JP2003239977A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents
摺動部材及びその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高荷重に耐え、摩擦係数が小さ
く、磨耗しにくく、かつ熱伝導性が良好であるので、発
生する熱を速やかに放出することができ、性能を長期間
保持することができる摺動部材及びその製造方法を提供
すること。 【解決手段】 摺動部材本体と、相手材が接触す
る摺動面を有する表面層とを備えた摺動部材であって、
前記摺動部材本体が、摺動部材全体の機械的強度を保障
し、この摺動部材を形成する際の加熱温度に対する耐熱
性を備えた素材で形成されてなり、前記表面層が、カー
ボンナノチューブを実質的に含有し、前記摺動部材本体
を形成する素材が前記カーボンナノチューブ間に浸入し
た状態に形成されてなることことを特徴とする摺動部材
及びその製造方法。
く、磨耗しにくく、かつ熱伝導性が良好であるので、発
生する熱を速やかに放出することができ、性能を長期間
保持することができる摺動部材及びその製造方法を提供
すること。 【解決手段】 摺動部材本体と、相手材が接触す
る摺動面を有する表面層とを備えた摺動部材であって、
前記摺動部材本体が、摺動部材全体の機械的強度を保障
し、この摺動部材を形成する際の加熱温度に対する耐熱
性を備えた素材で形成されてなり、前記表面層が、カー
ボンナノチューブを実質的に含有し、前記摺動部材本体
を形成する素材が前記カーボンナノチューブ間に浸入し
た状態に形成されてなることことを特徴とする摺動部材
及びその製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、摺動部材及びそ
の製造方法に関し、高荷重に耐え、摩擦係数が小さく、
磨耗しにくく、かつ熱伝導性が良好であるので、発生す
る熱を速やかに放出することができ、性能を長期間保持
することができる摺動部材及びその製造方法に関する。
の製造方法に関し、高荷重に耐え、摩擦係数が小さく、
磨耗しにくく、かつ熱伝導性が良好であるので、発生す
る熱を速やかに放出することができ、性能を長期間保持
することができる摺動部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軸受けのような摺動部材は、その使用状
態によって様々な性能が要求される。例えばキャンドモ
ーターポンプやマグネット駆動ポンプのように軸受けが
移送液に浸るすべり軸受けを用いるポンプでは、色々の
薬液に対して耐食性の大きい軸受け材料が必要とされ
る。
態によって様々な性能が要求される。例えばキャンドモ
ーターポンプやマグネット駆動ポンプのように軸受けが
移送液に浸るすべり軸受けを用いるポンプでは、色々の
薬液に対して耐食性の大きい軸受け材料が必要とされ
る。
【0003】このため軸受け材料としては、化学的に安
定で潤滑性のある黒鉛質カーボンやセラミックスが多く
用いられているが、これらの軸受け材料で、軸受けとし
て高荷重に耐えることのできるものは摩擦係数が大き
く、機械損失が大きい。また耐荷重部材にポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂のシート等
を貼り付ける方法で製造される軸受けは、その接合部分
の強度が小さく、低荷重用の用途のみに使用が限定され
ている。
定で潤滑性のある黒鉛質カーボンやセラミックスが多く
用いられているが、これらの軸受け材料で、軸受けとし
て高荷重に耐えることのできるものは摩擦係数が大き
く、機械損失が大きい。また耐荷重部材にポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂のシート等
を貼り付ける方法で製造される軸受けは、その接合部分
の強度が小さく、低荷重用の用途のみに使用が限定され
ている。
【0004】摺動材としては、気相成長炭素繊維(VG
CF)又はVGCFを熱処理によりグラファイト化させ
たものを合成樹脂に混合して得られる摺動材が特開平3
−38327号公報に開示されているが、これは耐磨耗
性のみを改善したものであり、上記摺動材に要求される
耐食性及び耐荷重性等に対しては充分とはいえない。
CF)又はVGCFを熱処理によりグラファイト化させ
たものを合成樹脂に混合して得られる摺動材が特開平3
−38327号公報に開示されているが、これは耐磨耗
性のみを改善したものであり、上記摺動材に要求される
耐食性及び耐荷重性等に対しては充分とはいえない。
【0005】VGCF又はVGCFを熱処理によりグラ
ファイト化させたものを硫化モリブデン微粉末とともに
合成樹脂中に分散させて得られる摺動部材が特開平4−
11693号公報に提案されているが、これは、合成樹
脂を用いることから高温での使用や、腐食性流体の存在
下又は高荷重条件下での使用には適さず、しかも硫化モ
リブデンを含有することで、酸化リッチ条件下ではモリ
ブデンの酸化が起こり、摩擦係数の増大も起こり得る。
ファイト化させたものを硫化モリブデン微粉末とともに
合成樹脂中に分散させて得られる摺動部材が特開平4−
11693号公報に提案されているが、これは、合成樹
脂を用いることから高温での使用や、腐食性流体の存在
下又は高荷重条件下での使用には適さず、しかも硫化モ
リブデンを含有することで、酸化リッチ条件下ではモリ
ブデンの酸化が起こり、摩擦係数の増大も起こり得る。
【0006】特開平5−59387号公報には、VGC
F、二硫化モリブデン、グラファイト、PTFEなどを
主材であるポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂に混合し
て摺動材とし、摩擦係数を増大させず、磨耗を減少させ
るベアリング材が提案されているが、この場合において
も、上記の場合と同様に使用条件が限定される。
F、二硫化モリブデン、グラファイト、PTFEなどを
主材であるポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂に混合し
て摺動材とし、摩擦係数を増大させず、磨耗を減少させ
るベアリング材が提案されているが、この場合において
も、上記の場合と同様に使用条件が限定される。
【0007】またシート状摺動材又は薄肉円筒状の摺動
材を耐圧シートとして取り付ける方法は、摺動材が少な
くてすむ反面、耐荷重性に劣る。逆に全体に摺動部材の
ブロック加工品を使用する方法は、耐荷重性には優れる
が、高価になり、また熱の放出性が悪く、使用時に温度
の上昇が起こり、高速高荷重時に油膜が消失し、潤滑性
が悪化し、焼き付けが起こるおそれがある。
材を耐圧シートとして取り付ける方法は、摺動材が少な
くてすむ反面、耐荷重性に劣る。逆に全体に摺動部材の
ブロック加工品を使用する方法は、耐荷重性には優れる
が、高価になり、また熱の放出性が悪く、使用時に温度
の上昇が起こり、高速高荷重時に油膜が消失し、潤滑性
が悪化し、焼き付けが起こるおそれがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、高荷重に
耐え、摩擦係数が小さく、磨耗しにくく、かつ熱伝導性
が良好であるので、発生する熱を速やかに放出すること
ができ、性能を長期間保持することができる摺動部材及
びその製造方法を提供することを目的とする。
耐え、摩擦係数が小さく、磨耗しにくく、かつ熱伝導性
が良好であるので、発生する熱を速やかに放出すること
ができ、性能を長期間保持することができる摺動部材及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の手段は、摺動部材本体と、相手材が接触する摺動面を
有する表面層とを備えた摺動部材であって、前記摺動部
材本体が、摺動部材全体の機械的強度を保障し、この摺
動部材を形成する際の加熱温度に対する耐熱性を備えた
