本発明の一実施形態の駆動装置10について、図面を参照して説明する。本実施形態の駆動装置10は、車両100に搭載される。駆動装置10は、車両駆動装置である。車両100には、複数の車輪が設けられる。駆動装置10は、複数の車輪102A,102Bを駆動する。以下の説明では、各図に示す本実施形態の駆動装置10が水平な路面上に位置する車両100に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、−Z側は、鉛直方向下側である。本実施形態では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、駆動装置10が搭載される車両100の前後方向である。本実施形態において、+X側は、車両100の前側であり、−X側は、車両100の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向の両方と直交する方向であって、車両100の左右方向(車幅方向)である。本実施形態において、+Y側は、車両100の左側であり、−Y側は、車両100の右側である。なお、前後方向の位置関係は、本実施形態の位置関係に限らず、+X側が車両100の後側であり、−X側が車両100の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両100の右側であり、−Y側は、車両100の左側である。
各図に適宜示すモータ軸J2は、Y軸方向、すなわち車両100の車幅方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、モータ軸J2に平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、後述するモータユニット1A(図3等を参照)において、モータ20Aから伝達機構30Aへ向かう方向を軸方向一方側と呼び、伝達機構30Aからモータ20Aへ向かう方向を軸方向他方側と呼ぶ。図1および図2に示すように、本実施形態では駆動装置10にモータユニット1A,1Bが一対設けられている。モータユニット1Bにおいても上記同様に、モータ20Bから伝達機構30Bへ向かう方向を軸方向一方側と呼び、伝達機構30Bからモータ20Bへ向かう方向を軸方向他方側と呼ぶ。一対のモータユニット1A,1Bのうち、車両100の左側(+Y側)に位置する一方のモータユニット1Aにおいては、軸方向一方側が+Y側であり、軸方向他方側が−Y側である。車両100の右側(−Y側)に位置する他方のモータユニット1Bにおいては、軸方向一方側が−Y側であり、軸方向他方側が+Y側である。モータ軸J2を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、モータ軸J2に近づく方向を径方向内側と呼び、モータ軸J2から離れる方向を径方向外側と呼ぶ。モータ軸J2を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J2の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。なお、本実施形態において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
図1に示すように、車両100は、車軸を回転させる動力発生手段として、2つの駆動装置10,101を備える。すなわち、車両100はパワートレインを有し、パワートレインは、2つの駆動装置10,101と、バッテリ(図示省略)と、を備える。本実施形態の車両100は、モータを動力発生手段とする電気自動車(EV)である。駆動装置10,101は、モータの動力により車両100の車軸を回転させる。車両100は、フロント用の駆動装置101と、リア用の駆動装置10と、を備える。
フロント用の駆動装置101は車両100の前側部分に位置する。フロント用の駆動装置101は、フロント左側の車輪およびフロント右側の車輪を駆動する。リア用の駆動装置10は、車両100の後側部分に位置する。リア用の駆動装置10は、一対のリア用のモータユニット1A,1Bを備える。一対のリア用のモータユニット1A,1Bのうち、一方のモータユニット1Aはリア左側の車輪102Aを駆動し、他方のモータユニット1Bはリア右側の車輪102Bを駆動する。すなわち、駆動装置10は複数のモータユニット1A,1Bを備え、本実施形態ではモータユニット1A,1Bの数が2つである。モータユニット1Aは、モータ20Aを1つ有する。モータユニット1Bは、モータ20Bを1つ有する。言い換えると、駆動装置10はモータ20A,20Bを複数備え、本実施形態ではモータの数が2つである。
以下の説明では、一方のモータユニット1Aを、第1のモータユニット1Aと呼ぶ場合がある。第1のモータユニット1Aの各構成要素の名称に、「第1の」を付して呼ぶ場合がある。また、他方のモータユニット1Bを、第2のモータユニット1Bと呼ぶ場合がある。第2のモータユニット1Bの各構成要素の名称に、「第2の」を付して呼ぶ場合がある。
リア用の駆動装置10は、車両100の車幅方向の略中央部に配置される。駆動装置10の2つのモータユニット1A,1Bは、互いに車幅方向に対向し、車幅方向に並んで配置される。2つのモータユニット1A,1Bは、車両100の車幅方向の中心軸J1を含みモータ軸J2と垂直な仮想の鉛直面VSを中心として、互いに面対称(左右対称)の構造を有する。第1のモータ20Aのモータ軸J2および第2のモータ20Bのモータ軸J2は、車両100の車幅方向に延びる。第1のモータ20Aのモータ軸J2と、第2のモータ20Bのモータ軸J2とは、互いに同軸に配置される。第1のモータ20Aと第2のモータ20Bとは、車両100の車幅方向の中心軸J1を含み車幅方向に垂直な鉛直面VSを中心として、互いに面対称に配置される。本実施形態によれば、鉛直面VSに関して互いに面対称に配置される2つのモータ20A,20Bによって、車両100の左側の車輪102Aと右側の車輪102Bとを、個別に駆動(回転制御)できる。
駆動装置10の一部は、車両100が備えるサブフレーム(図示省略)に支持される。本実施形態ではサブフレームが、駆動装置10のモータユニット1A,1Bおよび後述するインバータケース4を支持する。サブフレームは、例えば、モータユニット1A,1Bに軸方向および前後方向から対向する部分を有する。
図1〜図5に示すように、駆動装置10は、複数のモータユニット1A,1Bと、インバータ3と、インバータケース4と、冷媒流路90と、冷媒ポンプ95と、ラジエータ96と、を備える。各モータユニット1A,1Bはそれぞれ、車両100の車軸を回転させる。第1のモータユニット1Aは、第1のハウジング11Aと、第1のモータ20Aと、第1の伝達機構30Aと、第1の電動オイルポンプ61Aと、第1のオイルクーラ65Aと、を備える。第2のモータユニット1Bは、第2のハウジング11Bと、第2のモータ20Bと、第2の伝達機構30Bと、第2の電動オイルポンプ61Bと、第2のオイルクーラ65Bと、を備える。また、各モータユニット1A,1Bはそれぞれ、オイルシール18と、ベアリングホルダ35と、第1ベアリング15と、第2ベアリング16と、第3ベアリング14と、油路40と、機械式オイルポンプ62と、回転センサ80と、温度センサ(図示省略)と、を備える。第1ベアリング15、第2ベアリング16および第3ベアリング14は、例えばボールベアリング等である。駆動装置10は、複数のモータユニット1A,1Bを備えるため、モータユニット1A,1Bが備える構成要素を複数(本実施形態では2つずつ)有する。すなわち、駆動装置10は、複数のハウジング11A,11Bと、複数のモータ20A,20Bと、複数の伝達機構30A,30Bと、複数の電動オイルポンプ61A,61Bと、複数のオイルクーラ65A,65Bと、複数のオイルシール18と、複数のベアリングホルダ35と、複数の第1ベアリング15と、複数の第2ベアリング16と、複数の第3ベアリング14と、複数の油路40と、複数の機械式オイルポンプ62と、複数の回転センサ80と、複数の温度センサと、を備える。
なお、第1のモータユニット1Aと第2のモータユニット1Bとは、鉛直面VSに関して互いに面対称とされ、略同じ構造を有する。このため以下の説明では、主として第1のモータユニット1Aの構成要素について説明し、第2のモータユニット1Bの構成要素については説明を省略する場合がある。
第1のハウジング11Aは、第1のモータ20Aおよび第1の伝達機構30Aを収容する。つまり第1のハウジング11Aは、第1のモータ20Aを収容する。第1のハウジング11Aは、モータ収容部12と、ギア収容部13と、仕切り壁部17と、を有する。モータ収容部12とギア収容部13とは、互いに軸方向に対向し、軸方向に並んで配置される。
モータ収容部12は、第1のハウジング11Aのうち、第1のモータ20Aを収容する部分である。モータ収容部12は、軸方向に延びる筒状である。本実施形態ではモータ収容部12が、有底筒状である。モータ収容部12は、軸方向一方側に開口する。モータ収容部12は、周壁部12aと、底壁部12bと、を有する。底壁部12bは、第3ベアリング14を保持する。底壁部12bは、第3ベアリング14を介して、第1のモータ20Aの後述するモータシャフト22をモータ軸J2回りに回転自在に支持する。つまり、第1のハウジング11Aは、第3ベアリング14を介して、モータシャフト22を回転自在に支持する。
ギア収容部13は、第1のハウジング11Aのうち、第1の伝達機構30Aを収容する部分である。ギア収容部13は軸方向に延びる筒状である。ギア収容部13は、周壁部13aを有する。周壁部13aは、内部に第1ベアリング15およびオイルシール18を保持する。周壁部13aは、第1ベアリング15を介して、第1の伝達機構30Aの後述する出力シャフト38をモータ軸J2回りに回転自在に支持する。つまり、第1のハウジング11Aは、第1ベアリング15を介して、出力シャフト38を回転自在に支持する。
仕切り壁部17は、モータ軸J2を中心とする環状である。仕切り壁部17は、モータ軸J2に垂直な方向に広がる板状である。仕切り壁部17の板面は、軸方向を向く。本実施形態では、仕切り壁部17が、モータ軸J2を中心とする円環板状である。仕切り壁部17は、ギア収容部13内に配置される。仕切り壁部17は、第2ベアリング16よりも軸方向一方側に位置する。仕切り壁部17は、第1ベアリング15よりも軸方向他方側に位置する。仕切り壁部17の外周部は、周壁部13aの内周面に固定される。仕切り壁部17は、後述する貯油部50のモータ貯油部50aとギア貯油部50bとを軸方向に仕切る。仕切り壁部17によって貯油部50は、モータ貯油部50aとギア貯油部50bとに区画される。
