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JP4825295B2 - 加工油塗布装置 - Google Patents

加工油塗布装置 Download PDF

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JP4825295B2
JP4825295B2 JP2009241970A JP2009241970A JP4825295B2 JP 4825295 B2 JP4825295 B2 JP 4825295B2 JP 2009241970 A JP2009241970 A JP 2009241970A JP 2009241970 A JP2009241970 A JP 2009241970A JP 4825295 B2 JP4825295 B2 JP 4825295B2
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Description

本発明は、加工される前の被加工材に加工油を塗布するための装置に関する。
例えば、熱交換器用フィンを製造する製造装置の場合、熱交換器用フィンは金属製の薄板を被加工材とし、この被加工材をプレス加工して製造される。
金属製の薄板は、アンコイラーに巻回されており、アンコイラーから引き出された金属製の薄板は、熱交換器用フィン製造金型を設けたプレス装置に供給される。
プレス装置に供給された薄板にはプレス加工が施され、所定の形状を有する熱交換機用フィンが製造される。
プレス装置とアンコイラーとの間には、加工油塗布装置が設けられ、アンコイラーから引き出された薄板に加工油が塗布される。
薄板に加工油を塗布する方法としては、液体状の加工油を含浸させたローラ等の部材を薄板に当接させて塗布することが一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかし、液体状の加工油を用いるのではなく、常温で固形のワックスを対象物に押しつけ、ワックスを薄板表面で移動させつつ塗布する方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
実用新案等録第3022748号公報 実開平6−70860号公報 特開平10−34273号公報
現在、世界的規模で環境問題が叫ばれており、また経済状況の変動に伴い、加工油の節約が求められている。
ところで、従来のように液体状の加工油を含浸させた部材を薄板に当接させて塗布する場合、加工油を節約すべく含浸量を減らしてしまうと、含浸させた部材内で加工油が偏在してしまい、薄板には部分的にしか塗布できなくなってしまうおそれがある(図8参照)。
ところで、上述した特許文献3には、ワックスを薄板の表面で移動させる旨が記載されており、特許文献1の構成を採用すれば、加工油が含浸された部材内で加工油が偏在していても加工油を薄板の表面で伸ばすことができるものと考えられる。
しかし、金属製の薄板の厚さが極めて薄く(例えば0.3mm以下)になると、加工油を含浸させた部材を薄板の表面に当接させつつ移動させることによって、薄板が部材の移動方向によじれてしまい、プレス装置への移送ができなくなるという課題がある。
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、加工油を節約して含浸させた部材を薄板に当接させつつ移動させたとしても、薄板がよじれないようにすることができる加工油塗布装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成すべく、以下の構成を備える。すなわち、本発明にかかる加工油塗布装置によれば、プレス装置に供給されるべくプレス装置方向に移送されている金属製の薄板に加工油を塗布する加工油塗布装置において、加工油が含浸され、薄板の上面に当接して加工油を薄板上面に塗布する上面塗布ユニットと、加工油が含浸され、薄板の下面に当接して加工油を薄板下面に塗布する下面塗布ユニットと、前記上面塗布ユニットと前記下面塗布ユニットとを、薄板の移送方向に対して直交する方向に往復動作させる塗布ユニット作動部とを具備し、該塗布ユニット作動部は、前記上面塗布ユニットと前記下面塗布ユニットとの前記薄板の移送方向に対して直交する方向への移動が、互いに常に反対方向となるように動作させることを特徴としている。