素材で形成されてなり、前記表面層が、カーボンナノチ
ューブを実質的に含有し、前記摺動部材本体を形成する
素材が前記カーボンナノチューブ間に浸入した状態に形
成されてなることを特徴とする摺動部材であり、相手材
が接触する摺動面を有する表面層の前駆体であって、カ
ーボンナノチューブの集合体である表面層前駆体を形成
する表面層前駆体形成工程、前記カーボンナノチューブ
を黒鉛化する温度により分解しない粉体であって、カー
ボンナノチューブの集合体におけるカーボンナノチュー
ブ間に浸入することのできる粉体により摺動部材本体前
駆体を形成する摺動部材本体前駆体形成工程、及び前記
摺動部材本体前駆体の表面に前記表面層前駆体が存在す
る状態で、前記摺動部材本体前駆体及び前記表面層前駆
体を加圧加熱して一体化する工程を有することを特徴と
する前記摺動部材の製造方法であり、円筒形の第1弾力
性型の中心部に第1心棒を配置することによって、前記
第1弾力性型及び第1心棒により形成される環状の第1
空間内に、カーボンナノチューブを加熱する際の温度に
おける耐熱性を有する粉体を充填し、前記第1弾力性型
により型くずれしない程度にその粉体を加圧することに
より摺動部材本体前駆体を形成する摺動部材本体前駆体
形成工程と、前記第1心棒の代わりに、前記第1心棒よ
りも小さな直径を有する第2心棒を前記第1弾力性型の
中心部に配置することによって、前記第1弾力性型及び
第2心棒により形成される環状の第2空間内にカーボン
ナノチューブを充填し、前記第1弾力性型により型くず
れしない程度にそのカーボンナノチューブを加圧するこ
とにより表面層前駆体を形成する表面層前駆体形成工程
と、前記表面層前駆体と前記摺動部材本体前駆体とを加
熱加圧することにより一体化する工程とを有することを
特徴とする前記摺動部材の製造方法であり、円筒形の第
2弾力性型の中心部に心棒を挿通することによって、前
記第2弾力性型及び心棒により形成される環状の第2空
間内にカーボンナノチューブを充填し、前記第2弾力性
型により型くずれしない程度にそのカーボンナノチュー
ブを加圧することにより表面層前駆体を形成する表面層
前駆体形成工程と、前記第2弾力性型の代わりに、この
第2弾力性型よりも大きな直径を有する円筒形の第1弾
力性型の中心部に、前記心棒と共にこの心棒の周囲に形
成された表面層前駆体を配置し、前記表面層前駆体及び
前記第1弾力性型により形成される環状の第1空間内
に、カーボンナノチューブを加熱する際の温度における
耐熱性を有する粉体を充填し、前記第1弾力性型により
型くずれしない程度にその粉体を加圧することにより摺
動部材本体前駆体を形成する摺動部材本体前駆体形成工
程と、前記摺動部材本体前駆体と前記表面層前駆体とを
加圧加熱することにより一体化する工程とを有すること
を特徴とする前記摺動部材の製造方法であり、円筒形の
弾力性型の中心部に心棒を挿通することによって、前記
弾力性型及び心棒により形成される環状の第2空間内
に、カーボンナノチューブを充填して加圧した後、これ
を黒鉛化熱処理することにより表面層前駆体を形成する
表面層前駆体形成工程と、この弾力性型よりも大きな直
径を有する円筒形の焼結用型の中心部に前記表面層前駆
体を配置することによって、前記表面層前駆体及び前記
焼結用型により形成される環状の第1空間内に焼結可能
な粉体を充填し、この粉体を加熱してこの粉体の焼結体
を形成させて、前記表面層前駆体とその中に浸入した前
記粉体により形成された焼結体部分とから成る表面層、
及びその浸入した粉体の焼結体部分以外の焼結体部分か
ら成る摺動部材本体を作成する焼結工程とを有すること
を特徴とする前記摺動部材の製造方法である。
の手段は、摺動部材本体と、相手材が接触する摺動面を
有する表面層とを備えた摺動部材であって、前記摺動部
材本体が、摺動部材全体の機械的強度を保障し、この摺
動部材を形成する際の加熱温度に対する耐熱性を備えた
素材で形成されてなり、前記表面層が、カーボンナノチ
ューブを実質的に含有し、前記摺動部材本体を形成する
素材が前記カーボンナノチューブ間に浸入した状態に形
成されてなることを特徴とする摺動部材であり、相手材
が接触する摺動面を有する表面層の前駆体であって、カ
ーボンナノチューブの集合体である表面層前駆体を形成
する表面層前駆体形成工程、前記カーボンナノチューブ
を黒鉛化する温度により分解しない粉体であって、カー
ボンナノチューブの集合体におけるカーボンナノチュー
ブ間に浸入することのできる粉体により摺動部材本体前
駆体を形成する摺動部材本体前駆体形成工程、及び前記
摺動部材本体前駆体の表面に前記表面層前駆体が存在す
る状態で、前記摺動部材本体前駆体及び前記表面層前駆
体を加圧加熱して一体化する工程を有することを特徴と
する前記摺動部材の製造方法であり、円筒形の第1弾力
性型の中心部に第1心棒を配置することによって、前記
第1弾力性型及び第1心棒により形成される環状の第1
空間内に、カーボンナノチューブを加熱する際の温度に
おける耐熱性を有する粉体を充填し、前記第1弾力性型
により型くずれしない程度にその粉体を加圧することに
より摺動部材本体前駆体を形成する摺動部材本体前駆体
形成工程と、前記第1心棒の代わりに、前記第1心棒よ
りも小さな直径を有する第2心棒を前記第1弾力性型の
中心部に配置することによって、前記第1弾力性型及び
第2心棒により形成される環状の第2空間内にカーボン
ナノチューブを充填し、前記第1弾力性型により型くず
れしない程度にそのカーボンナノチューブを加圧するこ
とにより表面層前駆体を形成する表面層前駆体形成工程
と、前記表面層前駆体と前記摺動部材本体前駆体とを加
熱加圧することにより一体化する工程とを有することを
特徴とする前記摺動部材の製造方法であり、円筒形の第
2弾力性型の中心部に心棒を挿通することによって、前
記第2弾力性型及び心棒により形成される環状の第2空
間内にカーボンナノチューブを充填し、前記第2弾力性
型により型くずれしない程度にそのカーボンナノチュー
ブを加圧することにより表面層前駆体を形成する表面層
前駆体形成工程と、前記第2弾力性型の代わりに、この
第2弾力性型よりも大きな直径を有する円筒形の第1弾
力性型の中心部に、前記心棒と共にこの心棒の周囲に形
成された表面層前駆体を配置し、前記表面層前駆体及び
前記第1弾力性型により形成される環状の第1空間内
に、カーボンナノチューブを加熱する際の温度における
耐熱性を有する粉体を充填し、前記第1弾力性型により
型くずれしない程度にその粉体を加圧することにより摺
動部材本体前駆体を形成する摺動部材本体前駆体形成工
程と、前記摺動部材本体前駆体と前記表面層前駆体とを
加圧加熱することにより一体化する工程とを有すること
を特徴とする前記摺動部材の製造方法であり、円筒形の
弾力性型の中心部に心棒を挿通することによって、前記
弾力性型及び心棒により形成される環状の第2空間内
に、カーボンナノチューブを充填して加圧した後、これ
を黒鉛化熱処理することにより表面層前駆体を形成する
表面層前駆体形成工程と、この弾力性型よりも大きな直
径を有する円筒形の焼結用型の中心部に前記表面層前駆
体を配置することによって、前記表面層前駆体及び前記
焼結用型により形成される環状の第1空間内に焼結可能
な粉体を充填し、この粉体を加熱してこの粉体の焼結体
を形成させて、前記表面層前駆体とその中に浸入した前
記粉体により形成された焼結体部分とから成る表面層、
及びその浸入した粉体の焼結体部分以外の焼結体部分か
ら成る摺動部材本体を作成する焼結工程とを有すること
を特徴とする前記摺動部材の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】1.摺動部材
図1に、この発明に係る摺動部材の一具体例である軸受
け部材1の縦断面説明図を示す。
け部材1の縦断面説明図を示す。
【0011】軸受け部材1は、円筒状の部材であって、
相手材である軸が往復動することのできる摺動孔2を有
する。
相手材である軸が往復動することのできる摺動孔2を有