仕切り壁部17の内周部は、第1の伝達機構30Aの後述するインターナルギア34の外周部と接続される。仕切り壁部17の内周部は、インターナルギア34の外周面のうち軸方向一方側の端部と接続される。仕切り壁部17は、仕切り壁部17を軸方向に貫通するオイル流通孔17aを有する。オイル流通孔17aは、仕切り壁部17のうち少なくとも下側の部分に配置される。オイル流通孔17aは、仕切り壁部17に1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。オイル流通孔17aのモータ軸J2に垂直な断面の形状は、例えば円形状および多角形状等である。オイル流通孔17aは、後述するモータ貯油部50aとギア貯油部50bとを繋ぐ。オイル流通孔17aを通して、モータ貯油部50aとギア貯油部50bとが互いに連通する。
第2のハウジング11Bは、第2のモータ20Bおよび第2の伝達機構30Bを収容する。つまり第2のハウジング11Bは、第2のモータ20Bを収容する。特に図示しないが、第2のハウジング11Bの構造は、第1のハウジング11Aの構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。
第1のモータ20Aは、車両100の車軸を回転させるトルクを出力する。第1のモータ20Aのトルクは、第1の伝達機構30Aを介して車軸に伝達される。第1のモータ20Aは、車両100に設けられる複数の車輪のうち、第1の車輪102Aを駆動する。本実施形態では、第1の車輪102Aが、車両100のリア左側の車輪である。第1のモータ20Aは、インバータ3および制御基板(図示省略)と電気的に接続される。第1のモータ20Aは、ロータ21と、ステータ26と、を有する。ロータ21は、モータシャフト22と、ロータホルダ23と、ロータコア24と、ロータマグネット25と、を有する。つまり第1のモータ20Aは、モータシャフト22を有する。
モータシャフト22は、モータ軸J2を中心として軸方向に延びる。モータシャフト22は、筒状である。モータシャフト22は、軸方向両側に開口する中空のシャフトである。モータシャフト22は、モータ軸J2を中心として回転する。モータシャフト22は、第2ベアリング16および第3ベアリング14によりモータ軸J2回りに回転自在に支持される。第2ベアリング16は、モータシャフト22の軸方向一方側の部分を支持する。第3ベアリング14は、モータシャフト22の軸方向他方側の端部を支持する。
モータシャフト22は、凹部22aを有する。凹部22aは、モータシャフト22の軸方向一方側の端面に開口し、この端面から軸方向他方側に窪む。凹部22aは、軸方向に延びる穴状である。凹部22a内には、第1の伝達機構30Aの後述する連結シャフト31が嵌合する。モータシャフト22のうち、凹部22aよりも軸方向他方側に位置する部分の内径は、凹部22aの内径に比べて小さい。本実施形態では、モータシャフト22の内周面のうち、最も内径が大きい部分が凹部22aである。
ロータホルダ23は、モータシャフト22に固定される。ロータホルダ23は、モータシャフト22の径方向外側に位置する部分を有する。ロータホルダ23は、ロータコア24およびロータマグネット25を保持する。ロータホルダ23は、有底筒状である。ロータホルダ23は、軸方向一方側に開口する。ロータホルダ23は、底部23aと、筒部23bと、センサ支持部23cと、を有する。
底部23aは、モータ軸J2を中心として周方向に延びる環状である。本実施形態では、底部23aが、モータ軸J2に対して垂直に広がる板状であり、板面が軸方向を向く。底部23aは、円環板状である。底部23aの内周部は、モータシャフト22の外周部と固定される。底部23aの軸方向位置は、第3ベアリング14の軸方向位置よりも軸方向一方側であり、第2ベアリング16の軸方向位置よりも軸方向他方側である。
筒部23bは軸方向に延びる。筒部23bは、モータ軸J2を中心とする円筒状である。筒部23bの内周面と、モータシャフト22の外周面との間には、空間が設けられる。筒部23bの内周面のうち、軸方向他方側の端部は、底部23aの外周部と接続される。筒部23bの内径は、底部23aと接続される部分から軸方向一方側に向かうにしたがい大きくなる。筒部23bの内周面は、軸方向一方側に向かうにしたがい内径が大きくなるテーパ面状の部分を有する。径方向から見て、筒部23bの軸方向一方側の端部と、第2ベアリング16とは、重なって配置される。径方向から見て、筒部23bの軸方向他方側の端部と、第3ベアリング14とは、重なって配置される。
センサ支持部23cは、底部23aの軸方向他方側を向く板面から軸方向他方側に突出する。センサ支持部23cは、モータ軸J2を中心として軸方向に延びる筒状である。センサ支持部23cは、筒部23bの軸方向他方側の端部よりも軸方向他方側に突出する部分を有する。センサ支持部23cの軸方向他方側の端部には、回転センサ80の後述するレゾルバロータ80aが固定される。
ロータコア24は、筒部23bの外周面に固定される。ロータコア24は、モータ軸J2を中心として周方向に延びる環状である。本実施形態では、ロータコア24が、軸方向に延びる筒状である。ロータコア24は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成される積層鋼板である。ロータコア24は、ロータコア24の径方向外端部に、ロータコア24を軸方向に貫通する保持孔24aを有する。保持孔24aは、ロータコア24の径方向外端部に、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。複数の保持孔24aの内部には、ロータマグネット25がそれぞれ保持される。複数のロータマグネット25は、ロータコア24の径方向外端部において周方向に配列する。ロータマグネット25は、ロータコア24の径方向外端部に固定される。なお、ロータマグネット25は、円環状のリングマグネットから構成されていてもよい。
ステータ26は、ロータ21と径方向に隙間をあけて対向する。ステータ26は、ロータ21の径方向外側に位置する。ステータ26は、ステータコア27と、インシュレータ(図示省略)と、複数のコイル28と、を有する。ステータコア27は、モータ軸J2を中心として周方向に延びる環状である。本実施形態では、ステータコア27が、軸方向に延びる筒状である。ステータコア27は、モータ収容部12の内周面に固定される。ステータコア27の内周部は、ロータコア24の外周部と径方向に隙間をあけて対向する。ステータコア27は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成される積層鋼板である。インシュレータの材料は、例えば樹脂などの絶縁材料である。複数のコイル28は、インシュレータを介してステータコア27に取り付けられる。ステータ26の下側の端部は、油路40の後述する貯油部50に配置される。
第2のモータ20Bは、車両100の車軸を回転させるトルクを出力する。第2のモータ20Bのトルクは、第2の伝達機構30Bを介して車軸に伝達される。第2のモータ20Bは、車両100に設けられる複数の車輪のうち、第2の車輪102Bを駆動する。本実施形態では、第2の車輪102Bが、車両100のリア右側の車輪である。第2のモータ20Bは、インバータ3および制御基板(図示省略)と電気的に接続される。特に図示しないが、第2のモータ20Bの構造は、第1のモータ20Aの構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。
第1の伝達機構30Aは、モータシャフト22に接続され、第1のモータ20Aの動力を出力シャフト38に伝達する。第1の伝達機構30Aは、モータシャフト22の軸方向一方側の端部に接続される。つまり第1の伝達機構30Aは、モータシャフト22の軸方向の端部に接続される。第1の伝達機構30Aは、第1のモータ20Aの回転を減速してトルクを高め、出力シャフト38の出力軸J4回りの回転として出力する。第1の伝達機構30Aは減速機構であり、本実施形態では、遊星歯車機構である。出力シャフト38の出力軸J4は、モータ軸J2と同軸に配置される。本実施形態によれば、第1のモータユニット1Aを小型化でき、駆動装置10を小型化できる。
第1の伝達機構30Aは、連結シャフト31と、サンギア32と、プラネタリギア33と、インターナルギア34と、キャリアピン36と、キャリア37と、出力シャフト38と、複数のベアリング39a,39bと、を有する。ベアリング39a,39bは、例えばニードルローラベアリング等である。ベアリング39aは、第4ベアリング39aと言い換えてもよい。ベアリング39bは、第5ベアリング39bと言い換えてもよい。
連結シャフト31は、モータ軸J2を中心として軸方向に延びる。連結シャフト31は、筒状である。連結シャフト31は、軸方向両側に開口する中空のシャフトである。連結シャフト31は、モータシャフト22に連結される。連結シャフト31の軸方向他方側の端部が、モータシャフト22の軸方向一方側の端部に接続される。モータシャフト22の内部と連結シャフト31の内部とは、互いに連通する。連結シャフト31の軸方向一方側の端部は、ベアリング39aを介して、出力シャフト38によりモータ軸J2回りに回転自在に支持される。すなわち、連結シャフト31と出力シャフト38とは、ベアリング39aを介して周方向に相互に回転自在である。
連結シャフト31は、軸方向他方側の端部が凹部22a内に挿入される。連結シャフト31は、軸方向他方側の端部が凹部22a内に嵌合する。本実施形態では、連結シャフト31の外周面における軸方向他方側の端部のうち軸方向一方側に位置する部分と、凹部22aの内周面のうち軸方向一方側に位置する部分とが、周方向に相互に回転不能に嵌合する。すなわち、連結シャフト31とモータシャフト22とは、周方向に相互に回転不能である。
本実施形態において、連結シャフト31は、軸方向他方側の端部が凹部22aに対して軸方向に移動自在に嵌合する。具体的に、連結シャフト31の軸方向他方側の端部は、凹部22a内にスプライン嵌合する。このため連結シャフト31は、モータシャフト22に対して、軸方向に移動可能である。連結シャフト31の軸方向他方側を向く端面は、凹部22aの軸方向一方側を向く底面に接触し、または隙間をあけて対向する。図示の例では、モータシャフト22の内周面の内径と、連結シャフト31の内周面の内径とが、略同じである。
サンギア32は、連結シャフト31に設けられる。サンギア32は、モータ軸J2を中心軸とする外歯ギアである。サンギア32は、凹部22aよりも軸方向一方側に位置する。サンギア32は、連結シャフト31の外周部のうち、軸方向一方側の端部と軸方向他方側の端部との間に位置する中間部分に配置される。本実施形態では、連結シャフト31とサンギア32とが、単一の部材の部分である。サンギア32は、はす歯ギアである。すなわち、サンギア32のギアの歯すじは、軸方向に向かうにしたがいモータ軸J2回りに向けて延びる。径方向から見て、サンギア32のギアの歯すじは、モータ軸J2に対して傾斜して延びる。
