JP5075878B2 - 電動機 - Google Patents
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Description
このような構成としては、例えば特許文献1に示されるように、オイルポンプを用いてハウジング下部に溜まった冷却油を噴射ノズルまで汲み上げ、噴射ノズルからコイルに向けて冷却油を噴射するものがある。この時、噴射される冷却油の一部は上方(重力方向上方)に飛散し、毛細管現象により、ハウジング内壁面とステータ外周面との間の隙間に侵入することで、ステータを冷却するとされている。
一方、ヒルホールド状態を維持するためには、モータのトルクを発生させ続ける必要があるので、コイルには電流が供給され続ける。
その結果、モータが過熱され、モータ特性の低下に繋がる虞がある。
そこで、本発明の構成によれば、ステータホルダを介してステータをハウジングに固定することで、ステータホルダとハウジングとの間に中間領域が形成される。この場合、ステータがハウジングとの間に中間領域を挟んで配置されているので、ステータの磁歪振動がハウジングに直接伝達されることがなく、ステータホルダとハウジングとの接触部分のみを経由して伝達されることになる。すなわち、ステータの外周面が直接、ハウジングの内壁面に密着配置されている構成に比べて、ステータの磁歪振動がハウジングまで伝達され難くなるので、磁歪振動がハウジングに伝達されることにより発生するノイズを低減することが可能になる。したがって、NV性能の悪化を抑制することができる。
そして、中間領域に伝熱体を供給することで、ステータとハウジングとの間に空気が介在している場合に比べて、電動機の伝熱性能を向上させることができる。すなわち、ステータで発生した熱は伝熱体を介して効率的に放熱されるため、電動機の過熱を防止して、モータ性能の低下を防止することができる。
この構成によれば、伝熱体槽が、フランジ部に一体形成されることになるので、別部材として伝熱体槽を取り付ける場合に比べて、構成の簡素化を図り、装置コストの低減を図ることができる。
この構成によれば、ステータホルダの周方向に沿って冷媒通路を形成することで、ステータ及び中間領域は冷媒通路によって取り囲まれるように配置される。この場合、中間領域内に介在する伝熱体が冷媒通路を流通する冷媒との熱交換によって冷却され、その結果、冷却された伝熱体との熱交換によってステータが冷却されることになる。よって、ステータを全周に亘って均一、かつ効率的に冷却することができる。
この構成によれば、伝熱体槽内に貯留された伝熱体の熱は、伝熱体槽の固定部に伝達された後、締結手段に伝達され、締結手段から冷媒に向けて速やかに放熱されることになる。これにより、伝熱体槽内に貯留された伝熱体を中間領域内に供給する前段で冷却することができるので、中間領域内での伝熱体とステータとの熱交換を効率的に行わせることができる。その結果、電動機の伝熱性能を向上させることができる。
この構成によれば、ギヤによって掻き揚げられた伝熱体が伝熱体槽に貯留されるため、伝熱体槽内に伝熱体を供給するための供給系(オイルポンプや油路等)を新たに設ける必要がない。これにより、装置コストを低減することができるとともに、構成の簡素化を図り、装置の小型軽量化を実現することができる。
この構成によれば、シャフトの回転時において、伝熱体槽内に連続的に伝熱体が供給されることになるため、より確実に伝熱体槽内に伝熱体を貯留させておくことができる。よって、伝熱体の供給停止時において、電動機の伝熱性能をより長期間に亘って確保することができる。
次に、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では本発明の電動機を燃料電池車両に搭載される車両用駆動モータユニットとして採用した場合について説明する。
(車両用駆動モータユニット)
図1は車両用モータユニットの概略構成断面図であり、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。なお、以下の説明では、図1中左右方向を軸方向、上下方向を重力方向として説明する。
図1,2に示すように、車両用モータユニット(以下、モータユニットという。)10は、モータ23と、減速機13と、デファレンシャルギヤ14とを一体に備えており、モータ23を収容するモータハウジング11と、モータハウジング11の一方側に配置され、減速機13及びデファレンシャルギヤ14を収容するギヤハウジング12と、を備えている。