する。
【0012】軸受け部材1は、その外周部を形成する軸
受け本体3と、軸受け本体3の内側に設けられた表面層
4(尚、この表面層は、他の表面に存在する層と区別す
るために内表面層と称しても良い。)とから形成され
る。表面層4における摺動孔2を形成する面が摺動面5
であり、軸が接触する面である。
受け本体3と、軸受け本体3の内側に設けられた表面層
4(尚、この表面層は、他の表面に存在する層と区別す
るために内表面層と称しても良い。)とから形成され
る。表面層4における摺動孔2を形成する面が摺動面5
であり、軸が接触する面である。
【0013】摺動部材本体である軸受け本体3は、軸受
け部材1を形成する際の加熱温度に対する耐熱性を備え
た素材で形成される。すなわち軸受け本体3は、軸受け
部材1の形成時に行われる加熱等方圧成形及び黒鉛化処
理等においても、分解及び燃焼等をすることのない素材
で形成される。したがって軸受け本体3に使用される前
記素材は、軸受け部材1の製造方法に従って、前記条件
を満たす素材が適宜選択される。
け部材1を形成する際の加熱温度に対する耐熱性を備え
た素材で形成される。すなわち軸受け本体3は、軸受け
部材1の形成時に行われる加熱等方圧成形及び黒鉛化処
理等においても、分解及び燃焼等をすることのない素材
で形成される。したがって軸受け本体3に使用される前
記素材は、軸受け部材1の製造方法に従って、前記条件
を満たす素材が適宜選択される。
【0014】軸受け本体3は、軸受け部材1において、
その全体の機械的強度を保障する部分である。例えば軸
受け部材1において要求される耐荷重性は軸受け本体3
により実現される。したがって軸受け本体3に使用され
る前記素材としては、そのような軸受け本体3の機械的
強度を実現することのできる素材である必要がある。
その全体の機械的強度を保障する部分である。例えば軸
受け部材1において要求される耐荷重性は軸受け本体3
により実現される。したがって軸受け本体3に使用され
る前記素材としては、そのような軸受け本体3の機械的
強度を実現することのできる素材である必要がある。
【0015】以上のような条件を満たすことのできる軸
受け本体3の素材としては、例えば黒鉛質カーボン、セ
ラミック及び金属等を挙げることができる。
受け本体3の素材としては、例えば黒鉛質カーボン、セ
ラミック及び金属等を挙げることができる。
【0016】表面層4は、カーボンナノチューブを実質
的に含有する。表面層4は、前記カーボンナノチューブ
の相互間に浸入したところの、軸受け本体3を形成する
前記素材を有する。すなわち表面層4においてカーボン
ナノチューブ間に前記素材が浸入した部分は、カーボン
ナノチューブと前記素材との混合層となる。
的に含有する。表面層4は、前記カーボンナノチューブ
の相互間に浸入したところの、軸受け本体3を形成する
前記素材を有する。すなわち表面層4においてカーボン
ナノチューブ間に前記素材が浸入した部分は、カーボン
ナノチューブと前記素材との混合層となる。
【0017】表面層4と軸受け本体3とは隣接して設け
られているので、表面層4における前記カーボンナノチ
ューブ間に浸入した前記素材が占める部分は、軸受け本
体3と連続的に形成されている。つまり軸受け部材1に
おける軸受け本体3と表面層4とは、明確な界面を有す
ることなく隣接している。
られているので、表面層4における前記カーボンナノチ
ューブ間に浸入した前記素材が占める部分は、軸受け本
体3と連続的に形成されている。つまり軸受け部材1に
おける軸受け本体3と表面層4とは、明確な界面を有す
ることなく隣接している。
【0018】表面層4におけるカーボンナノチューブ間
に浸入した前記素材の分布状態については、この発明の
目的を達成することができる限り特に制限はなく、例え
ば表面層4全体に均一に前記素材が分布していてもよ
く、表面層4における軸受け本体3側から摺動孔2側に
向かって密度が漸次低下するように前記素材が分布して
いてもよい。
に浸入した前記素材の分布状態については、この発明の
目的を達成することができる限り特に制限はなく、例え
ば表面層4全体に均一に前記素材が分布していてもよ
く、表面層4における軸受け本体3側から摺動孔2側に
向かって密度が漸次低下するように前記素材が分布して
いてもよい。
【0019】また表面層4のカーボンナノチューブ間に
おける前記素材は、そのカーボンナノチューブ全体に分
布している必要はなく、軸受け本体3から連続して分布
していれば、摺動面5まで分布していなくてもよい。し
たがってその場合には、表面層4における摺動面5を形
成する部分は、カーボンナノチューブのみにより形成さ
れることになり、表面層4は、カーボンナノチューブと
前記素材との混合層及びカーボンナノチューブのみの層
から成る二層構造となる。この場合結果として軸受け部
材1は、その外周面から内周面つまり摺動面5に向かっ
て、前記素材のみの層、前記混合層及びカーボンナノチ
ューブのみの層から成る三層構造となる。
おける前記素材は、そのカーボンナノチューブ全体に分
布している必要はなく、軸受け本体3から連続して分布
していれば、摺動面5まで分布していなくてもよい。し
たがってその場合には、表面層4における摺動面5を形
成する部分は、カーボンナノチューブのみにより形成さ
れることになり、表面層4は、カーボンナノチューブと
前記素材との混合層及びカーボンナノチューブのみの層
から成る二層構造となる。この場合結果として軸受け部
材1は、その外周面から内周面つまり摺動面5に向かっ
て、前記素材のみの層、前記混合層及びカーボンナノチ
ューブのみの層から成る三層構造となる。
【0020】表面層4に含有される前記カーボンナノチ
ューブとしては、この発明の目的を達成することができ
る限り特に制限はないが、その平均直径が1nm〜1μ
m、特に10〜200nmであることが好ましく、その
アスペクト比が小さくとも10、特に10〜200、さ
らには10〜100であることが好ましい。前記平均直
径及びアスペクト比が前記範囲内であると、軸受け部材
1において好ましい摺動特性が得られ、軸受け部材1の
電気伝導特性及び熱伝導特性も良好になるという利点が
ある。
ューブとしては、この発明の目的を達成することができ
る限り特に制限はないが、その平均直径が1nm〜1μ
m、特に10〜200nmであることが好ましく、その
アスペクト比が小さくとも10、特に10〜200、さ
らには10〜100であることが好ましい。前記平均直
径及びアスペクト比が前記範囲内であると、軸受け部材
1において好ましい摺動特性が得られ、軸受け部材1の
電気伝導特性及び熱伝導特性も良好になるという利点が
ある。
【0021】表面層4に含有される前記カーボンナノチ
ューブは、その製法には特に制限はなく、例えば気相成
長法すなわち基板法又は流動気相成長法により製造する
ことができる。
ューブは、その製法には特に制限はなく、例えば気相成
長法すなわち基板法又は流動気相成長法により製造する
ことができる。
【0022】表面層4に含有される前記カーボンナノチ
ューブとしては、特に多層カーボンナノチューブ、つま
り中空年輪構造のカーボンナノチューブが好適に使用さ
れる。多層カーボンナノチューブは、機械的特性及び化
学安定性に優れているので、表面層4に含有される前記
カーボンナノチューブとして適している。
ューブとしては、特に多層カーボンナノチューブ、つま
り中空年輪構造のカーボンナノチューブが好適に使用さ
れる。多層カーボンナノチューブは、機械的特性及び化
学安定性に優れているので、表面層4に含有される前記
カーボンナノチューブとして適している。
【0023】多層カーボンナノチューブは、例えば次の
ような公知の方法により製造される。遷移金属含有化合
物例えば鉄原子を含有する鉄原子含有化合物と、硫黄原
子を含有する硫黄化合物と、炭化水素等の炭素源となり
うる有機化合物と、キャリヤガスとを混合して得られる
原料混合物を、反応管内における900〜1,300℃