プラネタリギア33は、サンギア32の径方向外側に配置され、サンギア32と噛み合う。プラネタリギア33は、サンギア32の径方向外側に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。すなわち、第1の伝達機構30Aは、複数のプラネタリギア33を有する。本実施形態では、第1の伝達機構30Aが、周方向に互いに等間隔をあけて配置される3つのプラネタリギア33を有する。ただし、第1の伝達機構30Aが有するプラネタリギア33の数は、3つに限らない。
プラネタリギア33は、回転軸J3を中心とする環状である。プラネタリギア33は、回転軸J3を中心軸とする外歯ギアである。回転軸J3は、モータ軸J2の径方向外側に位置して、モータ軸J2と平行に延びる。回転軸J3は、キャリアピン36の中心軸でもある。本実施形態では、プラネタリギア33が、軸方向に延びる筒状である。プラネタリギア33は、回転軸J3を中心として回転する。つまりプラネタリギア33は、回転軸J3回りに自転する。プラネタリギア33は、モータ軸J2を中心として回転する。つまりプラネタリギア33は、モータ軸J2回りに公転する。プラネタリギア33は、サンギア32の周囲を自転しつつ公転する。
プラネタリギア33は、第1ギア部33aと、第2ギア部33bと、を有する。第1ギア部33aの直径(外径)は、第2ギア部33bの直径よりも大きい。第1ギア部33aは、大径ギア部33aと言い換えてもよい。すなわち本実施形態では、プラネタリギア33が、段付きピニオンタイプである。したがって、第1の伝達機構30Aにより、第1のモータ20Aの回転の減速比がより高められる。第1ギア部33aは、インターナルギア34よりも径方向外側に位置する部分を有する。第1ギア部33aは、ギア収容部13の周壁部13aの内周面に、径方向内側から隙間をあけて対向する部分を有する。第1ギア部33aは、仕切り壁部17よりも軸方向一方側に配置される。第1ギア部33aは、仕切り壁部17に軸方向一方側から対向する。
第1ギア部33aは、回転軸J3を中心とする筒状である。径方向から見て、第1ギア部33aとサンギア32とは、互いに重なって配置される。第1ギア部33aは、サンギア32と噛み合う。第1ギア部33aの直径は、サンギア32の直径よりも大きい。第1ギア部33aは、はす歯ギアである。すなわち、第1ギア部33aのギアの歯すじは、軸方向に向かうにしたがい回転軸J3回りに向けて延びる。回転軸J3に直交する方向から見て、第1ギア部33aのギアの歯すじは、回転軸J3に対して傾斜して延びる。
第2ギア部33bの直径(外径)は、第1ギア部33aの直径よりも小さい。第2ギア部33bは、小径ギア部33bと言い換えてもよい。第2ギア部33bは、回転軸J3を中心とする筒状である。第2ギア部33bは、インターナルギア34と噛み合う。第2ギア部33bは、はす歯ギアである。すなわち、第2ギア部33bのギアの歯すじは、軸方向に向かうにしたがい回転軸J3回りに向けて延びる。回転軸J3に直交する方向から見て、第2ギア部33bのギアの歯すじは、回転軸J3に対して傾斜して延びる。
詳しくは、第2ギア部33bは、噛合部33cと、嵌合部33dと、を有する。噛合部33cと嵌合部33dとは、互いに軸方向に並んで配置される。径方向から見て、噛合部33cとインターナルギア34とは、互いに重なって配置される。噛合部33cは、第2ギア部33bにおいてインターナルギア34と噛み合う部分である。つまり第2ギア部33bのギアは、噛合部33cの外周に設けられる。噛合部33cは、嵌合部33dよりも軸方向他方側に位置する。噛合部33cの直径は、第1ギア部33aの直径よりも小さい。本実施形態の例では、噛合部33cの軸方向の長さが、第1ギア部33aの軸方向の長さよりも大きい。径方向から見て、噛合部33cは、モータシャフト22の軸方向一方側の端部、凹部22aおよび連結シャフト31の軸方向他方側の端部と、重なって配置される。
嵌合部33dは、第2ギア部33bにおいて第1ギア部33aと嵌合する部分である。本実施形態では、第1ギア部33aの内周部が、嵌合部33dの外周部に対して、軸方向に移動自在に嵌合する。すなわち、第1ギア部33aは、第2ギア部33bに対して軸方向に移動自在に嵌合する部分を有する。具体的に、第1ギア部33aの内周部は、嵌合部33dの外周部に対して、スプライン嵌合する。このため第1ギア部33aは、第2ギア部33bに対して、軸方向に移動可能である。
本実施形態では、上述のように連結シャフト31の軸方向他方側の端部が、凹部22a内にスプライン嵌合する。また、プラネタリギア33の第1ギア部33aが、第2ギア部33bとスプライン嵌合する。このため、第1のモータユニット1Aの製造時において、プラネタリギア33の第1ギア部33aと、連結シャフト31のサンギア32とを噛み合わせた状態としてアセンブリを組み、このアセンブリをモータシャフト22および第2ギア部33bに取り付けることができる。
インターナルギア34は、モータ軸J2を中心とする環状である。インターナルギア34は、モータ軸J2を中心軸とする内歯ギアである。インターナルギア34は、軸方向に延びる筒状である。インターナルギア34は、プラネタリギア33の径方向外側に配置され、プラネタリギア33と噛み合う。本実施形態では、インターナルギア34が、第2ギア部33bの噛合部33cの径方向外側に配置されて、噛合部33cと噛み合う。インターナルギア34は、はす歯ギアである。すなわち、インターナルギア34のギアの歯すじは、軸方向に向かうにしたがいモータ軸J2回りに向けて延びる。径方向から見て、インターナルギア34のギアの歯すじは、モータ軸J2に対して傾斜して延びる。
インターナルギア34は、第1のハウジング11Aに固定される。インターナルギア34は、仕切り壁部17に接続される。インターナルギア34は、仕切り壁部17の内周部に設けられる。詳しくは、インターナルギア34の外周部のうち軸方向一方側の端部が、仕切り壁部17の内周部と接続される。本実施形態では、仕切り壁部17とインターナルギア34とが、単一の部材の部分である。
キャリアピン36は、サンギア32および連結シャフト31の径方向外側に配置される。キャリアピン36は、サンギア32の径方向外側に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。すなわち、第1の伝達機構30Aは、複数のキャリアピン36を有する。本実施形態では、第1の伝達機構30Aが、周方向に互いに等間隔をあけて配置される3つのキャリアピン36を有する。
キャリアピン36は、回転軸J3を中心として軸方向に延びる筒状である。キャリアピン36は、軸方向両側に開口する中空のピンである。キャリアピン36は、プラネタリギア33の内部に挿入される。キャリアピン36は、プラネタリギア33内を軸方向に延びる。キャリアピン36は、プラネタリギア33を、ベアリング39bを介して回転自在に支持する。つまりキャリアピン36は、プラネタリギア33を回転自在に支持する。キャリアピン36に対してプラネタリギア33は、回転軸J3回りに回転自在である。キャリアピン36は、ベアリング39bを介して、第2ギア部33bを回転自在に支持する。本実施形態では、キャリアピン36と第2ギア部33bとの間に、複数のベアリング39bが軸方向に並んで配置される。
キャリア37は、キャリアピン36を支持する。キャリア37は、キャリアピン36と固定される。キャリア37は、プラネタリギア33およびキャリアピン36のモータ軸J2回りの回転(公転)にともない、モータ軸J2回りに回転する。
キャリア37は、第1壁部37aと、第2壁部37bと、連結部37cと、を有する。第1壁部37aは、モータ軸J2に垂直な方向に広がる板状である。第1壁部37aの板面は、軸方向を向く。第1壁部37aは、モータ軸J2を中心とする円環板状である。第1壁部37aは、キャリアピン36の軸方向他方側の端部を支持する。第1壁部37aには、複数のキャリアピン36の軸方向他方側の端部が固定される。第1壁部37aは、ベアリングホルダ35の後述するフランジ部35aに、軸方向一方側から対向する。第1壁部37aとフランジ部35aとの間には、空間が設けられる。第1壁部37aは、モータ軸J2上に位置して第1壁部37aを軸方向に貫通する孔37dを有する。孔37d内には、モータシャフト22の軸方向一方側の端部および連結シャフト31の軸方向他方側の端部が挿入される。径方向から見て、第1壁部37aは、モータシャフト22の軸方向一方側の端部および連結シャフト31の軸方向他方側の端部と、重なって配置される。
第2壁部37bは、第1壁部37aよりも軸方向一方側に配置される。第1壁部37aおよび第2壁部37bは、互いに軸方向に間隔をあけて配置される。プラネタリギア33は、軸方向において第1壁部37aと第2壁部37bとの間に配置される。第2壁部37bは、モータ軸J2に垂直な方向に広がる板状である。第2壁部37bの板面は、軸方向を向く。第2壁部37bは、モータ軸J2を中心とする円環板状である。第2壁部37bは、キャリアピン36の軸方向一方側の端部を支持する。第2壁部37bには、複数のキャリアピン36の軸方向一方側の端部が固定される。つまり第1壁部37aおよび第2壁部37bは、キャリアピン36の軸方向の両端部を支持する。本実施形態では、第2壁部37bが、サンギア32よりも軸方向一方側に位置する。
連結部37cは、軸方向に延び、第1壁部37aと第2壁部37bとを連結する。本実施形態では、連結部37cが、軸方向に延びる板状である。ただしこれに限らず、連結部37cは、軸方向に延びる軸状等であってもよい。連結部37cの板面は、径方向を向く。連結部37cの軸方向他方側の端部は、第1壁部37aの外周部と接続される。連結部37cの軸方向一方側の端部は、第2壁部37bの外周部と接続される。本実施形態では、連結部37cと第1壁部37aとが、単一の部材の部分である。
連結部37cは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態ではキャリア37が、3つの連結部37cを有する。連結部37cは、プラネタリギア33と周方向に隣り合って配置される。複数の連結部37cと複数のプラネタリギア33とは、周方向に交互に配列する。連結部37cは、プラネタリギア33において最も径方向外側に位置する部分よりも、径方向内側に配置される。すなわち、プラネタリギア33は、連結部37cよりも径方向外側に突出する部分を有する。本実施形態では、第1ギア部33aおよび第2ギア部33bのうち、少なくとも第1ギア部33aが、連結部37cよりも径方向外側に突出する。
出力シャフト38は、モータ軸J2と同軸に配置される。出力シャフト38の中心軸である出力軸J4は、モータ軸J2と一致して軸方向に延びる。本実施形態では、出力シャフト38が、軸方向に延びる筒状である。出力シャフト38は、キャリア37の軸方向一方側に配置される。出力シャフト38は、キャリア37と接続される。出力シャフト38は、軸方向他方側の端部がキャリア37の第2壁部37bと接続される。本実施形態では、出力シャフト38と第2壁部37bとが、単一の部材の部分であり、一体に設けられる。つまり、出力シャフト38とキャリア37の一部とが、単一の部材の部分である。出力シャフト38は、キャリア37のモータ軸J2回りの回転にともない、モータ軸J2回りに回転する。
