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JP5036459B2 - タイヤ摩耗推定方法及びタイヤ摩耗推定装置 - Google Patents

タイヤ摩耗推定方法及びタイヤ摩耗推定装置 Download PDF

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JP5036459B2 JP2007231557A JP2007231557A JP5036459B2 JP 5036459 B2 JP5036459 B2 JP 5036459B2 JP 2007231557 A JP2007231557 A JP 2007231557A JP 2007231557 A JP2007231557 A JP 2007231557A JP 5036459 B2 JP5036459 B2 JP 5036459B2
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Description

本発明は、タイヤの摩耗の度合を推定する方法とその装置に関するものである。
一般に、タイヤが摩耗すると排水性能が低下し、湿潤路面での制動距離が長くなる。また、スタッドレスタイヤでは、摩耗により氷雪路面上のグリップ性能が低下する。更に、過度の摩耗はトレッドベルトへ水が浸入しタイヤの破壊を引き起こすこともあり、非常に危険である。小型乗用車の場合、タイヤの残溝量が1.6mmになるとスリップサインと呼ばれるゴムの突起が溝部に現れるようになっている。車両の走行安全性を考えると、上記スリップサインの出現より前にタイヤは交換されるべきであるが、こういったメンテナンスに無関心な運転者も少なくないのが現状である。
運転者への警告のため、タイヤの摩耗を自動的に検出する技術が求められている。また、車両制御の面からも、摩耗によるタイヤ特性の変化を把握し、より安全な制御を実現することが期待されている。
タイヤの摩耗を推定する方法としては、従来、GPSや光学センサなどにより車両の絶対速度を算出してこれを車輪回転速度と比較することによりタイヤ動半径を算出し、このタイヤ動半径と新品時のタイヤ半径の差からタイヤ摩耗量を求める方法が知られている。しかし、完全に摩耗したタイヤであっても、その回転数と新品タイヤの回転数との差は高々1%程度であるため、上記タイヤ半径の差からタイヤ摩耗量を求めるためには、高い精度の計測が必要なだけでなく、実際の走行においては、旋回時の内外輪誤差や、制駆動時の加速度スリップによる誤差、勾配に伴う誤差などを含むため、安定して精度の良い推定を実現することが困難であった。
そこで、トレッド部に磁性材料から成る検知体を埋め込んでおくとともに、車体側に磁気センサを配置して、タイヤの摩耗により上記検知体が摩耗して検出信号が変化することを検知してトレッド部の摩耗を推定する方法や、導電ゴムから成る抵抗体を備えたセンサを埋め込んでおき、タイヤの摩耗により上記センサの特性値が変化することを検知してトレッド部の摩耗を推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2003−214808号公報 特開2005−28950号公報
しかしながら、トレッド部に磁性材料や導電ゴムを埋め込む方法では、摩耗が進展すると検知体やセンサが接地面に露出するため、タイヤの耐久性への悪影響が懸念されるだけでなく、トレッドゴムとは異なる物性のゴムがトレッド表面に露出した場合には、タイヤのグリップ力が低下してしまうといった問題やこれらが亀裂破壊核となるなどの問題があった。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、耐久性に優れるとともに、タイヤの摩耗度合を精度よく推定することのできる方法とその装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
本願の請求項1に記載の発明は、タイヤの摩耗を推定する方法であって、タイヤトレッド部の幅方向中心にセンサを配置して、タイヤトレッド幅方向中心の接地時間を複数の異なるタイヤ速度にて計測して、各タイヤ速度におけるタイヤの接地長をそれぞれ算出するとともに、上記算出された接地長の大きさを比較してタイヤの摩耗の度合を推定することを特徴とするものである。
一般に 高速走行時には、遠心力によってタイヤセンター部の接地長は短くなるが、本発明者が検討した結果、摩耗したタイヤは摩耗していない新品のタイヤに比べて接地長がより短くなることが判明した。また、このような現象は、摩耗形態が異なっていても安定して発生していた。したがって、請求項1に記載の発明のように、各タイヤ速度における接地長の大きさを比較すれば、タイヤの摩耗形態が異なった場合でも、タイヤの摩耗の度合を精度よく推定することができる。