の温度に維持された反応領域に供給することにより、多
層カーボンナノチューブが製造されることができる。
ような公知の方法により製造される。遷移金属含有化合
物例えば鉄原子を含有する鉄原子含有化合物と、硫黄原
子を含有する硫黄化合物と、炭化水素等の炭素源となり
うる有機化合物と、キャリヤガスとを混合して得られる
原料混合物を、反応管内における900〜1,300℃
の温度に維持された反応領域に供給することにより、多
層カーボンナノチューブが製造されることができる。
【0024】この多層カーボンナノチューブは中空で黒
鉛層が繊維長手方向に平行に配向した所謂年輪構造であ
るので、電気特性や機械特性(強度及び弾性率等)に優
れ、複合材料として使用されることが多い。カーボンナ
ノチューブは、強い剪断力を与えながら成形すること
で、ある程度繊維の配向を揃えることが可能である。カ
ーボンナノチューブは、このように配向をそろえること
で、長手方向に対する荷重特性が向上する可能性があ
る。
鉛層が繊維長手方向に平行に配向した所謂年輪構造であ
るので、電気特性や機械特性(強度及び弾性率等)に優
れ、複合材料として使用されることが多い。カーボンナ
ノチューブは、強い剪断力を与えながら成形すること
で、ある程度繊維の配向を揃えることが可能である。カ
ーボンナノチューブは、このように配向をそろえること
で、長手方向に対する荷重特性が向上する可能性があ
る。
【0025】この多層カーボンナノチューブ中の遷移金
属微粒子が悪影響を及ぼす場合は、多層カーボンナノチ
ューブを酸の液中に浸漬したり、高温の不活性気体中に
曝すことにより遷移金属粒子を蒸発させて、除去したり
することもできる。
属微粒子が悪影響を及ぼす場合は、多層カーボンナノチ
ューブを酸の液中に浸漬したり、高温の不活性気体中に
曝すことにより遷移金属粒子を蒸発させて、除去したり
することもできる。
【0026】軸受け本体3の厚み及び表面層4の厚み
は、軸受け部材1の使用目的等に応じて適宜決定するこ
とができる。表面層4の厚みは、軸受け部材1に加えら
れる荷重により、又は軸直径により適宜変更する必要が
ある。
は、軸受け部材1の使用目的等に応じて適宜決定するこ
とができる。表面層4の厚みは、軸受け部材1に加えら
れる荷重により、又は軸直径により適宜変更する必要が
ある。
【0027】軸受け部材1の使用方法は、従来の軸受け
部材と同様にすることができる。
部材と同様にすることができる。
【0028】軸受け部材1は、以下のように作用する。
軸受け部材1は、黒鉛質カーボン、セラミック及び金属
などを素材とし、軸受け部材全体の機械的強度を保障す
る軸受け本体3を有するので、耐荷重性に優れる。
軸受け部材1は、黒鉛質カーボン、セラミック及び金属
などを素材とし、軸受け部材全体の機械的強度を保障す
る軸受け本体3を有するので、耐荷重性に優れる。
【0029】軸受け部材1は、摺動面5を形成する表面
層4を有し、表面層4は、カーボンナノチューブを含有
する。カーボンナノチューブは、摩擦係数が小さい。し
たがって軸受け部材1において軸が摺動孔2内を摺動し
ても、軸等の磨耗が少なく、また発生する熱量が小さい
ので、潤滑剤の過熱に基づく油膜切れ又は焼き付け等の
発生が抑制される。またカーボンナノチューブは、熱伝
導性に優れる。したがって軸受け部材1においては、軸
の摺動により発生した熱は、速やかに摺動面5から外周
面方向に移動するので、さらに前記油膜切れ又は焼き付
け等の発生の防止効果が大きい。
層4を有し、表面層4は、カーボンナノチューブを含有
する。カーボンナノチューブは、摩擦係数が小さい。し
たがって軸受け部材1において軸が摺動孔2内を摺動し
ても、軸等の磨耗が少なく、また発生する熱量が小さい
ので、潤滑剤の過熱に基づく油膜切れ又は焼き付け等の
発生が抑制される。またカーボンナノチューブは、熱伝
導性に優れる。したがって軸受け部材1においては、軸
の摺動により発生した熱は、速やかに摺動面5から外周
面方向に移動するので、さらに前記油膜切れ又は焼き付
け等の発生の防止効果が大きい。
【0030】表面層4は、前記カーボンナノチューブ間
に浸入した、軸受け本体3を形成する前記素材を有し、
軸受け本体3と、表面層4における前記素材が占める部
分とは連続的に形成されている。本体部にシール部材を
単に装着して成る軸受け部材では、本体部とシール部材
との界面部における強度が小さいので、高荷重に耐える
ことができないが、軸受け部材1においては、前記のよ
うに軸受け本体3と表面層4とは明確な界面を有するこ
となく一体に形成されているので、前記界面部における
低強度化が実質的に生じない。またカーボンナノチュー
ブは、グラファイトシートをまるめた円筒構造であり、
グラフライト層の層間剥離が起こりにくい構造である。
したがって軸受け部材1は、高荷重付加時においても表
面層が破損することがないので、高荷重付加時における
使用も可能である。
に浸入した、軸受け本体3を形成する前記素材を有し、
軸受け本体3と、表面層4における前記素材が占める部
分とは連続的に形成されている。本体部にシール部材を
単に装着して成る軸受け部材では、本体部とシール部材
との界面部における強度が小さいので、高荷重に耐える
ことができないが、軸受け部材1においては、前記のよ
うに軸受け本体3と表面層4とは明確な界面を有するこ
となく一体に形成されているので、前記界面部における
低強度化が実質的に生じない。またカーボンナノチュー
ブは、グラファイトシートをまるめた円筒構造であり、
グラフライト層の層間剥離が起こりにくい構造である。
したがって軸受け部材1は、高荷重付加時においても表
面層が破損することがないので、高荷重付加時における
使用も可能である。
【0031】また2つの部材が明確な界面をもって接し
ている場合には、その界面において熱伝導が抑制され
る。軸受け部材1においては、前記のように軸受け本体
3と表面層4とは明確な界面を有することなく一体に形
成されているので、そのような界面における熱伝導の抑
制がなく、熱伝導性が良い。したがって軸受け部材1に
おいては、軸の摺動により発生した熱は、表面層4から
軸受け本体3にスムースに移動するので、なお一層前述
の油膜切れ又は焼き付け等の発生の防止効果が大きい。
ている場合には、その界面において熱伝導が抑制され
る。軸受け部材1においては、前記のように軸受け本体
3と表面層4とは明確な界面を有することなく一体に形
成されているので、そのような界面における熱伝導の抑
制がなく、熱伝導性が良い。したがって軸受け部材1に
おいては、軸の摺動により発生した熱は、表面層4から
軸受け本体3にスムースに移動するので、なお一層前述
の油膜切れ又は焼き付け等の発生の防止効果が大きい。
【0032】この発明に係る摺動部材は、その形状及び
大きさ等については、軸受け部材1の形状及び大きさ等
には制限されることはなく、この発明の目的を達成する
ことができる範囲内で適宜決定することができる。
大きさ等については、軸受け部材1の形状及び大きさ等
には制限されることはなく、この発明の目的を達成する
ことができる範囲内で適宜決定することができる。
【0033】上記においてはこの発明に係る摺動部材
を、軸受けを例にして説明しているが、この発明に係る
摺動部材は、軸受けに制限されることはない。また上記
においては、摺動部材に対して相手材である軸が摺動す
る場合を例にして説明しているが、この発明において
は、摺動部材が相手材に対して摺動し、相手材が静止し
ている場合、又は摺動部材と相手材との両方がそれぞれ
他方に対して摺動する場合であってもよい。例えばこの
発明に係る摺動部材は、レール若しくはその上を摺動す
る部材であってもよく、円軌道、楕円軌道若しくは不規
則な軌道等を描いて平面上を摺動する部材若しくはその
部材が接する平面部材であってもよい。
を、軸受けを例にして説明しているが、この発明に係る
摺動部材は、軸受けに制限されることはない。また上記