ステータ21は、複数の磁性板材が軸方向に沿って積層されてなり、後述するステータホルダ50内に固定されている。具体的に、ステータ21は、外周部分を構成するヨーク部33と、ヨーク部33から径方向内側(ロータ22に向かう方向)に向かって突出する複数のティース部34とを備えている。
ティース部34は、周方向に等間隔に複数形成されており、隣り合うティース部34間に形成されたスロット(不図示)にはコイル35が巻き回されている。
収容部44は、内壁面がステータホルダ50の外径よりも僅かながら大きい円筒形状に形成されたものであり、モータ23全体を覆うように形成されている。収容部44を形成する壁部内には、周方向全周に亘ってウォータージャケット(冷媒通路)45が形成されている。このウォータージャケット45は、その内部に冷媒である冷却水を流通させるための流路であり、ウォーターポンプ(不図示)から送出される冷却水がウォータージャケット45内を循環するようになっている。ウォータージャケット45は、モータ23の外周を覆うように円環状に形成されるとともに、軸方向における長さがステータ21の軸方向における長さと同等に形成されている。
仕切壁38の中央部には、軸方向に沿って貫通する貫通孔39が形成されており、この貫通孔39内にはモータ23のロータシャフト24の軸方向他端側を回転可能に支持するベアリング27が挿入されている。そして、ロータシャフト24の軸方向他端側は、貫通孔39を貫通してギヤハウジング12内に臨むように配置されており、その端部に出力ギヤ28が固定されている。
減速機シャフト55は、軸方向両端が仕切壁38とエンド部52とに形成された図示しないベアリングに回転可能に支持され、ロータシャフト24の上方で回転可能に支持されている。
カウンタギヤ56は、減速機シャフト55における軸方向一端側に固定され、上述したロータシャフト24に固定された出力ギヤ28に噛合している。また、ファイナルギヤ57は、減速機シャフト55の軸方向他端側に固定され、デファレンシャルギヤ14に噛合されている。
図1,3に示すように、モータハウジング11には、上述したステータ21を保持するためのステータホルダ50が固定されている。ステータホルダ50は、モータハウジング11の内壁面に沿って形成された円筒部66を備えている。ステータホルダ50は、上述したステータ21を保持した状態でモータハウジング11に固定されるものであり、円筒部66の内周面とステータ21の外周面とが同軸上で密着配置されることにより、円筒部66内にステータ21が固定されている。
そして、モータユニット10内には、油溜69に貯留された油71を用いてベアリング26,27の潤滑等を行うための図示しない油供給機構が設けられている。油供給機構は、上述した油溜69と、ギヤハウジング12内の下部に配置された図示しないオイルポンプと、各ハウジング11,12の壁部に形成され、オイルポンプから送出される油71が通流する図示しない油路とを備えている。この場合、オイルポンプにより汲み上げられた油71は、油路を介して各ベアリング26,27等に供給され、各ベアリング26,27等の潤滑や冷却を行うようになっている。
ここで、図3〜5に示すようにステータホルダ50の外フランジ部67における重力方向最上部には、油71を貯留するための油槽82が形成されている。油槽82は、モータハウジング11の軸方向他端側の端面44aとの間に油71が貯留されるようになっており、端面44aから外フランジ部67の一部が軸方向他端側に離間するように屈曲形成されたホッパー部83を備えている。したがって、ホッパー部83と端面44aとにより、上方に向けて開口する収容部84を構成している。また、ホッパー部83は、下端部から上端部にかけて周方向及び軸方向における収容部84の開口面積が漸次拡大するようなテーパ形状に形成されている。そして、ホッパー部83の上端部は、仕切壁38の連通部53内を臨むような位置まで延出している。したがって、油槽82の収容部84は、ギヤハウジング12の収容部51の上部内壁面に対向している。
一方、収容部44の端面44aには、挿通孔89と周方向における同位置に雌ネジ部90が形成されている。この場合、各雌ネジ部90の底部91は、ウォータージャケット45内を軸方向一端側に向けて隆起している。すなわち、底部91は径方向から見てウォータージャケット45に重なるように配置されている。そして、挿通孔89を通して雌ネジ部90にボルト88が螺入されることで、油槽82の両側で外フランジ部67と端面44aとを密着させることができる。これにより、油槽82に貯留された油71が外フランジ部67と端面44aとの間から漏れることがなく、連通路85以外から流出することを防止することができる。