なお、タイヤの接地長は、接地時間にタイヤ速度を掛け合わせることにより求められる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記算出された接地長のデータから接地長の速度に対する変化率である接地長変化率を算出し、この算出された接地長変化率からタイヤの摩耗の度合を推定することを特徴とする。このように、タイヤの摩耗の度合の推定に上記のような接地長変化率を用いるようにすれば、速度差の大きさによる誤差を最小限にすることができるので、接地長の差や接地長の比のような、単に接地長の大きさからタイヤの摩耗の度合を推定する場合に比べて、推定精度を向上させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記算出された接地長のうちから2つの接地長を選択し、これらの接地長の差を上記2つの接地長に対応する2つのタイヤ速度の差で除した値を接地長変化率としたもので、これにより、接地長変化率を容易に算出することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記算出された接地長のうちの所定の速度範囲における接地長のデータから、上記速度範囲における接地長を速度の関数として近似し、この近似された関数から上記接地長の速度に対する変化率を算出し、これを接地長変化率としたものである。これにより、接地長と速度との関係が非線形である場合でも接地長変化率を精度良く算出することができるので、タイヤの摩耗の推定精度を向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記接地長変化率と、荷重又は荷重の増減に応じてその値が変化する荷重の指標、もしくは、荷重又は上記荷重の指標を変数とする関数を用いて、荷重に対して基準化された変化率である基準化接地長変化率を算出し、この算出された基準化接地長変化率からタイヤの摩耗の度合を推定するようにしたものである。このように、上記接地長変化率を、荷重又は荷重の増減に応じてその値が変化する荷重の指標、もしくは、荷重又は上記荷重の指標の関数を用いて補正して基準化してやれば、接地長変化率の荷重による変動を小さくすることができるので、タイヤの摩耗推定精度を更に向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記荷重の指標を接地長もしくは接地時間をタイヤ1回転に要する時間で除した接地時間比としたものである。接地長も接地時間比も荷重の増減に応じて増減するので、荷重の指標として十分に使用可能である。
これにより、荷重を直接測定することなく、接地長変化率を基準化できる。
また、請求項7に記載の発明は、タイヤの摩耗を推定する方法であって、タイヤトレッド部の幅方向中心にセンサを配置して、タイヤトレッド幅方向中心の接地時間を複数の異なるタイヤ速度にて計測し、この接地時間をタイヤ1回転に要する時間で除して、各タイヤ速度における接地時間比を算出するとともに、上記算出された接地時間比の大きさを比較してタイヤの摩耗の度合を推定することを特徴とするものである。
接地時間をタイヤ1回転に要する時間で除したタイヤ接地時間比は接地長とかなり高い相関を示すので、請求項2に記載の接地長の大きさを比較するのに代えて、タイヤ接地時間比の大きさを比較してもタイヤの摩耗を精度よく推定することができる。
タイヤ接地時間比を用いた場合には、タイヤ速度を算出するために必要なタイヤ周方向情報(もしくは、タイヤ半径)が不要である。また、長さをメジャーとして用いる場合と同様に、速度が変動しても1つの基準で安定した推定が可能となる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記算出された接地時間比のデータから接地時間比の速度に対する変化率である接地時間比変化率を算出し、この算出された接地時間比変化率からタイヤの摩耗の度合を推定するようにしたもので、接地時間比を用いる場合も、上記のような接地時間比変化率を用いるようにすれば、接地長変化率を用いる場合と同様に、速度差の大きさによる誤差を最小限にすることができ、摩耗推定精度を向上させることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記算出された接地時間比のうちから2つの接地時間比を選択し、これらの接地時間比の差を上記2つの接地時間比に対応する2つのタイヤ速度の差で除した値を接地時間比変化率としたもので、これにより、接地時間変化率を容易に算出することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記算出された接地長のうちの所定の速度範囲における接地時間比のデータから、上記速度範囲における接地時間比を速度の関数として近似し、この近似された関数から上記接地時間比の速度に対する変化率を算出し、これを接地時間比変化率としたものである。これにより、接地時間比と速度との関係が非線形である場合でも接地長変化率を精度良く算出することができるので、タイヤの摩耗の推定精度を向上させることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項8〜請求項10のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記接地時間比変化率と、荷重又は荷重の増減に応じてその値が変化する荷重の指標、もしくは、荷重又は上記荷重の指標を変数とする関数とを用いて、荷重に対して基準化された変化率である基準化接地時間比変化率を算出し、この算出された基準化接地時間比変化率からタイヤの摩耗の度合を推定するようにしたものである。このように、上記接地時間比変化率についても、荷重又は荷重の増減に応じてその値が変化する荷重の指標、もしくは、荷重又は上記荷重の指標を変数とする関数を用いて補正して基準化してやれば、荷重による変動を小さくすることができるので、タイヤの摩耗推定精度を更に向上させることができる。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記荷重の指標を、接地長をもしくは接地時間比としたもので、これにより、荷重を直接測定することなく、接地長変化率を基準化できる。