においては、摺動部材に対して相手材である軸が摺動す
る場合を例にして説明しているが、この発明において
は、摺動部材が相手材に対して摺動し、相手材が静止し
ている場合、又は摺動部材と相手材との両方がそれぞれ
他方に対して摺動する場合であってもよい。例えばこの
発明に係る摺動部材は、レール若しくはその上を摺動す
る部材であってもよく、円軌道、楕円軌道若しくは不規
則な軌道等を描いて平面上を摺動する部材若しくはその
部材が接する平面部材であってもよい。
【0034】2.摺動部材の製造方法
この発明に係る摺動部材の製造方法を、軸受け部材1の
製造方法を例にして、以下に説明する。
製造方法を例にして、以下に説明する。
【0035】まずこの発明に係る摺動部材の製造方法の
第一の具体例(以下「第一製造方法」という)について
説明する。
第一の具体例(以下「第一製造方法」という)について
説明する。
【0036】図2に示すような弾力性型6を用意する。
弾力性型6は、円筒状部7と、円筒状部7の一端部に設
けられた円板部8とを有する。円板部8は、その中心部
に円孔9を有する。
弾力性型6は、円筒状部7と、円筒状部7の一端部に設
けられた円板部8とを有する。円板部8は、その中心部
に円孔9を有する。
【0037】円板部8の円孔9内に嵌挿可能な円柱状の
第1心棒10を、円板部8の円孔9内に挿入し、弾力性
型6の内部空間内に第1心棒10を突出させる。その結
果、弾力性型6内には円筒状の第1空間11が形成され
る。
第1心棒10を、円板部8の円孔9内に挿入し、弾力性
型6の内部空間内に第1心棒10を突出させる。その結
果、弾力性型6内には円筒状の第1空間11が形成され
る。
【0038】図3に示すように、第1空間11内に軸受
け本体3の原料となる粉体12を充填する。粉体12
は、カーボンナノチューブを加熱する際の温度における
耐熱性を有する粉体であり、またこれにより軸受け本体
が形成されたときに軸受け本体3に要求される機械的強
度を確保することのできる粉体である。このような粉体
としては、例えば黒鉛質カーボン粉末、セラミック粉末
及び金属粉末を挙げることができる。
け本体3の原料となる粉体12を充填する。粉体12
は、カーボンナノチューブを加熱する際の温度における
耐熱性を有する粉体であり、またこれにより軸受け本体
が形成されたときに軸受け本体3に要求される機械的強
度を確保することのできる粉体である。このような粉体
としては、例えば黒鉛質カーボン粉末、セラミック粉末
及び金属粉末を挙げることができる。
【0039】図3に示すように、粉体12を収容した弾
力性型6に圧力を加え、第1空間11内の粉体12を加
圧圧縮し、型くずれしない程度に粉体12を凝集させ
る。このことによって、この発明における摺動部材本体
前駆耐である軸受け本体前駆体13が、図4に示される
ように形成される。
力性型6に圧力を加え、第1空間11内の粉体12を加
圧圧縮し、型くずれしない程度に粉体12を凝集させ
る。このことによって、この発明における摺動部材本体
前駆耐である軸受け本体前駆体13が、図4に示される
ように形成される。
【0040】第1心棒10を弾力性型6から引き抜く。
これに代えて図4に示すような、円孔9に嵌挿可能な太
径部14と、太径部14と同一軸線を有し、第1心棒1
0よりも小さい直径を有する小径部15とを備えた第2
心棒16を用意する。図4に示すように、小径部15が
弾力性型6内に位置し、第2心棒16おける小径部15
が設けられた端面が弾力性型6の円板部8の内面と同一
平面を形成するように、円孔9に挿入する。その結果、
軸受け本体前駆体13と第2心棒16とにより、第2空
間17が形成される。
これに代えて図4に示すような、円孔9に嵌挿可能な太
径部14と、太径部14と同一軸線を有し、第1心棒1
0よりも小さい直径を有する小径部15とを備えた第2
心棒16を用意する。図4に示すように、小径部15が
弾力性型6内に位置し、第2心棒16おける小径部15
が設けられた端面が弾力性型6の円板部8の内面と同一
平面を形成するように、円孔9に挿入する。その結果、
軸受け本体前駆体13と第2心棒16とにより、第2空
間17が形成される。
【0041】図5に示すように、第2空間17にカーボ
ンナノチューブ18又はカーボンナノチューブ18を含
んだ摺動材料を充填する。カーボンナノチューブについ
ては、軸受け部材1についての説明において示した通り
である。
ンナノチューブ18又はカーボンナノチューブ18を含
んだ摺動材料を充填する。カーボンナノチューブについ
ては、軸受け部材1についての説明において示した通り
である。
【0042】弾力性型6内に液体が入らないように弾力
性型6を密封し、室温下で、軸受け本体前駆体13及び
カーボンナノチューブ18等を収容した弾力性型6に等
方加圧成形圧力を加え、弾力性型6内の軸受け本体前駆
体13及びカーボンナノチューブ18等を加圧圧縮す
る。このとき軸受け本体前駆体13は弾力性型6により
圧縮され、カーボンナノチューブ18等は軸受け本体前
駆体13により圧縮される。さらにこのとき軸受け本体
前駆体13がカーボンナノチューブ18等に押し付けら
れることにより、軸受け本体前駆体13の一部の粒子が
カーボンナノチューブ18等の間に浸入する。この加圧
圧縮により、カーボンナノチューブ18等及びカーボン
ナノチューブ18等の間に浸入した軸受け本体前駆体1
3の一部から成る部分は表面層4になり、軸受け本体前
駆体13の、カーボンナノチューブ18等の間に浸入し
た部分以外の部分は軸受け本体3になる。このようにし
て図6に示すように、弾力性型6内に軸受け部材1が形
成される。
性型6を密封し、室温下で、軸受け本体前駆体13及び
カーボンナノチューブ18等を収容した弾力性型6に等
方加圧成形圧力を加え、弾力性型6内の軸受け本体前駆
体13及びカーボンナノチューブ18等を加圧圧縮す
る。このとき軸受け本体前駆体13は弾力性型6により
圧縮され、カーボンナノチューブ18等は軸受け本体前
駆体13により圧縮される。さらにこのとき軸受け本体
前駆体13がカーボンナノチューブ18等に押し付けら
れることにより、軸受け本体前駆体13の一部の粒子が
カーボンナノチューブ18等の間に浸入する。この加圧
圧縮により、カーボンナノチューブ18等及びカーボン
ナノチューブ18等の間に浸入した軸受け本体前駆体1
3の一部から成る部分は表面層4になり、軸受け本体前
駆体13の、カーボンナノチューブ18等の間に浸入し
た部分以外の部分は軸受け本体3になる。このようにし
て図6に示すように、弾力性型6内に軸受け部材1が形
成される。
【0043】加圧圧縮終了後、軸受け部材1を弾力性型
6から取り出す。
6から取り出す。
【0044】第一製造方法においては、弾力性型6内で
軸受け本体前駆体13及びカーボンナノチューブ18等
を加圧するとき、カーボンナノチューブ18等が加圧さ
れることにより型くずれしない表面層前駆体が一旦形成
され、その後軸受け本体前駆体13と前記表面層前駆体
とが加圧により一体化されて、軸受け部材1が形成され
ると考えることもできる。またこれらの加圧成形された
軸受け部材1は、最終的に適切な温度で焼結することが
できる。焼結前のこの軸受け部材はこの発明に係る摺動
部材であるが、このようにして焼結して得られる焼結体
もこの発明に係る摺動部材である。焼結前の摺動部材は
特に「グリーン」と呼ばれることがある。例えば前記粉
体としてグラファイトを使用した場合には、このグリー
ンは、Ar雰囲気で3000℃で焼結することができ
る。
軸受け本体前駆体13及びカーボンナノチューブ18等
を加圧するとき、カーボンナノチューブ18等が加圧さ
れることにより型くずれしない表面層前駆体が一旦形成
され、その後軸受け本体前駆体13と前記表面層前駆体
とが加圧により一体化されて、軸受け部材1が形成され
ると考えることもできる。またこれらの加圧成形された
軸受け部材1は、最終的に適切な温度で焼結することが
できる。焼結前のこの軸受け部材はこの発明に係る摺動