この構成を採用することによって、上面塗布ユニットと下面塗布ユニットとは、薄板の移送方法に直交する幅方向に対して逆位相で移動することとなる。つまり、上面塗布ユニットと下面塗布ユニットが薄板に与える力が薄板の上下両面で常にキャンセルされることとなり、薄板をよじらせないようにできる。
また、前記上面塗布ユニットが配置されている部位よりも薄板の移送方向下流側に、前記上面塗布ユニットによって塗布された加工油のムラを均一にするために薄板上面に当接する上面加工油伸ばし部が設けられ、前記下面塗布ユニットが配置されている部位よりも薄板の移送方向下流側に、前記下面塗布ユニットによって塗布された加工油のムラを均一にするために薄板下面に当接する下面加工油伸ばし部が設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、上面塗布ユニットおよび下面塗布ユニットの移動によっても薄板の全面に亘って塗布できない部分が生じる場合であっても、上面加工油伸ばし部および下面加工油伸ばし部によって塗布できなかった部分に他の部位に塗布された加工油を伸ばして塗布させることができる。
さらに、前記上面塗布ユニット及び/または前記下面塗布ユニットは、加工油が含浸される含浸部材が、薄板の移送方向と直交する方向に対して複数分割して構成され、分割された各含浸部材の間は互いに加工油が行き来しないように仕切が配置されていることを特徴としてもよい。
すなわち、含浸部材が薄板の幅方向(移送方向に直交する方向)に一体に形成されている場合では、加工油の含浸量を節約すると幅方向に加工油が行き来してムラになりやすいという課題があった。しかし、この構成によれば幅方向全体に亘っての加工油の行き来が無くなるので、ムラになりにくい。
さらに、含浸部材が薄板に当接させて加工油の塗布を行っていると、含浸部材における薄板の幅方向の両端部には圧力がかかりやすいため、含浸部材の両端部の摩耗が他の個所と比較して激しくなる。かかる場合、両端部のみの摩耗のために含浸部材全体を交換するのは無駄である。しかし、上記構成によれば、摩耗が生じた部分のみの含浸部材の交換が可能であるのでコストパフォーマンスに優れる。
また、前記上面塗布ユニットは、加工油が含浸される含浸部材と、含浸部材の周囲側面を保持する保持部材と、含浸部材において、前記薄板への当接する当接面が均等に薄板に押しつけられるように、前記当接面の反対面側を押圧する押圧手段とを有することを特徴としてもよい。
この構成によれば、含浸部材の薄板への当接が均一な力となり、加工油の均一な塗布ができるとともに、含浸部材の部分的な摩耗を防止できる。
なお、前記押圧手段は、前記含浸部材の前記当接面の反対面側を押圧する押圧ピンと、押圧ピンの上端面が配置されるエア溜まり室と、エア溜まり室内にエアを供給するエア供給手段と、前記含浸部材の前記当接面の反対面側を覆って上下方向に移動可能に配置されたプレートとを有し、前記エア溜まり室内に供給されたエアによって前記押圧ピンが前記プレートを押圧することを特徴としてもよい。
この構成によれば、容易な手段で含浸部材の薄板への当接が均一な力となり、加工油の均一な塗布ができるとともに、含浸部材の部分的な摩耗を防止できる。
なお、薄板の移送方向と直交する方向に形成されている両側面に当接する薄板支持部を備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、薄板のプレス装置への移送をより確実に行うことができる。
さらに、前記下面塗布ユニットには、前記上面塗布ユニットが移動し、上面塗布ユニットの含浸部材が前記薄板の移送方向と直交する方向から薄板が存在しない場所に露出した場合に、露出した含浸部材の下面に当接し、且つ前記薄板の移送方向を軸線としてフリーに回転する含浸部材受けローラが設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、上面塗布ユニットの移動により、薄板の幅方向(移送方向に直交する方向)において上面塗布ユニットの含浸部材が薄板からはみ出す場合であっても、このはみ出した含浸部材が落下等しないように、含浸部材受けローラで保持することができる。
本発明にかかる加工油塗布装置によれば、加工油を節約しても薄板に確実に塗布することができ、また薄板のよじれを防止して確実にプレス装置への移送が行われる。
