本実施形態に係る情報提供装置は、車両等の移動体に搭載され、車両の乗員に目的地に関する情報を提供する装置である。
≪第1実施形態≫
以下、図面に基づいて第1実施形態について説明する。
図1は、情報提供装置100を含む車載のナビゲーション装置1000のブロック構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態のナビゲーション装置1000は、情報提供装置100と、車両の現在位置を検出する位置検出装置200と、走行履歴301などの情報を記憶する記憶装置300と、地図情報500と、自車両の走行経路を探索する経路探索部600と、経路の案内を行う案内部700と、案内情報を出力するとともに、ユーザからの入力を受け付ける入出力部800とを備える。
また、ナビゲーション装置1000は、車両及び車載装置の情報を集中的に管理する車両コントローラ400と情報の授受を行う。情報提供装置100、この情報提供装置100を含むナビゲーション装置1000、及び車両コントローラ400は、CPU、MPU、DSP、FPGAなどの動作回路を組み合わせて構成される。また、これらは、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続される。
また、本実施形態の情報提供装置100は、車両情報取得部10と、蓄積部20と、係数算出部30と、地点到達確率算出部40と、到達地点推測部50と、提供部60とを備える。なお、具体的な構成は特に限定されないが、係数算出部30、地点到達確率算出部40、地点到達確率算出部40、到達地点推測部50、提供部60は、例えば、マイクロコンピュータとメモリから構成されて動作するプログラムや、それぞれの処理を回路として組み込んだASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成することができる。
以下、情報提供装置100が備える各構成と、それに関連する構成について説明する。
まず、車両情報取得部10について説明する。車両情報取得部10は、車両側にて検出された、車両の現在位置を少なくとも含む車両情報を経時的に取得する。
車両情報取得部10は、車載されたナビゲーション装置1000の位置検出装置200から車両の現在位置を経時的に取得する。本実施形態の位置検出装置200は、GPSシステム201を備え、測位衛星から発信される電波をGPSアンテナで受信し、自車両の現在位置を取得する。また、位置検出装置200は、ジャイロセンサ及び車輪に取り付けられた距離センサから入力される測位データに基づいて累積計算法によって現在位置を推定する自律航法を用いて車両の位置を測位することができる。位置検出装置200は、検出した車両の現在位置を、車両情報取得部10又は記憶装置300に送出する。なお、車両の現在位置の表現態様は特に限定されず、緯度・経度、その他の地図座標に基づいて表現することができる。
さらに、車両情報取得部10は、車両の現在位置の経時的な変化に基づいて、車両が走行中であるか、停車したかといった車両の状態に関する情報を取得し、リンク又は地点に対応づけて蓄積することができる。たとえば、車両情報取得部10は、所定時間内における車両の移動距離(現在位置の変化)に基づいて、車両の速度及び車両が走行中である旨の情報を取得することができる。他方、車両情報取得部10は、所定時間が経過しても車両の位置変化が所定値未満である場合は、車両が停車中である旨の車両の状態に関する情報を取得することができる。
また、車両情報取得部10は、車両が走行中又は停車中である旨その他の車両の状態に関する情報を、車両側の車両コントローラ400から取得することができる。つまり、車両情報取得部10は、車両側にて検出された車両の状態を含む車両情報を、車両コントローラ400を介して経時的に取得することができる。
車両の状態に関する車両情報は、車両の走行状態、車両の停車状態、車両のエンジン起動状態、車両のエンジンオフ状態などの車両の状態に対応づけることができる情報である。車両の状態に関する車両情報は特に限定されないが、イグニッションスイッチのオンオフ情報、車速情報、ACCオンオフ情報、ブレーキ操作情報、エンジン動作情報などを含む。車両情報取得部10は、イグニッションスイッチのオフ情報、車速ゼロ情報、ACCオフ情報、ブレーキ動作情報、エンジンオフ情報から、車両が停車した状態にあることを示す車両情報を取得することができる。
次に、蓄積部20について説明する。蓄積部20は、車両情報取得部10により取得された車両情報を地図情報に含まれるリンク又は地点に対応づけて、走行履歴21として蓄積する。走行履歴21は、現在位置情報と、その現在位置が位置検出装置200により検出されたタイミング、又は車両情報取得部10が現在位置を取得したタイミングとが対応づけられた情報を有する。
具体的に、蓄積部20は、車両があるリンク(リンクID(識別子)=N)を通行した回数をリンクID(N)に対応づけて走行履歴に蓄積する。なお、記憶装置300を情報提供装置100の外部に設け、この記憶装置300に走行履歴301を記憶してもよい。走行履歴21(又は301)は、係数算出部30のアクセスを受け付け、情報の取得を許可する。
続いて、係数算出部30について説明する。係数算出部30は、蓄積された走行履歴21を参照し、車両の進行方向に沿って上流側に位置する上流側リンクを通行してからその上流側リンクに隣接する下流側リンクを通行する可能性を示す通行係数を算出する。上流側リンクと下流側リンクは隣接し、車両は、進行方向手前に位置する上流側リンクを通過してから下流側リンクを通行する。上流側リンクと下流側リンクは、隣接するという位置関係にある2つのリンクであり、特定のリンクに限定されるものではない。
図2は、地図情報500に含まれる所定の領域に含まれるリンクを模式的に示す図である。図2に示す地図情報500は、リンクL1〜L13、各リンクを接続するノードn、及び施設情報等に対応し目的地となる可能性のある地点A〜Cの情報を含む。図2に示すようにリンクL1〜13はノードnにおいて接続され、各地点を結ぶ。
また、図3(A)は、通行係数の算出手法を説明するための図である。図3(A)に示すように、自車両は、進行方向に沿って上流側の第1リンクL0(上流側リンクに対応する)を通行してから、この第1リンクL0に進行方向下流側に接続する第2リンクLn(下流側リンクに対応する)を通行する。なお、この隣接するリンクのモデルは、地図情報500に含まれる隣り合う位置関係にあるすべてのリンクに適応することができる。
図3(A)に示すように、現在、第1リンクL0に位置する車両は、下流側の第2リンクLn(リンクL1〜L3)のいずれかのリンクを通行する。つまり、第1リンクL0を自車両が通行する通行回数の総数Nは、第2リンクL1を自車両が通行する通行回数n1と、第2リンクL2を自車両が通行する通行回数n2と、第2リンクL3を自車両が通行する通行回数n3の総和となる。
本実施形態の係数算出部30は、走行履歴21に基づいて、第2リンクLn(下流側リンク)の通行回数を第1リンクL0(上流側リンク)の通行回数で除した値を、通行係数として算出する。
続いて、図3(B)に基づいて、車両が所定の地点で停車する場合を考慮した場合の通行係数の算出手法と、車両が所定の地点で停車する可能性を示す停車係数の算出手法を説明する。
図3(B)に示すように、現在、第1リンクL0に位置する車両は、下流側の第2リンクLn(リンクL1〜L3)に移るか、又は第2リンクLnに移る前に第1リンク上に位置する地点Pに停車するか、いずれかの走行経路をとる。つまり、第1リンクL0を自車両が通行する通行回数の総数Nは、第2リンクL1を自車両が通行する通行回数n1と、第2リンクL2を自車両が通行する通行回数n2と、第2リンクL3を自車両が通行する通行回数n3と、第2リンクに移らずに第1リンク上の地点Pで停車した停車回数npの総和となる。