出力シャフト38の外周面と、ギア収容部13の周壁部13aの内周面との間には、空間が設けられる。出力シャフト38は、第1ベアリング15を介して、周壁部13aに支持される。出力シャフト38と周壁部13aとの間には、第1ベアリング15およびオイルシール18が軸方向に並んで配置される。図示の例では、出力シャフト38の軸方向一方側の端部が、周壁部13aから軸方向一方側に向けて突出する。ただしこれに限らず、出力シャフト38は、周壁部13aから軸方向一方側に突出しなくてもよい。出力シャフト38は、車両100の車軸と直接または間接的に連結される。
特に図示しないが、第2の伝達機構30Bは、第2のモータ20Bのモータシャフト22に接続され、第2のモータ20Bの動力を出力シャフト38に伝達する。第2の伝達機構30Bは、第2のモータ20Bの回転を減速してトルクを高め、出力シャフト38の出力軸J4回りの回転として出力する。第2の伝達機構30Bは減速機構であり、本実施形態では、遊星歯車機構である。出力シャフト38の出力軸J4は、モータ軸J2と同軸に配置される。第2の伝達機構30Bの構造は、第1の伝達機構30Aの構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。本実施形態によれば、第2のモータユニット1Bを小型化でき、駆動装置10を小型化できる。
第1のモータユニット1Aのオイルシール18について説明する。オイルシール18は、モータ軸J2を中心とする環状である。オイルシール18は、出力軸J4を中心とする円環状である。本実施形態の例では、オイルシール18が、軸方向に延びる筒状である。オイルシール18は、出力シャフト38と第1のハウジング11Aとの間に設けられ、出力シャフト38と第1のハウジング11Aとの間をシールする。オイルシール18は、出力シャフト38の外周面と、ギア収容部13の周壁部13aの内周面との間に設けられ、オイルOを封止する。オイルシール18の外周部は、周壁部13aの内周面に固定される。オイルシール18の内周部は、出力シャフト38の外周面と周方向に摺動自在である。オイルシール18は、第1ベアリング15と軸方向に隣り合って配置される。オイルシール18は、第1ベアリング15の軸方向一方側に配置されて、第1ベアリング15に軸方向一方側から対向する。図示の例では、オイルシール18と第1ベアリング15との間に、軸方向の隙間が設けられる。特に図示しないが、第2のモータユニット1Bのオイルシール18の構造は、第1のモータユニット1Aのオイルシール18の構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。
第1のモータユニット1Aのベアリングホルダ35について説明する。ベアリングホルダ35は、モータ軸J2を中心とする環状である。ベアリングホルダ35は、フランジ部35aと、ホルダ筒部35bと、を有する。フランジ部35aは、モータ軸J2に垂直な方向に広がる板状である。フランジ部35aの板面は、軸方向を向く。フランジ部35aは、モータ軸J2を中心とする円環板状である。フランジ部35aの外周部は、インターナルギア34の軸方向他方側の端部に固定される。つまりベアリングホルダ35は、インターナルギア34に固定される。ベアリングホルダ35は、インターナルギア34に支持される。ベアリングホルダ35は、インターナルギア34を介して、第1のハウジング11Aに支持される。
ホルダ筒部35bは、モータ軸J2を中心として軸方向に延びる筒状である。ホルダ筒部35bの軸方向一方側の端部は、フランジ部35aの内周部と接続される。ホルダ筒部35bの内周面と、モータシャフト22の外周面との間には、空間が設けられる。ホルダ筒部35bは、内部に第2ベアリング16を保持する。つまりベアリングホルダ35は、第2ベアリング16を保持する。ホルダ筒部35bは、第2ベアリング16を介して、モータシャフト22を保持する。ベアリングホルダ35は、第2ベアリング16を介して、モータシャフト22をモータ軸J2回りに回転自在に支持する。特に図示しないが、第2のモータユニット1Bのベアリングホルダ35の構造は、第1のモータユニット1Aのベアリングホルダ35の構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。
第1のモータユニット1Aの第1ベアリング15、第2ベアリング16および第3ベアリング14について説明する。第1ベアリング15は、出力シャフト38と第1のハウジング11Aとの間に設けられ、出力シャフト38をモータ軸J2回りに回転自在に支持する。第1ベアリング15は、モータ軸J2を中心とする環状である。本実施形態では、第1ベアリング15が、ギア収容部13の周壁部13a内に嵌合する。第1ベアリング15内には、出力シャフト38が嵌合する。
第2ベアリング16は、モータシャフト22をモータ軸J2回りに回転自在に支持する。第2ベアリング16は、モータシャフト22のうち軸方向一方側の部分を回転自在に支持する。第2ベアリング16は、モータ軸J2を中心とする環状である。第2ベアリング16は、ベアリングホルダ35のホルダ筒部35b内に嵌合する。第2ベアリング16内には、モータシャフト22が嵌合する。
第3ベアリング14は、モータシャフト22をモータ軸J2回りに回転自在に支持する。第3ベアリング14は、モータシャフト22のうち軸方向他方側の端部を回転自在に支持する。第3ベアリング14は、モータ軸J2を中心とする環状である。第3ベアリング14は、モータ収容部12の底壁部12bにおける筒状部分の内部に嵌合する。第3ベアリング14内には、モータシャフト22が嵌合する。特に図示しないが、第2のモータユニット1Bの第1ベアリング15、第2ベアリング16および第3ベアリング14の各構造は、第1のモータユニット1Aの第1ベアリング15、第2ベアリング16および第3ベアリング14の各構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。
第1のモータユニット1AのオイルOの循環構造について説明する。本実施形態において、オイルOの循環構造は、油路40と、第1の電動オイルポンプ61Aと、機械式オイルポンプ62と、を有する。油路40は、第1のハウジング11Aの内部に設けられる。第1の電動オイルポンプ61Aおよび機械式オイルポンプ62は、油路40にオイルOを循環させる。つまりオイルOは、第1のハウジング11Aの内部を循環する。本実施形態では、第1のモータユニット1Aが、油路40にオイルOを循環させる第1の電動オイルポンプ61Aおよび機械式オイルポンプ62を備える。つまり第1のモータユニット1Aは、複数のオイルポンプ61A,62を備える。第1の電動オイルポンプ61Aおよび機械式オイルポンプ62は、オイルOを第1の伝達機構30Aに供給可能である。本実施形態では、第1の電動オイルポンプ61Aおよび機械式オイルポンプ62が、モータシャフト22の内部を通して、第1の伝達機構30AにオイルOを供給可能である。第1の電動オイルポンプ61Aおよび機械式オイルポンプ62については、別途後述する。
油路40は、モータシャフト内油路部41と、連結シャフト内油路部42と、環状油路部43と、第1径方向油路部44と、第2径方向油路部45と、キャリアピン内油路部46と、接続油路部47と、第3径方向油路部48と、第4径方向油路部49と、貯油部50と、を有する。
モータシャフト内油路部41は、モータシャフト22の内部を軸方向に延びる。モータシャフト内油路部41は、モータ軸J2上に位置する。モータシャフト内油路部41は、モータシャフト22を軸方向に貫通する貫通孔により構成される。モータシャフト内油路部41は、凹部22aの底面に開口する。すなわち、モータシャフト内油路部41の軸方向一方側の端部は、凹部22aの軸方向一方側を向く底面に開口する。
連結シャフト内油路部42は、連結シャフト31の内部を軸方向に延びる。連結シャフト内油路部42は、モータ軸J2上に位置する。連結シャフト内油路部42は、連結シャフト31を軸方向に貫通する貫通孔により構成される。連結シャフト内油路部42は、モータシャフト内油路部41と繋がる。すなわち、連結シャフト内油路部42の軸方向他方側の端部は、モータシャフト内油路部41の軸方向一方側の端部と接続する。本実施形態の例では、連結シャフト内油路部42の内径と、モータシャフト内油路部41の内径とが、略同じである。
環状油路部43は、連結シャフト31の軸方向他方側の端部の外周面と、凹部22aの内周面との間に配置される。環状油路部43は、周方向に延びる環状である。環状油路部43は、モータ軸J2を中心とする円筒状の空間であり、凹部22a内に設けられる。環状油路部43は、連結シャフト31の軸方向他方側の端部と凹部22aとが嵌合する部分よりも、軸方向他方側に位置する。
第1径方向油路部44は、連結シャフト31の軸方向他方側の端部に配置されて径方向に延び、連結シャフト内油路部42および環状油路部43に開口する。第1径方向油路部44は、連結シャフト31の軸方向他方側の端部において、連結シャフト31の内部を径方向に延び、連結シャフト31の内周面と外周面とに開口する貫通孔により構成される。本実施形態では、第1径方向油路部44が、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
第2径方向油路部45は、モータシャフト22の軸方向一方側の端部に配置されて径方向に延び、環状油路部43およびモータシャフト22の外周面に開口する。第2径方向油路部45は、モータシャフト22の軸方向一方側の端部において、モータシャフト22の内部を径方向に延び、凹部22aの内周面とモータシャフト22の外周面とに開口する貫通孔により構成される。第2径方向油路部45の径方向外側の端部は、軸方向に沿う第1壁部37aと、フランジ部35aおよび第2ベアリング16と、の間の空間に向けて開口する。本実施形態では、第2径方向油路部45が、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
キャリアピン内油路部46は、キャリアピン36の内部に設けられ、キャリアピン36の軸方向の端面およびキャリアピン36の外周面に開口する。キャリアピン内油路部46は、ピン軸方向油路部46aと、ピン径方向油路部46bと、を有する。
ピン軸方向油路部46aは、キャリアピン36の内部を軸方向に延びる。ピン軸方向油路部46aは、回転軸J3上に位置する。ピン軸方向油路部46aは、キャリアピン36を軸方向に貫通する貫通孔により構成される。ピン軸方向油路部46aは、キャリアピン36の軸方向一方側を向く端面および軸方向他方側を向く端面に、それぞれ開口する。