熱交換器用フィン製造装置の配置構成を示す説明図である。 加工油塗布装置の平面図である。 加工油塗布装置の側面図である。 塗布ユニット作動部の側面図である。 塗布ユニット作動部の拡大図である。 上面塗布ユニットと下面塗布ユニットとの動作状態を示す説明図である。 未塗布部分が生じる場合について説明する説明図である。 従来の未塗布部分が生じる場合について説明する説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、金属製の薄板を用い、薄板にプレス加工を施して熱交換器用のフィンを製造する熱交換器用フィン製造装置の配置構成を示す。
熱交換器用フィンは、アルミニウム等の金属製の薄板10によって成形される。金属製の薄板10は、アンコイラー11に巻回されて配置されている。アンコイラー11から引き出された薄板10は、本発明にかかる加工油塗布装置20および加工油塗布装置20の後段に配置されたプレス装置30に供給される。
プレス装置30は、所望のフィン形状を成形するための金型32を有している。
加工油塗布装置20は、プレス装置30の薄板10の移送方向の前段に配置されており、プレス装置30に供給される前の薄板10に加工油を塗布する機能を有している。
なお、アンコイラー11からの薄板10の引き出しおよび移送は、プレス装置30における移送装置(図示せず)が薄板を移送方向に牽引することによって行われる。
図2に加工油塗布装置の平面図を、図3に加工油塗布装置の正面図(移送方向から見た図)を示す。
加工油塗布装置20には、薄板10の上面に当接して薄板10の上面に加工油を塗布する上面塗布ユニット22と、薄板10の下面に当接して薄板10の下面に加工油を塗布する下面塗布ユニット24とを有している。
上面塗布ユニット22には、加工油が含浸される含浸部材25が薄板10の幅方向(移送方向に対して直交する方向)に複数個配置されている。含浸部材25としては、加工油が含浸可能であり、且つ薄板10の表面に当接しても十分に耐久性があるものであればどのような材質であってもかまわないが、本実施形態では、不織布の一種であるフェルトを採用している。
下面塗布ユニット24にも、上面塗布ユニット22と同様の含浸部材51が、薄板10の幅方向(移送方向に対して直交する方向)に複数個配置されている。
(上面塗布ユニット)
上面塗布ユニット22は、含浸部材25を保持するホルダ部26を有している。ホルダ部26の上部には、薄板10の幅よりも長尺に形成された上プレート21が取り付けられている。上プレート21は、含浸部材25を薄板10の幅方向に往復動させるためにホルダ部26と一体に移動するように設けられている。
(ホルダ部)
ホルダ部26は、複数の含浸部材25の幅方向(薄板の幅方向)の両端部に存在する含浸部材25a、25aの幅方向の両側面を保持する側面保持壁27,27と、複数の含浸部材25の正面(薄板の移送方向上流側)を保持する正面保持壁29と、複数の含浸部材25の背面(薄板の移送方向下流側)を保持する背面保持壁33とを有している。
側面保持壁27,27と、正面保持壁29と、背面保持壁33の上部には上面壁34が設けられ、複数の含浸部材25の上面を覆うように配置されている。上面壁34が上プレート21に固定されている。
また、上面壁34から下方に向けて複数の仕切壁36が設けられている。仕切壁36は、複数の含浸部材25同士の間に配置されており、各含浸部材25同士で加工油が行き来しないように機能する。
側面保持壁27,27、正面保持壁29、背面保持壁33および複数の仕切壁36は、その下端部が含浸部材25の下面よりも突出しない長さとして形成されており、含浸部材25の下面は、これら各壁に邪魔されることなく薄板10の上面に当接する。
このように、各含浸部材25は、上面壁34、正面保持壁29、背面保持壁33および仕切壁36(薄板10の幅方向両端部に配置される含浸部材にあっては、側面保持壁27)に囲まれて下方が開口した、各収納部39内に収納保持される。
含浸部材25が収納部39から抜け落ちないようにするために、側面保持壁27、正面保持壁29、背面保持壁33および複数の仕切壁36は、収納部39の下部の開口部がやや窄まるように、下方に向けて互いに接近するように斜めに配置される。側面保持壁27、正面保持壁29、背面保持壁33が特許請求の範囲でいう保持部材に該当する。
各収納部39には、加工油を供給するために上面壁34を貫通するように形成された油供給路40が設けられている。油供給路40は、上プレート21の側面に形成された油供給口42に連通しており、油供給口42から供給された加工油は、油供給路40を通って各収納部39に供給される。