本実施形態の係数算出部30は、走行履歴21に基づいて、第2リンクLn(下流側リンク)の通行回数を、第1リンクL0(上流側リンク)の通行回数(の第1リンクL0に属する地点Pで停車する回数を含む)で除した値を、通行係数として算出する。
さらに、本実施形態の係数算出部30は、走行履歴21に基づいて、車両が所定の地点Pで停車する回数を、車両が所定の地点Pに至るにあたり最後に通行する第1リンクL0の通行回数で除した値を、地点Pに関する停車係数として算出する。
リンクに関する走行履歴21に基づいて通行係数を算出するか、車両の停車に関する走行履歴21まで考慮した通行係数又は停車係数を算出するかは、予め設定することができる。また、この設定は、領域ごと、又はリンクの種別ごと(高速道路、市街地などの種別ごと)に行うことができる。もちろん、ユーザの意思に基づいて個別に設定することもできる。
図4は、係数算出部30による通行係数又は停車係数の算出処理に用いられる走行履歴の蓄積処理を説明するためのフローチャート図である。
まず、車両走行開始時のステップS301では、前回の走行の終了時に車両が存在していたリンクIDを、車両が直前に通行していたリンクIDとして走行履歴21に記録する。
車両が走行を開始すると、車両情報取得部10は、所定の周期で車両の現在位置を経時的に取得する(S302)。
続いて、蓄積部20は、地図情報500を参照し、自車両の現在位置を含むリンクがあるかを探索する(S303)。自車両が通行するリンクIDが特定できたら、ステップ304に進み、自車両が通行するリンクIDが特定できなかったら、ステップ307に進む。
係数算出部30は、新たに特定されたリンクIDと、蓄積済みのリンクIDとを比較し、両リンクIDが同一であるか否かを判断する。
両リンクIDが異なるものであれば、車両が一のリンクから他のリンクへ移ったと判断し、蓄積部20は、車両が第1リンクと第2リンクを通行する旨を走行履歴21に蓄積する(S305)。具体的に、蓄積部20は、第1リンク(上流側リンク)を通行してから、これに隣接する第2リンク(下流側リンク)を通行した通行回数を1回カウントアップ(増加)するとともに、第1リンクを通行した通行回数を1回カウントアップ(増加)する(S305)。
ステップS306において、車両の走行に伴い、車両の現在位置を含む第2リンクを、上流側リンク(第1リンク)にセットする。目的地に向かって処理を順次進めるためである。車両が第1リンクから第2リンクへ移行したことを確認し、そのリンクの走行履歴の蓄積処理が完了したら、ステップS307へ進む。
ステップS307において、車両情報取得部10は、位置検出装置200により検出された自車両の現在位置の経時的な変化、又は車両コントローラ400により検出されたイグニッションスイッチのオンオフ情報に基づいて、自車両が停車状態にあるか否かを判断する。ちなみに、車両のイグニッションスイッチがオフとなっていても、車両コントローラ400を含む車載装置の電源供給は暫時継続しており、一連の処理を終えるまでの通電は保証されているものとする。
蓄積部20は、車両が停車状態にあると判断したら、ステップS308において(S302で取得した)車両の現在位置を読み込む。そして、蓄積部20は、停車時における車両の現在位置が過去の停車位置のいずれかと同一地点であるか否かを判断する。
蓄積部20は、今回の車両の停車位置が、過去の車両の停車位置のいずれかと同じである場合は、今回の車両の停車地点の地点ID(又は現在位置の地点ID)を取得する(S309)。他方、蓄積部20は、今回の車両の停車位置が、過去の車両の停車位置のいずれとも異なる場合は、その停車地点(又は現在位置)の地点IDを取得し、新規地点IDとして走行履歴21(301)に登録する(S310)。
そして、S311に進み、蓄積部20は、第1リンクの通行回数を1回カウントアップするとともに、地点IDが取得された地点又は新規に登録された地点に停車した停車回数を1回カウントアップする。
通行係数の更新が完了したら、通電を止めて処理を終了する。S307においてまだ車両走行が継続している場合は、引き続きS302の現在位置取得以降の処理を繰り返す。
図5(A)は走行履歴21が蓄積されたエリアのリンクを示す図であり、図5(B)は、図5(A)に示すリンクについて蓄積された走行履歴の一例を示す図である。
図5(A)に示すエリアの地図情報は、1〜13のIDが付された13のリンクと、出発地である自宅と、事務所(地点A)と、本社(地点B)とを含む。図5(B)の走行履歴は自車両が通行した経路をリンクの並びで直接示したものである。この走行履歴に示されるように、車両は、自宅を出発地とした合計61回の走行を行い、その走行は地点A又は地点Bのいずれかの地点を目的地(停車地点)とするものである。
図6は、図5(B)に示す走行履歴(車両情報)から求められた通行係数及び停車係数に関する情報である。
図6に示すように、走行履歴は、第1リンク(上流側リンク)ごとに記述されており、例えば第1リンクがリンク1(1はリンクID)である場合の履歴を見ると、リンク1を通行した通行回数は全部で61回であり、そのうち、リンク1からリンク2に進んだのは22回、リンク1からリンク3に進んだのは39回ということになる。
このような走行履歴21に基づいて、本実施形態の係数算出部30は、第2リンク2(下流側リンク)の通行回数22を第1リンク1(上流側リンク)の通行回数61で除した値36%を、通行係数として算出する。
また、第1リンクがリンク7である場合の履歴を見ると、リンク7を通行した通行回数は全部で18回である、そのうち、6回はリンク7から他のリンク(リンク11とリンク12)に進んでいるが、12回は地点Aに停車したことになる。
このような走行履歴21に基づいて、本実施形態の係数算出部30は、第2リンク11(下流側リンク)の通行回数2を、第1リンク7(上流側リンク)の通行回数18で除した値11%を通行係数として算出する。同様に、本実施形態の係数算出部30は、第2リンク12(下流側リンク)の通行回数4を第1リンク7(上流側リンク)の通行回数18で除した値22%を通行係数として算出する。さらに、本実施形態の係数算出部30は、走行履歴21に基づいて、車両が所定の地点Aで停車する回数12を第1リンク7の通行回数18で除した値67%を、地点Aに関する停車係数として算出する。
算出された通行係数311及び停車係数312は、情報提供装置100内の記憶部31に記憶される。
次に、地点到達確率算出部40について説明する。地点到達確率算出部40は、算出された通行係数に基づいて、車両が現在位置から所定の地点に至るまでに通行する各リンクのリンク通行率を算出し、そのリンク通行率に基づいて車両が現在位置から所定の地点に至る可能性を示す地点到達確率を所定の地点ごとに算出する。
地点到達確率は、自車両が現在位置から走行を継続し、地図情報中の各リンクや各地点に「いつかは」たどり着く可能性を示す値である。
本実施形態の地点到達確率算出部40は、隣接するリンクのうち、車両の進行方向に沿って上流側の第1リンク(上流側リンク)のリンク通行率に、第1リンクを通行してから第2リンク(下流側リンク)を通行する通行係数を乗じて第2リンクのリンク通行率を算出する。
図7に基づいて、リンク通行率の算出手法を説明する。図7に示すように、互いに隣接するリンクa〜eが存在する場合において、例えば、上流側の第1リンクaにリンク通行率paが与えられた場合、リンクaを通行した後に通行する可能性のある下流側のリンクbのリンク通行率pbは、第1リンクaを通行してから第2リンクbを通行する通行係数pa→bをリンクaのリンク通行率paに乗じて、下式1により算出できる。
pb = pa×pa→b (式1)
リンクaと隣接するリンクcについても同様に、式 pc = pa×pa→cによりリンクcのリンク通行率pcを算出することができる。