請求項13に記載の発明は、請求項1〜請求項12のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記センサを加速度センサとするとともに、この加速度センサで検出された加速度の時系列波形、または、上記加速度を微分した値の時系列波形、または、上記加速度を積分した値の時系列波形のいずれかの時系列波形から、上記接地時間を算出するようにしたもので、これにより、タイヤの接地時間を精度よく算出することができる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記加速度の検出方向をタイヤ径方向、または、タイヤ周方向としたもので、これにより、接地端をピークとして検出できるので、タイヤの接地時間を更に精度よく算出できる。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜請求項12のいずれかに記載のタイヤの摩耗推定方法において、上記センサを歪センサとするとともに、この歪センサで検出されたタイヤ周方向歪の時系列波形、または、上記歪を微分した値の時系列波形、または、上記歪を積分した値の時系列波形のいずれかの時系列波形から、上記接地時間を算出することを特徴とするものである。このように、上記加速度に代えて、タイヤトレッド部の周方向歪波形を用いても、タイヤの摩耗を精度よく推定することができる。
請求項16に記載の発明は、請求項13〜請求項15のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記時系列波形に現れる踏み込み端側のピーク、及び、蹴り出し端側ピークを検出し、上記2つのピーク間の時間を算出してこれを接地時間とすることを特徴とするもので、これにより、タイヤの接地時間を更に精度よく算出できる。
請求項17に記載の発明は、請求項1〜請求項16のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記センサをタイヤのインナーライナー部に配置したもので、これにより、センサをトレッドゴム内に配置する場合に比べて、センサの耐久性を向上させることができる。
請求項18に記載の発明は、請求項1〜請求項17のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記接地時間を計測するタイヤ速度のうち、少なくとも1つのタイヤ速度は80km/hrを超えていることを特徴とするもので、これにより、遠心力の影響が大きくなる領域の速度が含まれるので、上記各変化率の値を大きくすることができる。したがって、タイヤの摩耗を更に精度よく推定することができる。
請求項19に記載の発明は、請求項2〜請求項18のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法において、タイヤの摩耗の度合と接地長変化率との関係、もしくは、タイヤの摩耗の度合と接地時間比変化率との関係を予め求めておき、この予め求めておいたタイヤの摩耗の度合と接地長変化率との関係、もしくは、タイヤの摩耗の度合と接地時間比変化率との関係と、算出された接地長変化率、もしくは、算出された接地時間比変化率とを比較してタイヤの摩耗の度合を推定することを特徴とするもので、これにより、タイヤの摩耗の度合を更に精度よく推定することができる。
請求項20に記載の発明は、請求項2〜請求項19のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法において、複数の接地長変化率もしくは複数の接地時間比変化率からタイヤの摩耗の度合を推定するようにしたもので、これにより、例えば、複数の接地長変化率の平均値もしくは複数の接地時間比変化率の平均値からタイヤの摩耗の度合を推定することが可能となるので推定精度を更に向上させることができる。
請求項21に記載の発明は、タイヤの摩耗を推定する装置であって、トレッド部のタイヤ周方向もしくはタイヤ径方向の加速度を検出する加速度センサと、上記検出された加速度の時系列波形、もしくは、上記加速度を微分した値の時系列波形、もしくは、上記加速度を積分した値の時系列波形から、予め設定された複数のタイヤ速度ごとに、タイヤの接地長、もしくは、タイヤの接地時間比を算出する接地状態量算出手段と、各タイヤ速度ごとに算出された接地長、もしくは、接地時間比のタイヤ速度に対する変化率を算出する変化率算出手段と、上記変化率に基づいて、タイヤの摩耗を推定する摩耗状態推定手段とを備えたものである。これにより、上記のタイヤ摩耗推定方法を実現するための装置を得ることができる。
請求項22に記載の発明は、タイヤの摩耗を推定する装置であって、トレッド部の周方向歪を検出する歪センサと、上記検出された周方向歪の時系列波形、もしくは、上記周方向歪を微分した値の時系列波形、もしくは、上記周方向歪を積分した値の時系列波形から、予め設定された複数のタイヤ速度ごとに、タイヤの接地長、もしくは、タイヤの接地時間比を算出する接地状態量算出手段と、各タイヤ速度ごとに算出された接地長、もしくは、接地時間比のタイヤ速度に対する変化率を算出する変化率算出手段と、上記変化率に基づいて、タイヤの摩耗を推定する摩耗状態推定手段とを備えたものである。これによっても、上記のタイヤ摩耗推定方法を実現するための装置を得ることができる。
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
最良の形態1.