次に、本実施形態のモータユニット10の作用について説明する。
図1に示すように、ステータ21に巻装されたコイル35に電流が供給されることにより、ステータ21に磁束が発生して、この磁束とロータ22に設けられた永久磁石31との間に生じる磁気的な吸引力や反発力によって、まずロータシャフト24が回転駆動する。すると、この回転力がロータシャフト24の出力ギヤ28を介して減速機13のカウンタギヤ56に伝達され、その後ファイナルギヤ57を介してデファレンシャルギヤ14に伝達される(図1中破線矢印M参照)。これにより、ロータシャフト24の回転力が減速機13で減速されてセンターシャフト61に伝達され、センターシャフト61が回転するようになっている。
このように、本実施形態ではモータハウジング11とステータホルダ50との間の中間領域を環状油路72として利用することで、ステータ21とモータハウジング11との間に空気が介在している場合に比べて、ステータ21の伝熱性能を向上させることができる。すなわち、ステータ21で発生した熱は油71を介して放熱された後、ウォータージャケット45内を流通する冷却液に向けて放熱される。その結果、冷却された油71との熱交換によってステータ21が冷却されることになる。よって、ステータ21を全周に亘って均一、かつ効率的に冷却することができる。
一方、ヒルホールド状態を維持するためには、モータユニット10自体のトルクを発生させ続ける必要があるので、コイル35には電流が供給され続ける。
その結果、環状油路72内の油面が低下し、モータ23の伝熱性能が低下する虞がある。
すなわち、油71は油槽82のホッパー部83内に一時的に貯留された後、連通路85から除々に環状油路72内へ供給されることになる。そのため、ヒルホールド状態においてロータシャフト24の回転停止に伴い、油槽82内への油71の供給が所定時間停止した場合であっても、油槽82内に貯留された油71が除々に環状油路72内へ供給されることで、環状油路72内の油面低下を所定時間抑制することができる。これにより、油71の供給停止時においても、モータ23の伝熱性能を確保することができるので、モータ23の過熱を確実に防止して、モータ性能の低下を防止することができる。
しかも、ホッパー部83は、外フランジ部67の一部を屈曲することで形成されているので、油槽82は外フランジ部67に一体形成されることになる。この場合、別部材として油槽82を取り付ける場合に比べて、装置の簡素化を図り、装置コストの低減を図ることができる。
さらに、油槽82に貯留された油71は、外フランジ部67とモータハウジング11との間に形成された連通路85を介して環状油路72に供給されることになるので、油槽82と伝熱体との間を連結させる供給路を別体で設ける必要がない。そのため、構成の簡素化を図り、装置コストの低減を図ることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態における図5に相当する断面図である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態のモータユニット100では、油槽82内にヒートシンク101が設けられている。このヒートシンク101は、油槽82内において、収容部44の端面44aにボルト102によって固定されている。
この構成によれば、油槽82内に貯留される油71とウォータージャケット45内の冷却水との熱交換の効率を向上させることができるため、油槽82内に貯留された油71を効率的に冷却することができる。その結果、モータ23の冷却効率の向上を図ることができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は第3実施形態におけるモータユニットの概略構成図であり、図8は図7の要部拡大図である。
図7,8に示すように、本実施形態のモータユニット150は、ベアリング26,27等の潤滑を行う油71(潤滑油)を利用して油槽82内に油71を供給する点で上述した第1実施形態と相違している。
図7,8に示すように、モータユニット150は、モータ23を収容するモータハウジング111と、モータハウジング111の一方側に締結され、モータ23のロータシャフト24からの動力を伝達する減速機(不図示)を収容するギヤハウジング151と、モータハウジング111の他方側に締結され、モータ23の回転センサ152を収容するセンサハウジング153とを備えている。そして、モータハウジング111の内部はモータボックス154として、ギヤハウジング151の内部はギヤボックス155として、センサハウジング153の内部はセンサボックス156として、それぞれ構成されている。モータユニット150の内部には、ベアリング26,27や回転センサ152等に油71を供給してベアリング26,27や回転センサ152等の潤滑や冷却を行うための油供給機構170が設けられている。