なお、上プレート21の上部には、含浸部材25を下面に押圧するための押圧手段が設けられている。押圧手段は、上プレート21の上方に配置されたカバー44によって形成されるエア溜まり室46と、エア溜まり室46と各収納部39を上下方向に移動可能な押圧ピン48と、ホルダ部26の上面壁34と含浸部材の上面との間に上下方向に移動可能となるように配置されたプレート38とを有している。プレート38は、各含浸部材25の上面全体を覆うような大きさである。押圧ピン48は、ホルダ部26の上面壁34と上プレート21とを貫通して配置され、上端部がエア溜まり室46内に位置するように設けられている。図3では、押圧ピン48は、一部しか図示していないが、実際には全収納部39に対して設けられている。
エア溜まり室46内にはエア供給手段(図示せず)によってエアが供給される。エア供給手段としてはエアコンプレッサ等を採用することができる。エア溜まり室46内にエアが供給されると、押圧ピン48の上端部がエアによって下方に押し下げられ、押圧ピン48の下端部がプレート38の上面を押圧する。これによって、含浸部材25は常に一定の力で薄板10に当接することができる。
また、エア溜まり室46は、複数の含浸部材25に対して1つ形成されているので各含浸部材25全てに同じ力がかかるように設けられている。
(下面塗布ユニット)
下面塗布ユニット24は、含浸部材51を保持するホルダ部50を有している。ホルダ部50の下部には、薄板10の幅よりも長尺に形成された下プレート52が取り付けられている。下プレート52は、含浸部材51を薄板10の幅方向に往復動させるためにホルダ部50を移動可能に設けられている。
(ホルダ部)
ホルダ部50は、複数の含浸部材51の幅方向(薄板の幅方向)の両端部に存在する含浸部材51a、51aの幅方向の両側面を保持する側面保持壁54,54と、複数の含浸部材51の正面(薄板の移送方向上流側)を保持する正面保持壁(図示せず)と、複数の含浸部材51の背面(薄板の移送方向下流側)を保持する背面保持壁(図示せず)とを有している。
側面保持壁54,54と、正面保持壁と、背面保持壁の下部には下面壁56が設けられ、複数の含浸部材51の下面を覆うように配置されている。下面壁56が下プレート52に固定されている。
また、下面壁56から上方に向けて複数の仕切壁58が設けられている。仕切壁58は、複数の含浸部材51同士の間に配置されており、各含浸部材51同士で加工油が行き来しないように機能する。
側面保持壁54,54、正面保持壁、背面保持壁および複数の仕切壁58は、その上端部が含浸部材51の上面よりも突出しない長さとして形成されており、含浸部材51の上面は、これら各壁に邪魔されることなく薄板10の下面に当接する。
このように、各含浸部材51は、下面壁56、正面保持壁、背面保持壁および仕切壁58(薄板10の幅方向両端部に配置される含浸部材にあっては、側面保持壁54)に囲まれて上方が開口した、各収納部60内に収納保持される。
各収納部60には、加工油を供給するために下面壁56を貫通するように形成された油供給路61が設けられている。油供給路61は、下プレート52の側面に形成された油供給口62に連通しており、油供給口62から供給された加工油は、油供給路61を通って各収納部60に供給される。
(塗布ユニット作動部)
上述してきた上面塗布ユニット22と下面塗布ユニット24とは、塗布ユニット作動部66によってそれぞれ薄板10の幅方向に往復動可能であるが、塗布ユニット作動部66は、上面塗布ユニット22と下面塗布ユニット24の薄板10の幅方向の移動が、互いに常に反対方向となるように動作させている。言い換えると、塗布ユニット作動部66は、上面塗布ユニット22と下面塗布ユニット24とが薄板10の幅方向に対して逆位相で往復動するように動作させている。
図4に塗布ユニット作動部66の側面図を、図5に塗布ユニット作動部66内の偏芯カムの取り付け状態を、図6に塗布ユニット作動部66の動作説明図を示す。
塗布ユニット作動部66は、回転シャフト69が鉛直方向に延びるように配置されたモータ68と、モータ68の回転シャフト69に取り付けられた2つの偏芯カム70,71とを有している。各偏芯カム70,71の周囲には、それぞれカムガイドプレート72,73が設けられている。
上偏芯カム70および下偏芯カム71は、それぞれ平面視円形の板状の部材である。
上偏芯カム70において、回転シャフト69は円の中心C1から所定距離X外れた位置に貫通して固定されている。このため、回転シャフト69の回転によって上偏芯カム70は、回転シャフト69の軸線Csを中心に偏芯して回転する。