このように、地点到達確率算出部40は、通行係数311を用いて、互いに隣接する次段のリンクのリンク通行率を順次求めて行く。このように、隣接するリンクのリンク通行率を順次求める処理を、説明の便宜のため、以後、「展開処理」とも称する。
ところで、リンクaからリンクb及びリンクcが分岐するように、1のリンクを通過した後に移行するリンクが2以上存在する場合があるが、リンクeのように、リンクb及びリンクdが合流する場合がある。
複数のリンクが合流するリンクのリンク通行率は、上流側に位置する複数のリンク(リンクb,リンクd)の各リンク通行率と、各リンク(リンクb,リンクd)から移行してリンク(リンクe)を通過する通行係数pd→e,pb→eを用いて、式2により算出する。
pe = pb×pb→e +pd×pd→e
つまり、複数のリンクが合流するリンクのリンク通行率は、合流する各リンクのリンク通行率とそれぞれの合流前後のリンクに係る通行係数から展開された、リンク通行率の総和とする。このように複数の展開結果の和により、合流後のリンクのリンク通行率を算出する処理を、説明の便宜のため、以後、「合流処理」とも称する。
地点到達確率は、ある地点からある地点に至る可能性を示すものであるから、地点到達確率を算出するにあたっては、起点が必要となる。起点は任意に設定することができるが、本実施形態では処理を開始する時点における車両の現在位置、すなわち出発地点とする。
ところで、本手法を用いてリンク通行率を算出するためには、算出が開始される最初のリンクのリンク通行率が与えられなければならない。この最初のリンクのリンク通行率は任意に設定することも可能であるが、本実施形態の地点到達確率算出部40は、処理を開始する時点における車両の現在位置、すなわち出発地点を含むリンクのリンク通行率を1(100%)と定義する。
そして、地点到達確率算出部40は、係数算出部30により算出された通行係数に基づいて、先述した手法を用いて、車両が現在位置から所定の地点に至るまでに通行する各リンクのリンク通行率を現在位置側の上流側のリンクから目的地側の下流側のリンクに向かって順次算出する。
車両が所定の地点に至るまでに通行する各リンクのリンク通行率のうち、所定の地点に至る直前に通行したリンクのリンク通行率は、その所定の地点に到達する可能性と扱うことができる。なぜなら、所定の地点がそのリンク上にある場合や、所定の地点がそのリンクの近傍にある場合は、そのリンクを通行した直後に所定の地点に至ると考えられ、直前に通行したリンクの通行率はそのリンク上又はそのリンクの近傍に位置する地点の通行率と同視できるからである。リンクの通行率に基づいて、所定の地点に至る地点到達確率を求めるにあたっては、所定の地点に至る車両が直前に通行したリンクの位置と所定の地点との位置関係を予め定義しておくこともできる。これにより、リンク通行率を所定の地点の地点到達確率とみなす場合の精度を担保することができる。
また、地点到達確率算出部40は、車両が現在位置から所定の地点に至り、さらに、その所定の地点に停車する可能性を示す地点到達確率を算出することができる。地点到達確率算出部40は、車両が所定の地点に至るにあたり最後に通行するリンクのリンク通行率に、車両が所定の地点で停車する可能性を示す停車係数を乗じて、車両が現在位置から所定の地点に至り、さらに、その所定の地点に停車する可能性を示す地点到達確率を所定の地点ごとに算出することができる。これにより、走行履歴に蓄積された地点に停車するという具体的な可能性を求めることができる。
続いて、図8及び図9に基づいて、地点到達確率の算出処理の一例を説明する。
図8の地図に示すように、現在、車両はリンク5上を走行する。このため、リンク5が第1リンクとなる。地点到達確率算出部40は、まず、第1リンク(リンク5)のリンク通行率を得る。本例では、車両はすでにリンク5上を通行しているから、そのリンク通行率は1(=100%)とする。
図8と図5の地図情報は共通するため、図6に示す通行係数及び停車係数を用いて図8に示す地点の地点到達確率を算出する。図6に示すように、リンク5を第1リンクする場合の、第2リンク6,8,9の通行係数は、それぞれ17%、61%、22%である。
地点到達確率算出部40は、第2リンク6,8,9の通行係数(17%、61%、22%)を、第1リンク5のリンク通行率「1」に乗じて、各第2リンク6,8,9のリンク通行率(0.17,0.61,0.22)を算出する(展開処理)。
このリンク通行率は、暫定的な値である。なぜなら、車両の走行方向に沿う下流側でリンク5以外のリンクと合流し、展開されたリンク通行率について加算(合流処理)が必要となる可能性があるからである。
このため、地点到達確率算出部40は、リンク通行率(地点到達確率の算出の過程の値)を、図8の下段に示す、予め記憶態様が定義されたデータ記憶用のセルに格納する。
地点到達確率算出部40は、車両の走行に伴い、新たなリンクや地点が出現するたびに、そのリンク又は地点IDx、他のリンクの展開処理により与えられた第1リンクのリンク通行率Pb(展開処理前のリンク通行率)、及び、隣接する第2リンクのリンク通行率の算出処理(展開処理)が済んだリンクのリンク通行率Pfの3つのレコード(値)を記録する。これら3つの値が記録されるデータ記憶用の表を「確率展開表41」と称する。
図8の下段に示すように、地点到達確率算出部40は、これら地点到達確率算出処理の際に算出される、現在位置から目的地に至る各リンクのリンク通行率を、「確率展開表41」として処理ごとに記憶する。
図8の上段の表に示すように、処理の初期状態ではリンク5に関するレコードしか記憶されないが、リンク通行率の算出処理(展開処理)が順次進むと、隣接するリンク6、8、9に関するレコードが新たに記録される。
さらに、図8の下段の表に示すように、リンク6,8,9について展開処理が行われて暫定的なリンク通行率が記録されることにより、これらリンク6,8,9について展開処理が完了すると、その展開処理に用いられたリンク5のリンク通行率は、展開処理済のリンク通行率のセルに移動される。そして、暫定的な展開処理前のリンク通行率はリセット(ゼロに置換)される。
続いて未だ展開処理がされていないリンク6について処理を行う。図9は、リンク6を第1リンクとするリンク通行率の算出処理の過程を示す。図9に示すように、リンク6が接続するリンクは、リンク7、リンク8およびリンク9である。再び図6を参照し、第1リンクをリンク6とした場合の第2リンク7〜9の通行係数(11%、11%、79%)を求める。そして、リンク6からリンク8、リンク6からリンク9、及びリンク6からリンク7へ移行する暫定的なリンク通行率を算出する。
図9の地図上に示すように、リンク6からリンク8へ移行する場合のリンク8のリンク通行率は0.019であり、リンク6からリンク7へ移行する場合のリンク7のリンク通行率は0.019であり、リンク6からリンク9へ移行する場合のリンク9のリンク通行率は0.133である。
ここで、図9の上段のレコードに示すように、リンク8及び9については、先の展開処理により得られた地点到達確率がすでに記録されている。つまり、リンク8、9については既にレコードが存在し、その展開処理前のリンク通行率が0でないので、今回求めたリンク通行率をこれに加算する。つまり、図9の下段のレコードに示すように、リンク8については62.9%、リンク9については35.3%に更新される。また、リンク7は前回の処理でリンク通行率が算出されていないため、新たに算出されたリンク通行率のレコードが登録される。そして、リンク6のリンク通行率はリセットされ、その分が展開済のリンク通行率に移動する。
さらに、地点到達確率の算出処理の制御手順を図10のフローチャート図に基づいて説明する。
まず、初期条件として、ステップS801において、車両の現在位置を含むリンクL0のリンクID、リンクL0の展開処理前のリンク通行率、展開処理済のリンク通行率の3つのレコード(値)を確率展開表41に登録する(図8参照)。具体的に、リンクのIDはL0、展開前のリンク通行率Pb(L0)は1、展開処理済のリンク通行率Pf(L0)を0とする。