ピン径方向油路部46bは、キャリアピン36の内部を回転軸J3に直交する方向に延びる。ピン径方向油路部46bは、ピン軸方向油路部46aおよびキャリアピン36の外周面に開口する。ピン径方向油路部46bは、キャリアピン36の内部を回転軸J3に直交する方向に延び、キャリアピン36の内周面と外周面とに開口する貫通孔により構成される。詳しくは、ピン径方向油路部46bは、キャリアピン36の内部のうち、回転軸J3よりも径方向外側、つまり回転軸J3よりも径方向に沿うモータ軸J2から離れる方向に配置される。すなわち、ピン径方向油路部46bは、ピン軸方向油路部46aと接続する部分から、径方向に沿うモータ軸J2から離れる方向に向けて延びる。本実施形態では、キャリアピン内油路部46が、軸方向に互いに間隔をあけて配置される複数のピン径方向油路部46bを有する。複数のピン径方向油路部46bは、キャリアピン36の外周部に設けられる複数のベアリング39bに向けて、それぞれ開口する。
接続油路部47は、キャリアピン内油路部46においてキャリアピン36の軸方向の端面に開口する部分と、第2径方向油路部45とを接続する。接続油路部47は、ピン軸方向油路部46aの軸方向他方側の端部と、第2径方向油路部45の径方向外側の端部とを繋ぐ。接続油路部47は、軸方向に沿う第1壁部37aと、フランジ部35aおよび第2ベアリング16と、の間に配置される。接続油路部47は、モータ軸J2を中心とする環状の空間(室)である。すなわち、接続油路部47は、軸方向に沿う第1壁部37aと、フランジ部35aおよび第2ベアリング16と、の間に設けられる環状の室により構成される。
本実施形態では、モータシャフト内油路部41を流れるオイルOが、連結シャフト内油路部42、第1径方向油路部44、環状油路部43、第2径方向油路部45および接続油路部47を通って、キャリアピン内油路部46に流入する。キャリアピン内油路部46に流入したオイルOは、キャリアピン36の外周面に流出して、キャリアピン36とプラネタリギア33の間に位置するベアリング39bを潤滑および冷却する。
第3径方向油路部48は、モータシャフト22の凹部22aよりも軸方向他方側に位置する部分に配置されて、径方向に延びる。すなわち、第3径方向油路部48は、モータシャフト22のうち軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する部分に配置される。第3径方向油路部48は、モータシャフト内油路部41およびモータシャフト22の外周面に開口する。第3径方向油路部48は、モータシャフト22の内部を径方向に延び、モータシャフト22の内周面と外周面とに開口する貫通孔により構成される。第3径方向油路部48は、軸方向に互いに間隔をあけて配置される第2ベアリング16と第3ベアリング14との間に位置する。第3径方向油路部48は、モータシャフト22のうち軸方向の両端部間に位置する中間部分に配置される。第3径方向油路部48の径方向外側の端部は、ロータホルダ23の筒部23bの内周面に向けて開口する。径方向から見て、ロータホルダ23、ロータコア24、ロータマグネット25およびステータコア27と、第3径方向油路部48とは、互いに重なって配置される。本実施形態では、第3径方向油路部48が、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
第4径方向油路部49は、連結シャフト31のうち凹部22aよりも軸方向一方側に位置する部分に配置されて、径方向に延びる。すなわち、第4径方向油路部49は、連結シャフト31のうち軸方向他方側の端部よりも軸方向一方側に位置する部分に配置される。第4径方向油路部49は、連結シャフト内油路部42および連結シャフト31の外周面に開口する。第4径方向油路部49は、連結シャフト31の内部を径方向に延び、連結シャフト31の内周面と外周面とに開口する貫通孔により構成される。第4径方向油路部49は、軸方向に互いに間隔をあけて配置される第1ベアリング15と第2ベアリング16との間に位置する。第4径方向油路部49は、連結シャフト31のうち軸方向の両端部間に位置する中間部分に配置される。第4径方向油路部49の径方向外側の端部は、プラネタリギア33に向けて開口する。第4径方向油路部49は、第2ギア部33bの噛合部33cの外周部に向けて開口する。径方向から見て、インターナルギア34およびプラネタリギア33と、第4径方向油路部49とは、互いに重なって配置される。本実施形態では、第4径方向油路部49が、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
本実施形態では上述の構成により、モータシャフト22の内部を流れるオイルOが、第1のモータ20Aおよび第1の伝達機構30Aに供給される。オイルOが、モータシャフト22内を流通することで広範囲に分散させられて、第1のハウジング11A内の各部材に行き渡らされる。
貯油部50は、第1のハウジング11Aの下部(底部)に配置される。貯油部50は、第1のハウジング11A内の下側の部分に位置する。貯油部50には、オイルOが溜められる。貯油部50は、モータ貯油部50aと、ギア貯油部50bと、流通油路部と、を有する。モータ貯油部50aは、貯油部50のうち、仕切り壁部17よりも軸方向他方側に位置する部分である。モータ貯油部50aは、径方向から見て、第1のモータ20Aと重なる位置に配置される。モータ貯油部50aには、ステータ26の下部が配置される。すなわち、ステータ26の下部は、モータ貯油部50aのオイルOに浸漬される。
ギア貯油部50bは、貯油部50のうち、仕切り壁部17よりも軸方向一方側に位置する部分である。ギア貯油部50bは、径方向から見て、第1の伝達機構30Aと重なる位置に配置される。ギア貯油部50bには、プラネタリギア33のモータ軸J2回りの回転軌跡(図示省略)が配置される。すなわち、プラネタリギア33のモータ軸J2を中心とする回転軌跡が、ギア貯油部50bを通る。詳しくは、プラネタリギア33の第1ギア部33aおよび第2ギア部33bのうち、少なくとも第1ギア部33aのモータ軸J2を中心とする回転軌跡が、ギア貯油部50bを通る。
貯油部50をプラネタリギア33が通過することにより、プラネタリギア33によって貯油部50のオイルOがかき上げられる。本実施形態では、段付きピニオンタイプのプラネタリギア33のうち、少なくとも大径の第1ギア部33aによって、オイルOがかき上げられる。なお、貯油部50が仕切り壁部17によってギア貯油部50bとモータ貯油部50aとに仕切られているため、ギア貯油部50bのオイルOの油量が安定する。具体的に、モータシャフト内油路部41を流れるオイルOは、連結シャフト内油路部42を通り、連結シャフト31の軸方向一方側の端部の開口部から流出して、ベアリング39a等を潤滑しつつ、ギア貯油部50bに供給される。また、連結シャフト内油路部42を流れるオイルOは、第1径方向油路部44、環状油路部43、第2径方向油路部45、接続油路部47、および、インターナルギア34と連結部37cとの径方向の隙間等を通り、ギア貯油部50bに供給される。また、第4径方向油路部49から径方向外側に噴出されるオイルOも、プラネタリギア33等を潤滑しつつギア貯油部50bに供給される。ギア貯油部50bに供給されたオイルOは、仕切り壁部17によりギア貯油部50bに保持される。
流通油路部は、貯油部50においてギア貯油部50bとモータ貯油部50aとを連通させる部分である。流通油路部は、仕切り壁部17を軸方向に貫通するオイル流通孔17aにより構成される。ギア貯油部50bに溜まったオイルOは、流通油路部(オイル流通孔17a)を通して、モータ貯油部50aにも供給される。仕切り壁部17において、オイル流通孔17aの上下方向の位置、大きさ(軸方向に垂直な断面積)および数等を適宜調整することにより、オイル流通孔17aを流通するオイルOの量を制御できる。
図4に示す矢印のOF1〜OF5は、第1のハウジング11A内のオイルOの流れを簡略的に表している。OF1は、第1の電動オイルポンプ61Aから第1のオイルクーラ65Aに送られるオイルOの流れを示す。OF2は、第1のオイルクーラ65Aから第1のモータ20A等に供給されるオイルOの流れを示す。流れOF2は、例えばステータ26等を冷却する。OF3は、第1の電動オイルポンプ61Aから第1のモータ20Aおよび第1の伝達機構30A等に供給されるオイルOの流れを示す。流れOF3は、例えばロータ21およびステータ26等を冷却し、サンギア32、プラネタリギア33、インターナルギア34およびベアリング14,15,16,39a,39b等を潤滑する。OF4は、プラネタリギア33のモータ軸J2回りの公転によるオイルかき上げ作用によって供給されるオイルOの流れを示す。流れOF4は、例えばサンギア32、プラネタリギア33、インターナルギア34およびベアリング15,16,39a,39b等を潤滑する。OF5は、貯油部50から第1の電動オイルポンプ61Aに吸入されるオイルOの流れを示す。
第1の電動オイルポンプ61Aは、ストレーナ(図示省略)を介して、貯油部50からオイルOを吸入する。第1の電動オイルポンプ61Aは、モータ貯油部50aからオイルOを吸入する。第1の電動オイルポンプ61Aは、モータ等を内蔵する電動式のオイルポンプである。第1の電動オイルポンプ61Aは、第1のハウジング11Aの上部に配置される。本実施形態では、第1の電動オイルポンプ61Aが、第1のハウジング11Aの内部に設けられる。すなわち、第1の電動オイルポンプ61Aがビルトインタイプであり、第1の電動オイルポンプ61Aおよび油路40の全体が、第1のハウジング11A内に配置される。
機械式オイルポンプ62は、ストレーナ(図示省略)を介して、貯油部50からオイルOを吸入する。機械式オイルポンプ62は、モータ貯油部50aからオイルOを吸入する。機械式オイルポンプ62は、モータシャフト22に連結される例えばトロコイドポンプ等の構造を有する機械式のオイルポンプである。機械式オイルポンプ62は、モータ収容部12の底壁部12bに配置される。機械式オイルポンプ62は、モータシャフト22の軸方向他方側に、モータシャフト22と同軸に配置される。本実施形態では、電動式のオイルポンプである第1の電動オイルポンプ61Aを、第1のモータ20Aの回転状態や温度等に応じて選択的に使用する。例えば、車両100の走行時等に第1のモータ20Aの回転数が低速で安定している場合や、第1のモータ20AおよびオイルOの温度が低い場合などには、第1の電動オイルポンプ61Aの動作を停止させ、機械式オイルポンプ62のみによって、モータシャフト22内にオイルOを供給する。本実施形態では、機械式オイルポンプ62をメインポンプとして使用し、第1の電動オイルポンプ61Aをサブポンプとして選択的に使用する。