部材であるが、このようにして焼結して得られる焼結体
もこの発明に係る摺動部材である。焼結前の摺動部材は
特に「グリーン」と呼ばれることがある。例えば前記粉
体としてグラファイトを使用した場合には、このグリー
ンは、Ar雰囲気で3000℃で焼結することができ
る。
【0045】次にこの発明に係る摺動部材の製造方法の
第二の具体例(以下「第二製造方法」という)について
説明する。
第二の具体例(以下「第二製造方法」という)について
説明する。
【0046】図7に示すような第2弾力性型19を用意
する。第2弾力性型19は、円筒状部20と、円筒状部
20の一端部に設けられた円板部21とを有する。円板
部21は、その中心部に円孔22を有する。
する。第2弾力性型19は、円筒状部20と、円筒状部
20の一端部に設けられた円板部21とを有する。円板
部21は、その中心部に円孔22を有する。
【0047】図7に示すように、円板部21の円孔22
に嵌挿可能な円柱状の心棒23を、円板部21の円孔2
2内に挿入し、第2弾力性型19の内部空間内に心棒2
3を突出させる。その結果、第2弾力性型19内には円
筒状の第2空間24が形成される。
に嵌挿可能な円柱状の心棒23を、円板部21の円孔2
2内に挿入し、第2弾力性型19の内部空間内に心棒2
3を突出させる。その結果、第2弾力性型19内には円
筒状の第2空間24が形成される。
【0048】図8に示すように、第2空間24内にカー
ボンナノチューブ18又はカーボンナノチューブ18を
含んだ摺動材料を充填する。カーボンナノチューブは前
述の通りである。
ボンナノチューブ18又はカーボンナノチューブ18を
含んだ摺動材料を充填する。カーボンナノチューブは前
述の通りである。
【0049】図8に示すように、カーボンナノチューブ
18等を収容した第2弾力性型19に圧力を加え、第2
空間24内のカーボンナノチューブ18等を等方加圧成
形し、型くずれしない程度にカーボンナノチューブ18
等を凝集させて、図9に示す表面層前駆体25を形成さ
せる。心棒23と心棒23に圧着した表面層前駆体25
とを第2弾力性型19から引き抜く。
18等を収容した第2弾力性型19に圧力を加え、第2
空間24内のカーボンナノチューブ18等を等方加圧成
形し、型くずれしない程度にカーボンナノチューブ18
等を凝集させて、図9に示す表面層前駆体25を形成さ
せる。心棒23と心棒23に圧着した表面層前駆体25
とを第2弾力性型19から引き抜く。
【0050】図10に示すような、第1弾力性型26を
用意する。第1弾力性型26は、円筒状部20(図7参
照)より大きい直径を有する円筒状部27と、円筒状部
27の一端部に設けられた円板部28とを有する。円板
部28は、その中心部に心棒23を嵌挿可能な円孔29
を有する。
用意する。第1弾力性型26は、円筒状部20(図7参
照)より大きい直径を有する円筒状部27と、円筒状部
27の一端部に設けられた円板部28とを有する。円板
部28は、その中心部に心棒23を嵌挿可能な円孔29
を有する。
【0051】図10に示すように、表面層前駆体25が
第1弾力性型26内に位置するように、表面層前駆体2
5が圧着した心棒23を円孔29に挿入する。その結
果、表面層前駆体25と第1弾力性型26とにより、第
1空間30が形成される。
第1弾力性型26内に位置するように、表面層前駆体2
5が圧着した心棒23を円孔29に挿入する。その結
果、表面層前駆体25と第1弾力性型26とにより、第
1空間30が形成される。
【0052】図11に示すように、第1空間30に、第
一製造方法において説明した粉体12を充填する。
一製造方法において説明した粉体12を充填する。
【0053】図11に示すように、例えば約200℃、
H2又はN2雰囲気中で、表面層前駆体25及び粉体1
2を収容した第1弾力性型26に圧力を加え、第1弾力
性型26内の表面層前駆体25及び粉体12を加圧圧縮
する。このとき粉体12は第1弾力性型26により圧縮
され、表面層前駆体25は粉体12により圧縮される。
さらにこのとき粉体12が表面層前駆体25に押し付け
られることにより、粉体12が表面層前駆体25を形成
するカーボンナノチューブ18等の間に浸入する。図1
8に示されるように、この加圧圧縮により、カーボンナ
ノチューブ18等及びカーボンナノチューブ18等の間
に浸入した粉体12から成る部分は軸受け本体3にな
り、カーボンナノチューブ18等の間に浸入した粉体1
2以外の粉体12からなる部分は表面層4になり、第1
弾力性型26内で軸受け部材1が形成される。
H2又はN2雰囲気中で、表面層前駆体25及び粉体1
2を収容した第1弾力性型26に圧力を加え、第1弾力
性型26内の表面層前駆体25及び粉体12を加圧圧縮
する。このとき粉体12は第1弾力性型26により圧縮
され、表面層前駆体25は粉体12により圧縮される。
さらにこのとき粉体12が表面層前駆体25に押し付け
られることにより、粉体12が表面層前駆体25を形成
するカーボンナノチューブ18等の間に浸入する。図1
8に示されるように、この加圧圧縮により、カーボンナ
ノチューブ18等及びカーボンナノチューブ18等の間
に浸入した粉体12から成る部分は軸受け本体3にな
り、カーボンナノチューブ18等の間に浸入した粉体1
2以外の粉体12からなる部分は表面層4になり、第1
弾力性型26内で軸受け部材1が形成される。
【0054】加圧圧縮終了後、軸受け部材1を第1弾力
性型26から取り出す。
性型26から取り出す。
【0055】第二製造方法においては、第1弾力性型2
6内で表面層前駆体25及び粉体12を加圧するとき、
粉体12が加圧されることにより型くずれしない軸受け
本体前駆体が一旦形成され、その後前記軸受け本体前駆
体と表面層前駆体25とが加圧により一体化されて、軸
受け部材1が形成されると考えることもできる。
6内で表面層前駆体25及び粉体12を加圧するとき、
粉体12が加圧されることにより型くずれしない軸受け
本体前駆体が一旦形成され、その後前記軸受け本体前駆
体と表面層前駆体25とが加圧により一体化されて、軸
受け部材1が形成されると考えることもできる。
【0056】第一製造方法及び第二製造方法において得
られた軸受け部材1は、さらにその中に含まれるカーボ
ンナノチューブを黒鉛化するために、他の黒鉛材と共に
黒鉛化熱処理を行うことも可能である。
られた軸受け部材1は、さらにその中に含まれるカーボ
ンナノチューブを黒鉛化するために、他の黒鉛材と共に
黒鉛化熱処理を行うことも可能である。
【0057】次にこの発明に係る摺動部材の他の製造方
法として、第三の具体例について説明する。
法として、第三の具体例について説明する。
【0058】第二製造方法において図7〜図9で示した
ようにして、カーボンナノチューブを加圧圧縮した後、
黒鉛化熱処理を行い、図13に示す表面層前駆体32を
作成する。
ようにして、カーボンナノチューブを加圧圧縮した後、
黒鉛化熱処理を行い、図13に示す表面層前駆体32を
作成する。
【0059】図13に示すように、表面層前駆体32
を、表面層前駆体32よりも大きい内径を有する円筒状
の金型33の中央部に配置する。
を、表面層前駆体32よりも大きい内径を有する円筒状
の金型33の中央部に配置する。
【0060】図14に示すように、表面層前駆体32と
金型33とにより形成される第1空間34に焼結可能な
粉体、例えば金属の粉体35を充填する。
金型33とにより形成される第1空間34に焼結可能な
粉体、例えば金属の粉体35を充填する。
【0061】金型33を、粉体35が焼結する温度に加
熱する。粉体35は焼結し、一体化する。さらに粉体3
5の一部が溶融し、表面層前駆体32を形成する黒鉛化
カーボンナノチューブ間に浸入する。
熱する。粉体35は焼結し、一体化する。さらに粉体3
5の一部が溶融し、表面層前駆体32を形成する黒鉛化
カーボンナノチューブ間に浸入する。
【0062】金型33を冷却すると、金型33内の金属
は固化する。以上により図15に示すように、表面層前
