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JP4813667B2 - 内装カーペット及び内装カーペットの製造方法 - Google Patents

内装カーペット及び内装カーペットの製造方法 Download PDF

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JP4813667B2 JP2001001413A JP2001001413A JP4813667B2 JP 4813667 B2 JP4813667 B2 JP 4813667B2 JP 2001001413 A JP2001001413 A JP 2001001413A JP 2001001413 A JP2001001413 A JP 2001001413A JP 4813667 B2 JP4813667 B2 JP 4813667B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内装カーペット及びその製造方法に関し、特に、騒音の侵入を低減することができ、また、取付工数を削減することができる内装カーペット及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の内装カーペットには、自動車の内装を装飾する目的だけでなく、外部から自動車の車室内へ侵入する騒音を低減する性能を有することが要求されている。従来、例えば、自動車のフロア部に設けられる内装カーペット100は、図3に示すように、カーペットシート101とその裏面に接着されたレジンフェルト102とからなる。そして、この内装カーペット100は、嵩上げ材103上に敷設されており、その嵩上げ材103は、自動車のフロアパネル104に融着されたアスファルトシート105上に載置されている。嵩上げ材103は、自動車の座席から内装カーペット100までの距離であるフロアレベルを調整するためのものであり、軽量な発泡PP(ポリプロピレン)から構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の嵩上げ材103では、自動車の運転時におけるロードノイズ、或いは、足回りから伝わる振動やエンジン振動等などに起因して発生する騒音がフロアパネル104側から車室内に侵入することを低減することができない。その為、天然、化学、鉱物等の繊維成分を解繊し、フェノール樹脂により加熱圧縮成型されたレジンフェルト102を内装カーペット101の裏面側に接着し、車室内へ侵入する騒音の低減を計っている。しかし、レジンフェルト102は、内装カーペット101の製造現場において、このレジンフェルト102を構成する繊維成分が埃状となって散乱するため、作業環境を悪化させてしまうという問題点があり、またフェノール樹脂を使用するため環境問題の観点からも望ましいものではない。更に、上記の内装カーペット101では、自動車への取付工程において嵩上げ材103の装着と内装カーペット101の装着とを別個に行うことが必要であるため、取付工数が増加することに伴い生産性が低下してしまうという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、騒音の侵入を低減することができ、また、取付工数を削減することができる内装カーペット及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載の内装カーペットは、表面に積層される表皮層と、その表皮層の裏面側に融着された熱可塑性重合体からなる裏面層とを備え、高融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低融点繊維材料とを所定の割合で混合した第1綿状体を、前記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することにより成形されるクッション層と、前記低融点繊維材料の前記高融点繊維材料に対する混合割合が前記第1綿状体に比べて大きな第2綿状体を、前記クッション層に成形される前の前記第1綿状体に積層してその第1綿状体とともに前記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することにより成形される硬質層と、前記高融点繊維材料と前記低融点繊維材料との混合割合が前記第1綿状体と同じ割合で構成される第3綿状体を、前記硬質層に成形される前の第2綿状体に積層して、その第2綿状体及び前記クッション層に成形される前の第1綿状体とともに前記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することにより前記硬質層及び前記クッション層と一体に成形される介設層とを有する繊維集積体を備えており、この繊維集積体は、その介設層が前記裏面層における表皮層の反対側に融着され、前記硬質層が前記介設層と前記クッション層との間に設けられている。