特に図示しないが、第2のモータユニット1BのオイルOの循環構造は、油路40と、第2の電動オイルポンプ61Bと、機械式オイルポンプ62と、を有する。第2のモータユニット1BのオイルOの循環構造は、第1のモータユニット1AのオイルOの循環構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。
第1のオイルクーラ65Aは、冷媒流路90と接続される。第1のオイルクーラ65Aは、冷媒流路90の後述する第1の接続流路90cおよび第1の流出流路90eと接続される。第1のオイルクーラ65Aは、内部に冷却液等の冷媒Rが流れる流路(図示省略)を有する。第1のオイルクーラ65A内の流路が、第1の接続流路90cおよび第1の流出流路90eと接続される。第1のオイルクーラ65Aには、第1のモータユニット1Aの油路40の一部が配置される。第1のオイルクーラ65Aの流路を流れる冷媒Rと、第1のモータユニット1Aの油路40の一部を流れるオイルOとの間で熱交換が行われることにより、オイルOが冷却される。つまり、第1のオイルクーラ65Aは、オイルOを冷却する。冷却されたオイルOにより、第1のモータ20Aおよび第1の伝達機構30A等が冷却される。また、第1のオイルクーラ65Aは、第1のオイルクーラ65Aの外部に露出する複数のフィン部を有する。複数のフィン部を介して、外気とオイルOとの間で熱交換が行われることによってもオイルOが冷却される。
第1のオイルクーラ65Aは、第1のハウジング11Aに設けられる。第1のオイルクーラ65Aは、第1のハウジング11Aの内部を循環するオイルOを冷却する。第1のオイルクーラ65Aは、第1のハウジング11Aのうち鉛直方向の路面とは反対側の上部に配置される。つまり第1のオイルクーラ65Aは、第1のハウジング11Aの上部に配置される。なお、路面とは、車両100が走行しまたは停止する道路等の上面であり、つまり車両100が位置する道路等の上面である。第1のオイルクーラ65Aは、第1のモータ20Aよりも鉛直方向の上側に配置される。本実施形態によれば、第1のオイルクーラ65Aにおいて冷媒Rで冷却したオイルOを、滴下等により第1のモータ20Aに供給しやすい。
第1のオイルクーラ65Aは、第1の電動オイルポンプ61Aと車両100の前後方向に並ぶ。本実施形態のように、2つのモータユニット1A,1Bがサブフレームに設置されるツインモータタイプでは、第1のモータユニット1Aにおける車両100の前後方向および車幅方向(軸方向)において、部材の配置スペースを確保しにくい。具体的に、第1のモータユニット1Aは、車両100の前後方向からサブフレームに挟まれるため、第1のモータユニット1Aと前後方向に隣り合う領域には、部材を設置するスペースが確保できない。また、第1のモータユニット1Aの車幅方向には、第2のモータユニット1B、リア左側の車軸およびサブフレームの一部等が配置されるため、第1のモータユニット1Aと車幅方向に隣り合う領域には、部材を設置するスペースが確保できない。そこで本実施形態のように、第1の電動オイルポンプ61Aおよび第1のオイルクーラ65Aが第1のハウジング11Aの上部に配置され、これらの部材が車両100の前後方向に並ぶ構成であると、第1の電動オイルポンプ61Aおよび第1のオイルクーラ65Aを配置するスペースを容易に確保しやすい。また、第1の電動オイルポンプ61Aとインバータケース4とが互いに接近して配置されるので、第1の電動オイルポンプ61Aと、インバータケース4に収容されるインバータ3とを電気的に接続する配線の長さを短くでき、配線の接続作業が容易である。なお、本実施形態の例では、車両100の前後方向において、第1のオイルクーラ65Aとインバータケース4との間に、第1の電動オイルポンプ61Aが配置される。第1のオイルクーラ65Aの上下方向の位置と、第1の電動オイルポンプ61Aの上下方向の位置と、インバータケース4の上下方向の位置とは、互いに略同じである。
第2のオイルクーラ65Bは、冷媒流路90と接続される。第2のオイルクーラ65B は、冷媒流路90の後述する第2の接続流路90dおよび第2の流出流路90fと接続される。第2のオイルクーラ65Bは、内部に冷却液等の冷媒Rが流れる流路(図示省略)を有する。第2のオイルクーラ65B内の流路が、第2の接続流路90dおよび第2の流出流路90fと接続される。第2のオイルクーラ65Bには、第2のモータユニット1Bの油路40の一部が配置される。第2のオイルクーラ65Bの流路を流れる冷媒Rと、第2のモータユニット1Bの油路40の一部を流れるオイルOとの間で熱交換が行われることにより、オイルOが冷却される。つまり、第2のオイルクーラ65Bは、オイルOを冷却する。冷却されたオイルOにより、第2のモータ20Bおよび第2の伝達機構30B等が冷却される。また、第2のオイルクーラ65Bは、第2のオイルクーラ65Bの外部に露出する複数のフィン部を有する。複数のフィン部を介して、外気とオイルOとの間で熱交換が行われることによってもオイルOが冷却される。
第2のオイルクーラ65Bは、第2のハウジング11Bに設けられる。第2のオイルクーラ65Bは、第2のハウジング11Bの内部を循環するオイルOを冷却する。第2のオイルクーラ65Bは、第2のハウジング11Bのうち鉛直方向の路面とは反対側の上部に配置される。つまり第2のオイルクーラ65Bは、第2のハウジング11Bの上部に配置される。第2のオイルクーラ65Bは、第2のモータ20Bよりも鉛直方向の上側に配置される。本実施形態によれば、第2のオイルクーラ65Bにおいて冷媒Rで冷却したオイルOを、滴下等により第2のモータ20Bに供給しやすい。
第2のオイルクーラ65Bは、第2の電動オイルポンプ61Bと車両100の前後方向に並ぶ。本実施形態のように、2つのモータユニット1A,1Bがサブフレームに設置されるツインモータタイプでは、第2のモータユニット1Bにおける車両100の前後方向および車幅方向(軸方向)において、部材の配置スペースを確保しにくい。具体的に、第2のモータユニット1Bは、車両100の前後方向からサブフレームに挟まれるため、第2のモータユニット1Bと前後方向に隣り合う領域には、部材を設置するスペースが確保できない。また、第2のモータユニット1Bの車幅方向には、第1のモータユニット1A、リア右側の車軸およびサブフレームの一部等が配置されるため、第2のモータユニット1Bと車幅方向に隣り合う領域には、部材を設置するスペースが確保できない。そこで本実施形態のように、第2の電動オイルポンプ61Bおよび第2のオイルクーラ65Bが第2のハウジング11Bの上部に配置され、これらの部材が車両100の前後方向に並ぶ構成であると、第2の電動オイルポンプ61Bおよび第2のオイルクーラ65Bを配置するスペースを容易に確保しやすい。また、第2の電動オイルポンプ61Bとインバータケース4とが互いに接近して配置されるので、第2の電動オイルポンプ61Bと、インバータケース4に収容されるインバータ3とを電気的に接続する配線の長さを短くでき、配線の接続作業が容易である。なお、本実施形態の例では、車両100の前後方向において、第2のオイルクーラ65Bとインバータケース4との間に、第2の電動オイルポンプ61Bが配置される。第2のオイルクーラ65Bの上下方向の位置と、第2の電動オイルポンプ61Bの上下方向の位置と、インバータケース4の上下方向の位置とは、互いに略同じである。
第1のモータユニット1Aの回転センサ80について説明する。回転センサ80は、第1のモータ20Aの軸方向の端部に設けられる。本実施形態では、回転センサ80が、第1のモータ20Aの軸方向他方側の端部に配置される。径方向から見て、回転センサ80と第3ベアリング14とは、互いに重なって配置される。回転センサ80は、第1のモータ20Aの回転を検知する。本実施形態では、回転センサ80がレゾルバである。回転センサ80は、レゾルバロータ80aと、レゾルバステータ80bと、を有する。レゾルバロータ80aは、ロータ21に固定される。本実施形態では、レゾルバロータ80aが、ロータホルダ23のセンサ支持部23cに固定される。レゾルバステータ80bは、第1のハウジング11Aに固定される。本実施形態では、レゾルバステータ80bが、モータ収容部12の底壁部12bに固定される。回転センサ80は、インバータケース4に収容される制御基板(図示省略)と電気的に接続される。特に図示しないが、第2のモータユニット1Bの回転センサ80の構造は、第1のモータユニット1Aの回転センサ80の構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。
第1のモータユニット1Aの温度センサ(図示省略)について説明する。温度センサは、第1のモータ20Aに設けられる。温度センサは、例えばステータ26の温度を検知する。つまり温度センサは、第1のモータ20Aの温度を検知する。温度センサは、制御基板と電気的に接続される。なお、温度センサは、第1のモータユニット1Aの油路40の一部に配置されてもよい。この場合、温度センサは、例えば貯油部50に配置されて、オイルOの温度を検知する。特に図示しないが、第2のモータユニット1Bの温度センサの構造は、第1のモータユニット1Aの温度センサの構造と鉛直面VSに関して面対称であり、よって詳細な説明は省略する。
インバータ3は、複数のモータユニット1A,1Bと電気的に接続される。インバータ3は、第1のモータ20A、第2のモータ20B、第1の電動オイルポンプ61Aおよび第2の電動オイルポンプ61Bと電気的に接続される。つまりインバータ3は、第1のモータ20Aおよび第2のモータ20Bと電気的に接続される。インバータ3は、複数のスイッチング素子3aと、パワー基板(図示省略)と、コンデンサ(図示省略)と、を有する。スイッチング素子3aは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。コンデンサおよびスイッチング素子3aは、パワー基板に接続される。インバータ3は、図示しない外部電源装置に接続される。外部電源装置は、例えば車両100に搭載される二次電池である。インバータ3は、外部電源装置から供給される直流電流を交流電流に変換して、第1のモータ20A、第2のモータ20B、第1の電動オイルポンプ61Aおよび第2の電動オイルポンプ61Bに供給する。なお、第1の電動オイルポンプ61Aおよび第2の電動オイルポンプ61Bにそれぞれ別のインバータが搭載される場合には、インバータ3は、第1のモータ20Aおよび第2のモータ20Bに交流電流を供給する。
図5に示すように、スイッチング素子3aは、インバータケース4に複数設けられる。スイッチング素子3aの数は、例えば、モータユニット1A,1Bの数(本実施形態では2つ)の倍数である。