続いてステップS802において、地点到達確率算出部40は、確率展開表41の中で、第1リンクのリンク通行率(展開処理前のリンク通行率)が0でないリンクのレコードがあるかどうかを調べる。つまり、これからリンク通行率を算出するべきリンクを抽出する。
なお、リンクと同様に、地点も地点到達確率の算出対象となりうるが、S802において、地点到達確率算出部40が処理対象とするのは、このうちリンクIDのみである。地点IDは停車地点であるため、その地点の先に地点到達確率の展開は発生しないからである。
ある道路リンクLについてPb(L)≠0なるレコードを抽出できた場合は、ステップS803に進む。ある道路リンクLについてPb(L)≠0なるレコードを抽出できない場合は、処理を終了する。
ステップS803において、地点到達確率算出部40は、リンクLを第1リンクとする通行係数311を参照し、第1リンクLからこれに隣接する第2リンクxへ移行する通行係数Pm(x)を取得する。この通行係数311は、先述したように、係数算出部30により算出され、アクセス可能なように記憶された情報である。
続くステップS804において、地点到達確率算出部40は、第1リンクLに隣接するリンクxに含まれる地点に至る可能性を算出するため、暫定的なリンクxのリンク通行率Pt(x)を算出する。地点到達確率算出部40は、このリンクxのリンク通行率Pt(x)を、Pt(x)=Pb(L)×Pm(x)の処理により求める。
なお、この処理においては、車両が移行する地点としてのxには、道路リンクも停車地点も含まれる。地点到達確率算出部40は、xが地点であってもリンクであっても、全てのxについてPt(x)を算出する。
車両が停車する場合の可能性を求めるには、最後に通行するリンクのリンク通行率に、停車係数を乗じて、車両が所定の地点に至り、その地点に停車する可能性を求める。
第1リンクLに隣接するリンクxは、1つとは限らず複数存在する場合がある。ステップS805以降の処理は、各リンクxについてそれぞれ個別の処理を行う。
ステップS805において、地点到達確率算出部40は、前段で算出した暫定的なリンク通行率Pt(x)と、予め設定した閾値Pthとを比較する。暫定的なリンク通行率Pt(x)が閾値Pthより小さい場合は処理を終わらせ、暫定的なリンク通行率Pt(x)が閾値Pthより大きい場合に限りステップ806へ進む。
本実施形態における地点到達確率の算出処理においては、あるリンクに対して合流するリンクのリンク通行率が全て算出されるのを待ってから、そのリンクを第1リンク(上流側リンク)とする下流側リンクのリンク通行率の算出処理(展開処理)を行うのではなく、暫定的に与えられたリンク通行率を用いて適当なタイミングで展開処理を行い、展開処理が済んだ値は全て加算して最終的なリンク通行率とする、という計算手法を採用する。このようにすることで、リンクを辿る処理がループになってしまう場合にも計算が進められるようにしている。確率展開表41に展開処理前のリンク通行率と展開処理後のリンク通行率とをそれぞれ記録したのも、そのためである。
しかし、このように処理にループが発生した場合、逆に帰還分の暫定的なリンク通行率はいつまでも展開処理を続け、計算が終了しないことになる。
このようにループ発生時の処理において、処理の対象となるリンク通行率の値は、基本的には確率の積算値であるから、計算が進むにつれ減少していく(小さい値となっていく)。
そこで、本実施形態のリンク通行率の算出処理においては、計算値がある閾値より小さくなった場合(ステップS805でYes)は、それ以上の繰り返しにより得られた値は十分無視できると判断し、計算を中断する。このため、ステップS805において、暫定的なリンク通行率Pt(x)と、予め設定した閾値Pthとを比較する。リンク通行率が所定の閾値よりも小さい場合は、リンクxについての処理を中断し、別のリンクxについてリンク通行率の算出を開始する。
ステップS805の比較により、リンク通行率が無視できない大きさの値である場合はステップS806に進む。そして、地点到達確率算出部40は、確率展開表41を参照し、今回処理を行うリンクxについてのレコードが存在するか否かを調べる。リンクxについてのレコードが確率展開表41に存在する場合はステップS807に進み、そのレコードの内容を更新する。
具体的に、確率展開表41に記録されているリンクxの展開処理前のリンク通行率Pb(x)に対し、今回の展開処理で計算された暫定値Pt(x)を加算し、これを改めてxの展開処理前のリンク通行率Pb(x)とする。このとき、展開処理済のリンク通行率Pf(x)は不変とする。
他方、ステップS806において、リンクxのレコードが存在しない場合は、ステップS808に進む。そして、地点到達確率算出部40は、新たにリンクxのレコードを確率展開表41に登録する。展開処理前のリンク通行率Pb(x)は今回計算された暫定値Pt(x)とし、また展開処理済のリンク通行率Pf(x)は0とする。ステップS808において、一つのリンクxについての処理が完了したらステップS809に進む。ステップS809では、では他にリンクLに隣接するリンクxのうち、未処理のリンクが存在するか否かを調べる。未処理のリンクxあれば、ステップS805以降の処理を繰り返す。他方、未処理のリンクxがなければステップS810に進み、確率展開表41における第1リンクLのレコードについて、展開処理前のリンク通行率Pb(L)をリセットし(ゼロとし)、リンク通行率Pb(L)を展開処理済のリンク通行率に加える(Pf(L)+Pb(L)とする)。
そして、ステップS802に処理を戻す。確率展開表41に記録されたレコードの全てについて、その展開処理前のリンク通行率が0になれば、現在位置から所定の地点に至るまでに通行する各リンクのリンク通行率の算出処理が完了する。
その結果、所定の地点に至るまでに通行するリンクのうち、最後に通行するリンクのリンク通行率が、車両が現在位置から所定の地点に至る可能性を示す地点到達率となる。また、所定の地点に至るまでに通行するリンクのうち、最後に通行するリンクのリンク通行率に停車係数を乗じた値が、車両が現在位置から所定の地点に至り、その地点に停車する可能性を示す地点到達率となる。
図11は、現在位置から目的地に至るすべてのリンクのリンク通行率の算出処理が完了した確率展開表41の一例を示す図であり、リンク通行率から求められた地点到達確率を示す図である。また、図12は、図11に示す地点到達確率を地図情報のリンク情報に重畳させて示す図である。
図11に示すように、本実施形態の地点到達確率算出部40は、リンク5上の車両の現在位置から各リンク6〜13上に位置する地点の地点到達確率と、地点A又は地点Bの地点到達確率を算出する。
処理の過程で得られた、各リンクのリンク通行率は、各リンク上に存在する地点又は各リンクの近傍に存在する地点へ至る地点到達確率と扱うことができる。このように、地点到達確率算出部40は、各リンク上に存在する地点又は各リンクの近傍に存在する地点に至る地点到達確率と、地点A及び地点Bに至りかつ停車する可能性を示す地点到達確率を得ることができる。
そして、地点到達確率算出部40は、算出した地点到達確率を到達地点推測部50に送出する。
続いて、到達地点推測部50について説明する。到達地点推測部50は、算出された地点到達確率に基づいて、車両が到達する可能性が比較的高い地点を推測する。たとえば、図11及び図12に示す地点到達確率では、2箇所の目的地候補地点Aと地点Bのうち、地点Bに至る可能性の方が高い。この結果に基づき、到達地点推測部50は、地点Bの方が目的地となる可能性が高いと推測する。
また、到達地点推測部50は、地点到達確率に応じて、車両が到達する可能性が高い順に複数の地点をソートすることもできる。なお、図11及び図12に示す例では、2つの地点に関する地点到達確率を示すが、これが3以上ある場合も同様である。