【0006】
この請求項1記載の内装カーペットによれば、高融点繊維材料と低融点繊維材料とが所定の割合で混合された第1綿状体は、低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱されるので、低溶融点繊維材料の溶融により、繊維材料が部分的に融着した第1繊維集積体となる。よって、第1繊維集積体は繊維材料が変形するための隙間を繊維材料間に有し、この第1繊維集積体によってクッション層が形成される。また、第1綿状体に比べ低融点繊維材料の混合割合が大きい第2綿状体は、第1繊維集積体に成形される前の第1綿状体に積層されその第1綿状体とともに低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱され、第1繊維集積体と一体に成形されると共に、低融点繊維材料の溶融により繊維材料が部分的に融着した第2繊維集積体となるが、その第2繊維集積体はクッション層に比べ繊維材料間に形成される繊維材料が変形するための隙間が少ない(即ち、繊維材料同士の融着部分が多い)。よって、この第2繊維集積体によって、クッション層よりも剛性が大きい硬質層が形成される。
また、高融点繊維材料と低融点繊維材料との混合割合が第1綿状体と同じ割合で構成される第3綿状体は、第2繊維集積体に成形される前の第2綿状体に積層されその第2綿状体及び第1繊維集積体に成形される前の第1綿状体とともに低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱され、第1繊維集積体及び第2集積体と一体に成形されると共に、低融点繊維材料の溶融により繊維材料が部分的に融着した第3繊維集積体となる。この第3繊維集積体は、第1繊維集積体と同様の性質を有しているが、換言すれば、繊維状態を維持した高融点繊維材料が多い(即ち、介設層表面から突出する繊維状物の本数が多い)。この第3繊維集積体によって、裏面層と硬質層との間に設けられる介設層が形成され、クッション層、硬質層及び介設層を備えた繊維集積体は、その介設層が表皮層の反対側になるように裏面層に融着され、硬質層が介設層とクッション層との間に設けられている。
【0007】
【0008】
【0009】
請求項記載の内装カーペットは、請求項1記載の内装カーペットにおいて、前記第1綿状体及び前記第3綿状体における前記低融点繊維材料の混合割合は、その第1綿状体の全重量に対する20重量%以上40重量%以下であり、前記第2綿状体における前記低融点繊維材料の混合割合は、その第2綿状体の全重量に対する60重量%以上100重量%以下である。
【0010】
請求項記載の内装カーペットは、請求項1又は2に記載の内装カーペットにおいて、前記低融点繊維材料は、前記高融点繊維材料より融点が低い熱可塑性重合体を少なくとも外表面に有するものである。
【0011】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項1又は2に記載の内装カーペットと同様に作用する上、加熱によって、低融点繊維材料の有する熱可塑性重合体が溶融し、繊維同士がその接触点で融着される。
【0012】
請求項記載の内装カーペットは、請求項1からのいずれかに記載の内装カーペットにおいて、前記低融点繊維材料は、その断面中央に設けられる芯部と、その芯部の外表面に周着される鞘部とを備え、その鞘部は前記芯部に比べて融点または軟化点が低い熱可塑性重合体で形成されている。
【0013】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項1からのいずれかに記載の内装カーペットと同様に作用する上、加熱によって、低融点繊維材料の有する熱可塑性重合体が溶融し、繊維同士がその接触点で融着される。
【0014】
請求項記載の内装カーペットは、請求項1からのいずれかに記載の内装カーペットにおいて、前記繊維集積体は、防水性を有する防水フィルムを備えており、この防水フィルムは前記クッション層における前記硬質層の反対側に融着されている。
【0015】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項1からのいずれかに記載の内装カーペットと同様に作用する上、フロアパネル表面に水等が結露した場合には、防水フィルムによって、フロアーパネルからクッション層へ侵入する水等が遮断される。
