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JP5187300B2 - 炭化珪素単結晶の製造装置 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造装置 Download PDF

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JP5187300B2 JP2009259235A JP2009259235A JP5187300B2 JP 5187300 B2 JP5187300 B2 JP 5187300B2 JP 2009259235 A JP2009259235 A JP 2009259235A JP 2009259235 A JP2009259235 A JP 2009259235A JP 5187300 B2 JP5187300 B2 JP 5187300B2
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Description

本発明は、パワーMOSFET等の素材に利用することができる炭化珪素(以下、SiCという)単結晶の製造装置に関するものである。
従来より、例えば、特許文献1には、容器本体の上面開口部が蓋体で塞がれると共に容器本体内にSiC原料が配置されており、蓋体の下面から突出させた種結晶支持部に種結晶を固定するSiC単結晶の製造装置が開示されている。このような製造装置では、蓋体の下面中央に形成させた台座に種結晶を固定させることにより、種結晶から成長する単結晶と、台座の周辺に付着する多結晶が接触するタイミングを遅らせ、単結晶の口径を拡大させながら成長するように工夫されている。
しかしながら、特許文献1に記載の製造装置では、単結晶と多結晶とが接触するタイミングを遅らせることが可能であるものの、成長が進むと最終的には単結晶と多結晶が接触するため、それ以上の単結晶の口径拡大および長尺成長が阻まれるという不具合があった。また、単結晶に多結晶が接触すると、その界面から単結晶に向かって歪みが導入されたり、マクロ欠陥と呼ばれる欠陥が発生したりすることは周知のことである。
そこで、例えば、特許文献2には、容器本体の側壁に、中空部を有する筒状部材であって、SiC原料側に向かって径が広くなるテーパ形状のガイド部材を備えたSiC単結晶の製造装置が開示されている。このような製造装置では、ガイド部材により、SiC原料からの昇華ガスの流れを種結晶に導くことによって単結晶の成長を優勢に起こし、台座の周辺に多結晶が付着することを遅らせることができる。すなわち、単結晶と多結晶との分離状態を長く続けて単結晶を成長させることが可能である。
しかしながら、特許文献2に記載のSiC単結晶の製造装置では、単結晶の成長が進むと、次のような問題がある。すなわち、ガイド部材のうち種結晶側の端部では、単結晶の成長が進むと、容器本体の軸方向において、SiC原料との間に単結晶が位置することになり、SiC原料からの輻射熱が成長した単結晶により妨げられて温度が低下することになる。また、単結晶が成長することにより種結晶は温度が低下するため、ガイド部材のうち種結晶側の端部では、種結晶の温度低下に伴って温度が低下することになる。つまり、単結晶の成長が進むことにより、ガイド部材における種結晶側の端部の温度は低下していき、これに伴ってガイド部材の温度勾配が変化することになる。具体的には、ガイド部材のうち種結晶側の端部とSiC原料側の端部との間の中間部の温度が下がることになる。反対に、単結晶は成長するほど成長表面がSiC原料に近づくことになるため、成長表面の温度が高くなる。
そして、単結晶の成長が進むことにより、ガイド部材のうち単結晶の成長表面近傍の部分の温度が当該成長表面の温度付近にまで低下すると、ガイド部材の内壁面には多結晶が付着(成長)することになる。すると、ガイド部材の内壁面に付着した多結晶が単結晶と接することにより、単結晶の口径拡大が阻害されると共に、単結晶に欠陥や歪みが導入されることになる。
そこで、例えば、特許文献3には、ガイド部材の側壁を貫通する透孔を形成することが開示されている。これにより、ガイド部材の内壁面近傍に位置する昇華ガスは透孔を介してガイド部材の外壁面へと流れるため、内壁面近傍での昇華ガスの濃度を下げることができ、ガイド部材の内壁面に多結晶が成長することが抑制される。
特開平10−36195号公報 特開2002−60297号公報 特開2008−222549号公報
しかしながら、特許文献3に記載のSiC単結晶の製造装置では、内壁面近傍での昇華ガスの濃度を下げることにより、内壁面に付着する多結晶の量を減少させることはできるものの、内壁面に多結晶が付着すること自体を十分に抑制することはできない。
すなわち、ガイド部材に透孔を形成することにより、透孔を形成しない場合と比較して、ガイド部材の内部における熱の移動を抑制することはできる。具体的には、透孔を形成しない場合と比較して、ガイド部材のうち透孔が形成されている部分よりSiC原料側の部分では、透孔により熱の移動が妨げられるため、ガイド部材のうちの種結晶側の端部の温度が低下したとしても温度が低下しにくくなる。しかしながら、透孔は昇華ガスを内壁面側から外壁面側へと流すためのものであるため、ガイド部材の内部における熱の移動を十分に抑制することができない。
したがって、特許文献3に記載のSiC単結晶の製造装置においても、ガイド部材の内壁面に多結晶が付着するという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、結晶の品質を保ちつつ、さらに口径拡大や長尺化した単結晶を得ることのできるSiC単結晶の製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、容器本体(10)のうち種結晶(23)とSiC原料(30)との間には、中空部を有する筒状部材であって、内壁にて、昇華ガスを種結晶(23)へ導くと共に、SiC単結晶(22)の成長空間を構成するガイド部(40)が配置されており、ガイド部(40)は、中空部を有する筒部(41a〜44a)を備えたガイド部材(41〜44)が容器本体(10)の軸方向に複数積層されることにより構成されており、複数のガイド部材(41〜44)における各ガイド部材(41〜44)の両端面をそれぞれ先端面として、複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)の相対する先端面のうち、いずれか一方のガイド部材の先端面には他方のガイド部材の先端面に向かって突出する複数の突出部が周方向に離間して備えられており、種結晶(23)側のガイド部材は、SiC原料(30)側のガイド部材に突出部を介して積層されていることを特徴としている。
このようなSiC単結晶の製造装置では、ガイド部(40)が複数のガイド部材(41〜44)を有した構成とされており、各ガイド部材(41〜44)は突出部を介して積層されている。このため、各ガイド部材(41〜44)の間の熱の移動は突出部を介してのみ行われることになり、各ガイド部材(41〜44)の間で熱が移動することを抑制することができる。また、ガイド部材(41〜44)は、突出部を介して積層されており、突出部と、当該突出部が接触する部分との間には熱抵抗が発生する。この熱抵抗によっても、各ガイド部材(41〜44)の間を熱が移動することを抑制することができる。
したがって、積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)において、種結晶(23)側のガイド部材の温度が低下したとしても、SiC原料(30)側のガイド部材は、当該種結晶(23)側のガイド部材の温度変化の影響を受け難くすることができる。すなわち、SiC原料(30)側のガイド部材の温度を維持することができるため、当該ガイド部材に多結晶が付着することを抑制することができる。そして、ガイド部(40)に多結晶が付着することを抑制することができるため、結晶の品質を保ちつつ、さらにSiC単結晶(22)の口径拡大および長尺成長をさせるようにすることができる。
例えば、請求項2に記載の発明のように、複数のガイド部材(41〜44)それぞれにおいて、筒部(41a〜44a)の壁面の厚さを1mm以上10mm以下とするのがよい。
また、請求項3に記載の発明のように、複数のガイド部材(41〜44)において、それぞれSiC原料(30)側の端部を一端部、種結晶(23)側の端部を他端部、一端部の先端面を一端面、他端部の先端面を他端面とし、以下のように構成するのがよい。