図1は、本最良の形態1に係るタイヤ摩耗推定装置10の構成を示す機能ブロック図で、同図において、11はタイヤトレッド部の加速度を検出する加速度センサ、12は上記加速度センサの出力からタイヤトレッド部の加速度の時系列波形を抽出する加速度波形抽出手段、13は上記加速度を微分した値の時系列波形である加速度の微分波形を演算する微分波形演算手段、14は上記加速度の微分波形に現れるタイヤ踏み込み端に対応するピークと蹴り出し端に対応するピークとの時間間隔であるタイヤの接地時間tを算出する接地時間算出手段、15は上記タイヤ踏み込み端に対応するピーク間の時間間隔であるタイヤが1回転に要する時間Tを算出する回転時間算出手段、16は上記回転時間Tとタイヤの動半径とから当該タイヤの速度Vを算出するタイヤ速度算出手段、17は上記算出された接地時間tを上記回転時間Tで除して求められる接地時間比Kを算出する接地時間比算出手段、18は上記算出されたタイヤ速度Vと接地時間比Kとを1組のデータ(V,K)として記憶するためのメモリ18Aと予め求めておいたタイヤ摩耗の度合Mと後述する接地時間比変化率Rとの関係を示すM−Rマップ18Bとを記憶する記憶手段、19は上記メモリ18Aに記憶された複数組のデータ(V,K)から2組のデータ(V1,K1)及びデータ(V2,K2)を選択して、以下の式(1)で表わされる接地時間比変化率Rを算出する接地長変化率算出手段、20は上記算出された接地時間比変化率Rと上記M−Rマップ18Bとを用いて、当該タイヤの摩耗の度合Mを推定する摩耗推定手段である。
接地時間比変化率R=(K1−K2)/|V1−V2|‥‥(1)
本例では、加速度センサ11を、図2に示すように、タイヤ1のインナーライナー部2のタイヤの幅方向中心に、その検出方向がタイヤ径方向になるように配置して、路面からタイヤトレッド3の内面に作用するタイヤ径方向の加速度を検出する。
また、上記加速度波形抽出手段12から摩耗推定手段20までの各手段は車体側に設置されて演算部21を構成する。
上記加速度センサ11の出力信号を演算部21に送る構成としては、例えば、図2に示すように、インナーライナー部2もしくはホイール4に送信器11Fを設置して、上記出力信号を図示しない増幅器で増幅した後、無線にて上記演算部21に送信する構成とすることが好ましい。なお、演算部21をタイヤ側に設けて摩耗推定手段20の判定結果を車体側の図示しない車両制御装置に送信する構成としてもよい。
次に、本最良の形態1に係るタイヤ摩耗推定方法について説明する。
タイヤの摩耗の推定は常時行うものではないが、摩耗推定を行う際には、車輌が高速道路などのような、乾燥アスファルト路面を一定速度で走行しているときに行うことが望ましい。本例では、タイヤ速度推定時にタイヤ速度Vを計測し、所定のタイヤ速度、例えば、V1=80km/hrのときの接地時間比K1と、V2=120km/hrのときの接地時間比K2とを算出して、タイヤの摩耗の度合Mを推定するようにしている。
上記2つのタイヤ速度V1,V2を選択するときには基準としては、一方が「高速」であることが好ましい。上記「高速」とは遠心力の影響が大きくなる速度領域のことを指しており、タイヤの種類にもよるが、80km/hrを超える速度であることが好ましい。両方の速度がともに80km/hr以下である場合には、接地長変化率Rが小さいため、摩耗の推定精度が低下する。逆に、タイヤ速度V1,V2をあまり高速に設定しておくと、ドライバーがそこまで速度を上げない可能性があるので、高い方の速度は120km/hr以下としておく方が実用的である。
タイヤの摩耗を推定する際には、まず、加速度センサ11によりタイヤトレッド3の変形に伴って変形するインナーライナー部2内面のタイヤ径方向の加速度を検出する。加速度波形抽出手段12では、上記加速度センサの出力信号から、上記径方向加速度の時系列波形(以下、加速度波形という)を抽出する。微分波形演算手段13では、上記加速度波形抽出手段12で抽出した加速度を微分した値の時系列波形である加速度の微分波形を演算する。図3(a)は上記加速度波形の一例を示す図で、この加速度は、トレッドが径方向に受けている力にほぼ比例して発生しており、若干の位相差はあるが、径方向の変形量に比例している。また、図3(b)は上記加速度の微分波形の一例を示す図で、その値(加速度微分値)は変形速度に対応している。
図3(b)のピークはトレッドの受けているタイヤ径方向の力が最も変化している点に相当するピークで、時間的に先に現れる左側のピークがタイヤ踏み込み端に対応するピークで、右側のピークが蹴り出し端に対応するピークである。
接地時間算出手段14では上記2つのピーク間の時間間隔を算出し、これをタイヤの接地時間tとして出力する。
なお、ピーク検出においては、加速度センサ11の感度にもよるが、適度なローパスフィルタを掛けてからピーク検出する方がデータが安定する。すなわち、より安定した摩耗推定をすることができる。また、上記ピーク間の時間間隔はタイヤ速度によって大きく変化するので、ローパスフィルタの周波数はタイヤ速度に応じて変える方が、各速度における波形形状を同様にすることができるので、より安定した推定を行うことができる。
一方、回転時間算出手段15では、タイヤ踏み込み端に対応するピーク間の時間間隔を算出し、これをタイヤが1回転に要する時間(回転時間)Tとして出力する。
タイヤ速度算出手段16では、上記回転時間Tとタイヤの動半径とから当該タイヤのタイヤ速度Vを算出する。摩耗によるタイヤの動半径の変化は小さいので、上記タイヤの動半径として新品タイヤのものを用いてもよいが、始めには新品タイヤのものを用い、摩耗の度合の推定後には、逐次、上記推定された摩耗の度合に応じて上記タイヤの動半径を補正する(短くする)ようにすれば、タイヤの摩耗推定精度を高めることができる。
接地時間比手段17では、上記接地時間算出手段14で算出された接地時間と上記回転時間とから当該タイヤの接地時間比K=(t/T)を算出する。この算出された接地時間比Kとタイヤ速度Vとは記憶手段18に送られ、1組のデータ(V,K)としてメモリ18Aに記憶される。