下偏芯カム71において、回転シャフト69は、円の中心C2から所定距離X外れた位置であって、なおかつ上偏芯カム70における円の中心C1と下偏芯カム71の円の中心C2がと回転シャフト69の軸線Csを挟んで点対称となるような位置に、貫通して固定されている。このため、回転シャフト69の回転によって、下偏芯カム71は、回転シャフト69の軸線Csを中心に偏芯して回転する。
上方に位置する上偏芯カム70の周囲に配置されている上カムガイドプレート72は、平面視するとほぼ長方形状であり、中央に上偏芯カム70が収納される長方形状のカム穴74が形成されている。カム穴74の短辺方向(薄板10の幅方向と同じ方向)の長さは、上偏芯カム70の外周縁がカム穴74内壁面にちょうど当接する長さに形成されている。また、上偏芯カム70は、カム穴74内で長辺方向(薄板10の移送方向と同じ方向)に移動可能である。
上カムガイドプレート72の幅方向の一端側は、上プレート21に固定されている。
一方、上偏芯カム70よりも下方に位置する下偏芯カム71の周囲に配置されている下カムガイドプレート73は、平面視するとほぼ長方形状であり、中央に下偏芯カム71が収納される長方形状のカム穴75が形成されている。カム穴75の短辺方向(薄板10の幅方向と同じ方向)の長さは、下偏芯カム71の外周縁がカム穴75内壁面にちょうど当接する長さに形成されている。また、下偏芯カム71は、カム穴75内で長辺方向(薄板10の移送方向と同じ方向)に移動可能である。
下カムガイドプレート73の幅方向の一端側は、下プレート52に固定されている。
以下、塗布ユニット作動部66による上面塗布ユニット22と下面塗布ユニット24の動作について説明する。
モータ68が駆動することにより、回転シャフト69が鉛直方向を軸線として回転する。回転シャフト69に固定されている上偏芯カム70と下偏芯カム71は、それぞれの円の中心位置が回転シャフト69に対して点対称の位置にあるので、上カムガイドプレート72と下カムガイドプレート73の水平方向への動きは、常に反対方向となる。
図6に基づいて動作例を説明する。
図6の状態(1)のように、上偏芯カム70の中心C1が薄板10から最も離間する位置にある場合、上カムガイドプレート72は、上偏芯カム70の回転に伴って塗布ユニット作動部66に最も近づく位置(薄板10移送方向から見て右側)に移動しており、上面塗布ユニット22は、薄板10上を塗布ユニット作動部66に最も近づく位置(移送方向から見て右側)に移動している。
状態(1)では、下偏芯カム71の中心C2が薄板10に最も近づく位置にあり、下カムプレート73は下偏芯カム71の回転に伴って塗布ユニット作動部66から最も離れる位置(薄板10移送方向から見て左側)に移動しており、下面塗布ユニット24は、薄板10上を塗布ユニット作動部66から最も離れる位置(移送方向から見て左側)に移動している。
状態(1)から上偏芯カム70が上カムガイドプレート72のカム穴74内で回転すると、状態(2)のように上偏芯カム70が上カムガイドプレート72を塗布ユニット作動部66から離れる方向(薄板10移送方向から見て左側)に押動する。
同じように、状態(1)から下偏芯カム71が下カムプレート73のカム穴75内で回転すると、状態(2)のように下偏芯カム71が下カムプレート73を塗布ユニット作動部66に近づく方向(薄板10移送方向から見て右側)に牽引する。
状態(2)では、上面塗布ユニット22と、下面塗布ユニット24とが平面視ほぼ同一位置に移動してきた所を示している。
状態(2)から、さらに上偏芯カム70が上カムガイドプレート72のカム穴74内で回転すると、状態(3)のように上偏芯カム70が上カムガイドプレート72を塗布ユニット作動部66から離れる方向(薄板10移送方向から見て左側)に押動する。
状態(2)から、さらに下偏芯カム71が下カムプレート73のカム穴75内で回転すると、状態(3)のように下偏芯カム71が下カムプレート73を塗布ユニット作動部66に近づく方向(薄板10移送方向から見て右側)に牽引する。
状態(3)から上偏芯カム70が上カムガイドプレート72のカム穴74内で回転すると、状態(4)のように上偏芯カム70が上カムガイドプレート72を塗布ユニット作動部66に近づく方向(薄板10移送方向から見て右側)に牽引する。
同じように、状態(3)から下偏芯カム71が下カムプレート73のカム穴75内で回転すると、状態(4)のように下偏芯カム71が下カムプレート73を塗布ユニット作動部66から離れる方向(薄板10移送方向から見て左側)に押動する。