すなわち、複数のガイド部材(41〜44)のうち最も種結晶(23)側に位置するガイド部材(41)において、種結晶(23)の成長面を基準面とし、当該ガイド部材(41)の一端面が基準面からxの位置にあるとし、ガイド部材(41)の他端面と種結晶(23)との間の軸方向の距離をhとし、当該ガイド部材(41)における容器本体(10)の軸方向の長さ(x−h)を、SiC単結晶(22)が種結晶(23)に成長し始めるときの当該種結晶(23)の温度をTe、種結晶(23)にSiC単結晶(22)が容器本体(10)の軸方向に成長したときの単位長さあたりの温度上昇量をTdとし、種結晶(23)にSiC単結晶(22)を成長させる前のガイド部材(41)において容器本体(10)の軸方向における単位長さあたりの温度上昇量をTa、ガイド部材(41)のうち、SiC単結晶(22)が成長し、容器本体(10)の軸方向においてSiC原料(30)との間にSiC単結晶(22)が位置する部分の温度上昇量Taに対する減少量をTb、SiC単結晶(22)が成長し始めるときのガイド部材(41)の他端部の温度をTh、SiC単結晶(22)が単位長さ成長することよるガイド部材(41)の他端部の温度下降量をTcとし、SiC単結晶(22)における外周側面のうち最もSiC原料(30)側の端部が、容器本体(10)の軸方向において、ガイド部材(41)における一端面のうちの最も内側の部分と重なるまで成長したとき、Te+Td・(x)<{Th−Tc・(x)}+(Ta−Tb)・(x−h)を満たす長さとするのがよい。
また、複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)において、種結晶(23)側のガイド部材における一端面を基準面とし、SiC原料(30)側のガイド部材の一端面が基準面からxの位置にあるとし、種結晶(23)側のガイド部材における他端面とSiC原料(30)側のガイド部材における一端面との間の容器本体(10)の軸方向の距離をhとし、SiC原料(30)側のガイド部材における容器本体(10)の軸方向の長さ(x−h)を、SiC単結晶(22)における外周側面のうち最もSiC原料(30)側の端部が種結晶(23)側のガイド部材における一端面まで成長したときの当該端部の温度をTe、種結晶(23)にSiC単結晶(22)が容器本体(10)の軸方向に成長したときの単位長さあたりの温度上昇量をTdとし、種結晶(23)にSiC単結晶(22)を成長させる前のSiC原料(30)側のガイド部材において容器本体(10)の軸方向における単位長さあたりの温度上昇量をTa、SiC原料(30)側のガイド部材のうち、SiC単結晶(22)が成長し、容器本体(10)の軸方向においてSiC原料(30)との間にSiC単結晶(22)が位置する部分の温度上昇量Taに対する減少量をTb、SiC単結晶(22)が成長し始めるときのSiC原料(30)側のガイド部材における他端部の温度をTh、SiC単結晶(22)が単位長さ成長することよるSiC原料(30)側の他端部の温度下降量をTcとし、SiC単結晶(22)における外周側面のうち最もSiC原料(30)側の端部が、容器本体(10)の軸方向において、SiC原料(30)側のガイド部材における一端面のうちの最も内側の部分と重なるまで成長したとき、Te+Td・(x)<{Th−Tc・(x)}+(Ta−Tb)・(x−h)を満たす長さとするのがよい。
このような製造装置では、最も種結晶(23)側に位置するガイド部材(41)の軸方向の長さは、SiC単結晶(22)の外周側面のうちSiC原料(30)側の端部が当該ガイド部材(41)の一端部まで成長したとしても、SiC単結晶(22)の当該端部の温度よりガイド部材(41)の一端部の温度の方が高くなる長さとされているため、さらにガイド部材(41)に多結晶が付着することを抑制することができる。同様に、積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)においても、SiC原料(30)側のガイド部材の軸方向の長さは、SiC単結晶(22)の外周側面のうちSiC原料(30)側の端部がこのガイド部材の一端部まで成長したとしても、SiC単結晶(22)の当該端部の温度よりガイド部材の一端部の温度の方が高くなる長さとされているため、さらにガイド部材に多結晶が付着することを抑制することができる。
また、請求項4に記載の発明のように、請求項3に記載の発明において、積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)の相対する先端面のうち、突出部が備えられる一方のガイド部材における先端面は、突出部がないとした場合における当該先端面の面積をSa、突出部のうち他方のガイド部材の先端面と接触する面積をSrとすると、Sr/Sa×100[%]≦10[%]であるように構成している。Sr/Sa×100[%]≦10[%]を満たすように、突出部が備えられるガイド部材を構成することにより、さらに、ガイド部材に多結晶が付着することを抑制することができる。
また、請求項5に記載の発明のように、突出部を、筒部(41a〜44a)よりも熱伝導率の低い材質で構成することができる。さらに、請求項6に記載の発明のように、複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)の相対する先端面の間に、当該二つのガイド部材(41〜44)よりも熱伝導率の低い材質で構成された中間部材(60)を配置することができる。
これらのような製造装置では、相対する先端面の間に、筒部(41a〜44a)よりも熱伝導率の低い材質が配置されているため、さらに、ガイド部材(41〜44)の間で熱が移動することを抑制することができる。
そして、請求項7に記載の発明のように、複数のガイド部材(41〜44)における最も種結晶(23)側に位置するガイド部材(41)を、種結晶(23)側の他端部が種結晶(23)、蓋体(20)、容器本体(10)のいずれとも接触せず、かつ当該他端部と種結晶(23)との間の容器本体(10)の軸方向の距離が1mm以上10mm以下なるように配置することができる。同様に、請求項8に記載の発明のように、複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)の相対する先端面において、当該相対する先端面の間の容器本体(10)の軸方向の距離を1mm以上10mm以下とすることもできる。
さらに、請求項9に記載の発明のように、種結晶(23)を円板状とし、複数のガイド部材(41〜44)における最も種結晶(23)側に位置するガイド部材(41)を、種結晶(23)側の他端部の内径をD、種結晶(23)側の他端部と種結晶(23)との間の容器本体(10)の軸方向の距離をh、種結晶(23)の径をAとすると、A+2(h・tan60°−10)≦Da≦A+2h・tan60°を満たすようにすることができる。
このような製造装置では、ガイド部材(41)の他端部の内径をA+2h・tan60°以下にしているため、種結晶(23)とガイド部材(41)の他端面との間において、SiC単結晶(22)の外周側面に欠陥が発生しても、ネッキング効果により当該欠陥が成長方向に伝播することを抑制することができる。
また、請求項10に記載の発明のように、複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)において、種結晶(23)側のガイド部材のうち、種結晶(23)側の他端部の内径をDa+1、容器本体(10)の軸方向に対するガイド部材の内壁面の傾きをθ、ガイド部材の容器本体(10)の軸方向の長さをHとし、SiC原料(30)側のガイド部材のうち、種結晶(23)側の他端部の内径をDa+2、容器本体(10)の軸方向に対するガイド部材の内壁面の傾きをθa+1、ガイド部材の容器本体(10)の軸方向の長さをHa+1とし、当該二つのガイド部材における相対する二つの先端面の間の容器本体(10)の軸方向の長さをhとすると、SiC原料(30)側に位置するガイド部材の他端部の内径Da+2を、Da+1≦Da+2≦(Da+1+2H・tanθ)+2(h+Ha+1)tan60°−2Ha+1・tanθa+1を満たすようにすることができる。