インバータ3は、第1のモータ20Aのステータ26に供給される電力を調整可能である。インバータ3は、第2のモータ20Bのステータ26に供給される電力を調整可能である。インバータ3は、図示しない電子制御装置によって制御される。例えば、モータ始動時、車両100の走行時等において第1のモータ20Aの負荷が所定値以上に大きい場合、第1のモータ20Aの温度が所定値以上に高い場合、および、第1のモータユニット1AのオイルOの温度が所定値以上に高い場合などには、インバータ3が第1の電動オイルポンプ61Aを動作させる。例えば、車両100の走行時等において第1のモータ20Aの負荷が所定値以下に小さい場合、第1のモータ20Aの温度が所定値以下に低い場合、および、第1のモータユニット1AのオイルOの温度が所定値以下に低い場合などには、インバータ3が第1の電動オイルポンプ61Aの動作を停止させる。また、例えば、モータ始動時、車両100の走行時等において第2のモータ20Bの負荷が所定値以上に大きい場合、第2のモータ20Bの温度が所定値以上に高い場合、および、第2のモータユニット1BのオイルOの温度が所定値以上に高い場合などには、インバータ3が第2の電動オイルポンプ61Bを動作させる。例えば、車両100の走行時等において第2のモータ20Bの負荷が所定値以下に小さい場合、第2のモータ20Bの温度が所定値以下に低い場合、および、第2のモータユニット1BのオイルOの温度が所定値以下に低い場合などには、インバータ3が第2の電動オイルポンプ61Bの動作を停止させる。
インバータケース4は、インバータ3を収容する。つまりインバータ3は、インバータケース4の内部に配置される。インバータケース4は、インバータ3を収容可能な容器状である。本実施形態の例では、インバータケース4の外形が、直方体状である(図2参照)。インバータケース4の車幅方向の長さは、インバータケース4の前後方向の長さおよび上下方向の長さよりも大きい。インバータケース4の前後方向の長さは、インバータケース4の上下方向の長さよりも大きい。
インバータケース4は、ケース本体部4aと、ケース蓋部4bと、を有する。ケース本体部4aは、有底の四角形筒状である。インバータ3は、ケース本体部4aに配置される。ケース本体部4aは、板状の底壁4cと、角筒状の周壁と、を有する。本実施形態では、底壁4cが四角形板状であり、底壁4cの一対の板面は上下方向を向く。具体的に、底壁4cは長方形板状であり、底壁4cの車幅方向の長さは、底壁4cの前後方向の長さよりも大きい。底壁4cには、冷媒流路90の後述するインバータ冷却部90aが配置される。ケース蓋部4bは、四角形板状であり、一対の板面が上下方向を向く。ケース蓋部4bは、ケース本体部4aの上側の開口を塞ぐ。
インバータケース4は、車両100のサブフレーム(図示省略)に支持される。インバータケース4は、例えば路面からの水の浸入等を考慮して、サブフレームの上部に配置される。インバータケース4の上下方向の位置は、第1のハウジング11Aの上部(上端部)の上下方向の位置、および、第2のハウジング11Bの上部の上下方向の位置と略同じである。インバータケース4は、第1のモータ20Aおよび第2のモータ20Bよりも鉛直方向の上側に配置される。
冷媒流路90には、第1のオイルクーラ65A、第2のオイルクーラ65Bおよびインバータ3を冷却する冷媒Rが流通する。冷媒Rは、例えばラジエータ液などの冷却液等である。本実施形態では、冷媒流路90を流通する冷媒Rが、複数のオイルクーラ65A,65Bおよび複数のスイッチング素子3a等を冷却する。つまり冷媒流路90を流れる冷媒Rは、インバータ3の少なくとも一部を冷却し、本実施形態では少なくともスイッチング素子3aを冷却する。
冷媒流路90は、インバータ冷却部90aと、供給流路90bと、第1の接続流路90cと、第2の接続流路90dと、第1の流出流路90eと、第2の流出流路90fと、排出流路90gと、を有する。供給流路90b、第1の接続流路90c、第2の接続流路90d、第1の流出流路90e、第2の流出流路90fおよび排出流路90gは、例えばパイプやチューブ等の配管部材等により構成される。なお、以下の説明では、冷媒Rの流れの下流側を単に下流側と呼び、冷媒Rの流れの上流側を単に上流側と呼ぶ場合がある。
インバータ冷却部90aは、インバータケース4に配置され、インバータ3を冷却する。インバータ冷却部90aは、底壁4cの内部に設けられる冷媒Rの貯留室(貯留空間)である。つまりインバータ冷却部90aには、冷媒Rが溜められる。インバータ冷却部90aの上流側からインバータ冷却部90aに流入した冷媒Rは、インバータ冷却部90aに一時的に保持され、インバータ冷却部90aの下流側へ向けてインバータ冷却部90aから流出する。
本実施形態では、上下方向から見て(つまり平面視において)、インバータ冷却部90aが四角形状である。具体的に、平面視においてインバータ冷却部90aは長方形状であり、インバータ冷却部90aの車幅方向の長さは前後方向の長さよりも大きい。特に図示しないが、インバータ冷却部90aの室の内壁は、底壁4cの上面から下側に向けて窪む凹部と、凹部の上側の開口を塞ぐ塞ぎ部と、により構成される。インバータ冷却部90aは、上下方向から見て、複数のスイッチング素子3aと重なって配置される。インバータ冷却部90aは、スイッチング素子3aの下面と対向する。塞ぎ部の上面が、スイッチング素子3aの下面と接触する。塞ぎ部を通して、インバータ冷却部90aの冷媒Rとスイッチング素子3aとの間で熱交換が行われることにより、スイッチング素子3aつまりインバータ3が冷却される。なお、塞ぎ部の一部が、スイッチング素子3aの下面により構成されてもよい。この場合、インバータ冷却部90aの内壁の一部は、スイッチング素子3aの下面により構成される。そして、インバータ冷却部90aの冷媒Rとスイッチング素子3aとの間で直接的に熱交換が行われることにより、インバータ3が冷却される。本実施形態では、インバータ冷却部90aが、インバータケース4に1つ設けられ、複数のスイッチング素子3aを冷却する。本実施形態によれば、インバータケース4および冷媒流路90の構造を簡素化しつつ、インバータ3を冷却できる。
供給流路90bは、インバータ冷却部90aに冷媒Rを送る。供給流路90bは、冷媒流路90のうち、インバータ冷却部90aの上流側に位置する流路部分である。供給流路90bは、供給流路90bの下流側に位置するインバータ冷却部90aに冷媒Rを供給する。本実施形態では、供給流路90bが、インバータ冷却部90aと直接接続する。供給流路90bは、冷媒流路90に1つ設けられる。
第1の接続流路90cは、インバータ冷却部90aと第1のオイルクーラ65Aとを接続する。第1の接続流路90cは、インバータ冷却部90aから第1のオイルクーラ65Aに冷媒Rを送る。第1の接続流路90cは、冷媒流路90のうち、インバータ冷却部90aの下流側に位置する流路部分であり、かつ第1のオイルクーラ65Aの上流側に位置する流路部分である。第1の接続流路90cは、第1の接続流路90cの下流側に位置する第1のオイルクーラ65Aに冷媒Rを供給する。図2に示す例では、第1の接続流路90cが前後方向に延びて、インバータケース4のインバータ冷却部90aと、第1のオイルクーラ65Aとを繋ぐ。本実施形態では、第1の接続流路90cが、冷媒流路90に1つ設けられる。第1の接続流路90cは、インバータ冷却部90aと第1のオイルクーラ65Aとの間に、複数設けられてもよい。
第2の接続流路90dは、インバータ冷却部90aと第2のオイルクーラ65Bとを接続する。第2の接続流路90dは、インバータ冷却部90aから第2のオイルクーラ65Bに冷媒Rを送る。第2の接続流路90dは、冷媒流路90のうち、インバータ冷却部90aの下流側に位置する流路部分であり、かつ第2のオイルクーラ65Bの上流側に位置する流路部分である。第2の接続流路90dは、第2の接続流路90dの下流側に位置する第2のオイルクーラ65Bに冷媒Rを供給する。図2に示す例では、第2の接続流路90dが前後方向に延びて、インバータケース4のインバータ冷却部90aと、第2のオイルクーラ65Bとを繋ぐ。本実施形態では、第2の接続流路90dが、冷媒流路90に1つ設けられる。第2の接続流路90dは、インバータ冷却部90aと第2のオイルクーラ65Bとの間に、複数設けられてもよい。第1の接続流路90cの数と、第2の接続流路90dの数とは、互いに同じであることが好ましい。
本実施形態によれば、1つの供給流路90bからインバータ冷却部90aに流入した冷媒Rが、インバータ冷却部90aから第1の接続流路90cを通って第1のオイルクーラ65Aに送られ、インバータ冷却部90aから第2の接続流路90dを通って第2のオイルクーラ65Bに送られる。インバータケース4の上流側では、冷媒流路90が1つの供給流路90bに集約されるので、インバータケース4に冷媒Rを供給する配管を簡素化できる。このため、車両100に搭載する配管をレイアウトしやすく、また冷媒ポンプ95等の他の部材と配管を接続しやすい。インバータケース4の下流側では、冷媒流路90が第1の接続流路90cと第2の接続流路90dとに分岐され、第1の接続流路90cは第1のオイルクーラ65Aに接続し、第2の接続流路90dは第2のオイルクーラ65Bに接続する(つまり並列接続される)。このため、第1のオイルクーラ65Aと第2のオイルクーラ65Bとを均等に冷却できる。第1のオイルクーラ65Aと第2のオイルクーラ65Bとが均等に冷却されるので、各オイルクーラ65A,65Bが冷却する各ハウジング11A,11B内のオイルOも均等に冷却される。この結果、各ハウジング11A,11Bに収容される各モータ20A,20Bも均等に冷却および潤滑されて、複数のモータ20A,20B同士の性能のばらつきが抑えられる。
特に図示しないが、本実施形態とは異なり、例えば冷媒流路90が、インバータ冷却部90aと第1のオイルクーラ65Aとを接続する流路部分と、第1のオイルクーラ65Aと第2のオイルクーラ65Bとを接続する流路部分と、を有する構成(つまり直列接続)である場合、第1のオイルクーラ65Aを冷却した後の冷媒Rが、第2のオイルクーラ65Bに送られる。この場合、2つのオイルクーラ65A,65Bを均等に冷却することができず、第1のオイルクーラ65Aの冷却機能(性能)に比べて第2のオイルクーラ65Bの冷却機能が低下し、各オイルクーラ65A,65Bが冷却する各ハウジング11A,11B内のオイルOも均等に冷却されない。この結果、各ハウジング11A,11Bに収容される各モータ20A,20Bも均等に冷却および潤滑されず、複数のモータ20A,20B同士の間で性能のばらつきが生じる。
特に、第1のハウジング11A内に第1のモータ20A以外の第1の伝達機構30A等が収容されており、第1のハウジング11A内にオイルOが流れる経路(油路40の構成要素)が複数設けられ、第2のハウジング11B内に第2のモータ20B以外の第2の伝達機構30B等が収容されており、第2のハウジング11B内にオイルOが流れる経路が複数設けられる場合には、各ハウジング11A,11B内のオイルOを互いに均等にかつ安定して冷却することがより難しくなる傾向がある。このような構成を有する場合であっても、本実施形態によれば、各ハウジング11A,11B内のオイルOを互いに均等にかつ安定して冷却できる。