駆体32を形成する黒鉛化カーボンナノチューブ及びそ
の黒鉛化カーボンナノチューブ間に浸入した金属から成
る部分は表面層37になり、黒鉛化カーボンナノチュー
ブ間に浸入した金属以外の金属からなる部分は軸受け本
体36になる。このようにして、金型33内に軸受け部
材41が形成される。
は固化する。以上により図15に示すように、表面層前
駆体32を形成する黒鉛化カーボンナノチューブ及びそ
の黒鉛化カーボンナノチューブ間に浸入した金属から成
る部分は表面層37になり、黒鉛化カーボンナノチュー
ブ間に浸入した金属以外の金属からなる部分は軸受け本
体36になる。このようにして、金型33内に軸受け部
材41が形成される。
【0063】軸受け部材41を第1弾力性型26から取
り出す。
り出す。
【0064】その摺動部材が軸受け以外である場合に
は、その摺動部材は、上記第一製造方法、第二製造方法
又は第三製造方法を基本として、これに適宜変更を加え
て製造することができる。すなわちそのような摺動部材
は、カーボンナノチューブの集合体で、相手材が接触す
る摺動面を有する表面層を形成するための表面層前駆体
を形成する表面層前駆体形成工程、前記カーボンナノチ
ューブを黒鉛化する温度により分解せず、カーボンナノ
チューブの集合体におけるカーボンナノチューブ間に浸
入可能な粉体で摺動部材本体前駆体を形成する摺動部材
本体前駆体形成工程、及び摺動部材本体前駆体の表面に
前記表面層前駆体が存在する状態で加圧加熱して一体化
する工程を有する製造方法に、それら摺動部材の形状及
び大きさ等に応じた変更を適宜加えた方法により製造す
ることができる。
は、その摺動部材は、上記第一製造方法、第二製造方法
又は第三製造方法を基本として、これに適宜変更を加え
て製造することができる。すなわちそのような摺動部材
は、カーボンナノチューブの集合体で、相手材が接触す
る摺動面を有する表面層を形成するための表面層前駆体
を形成する表面層前駆体形成工程、前記カーボンナノチ
ューブを黒鉛化する温度により分解せず、カーボンナノ
チューブの集合体におけるカーボンナノチューブ間に浸
入可能な粉体で摺動部材本体前駆体を形成する摺動部材
本体前駆体形成工程、及び摺動部材本体前駆体の表面に
前記表面層前駆体が存在する状態で加圧加熱して一体化
する工程を有する製造方法に、それら摺動部材の形状及
び大きさ等に応じた変更を適宜加えた方法により製造す
ることができる。
【0065】
【発明の効果】この発明に係る摺動部材は、摺動部材全
体の機械的強度を保障する摺動部材本体を有するので、
耐荷重性に優れる。
体の機械的強度を保障する摺動部材本体を有するので、
耐荷重性に優れる。
【0066】この発明に係る摺動部材は、摩擦係数が小
さく、熱伝導性に優れるカーボンナノチューブにより摺
動面が形成されるので、摩擦係数が小さく、軸等の磨耗
が少なく、また油膜切れ又は焼き付け等の発生を防止す
ることができる。
さく、熱伝導性に優れるカーボンナノチューブにより摺
動面が形成されるので、摩擦係数が小さく、軸等の磨耗
が少なく、また油膜切れ又は焼き付け等の発生を防止す
ることができる。
【0067】この発明に係る摺動部材は、摺動部材本体
と表面層とが明確な界面を有することなく一体に形成さ
れているので、耐荷重性に優れ、また熱伝導性が良く、
前述の油膜切れ又は焼き付け等の発生の防止効果が大き
い。
と表面層とが明確な界面を有することなく一体に形成さ
れているので、耐荷重性に優れ、また熱伝導性が良く、
前述の油膜切れ又は焼き付け等の発生の防止効果が大き
い。
【0068】この発明に係る摺動部材の製造方法によれ
ば、前記摺動部材を効率良く、簡易に、低コストで製造
することができる。
ば、前記摺動部材を効率良く、簡易に、低コストで製造
することができる。
【図1】図1は、この発明に係る摺動部材の一具体例で
ある軸受け部材1の縦断面説明図である。
ある軸受け部材1の縦断面説明図である。
【図2】図2は、弾力性型6に第1心棒10を装着した
状態を示す縦断面説明図である。
状態を示す縦断面説明図である。
【図3】図3は、第1空間11内に粉体12を充填した
状態を示す縦断面説明図である。
状態を示す縦断面説明図である。
【図4】図4は、軸受け本体前駆体13を収容した弾力
性型6に第2心棒16を装着した状態を示す縦断面説明
図である。
性型6に第2心棒16を装着した状態を示す縦断面説明
図である。
【図5】図5は、第2空間17にカーボンナノチューブ
18を充填した状態を示す縦断面説明図である。
18を充填した状態を示す縦断面説明図である。
【図6】図6は、弾力性型6内に形成された軸受け部材
1を示す縦断面説明図である。
1を示す縦断面説明図である。
【図7】図7は、心棒23を第2弾力性型19に装着し
た状態を示す縦断面説明図である。
た状態を示す縦断面説明図である。
【図8】図8は、第2空間24内にカーボンナノチュー
ブ18を充填した状態を示す縦断面説明図である。
ブ18を充填した状態を示す縦断面説明図である。
【図9】図9は、第2弾力性型19内に形成された表面
層前駆体25を示す縦断面説明図である。
層前駆体25を示す縦断面説明図である。
【図10】図10は、表面層前駆体25が圧着した心棒
23を第1弾力性型26に装着した状態を示す縦断面説
明図である。
23を第1弾力性型26に装着した状態を示す縦断面説
明図である。
【図11】図11は、第1空間30に粉体12を充填し
た状態を示す縦断面説明図である。
た状態を示す縦断面説明図である。
【図12】図12は、第1弾力性型26内に形成された
軸受け部材1を示す縦断面説明図である。
軸受け部材1を示す縦断面説明図である。
【図13】図13は、表面層前駆体32を金型33の中
央部に配置した状態を示す縦断面説明図である。
央部に配置した状態を示す縦断面説明図である。
【図14】図14は、第1空間34に粉体35を充填し
た状態を示す縦断面説明図である。
た状態を示す縦断面説明図である。
【図15】図15は、金型33内に形成された軸受け部
材41を示す縦断面説明図である。
材41を示す縦断面説明図である。
1・・軸受け部材、2・・摺動孔、3・・軸受け本体、
4・・表面層、5・・摺動面、6・・弾力性型、7・・
円筒状部、8・・円板部、9・・円孔、10・・第1心
棒、11・・第1空間、12・・粉体、13・・軸受け
本体前駆体、14・・太径部、15・・小径部、16・
・第2心棒、17・・第2空間、18・・カーボンナノ
チューブ、19・・第2弾力性型、20・・円筒状部、
21・・円板部、22・・円孔、23・・心棒、24・
・第2空間、25・・表面層前駆体、26・・第1弾力
性型、27・・円筒状部、28・・円板部、29・・円
孔、30・・第1空間、32・・表面層前駆体、33・
・金型、34・・第1空間、35・・粉体、36・・軸
受け本体、37・・表面層、41・・軸受け部材
4・・表面層、5・・摺動面、6・・弾力性型、7・・
円筒状部、8・・円板部、9・・円孔、10・・第1心
棒、11・・第1空間、12・・粉体、13・・軸受け
本体前駆体、14・・太径部、15・・小径部、16・
・第2心棒、17・・第2空間、18・・カーボンナノ
チューブ、19・・第2弾力性型、20・・円筒状部、
21・・円板部、22・・円孔、23・・心棒、24・
・第2空間、25・・表面層前駆体、26・・第1弾力
性型、27・・円筒状部、28・・円板部、29・・円
孔、30・・第1空間、32・・表面層前駆体、33・
・金型、34・・第1空間、35・・粉体、36・・軸
受け本体、37・・表面層、41・・軸受け部材
Claims (5)
- 【請求項1】 摺動部材本体と、相手材が接触する摺動
面を有する表面層とを備えた摺動部材であって、前記摺
動部材本体が、摺動部材全体の機械的強度を保障し、こ
の摺動部材を形成する際の加熱温度に対する耐熱性を備
えた素材で形成されてなり、前記表面層が、カーボンナ
ノチューブを実質的に含有し、前記摺動部材本体を形成