オイルポンプ172は、ギヤボックス155内における下部に設けられ、ロータシャフト24の出力ギヤ28に噛合するギヤ(不図示)を備えている。すなわち、オイルポンプ172は、ロータシャフト24の回転に連動するポンプであり、ロータシャフト24の回転力がギヤを介してオイルポンプ172に伝達され、オイルポンプ172が作動するようになっている。
また、油槽82内に確実に油71を供給することができるとともに、油槽82内により多くの油71を貯留させておくことができる。よって、油71の供給停止時において、ステータ21の伝熱性能をより長期間に亘って確保することができる。
例えば、上述した各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。すなわち、デファレンシャルギヤ14によって掻き揚げられた油71と、供給部173から分岐させた油71との双方を油槽82内に供給する構成にしても構わない。
また、第1実施形態では、油槽82内に油71を案内するために案内板86を設ける構成について説明したが、案内板86の形状は適宜設計変更が可能である。また、収容部51の上部内壁面に到達した油71を油槽82の上方まで案内させるために収容部51の上部内壁面を傾斜させるような構成にしてもよい。
さらに、上述した実施形態では、本発明の電動機を燃料電池車両に搭載される車両用駆動モータユニット10として採用した場合について説明したが、これに限らず、各種電気自動車等に採用することも可能である。
Claims (6)
- 伝熱体が貯留されるハウジングと、
前記ハウジング内に収納されたロータと、
前記ロータの軸中心を貫通するシャフトと、
前記ロータの外周側に設けられた円環状のステータとを備えた電動機であって、
前記ステータは、ステータホルダを介して前記ハウジングに固定され、
前記ステータホルダは、内周面に前記ステータの外周面が密着配置された円筒部を備え、
前記ステータホルダは、前記円筒部の外周面と前記ハウジングの内壁との間に中間領域ができるように前記ハウジングに固定され、
前記中間領域よりも重力方向上方には、前記伝熱体が貯留される伝熱体槽が設けられ、
前記ハウジングに貯留される前記伝熱体は、前記シャフトの回転力により前記伝熱体槽内に供給され、前記伝熱体槽から前記中間領域内に供給され、
前記ステータホルダは、前記円筒部の軸方向一端側の開口縁から径方向外側に張り出すフランジ部を備え、前記ステータホルダは、前記フランジ部を介して前記ハウジングに固定され、
前記フランジ部と前記ハウジングとの間には、前記伝熱体槽と前記中間領域とを連通させる連通路が設けられていることを特徴とする電動機。 - 前記伝熱体槽は、前記ハウジングにおける前記フランジ部の固定面から、前記フランジ部の周縁の一部を前記軸方向に離間させるようにして形成されていることを特徴とする請求項1記載の電動機。
- 前記ハウジングには、前記ステータホルダの前記円筒部の周方向に沿って冷媒を流通させる冷媒通路が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動機。
- 前記ハウジングには、前記伝熱体槽の固定部が締結手段により締結され、前記締結手段は、前記円筒部の軸方向から見て前記冷媒通路と重なるように配置されていることを特徴とする請求項3記載の電動機。
- 前記ハウジングの軸方向一端側には、前記シャフトとともに回転するギヤが収容されたギヤハウジングが配置され、
前記ギヤハウジング内には、前記伝熱体が貯留可能とされるとともに、前記動力伝達部が前記伝熱体に浸漬配置され、
前記ハウジングと前記ギヤハウジングとは、前記伝熱体槽よりも重力方向上方で連通し、
前記動力伝達部の回転によって前記伝熱体が掻き揚げられることで、前記伝熱体が前記伝熱体槽内に供給されることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の電動機。 - 前記シャフトの回転に連動するポンプを有し、
前記伝熱体は、前記ポンプにより汲み上げられて前記伝熱体槽に供給されることを特徴とする請求項1ないし請求項5何れか1項に記載の電動機。
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