また、請求項11に記載の発明のように、ガイド部(40)を、黒鉛を有する構成とし、内壁面を高融点金属素材を有して構成されるインナーガイド(50)で覆うことができる。さらに、請求項12に記載の発明のように、複数のガイド部材(41〜44)それぞれを、黒鉛を有する構成とし、筒部(41a〜44a)の内壁面をそれぞれ高融点金属素材を有して構成されるインナーガイド(50a〜50d)で覆い、当該内壁面に配置されるインナーガイド(50a〜50d)それぞれを、互いに離間して配置することができる。
このような製造装置では、ガイド部(40)またはガイド部材(41〜44)の内壁からカーボン粉等が昇華してSiC単結晶(22)の内部に混入することを抑制することができ、SiC単結晶(22)の品質が劣化することを抑制できる。
この場合、請求項13に記載の発明のように、請求項11または12に記載の発明において、インナーガイド(50、50a〜50d)を、厚さが0.1mm以上1mm以下とすることができる。
さらに、請求項14に記載の発明のように複数のガイド部材(41〜44)それぞれを、容器本体(10)の軸方向に対する内壁面の傾きが、0°以上60°以下とすることができる。
また、請求項15に記載の発明のように、複数のガイド部材(41〜44)のうちの少なくとも一つのガイド部材を、種結晶(23)側からSiC原料(30)側に向かって内径を一定とすることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面構成を示した図である。 図1に示すガイド部材の斜視図である。 (a)は、SiC単結晶の成長前における種結晶、および成長中のSiC単結晶と種結晶を示した模式図であり、(b)はSiC単結晶の成長前における種結晶とガイド部材、および成長中のSiC単結晶、種結晶、ガイド部材を示した模式図である。 SaとSrとの比と、ガイド部材に多結晶が付着したか否かを示す図である 図1に示す二点鎖線部分の拡大図である。 本発明の第2実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面構成を示した図である。 本発明の第3実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面構成を示した図である。 図7に示す二点鎖線部分の模式図である。 本発明の第4実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面構成を示した図である。 本発明の第5実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面構成を示した図である。 本発明の第6実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面構成を示した図である。 本発明の第7実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の相対するガイド部材の端部を示す拡大図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置の断面構成を示した図であり、この図に基づいて説明する。
図1に示されるように、SiC単結晶製造装置は、有底円筒状の容器本体10と、当該容器本体10の開口部を蓋閉めする円形状の蓋体20と、によって構成された黒鉛製の坩堝1を備えている。そして、容器本体10の底部には、SiCからなる粉末原料30が充填されている。なお、本実施形態では、粉末原料30が本発明の炭化珪素原料に相当している。
蓋体20は、下面中央部に、周囲の他の部位よりも下方に突出した円柱状の種結晶支持部21を備えている。この種結晶支持部21は、例えば、蓋体20と一体的に形成されることにより備えられる。そして、種結晶支持部21の下面には、種結晶支持部21と同径であり、SiC単結晶22を成長させるためのSiC単結晶基板からなる円板状の種結晶23が接着(接合固定)されている。この種結晶23は、一面が種結晶支持部21に接着されており、当該一面と反対側の一面がSiC単結晶22の成長面とされている。すなわち、本実施形態では、この成長面に対する法線方向(図1中紙面下方向)が結晶成長方向となり、種結晶23の成長面から下方に向かってSiC単結晶22が成長する。なお、本実施形態においては、種結晶23として4H−SiCが用いられている。
容器本体10には、種結晶23と粉末原料30との間に、中空部を有する筒状部材であって、内壁にて、昇華ガスを種結晶23へ導くと共に、SiC単結晶22の成長空間を構成するガイド部40が配置されている。
具体的には、ガイド部40は、黒鉛等を用いて構成される筒状のガイド部材41〜44が、容器本体10の軸方向(以下、単に軸方向という)に複数積層されることにより構成されている。
以下、ガイド部40について説明するが、各ガイド部材41〜44において、粉末原料30側の端部を一端部、種結晶23側の端部を他端部とし、各ガイド部材41〜44の両端面をそれぞれ先端面、一端部の先端面を一端面、他端部の先端面を他端面として説明する。
図2は、ガイド部材41の斜視模式図であり、ガイド部材42、43の斜視模式図も同様である。また、ガイド部材44は、詳しくは後述するが、ガイド部材41〜43に備えられる突出部の代わりにフランジが備えられていること以外はガイド部材41〜43と同様である。
図1および図2に示されるように、各ガイド部材41〜44は、それぞれ中空部を有する筒部41a〜44aを備え、他端部から一端部に向かって径が広くなるテーパ形状とされている。なお、種結晶23にSiC単結晶22を成長させる場合には、軸方向に対するSiC単結晶22の口径角度の最大が60°であるため、各ガイド部材41〜44の軸方向に対する内壁面の角度(テーパ角)は60°以下であることが好ましい。
さらに、各ガイド部材41〜44は、壁面の厚さが1〜10mmの範囲のものが用いられている。これは以下の理由による。すなわち、各ガイド部材41〜44は、厚さが薄いものほど輻射熱により加熱されやすいために厚さが薄いものほど好ましいが、厚さが1mm未満となると黒鉛の形状加工が困難になると共に、SiC単結晶22を成長させている最中に昇華してしまう可能性がある。また、厚さが10mmを超えると、輻射熱による加熱効果が厚みにより分散されるため、高温になりにくくなる。したがって、各ガイド部材41〜44は、加熱されやすいと共に黒鉛の形状加工が困難にならず、かつ、成長中に昇華することを抑制することができる厚さにすることが好ましく、本実施形態では、壁面の厚さを2mmとしている。
また、積層方向に隣接する二つのガイド部材(本実施形態では、ガイド部材41とガイド部材42、ガイド部材42とガイド部材43、およびガイド部材43とガイド部材44)の相対する先端面のうち、いずれか一方のガイド部材の先端面には他方のガイド部材の先端面に向かって突出する複数の突出部が周方向に離間して備えられている。そして、これら二つのガイド部材41〜44のうち、種結晶23側のガイド部材は、SiC原料30側のガイド部材に突出部を介して積層されている。
具体的には、ガイド部材41の一端面とガイド部材42の他端面とのうち、ガイド部材41の一端面に複数の突出部41bが周方向に離間して備えられている。また、ガイド部材42の一端面とガイド部材43の他端面とのうち、ガイド部材42の一端面に複数の突出部42bが周方向に離間して備えられ、ガイド部材43の一端面とガイド部材44の他端面のうち、ガイド部材43の一端面に複数の突出部43bが周方向に備えられている。そして、図1に示されるように、ガイド部材41は、ガイド部材42の他端部側に突出部41bを介して積層されている。同様に、ガイド部材42はガイド部材43の他端部側に突出部42bを介して積層され、ガイド部材43もガイド部材44の他端部側に突出部43bを介して積層されている。
なお、これらガイド部材41〜44は、突出部41b〜43bを介して積層されているのみであり、突出部41b〜43bを介して互いに接合されているわけではなく、分離可能な状態とされている。また本実施形態では、図1に示されるように、これら突出部41b〜43bは、ガイド部材42の他端部の内径がガイド部材41の一端部の内径と等しくされ、ガイド部材43の他端部の内径がガイド部材42の一端部の内径と等しくされ、ガイド部材44の他端部の内径がガイド部材43の一端部の内径と等しくされているため、軸方向と平行な方向に突出している。
また、ガイド部材44は、図1に示されるように、一端部にフランジ44bを備えており、当該フランジ44bにて容器本体10に形成されている段差部11に保持されている。これにより、ガイド部材41〜44を有して構成されるガイド部40が、容器本体10に固定されることになる。