到達地点推測部50は、車両が到達する可能性が比較的高いと推測した到達地点の特定情報(地点IDなど)を提供部60に送出する。到達地点推測部50は、到達地点の特定情報に、到達の可能性又は到達の可能性に応じる優先順位を付して提供部60に送出することができる。
次に提供部60について説明する。提供部60は、到達地点推測部50により推測された地点に関する情報を提供する。たとえば、提供部60は、推測した地点を目的地候補としてユーザに提案する。提供部60は、推測された地点に関する情報を、ディスプレイ801及び/またはスピーカ802などの入出力部800を介してユーザに提案する。
たとえば、提供部60は、到達地点推測部50により車両が到達する可能性が最も高いと推測された地点を目的地候補としてユーザに提案し、目的地に関する情報を提供することができる。
さらに、提供部60は入出力部800の入力デバイス803からユーザの入力を取得し、提案した目的地に対してユーザから否定の入力が無い又はユーザから肯定の入力がない場合は、その提案した目的地をユーザの意図に沿う確定目的地として経路探索部600へ出力する。
なお、各目的地への地点到達確率が拮抗しているような場合は、推測された目的地候補のリストをユーザに示し、ユーザに目的地を選択させるといったユーザ主導型の経路案内を実行することができる。
また、推測された目的地の提供の態様は特に限定されず、図12に示すように、地点ごとの地点到達確率とともに、各地点へのリンク(リンク上の地点)への到達確率を地図情報500に重畳させて提供することにより、ユーザは、到達確率の高い、すなわち走行経験の多いリンクを通行して目的地に至る経路を確認することができる。一方で、ユーザは、到達確率の低い、あまり通行した経験の無いリンクを通行して目的地に至る経路を組み立てることができる。
さらに、提供部60は、地点ごとの地点到達確率とともに、各リンクの渋滞情報、通行規制情報、事故情報その他の交通情報を提示することができる。
図13は、推測された目的地と、その目的地に至る経路と、交通情報を提供する場合の画像例を示す図である。図13に示すように、提供部60は、ディスプレイ801を介して、車両の現在位置Qと、目的地として推測された地点Bと、現在位置Qから目的地である地点Bへ至る2つのリンク(経路)と、各経路に関する交通情報の発生とその位置を地図上に重畳させた画像を示す。また、提供部60は、スピーカ802を介して、推測された目的地(地点B)をユーザに提案し、ユーザの意図を確認するため、「よろしければ、Bまでの経路をご案内します」との問いかけを出力する。さらに、提供部60は、スピーカ802を介して、情報提供時に発生している交通情報、例えば事故情報に関して「いつもの道で事故発生、迂回するなら次を右折です」との音声情報を出力する。
経路探索部600は、位置検出装置200から取得した現在位置と、提供部60から取得した推測目的地又は確定目的地に基づいて、地図情報500を参照し、現在位置から目的地までの経路を探索する。
経路探索部600は、探索した経路の情報を案内部700へ送出する。案内部700は、探索された経路の情報に基づいて案内情報を作成する。案内部700は、経路情報基づき、渋滞情報、通行規制情報その他の交通情報を参照し、案内情報を作成する。
案内部700は、作成した案内情報を入出力部800のディスプレイ802、スピーカ802を介して出力する。
なお、到達地点推測部50により推測された目的地に基づいて、車両の走行に必要な情報を提供する処理は、特に限定されず、一般のナビゲーション装置において行われる処理を用いることができる。
さらに、本実施形態の情報提供装置100を用いて、具体的に情報提示の態様を説明する。
<第1の例>
図14は、自宅Aと事務所Bと店舗Cと本社Dとの位置関係、及び、各地点に到達するために車両が利用するリンクの配置を示す図である。
図15(A)は、図14に示す各地点を含む道路網を構成するリンクの番号(ID)と、自車両が走行した経路(リンク)とその回数を示す図である。図15(B)は、同図(A)に示すリンク及び地点に関する走行履歴を示す図である。
図15(B)に示すように、本例では、自車両が、自宅Aを出てリンク1からリンク3に進み事務所Bで停車する走行を12回行い、自宅Aを出てからリンク1、2、4、6を通行し、店舗Cで停車する走行を4回行い、事務所Bを出てからリンク3、4、5、7を通行し、本社Dで停車する走行を8回行う走行履歴が蓄積されている。
図15(C)は、同図(A)に示すリンク及び地点に関する走行履歴と、この走行履歴から求めた通行係数および停車係数を示す図である。
第1の例では、図15に示す状況を前提として、車両が自宅Aを出発し、リンク1を走行中のタイミングで、各所定の地点及び各リンク(又はリンク上の地点)に到達する地点到達確率を算出する。
第1実施形態において説明したリンク通行率の算出処理を行った結果、図16に示すように、各リンクのリンク通行率を得ることができた。同じく、第1実施形態において説明した地点到達確率の算出処理を行った結果、図16に示すように、各地点の地点到達確率を得ることができた。
すなわち、処理開始時の車両の現在位置を含むリンク1のリンク通行率を1とする。第1リンクとしてのリンク1から第2リンクとしてのリンク2に移行する通行係数は25%、第1リンクとしてのリンク1から第リンクとしてのリンク3に移行する通行係数は75%である。よって、この状況下で車両がリンク3を通行するリンク通行率は75%であり、車両がリンク2を通行するリンク通行率は25%である。さらに、車両がリンク3に進みかつ事務所Bに停車する地点到達確率は、リンク3のリンク通行率75%に地点Bの停車係数60%を乗じて45%となる。他方、車両がリンク3を経由してリンク4へ進むリンク通行率は、リンク3のリンク通行率75%にリンク3からリンク4へ進む通行係数40%を乗じて30%となる。
さらに、リンク4のリンク通行率は、リンク2又はリンク3を経由してリンク4を通行した場合を考慮して、合流するリンク2からリンク4のリンク通行率とリンク3からリンク4のリンク通行率を合計し、55%となる。
さらにまた、リンク4はリンク5及び6に再び分岐するため、それぞれの通行係数(33%,67%)に基づき、リンク5のリンク通行率37%とリンク6のリンク通行率18%に配分される。
リンク6を通行し、店舗Cで停車する停車係数は100%であるから、店舗C(地点C)の地点到達確率は18%となる。リンク5を通行し、本社Dで停車する停車係数は100%であるから、本社D(地点D)の地点到達確率は37%となる。
このように、図15に示す実際の走行履歴によれば、自宅Aから事務所Bに行く確率は12/16=75%、自宅Aから店舗Cに行く確率は4/16=25%であるため、走行履歴にのみ基づいて自宅Aを出発地とする目的地を推測した場合は、本社Dを目的地として提案することができない。
しかしながら、本実施形態の情報提供装置100によれば、地点Bに至る地点到達確率が45%、地点Cに至る地点到達確率が18%、地点Dに至る地点到達確率が37%と、実際には直接に行ったことがない本社Dに対しても地点Bに次ぐ高い到達確率が与えられ、目的地として提案することができる。
このように、本実施形態の情報提供装置100によれば、走行履歴に蓄積の無い目的地の可能性(本例では自宅から本社Dに直接行く可能性)をも含めて、現在位置から各地点に至る地点到達確率を算出することができる。すなわち、本実施形態の情報提供装置100は、走行履歴に基づいて目的地を推測する場合に、過去に直接行ったことのない場所については目的地として提案することができないという問題を解決し、走行履歴の結果を反映しつつ、目的地と推測できる地点を広く提案することができる。
<第2の例>
さらに、図17に基づいて、地点Bを出発地とする場合の地点到達確率の算出手法を説明する。
第2の例では、図15に示す状況を前提として、車両が事務所Bを出発し、リンク3を走行するタイミングで、各所定の地点及びリンク上又はリンク近傍の地点に到達する地点到達確率を算出する。