【0016】
請求項記載の内装カーペットは、請求項記載の内装カーペットにおいて、前記防水フィルムは、ポリエステル系樹脂で形成された第1層と、直鎖低密度ポリエチレンで形成された第2層と、その第2層と第1層との間に設けられその第1及び第2層を接着するエチレン系樹脂で形成された接着層とを備えている。
【0017】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項記載の内装カーペットと同様に作用する上、ポリエステル系樹脂で形成された第1層と直鎖低密度ポリエチレンで形成された第2層とは、エチレン系樹脂によって接着される。かかる接着により、防水シートが形成される。
【0018】
請求項記載の内装カーペットの製造方法は、高融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低融点繊維材料とを所定の割合で混合した第1綿状体及び前記低融点繊維材料の前記高融点繊維材料に対する混合割合が前記第1綿状体に比べて大きな第2綿状体を成形型内へ積層すると共に、前記高融点繊維材料と前記低融点繊維材料との混合割合が前記第1綿状体と同じ割合で構成される第3綿状体を前記第2綿状体における前記第1綿状体の反対側へ積層する積層工程と、その積層工程によって前記第1綿状体及び第2綿状体が積層されると共に第3綿状体が前記第2綿状体における前記第1綿状体の反対側へ積層された成形型を低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱し、前記第1綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより成形されるクッション層と前記第2綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより成形される硬質層と前記第3綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより前記クッション層及び前記硬質層と一体に成形される介設層とを有する繊維集積体を所定の形状に成形する仮成形工程と、その仮成形工程により成形された前記繊維集積体を成形型から取りだし加圧型内へ配置する配置工程と、表皮層と裏面層とが融着されたカーペットシートの裏面層側を加熱する加熱工程と、前記配置工程により加圧型へ配置された前記繊維集積体の介設層に前記加熱工程により加熱されたカーペットシートの裏面層側を向けて載置する載置工程と、その載置工程により前記繊維集積体と前記カーペットシートとが積層された加圧型を加圧して前記繊維集積体と前記カーペットシートとを融着し一体に成形する加圧工程とを備えている。
【0019】
【0020】
請求項記載の内装カーペットの製造方法は、請求項記載の内装カーペットの製造方法において、前記積層工程は、前記第1綿状体前記第2綿状体と第3綿状体とに加え、防水性を有する防水フィルムが前記第1綿状体における前記第2綿状体の反対側に積層されるように前記成形型へ投入するものであり、前記仮成形工程は、その積層工程によって前記防水フィルムが前記第1綿状体における前記第2綿状体の反対側に積層された成形型を低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱し、前記第1綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより成形されるクッション層と、前記第2綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより成形される硬質層と、前記第3綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより前記クッション層及び前記硬質層と一体に成形される介設層と、前記クッション層における前記硬質層の反対側に融着される前記防水フィルムとを有する繊維集積体を所定の形状に成形する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例における内装カーペット1の斜視図であり、理解を容易とするために、各嵩上げ材3a〜3dをカーペットシート2の裏面側から離間させて図示している。
【0022】
内装カーペット1は、乗員の居住空間となる車室内の足下に敷設され、主に、車室内の装飾、車室内へ侵入する騒音の低減、或いは、フロアーレベルの調整等の用途に使用される為のものである。この内装カーペット1は、カーペットシート2と嵩上げ材3とを備えており、自動車のフロアーパネル(図2参照)に対応する形状に一体に成形されている。カーペットシート2は、車室内を装飾するために座席の足下へ敷設されるものであり、運転席の足下に対応して配置される運転席部2aと、助手席の足下に対応して配置される助手席部2bと、後部座席の足下に対応して配置される後部座席部2c,2dとがフラットな平面状に形成されるとともに他の部位と区画して形成されている。