さらに、図1に示されるように、種結晶23に最も近いガイド部材41は、他端部が種結晶23、蓋体20および容器本体10のいずれとも接触しないように配置されている。これにより、ガイド部材41の他端部がいずれかの部位と接触している場合と比較して、ガイド部材41の熱が各部位に伝達されることを抑制することができ、温度が低下することを抑制することができる。
また、より好ましくは、種結晶23と、ガイド部材41の他端面との間の軸方向の距離を1mm以上10mm以下とするのがよい。すなわち、種結晶23とガイド部材41との軸方向の距離が1mm未満であると、種結晶23とガイド部材41との温度差が付きにくくなり、10mmより大きいとSiC単結晶22の自然拡大成長の形状による応力により歪みや亀裂が発生しやすくなるためである。同様に、各ガイド部材41〜44の相対する先端面の間の軸方向の距離についても1mm以上10mm以下とするのが好ましい。
次に、各ガイド部材41〜44の軸方向の長さについて説明する。まず、種結晶23に最も近いガイド部材41の軸方向の長さについて説明する。図3(a)は、SiC単結晶22の成長前における種結晶23、および成長中のSiC単結晶22と種結晶23を示した模式図であり、図3(b)はSiC単結晶22の成長前における種結晶23とガイド部材41、および成長中のSiC単結晶22、種結晶23、ガイド部材41を示した模式図である。なお、図3(b)中のハッチング部分は、ガイド部材41のうち輻射熱がSiC単結晶22により妨げられる領域を示している。
図3(a)に示されるように、種結晶23の成長面を基準面とし、SiC単結晶22が種結晶23に成長し始めるときの種結晶23の温度をTe、SiC単結晶22が軸方向に成長したときの単位長さあたりの温度上昇量をTdとすると、基準面からxの位置にある外周側面の温度は基準面よりTd・(x)高くなるため、SiC単結晶22の外周側面のうち基準面からxの位置にある部分の温度Tfは、次のように表すことができる。
(式1)
Tf=Te+Td・(x)
また、図3(b)に示されるように、ガイド部材41のうち軸方向において粉末原料30との間にSiC単結晶22が位置する部分における最も一端部側の部位、つまり図3(b)中の基準面からxの距離に位置する部位の温度Tgは次のように示される。
まず、種結晶23の成長面を基準面とし、ガイド部材41の他端面と種結晶23の成長面との間の軸方向の距離をhとする。また、ガイド部材41のうち他端部からxの距離までの部分は、SiC単結晶22成長前のガイド部材41において軸方向における単位長さあたりの温度上昇量をTaとする。そして、SiC単結晶22成長中は、SiC単結晶22により輻射熱が妨げられるため、これによる温度上昇量の減少量をTbとすると、単位長さあたりの温度上昇量を(Ta−Tb)とすることができる。したがって、SiC単結晶22が図3(b)のように成長しているとき、ガイド部材41のうち種結晶23からxの距離に位置する部位の温度は、他端部からxの部位までの距離が(x−h)であるため、他端部の温度より(Ta−Tb)・(x−h)だけ高くなる。
そして、SiC単結晶22が種結晶23に成長し始めるときのガイド部材41の他端部の温度は、当該他端部が種結晶23より粉末原料30側に近いため、Teより温度が高いThとすることができる。また、ガイド部材41の他端部は、SiC単結晶22成長中において、SiC単結晶22が成長することに伴って種結晶23の温度が低下することにより、種結晶23の温度低下に伴って低下する。したがって、ガイド部材41の他端部の温度は、SiC単結晶22が単位長さ成長することによる温度下降量をTcとすると、SiC単結晶22のうちの成長表面近傍が成長面からx成長した場合には、{Th−Tc・(x)}と表される。
以上より、ガイド部材41のうち基準面からxの距離に位置する部位の温度Tgは次式のように表せる。
(式2)
Tg={Th−Tc・(x)}+(Ta−Tb)・(x−h
ここで、Tgが低下してTfに近づくとガイド部材41の内壁面に多結晶が付着する事になるため、Tf<Tgとなるxの位置にガイド部材41の一端面が位置していればガイド部材41に多結晶が付着する事を抑制できることになる。すなわち、種結晶23にSiC単結晶22が軸方向に成長し、外周側面のうち最も粉末原料30側の端部が軸方向においてガイド部材41における一端面のうちの最も内側の部分と重なるときの基準面からxの位置にある外周側面の温度に対して、ガイド部材41の一端面の温度が高くなるようにガイド部材41の軸方向の長さを設定することにより、ガイド部材41に多結晶が付着することを抑制できる。したがって、ガイド部材41の軸方向の長さ(x−h)は次式を満たす長さとされている。
(式3)
Te+Td・(x)<{Th−Tc・(x)}+(Ta−Tb)・(x−h
同様に、ガイド部材42〜44は、軸方向の長さが次のようにされている。例えば、ガイド部材42においては、ガイド部材41における一端面を基準面とし、上記(式1)〜(式3)において、上記Teの代わりに、SiC単結晶22における外周側面のうち最も粉末原料30側の端部がガイド部材41の一端面まで成長したときの当該端部の温度をTe、上記hの代わりに、ガイド部材42の他端面とガイド部材41の一端面との間の軸方向の距離をhとする。そして、(Ta−Tb)の代わりに、ガイド部材42の単位長さあたりの温度上昇量を(Ta−Tb)、Tcの代わりに、SiC単結晶22が単位長さ成長することによるガイド部材42の他端部の温度下降量をTc、SiC単結晶22が種結晶23に成長し始めるときのガイド部材41の他端部の温度をTh(Th>Te)とする。したがって、ガイド部材41と同様に、ガイド部材42は、次式に示すxを満たす位置にガイド部材42の一端面が位置しており、軸方向の長さ(x−h)は次式を満たす長さとされている。
(式4)
Te+Td・(x)<{Th−Tc・(x)}+(Ta−Tb)・(x−h
さらに、ガイド部材43、44においても上記(式4)を満たす(x−h)が軸方向の長さとされている。なお、ガイド部材43においてはガイド部材42の一端面を基準面とし、ガイド部材44においてはガイド部材43の一端面を基準面とし、ガイド部材43、44の単位長さあたりの温度上昇量を適宜置き換えることにより、上記(式4)と同様の関係が成立する。
また、ガイド部材41は、突出部41bが備えられる一端面において、突出部41bを備えないとしたときの一端面の面積をSa、突出部41bのうちガイド部材42の他端面と接触する面積をSrとすると、次のように構成されている。図4は、SaとSrとの比と、ガイド部材41に多結晶が付着したか否かを示す図である。図4に示されるように、少なくともSr/Sa×100[%]≦10[%]の場合に、ガイド部材41に多結晶の付着を抑制できたことから、本実施形態では、Sr/Sa×100[%]≦10[%]となるようにガイド部材41が構成されている。同様に、ガイド部材42、43においても、上記Sr/Sa×100[%]≦10[%]となるように構成されている。
さらに、ガイド部材41は他端部の内径が次のように構成されている。図5は、図1に示す二点鎖線部分の拡大図である。図5に示されるように、ガイド部材41は、種結晶23の径をA、種結晶23と他端面との間の軸方向の距離をh、他端部の内径をDとすると、A+2(h・tan60°−10)≦D≦A+2h・tan60°を満たす内径とされている。これは、以下の理由によるものである。
すなわち、種結晶23からSiC単結晶22を自然に口径拡大させながら成長させた場合には、SiC単結晶22の外周側面における軸方向の傾きは60°となるため、SiC単結晶22における種結晶23からh離れた位置の径はA+2h・tan60°と表される。したがって、ガイド部材41の他端部の内径をA+h・tan60°以下にすることにより、ネッキング効果を得ること、つまりSiC単結晶22の外周側面に発生する欠陥が成長方向に伝播することを抑制することができる。
しかしながら、ガイド部材41の他端部の内径をA+h・tan60°以下にすることによりネッキング効果を得ることができるが、内径をあまり小さくしすぎると、その後にSiC単結晶22の口径を拡大することが難しくなる。また、SiC単結晶22を自然に口径拡大させながら成長させた場合には、SiC単結晶22の外周側面から軸方向に向かって約10mmの範囲に欠陥が導入されやすいことが知られている。したがって、本実施形態では、Dの最小内径をA+2(h・tan60°−10)としている。以上、説明したように、本実施形態のSiC単結晶の製造装置が構成されている。