また本実施形態では、第1のオイルクーラ65A、第2のオイルクーラ65Bおよびインバータケース4が、第1のモータ20Aおよび第2のモータ20Bよりも上側に配置されるので、第1のオイルクーラ65Aおよび第2のオイルクーラ65Bと、インバータケース4とを配管部材等により接続しやすい。すなわち、インバータケース4のインバータ冷却部90aと第1のオイルクーラ65Aとを、第1の接続流路90cにより接続する際の作業性がよい。また、第1の接続流路90cの長さを短く抑えられ、第1の接続流路90cの配管部材等を簡素化できる。第1の接続流路90cを通る冷媒Rが、外気と熱交換して温度上昇することを抑制できる。インバータケース4のインバータ冷却部90aと第2のオイルクーラ65Bとを、第2の接続流路90dにより接続する際の作業性がよい。また、第2の接続流路90dの長さを短く抑えられ、第2の接続流路90dの配管部材等を簡素化できる。第2の接続流路90dを通る冷媒Rが、外気と熱交換して温度上昇することを抑制できる。
第1の流出流路90eは、冷媒流路90のうち、第1のオイルクーラ65Aの下流側に位置する流路部分である。第1の流出流路90eは、第1のオイルクーラ65Aと排出流路90gとの間に配置されて、これらを繋ぐ。第1の流出流路90eは、第1のオイルクーラ65Aに接続される。第1の流出流路90eには、第1のオイルクーラ65Aから流出される冷媒Rが流れる。第1の流出流路90eは、排出流路90gに接続される。第1の流出流路90eを流れる冷媒Rは、排出流路90gに送られる。すなわち、第1の流出流路90eは、第1の流出流路90eの上流側に位置する第1のオイルクーラ65Aから冷媒Rを受け入れ、下流側の排出流路90gへ向けて流す。本実施形態では、第1の流出流路90eが、冷媒流路90に1つ設けられる。第1の流出流路90eは、第1のオイルクーラ65Aと排出流路90gとの間に、複数設けられてもよい。
図2に示す例では、第1の流出流路90eが第1のオイルクーラ65Aから後側に向けて延びる部分を有する。ただしこれに限らず、図1に示す例のように、第1の流出流路90eが、第1のオイルクーラ65Aから前側に向けて延びる部分を有していてもよい。また、図3および図4に示す例のように、第1の流出流路90eが、第1のオイルクーラ65Aから車幅方向に延びる部分を有していてもよい。特に図示しないが、第1の流出流路90eは、第1のオイルクーラ65Aから上側に延びる部分を有していてもよい。
第2の流出流路90fは、冷媒流路90のうち、第2のオイルクーラ65Bの下流側に位置する流路部分である。第2の流出流路90fは、第2のオイルクーラ65Bと排出流路90gとの間に配置されて、これらを繋ぐ。第2の流出流路90fは、第2のオイルクーラ65Bに接続される。第2の流出流路90fには、第2のオイルクーラ65Bから流出される冷媒Rが流れる。第2の流出流路90fは、排出流路90gに接続される。第2の流出流路90fを流れる冷媒Rは、排出流路90gに送られる。すなわち、第2の流出流路90fは、第2の流出流路90fの上流側に位置する第2のオイルクーラ65Bから冷媒Rを受け入れ、下流側の排出流路90gへ向けて流す。本実施形態では、第2の流出流路90fが、冷媒流路90に1つ設けられる。第2の流出流路90fは、第2のオイルクーラ65Bと排出流路90gとの間に、複数設けられてもよい。
図2に示す例では、第2の流出流路90fが第2のオイルクーラ65Bから後側に向けて延びる部分を有する。ただしこれに限らず、図1に示す例のように、第2の流出流路90fが、第2のオイルクーラ65Bから前側に向けて延びる部分を有していてもよい。第2の流出流路90fは、第2のオイルクーラ65Bから車幅方向に延びる部分を有していてもよい。第2の流出流路90fは、第2のオイルクーラ65Bから上側に延びる部分を有していてもよい。
排出流路90gは、冷媒流路90のうち、第1の流出流路90eおよび第2の流出流路90fの下流側に位置する流路部分である。排出流路90gは、冷媒流路90に1つ設けられる。1つの排出流路90gは、第1の流出流路90eおよび第2の流出流路90fと接続される。つまり、第1の流出流路90eおよび第2の流出流路90fが、下流側において1つの排出流路90gに集約される。排出流路90gは、第1の流出流路90eを流れる冷媒Rと第2の流出流路90fを流れる冷媒Rとを合流させて、ラジエータ96へ送る。
本実施形態によれば、第1のオイルクーラ65Aを冷却した後の冷媒Rが、第1のオイルクーラ65Aに接続される第1の流出流路90eを通って、排出流路90gに流入する。また、第2のオイルクーラ65Bを冷却した後の冷媒Rが、第2のオイルクーラ65Bに接続される第2の流出流路90fを通って、排出流路90gに流入する。第1のオイルクーラ65Aおよび第2のオイルクーラ65Bの下流側で、冷媒流路90が1つの排出流路90gに集約されるので、ラジエータ96等に冷媒Rを戻す配管を簡素化できる。このため、車両100に搭載する配管をレイアウトしやすく、またラジエータ96等の他の部材と配管を接続しやすい。
冷媒ポンプ95は、冷媒流路90に冷媒Rを循環させる。冷媒ポンプ95は、冷媒流路90の一部に接続される。冷媒ポンプ95は、例えばウォーターポンプ等である。本実施形態の例では、冷媒ポンプ95が車両100の前側部分に配置される。冷媒ポンプ95は、供給流路90bと接続される。冷媒ポンプ95は、供給流路90bの上流側に位置する。冷媒ポンプ95は、冷媒ポンプ95の下流側に位置する供給流路90bに冷媒Rを供給する。
ラジエータ96は、冷媒流路90の冷媒Rを冷却する。ラジエータ96は、冷媒流路90の一部に接続される。本実施形態では、ラジエータ96が車両100の前側部分に配置される。ラジエータ96は、排出流路90gと接続される。ラジエータ96は、排出流路90gの下流側に位置し、かつ冷媒ポンプ95の上流側に位置する。ラジエータ96は、ラジエータ96の下流側に位置する冷媒ポンプ95に冷媒Rを供給する。言い換えると、ラジエータ96で冷却された冷媒Rが、冷媒ポンプ95により吸入され、供給流路90bに吐出される。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
前述の実施形態では、駆動装置10が、車両100のリア用の駆動装置であるが、これに限らない。駆動装置10は、車両100のフロント用の駆動装置であってもよい。
前述の実施形態では、インバータ冷却部90aが、インバータケース4に1つ設けられ、複数のスイッチング素子3aを冷却する例を挙げたが、これに限らない。図6に示す変形例のように、インバータ冷却部90aが、インバータケース4に複数設けられてもよい。複数のインバータ冷却部90aは、複数のスイッチング素子3aをそれぞれ冷却する。この変形例では、スイッチング素子3aの数とインバータ冷却部90aの数とが、互いに同じである。つまり1つのインバータ冷却部90aが、1つのスイッチング素子3aを冷却する。なお、1つのインバータ冷却部90aが、複数のスイッチング素子3aを冷却してもよい。上下方向から見て、各インバータ冷却部90aは、各スイッチング素子3aとそれぞれ重なって配置される。インバータ冷却部90aは、インバータ冷却部90aと上下方向に対向するスイッチング素子3aを冷却する。また、冷媒流路90は、供給流路90bと複数のインバータ冷却部90aとを接続する複数の分岐流路90hを有する。つまり分岐流路90hは、冷媒流路90に複数設けられる。分岐流路90hは、供給流路90bとインバータ冷却部90aとの間に配置されて、これらを繋ぐ。図示の例では、分岐流路90hが、供給流路90bと1つのインバータ冷却部90aとの間に、1つ設けられる。この変形例では、インバータ冷却部90aの数が2つであり、分岐流路90hの数も2つである。1つのインバータ冷却部90aと1つの分岐流路90hとは、1対1で接続される。なお、分岐流路90hは、供給流路90bと1つのインバータ冷却部90aとの間に、複数設けられてもよい。図示の例では、分岐流路90hが、インバータケース4の底壁4cの内部に設けられる。この変形例によれば、上下方向から見て、各インバータ冷却部90aの形状を各スイッチング素子3aの形状と合わせることができる。これにより、インバータ冷却部90aが、インバータケース4においてスイッチング素子3a以外の部分、つまりインバータ3以外の部分を無駄に冷却することが抑えられて、インバータ3の冷却効率が向上する。
インバータケース4の外形は、前述の実施形態で説明した直方体状に限らない。インバータケース4の外形は、例えば、直方体状以外の多角形柱状等であってもよい。上下方向から見て、インバータ冷却部90aの形状は、前述の実施形態で説明した四角形状に限らない。インバータ冷却部90aの形状は、例えば、四角形状以外の多角形状等であってもよい。
前述の実施形態では、第1の伝達機構30Aおよび第2の伝達機構30Bが遊星歯車機構である例を挙げたが、これに限らない。第1の伝達機構30Aおよび第2の伝達機構30Bは、遊星歯車機構以外の減速機構であってもよい。また、第1のハウジング11A内および第2のハウジング11B内にそれぞれ設けられるオイルOの循環経路は、前述した油路40の構成に限らない。
前述の実施形態では、駆動装置10の第1のモータユニット1Aが、1つの第1のモータ20Aと、1つの第1の伝達機構30Aと、を備え、第2のモータユニット1Bが、1つの第2のモータ20Bと、1つの第2の伝達機構30Bと、を備える例を挙げたが、これに限らない。第1のモータユニット1Aが、1つの第1のモータ20Aと、2つの第1の伝達機構30Aと、を備えてもよい。この場合、第1のモータ20Aのモータシャフト22の軸方向の両端部に、第1の伝達機構30Aがそれぞれ接続される。そして第1のモータ20Aは、2つの第1の伝達機構30Aを介して、2つの第1の車輪(車幅方向の左側の車輪および右側の車輪)を駆動する。また、第2のモータユニット1Bが、1つの第2のモータ20Bと、2つの第2の伝達機構30Bと、を備えてもよい。この場合、第2のモータ20Bのモータシャフト22の軸方向の両端部に、第2の伝達機構30Bがそれぞれ接続される。そして第2のモータ20Bは、2つの第2の伝達機構30Bを介して、2つの第2の車輪(車幅方向の左側の車輪および右側の車輪)を駆動する。この場合、第1のモータユニット1Aの第1のモータ20Aのモータ軸J2と、第2のモータユニット1Bの第2のモータ20Bのモータ軸J2とは、例えば、車両100の前後方向に互いに間隔をあけて配置される。
前述の実施形態では、駆動装置10が、電気自動車(EV)に搭載される例を挙げたが、これに限らない。駆動装置10は、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)やハイブリッド自動車(HEV)等に搭載されてもよい。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。