【0023】
このカーペットシート2の裏面側(図1の下側)には、嵩上げ材3が融着されている。嵩上げ材3は、乗員が車室内へ乗車する際に、乗員の足下を支持するとともに、座席(図示せず)からフロア面(カーペットシート2)までのフロアレベルを調節し、乗員が快適な着座姿勢を得られるようにするためのものである。嵩上げ材3は、運転席嵩上げ材3aと、助手席嵩上げ材3bと、後部座席嵩上げ材3c,3dとからなり、これら運転席嵩上げ材3a、助手席嵩上げ材3b、後部座席嵩上げ材3c,3dは、カーペットシート2の運転席部2a、助手席部2b、後部座席部2c,2dの裏面側へそれぞれ融着されている。次に、図2を参照して、これらカーペットシート2及び嵩上げ材3とからなる内装カーペット1の詳細について説明する。
【0024】
図2は、図1のII−II線における部分断面図である。尚、内装カーペット1の断面は、代表例として、カーペットシート2の助手席部2b及び嵩上げ材3の助手席嵩上げ材3bにおける断面を用いて説明するが、他の部位(例えば、カーペットシート2の運転席部2a及び嵩上げ材3の運転席嵩上げ材3a)における断面もその構成は同様である。また、図2は、各構成部材を模式的に図示しているため、その厚さ寸法は実際の寸法とは異なり、特に、防水フィルム9は、実際の厚さ寸法より拡大して図示している。
【0025】
内装カーペット1は、図2に示すように、フロアパネル4に融着されたアスファルトシート5上に載置されており、カーペットシート2と、繊維集積体によって構成される介設層6、硬質層7及びクッション層8と、防水性を有する防水フィルム9とから一体に成形されている。内装カーペット1の表面側(図2の上側)には、カーペットシート2が配置されており、このカーペットシート2の裏面側(図2の下側)には、介設層6が融着されている。介設層6の下方(図2の下側)には、所定厚の硬質層7が積層され、その硬質層7の下方(図2の下側)には、フロアパネル4の凹凸形状に沿った形状に形成されるクッション層8が積層されている。更に、内装カーペット1の底面側(アスファルトシート5側)には、防水フィルム9がクッション層8に積層されている。
【0026】
カーペットシート2は、繊維状体からなる表皮層10と、その表皮層10の裏面側(図2の下側)に融着される裏面層11との2層構造で形成されている。表皮層10は、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニールアルコール等の合成繊維が使用され、本実施例における表皮層10には、ポリエステル繊維を使用している。表皮層10を構成する繊維は、その裏面側に融着された熱可塑性重合体からなる裏面層11により裏打ち補強されている。本実施例における裏面層11には、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)と炭酸カルシウムとからなる熱可塑性重合体を使用している。なお、これに代えて、ポリエチレン等の熱可塑性重合体を用いても良い。
【0027】
介設層6、硬質層7及びクッション層8の原料としては、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニールアルコール等の合成繊維綿が使用される。本実施例の嵩上げ材3a〜3bでは、耐熱性が高く、品質が安定しており、しかも入手が容易なポリエステル繊維を原料としている。しかし、ポリエステル繊維に代えて、他の合成繊維綿を嵩上げ材3a〜3bの原料として使用しても良い。また、2種以上の合成繊維綿を混合して、嵩上げ材3a〜3bの原料としても良い。
【0028】
介設層6、硬質層7及びクッション層8とを構成する繊維集積体は、高融点のポリエステル繊維(以下「高融点繊維」と称す)と低融点のポリエステル繊維(以下「低融点繊維」と称す)とを所定割合で混合し加熱することにより形成される。ここで、高融点、低融点とは、融点が一般的なポリエステル材料よりも絶対的に高い、あるいは、低いことをいうのではなく、高融点繊維と低融点繊維との相対的な融点の差をいう。低融点繊維の融点は、高融点繊維の融点よりも少なくとも20°C以上低いことが好ましく、30°C以上低いことがより好ましい。この融点の温度差が小さくなると、後述する熱処理により繊維集積体を形成するに際して、繊維集積体全体が軟化し繊維集積体としての形状を維持することができないおそれがあるからである。