次に、このようなSiC単結晶の製造装置を用いてSiC単結晶22を製造する方法について説明する。
まず、容器本体10に粉末原料30を配置すると共に、蓋体20の種結晶支持部21に種結晶23を接着剤等により接合する。そして、容器本体10に蓋体20を取り付ける。
続いて、坩堝1を図示しない加熱チャンバに設置し、図示しない排気機構を用いてガス排出を行うことで、坩堝1内を含めた加熱チャンバ内を真空にし、抵抗加熱ヒータに通電することで加熱し、その輻射熱により坩堝1を加熱することで坩堝1内を所定温度にする。このとき、各抵抗加熱ヒータへの電流値(電圧値)を異ならせることにより、ヒータで温度差が発生させられる加熱を行えるようにしている。
その後、加熱チャンバ内に、例えば、不活性ガス(Arガス等)や水素、結晶へのドーパントとなる窒素などの混入ガスを流入させる。この不活性ガスは排気配管を介して排出される。種結晶23の成長面の温度および粉末原料30の温度を目標温度まで上昇させるまでは、加熱チャンバ内は大気圧に近い雰囲気圧力にして粉末原料30からの昇華を抑制し、目標温度になったところで、真空雰囲気とする。本実施形態では、SiC単結晶22が4H−SiCであるため、粉末原料30の温度を2100〜2300℃とし、成長結晶表面の温度をそれよりも10〜200℃程度低くして、真空雰囲気は1.33Pa〜6.67kPa(0.01〜50Torr)とする。
このようにして、粉末原料30を加熱することで粉末原料30が昇華し、粉末原料30から昇華ガスが発生する。この昇華ガスは、ガイド部40の内壁に沿って上昇して種結晶23に供給され、種結晶23にSiC単結晶22が拡大成長していく。このとき、昇華ガスは、種結晶23の表面やSiC単結晶22の成長表面だけでなく、蓋体20の下面や種結晶支持部21の側壁にも供給される。このため、図1に示されるように、蓋体20の表面や種結晶支持部21の側壁にSiC多結晶24が成長する。
なお、上記のようにガイド部40は複数のガイド部材41〜44が突出部41b〜43bを介して積層されることにより構成されているため、SiC単結晶22の成長時に、各ガイド部材41〜44の間を熱が移動することが抑制される。例えば、SiC単結晶22がガイド部材41の一端部まで成長し、ガイド部材41への輻射熱がSiC単結晶22によって妨げられる事等によりガイド部材41の温度が低下したとしても、ガイド部材41とガイド部材42との熱の移動は突出部41bを介してのみ行われるため、ガイド部材42の温度がガイド部材41の温度低下に伴って低下することを抑制することができる。すなわち、ガイド部材42のうちSiC単結晶22における成長表面近傍の部分の温度が当該成長表面の温度付近にまで低下することを抑制することができ、ガイド部材42に多結晶が付着することを抑制することができる。また、ガイド部材43、44においても同様である。
以上説明したように、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置では、ガイド部40が複数のガイド部材41〜44を有した構成とされており、各ガイド部材41〜44は突出部41b〜43bを介して積層されている。このため、各ガイド部材41〜44の間の熱の移動は突出部41b〜43bを介してのみ行われることになり、各ガイド部材41〜44の間で熱が移動することを抑制することができる。
具体的には、ガイド部を一つの筒状部材で構成している従来の製造装置と比較すると、例えば、ガイド部材42は、SiC単結晶22が成長して輻射熱が妨げられる事等によりガイド部材41の温度が低下したとしても、ガイド部材41の温度変化の影響を受け難くすることができる。そして、従来のガイド部のうちガイド部材42と対応する部分よりも高温状態を維持することができる。このため、従来の製造装置より、ガイド部40に多結晶が付着することを抑制することができ、結晶の品質を保ちつつ、さらにSiC単結晶22の口径拡大および長尺成長をさせるようにすることができる。もちろん、ガイド部材43、44においても、従来のガイド部のうちガイド部材43、44と対応する部分よりも高温状態を維持することができ、同様の効果を得ることができる。
また、各ガイド部材41〜44は、突出部41b〜43bを介して積層されている(接合されていない)ため、突出部41b〜43bと、当該突出部41b〜43bが接触する先端面との間には熱抵抗が発生している。このため、例えば、一つのガイド部において透孔を形成した従来の製造装置と比較すると、例えば、ガイド部材42は、ガイド部材41の温度が低下したとしも熱抵抗によりさらに熱の移動が抑制されるため、従来のガイド部のうちガイド部材42と対応する部分より高温状態を維持することができる。したがって、従来の透孔を有する製造装置と比較しても、ガイド部材42に多結晶が付着することを抑制することができる。もちろん、ガイド部材43、44においても、従来のガイド部のうちガイド部材43、44と対応する部分よりも高温状態を維持することができ、同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、各ガイド部材41〜44の軸方向の長さは、上記(式3)または(式4)を満たす長さとされている。これにより、各ガイド部材41〜44は、SiC単結晶22の外周側面のうち粉末原料30側の端部がガイド部材41〜44の一端部まで成長したとしても、ガイド部材41〜44の一端部の温度をSiC単結晶22の当該端部の温度より高くすることができる。したがって、さらにガイド部材41〜44に多結晶が付着することを抑制することができる。
また、突出部41b〜43bを備えるガイド部材41〜43が、Sr/Sa×100[%]≦10[%]となるように構成されていることによっても、ガイド部材41〜44に多結晶が付着することを抑制することができる。
さらに、ガイド部材41の他端部の内径をA+2h・tan60°以下にしているため、SiC単結晶22の外周側面に欠陥が発生しても、ネッキング効果により当該欠陥が成長方向に伝播することを抑制することができる。
また、このようなSiC単結晶の製造装置では、容器本体10にガイド部材41〜43を保持する段差部等を形成する必要はなく、容器本体10の加工コストが増加することもない。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶の製造装置は、第1実施形態に対して、ガイド部材42〜44の内径を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図6は、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置の断面構成を示す図である。
図6に示されるように、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置では、各ガイド部材41〜44は同一形状とされている。すなわち、ガイド部材42の他端部の内径はガイド部材41の一端部の内径より小さくされ、ガイド部材43の他端部の内径はガイド部材42の一端部の内径より小さくされ、ガイド部材44の他端部の内径はガイド部材43の一端部の内径より小さくされている。また、ガイド部材41〜43に備えられているそれぞれの突出部41b〜43bは、径方向に突出している。
このようなSiC単結晶の製造装置では、例えば、ガイド部材42の他端部の内径がガイド部材41の一端部の内径より小さくされている。このため、ガイド部材41に沿ってSiC単結晶22が成長するとき、外周側面に欠陥が発生しても、ガイド部材42のネッキング効果により当該欠陥が成長方向に伝播することを抑制することができる。また、ガイド部材43、44においても同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態のSiC単結晶の製造装置では、さらに高品質なSiC単結晶22を得つつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、ガイド部材41〜44に対して輻射熱は、粉末原料30から軸方向のみだけでなく、軸方向に対して傾きを有して照射されたり、迂回して照射されたりする。したがって、隣接する二つのガイド部材41〜44において、粉末原料30側のガイド部材により種結晶23側のガイド部材に対して輻射熱が照射されないことはない。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶の製造装置は、第1実施形態に対して、ガイド部40をガイド部材41〜43にて構成したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図7は、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置の断面構成を示す図である。