状態(4)では、上面塗布ユニット22と、下面塗布ユニット24とが平面視ほぼ同一位置に移動してきた所を示している。
上述してきたような構成を有する塗布ユニット作動部66は、上面塗布ユニット22と下面塗布ユニット24とが薄板10の幅方法に対して逆位相で往復動するように動作させるので、薄板10には常に幅方向の両側方向に向けた力が働くので薄板10をよじらせないようにすることができる。
(上下プレートのガイド機構)
なお、上述してきた塗布ユニット作動部66は、偏芯カムの回転によって上面塗布ユニット22および下面塗布ユニット24を薄板10の幅方向に往復動作させているが、偏芯カムの回転に伴って薄板10の移送方向にも往復動してしまう力が働いてしまう。
そこで、上面塗布ユニット22の上プレート21の薄板移送方向側の両側面を保持するように、上プレートガイドローラ77と、下面塗布ユニット24の下プレート52の薄板移送方向側の両側面を保持する下プレートガイドローラ78とが設けられている。
下プレートガイドローラ78は2個1組で、基台19上の台座部17に水平面内でフリーに回転可能に設けられており、下プレート52の薄板移送方向の両側面に当接する位置に配置されている。
また、台座部17には、薄板10の幅方向側面に当接して薄板10の幅方向への移動を阻止するブロック状の薄板ガイド(特許請求の範囲でいう薄板支持部)80が2個1組で設けられている。2個1組で設けられているのは、上プレート21の移動を邪魔しないためであり、それぞれ上プレート21の薄板移送方向側方に位置している。
これにより、上面塗布ユニット22および下面塗布ユニット24が薄板10の両面で往復動しても、薄板10の幅方向端部が薄板ガイド80で保持されているので、薄板10が幅方向に移動してしまうことを防止できる。
各薄板ガイド80の上面には、上プレート21の薄板移送方向の両側面に当接する位置に配置され、水平面内でフリーに回転可能な上プレートガイドローラ77が設けられている。
図3では、下プレートガイドローラ78、薄板ガイド80および上プレートガイドローラ77は、塗布ユニット作動部66側(図面右側)にしか図示されていないが、塗布ユニット作動部66が設けられている側の反対側にも、下プレートガイドローラ78、薄板ガイド80および上プレートガイドローラ77が上記と同様の構成で設けられている。
(上下プレートの押さえ機構)
上面塗布ユニット22および下面塗布ユニット24が確実に薄板10の上面および下面に加工油を塗布できるように、上プレート21の上下方向の位置を規定する上プレート押さえ部82と、下プレート52の上下方向の位置を規定する下プレート押さえ部84とが設けられている。
下プレート押さえ部84は、基台19上に配置され、下プレート52の下面に当接し、薄板移送方向を軸線としてフリーに回転可能な複数の保持ローラ86と、下プレート52の上面に当接し、薄板移送方向を軸線としてフリー回転可能な押さえローラ88とを有している。押さえローラ88は、2個1組であって、基台19から上方に突出して下プレート52の薄板移送方向の両側方に配置されている2つの支持ブロック89にそれぞれ1個ずつ設けられている。
なお、保持ローラ86は、薄板幅方向に沿って3箇所に設けられている。
上プレート押さえ部82は、下プレート52の薄板移送方向の両側面に固定された2つの固定板90と、2つの固定板90のそれぞれに設けられて上プレート21の上面に当接し、薄板移送方向を軸線としてフリー回転可能な2個の押さえローラ92とを有している。押さえローラ92どうしは連結部92aによって連結されて構成されている。
また、上プレート押さえ部82には、下プレート52から上方に向けて付勢する付勢手段94と、付勢手段94の上端に設けられ、薄板移送方向を軸線としてフリー回転可能な保持ローラ96とが設けられている。保持ローラ96は、付勢手段94によって上方に付勢され、上プレート21の下面を上方に押し上げるように作用している。
なお、図3では、上プレート押さえ部82のうち、押さえローラ92は図面左側に、保持ローラ96は図面右側に記載されているが、実際には押さえローラ92は図面右側にも設けられ、保持ローラ96は図面左側にも設けられており、押さえローラ92と保持ローラ96は一対となって設けられる。
このように、上プレート押さえ部82は、下プレート52に対して固定されているので、下プレート52と上プレート21との間隔が変わることがない。