図15の通行係数、停車係数を見ると、リンク3からリンク4に進む通行係数が40%、地点Bに停車する停車係数が60%であるが、車両は地点Bを出発した直後であるため、処理開始時における現在位置を含むリンク3のリンク通行率は100%とする。また、地点Bを出発した車両が地点Bに停車する可能性はゼロと判断できるため、上流側のリンク3から下流側のリンク4に移動する車両の通行係数は100%となる。
このため、リンク4のリンク通行率は、1×1(100%×100%)=100%となる。リンク4は進行方向に沿ってリンク5とリンク6に分岐する。
リンク4はリンク5及び6に再び分岐するため、それぞれの通行係数(33%,67%)に基づき、リンク5のリンク通行率67%とリンク6のリンク通行率33%に配分される。
リンク6を通行し、店舗Cで停車する停車係数は100%であるから、店舗C(地点C)の地点到達確率は33%となる。リンク5を通行し、本社Dで停車する停車係数は100%であるから、本社D(地点D)の地点到達確率は67%となる。
このように、図17に示す実際の走行履歴によれば、事務所Bから店舗Cに行った走行履歴は無いため、走行履歴にのみ基づいて事務所Bを出発地とする目的地を推測する場合、店舗Cを目的地とする可能性を算出することはできない。
しかしながら、本実施形態の情報提供装置100によれば、地点Bから店舗Cに至る地点到達確率が33%、地点Bから本社Dに至る地点到達確率が67%と、実際には直接に行ったことがない店舗Dに対しても地点到達確率が与えられる。
このように、本実施形態の情報提供装置100によれば、走行履歴に蓄積の無い、事務所Bから店舗Cに直接行く可能性までも含めて、現在位置から各地点に至る地点到達確率を算出することができる。すなわち、本実施形態の情報提供装置100は、走行履歴に基づいて目的地を推測する場合に、過去に直接行ったことのない場所については目的地として提案することができないという問題を解決し、走行履歴の結果を反映しつつ、目的地と推測できる地点を広く提案することができる。
本実施形態の情報提供装置100は以上のとおり構成され、動作するので、以下の効果を奏する。
本実施形態の情報提供装置100によれば、走行履歴から求められたリンク間を通行する可能性を示す通行係数を用いて車両が現在位置から各地点に至る地点到達確率を求めるため、過去に直接行ったことがない場所であっても、乗員の走行履歴を反映させた目的地を提案することができる。
つまり、従来のように走行履歴に蓄積された出発地と目的地との直接の対応関係に基づいて目的地を推測する場合は、ある場所を出発地としたときに、過去にその場所から直接行った実績がない地点は目的地としての可能性を考慮することができなかった。つまり、出発地と目的地の関係が走行履歴に記録されない限り、目的地の候補として考慮することができない。しかしながら、出発地が異なる場合や、経由地を目的地とする場合に、今までは最終目的地とならなかった地点が目的地となる可能性も否定できない。本実施形体の情報提供装置100は、このような不都合を解消し、過去に直接行ったことがない場所についても、走行履歴に基づいて目的地としての可能性を判断し、目的地として提案することができる。このため、走行履歴に記録された出発地と目的地との直接的な関係に制約されず、高い自由度を維持しつつ走行履歴を反映させた目的地の推測を行うことができる。
さらに、本実施形態の情報提供装置100によれば、走行が開始された地点から目的地に至る可能性のみならず、走行中のいずれの地点からでも目的地に至る可能性を判断することができる。つまり、走行履歴に「出発地」として記録された地点のみに限らず、任意の地点を出発地と位置づけた目的地に至る可能性を判断することができる。
また、本実施形態では、走行履歴に基づいて、下流側リンクの通行回数を上流側リンクの通行回数で除した値を、隣り合うリンク間の通行係数として算出するため、各地点に車両の停車履歴(走行履歴)に応じた重みづけを付すことができる。さらに、本実施形態では、このような通行係数に基づいて地点に到達する可能性を算出するため、出発地から直接行ったことがなくても(走行履歴がなくても)走行履歴が反映された地点到達確率を得ることができる。つまり、出発地と目的地としての対応関係が走行履歴に記録されていなくても、走行履歴に基づく可能性から目的地を推測し、提案することができる。
さらに、本実施形態では、車両の進行方向に沿って上流側リンクのリンク通行率に、上流側リンクを通行してからこれに隣接する下流側リンクを走行する通行係数を乗じて、目的地に至るまでの各リンクのリンク通行率を算出する。このように、各リンクを通過したか否かといった履歴ではなく、隣接するリンク間の通行を考慮してリンクを通行する可能性を算出するため、車両の経時的な移動のパターンを考慮したリンク通行の可能性を判断することができる。こうして算出されたリンク通行率を用いて目的地に至る可能性を判断するため、走行履歴が反映された目的地の推測を行うことができる。
加えて、本実施形態では、走行履歴に基づいて算出された停車係数とリンク通行率に基づいて、車両が所定の地点に至り、そこで停車する可能性(地点到達確率)を算出するため、停車の走行履歴、すなわち車両が目的を持って到達した履歴(車両を停車させてその施設に赴いた履歴)反映させて、目的地を推測することができる。
また、所定の地点で停車する回数を、車両がその地点に至るにあたり最後に通行するリンクの通行回数で除した値を停車係数とするため、各地点に車両の停車履歴(走行履歴)に応じた重みづけを付すことができる。さらに、本実施形態では、このような停車係数に基づいて地点に到達し、その地点に停車する可能性を算出するため、出発地から直接行ったことがなくても(走行履歴がなくても)リンクと停車地点との関係を示す走行履歴が反映された地点到達確率を得ることができる。つまり、出発地と目的地としての対応関係が走行履歴に記録されていなくても、走行履歴に基づく可能性から目的地を推測し、提案することができる。
さらに、本実施形態では、車両が所定の地点に至るにあたり最後に通行するリンクのリンク通行率に、停車係数を乗じて、車両が現在位置から所定の地点に至り、その地点に停車する可能性を示す地点到達確率を算出する。このように、各地点に停車したか否かといった履歴ではなく、あるリンクを通行し、所定の地点に停車したかといった通行リンクと停車地点との関係を考慮して、所定の地点に停車する可能性を算出するため、車両の経時的な移動のパターンの履歴を考慮して停車する地点を推測することができる。このように、リンク通行率と停車係数から目的地に至る可能性を判断するため、走行履歴が反映された目的地の推測を行うことができる。
また、車両の現在位置を含むリンクのリンク通行率を1(100%)と定義し、車両が現在位置から所定の地点に至るまでに通行する各リンクのリンク通行率を通行係数を用いて順次算出するため、正確なリンク通行率、ひいては正確な地点到達確率を算出することができる。つまり、現在位置を含むリンクを通行する確率は100%であるという現在の事実と、過去の走行履歴とに基づいて、車両が通行するリンク、車両が向う目的地を正確に推測することができる。
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、走行履歴が所定の時間帯ごとに作成され、所定の時間帯ごとに通行係数及び/又は停車係数を算出し、所定の時間帯ごとに地点到達確率を算出する点に特徴がある。
また、第2実施形態は、現在位置から目的地に至るには時間がかかるが、目的地に至るまでの時間を考慮して参照する走行履歴を選択し、目的地へ至る時刻を考慮した地点到達確率を算出する点にも特徴がある。
以下、図面に基づいて第2実施形態について説明する。本実施形態のブロック構成図を図18に示す。第2実施形態の情報提供装置100´は第1実施形態の情報提供装置100と基本的に共通するので、重複した説明を避け、本実施形態の特徴的な点を中心に説明する。