図7に示されるように、本実施形態のSiC単結晶の製造装置では、ガイド部40が3つのガイド部材41〜43で構成されている。そして、ガイド部材43は、一端部にフランジ43cを備えており、当該フランジ43cにて容器本体10に形成されている段差部11に固定されている。
また、ガイド部材42の他端部の内径はガイド部材41の一端部の内径より大きくされており、ガイド部材43の他端部の内径はガイド部材42の一端部の内径より大きくされている。
このようなSiC単結晶の製造装置では、隣接する二つのガイド部材41〜43の先端面の間において、SiC単結晶22は自然口径拡大をするため、少ないガイド部材41〜43で効果的に口径拡大をしつつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、ガイド部材42、43は、他端部の内径を大きくし過ぎると、SiC単結晶22の口径角度を決める等のガイドとしての機能が無くなるため、次のようにするのが好ましい。図8は、図7に示す二点鎖線部分の模式図である。
図8に示されるように、ガイド部材42において、他端部の内径をDa+1、軸方向に対するガイド部材42の内壁面の傾きをθ、ガイド部材42の軸方向の長さをHとすると、ガイド部材42の一端部に相当する位置のSiC単結晶22の径は、Da+1+2Ha・tanθと表すことができる。
そして、ガイド部材43において、ガイド部材43の軸方向の長さをHa+1とし、ガイド部材42、43における相対する二つの先端面の間の軸方向の長さをhとすると、ガイド部材43の一端部に相当する位置のSiC単結晶22の径は、ガイド部材43が無いと仮定した場合、SiC単結晶22は、軸方向に対して60°の角度を保って成長していくことから、(Da+1+2H・tanθ)+2(h+Ha+1)tan60°と表すことができる。
したがって、ガイド部材43の一端部の内径をDa+3とすると、Da+3≦(Da+1+2H・tanθ)+2(h+Ha+1)tan60°であれば、ガイド部材43がガイドとしの機能を果たすことになる。すなわち、ガイド部材43の他端部の内径をDa+2、軸方向に対するガイド部材43の内壁面の傾きをθa+1、とすると、Da+2≦(Da+1+2H・tanθ)+2(h+Ha+1)tan60°−2Ha+1・tanθa+1であればよいことになる。なお、ガイド部材41とガイド部材42との関係においても同様の関係が成立する。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶の製造装置は、第1実施形態に対して、ガイド部材42の内径を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図9は、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置の断面構成を示す図である。
図9に示されるように、本実施形態のSiC単結晶の製造装置では、ガイド部材42は、一端部から他端部に向かって内径が一定とされている、すなわち、軸方向に対する内壁面の傾きが0°とされている。このようなSiC単結晶の製造装置では、SiC単結晶22は、ガイド部材41に沿って成長する、すなわち、径方向に拡大しながら成長するときに外周縁部に歪みが発生することになるが、内径が一定径である(テーパ形状でない)ガイド部材42に沿って成長するときに当該歪みを緩和することができる。したがって、さらに高品質なSiC単結晶22を得つつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶の製造装置は、第1実施形態に対して、ガイド部40の内壁面にインナーガイドを配置したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図10は、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置の断面構成を示す図である。
図10に示されるように、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置では、ガイド部40は、内壁面が高融点金属素材を有して構成されるインナーガイド50にて覆われている。具体的には、ガイド部40には、各ガイド部材41〜44に跨って配置され、かつガイド部材41〜44それぞれの内壁を覆う一枚のインナーガイド50が配置されている。このインナーガイド50は、例えば、タンタル、モリブデン、タングステン等を用いて構成されている。また、厚さが0.1mm以上1mm以下とされている。インナーガイド50の厚さが1.0mmより薄いと、インナーガイド50を配置する際や、SiC単結晶22を成長させる際にインナーガイド50に印加される負荷により破損する可能性があるためである。また、1.0mmより厚いと、輻射熱の加熱効果がインナーガイド50の厚みより分散されてしまうからである。
このようなSiC単結晶の製造装置では、原料昇華ガス(Si、SiC2、Si2C等のガス)に対し不活性である高融点金属素材をガイド部40の内壁に配置したことにより、ガイド部40の内壁からカーボン粉等が昇華してSiC単結晶22の内部に混入することを抑制することができる。このため、SiC単結晶22の品質が劣化することを抑制でき、さらに高品質なSiC単結晶22を成長させつつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、インナーガイド50としてタンタルを用いた場合には、黒鉛製の坩堝1で加熱処理をすることにより熱的安定性の高い炭化タンタルが形成されるため、さらに欠陥の少ない高品質なSiC単結晶22を成長させることができる。
なお、本実施形態では、各ガイド部材41〜44は、突出部41b〜43bのみでなく、インナーガイド50を介しても接続されることになる。しかしながら、インナーガイド50を介して各ガイド部材41〜44の間を移動する熱量は、インナーガイド50のうち各ガイド部材41〜44と接触している部分と、当該ガイド部材41〜44の間を移動する熱量よりはるかに小さいため、無視することができる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶の製造装置は、第5実施形態に対して、各ガイド部材41〜44の内壁にそれぞれインナーガイド50を配置したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図11は、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置の断面構成を示す図である。
図11に示されるように、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置では、ガイド部材41〜44それぞれは、筒部41a〜44aの内壁面がそれぞれ高融点金属素材を有して構成されるインナーガイド50a〜50dで覆われている。そして、当該内壁面に配置されるインナーガイド50a〜50dそれぞれは、互いに離間して配置されている。
このようなSiC単結晶の製造装置では、各ガイド部材41〜44に備えられるインナーガイド50a〜50dそれぞれが離間して配置されているため、上記第5実施形態より各ガイド部材41〜44の間の熱の移動を抑制することができつつ、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶の製造装置は、第1実施形態に対して、各ガイド部材41〜44の間に、ガイド部材41〜44よりも熱伝導率の低い材質で構成された中間部材を配置したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図12は、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置の部分拡大図であり、ガイド部材41の一端部とガイド部材42の他端部との拡大図に相当している。なお、ガイド部材42の一端部とガイド部材43の他端部、およびガイド部材43の一端部とガイド部材44の他端部との拡大図も同様である。