【0029】
詳細には、高融点繊維はトウ(藤)状のポリエステル繊維(繊維太さ0.75〜65デニール、繊維長35〜80mm)であり、低融点繊維は芯鞘型でトウ状のポリエステル複合繊維(繊維太さ1.5〜6デニール、繊維長10〜55mm)である。芯鞘型構造繊維は、一般的に用いられており、流通性、コストパフォーマンスの面において優れている。なお、ポリエステル複合繊維(低融点繊維材料)の鞘は、重縮合時にイソフタール酸を混合してパイプインパイプ等で製造した低融点共重合ポリエステルである。よって、110〜220°Cで熱処理することにより、かかる鞘部分が溶融して、各繊維をその接触点で融着(接着)するのである。このため、ポリエステル複合繊維の混合の割合を多くすることにより、融着の度合いを高めることができ、剛性の高い繊維集積体を得ることができるのである。物によっては、ポリエステル複合繊維の混合割合を100重量%として、ポリエステル複合繊維のみで繊維集積体を形成することもできる。一方、ポリエステル複合繊維の混合の割合を少なくすることにより、融着の度合いを減少させることができ、クッション性の高い繊維集積体を得ることができる。このように、ポリエステル複合繊維を使用することにより、その混合割合を調整して、繊維集積体の剛性とクッション性とを調整することができるのである。
【0030】
介設層6は、嵩上げ材3a〜3dをカーペットシート2の裏面側へ強固に融着させる為のものであり、後述する硬質層7とカーペットシート2の裏面層11との間に介設されている。この介設層6は、高融点繊維に低融点繊維を全重量の20〜40重量%の割合で混合し加熱することにより形成される繊維集積体からなる。なお、この高融点繊維と低融点繊維との混合割合は、後述するクッション層8と同様の混合割合となっているので、後述するクッション層8に用いる繊維材料を流用することができ、別途、介設層6用に繊維材料を混合する必要がない。この繊維集積体は、低融点繊維の含有割合が全重量の40重量%未満であるので、繊維同士の融着部分が過多となることがない。よって、この繊維集積体は、繊維状の形体を維持した高融点繊維材料を多く有しているので、介設層6表面から突出する繊維状物(即ち、高融点繊維材料)の本数が多い。この介設層6には、後述するように、加熱されたカーペットシート2の裏面層11が当接され、加圧される。この場合、介設層6とカーペットシート2の裏面層11との当接面においては、介設層6の表面から突出する高融点繊維材料がカーペットシート2の裏面層11内へ埋入され、かかる高融点繊維材料の埋入によるアンカー効果により、介設層6がカーペットシート2へ強固に融着される。従って、嵩上げ材3a〜3dをカーペットシート2へ強固に融着することができる。
【0031】
硬質層7は、嵩上げ材3a〜3dの上面側(カーペットシート2側)に配置され、嵩上げ材3a〜3dの剛性を発揮するためのものである。硬質層7は、高融点繊維に低融点繊維を全重量の60〜100重量%の割合で混合し加熱することにより形成される繊維集積体からなる。この繊維集積体は、低融点繊維が全重量の60重量%以上含有されているので、繊維同士の融着の度合いが十分確保されている。そのため、この繊維集積体は、外力を受けた際に繊維集積体の繊維を変形させるための繊維間の隙間が少ないので十分な剛性が得られ、硬質層7に、嵩上げ材としての機械的強度が付与されるのである。なお、硬質層7に配合される高融点繊維と低融点繊維とには、ともに極力細い繊維を用いることが好ましい。細い繊維を用いることにより、繊維集積体中の繊維本数が増加するとともに融着部分(接合点)が増加することにより、繊維集積体は緻密層となり、繊維集積体の剛性を向上させることができるからである。
【0032】
また、このような高い剛性を有する硬質層7を嵩上げ材3a〜3dの上面側(カーペットシート2側)に配置することにより、乗員が車室内へ乗車する際に、乗員が足下に感じるフロアパネル4の凹凸間を除去することができると共に、嵩上げ材3a〜3dの沈み込みによる乗車の際の踏み心地の悪化を防止することができる。
【0033】
また、硬質層7は、上述したように、繊維同士の融着の度合いが十分確保された緻密層を有する繊維集積体により形成されている。よって、騒音が後述するクッション層に十分吸音されず透過した場合にも、この緻密層によって騒音を反射することができるので、フロアパネル4側から車室内へ侵入する騒音を低減することができ、乗員に不快感を与えることを防止することができる。
【0034】
そして、この硬質層7及び後述するクッション層8の厚さ寸法を調整することにより、内装カーペット1の位置を自由に設定することができる。即ち、座席からカーペットシート2までの距離であるフロアレベルを調整することができ、乗員に快適な着座姿勢を提供することができる。