まず、本実施形態の車両情報取得部10は、タイマー11を備え、車両情報に、当該車両情報が検出された時刻の時間情報又は取得された時刻の時間情報を付す。もちろん、位置検出装置200から取得する現在位置に付された時刻をそのまま走行履歴に蓄積してもよいし、車両コントトーラ400から取得する車両情報に付された時刻をそのまま走行履歴に蓄積してもよい。
また、蓄積部20は、車両情報に付された時間情報に基づいて、所定の時間帯ごとに車両情報を地図情報に含まれるリンク又は地点に対応づけた時間帯別走行履歴22を作成する。さらに、蓄積部20は、車両情報が検出又は取得された時間情報に基づいて、地図情報500を参照し、所定のリンクの走行開始時間とそのリンクの走行終了時間(又は次のリンクの走行開始時間)とから、そのリンクの通行に要した時間(走行時間)を求め、その走行時間をリンクIDに対応づけて走行履歴に蓄積する。
作成された時間帯別走行履歴22の一例を図19に示す。図19に示すように、本実施形態の時間帯別走行履歴22は、各第1リンク(上流側リンク)の通行回数と、第1リンクに隣接する第2リンク(下流側リンク)の通行回数と、そのリンクの走行時間が、所定の時刻帯ごとに整理されている。
図19の時間帯別走行履歴22によれば、月曜日の5時〜6時の間に、リンク1を第1リンクとする走行が20回発生し、そのうち12回はリンク1からリンク2に進む走行であり、8回はリンク1からリンク3に進む走行である。また、月曜日の5:00〜6:00において、車両がリンク1を走行するのに要した平均時間は13秒である。
図19に示す時間帯別走行履歴22は、曜日ごと、その曜日の時刻帯(1時間ごと)に整理されているため、時間帯別走行履歴2に付された曜日又は時刻帯のタグにより、特定の曜日の走行履歴、特定の時刻帯の走行履歴を読み込むことができる。よって、後述する係数算出部30は、処理実行時の曜日、現在時刻に応じた時間帯別走行履歴22を参照することができる。
なお、本例では、曜日と時刻帯ごとに整理された時間帯別走行履歴21を説明したが、時間帯別走行履歴21はこれに限定されず、この他に例えば月ごとに整理された時間帯別走行履歴21や、季節(月によって予め定められた季)ごとに整理されたものであってもよい。
また、図19に示す時間帯別走行履歴22は、第1リンクの走行に要する走行時間が曜日ごと、時刻帯ごとに整理されている。この値の算出手法は特に限定されないが、本例では一のリンクの走行に要する時間の平均値を、そのリンクの走行時間とする。
時間帯別走行履歴22を参照する際、複数の時間条件を組み合わせた時間帯の走行履歴を参照することも可能である。例えば「休日の午前中」という時間条件を与えた場合は土曜日及び日曜日の時刻0時〜12時の時刻帯の全ての時間帯別走行履歴22を読み出すことができる。係数算出部30は、複数の時間条件を組み合わせた時間帯の通行回数を参照することも可能である。通行回数を得る場合、各時間帯別走行履歴22に含まれる通行回数を全て抽出し、加算すればよい。また、走行時間を得る場合には、各時間帯別走行履歴22に含まれる平均処理された走行時間と通行回数の積和を合計し、各時間帯別走行履歴22に含まれる通行回数の総和で除算すれば、複数の時間条件を満たす時間帯の所定リンクの走行時間の平均値を得ることができる。
図20は、蓄積部20による各時間帯別走行履歴22の生成処理の制御手順を示すフローチャート図である。図20に示す処理は、図4に示す第1実施形態の蓄積部20の処理と基本的に共通する。
図4のS301と同様に、処理開始後、前回の走行の終了時に車両が存在していたリンクIDを、車両が直前に通行していたリンクIDとして走行履歴21に記録する(S1302)。初期化の段階のステップS1302において、蓄積部20は、計測開始時刻に現在時刻をセットする。これはリンクを車両が実際に走行する走行時間を計測するため、計測時間軸のゼロ点を設定するためである。
続く、S1302〜S1306の処理は、図4に示すS302〜S305と共通する。
S1306で通行回数のカウントアップ処理が完了したら、続くS1307で、その時点での現在時刻と先に設定した計測開始時刻との差をとり、第1リンクの走行が開始された時刻から、現在時刻までの経過時間を求める。これが第1リンクを走行するのに「今回」要した走行時間となる。走行時間として記録するのが平均時間であるならば、既に書き込まれている平均時間と第1リンクの走行時間と第1リンクの通行回数とから新たな平均時間を算出する。
既に前段の走行履歴の更新処理で通行回数の総数は1増やされているので、これをnとすると旧平均走行時間に(n−1)を乗じたものに今回の走行時間を加算し、それをnで割ったものが新たな走行時間(平均された走行時間)となる。このように、リンクを走行するたびに時間帯別走行履歴22の走行時間を更新する。
引き続きステップS1308で第2リンクを上流側リンクである第1リンクにセットした後、S1309で計測開始時刻を現在時刻にセットし直し、次のリンクの走行時間の計測に備える。それ以降の処理は図4のS307の処理と共通する。
続いて、係数算出部30について説明する。係数算出部30は、所定の時間帯ごとに蓄積された時間帯別走行履歴22を参照し、車両の進行方向に沿って上流側に位置する第1リンク(上流側リンク)を通行してからこの第1リンク(上流側リンク)に隣接する第2リンク(下流側リンク)を通行する可能性を示す時間帯別通行係数311Aを算出する。
また、係数算出部30は、所定の時間帯ごとに蓄積された時間帯別走行履歴22を参照し、車両が所定の地点で停車する可能性を示す時間帯別停車係数312Aを算出する。これら時間帯別通行係数311A及び時間帯別停車係数312Aは、係数算出部30が記憶する。
次に、本実施形態の地点到達確率算出部40について説明する。地点到達確率算出部40は、時間帯別通行係数311Aに基づいて、車両が現在位置から所定の地点に至るまでに通行する各リンクのリンク通行率を算出する。また、地点到達確率算出部40は、算出されたリンク通行率と、時間帯別通行係数311A及び時間帯別停止係数312Aとに基づいて、車両が現在位置から所定の地点に至り、当該所定の地点に停車する可能性を示す地点到達確率を所定の地点ごとに算出する。
このように、時間帯別通行係数311A及び時間帯別停止係数312Aを参照して、地点到達確率を算出することにより、時間帯ごとの通行履歴を反映させた地点到達確率を算出することができる。
ところで、地点到達確率を算出するにあたり、どの時間帯の時間帯別通行係数311A及び時間帯別停止係数312Aを参照するべきかが問題となる。目的地が出発地の近傍である場合は、目的地に至るまでに要する時間は無視でき、現在時刻が属する時間帯のものを参照することもできるが、目的地が出発地から遠い場合は、目的地に至るまでに要する時間が長く、そのリンクを通行する時刻が現在時刻と大きく異なることが考えられる。
このため、本実施形態の地点到達確率算出部40は、リンク通行率の算出対象となるリンクに到達する時刻を予測し、その予測到達時刻に対応する時間帯別通行係数311A及び時間帯別停止係数312Aを参照して、リンク通行率を算出する。
つまり、本実施形態の地点到達確率算出部40は、時間帯別走行履歴22に蓄積された各リンクの通行に要した走行時間に基づいて、車両が現在位置からリンクに至る時刻を予測し、予測された予測到達時刻に応じた時間帯の時間帯別通行係数311Aに基づいて、車両が現在位置から所定の地点に至るまでに通行する各リンクのリンク通行率を算出し、そのリンク通行率に基づいて、車両が現在位置から所定の地点に至る地点到達確率を算出する。
また、停車の履歴を考慮する場合、本実施形態の地点到達確率算出部40は、時間帯別走行履歴22蓄積されたリンクの通行に要した時間に基づいて、車両が現在位置からリンクに至る時刻を予測し、予測された予測到達時刻に応じた時間帯の通行係数及び停車係数に基づいて、車両が現在位置から所定の地点に至り、その所定の地点に停車する地点到達確率を算出する。