タイヤ速度Vと接地時間比Kとの関係を調べるため、以下の4種の試験タイヤを準備した。言うまでもなく、市場における摩耗の形態にはバラツキがあり、摩耗形態が異なっても推定誤差が小さいことが重要である。そこで、本試験においては、残溝約4mmのタイヤを2種類準備した。
試験タイヤ1〜新品タイヤ ;溝約8mm
試験タイヤ2〜摩耗タイヤ;残溝約4mm、
ショルダー部が摩耗気味
試験タイヤ3〜摩耗タイヤ;残溝約4mm、
センター部が摩耗気味、ショルダー部は残っている形態
試験タイヤ4〜摩耗タイヤ;残溝約2mm、
ほぼ均等に摩耗、スリップサインに近いレベル
上記試験タイヤ1〜4を、フラットベルト試験機上で一定速度で走行させ、タイヤ径方向の加速度を計測し、上記加速度の微分波形を用いて接地長Lを算出した。この接地長Lは、上記接地時間tに上記タイヤ速度Vを乗算して得られる。
用いたタイヤはサイズが205/65R15のタイヤで、荷重は5kN、内圧は230kPaである。また、速度については、40km/hr,80km/hr,120km/hr、及び、160km/hrで行った。その結果を図4のグラフに示す。
グラフの横軸はタイヤ速度V(km/hr)で縦軸は接地長L(m)である。各タイヤ1〜4はトレッド形状がそれぞれ異なっているので、接地形状も大きく異なり、接地長もばらついている。しかし、低速から高速への変化を見ると、摩耗が進むほど高速での接地長が短くなる傾向にあることが分かる。
そこで、上記試験タイヤ1〜4を用い、荷重を4kN〜7kNの範囲で変化させ、上記と同様の実験を行い、V1=80km/hrでの接地時間比K1とV2=120km/hrでの接地時間比K2との差(K2−K1 )を速度差|V2−V1|で除した接地時間比変化率Rを計算した。その結果を図5のグラフに示す。なお、グラフの横軸は残溝量[mm]で、縦軸は接地時間比変化率Rを10000倍した値である。接地時間比Kは高速で小さくなるので、上記接地時間比変化率Rはマイナスの値となる。
グラフから明らかなように、摩耗が進展するほど接地時間比変化率Rの絶対値が大きくなっていることがわかる。したがって、このグラフから接地時間比変化率Rと摩耗の度合Mとの関係を示すM−Rマップ18Bを作成することができる。
本例では、タイヤ速度推定時に、タイヤ速度Vを計測し、所定のタイヤ速度、例えば、V1=80km/hrのときの接地上記間比K1と、V2=120km/hrのときの接地時間比K2とを算出して、タイヤの摩耗の度合を推定するようにしている。
1=80km/hrのときの接地時間比K1と、V2=120km/hrのときの接地時間比K2との算出と記憶とが終了すると、接地時間比変化率算出手段19では、記憶手段18の上記メモリ18Aから2組のデータ(V1,K1)及びデータ(V2,K2)を呼び出し、以下の式(1)を用いて接地時間比変化率Rを算出し、これを摩耗推定手段20に送る。
接地時間比変化率R=(K2−K1 )/|V2−V1|‥‥(1)
摩耗推定手段20では、上記算出された接地時間比変化率Rと、記憶手段18のM−Rマップ18Bとから当該タイヤの摩耗の度合Mを推定する。
なお、荷重が大きいほど接地時間比変化率Rは大きくなるので、必要に応じて荷重の補正をすることが好ましい。
荷重値は車輌にセンサを装着して検知してもよいが、荷重値を直接計測せずに、例えば、接地長などの、荷重との相関が高く、荷重の増減に応じてその値が変化する荷重の指標を用いて荷重による補正を行ってもよい。あるいは、荷重を変数とした関数もしくは荷重の指標を変数とした関数を用いて、荷重による補正を行ってもよい。
本例では、接地時間算出手段14で算出した接地時間tとタイヤ速度算出手段16で算出したタイヤ速度Vとを用いて接地長Lを求め、この接地長Lにより上記接地時間比変化率Rを基準化することにより、上記接地時間比変化率Rを荷重に対して補正した。
接地時間比変化率Rの補正は、例えば、以下のようにして行う。
接地時間比変化率Rを低速度側の接地長L1で除し、この値を基準化接地時間比変化率r(L)とすると、基準化接地時間比変化率r(L)は以下の式(2)で表わせる。
基準化接地時間比変化率r(L1)=(K2−K1)/{|V2−V1|・L1}‥‥(2)
なお、上記低速度側の接地長L1に代えて、高速度側の接地長L2を用いて基準化してもよいし、低速度側の接地長L1と高速度側の接地長L2との平均値L12を用いて基準化してもよい。あるいは、接地長Lそのものではなく、接地長Lを変数とする関数を用いて基準化してもよい。具体的には、荷重が大きな領域では、荷重に対する接地長Lの変化率が小さくなるので、荷重の指標を接地長Lの関数f(L)として求め、この接地長Lの関数である荷重の指標f(L)を用いて上記接地時間比変化率Rを基準化し、この基準化された基準化接地時間比変化率r(L)を用いてタイヤの摩耗の度合を推定すれば、推定精度をさらに向上させることができる。
また、上記接地時間比Kも荷重とよい相関を示すので、この接地時間比Kにより上記接地時間比変化率Rを補正し、荷重に対して基準化するようにしてもよい。
本例では、接地時間比算出手段17で接地時間比Kを算出しているので、接地長Lを別に求めずに、接地時間比Kを用いて基準化する。
接地時間比変化率Rの補正は例えば、以下のようにして行う。
接地時間比変化率Rを低速度側の接地時間比K1で除し、この値を基準化接地時間比変化率r(K)とすると、基準化接地時間比変化率r(K)は以下の式(2)で表わせる。
基準化接地時間比変化率r(K)={(K2/K1)−1}/|V2−V1|‥‥(2)
