚紙のカバー相であり、かつ10〜100g/m2、有利には30〜70g/m2の質量を有する。
【0081】
セルロースベースから成る厚紙の代わりに、選択的に繊維シートを本発明による石膏厚紙プレートの両側のカバー相として使用することもできる。選択的な材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリルおよびそのようなものを含有するポリマー繊維である。ガラス繊維も適切である。選択的な材料は、織物としてかつ不織布、すなわちフェルト様シートとして使用することができる。
【0082】
このような石膏厚紙は、例えば、US 4,810,569、US 4,195,110およびUS 4,394,411から公知である。
【0083】
厚紙のような基材への改善された粘着性は、天然および/または合成ポリマーの添加により達成することができる。適切な水溶性ポリマーは、デンプンおよびデンプンエーテル、比較的に高分子量のメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、グアールガム誘導体、熱可塑性分散粉末および酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、スチレン−ブタジエン、スチレンアクリレートおよび純粋なアクリレートをベースとする液体分散液である。添加されるポリマーの得ようは、石膏および潜熱貯蔵材料の乾燥重量に対して、0.1〜5質量%である。
【0084】
石膏材料は、その他の添加剤としての保水剤および/または増粘剤に添加することも有利である。例としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびアクリル酸のコポリマー、例えば、ポリエチレン−コ−アクリル酸、ポリメラミン酸−コ−アクリル酸、ポリイソブチレン−コ−アクリル酸およびスチレンまたはアクリル酸エステルまたは酢酸ビニル含有のアクリル酸の多いポリマー分散液であり、これらはシックナーとして、例えば紙仕上げ加工に使用できる。
【0085】
実施例のパーセントは、質量パーセントである。
【0086】
【実施例】
例1
水相:
水 572g
水中のSiO2の50%濃度コロイド状分散液、pH9.3 80g
(平均粒度108.6nm、光散乱による数平均値)
2.5%濃度硝酸ナトリウム水溶液 2.1g
メチルセルロース、1%濃度水溶液 20g
(水中2%で、粘度15000mPas)
油相:
C18〜C20−アルカン(工業用留出物) 440g
メチルメタクリレート 77g
ブタンジオールジアクリレート 33g
エチルヘキシルチオグリコレート 0.76g
t−ブチルペルピバレート 1.35g
供給物質1:t−ブチルヒドロペルオキシド1.09g、水中70%濃度
供給物質2:アスコルビン酸0.34g、NaOH 0.024g、H2O 56g。
【0087】
室温で、上記の水相を装入し、かつ10%濃度の硝酸3gでpH4まで調節した。油相を添加した後に、迅速に運転するディソルバー撹拌機を用いて4200rpmで分散した。40分間分散させた後に、2〜12μmの粒度直径を有する安定なエマルションが得られた。このエマルションを、撹拌下に馬蹄形ミキサーを用いて56℃まで加熱し、さらに20分以内に58℃まで、さらに60分以内に71℃まで、かつさらに60分以内に85℃まで加熱した。生じたマイクロカプセル分散液を、撹拌下に70℃まで冷却し、かつこれに供給物質1を添加した。供給物質2を撹拌下に70℃で、80分間にわたり計量供給した。引き続き冷却した。相応するマイクロカプセル分散液は、固体含量46.8%および平均粒度D(4.3)=9.5μm(フラウンホーファー回折を用いて測定、平均体積値)を有していた。
【0088】
実験室用噴霧乾燥機中で二成分ノズルおよびサイクロン分離器を用いて、熱風の入り口温度130℃および粉末の出口温度70℃で、分散液は噴霧塔から問題無く乾燥された。マイクロカプセル分散液と粉末は、加熱速度1K/分での示差走査熱分析における加熱により、26.5〜29.5℃の融点およびアルカン混合物120J/gの変形エンタルピーを示した。≦4μmのカプセルの割合は、3%であった。
【0089】
例2(本発明によらない)
マイクロカプセルを例1と同様の方法を用いて製造したが、但し、水中のSiO2の30%濃度コロイド状分散液(pH9.8、平均粒度19nm、光散乱による数平均;Ludox(R) HS、デュポン社)263g、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−Na塩59%、アクリル酸20%、メタクリレート20%およびスチレン1%(K値69)から成るポリマーの20%濃度水溶液10.1gをメチルセルロースの代わりに使用した点が異なる。生じたマイクロカプセル分散液は、固体含量46.5%および平均粒度D(4.3)=9.1μmを有していた。≦4μmのカプセルの割合は、30%であった。
Claims (16)
- コア材料としての1種以上の親油性物質と、カプセルシェルとしてのポリマーを含むマイクロカプセルにおいて、前記マイクロカプセルは、
−モノマーの全質量に対して、アクリル酸および/またはメタクリル酸の1種以上のC1〜C24−アルキルエステル(モノマーI)30〜95質量%
−モノマー全質量に対して、水に不溶性または僅かにだけ溶解性である二官能性または多官能性モノマー(モノマーII)5〜60質量%および
−モノマーの全質量に対して、他のモノマー(モノマーIII)0〜40質量%、
親油性物質および60〜1000nmの平均粒度の無機固体粒子を含む水中油エマルションのラジカル重合により得られる、マイクロカプセル。 - 無機固体粒子は、高分散性ケイ酸、ピロリン酸マグネシウムおよびリン酸三カルシウムを含む群から選択される、請求項1に記載のマイクロカプセル。
- 無機固体粒子は、高分散性ケイ酸である、請求項2に記載のマイクロカプセル。
- 無機固体粒子は、60〜500nmの平均粒度を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
- 無機固体粒子は、60〜200nmの平均粒度を有する、請求項4に記載のマイクロカプセル。
- 水中油エマルションは、さらに非電荷の保護コロイドを含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
- 水中油エマルションは、0.5〜100μmの平均液滴サイズを有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
- 平均液滴サイズは1〜30μmである、請求項7に記載のマイクロカプセル。
- 親油性物質は、その固体/液体相転移を−20〜120℃の温度範囲内に有している、請求項1から8までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
- 請求項1から9までのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製法において、
−モノマーの全質量に対して、アクリル酸および/またはメタクリル酸の1種以上のC1〜C24−アルキルエステル(モノマーI)30〜95質量%、
−モノマー全質量に対して、水に不溶性または僅かにだけ溶解性である二官能性または多官能性モノマー(モノマーII)5〜60質量%および
−モノマーの全質量に対して、他のモノマー(モノマーIII)0〜40質量%、
親油性物質および60〜1000nmの平均粒度の無機固体粒子を含む水中油エマルションをラジカル重合し、かつ場合により噴霧乾燥する、マイクロカプセルの製法。 - 水中油エマルションを、クエン酸、ギ酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸およびアミドスルホン酸から成る群から選択される酸により調節された2〜6の範囲内のpHで製造する、請求項10に記載の方法。
- 無機固体粒子は、高分散性ケイ酸である、請求項10または11に記載の方法。
- 水中油エマルションは、0.5〜100μmの平均液滴サイズを有する、請求項10から12までのいずれか1項に記載の方法。
- 平均液滴サイズは1〜30μmである、請求項13に記載の方法。
- 結合建築材料、テキスタイルまたは石膏ボードにおける、請求項1から9までのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの使用。
- 石膏ボードの質量に対して請求項1から9までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル5〜40質量%を含有する石膏ボード。
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