このため、上面塗布ユニット22および下面塗布ユニット24が安定した量の加工油を薄板10に塗布することができる。
(含浸部材受けローラ)
下面塗布ユニット24において収納部60の2つの側面保持壁54の幅方向外側には、それぞれ上面塗布ユニット22の含浸部材25の下面(薄板への当接面)に当接する含浸部材受けローラ104が設けられている。
含浸部材受けローラ104は、薄板10の移送方向に向いた回転軸を有しており、フリーに回転可能に設けられている。
含浸部材受けローラ104は、上面塗布ユニット22が薄板の幅方向に移動して含浸部材25が薄板10の幅方向端部からはみ出してしまったときに、含浸部材25の下面を保持する。このため、含浸部材25が薄板10の幅方向端部からはみ出した場合であっても、含浸部材25が、ホルダ部26から落下、あるいは落下しなくても下方にずり落ちてしまうことを防止することができる。
(加工油伸ばし部)
また、上面塗布ユニット22が配置されている部位よりも薄板10の移送方向下流側に、上面塗布ユニット22によって塗布された加工油のムラを均一にするために薄板10の上面に当接する上面加工油伸ばし部100が設けられている。
つまり、図7に示すように、上面塗布ユニット22において含浸ムラがあった場合、単に上面塗布ユニット22を薄板の幅方向に往復動させるだけでは、薄板10には未塗布部(未給油部)ができる可能性もあるからである。
これに対して、薄板10の移送速度に対して上面塗布ユニット22の往復動の速度を速くすれば問題ない場合もある。しかし、上面塗布ユニット22の往復動の速度を速くしなくとも、上面加工油伸ばし部100を設けるだけで未塗布部(未給油部)を確実に無くすことができる。
上面加工油伸ばし部100は、薄板10の幅方向に長尺な長方形状であり、所定位置において動作しないよう固定されている。
上面加工油伸ばし部100は、上面塗布ユニット22に設けられている含浸部材と同様に、加工油が含浸可能であり、且つ薄板10の表面に当接しても十分に耐久性があるものであればどのような材質であってもかまわないが、本実施形態では、不織布の一種であるフェルトを採用している。
さらに、下面塗布ユニット24が配置されている部位よりも薄板10の移送方向下流側に、下面塗布ユニット24によって塗布された加工油のムラを均一にするために薄板10の上面に当接する下面加工油伸ばし部102が設けられている。下面加工油伸ばし部102も上記の図7に示すように、下面塗布ユニット24において含浸ムラがあった場合に生じる未塗布部を無くすことができる。
下面加工油伸ばし部102は、薄板10の幅方向に長尺な長方形状であり、所定位置において動作しないよう固定されている。
下面加工油伸ばし部102は、下面塗布ユニット24に設けられている含浸部材と同様に、加工油が含浸可能であり、且つ薄板10の表面に当接しても十分に耐久性があるものであればどのような材質であってもかまわないが、本実施形態では、不織布の一種であるフェルトを採用している。
このように、上面塗布ユニット22および下面塗布ユニット24によって加工油が塗布された後、上面加工油伸ばし部100および下面加工油伸ばし部102によって、すでに塗布された部位の加工油をフェルトが吸い取り、フェルトで吸い取られた加工油が未塗布の部位に塗布される。
このため、薄板10の表面には加工油が均一に塗布されることとなる。
(その他の実施形態)
なお、上面塗布ユニット22と下面塗布ユニット24との薄板10の移送方向に対して直交する方向への移動が、互いに常に反対方向となるように動作させる手段としては、上述した実施形態では1つのモータで位相が180°異なる2つの偏芯カムを用いて実現した。
しかし、本発明としては、このような構成に限定されることはなく、例えば上面塗布ユニット22を薄板の幅方向に往復動させる上面用エアシリンダを設け、これとは別個に下面塗布ユニット24を薄板の幅方向に往復動させる下面用エアシリンダを設け、上面用エアシリンダと下面用エアシリンダの動作が交互に実行されるように制御してもよい。
また、本発明の加工油塗布装置は、熱交換器用フィンの製造用に用いることに限定されることはない。
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
10 薄板
11 アンコイラー
17 台座部
19 基台
20 加工油塗布装置
21 上プレート
22 上面塗布ユニット
24 下面塗布ユニット
25 含浸部材
26 ホルダ部
27 側面保持壁
29 正面保持壁
30 プレス装置
