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JP5035060B2 - 高密度および低比抵抗を有する酸化チタンターゲットの製造方法 - Google Patents

高密度および低比抵抗を有する酸化チタンターゲットの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、高密度でかつ比抵抗の小さい酸化チタンターゲットの製造方法に関するものである。
一般に、酸化チタン膜は、高屈折率膜として知られているが、その他光触媒膜、透明導電膜などとして使用されるほか、多層膜の一部の反射防止コート膜、反射増加コート膜、干渉フィルター、偏光膜などとして使用されることが知られており、この酸化チタン膜は金属チタンターゲットを用い、酸素を含む雰囲気中でDCスパッタすることにより成膜することが知られている。しかし、この方法で二酸化チタン膜を成膜すると、成膜速度が極めて遅いために生産性が悪く、したがってコストが高くつく。
これを解決するために、TiOx(1<X<2)の成分組成を有する酸化物焼結体からなり、室温での比抵抗値:10Ωcm以上、酸素含有量:35質量%以上のターゲットを作製し、このターゲットを用いてアルゴンと酸素の混合ガス雰囲気中でDC(直流)スパッタすることにより酸化チタン膜を成膜する方法が提案されている。そして、前記TiOx(1<X<2)の成分組成を有する酸化物焼結体からなるターゲットを製造するには、粒径:0.05〜40μmを有する二酸化チタン粉末をカーボンモールドに充填し、温度:1100〜1400℃を保持しながら非酸化性雰囲気中でホットプレスすることにより作製することができるとされている(特許文献1参照)。
特開2004−2202号公報
しかし、二酸化チタン粉末を非酸化性雰囲気中でホットプレスすることにより作製したTiOx(1<X<2)の成分組成を有する酸化物焼結体からなる従来のターゲットは十分な密度が得られず、さらにDCスパッタする際にターゲットに割れが頻発するという問題点があった。
そこで、本発明者らはこれら問題点を解決すべく研究を行った。
その結果、原料粉末としてTi粉末およびTiO粉末を用意し、これら原料粉末を、Ti粉末:1〜20質量%、残部:TiO粉末となるように配合し混合して得られた混合粉末をカーボンモールドに充填し、不活性ガス雰囲気中、温度:1100〜1300℃、圧力:10〜50MPaでホットプレスすることにより得られた酸化チタンターゲットは、従来の方法で得られた酸化チタンターゲットに比べて高密度となり、さらにDCスパッタに際して割れが発生することが無いと言う、研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる研究結果に基づいて成されたものであって、
(1)原料粉末としてTi粉末およびTiO粉末を用意し、これら原料粉末を、Ti粉末:1〜20質量%、残部:TiO粉末となるように配合し混合して得られた混合粉末をカーボンモールドに充填し、真空または不活性ガス雰囲気中、温度:1100〜1300℃でホットプレスする酸化チタンターゲットの製造方法、
(2)前記ホットプレスは、圧力:10〜50MPaで行う前記(1)記載のホットプレスする酸化チタンターゲットの製造方法、に特徴を有するものである。

