JP4952385B2 - 9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物、製造法およびその用途 - Google Patents
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Description
1.高い屈折率を有する新規な有機化合物を提供すること。
2.上記目的1に適う工業的に有利な製造法を提供すること。
3.透明性に優れた高屈折率材料を提供すること。
4.透明性に優れた高屈折率材料製の高屈折率樹脂製物品を提供すること。
1.第一発明に係る9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物は、高い屈折率を有する。
2.第二発明に係る製造方法によれば、第一発明に係る化合物を、工業的に有利に製造することができる。
3.第三発明に係る重合性組成物は、透明で耐熱性に優れた光学物品(製品)が得られる。
4.第四発明に係る樹脂は高屈折率で、軽量で、透明性に優れているので、光学物品(製品)として有用である。
5.第五発明に係る高屈折率樹脂製製品は、軽量で、透明性に優れている。
本発明の第一発明に係る化合物は、上記構造式(1)によって表される、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物である。
<第1反応>
攪拌機、温度計、原料仕込み口を装備した容量が100mlのオートクレーブに、水18g、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a―テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)を仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
(1)融点:142〜144℃。
(2)屈折率:測定せず。
(3)IR(KBr,cm−1):3360、3060、3030、2910、1668、1645、1595、1450、1370、1320、1280、1170、1025、925、780、762、698、694。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ2.60(s,1H)、3.25(s,2H)、6.14(d,J=8Hz,2H)、6.90(t,J=8Hz,2H)、7.06(t,J=8Hz,1H)、7.46(t,J=8Hz,2H)、7.68(t,J=8Hz,2H)、7.90(t、J=8Hz,2H)、8,04(t,J=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=300(M+)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンを2.0g(6.7ミリモル)入れ、次いでアセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.0g(20.2ミリモル)を仕込んだ。四つ口フラスコを氷浴に浸し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.8g(20.2ミリモル)を、アセトニトリル10mlに溶解した溶液として仕込み、仕込み後に室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.9g(2.5ミリモル)を得た。生成物の10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、38mol%であった。
(1)融点:133〜134℃。
(2)屈折率:1.635。
(3)IR(KBr,cm−1):690、975、1030、1170、1280、1600、1650、1720。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ3.43(s,2H)、5.93(dd,J1=2Hz,J2=10Hz,1H)、6.15(d,J=8Hz,2H)、6.28(dd,J1=10Hz,J2=17Hz,1H)、6.47(dd,J1=2Hz,J2=10Hz,1H)、6.83−7.68(m,9H)、8.12(dd,J1=1Hz,J2=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=354(M+)。
<第1反応>
9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a―テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを100mlオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し、1時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
(1)融点:100〜101℃。
(2)屈折率:1.626。
(3)IR(KBr,cm−1):3440、3060、2980、2940、2910、1643、1596、1580、1455、1320、1300、1152、1024、990、926、913、764、690、644、620、525、504。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ2.66(s,1H)、2.67(d,J=8Hz,2H)、4.60(dd,J1=2Hz、J2=17Hz,1H)、4.83(dd,J1=2Hz,J2=9Hz,1H)、5.15(m,1H)、7.49(t、J=8Hz,2H)、7.67(t,J=8Hz,2H)、7.92(d,J=8Hz,2H)、8.20(d、J=8Hz、2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=250(M+)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−アリル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン1.9g(7.6ミリモル)、アセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.3g(22.8ミリモル)を仕込んだ。四つ口フラスコを氷浴中に浸漬し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル2.1g(22.8ミリモル)を、アセトニトリル10mlに溶解した溶液として仕込み、仕込み後に室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−アリル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.9g(3.0ミリモル)を得た。生成物の10−アリル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、40mol%であった。