図6は残溝量[mm]と基準化接地時間比変化率r(K)との関係を示す図で、図5に示した結果よりは、荷重の依存性が少ないことが分かる。したがって、上記基準化接地時間比変化率r(K)を用いてタイヤの摩耗の度合Mを推定するようにすれば、推定精度を向上させることができる。
なお、この場合にも、上記低速度側の接地時間比K1に代えて、高速度側の接地時間比長K2を用いて基準化したり、低速度側の接地時間比K1と高速度側の接地時間比K2との平均値K12を用いて基準化してもよい。あるいは、上記接地長Lを荷重の指標とした場合と同様に、接地時間比Kそのものではなく、接地時間比Kを変数とする関数を用いて基準化してもよい。
このように本最良の形態1では、タイヤ1のインナーライナー部2内面側に加速度センサ11を設けて、トレッド3のタイヤ径方向の加速度を検出してその微分波形を演算して求め、この加速度の微分波形に現れる踏み込み端側のピークと蹴り出し端側のピークとの時間間隔である接地時間tを算出するとともに、踏み込み端側のピークの周期を算出してこれをタイヤの1回転に要する時間(回転時間)Tとし、この回転時間Tからタイヤの速度Vを算出する一方、上記速度Vにおける接地時間比をK=(t/T)とし、V1=80km/hrのときの接地時間比K1と、V2=120km/hrのときの接地時間比K2とから、以下の式(1)を用いて接地時間比変化率Rを算出し、この接地時間比変化率Rと、予め求めておいたタイヤ摩耗の度合Mと接地時間比変化率Rとの関係を示すM−Rマップ18Bに基づいて当該タイヤの摩耗の度合を推定するようにしたので、タイヤの摩耗形態が異なった場合でも、タイヤの摩耗を精度よく推定することができる。
接地時間比変化率R=(K2−K1 )/|V2−V1|‥‥(1)
また、本発明では、加速度センサ11はタイヤ踏面に露出しないので、耐久性に優れるとともに、グリップ力などのタイヤ性能を損なうことなく、タイヤの摩耗を推定することができる。
なお、上記最良の形態1では、V1=80km/hrのときの接地時間比K1と、V2=120km/hrのときの接地時間比K2との差をタイヤ速度の差|V2−V1|で除した値を接地時間比変化率Rとしたが、図7に示すように、上記算出された接地時間比Kのうちの所定の速度範囲(例えば、V1≦V≦V2)における接地時間比Kのデータから、上記速度範囲における接地時間比Kを速度Vの関数として近似し、この近似された関数の速度Vにおける傾きから上記接地時間比Kの速度Vに対する変化率を算出し、これを接地時間比変化率Rとしてもよい。これにより、接地時間比Kと速度Vとの関係が非線形である場合でも接地時間比変化率Rを精度良く算出することができるので、タイヤの摩耗の推定精度を向上させることができる。
なお、測定点が足りないと接地時間比Kを速度Vの非線形型関数として近似することが難しいので、その場合には、上記所定の速度範囲のデータを、最小二乗法などで直線近似して、この近似した直線の傾きを接地時間比変化率Rとしても、タイヤの摩耗を精度よく推定することができる。
また、上記例では、接地時間を計測するタイヤ速度をV1=80km/hrとV2=120km/hrとしたが、これに限るものではなく、適宜設定すればよい。但し、上記接地時間を計測するタイヤ速度のうち、少なくとも1つのタイヤ速度は80km/hrを超えていることが望ましい。これにより、遠心力の影響が大きくなる領域の速度が含まれるので、上記接地長変化率Rの値を大きくできる。したがって、タイヤの摩耗を更に精度よく推定することができる。
また、上記例では、1つの接地比変化率Rからタイヤの摩耗の度合を推定したが、複数の接地比変化率Rの平均値からタイヤの摩耗の度合を推定するなど、複数の複数の接地時間比変化率Rを用いてタイヤの摩耗の度合を推定すれば、推定精度を更に向上させることができる。
また、上記例では、接地時間比変化率Rを算出してタイヤの摩耗の度合を推定するようにしたが、高速での接地時間比K2と低速での接地時間比K1とを比較してタイヤの摩耗の度合を推定するようにしてもよい。すなわち、図4のグラフに示すように、摩耗が進むと高速での接地長L2は低速での接地長L1よりも短くなるので、上記接地時間比変化率Rを用いた場合よりも推定精度は低くなるが、接地長Lと高い相関のある接地時間比Kについて、高速での接地時間比K2と低速での接地時間比K1との差(K1−K2)、あるいは、上記接地時間比K2と上記接地時間比K1との比(K1/K2)を算出し、上記差(K1−K2)、あるいは、上記比(K1/K2)からタイヤの摩耗の度合を推定することも可能である。
また、上記例では、タイヤ径方向加速度の微分波形を用いて接地時間を算出したが、図8(a)に示すようなタイヤ周方向加速度波形や、図8(b)に示すような径方向加速度の積分波形に現れる2つのピークの時間間隔を計測してこれを接地時間としてもよい。
また、上記加速度センサ11に変えて歪センサを設け、タイヤ周方向歪波形、または、その微分波形、または、その積分波形から接地時間を算出するようにしてもよい。図9はタイヤ周方向歪の微分波形の一例を示す図で、このタイヤ周方向歪波形の微分波形に現れる2つのピーク間の時間を計測しこれを接地時間とすればよい。
また、上記例では、径方向加速度の微分波形のタイヤ踏み込み端側のピークの周期からタイヤの1回転に要する時間(回転時間)を算出したが、タイヤ蹴り出し端側のピークの周期から上記回転時間を求めるようにしてもよい。
また、車輪速センサの出力を用いて当該タイヤの速度を検出するようにしてもよいし、車体側に速度センサもしくは加速度センサを設けて車体速度を計測し、この車体速度からタイヤ速度を求めるようにしてもよい。
最良の形態2.