【0035】
クッション層8は、フロアーパネル4の凹凸形状に沿った形状に形成されて嵩上げ材3a〜3dの下面側(フロアーパネル側)に配置されており、外力を吸収するクッション性を有している。クッション層8は、高融点繊維に低融点繊維を全重量の20〜40重量%の割合で混合し加熱することにより形成される繊維集積体からなる。繊維集積体中において低融点繊維は、繊維集積体を構成する繊維を結合させるバインダーとして働く。この低融点繊維の含有量が全重量の20%未満の場合にはバインダーとしての効果が弱くなってしまうが、本実施例におけるクッション層8には、低融点繊維が全重量の20重量%以上含有されているのでバインダーとしての効果が十分発揮され、良好な繊維集積体の保形性を得ることができるのである。
【0036】
更に、この繊維集積体は、低融点繊維の含有割合が全重量の40重量%未満であるので、繊維同士の融着部分が過多となることがない。よって、繊維材料間に適切な隙間を確保できるので、クッション層8は、十分なクッション性を得ることができるのである。
【0037】
また、このようなクッション性を有するクッション層8を嵩上げ材3a〜3dの下面側(フロアーパネル4側)に配置することによって、運転時やアイドリング時のエンジン振動等によって発生するフロアーパネル4の振動を、嵩上げ材3a〜3dのクッション層8により吸収することができるので、乗員が足下に不快な振動を感じることを防止することができる。さらに、クッション層8は、クッション層8に形成された繊維間の隙間、即ち、疎密な空間によって騒音を吸音できるので、フロアーパネル4側から車室内へ侵入する騒音を低減することができ、乗員に不快感を与えることを防止することができるのである。
【0038】
防水フィルム9は、車室内へ侵入する水等を遮断するためのものである。この防水フィルム9は、3層構造で形成されており、ポリエステル系樹脂で形成されクッション層8側に積層されるフィルム層と、直鎖低密度ポリエチレンで形成されフロアーパネル4側に積層されるフィルム層と、これらフィルム層の間に挟着されこれらフィルム層を接着するエチレン系樹脂とから構成されている。なお、防水フィルム9におけるクッション層8側にポリエステル系樹脂で形成されるフィルム層を積層するのは、後述するように、嵩上げ材3a〜3dを製造する際にクッション層8に含有される低融点繊維の鞘を加熱溶融させて、防水フィルム9とクッション層8とを互いに接着(融着)するためである。
【0039】
防水フィルム9におけるフロアーパネル4側に積層される直鎖低密度ポリエチレンは、対油性、耐熱・耐寒性に優れる。よって、潤滑油や駆動グリス等が多く使用され、さらに真夏の渋滞時から真冬の降雪時まで広い温度範囲が想定される環境下にある自動車においても、常に安定した物性を維持することができるのである。
【0040】
このように構成された防水フィルム9を、嵩上げ材3a〜3dのクッション層8とフロアーパネル4との間に配置することにより、フロアーパネル4側から車室内へ侵入する水等を遮断することができる。冬場など寒い季節に車室内が暖房装置等で暖められた場合、車室を外部と区画するフロアーパネル4(或いは、アスファルトシート5)の車室側(図2の上側)表面には、車室内中の水蒸気が凝結して水滴となり付着(結露)する。フロアーパネル4(或いは、アスファルトシート5)表面に水滴が付着すると、その水滴は嵩上げ材3a〜3dを構成する繊維集積体の繊維間に吸引され長期間残留してしまう。よって、防水フィルム9によって水等の侵入を遮断することにより車室内を清潔に保つことができ、また、繊維集積体内に残留した水分によって金属製部材等が錆びてしまうことを防止することができる。
【0041】
以上説明したように、内装カーペット1には、カーペットシート2と嵩上げ材3a〜3dとが一体に形成されているので、これらカーペットシート2と嵩上げ材3a〜3dとを自動車へ取り付ける取付工程において、それぞれ別個に取り付ける必要がない。よって、内装カーペット1の取付工数を削減することができ、生産効率を向上させることができるのである。また、嵩上げ材3a〜3dの融着によりカーペットシート2の形状保持性が向上されるので、カーペットシート2が波打ってしまう等によって内装カーペット1の外観が損なわれることを防止することができるるのである。更に、一体に成形された嵩上げ材3a〜3dにより、車室内に侵入する騒音を低減することができるのである。
【0042】