(1)融点:88〜89℃。
(2)屈折率:1.607。
(3)IR(KBr,cm−1):705、922、975、1173、1310、1595、1660、1720。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ2.93(d,J=7Hz,2H)、4.58(dd,J1=2Hz,J2=17Hz,1H)、4.79(dd,J1=1Hz,J2=11Hz,1H)、5.02−5.15(m,1H)、5.89(dd,J1=1Hz,J2=11Hz,1H)、6.22(dd,J1=11Hz、J2=17Hz,1H)、6.41(dd,J1=1Hz,J2=17Hz,1H)、7.44−7.68(m,6H)、8.30(dd,J1=1Hz,J2=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=304(M+)。
<第1反応>
攪拌機、温度計、原料仕込み口を装備した容量が100mlのオートクレーブに、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
(1)融点:172〜174℃。
(2)屈折率:測定せず。
(3)IR(KBr,cm−1):3260、3060、2950、2930、1660、1596、1450、1314、1280、1034、1020、922、772、696。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ1.66(t,J=7Hz,3H)、1.64−1.76(m、2H)、1.96−2.06(m,2H)、2.50(s,1H)、7.47(t,J=8Hz,2H)、7.68(t,J=8Hz,2H)、7.92(d,J=8Hz,2)、8.24(d,J=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=252(M+)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン1.0g(4.0ミリモル)を仕込み、次いでアセトニトリル15ml、トリエチルアミン1.2g(11.8ミリモル)を仕込んだ。四つ口ラスコを氷浴中に浸漬し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.1g(11.8ミリモル)を、アセトニトリル5mlに溶解した溶液として添加し、室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水10mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水20ml、酢酸エチル40mlを加えた。得られた反応生成物に純水10mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−プロピル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.5g(1.7ミリモル)を得た。生成物の10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、42mol%であった。
(1)融点:77〜78℃。
(2)屈折率:1.602。
(3)IR(KBr,cm−1):700、1185、1318、1598、1660、1727。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ0.66(t,J=5Hz,2H)、0.63−0.78(m,2H)、2.17−2.23(m,2H)、5.87(dd,J1=1Hz,J2=11Hz,1H),6.19(dd,J1=11Hz,J2=17Hz,1H)、6.38(dd,J1=1Hz,J2=17Hz,1H)、7.45−7.66(m,6H)、8.31(dd,J1=1Hz,J2=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=306(M+)。
<第1反応>、
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlのオートクレーブに、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し、1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
(1)融点:153〜154℃。
(2)屈折率:測定せず。
(3)IR(KBr、cm−1):3440、2910、2845、1640、1594、1450、1340、1320、1260、1162、1022、945、922、890、762、758、695、618、522、504。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ0.52(2H,dt,J1=J2=12Hz)、0.80(1H,t,J=12Hz)、1.01(2H,dt,J1=J2=12Hz)、1.40−1.80(5H,m)、7.48(2H,t、J=9Hz)、7.63(2H,t,J−9Hz)、7.88(2H,d,J=9Hz)、8.17(2H,d,J=9Hz)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=292(M+)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの三口フラスコに、10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセンオンのアセトン28m溶液を仕込み、そこに塩化アクリロイル3.2gを加え、ついで、反応液を氷浴に浸漬して冷却し、そこにトリエチルアミン3.64g(36ミリモル)のアセトン12ml溶液を仕込んだ。フラスコ内は、トリエチルアミンを添加した後直ちに、白い結晶の析出が観察された。フラスコ内容物を氷浴中で1時間攪拌した後、水10ml加え、沈殿物を溶解させた。さらに、水を20ml加えスラリー状にし、実施例1におけると同様の手順でスラリーを濃縮したところ、結晶が析出した。析出した結晶を吸引濾過し、水洗,乾燥して、薄い黄色の結晶600mgを得た。生成物の10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、24mol%であった。
(1)融点:141〜142℃。
(2)屈折率:1.615。
(3)IR(KBr、cm−1):2925、2850、1730、1660、1595、1400、1316、1270、1180、981、922、800、704。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MH):δ0.61(2H,dt,j1=J2=11Hz)、0.86(1H,t,J=11Hz)、1.08(2H,dt,j1=J2=11Hz)、1.46−1.72(5H,m)、5.93(1H,d,J=11Hz)、6.28(1H,dd,J1=11Hz,J2=17Hz)、6.43(1H,d,J=17Hz)、7.46(2h、t、J=9Hz)、7.59(2h、t、J=9Hz)、7.82(2H,d,J=9Hz)、8.28(2H,d,J=0Hz)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=346(M+)。