最良の形態1では、接地時間比の速度に対する変化率からタイヤの摩耗を推定したが、接地長の速度に対する変化率からタイヤの摩耗を推定することも可能である。
図10は、最良の形態2に係るタイヤ摩耗推定装置30の構成を示す機能ブロック図で、図1に示したタイヤ摩耗推定装置10の接地時間比算出手段17に代えて、接地時間算出手段14で算出した接地時間tとタイヤ速度算出手段16で算出したタイヤ速度Vとから、当該タイヤのセンター部の接地長Lを算出する接地長算出手段37を設け、上記記憶手段18に代えて、上記タイヤ速度Vと接地長Lとを1組のデータ(V,L)として記憶するためのメモリ38Aと予め求めておいたタイヤ摩耗の度合Mと後述する接地長比変化率Sとの関係を示すM−Sマップ38Bとを記憶する記憶手段38を設けるとともに、接地時間比変化率算出手段19に代えて、上記メモリ38Aに記憶された複数組のデータ(V,L)から2組のデータ(V1,L1)及びデータ(V2,L2)を選択して、以下の式(3)で表わされる接地長比変化率Sを算出する接地長変化率算出手段39を設け、更に、摩耗推定手段20に代えて、摩耗推定手段40を設けて、上記接地長変化率算出手段39で算出された接地長変化率Sと上記M−Sマップ38Bとから、当該タイヤの摩耗の度合を推定する。
接地長変化率S=(L2−L1 )/|V2−V1|‥‥(3)
タイヤ摩耗推定装置30を上記のような構成にすることにより、加速度センサ11により検出したタイヤ径方向加速度の微分波形を用いてタイヤの接地長Lを算出して、タイヤの摩耗の度合を推定することができる。
上記M−Sマップ38Bを作成するための、タイヤの摩耗の度合Mと接地長Lとの関係については、上記最良の形態1と同様に、上述した4種の試験タイヤ1〜4を用いて求めることができる。
なお、上記接地長変化率Sについても、上記最良の形態1と同様に、上記算出された接地長Lのうちの所定の速度範囲(例えば、V1≦V≦V2)における接地長Lのデータから、上記速度範囲における接地長Lを速度Vの関数として近似し、この近似された関数の速度Vにおける傾きから上記接地長Lの速度Vに対する変化率を算出してこれを接地長変化率Sとしてもよい。あるいは、上記所定の速度範囲のデータを、最小二乗法などで直線近似して、この近似した直線の傾きを接地長変化率Sとすれば、タイヤの摩耗を更に精度よく推定することができる。
また、上記接地長変化率Sも荷重が大きいほど大きくなるので、必要に応じて荷重の補正をすることが好ましい。
接地長Lは荷重とよい相関を示すので、この接地長Lにより上記接地長変化率Sを補正するようにすれば、荷重の依存性を少なくすることができ、タイヤの摩耗の度合Mの推定精度を向上させることができる。
接地長比変化率Sの補正は、例えば、以下のようにして行う。
接地長変化率Sを低速度側の接地長L1で除し、この値を基準化接地時間比変化率sとすると、基準化接地長変化率sは以下の式(4)で表わせる。
基準化接地長変化率s={(L2/L1)−1}/|V2−V1|‥‥(4)
なお、荷重の補正についても、高速度側の接地長L2を用いて基準化してもよいし、低速度側の接地長L1と高速度側の接地長L2との平均値L12を用いて基準化してもよい。あるいは、接地長Lそのものではなく、接地長Lを変数とする関数を用いて基準化してもよい。
また、接地時間比Kも荷重とよい相関を示すので、上記接地長比変化率Sを上記接地時間比Kもしくは接地時間比Kを変数とする関数を用いて基準化してもよい。
また、図4のグラフに示すように、摩耗が進むと高速での接地長L2は低速での接地長L1よりも短くなるので、上記接地長変化率Sを用いた場合よりも推定精度は低くなるが、高速での接地長L2と低速での接地長L1との差(L1−L2)、あるいは、上記接地長L2と上記接地長L1との比(L1/L2)を算出し、上記差(L1−L2)、あるいは、上記比(L1/L2)からタイヤの摩耗の度合を推定するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明のタイヤの摩耗推定装置は、耐久性に優れるとともに、タイヤの摩耗形態によらずタイヤの摩耗を精度よく検知できるので、当該タイヤの摩耗を、例えば、警報手段等を用いてドライバーに認識させるなどすれば、車輌の走行安全性を向上させることができる。
本発明の最良の形態1に係るタイヤ摩耗推定装置の構成を示す機能ブロック図である。 加速度センサの取付け例を示す図である。 タイヤ径方向加速度波形とその微分波形を示す図である。 摩耗の度合をパラメータとしたタイヤ速度と接地時間比との関係を示す図である。 摩耗の度合をパラメータとしたタイヤ速度と接地時間比変化率との関係を示す図である。 摩耗の度合をパラメータとしたタイヤ速度と基準化接地時間比変化率との関係を示す図である。 接地時間比変化率の算出方法の他の例を説明するための図である。 タイヤ周方向加速度波形と径方向加速度の積分波形を示す図である。 タイヤ周方向歪の微分波形を示す図である。 本発明の最良の形態2に係るタイヤ摩耗推定装置の構成を示す機能ブロック図である。
符号の説明
1 タイヤ、2 インナーライナー部、3 タイヤトレッド、4 ホイール、
10 タイヤ摩耗推定装置、11 加速度センサ、11F 送信器、
12加速度波形抽出手段、13 微分波形演算手段、14 接地時間算出手段、
15 回転時間算出手段、16 タイヤ速度算出手段、17 接地時間比算出手段、
18 記憶手段、18A メモリ、18B M−Rマップ、
19 接地時間比変化率算出手段、20 摩耗推定手段、21 演算部。

Claims (22)

  1. タイヤトレッド部の幅方向中心にセンサを配置して、タイヤトレッド幅方向中心の接地時間を複数の異なるタイヤ速度にて計測して、各タイヤ速度におけるタイヤの接地長をそれぞれ算出するとともに、上記算出された接地長の大きさを比較してタイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とするタイヤ摩耗推定方法。