この発明の酸化チタンターゲットの製造方法は、原料粉末としてTiO粉末にTi粉末を配合し混合した混合粉末を使用することに特徴を有するものであり、原料粉末として一部Ti粉末をTiO粉末に添加し混合して得られた混合粉末を使用してホットプレスを行うことにより酸化チタンターゲットの密度が向上し、さらにDCスパッタに際して割れが発生することが無いとう効果を奏するものである。
原料粉末として一部Ti粉末をTiO粉末に添加し混合して得られた混合粉末を使用してホットプレスを行うこの発明の方法により作製した酸化チタンターゲットが、原料粉末としてTiO粉末のみを使用する従来の酸化チタンターゲットの製造方法により作製した酸化チタンターゲットと比較して高密度となり、さらにDCスパッタに際して割れが発生することが無くなる理由は、ホットプレス中にTiとTiOが反応して導電性の優れたTi17酸化物がターゲット全体にわたって均一に生成し、そのためにターゲットの面内および厚み方向の部分的な抵抗差が少なくなってターゲット全体にわたって均一な比抵抗を有するようになり、DCスパッタ中にターゲットに不均一な歪が発生することがないことによるものと考えられる。
この発明の製造方法により得られた酸化チタンターゲットは、酸素を含む不活性ガス雰囲気中で通常の条件でDCスパッタを行うことにより従来と同じ優れたTiO膜を成膜することができる。
この発明の酸化チタンターゲットを製造する際に使用する混合粉末におけるTi粉末の配合量を1〜20質量%に限定した理由は、Ti粉末の配合量が1質量%未満では、ターゲットの密度が低くなり、さらにDCスパッタ中に割れが発生するので好ましくなく、一方、20質量%を越えて添加すると、ターゲット中に含まれる酸素の量が少なくなってDCスパッタを成膜することにより得られたスパッタ膜の透明性が損なわれるようになるので好ましくないからである。
また、この発明の酸化チタンターゲットの製造方法を実施するためのホットプレス条件は特に限定されるものではないが、ホットプレス温度は通常の1100〜1300℃で行うことが好ましく、さらに圧力は高圧であるほど好ましいので、10MPa以上であることが好ましいが、装置の関係でその上限を50MPa以下に定めた。
この発明の製造方法によると、従来よりも一層高密度でDCスパッタに際して割れが発生することのない酸化チタンターゲットを得ることができ、この発明の製造方法により作製した酸化チタンターゲットを用いると、一層効率よくDCスパッタを行うことができる。
つぎに、この発明の酸化チタンターゲットの製造方法を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも平均粒径:2μmを有する市販のTiO2粉末およびTi23粉末を用意した。
これら原料粉末を表1に示される配合組成となるように秤量し、ジルコニアボールミルで12時間乾式混合した後、得られた混合粉末をカーボンモールドに充填し、表1に示される雰囲気、温度および圧力で表1に示される時間保持することにより直径:160mm×厚さ:7mmの寸法を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工し、いずれも直径:152.4mm×厚さ:5mmの寸法をもったターゲットを作製することにより本発明法1〜8および比較法1〜3を実施した。
さらに、TiO2粉末のみをカーボンモールドに充填し、表1に示される雰囲気、温度および圧力で表1に示される時間保持することによりホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工し、いずれも直径:154mm×厚さ:5mmの寸法をもったターゲットを作製することにより従来法を実施した。
本発明法1〜8、比較法1〜3および従来法で得られたターゲットの密度を測定し、さらにこれらターゲットを銅製バッキングプレートに半田を用いて接着し、パルスDCスパッタ装置を用い、投入電力:3kWとし、5分間スパッタしたのち1分間休止する操作を10回繰り返すことにより10サイクルスパッタテストを行い、ターゲット表面に割れが発生しているか否かを目視にて確認し、その結果を表1に示した。
Figure 0005035060
表1に示される結果から、本発明法1〜8で作製したターゲットは、従来法で作製したターゲットに比べて高密度を有し、さらに10サイクルスパッタテスト後のターゲットに割れが発生することが無いことから、DCスパッタ用ターゲットとして優れた特性を有することがわかる。また、この発明から外れた条件の比較法1〜3で得られたターゲットは好ましくない特性が現れることが分かる。

Claims (2)

  1. 原料粉末としてTi粉末およびTiO粉末を用意し、これら原料粉末をTi粉末:1〜20質量%を含有し、残部:TiO粉末となるように配合し混合して得られた混合粉末を、真空または不活性ガス雰囲気中、温度:1100〜1300℃でホットプレスすることを特徴とする高密度および低比抵抗を有する酸化チタンターゲットの製造方法。
  2. 前記ホットプレスは、圧力:10〜50MPaで行うことを特徴とする請求項1記載の高密度および低比抵抗を有する酸化チタンターゲットの製造方法。
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