ここで、処理対象となるリンクへの予測到達時刻は、時間帯別走行履歴22に蓄積された各リンクを走行するのに要する走行時間を用い、現在地から目的地に至るまでに辿るリンクの走行時間を累積することにより算出することができる。
リンク通行率を順次算出するにあたり、8時〜9時の時間帯別通行係数を用いて各リンクの通行率を算出したとする。しかし、この処理が進み、すなわち現在位置から遠い位置にあるリンクのリンク通行率を算出したとしても、実際にそのリンクを通行する時間帯は8時〜9時よりも遅い可能性が高い。このため、本実施形態では、図21に示すように、各リンクを走行する走行時間を順次積算し、そのリンクに到達する時刻を予測する。そして、地点到達確率算出部40は、その予測到達時刻に応じた時間帯別通行係数311A及び時間帯別停止係数312Aを参照して、リンク通行率を算出する。
このため、本実施形態では、図8及び図9で説明した第1実施形態の確率展開表41に記録する情報に、各リンクの予測到達時刻Taを追加する。そして、各リンクのリンク通行率を順次算出(展開処理)をするにあたり、その予測到達時刻Taに対応する(そのTaが属する)時間帯の時間帯別通行係数311A及び時間帯別停止係数312Aを参照して、リンク通行率を算出する。
また、時間帯別走行履歴22を参照し、第1リンクを通行するのに要した平均走行時間Δtを参照し、与えられた予測到達時刻Taに加算したものを、隣接する第2リンクの予測到達時刻Taとする。
図22に基づいて、予測到達時刻の算出処理を説明する。図22の例では、車両はリンク5を通行しているから、リンク5の予測到達時刻は現在の時刻となる。そして、第1リンクに隣接する第2リンクのリンク通行率の算出処理が終了したら、リンク5の予測到達時刻(現在時刻)Taにリンク5の平均走行時間Δtを加算してT1を求める。このT1をリンク6、8及び9の予測到達時刻とする。なお、本例では、便宜のため、走行開始時に走行しているリンク5の予測到達時刻を現在時刻としたが、正確な予測到達時刻を算出するためには、あらたなリンクに進入したタイミングの現在時刻をそのリンクの予測到達時刻とすることが好ましい。
図23は、本実施形態の地点到達確率の算出処理の制御手順を示すフローチャート図である。図23に示す処理は、図10に示す第1実施形態の地点到達確率の算出処理と基本的に共通する。ここでは異なる点を中心に説明する。
初期化ステップS1601では初期位置とする第1リンクL0の予測到達時刻Ta(L0)に現在時刻T0をセットする。
各リンクのリンク通行率の算出処理(展開処理)においては、ステップS1603において与えられた予測到達時刻Ta(L)が属する時間帯の時間帯別通行係数311A及び時間帯別停止係数312Aを読み込む。また、Ta(L)が属する時間帯の時間帯別走行履歴22とリンクLの走行時間(平均)を取得する(S1603)。
そして、予測到達時刻Ta(L)に応じた時間帯別通行係数311A及び時間帯別停止係数312Aを参照し、暫定的な地点到達確率(リンク通行率)を算出する(S1604)。
さらに、S1605では、次のリンク通行率算出対象となるリンクの予測到達時刻Tnを求める。
リンク通行率の算出に係るS1606〜S1609の処理は図10に示すS805〜S808までの処理と共通する。
リンク通行率を確率展開表41に記録するにあたり、リンクxのレコードを新規に登録する場合(S1610)は、S1605で求めた予測到達時刻Tnを登録する。一方、リンクxのレコードが既に確率展開表41に存在する場合は、確率展開表41に記録された予測到達時刻Ta(x)が、先に求めたTnよりも遅い時間であるなら、既に記録されたTa(x)を優先し、更新は行わない。
これは、複数のリンクを経由するとリンクが合流することがあるが、合流するリンクのそれぞれの走行時間(走行に要する時間)が異なるために異なる予測到達時刻が算出された場合に対処するために処理である。本実施形態では、予測到達時刻が遅い、すなわちリンクの走行時間が長いものを採用する。
Ta(x)がTnよりも早い時刻であるか、又はリンクxのリンク通行率が既に算出されている状態で、確率展開表41のTa(x)に、必ず更新するべき旨のNC(ノーケア)の記号が書き込まれている場合は、ステップS1610において予測到達時刻をTnに書き換える。
目的地に至る全てのリンクについて処理を終えた後(S1611)、ステップS1612で第1リンクのレコードを更新する際は、予測到達時刻の項目に記号「NC」を書き込む。
これにより、車両が目的地に至る時刻に応じた地点到達確率を算出することができる。
本実施形態の情報提供装置100´は、以上のように構成され、機能するので第1実施形態の情報提供装置100の効果に加え、以下の効果を奏する。
本実施形態の情報提供装置100´によれば、時間帯別に蓄積された走行履歴22に基づいて求められた時間帯別通行係数311Aを用いて時間帯別のリンク通行率を算出するため、時間帯別に所定の地点に至る地点到達確率を算出することができる。
また、本実施形態の情報提供装置100´によれば、時間帯別に蓄積された走行履歴22に基づいて求められた時間帯別通行係数311Aと時間帯別停車係数312Aを用いて時間帯別のリンク通行率を算出するため、時間帯別に現在位置から所定の地点に至り、停車する地点到達確率を算出することができる。
本実施形態では、人の行動が時間に応じてパターン化されていることを考慮し、時間の条件に応じた走行履歴の結果又は傾向を反映させた目的地の提案をすることができる。
さらに、本実施形態の情報提供装置100´は、走行に要する時間を考慮し、そのリンクに到達すると予測される時刻に応じた走行履歴を反映させた目的地の提案をすることができる。
つまり、本実施形態の情報提供装置100´は、リンクの通行に要した走行時間を走行履歴に蓄積し、その走行時間から現在位置から各リンクに至る時刻を予測し、その予測された予測到達時刻に応じた時間帯の時間帯別通行係数311Aを用いて時間帯別のリンク通行率を算出するため、時間帯別に所定の地点に至る地点到達確率を算出することができる。
同じく、本実施形態の情報提供装置100´は、リンクの通行に要した走行時間を走行履歴に蓄積し、その走行時間から現在位置から各リンクに至る時刻を予測し、その予測された予測到達時刻に応じた時間帯の時間帯別通行係数311Aと時間帯別停車係数312Aを用いて時間帯別のリンク通行率を算出するため、時間帯別に現在位置から所定の地点に至り、停車する地点到達確率を算出することができる。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
すなわち、本明細書では、本発明に係るナビゲーション装置1000、2000の一態様として情報提供装置100,100´を備えるシステムを例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、本明細書では、ナビゲーション装置1000の一態様として、位置検出装置200と、記憶装置300と、地図情報500と、経路探索部600と、案内部700と、入出力部800とを備える態様を説明したが、これに限定されるものではない。さらに、情報提供装置100及びナビゲーション装置1000と相互に情報の授受を行う装置として、車両コントローラ400を図示して説明したが、これに限定されず、他の車載装置ともCANシステムを介して相互に情報の授受を行うことができる。
また、本明細書では、情報提供装置100の一態様として、車両情報取得手段の一例としての車両情報取得部11と、蓄積手段の一例としての蓄積部20と、係数算出手段の一例としての係数算出部30と、地点到達確率算出手段の一例としての地点到達確率算出部40と、到達地点推測手段の一例としての到達地点推測部50と、提供手段の一例としての提供部60とを有する装置を説明したが、これに限定されるものではない。