<第1反応>
攪拌機、温度計を装備した容量200mlの三口フラスコに、2−メチル−9,10−アントラキノン4.44g(20ミリモル)、水30g、過酸化チオ尿素6g(60ミリモル)を加え、よく攪拌しスラリーとした。ついで、窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム9.6g(240ミリモル)の水30gに溶解した溶液を滴下した。反応混合物の色は直ちに赤色になり、さらに、フラスコ内の反応混合物を攪拌しつつ50℃に加熱し、50℃の温度で30分保持したところ、2-メチル−9,10−アントラヒドロキノンのジナトリウム塩の真紅な水溶液が得られた。次に、この赤い水溶液を室温まで冷却し、窒素雰囲気下、臭化アリル3.3g(28ミリモル)の20mlメタノール溶液を加えた。
攪拌中に次第に黄土色のオイルが沈殿するので、1時間攪拌後、反応物に酢酸エチル50mlを加えて有機層を抽出した後、有機層(抽出物)を水20mlで3回洗浄した。有機層を濃縮して、薄黄色油状物質を4.2g(16ミリモル)得た。
次いで、攪拌機、温度計を装備した容量が200ml三口フラスコ中に、上記で得られた薄黄色油状物質4.2g(16ミリモル)の塩化メチレン20ml溶液、塩化アクリロイル2.88g(32ミリモル)を仕込み、氷浴中で、フラスコ内の内容物を攪拌・混合した。この後、フラスコにトリエチルアミン3.2g(32ミリモル)の塩化メチレン6ml溶液を添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、フラスコに水2ml加え、析出したトリエチルアミンの塩酸塩の結晶を溶解させた。さらに、フラスコに水を4ml加えると2層に分かれたので、塩化メチレン層を分取した。分離した塩化メチレン層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、黄色油状の9−アリル−10−オキソ−2−メチル−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート3.0g(9.4ミリモル)を得た。生成物の2−メチル−9,10−アントラキノンに対する収率は、47モルl%であった。
(1)融点:室温で液体である。
(2)屈折率:1.604。
(3)IR(KBr、cm−1):3080,2930,1735,1666,1610,1460,1408,1320,1262,1180,1040,985,940,810,720。
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ2.42(s、3H),2.94(d、J=8Hz,2H),4.58(dd、J1=2Hz,J2=18Hz,1H),4.80(dd、J1=2Hz,J2=10Hz、1H),5.08(m、1H),5.86−5.92(m、1H),6.16−6.28(m,1H),6.34−6.44(m、1H),7.28−7.67(m、5H),8.10−8.34(m、2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=318(M+)。
<第1反応>、
攪拌機、温度計を装備した容量200mlの三口フラスコに、2−フェニルチオ−9,10−アントラキノン5.0g(15.8ミリモル)、水酸化ナトリウム1.7g(41.1ミリモル)、水40ml、メタノール48ml、パラジウム担持活性炭0.5gを仕込み、水素圧0.4MPa、温度60℃とし、攪拌しつつ3.5時間反応を遂行した。反応終了後、フラスコ内温を室温まで冷却し、窒素雰囲気下でパラジウム担持活性炭を濾別し、濾液を攪拌機、温度計を装備した容量が200ml四つ口フラスコに受けた。次に、上記の溶液に臭化アリル2.7g(22.1ミリモル)を加え、室温で攪拌した。攪拌中に次第に黄土色のオイルが沈殿した。1時間攪拌後、反応物に酢酸エチル50mlを加えて有機層を抽出した後、有機層(抽出物)を水20mlで3回洗浄した。有機層を濃縮・乾燥して、橙色油状物質を4.7g(13.1ミリモル)得た。生成物の、2−フェニルチオ−9,10−アントラキノンに対する収率は83モル%であった。
(1)融点:室温で液体である。
(2)屈折率:1.676。
(3)IR(KBr、cm−1):3425、3070、2950、1730、1680、1580、1300、1250、1040、930、710、690
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz): δ2.60(s,1H),2.65(d、J=10Hz,1H),2.70(d,J=10Hz,1H),4.63(d,J=16Hz,1H),4.84(d,J=12Hz,1H),5.07−5.22(m,1H),7.16−8.22(m、12H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=358(M+)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−アリル−10−ヒドロキシ−2−フェニルチオアントラセン−9(10H)−オン2.0g(5.8ミリモル)、アセトニトリル30ml、トリエチルアミン1.8g(17.4ミリモル)を仕込み、氷浴で、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.6g(17.4ミリモル)をアセトニトリル10mlに溶解した溶液を添加し、室温で2時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、黄色油状の9−アリル−10−オキソ−2−フェニルチオ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート1.1g(2.6ミリモル)を得た。生成物の10−アリル−10−ヒドロキシ−2−フェニルチオアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、45mol%であった。
(1)融点:室温で液体である。
(2)屈折率:1.640。
(3)IR(KBr、cm−1):3075、2925、1730、1660、1580、1400、1300、1250、1170、1030、980、720
(4)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ2.84(d、J=10Hz,1H),2.90(d,J=10Hz,1H),4.59(d,J=17Hz,1H),4.80(d,J=12Hz,1H),5.03−5.09(m,1H),5.84−5.91(m,1H),6.01−6.25(m,1H),6.34(dd,J1=2Hz,J2=16Hz,1H),7.18−7.63(m,10H),8.13−8.28(m,2H)。
(5) Massスペクトル:(EI−MS)m/z=412(M+)。