次に、上述のように構成される内装カーペット1の製造方法について説明する。本実施例の内装カーペット1は、上記したように、カーペットシート2とそのカーペットシート2に融着された4個の嵩上げ材3a〜3dとから一体に成形されており(図1参照)、まず、嵩上げ材3a〜3dを製造する。
【0043】
高融点繊維と低融点繊維とを上述した割合にて混合し、これら混合した繊維を押圧することにより所定厚さを有するシート形状のクッション層用ウェブ(第1綿状体)、硬質層用ウェブ(第2綿状体)及び介設層用ウェブ(第3綿状体)がそれぞれ形成される。そして、積層工程において、防水フィルム9が予め予備加熱された成形型内へセットされ、更に、クッション層用ウェブ、硬質層用ウェブ及び介設層ウェブが成形型内へ順に積層される。
【0044】
これら各材料がセットされた成形型は、仮成形工程へ送られる。仮成形工程では、成形型内へ熱風又はスチームを送り込む。これにより、成形型へセットされた各材料が、90〜220°Cの雰囲気温度で2〜6分程度加熱される。この熱処理により、クッション層用ウェブ、硬質層用ウェブ及び介設層用ウェブに含まれる低融点繊維の鞘が溶融し、繊維同士が互いに融着される。この融着により、クッション層8、硬質層7及び介設層6が形成されるとともに、防水フィルム10がクッション層8へ融着され、更に、クッション層8と硬質層7と、及び、硬質層7と介設層6とが互いに融着される(図2参照)。
【0045】
成形型は、その後、冷却処理により冷却される。冷却処理では、成形型内に冷却用エアが送り込まれ、冷却される。この冷却により溶融した繊維は固められ、嵩上げ材3a〜3dがフロアーパネル4に対応する所定の形状に成形される。上記の各工程により製造された嵩上げ材3a〜3dは、繊維同士がその接触点で互いに融着した繊維集積体により、所定の機械的強度(剛性)およびクッション性を備えるのである。なお、成形型は、嵩上げ材3a〜3dを4個同時に成形できる4個取りの構成、或いは、それ以上の取り個数構成、又は、各嵩上げ材3a〜3d毎に成形する1個取りの構成であっても良い。
【0046】
仮成形工程により成形された嵩上げ材3a〜3dは、配置工程に送られる。配置工程では、成形型から取り出された嵩上げ材3a〜3dが加圧型の所定の位置に配置される。加圧型は、フロアーパネル4に対応した形状に形成されており、その加圧型と同様にフロアーパネル4に対応した形状に形成された嵩上げ材3a〜3dは、加圧型の所定の位置へ配置されることにより、加圧型の表面形状に密着して当接される。
【0047】
カーペットシート2は、フラットなシート状の状態で加熱工程に送られ、表皮層10の裏面側に積層された裏面層11がヒーターによって加熱される。ヒーターは、複数の遠赤外線セラミックヒーターが配設された加熱面を有しており、この加熱面は、シート状の状態のカーペットシート2と略同等の面積に形成されている。カーペットシート2は、その裏面層11側がヒーターの加熱面側に対して所定間隔を隔てて対向するように保持される。これにより、カーペットシート2の裏面層11が約300〜400°Cに加熱されたヒーターの加熱面により35〜60秒程度加熱される。
【0048】
加熱されたカーペットシート2は、載置工程へ送られ、加圧型内に配置された嵩上げ材3a〜3d上へ載置される。その際、カーペットシート2は、嵩上げ材3a〜3dの介設層6に加熱された裏面層11側を向けて載置される。
【0049】
そして、嵩上げ材3a〜3dとカーペットシート2とが積層された加圧型は、型閉めされ、加圧工程により加圧される。この加圧により、カーペットシート2がフロアパネル4に対応する所定の形状に成形されると共に(図2参照)、カーペットシート2の加熱された裏面層11と嵩上げ材3a〜3dの介設層6とが融着される。加圧型は、その型内に埋設された冷却水流路の冷却水により冷却されており、加圧型内のカーペットシート2及び嵩上げ材3a〜3dとが冷却されることにより、カーペットシート2と嵩上げ材3a〜3dとが一体に成形された内装カーペット1が製造される。
【0050】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0051】
例えば、本実施例では、内装カーペット1が自動車に使用される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、この内装カーペット1を他の輸送機関に使用しても良い。例えば、飛行機、電車等の内装カーペットに使用しても良いのである。
【0052】
また、カーペットシート2と嵩上げ材3とは、介設層6を介して融着されていることが接合強度を確保する上で望ましいが、必ずしも介設層6を介して融着されていなくても良い。即ち、介設層6を省略し、カーペットシート2と硬質層7とが融着される構成としても良い。
【0053】