32 金型
33 背面保持壁
34 上面壁
36 仕切壁
38 プレート
39 収納部
40 油供給路
42 油供給口
44 カバー
46 エア溜まり室
48 押圧ピン
50 ホルダ部
51 含浸部材
52 下プレート
54 側面保持壁
56 下面壁
58 仕切壁
60 収納部
61 油供給路
62 油供給口
66 塗布ユニット作動部
68 モータ
69 回転シャフト
70 上偏芯カム
71 下偏芯カム
72 上カムガイドプレート
73 下カムガイドプレート
74,75 カム穴
77 上プレートガイドローラ
78 下プレートガイドローラ
80 薄板ガイド
82 上プレート押さえ部
84 下プレート押さえ部
86,96 保持ローラ
88,92 押さえローラ
89 支持ブロック
90 固定板
94 付勢手段
100 上面加工油伸ばし部
102 下面加工油伸ばし部
104 含浸部材受けローラ

Claims (7)

  1. プレス装置に供給されるべくプレス装置方向に移送されている金属製の薄板に加工油を塗布する加工油塗布装置において、
    加工油が含浸され、薄板の上面に当接して加工油を薄板上面に塗布する上面塗布ユニットと、
    加工油が含浸され、薄板の下面に当接して加工油を薄板下面に塗布する下面塗布ユニットと、
    前記上面塗布ユニットと前記下面塗布ユニットとを、薄板の移送方向に対して直交する方向に往復動作させる塗布ユニット作動部とを具備し、
    該塗布ユニット作動部は、
    前記上面塗布ユニットと前記下面塗布ユニットとの前記薄板の移送方向に対して直交する方向への移動が、互いに常に反対方向となるように動作させることを特徴とする加工油塗布装置。
  2. 前記上面塗布ユニットが配置されている部位よりも薄板の移送方向下流側に、前記上面塗布ユニットによって塗布された加工油のムラを均一にするために薄板上面に当接する上面加工油伸ばし部が設けられ、
    記下面塗布ユニットが配置されている部位よりも薄板の移送方向下流側に、前記下面塗布ユニットによって塗布された加工油のムラを均一にするために薄板下面に当接する下面加工油伸ばし部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の加工油塗布装置。
  3. 前記上面塗布ユニット及び/または前記下面塗布ユニットは、
    加工油が含浸される含浸部材が、薄板の移送方向と直交する方向に対して複数分割して構成され、分割された各含浸部材の間は互いに加工油が行き来しないように仕切が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の加工油塗布装置。
  4. 前記上面塗布ユニットは、
    加工油が含浸される含浸部材と、
    含浸部材の周囲側面を保持する保持部材と、
    含浸部材において、前記薄板への当接する当接面が均等に薄板に押しつけられるように
    前記当接面の反対面側を押圧する押圧手段とを有することを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項記載の加工油塗布装置。
  5. 前記押圧手段は、
    前記含浸部材の前記当接面の反対面側を押圧する押圧ピンと、
    押圧ピンの上端面が配置されるエア溜まり室と、
    エア溜まり室内にエアを供給するエア供給手段と、
    前記含浸部材の前記当接面の反対面側を覆って上下方向に移動可能に配置されたプレートとを有し、
    前記エア溜まり室内に供給されたエアによって前記押圧ピンが前記プレートを押圧することを特徴とする請求項4項記載の加工油塗布装置。
  6. 薄板の移送方向と直交する方向に形成されている両側面に当接する薄板支持部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項記載の加工油塗布装置。
  7. 前記下面塗布ユニットには、
    前記上面塗布ユニットが移動し、上面塗布ユニットの含浸部材が前記薄板の移送方向と直交する方向から薄板が存在しない場所に露出した場合に、露出した含浸部材の下面に当接し、且つ前記薄板の移送方向を軸線としてフリーに回転する含浸部材受けローラが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項記載の加工油塗布装置。
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