する素材が前記カーボンナノチューブ間に浸入した状態
に形成されてなることを特徴とする摺動部材。 - 【請求項2】 相手材が接触する摺動面を有する表面層
の前駆体であって、カーボンナノチューブの集合体であ
る表面層前駆体を形成する表面層前駆体形成工程、 前記カーボンナノチューブを黒鉛化する温度により分解
しない粉体であって、カーボンナノチューブの集合体に
おけるカーボンナノチューブ間に浸入することのできる
粉体により摺動部材本体前駆体を形成する摺動部材本体
前駆体形成工程、及び前記摺動部材本体前駆体の表面に
前記表面層前駆体が存在する状態で、前記摺動部材本体
前駆体及び前記表面層前駆体を加圧加熱して一体化する
工程を有することを特徴とする請求項1に記載の摺動部
材の製造方法。 - 【請求項3】 円筒形の第1弾力性型の中心部に第1心
棒を配置することによって、前記第1弾力性型及び第1
心棒により形成される環状の第1空間内に、カーボンナ
ノチューブを加熱する際の温度における耐熱性を有する
粉体を充填し、前記第1弾力性型により型くずれしない
程度にその粉体を加圧することにより摺動部材本体前駆
体を形成する摺動部材本体前駆体形成工程と、 前記第1心棒の代わりに、前記第1心棒よりも小さな直
径を有する第2心棒を前記第1弾力性型の中心部に配置
することによって、前記第1弾力性型及び第2心棒によ
り形成される環状の第2空間内にカーボンナノチューブ
を充填し、前記第1弾力性型により型くずれしない程度
にそのカーボンナノチューブを加圧することにより表面
層前駆体を形成する表面層前駆体形成工程と、 前記表面層前駆体と前記摺動部材本体前駆体とを加熱加
圧することにより一体化する工程とを有することを特徴
とする前記請求項1に記載の摺動部材の製造方法。 - 【請求項4】 円筒形の第2弾力性型の中心部に心棒を
挿通することによって、前記第2弾力性型及び心棒によ
り形成される環状の第2空間内にカーボンナノチューブ
を充填し、前記第2弾力性型により型くずれしない程度
にそのカーボンナノチューブを加圧することにより表面
層前駆体を形成する表面層前駆体形成工程と、 前記第2弾力性型の代わりに、この第2弾力性型よりも
大きな直径を有する円筒形の第1弾力性型の中心部に、
前記心棒と共にこの心棒の周囲に形成された表面層前駆
体を配置し、前記表面層前駆体及び前記第1弾力性型に
より形成される環状の第1空間内に、カーボンナノチュ
ーブを加熱する際の温度における耐熱性を有する粉体を
充填し、前記第1弾力性型により型くずれしない程度に
その粉体を加圧することにより摺動部材本体前駆体を形
成する摺動部材本体前駆体形成工程と、 前記摺動部材本体前駆体と前記表面層前駆体とを加圧加
熱することにより一体化する工程とを有することを特徴
とする前記請求項1に記載の摺動部材の製造方法。 - 【請求項5】 円筒形の弾力性型の中心部に心棒を挿通
することによって、前記弾力性型及び心棒により形成さ
れる環状の第2空間内に、カーボンナノチューブを充填
して加圧した後、これを黒鉛化熱処理することにより表
面層前駆体を形成する表面層前駆体形成工程と、 この弾力性型よりも大きな直径を有する円筒形の焼結用
型の中心部に前記表面層前駆体を配置することによっ
て、前記表面層前駆体及び前記焼結用型により形成され
る環状の第1空間内に焼結可能な粉体を充填し、この粉
体を加熱してこの粉体の焼結体を形成させて、前記表面
層前駆体とその中に浸入した前記粉体により形成された
焼結体部分とから成る表面層、及びその浸入した粉体の
焼結体部分以外の焼結体部分から成る摺動部材本体を作
成する焼結工程とを有することを特徴とする前記請求項
1に記載の摺動部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002034585A JP2003239977A (ja) | 2002-02-12 | 2002-02-12 | 摺動部材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002034585A JP2003239977A (ja) | 2002-02-12 | 2002-02-12 | 摺動部材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003239977A true JP2003239977A (ja) | 2003-08-27 |
Family
ID=27777039
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002034585A Abandoned JP2003239977A (ja) | 2002-02-12 | 2002-02-12 | 摺動部材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003239977A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005220952A (ja) * | 2004-02-04 | 2005-08-18 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | ピボット軸受 |
WO2005100465A1 (en) | 2004-04-15 | 2005-10-27 | Showa Denko K. K. | Carbon-based electrically conducting filler, composition and use thereof |
JP2007170493A (ja) * | 2005-12-20 | 2007-07-05 | Tsubakimoto Chain Co | 固体潤滑無給油チェーン |
DE102006003908A1 (de) * | 2006-01-27 | 2007-08-02 | Schaeffler Kg | Gleitlagerkörper mit metallhaltiger Gleitschicht |
JP2008190547A (ja) * | 2007-01-31 | 2008-08-21 | Tsubakimoto Chain Co | 固体潤滑無給油チェーン |
JP2012166969A (ja) * | 2011-02-10 | 2012-09-06 | Katsuyoshi Kondo | 被膜付き基材およびその製造方法 |
US20140348450A1 (en) * | 2011-12-08 | 2014-11-27 | Mahle International Gmbh | Sliding bearing |
-
2002
- 2002-02-12 JP JP2002034585A patent/JP2003239977A/ja not_active Abandoned
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4550732B2 (ja) * | 2005-12-20 | 2010-09-22 | 株式会社椿本チエイン | 固体潤滑無給油チェーン |
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US9453532B2 (en) * | 2011-12-08 | 2016-09-27 | Mahle International Gmbh | Sliding bearing |
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Effective date: 20050419 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050506 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762 Effective date: 20050518 |