JP4942500B2 - 固体潤滑無給油チェーン - Google Patents
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Description
そして、このようなシールチェーンのシール手段は、ブシュの軸方向端面に接触するように配置されるリング部材と、このリング部材とそれに対向する外リンクプレートとの間に圧接される弾性シールリングとを備えている(例えば特許文献1参照。)。
また、従来のシールチェーンでは、シール部材の摺接摩耗を防止して潤滑剤の密封性を維持するために内リンクプレートの外側面と外リンクプレートの内側面に表面粗さを小さくする表面仕上げ加工を施す必要があったが、本発明の固体潤滑無給油チェーンでは、従来のような表面仕上げ加工を施す必要がなく、チェーンの製造負担を軽減することができる。
ここで、図1は、本発明の理解を助けるための参考例である固体潤滑無給油チェーンの一部を切り欠いた全体概要図であり、図2は、図1に示す固体潤滑無給油チェーンの連結状態を示す斜視図であり、図3は、図1に示す固体潤滑無給油チェーンを一部拡大視した断面図であり、図4は、図1に示す固体潤滑無給油チェーンに組み込まれるグラファイト製潤滑スリーブの作製説明図であり、図5は、グラファイト製潤滑スリーブの密度と摩耗量との関係を示す図であり、図6は、参考例の変形例で用いたグラファイト製潤滑スリーブの製作説明図である。
まず、グラファイト製潤滑スリーブ180は、図4に示すように、低密度の天然黒鉛100%のグラファイト製シート180aを圧縮して高密度のグラファイト製シート180bとした後、円筒状に形成したものであり、圧縮後のグラファイト製潤滑スリーブ180の密度は1.0g/cm3以上になっている。
そして、グラファイト製潤滑スリーブ180は、ブシュ130の内周面131に加圧固定されている。
そして、ブシュ130のブシュ突出端部132は、内プレート110の外側面112から突出して、ブシュ軸支凹部152aにそれぞれ支持されている。
したがって、固体潤滑無給油チェーン100は、高温雰囲気においてもグラファイト製潤滑スリーブ180が優れた耐熱性能を発揮して、また、塵埃雰囲気においてもグラファイト製潤滑スリーブ180が塵埃を吸収することはなく、優れた潤滑性能を発揮するので、外部からの無給油状態で長期にわたってチェーン駆動を達成している。
このように、グラファイト製潤滑スリーブ180が1.0g/cm3以上の密度を有している場合には、潤滑性能が著しく向上して、チェーンの摩耗伸びをより一層抑制できる。
なお、図5は、グラファイト製潤滑スリーブ180の密度(g/cm3)を横軸とし、摩耗勾配を縦軸としたものであり、摩耗勾配は、単位摺動回数当たりの摩耗伸び(mm/n、nは摺動回数を表す)で表している。
また、本発明の実施例である固体潤滑無給油チェーン200における外プレート250以外の構成は、前述した本発明の参考例である固体潤滑無給油チェーン100と全く同じであるため、図1と図4乃至図6に示す100番台の符号を200番台の符号に読み替えることとする。
まず、本発明の実施例である固体潤滑無給油チェーン200は、図7及び図8に示すように、左右一対で離間して配置された内プレート210、210のブシュ圧入孔211、211にローラ220、220が遊嵌された前後一対のブシュ230、230の両端部を嵌入固定した内リンク240と、左右一対で離間して配置された外プレート250、250のピン圧入孔251、251に前後一対の連結ピン260、260の両端部を嵌入固定した外リンク270とを備え、内リンク240と外リンク270とが、ブシュ230に連結ピン260が遊嵌されることにより連結されている。
まず、グラファイト製潤滑スリーブ280は、低密度の天然黒鉛100%のグラファイト製シート280aを圧縮して高密度のグラファイト製シート280bとした後、円筒状に形成したものであり、圧縮後のグラファイト製潤滑スリーブ280の密度は1.0g/cm3以上になっている。
そして、グラファイト製潤滑スリーブ280は、ブシュ230の内周面231に加圧固定されている。
なお、本発明の固体潤滑無給油チェーン200で意味するところの「オフセット状態」とは、ブシュ軸支凹部252aとそれ以外のプレート部分とがずれて段差状を呈している状態のことである。
したがって、固体潤滑無給油チェーン200は、高温雰囲気においてもグラファイト製潤滑スリーブ280が優れた耐熱性能を発揮し、また、塵埃雰囲気においてもグラファイト製潤滑スリーブ280が塵埃を吸収することはなく、優れた潤滑性能を発揮するので、外部からの無給油状態で長期にわたってチェーン駆動することができる。