  2. 上記算出された接地長から接地長の速度に対する変化率である接地長変化率を算出し、この算出された接地長変化率からタイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  3. 上記算出された接地長のうちから2つの接地長を選択し、これらの接地長の差を上記2つの接地長に対応する2つのタイヤ速度の差で除した値を接地長変化率としたことを特徴とする請求項2に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  4. 上記算出された接地長のうちの所定の速度範囲における接地長のデータから、上記速度範囲における接地長を速度の関数として近似し、この近似された関数から上記接地長の速度に対する変化率を算出し、これを接地長変化率としたことを特徴とする請求項2に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  5. 上記接地長変化率と、荷重又は荷重の増減に応じてその値が変化する荷重の指標、もしくは、荷重又は上記荷重の指標を変数とした関数とを用いて、荷重に対して基準化された変化率である基準化接地長変化率を算出し、この算出された基準化接地長変化率からタイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  6. 上記荷重の指標を接地長もしくは接地時間をタイヤ1回転に要する時間で除した接地時間比としたことを特徴とする請求項5に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  7. タイヤトレッド部の幅方向中心にセンサを配置して、タイヤトレッド幅方向中心の接地時間を複数の異なるタイヤ速度にて計測し、この接地時間をタイヤ1回転に要する時間で除して、各タイヤ速度における接地時間比を算出するとともに、上記算出された接地時間比の大きさを比較してタイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とするタイヤ摩耗推定方法。
  8. 上記算出された接地時間比から接地時間比の速度に対する変化率である接地時間比変化率を算出し、この算出された接地時間比変化率からタイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項7に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  9. 上記算出された接地時間比のうちから2つの接地時間比を選択し、これらの接地時間比の差を上記2つの接地時間比に対応する2つのタイヤ速度の差で除した値を接地時間比変化率としたことを特徴とする請求項8に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  10. 上記算出された接地時間比のうちの所定の速度範囲における接地時間比のデータから、上記速度範囲における接地時間比を速度の関数として近似し、この近似された関数から上記接地時間比の速度に対する変化率を算出し、これを接地時間比変化率としたことを特徴とする請求項8に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  11. 上記接地時間比変化率と、荷重又は荷重の増減に応じてその値が変化する荷重の指標、もしくは、荷重又は上記荷重の指標を変数とした関数とを用いて、荷重に対して基準化された変化率である基準化接地時間比変化率を算出し、この算出された基準化接地時間比変化率からタイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  12. 上記荷重の指標を接地長もしくは接地時間比としたことを特徴とする請求項11に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  13. 上記センサを加速度センサとするとともに、この加速度センサで検出された加速度の時系列波形、または、上記加速度を微分した値の時系列波形、または、上記加速度を積分した値の時系列波形のいずれかの時系列波形から、上記接地時間を算出することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  14. 上記加速度の検出方向がタイヤ径方向、または、タイヤ周方向であることを特徴とする請求項13に記載のタイヤ摩耗推定方法。
  15. 上記センサを歪センサとするとともに、この歪センサで検出されたタイヤ周方向歪の時系列波形、または、上記歪を微分した値の時系列波形、または、上記歪を積分した値の時系列波形のいずれかの時系列波形から、上記接地時間を算出することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  16. 上記時系列波形に現れる踏み込み端側のピーク、及び、蹴り出し端側ピークを検出し、上記2つのピーク間の時間を算出してこれを接地時間とすることを特徴とする請求項13〜請求項15のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  17. 上記センサをタイヤのインナーライナー部に配置したことを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  18. 上記接地時間を計測するタイヤ速度のうち、少なくとも1つのタイヤ速度は80km/hrを超えていることを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  19. タイヤの摩耗の度合いと接地長変化率との関係、もしくは、タイヤの摩耗の度合いと接地時間比変化率との関係を予め求めておき、この予め求めておいたタイヤの摩耗の度合いと接地長変化率との関係、もしくは、タイヤの摩耗の度合いと接地時間比変化率との関係と、算出された接地長変化率、もしくは、算出された接地時間比変化率とを比較してタイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項2〜請求項18のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  20. 複数の接地長変化率もしくは複数の接地時間比変化率からタイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項2〜請求項19のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
  21. トレッド部のタイヤ周方向もしくはタイヤ径方向の加速度を検出する加速度センサと、上記検出された加速度の時系列波形、もしくは、上記加速度を微分した値の時系列波形、もしくは、上記加速度を積分した値の時系列波形から、予め設定された複数のタイヤ速度ごとに、タイヤの接地長、もしくは、タイヤの接地時間比を算出する接地状態量算出手段と、各タイヤ速度ごとに算出された接地長、もしくは、接地時間比のタイヤ速度に対する変化率を算出する変化率算出手段と、上記変化率に基づいて、タイヤの摩耗を推定する摩耗状態推定手段とを備えたことを特徴とするタイヤ摩耗推定装置。
  22. トレッド部の周方向歪を検出する歪センサと、上記検出された周方向歪の時系列波形、もしくは、上記周方向歪を微分した値の時系列波形、もしくは、上記周方向歪を積分した値の時系列波形から、予め設定された複数のタイヤ速度ごとに、タイヤの接地長、もしくは、タイヤの接地時間比を算出する接地状態量算出手段と、各タイヤ速度ごとに算出された接地長、もしくは、接地時間比のタイヤ速度に対する変化率を算出する変化率算出手段と、上記変化率に基づいて、タイヤの摩耗を推定する摩耗状態推定手段とを備えたことを特徴とするタイヤ摩耗推定装置。
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