図12に示されるように、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置では、ガイド部材41の突出部41bとガイド部材42の他端面との間に、ガイド部材41、42を構成する黒鉛よりも熱伝導率の低い材質である、例えば、炭素繊維、黒鉛シートまたはポーラスカーボン等で構成された中間部材60が配置されている。本実施形態では、ガイド部材42の他端面を覆うように中間部材60が配置されており、ガイド部材41は、中間部材60を介してガイド部材42上に積層されている。なお、ガイド部材42とガイド部材43、ガイド部材43とガイド部材44との間にも同様に中間部材60が配置されている。
このようなSiC単結晶の製造装置では、ガイド部材41、42の相対する先端面の間、ガイド部材42、43の相対する先端面の間、ガイド部材43、44の相対する先端面の間にガイド部材41〜44よりも熱伝導率の低い材質で構成された中間部材60が配置されているため、さらに、各ガイド部材41〜44の間の熱の移動を抑制することができつつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、突出部41b〜43bが筒部41a〜43aと同じ材質により構成されている例について説明したが、突出部41b〜43bを筒部41a〜43aより熱伝導率の低い材質を用いて構成すれば、さらに、各ガイド部材41〜44の間の熱の移動を抑制することができる。
さらに、上記各実施形態では、ガイド部40は、フランジ43c、44bにて容器本体10に固定されている例について説明したが、ガイド部40の一端部で容器本体10に直接固定することが可能であれば、フランジ43c、44bを備えなくてもよい。
また、上記第1、2、4〜7実施形態では、ガイド部材41〜43に突出部41b〜43bが備えられている例について説明し、上記第3実施形態では、ガイド部材41、42に突出部41b、42bが備えられている例について説明したが、もちろんこれに限定されるものではない。例えば、上記第1〜7実施形態において、突出部41bをガイド部材42の他端面に備えることもできるし、突出部42bをガイド部材43の他端面に備えることもできる。すなわち、各ガイド部材41〜44は、突出部41b〜43bを介して積層されていれば本発明の効果を得ることができる。
さらに、上記第2実施形態では、各ガイド部材41〜44がそれぞれ同じ形状である例について説明したが、ガイド部材42の他端部の内径をガイド部材41の一端部の内径より小さくし、ガイド部材43の他端部の内径をガイド部材42の一端部の内径より小さくし、ガイド部材44の他端部の内径をガイド部材43の一端部の内径より小さくすれば第2実施形態の効果を得ることができる。このとき、SiC単結晶22の口径を考慮すると、ガイド部材42の他端部の内径はガイド部材41の他端部の内径以上であることが好ましく、ガイド部材43の他端部の内径はガイド部材42の他端部の内径以上であることが好ましく、ガイド部材44の他端部の内径はガイド部材43の他端部の内径以上であることが好ましい。上記第1実施形態で説明したガイド部材41の他端部の内径と同様に、内径をあまり小さくしすぎると、その後にSiC単結晶22の口径を拡大することが難しくなるためである。
また、上記第4実施形態では、ガイド部材42の内径が一定とされている例について説明したが、例えば、ガイド部材42だけでなく、ガイド部材43、44の内径を一定とすることもできるし、ガイド部材43のみの内径を一定径とすることもできる。
さらに、上記第6実施形態では、図11に示されるように、インナーガイド50は、ガイド部40の壁面に沿って配置されている、すなわち、突出部41b〜43cに配置される部分において軸方向と平行になるように配置されているが、例えば、他端部から一端部に向かって径が広くなるテーパ形状となるように配置されていてもよい。
そして、上記各実施形態では、容器本体10に粉末原料30が配置されている製造装置について説明したが、例えば、原料ガスを坩堝1の外部から供給するガス供給法を用いる製造装置に適用することもできる。
さらに、上記各実施形態では、各ガイド部材41〜44の軸方向の長さは、上記(式3)または(式4)を満たす長さとされているが、上記(式3)または(式4)を満たさない長さであっても、ガイド部40が複数のガイド部材41〜44を積層することにより構成されているため、従来の製造装置よりガイド部40に多結晶が付着することを抑制することができる。
同様に、突出部41b〜43bを備えるガイド部材41〜43が、Sr/Sa×100≦10%となるように構成されていなくても、ガイド部40が複数のガイド部材41〜44を積層することにより構成されているため、従来の製造装置よりガイド部40に多結晶が付着することを抑制することができる。
1 坩堝
10 容器本体
11 段差部
20 蓋体
21 種結晶支持部
22 SiC単結晶
23 種結晶
30 粉末原料
40 ガイド部
41〜44 ガイド部材

Claims (15)

  1. 有底円筒状の容器本体(10)と当該容器本体(10)を蓋閉めするための蓋体(20)とを有した中空状の円柱形状をなす坩堝(1)を有し、前記蓋体(20)に炭化珪素基板からなる種結晶(23)を配置すると共に前記容器本体(10)に炭化珪素原料(30)を配置し、前記炭化珪素原料(30)の昇華ガスを供給することにより、前記種結晶(23)の一面を成長面として、当該成長面上に炭化珪素単結晶(22)を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
    前記容器本体(10)のうち前記種結晶(23)と前記炭化珪素原料(30)との間には、中空部を有する筒状部材であって、内壁にて、前記昇華ガスを前記種結晶(23)へ導くと共に、前記炭化珪素単結晶(22)の成長空間を構成するガイド部(40)が配置されており、
    前記ガイド部(40)は、中空部を有する筒部(41a〜44a)を備えたガイド部材(41〜44)が前記容器本体(10)の軸方向に複数積層されることにより構成されており、
    前記複数のガイド部材(41〜44)における各ガイド部材(41〜44)の両端面をそれぞれ先端面として、
    前記複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)の相対する前記先端面のうち、いずれか一方の前記ガイド部材の前記先端面には他方の前記ガイド部材の前記先端面に向かって突出する複数の突出部が周方向に離間して備えられており、前記種結晶(23)側の前記ガイド部材は、前記炭化珪素原料(30)側の前記ガイド部材に前記突出部を介して積層されていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
  2. 前記複数のガイド部材(41〜44)それぞれは、前記筒部(41a〜44a)の壁面の厚さが1mm以上10mm以下とされていることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  3. 前記複数のガイド部材(41〜44)において、それぞれ前記炭化珪素原料(30)側の端部を一端部、前記種結晶(23)側の端部を他端部、前記一端部の前記先端面を一端面、前記他端部の前記先端面を他端面とし、
    前記複数のガイド部材(41〜44)のうち最も前記種結晶(23)側に位置する前記ガイド部材(41)において、前記種結晶(23)の前記成長面を基準面とし、当該ガイド部材(41)の一端面が前記基準面からxの位置にあるとし、前記ガイド部材(41)の他端面と前記種結晶(23)との間の前記軸方向の距離をhとすると、当該ガイド部材(41)における前記容器本体(10)の軸方向の長さ(x−h)は、