したがって、ブシュ230の内周面231及び連結ピン260の外周面261との摺動接触に起因してグラファイト製潤滑スリーブ280が摩耗した際においても、このようなブシュ突出端部232とブシュ軸支凹部252aとの間に形成されたラビリンス構造L2が、チェーン稼動時の周回走行によって生じる遠心力等に起因したグラファイト製潤滑スリーブ280の摩耗粉の外部飛散を抑制するとともに外部塵埃の侵入を抑制して、チェーンの摩耗伸びを長期にわたって防止できる。
したがって、ブシュと外リンクプレートとの間にシール部材が押圧状態で配置された従来のシールチェーンと比べて、円滑に屈曲摺動するとともに、チェーンの部品点数が少なく、チェーン切り継ぎ等の分解組み付け作業が容易である。
そして、シール部材の摩耗を防止して潤滑剤の密封性を維持するために内リンクプレートの外側面と外リンクプレートの内側面の表面粗さを小さくする表面仕上げ加工を施す必要がある従来のシールチェーンとは異なり、このような表面仕上げ加工を施す必要がなく、チェーンの製造負担を軽減することができる。
したがって、グラファイト製潤滑スリーブ280の密度が大きくなって潤滑性能が向上するので、チェーンの摩耗伸びをより一層抑制でき、また、グラファイト製潤滑スリーブ280がブシュ230と一体化されて、通常のブシュと同様に取り扱うことができるので、チェーン切り継ぎなどの分解組み付け作業を簡便に達成できる。
したがって、潤滑性能が著しく向上するので、チェーンの摩耗伸びをより一層抑制できる。
このように、グラファイト製潤滑スリーブ280が1.0g/cm3以上の密度を有している場合には、潤滑性能が著しく向上して、チェーンの摩耗伸びをより一層抑制できる。
この場合、プレス機Pを用いてグラファイト製潤滑スリーブ280をブシュ230の内周面231に加圧固定する際に、グラファイト製潤滑スリーブ280の加圧固定面281の一部がブシュ230の係合凹部231aに対応するように膨出し、このようにして形成されたグラファイト製潤滑スリーブ280の係合凸部281aとブシュ230の係合凹部231aとが互いに係合する。
したがって、グラファイト製潤滑スリーブ280がブシュ230と一体化されて、チェーンの分解組み付け作業を行う際に、グラファイト製潤滑スリーブ280がブシュ230から外れることを防止でき、チェーン切り継ぎなどの分解組み付け作業をより簡便に達成できる。
110 、210 ・・・ 内プレート
111 、211 ・・・ 内プレートのブシュ圧入孔
112 、212 ・・・ 内プレートの外側面
120 、220 ・・・ ローラ
130 、230 ・・・ ブシュ
131 、231 ・・・ ブシュの内周面
131a、231a ・・・ 係合凹部
132 、232 ・・・ ブシュ突出端部
140 、240 ・・・ 内リンク
150 、250 ・・・ 外プレート
151 、251 ・・・ 外プレートのピン圧入孔
152 、252 ・・・ 外プレートの内側面
152a、252a ・・・ ブシュ軸支凹部
253 ・・・ 外プレートの外側面
160 、260 ・・・ 連結ピン
161 、261 ・・・ 外周面
170 、270 ・・・ 外リンク
180 、280 ・・・ グラファイト製潤滑スリーブ
180a、280a ・・・ 低密度のグラファイト製シート
180b、280b ・・・ 高密度のグラファイト製シート
181 、281 ・・・ 加圧固定面
181a、281a ・・・ 係合凸部
L1、L2 ・・・ ラビリンス構造
P ・・・ プレス機
Claims (4)
- 前後一対のブシュの両端部を左右一対の内プレートのブシュ圧入孔に圧入嵌合してなる内リンクと前記ブシュ内にそれぞれ貫通する前後一対の連結ピンの両端部を左右一対の外プレートのピン圧入孔に圧入嵌合してなる外リンクとがチェーン長手方向に交互に連結され、前記内プレートの外側面と外プレートの内側面との間にラビリンス構造が形成され、前記ブシュの内周面と連結ピンの外周面との間にグラファイト製潤滑スリーブが嵌合されている固体潤滑無給油チェーンであって、
前記ラビリンス構造が、前記内プレートの外側面から一部突出したブシュ突出端部を前記外プレートの内側面から外側面に向けてオフセット状態でピン圧入孔と同軸で拡径して膨出形成した環状のブシュ軸支凹部でそれぞれ支持することで形成されていることを特徴とする固体潤滑無給油チェーン。 - 前記グラファイト製潤滑スリーブが、前記ブシュの内周面に加圧固定されていることを特徴とする請求項1に記載の固体潤滑無給油チェーン。
- 前記グラファイト製潤滑スリーブの加圧固定面に形成された多数の係合凸部が、前記ブシュの内周面に形成された係合凹部に係合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体潤滑無給油チェーン。
- 前記グラファイト製潤滑スリーブが、1.0g/cm3以上の密度を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の固体潤滑無給油チェーン。
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