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと、9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートとの共重合の調製例:
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート100重量部、実施例1に記載の方法で合成した、9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート50重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア819)1重量部をそれぞれ秤量し、容量が200mlのビーカーに入れ、均一になるように混合して光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を、大きさが50mm×50mmのガラス板表面に、バーコーターによって膜の厚さが200μmとなるように塗布し、次いで窒素雰囲気下、紫外LEDランプ(サンダー社製、型式:SDL−10M3CUV)によって、395nmの照射強度を3mw/cm2として照射した。3分間照射して、光重合性組成物が重合・硬化した透明な樹脂フィルムが得られた。ついで、得られた樹脂膜をガラス板から剥がし、この樹脂の屈折率を、屈折率計(アタゴ社製、形式:DR−M2)を使用して測定したところ、1.578であった。
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート単独重合の調製例:
トリシクロデカンジメタノールジアクリレー100重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア819)1重量部をそれぞれ秤量して光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を、大きさが50mm×50mmのガラス板表面に、バーコーターによって膜の厚さが200μmとなるように塗布し、次いで窒素雰囲気下、紫外LEDランプ(上に同じ)によって、395nmの照射強度を3mw/cm2として照射した。1分間照射して、光重合性組成物が重合・硬化した樹脂フィルムが得られた。ついで、得られた樹脂フィルムをガラス板から剥がし、この樹脂の屈折率を、屈折率計(上に同じ)を使用して測定したところ、1.536であった。測定結果を、表−2に記載した。
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートとフェノキシエチルアクリレートとの共重合の調製例:
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート100重量部、市販の高屈折率化合物2−フェノキシエチルアクリレート50重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア819)1重量部をそれぞれ秤量し、容量が200mlのビーカーに入れ、均一になるように混合して光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を、大きさが50mm×50mmのガラス板表面に、バーコーターによって膜の厚さが200μmとなるように塗布し、次いで窒素雰囲気下、紫外LED(上に同じ)によって、395nmの照射強度を3mw/cm2として照射した。1分間照射して、光重合性組成物が重合・硬化したフィルムが得られた。得られた樹脂フィルムをガラス板から剥がし、この樹脂の屈折率を、屈折率計(上に同じ)を使用して測定したところ1.553であり、光重合性組成物の調製比較例1のものに比べて高いものの、光重合性組成物の調製実施例1のものに比べると、低い値であった。測定結果を、表−2に記載した。
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと2−メチル−9,10−アントラセンジオールジメタクリレートとの共重合の調製例:
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート100重量部、2−メチル−9,10−アントラセンジオールジメタクリレート5重量部(これ以上は溶解しなかった。)、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア784)2重量部をそれぞれ秤量し、容量が200mlのビーカーに入れ、均一になるように混合して光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を、大きさが50mm×50mmのガラス板表面に、バーコーターによって膜の厚さが200μmとなるように塗布し、次いで窒素雰囲気下、青色LEDランプ{ルクセオン社製、型式:Luxeon III Star(3W)}によって光線を照射した。3分間照射して、光重合性組成物が重合・硬化した樹脂フィルムが得られた。得られた樹脂フィルムをガラス板から剥がし、この樹脂の屈折率を、屈折率計(アタゴ社製、形式:DR−M2)を使用して測定したところ1.537であり、光硬化実施例1に比べて遥かに低い値であり、光硬化比較例1と同程度であった。測定結果を、表−2に記載した。
1.本発明に係る9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート成分を含む共重合体は、高い屈折率を有している。これに対して、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート成分を含まない共重合体は、屈折率が低い。
2.本発明に係る9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート成分を含む共重合体は、透明の光学材料として、各種製品製造用として使用できる。
Claims (7)
- アクリル化剤が、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルであることを特徴とする、請求項2記載の9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物の製造法。
- 請求項1に記載の9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物に、熱重合開始剤、および/または、光重合開始剤が配合されてなることを特徴とする重合性組成物。
- 重合性組成物に、さらにエチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体を配合されてなる、請求項4に記載の重合性組成物。
- 請求項4または請求項5に記載の重合性組成物を、熱重合法または光重合法によって重合させて得られたものであることを特徴とする高屈折率樹脂。
- 請求項6に記載の高屈折率樹脂を主原料として、製造されたものであることを特徴とする、高屈折率樹脂製製品。
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