    前記炭化珪素単結晶(22)が前記種結晶(23)に成長し始めるときの当該種結晶(23)の温度をTe、前記種結晶(23)に前記炭化珪素単結晶(22)が前記容器本体(10)の軸方向に成長したときの単位長さあたりの温度上昇量をTdとし、前記種結晶(23)に前記炭化珪素単結晶(22)を成長させる前の前記ガイド部材(41)において前記容器本体(10)の軸方向における単位長さあたりの温度上昇量をTa、前記ガイド部材(41)のうち、前記炭化珪素単結晶(22)が成長し、前記容器本体(10)の軸方向において前記炭化珪素原料(30)との間に前記炭化珪素単結晶(22)が位置する部分の前記温度上昇量Taに対する減少量をTb、前記炭化珪素単結晶(22)が成長し始めるときの前記ガイド部材(41)の他端部の温度をTh、前記炭化珪素単結晶(22)が単位長さ成長することよる前記ガイド部材(41)の他端部の温度下降量をTcとし、前記炭化珪素単結晶(22)における外周側面のうち最も前記炭化珪素原料(30)側の端部が、前記容器本体(10)の軸方向において、前記ガイド部材(41)における一端面のうちの最も内側の部分と重なるまで成長したとき、Te+Td・(x)<{Th−Tc・(x)}+(Ta−Tb)・(x−h)を満たす長さとされており、
    前記複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つのガイド部材(41〜44)において、前記種結晶(23)側のガイド部材における一端面を基準面とし、前記炭化珪素原料(30)側の前記ガイド部材の一端面が前記基準面からxの位置にあるとし、前記種結晶(23)側のガイド部材における他端面と前記炭化珪素原料(30)側のガイド部材における一端面との間の前記容器本体(10)の軸方向の距離をhとすると、前記炭化珪素原料(30)側のガイド部材における前記容器本体(10)の軸方向の長さ(x−h)は、
    前記炭化珪素単結晶(22)における外周側面のうち最も前記炭化珪素原料(30)側の端部が前記種結晶(23)側のガイド部材における一端面まで成長したときの当該端部の温度をTe、前記種結晶(23)に前記炭化珪素単結晶(22)が前記容器本体(10)の軸方向に成長したときの単位長さあたりの温度上昇量をTdとし、前記種結晶(23)に前記炭化珪素単結晶(22)を成長させる前の前記炭化珪素原料(30)側のガイド部材において前記容器本体(10)の軸方向における単位長さあたりの温度上昇量をTa、前記炭化珪素原料(30)側のガイド部材のうち、前記炭化珪素単結晶(22)が成長し、前記容器本体(10)の軸方向において前記炭化珪素原料(30)との間に前記炭化珪素単結晶(22)が位置する部分の前記温度上昇量Taに対する減少量をTb、前記炭化珪素単結晶(22)が成長し始めるときの前記炭化珪素原料(30)側のガイド部材における他端部の温度をTh、前記炭化珪素単結晶(22)が単位長さ成長することよる前記炭化珪素原料(30)側の他端部の温度下降量をTcとし、前記炭化珪素単結晶(22)における外周側面のうち最も前記炭化珪素原料(30)側の端部が、前記容器本体(10)の軸方向において、前記炭化珪素原料(30)側のガイド部材における一端面のうちの最も内側の部分と重なるまで成長したとき、Te+Td・(x)<{Th−Tc・(x)}+(Ta−Tb)・(x−h)を満たす長さとされていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  4. 前記複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つの前記ガイド部材(41〜44)の相対する先端面のうち、前記突出部が備えられる一方の前記ガイド部材における前記先端面は、前記突出部がないとした場合における当該先端面の面積をSa、前記突出部のうち他方の前記ガイド部材の前記先端面と接触する面積をSrとすると、Sr/Sa×100[%]≦10[%]であることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  5. 前記突出部は、前記筒部(41a〜44a)よりも熱伝導率の低い材質で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  6. 前記複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つの前記ガイド部材(41〜44)の相対する先端面の間には、当該二つのガイド部材(41〜44)よりも熱伝導率の低い材質で構成された中間部材(60)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  7. 前記複数のガイド部材(41〜44)における最も前記種結晶(23)側に位置する前記ガイド部材(41)は、前記種結晶(23)側の他端部が前記種結晶(23)、前記蓋体(20)、前記容器本体(10)のいずれとも接触しておらず、かつ当該他端部と前記種結晶(23)との間の前記容器本体(10)の軸方向の距離が1mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  8. 前記複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つの前記ガイド部材(41〜44)の相対する先端面において、当該相対する先端面の間の前記容器本体(10)の軸方向の距離が、1mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  9. 前記種結晶(23)は円板状とされており、
    前記複数のガイド部材(41〜44)における最も前記種結晶(23)側に位置する前記ガイド部材(41)は、前記種結晶(23)側の他端部の内径をD、前記種結晶(23)側の他端部と前記種結晶(23)の前記成長面との間の前記容器本体(10)の軸方向の距離をh、前記種結晶(23)の径をAとすると、A+2(h・tan60°−10)≦Da≦A+2h・tan60°であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  10. 前記複数のガイド部材(41〜44)における積層方向に隣接する二つの前記ガイド部材(41〜44)において、
    前記種結晶(23)側のガイド部材において、前記種結晶(23)側の他端部の内径をDa+1、前記容器本体(10)の軸方向に対する前記ガイド部材の内壁面の傾きをθ、前記ガイド部材の前記容器本体(10)の軸方向の長さをHとし、
    前記炭化珪素原料(30)側のガイド部材において、前記種結晶(23)側の他端部の内径をDa+2、前記容器本体(10)の軸方向に対する前記ガイド部材の内壁面の傾きをθa+1、前記ガイド部材の前記容器本体(10)の軸方向の長さをHa+1とし、当該二つの前記ガイド部材における相対する二つの先端面の間の前記容器本体(10)の軸方向の長さをhとすると、
    前記炭化珪素原料(30)側に位置する前記ガイド部材の他端部の内径Da+2が、Da+1≦Da+2≦(Da+1+2H・tanθ)+2(h+Ha+1)tan60°−2Ha+1・tanθa+1であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  11. 前記ガイド部(40)は、黒鉛を有する構成とされており、内壁面が高融点金属素材を有して構成されるインナーガイド(50)で覆われていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  12. 前記複数のガイド部材(41〜44)それぞれは、黒鉛を有する構成とされており、前記筒部(41a〜44a)の内壁面がそれぞれ高融点金属素材を有して構成されるインナーガイド(50a〜50d)で覆われており、
    当該内壁面に配置されるインナーガイド(50a〜50d)それぞれは、互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  13. 前記インナーガイド(50、50a〜50d)は、厚さが0.1mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項11または12に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  14. 前記複数のガイド部材(41〜44)それぞれは、前記容器本体(10)の軸方向に対する内壁面の傾きが、0°以上60°以下とされていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  15. 前記複数のガイド部材(41〜44)のうちの少なくとも一つの前記ガイド部材は、前記種結晶(23)側から前記炭化珪素原料(30)側に向かって内径が一定とされていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
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