また、本実施例の内装カーペット1は、4個の嵩上げ材3a〜3dを備える構成としたが、嵩上げ材を1個だけ備える、或いは、4個以上の嵩上げ材を備える構成とすることは当然に可能である。例えば、2シーターの自動車の場合には、運転席及び助手席に対応して嵩上げ材を2個備える構成としても良い。
【0054】
また、嵩上げ材3の構成要素(例えば、硬質層とクッション層)は、各構成要素が互いが全面で接合していなくても良い。即ち、例えば、助手席側嵩上げ材3b(図2参照)のクッション層8が、硬質層7の前方部(図2の左側)と後方部(図2の右側)との2箇所に分離して硬質層7へ接合されていても良い。更に、例えば図1に示す後部座席嵩上げ材3cと後部座席嵩上げ材3dとを、硬質層だけにより互いに連結された一体構成としても良い。
【0055】
また、内装カーペット1は、フロアーパネル4側に防水フィルム9が積層される構成としたが、防水フィルム9による積層を省略した構成としても良い。これにより製造コストを防水フィルム1枚分、低減することができる。
【0056】
また、低融点繊維は、その鞘部分が低融点共重合ポリエステルである芯鞘構造繊維として説明したが、低融点共重合ポリエステルが高融点繊維の少なくとも外表面に配置されたものであれば、海島型、菊花型、接合型などの複合繊維とすることは、当然に可能である。
【0057】
【発明の効果】
請求項1記載の内装カーペットによれば、表皮層及び裏面層とからなるカーペットシートには、その裏面層側に繊維集積体が融着されている。よって、これらカーペットシート及び繊維集積体を例えば自動車へ取り付ける取付工程において、カーペットシートと繊維集積体とを別個に取り付ける必要がないので、取付工数を削減することができるという効果がある。更に、繊維集積体がカーペットシートに融着されていることにより、カーペットシートの形状保持性が向上するので、カーペットシートが波打ってしまう等によって外観が損なわれることを防止することができるという効果がある。
【0058】
また、繊維集積体の有するクッション層は、繊維材料が部分的に融着され、繊維材料間に十分な隙間が形成されている。即ち、クッション層に形成された疎密な空間によって、クッション層は騒音を吸音することができる。よって、侵入する騒音を低減することができるという効果がある。
【0059】
また、繊維集積体の有する硬質層は、繊維材料間の隙間が少なく(繊維材料同士の融着部分が多く)形成されているので、高い剛性を有している。よって、人間が内装カーペットを踏み込んだ際に感じるフロアーパネルの凹凸感を除去することができ、さらに、内装カーペットの沈み込みによる踏み込みの際の踏み心地の悪化を防止することができるという効果がある。更に、硬質層は、繊維同士の融着の度合いが十分確保された緻密層により形成されている。即ち、硬質層に形成された緻密層によって、硬質層は騒音を反射することができる。よって、侵入する騒音を低減することができるという効果がある。
【0060】
そして、繊維集積体の厚さ寸法を調整することにより、内装カーペットの位置を自由に設定することができるという効果がある。
【0061】
また、繊維集積体の有する介設層は、繊維状の形体を維持した高融点繊維材料が多い(即ち、介設層表面から突出する繊維状物の本数が多い)。よって、この介設層とカーペットシートの裏面層との融着面においては、裏面層内へ介設層の高融点繊維材料が埋入され、かかる高融点繊維材料の埋入によるアンカー効果により、繊維集積体をカーペットシートへ強固に融着することができるという効果がある。
【0062】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項1記載の内装カーペットの奏する効果に加え、第1綿状体には、低融点繊維材料が20重量%以上含有されているので、クッション層を構成する繊維材料を結合するためのバインダーとしての効果が向上し、良好な保形性を得ることができるという効果がある。更に、低融点繊維材料の含有量が40重量%未満であるので、繊維材料同士の融着部分が過多となることなく、繊維材料間に適切な隙間を確保できるので、十分なクッション性を得ることができるという効果がある。
【0063】
一方、第2綿状体には、低融点繊維材料が60重量%以上含有されているので、繊維材料同士の融着部分が多くなることにより、繊維材料間の隙間が減少するので、十分な剛性を得ることができる。よって、十分な機械的強度を得ることができるという効果がある。
【0064】
また、第3綿状体は、低融点繊維材料の含有量が40重量%未満であるので、繊維材料同士の融着部分が過多となることなく、繊維状態を維持した高融点繊維材料を確保することできるので、カーペットシートの裏面層との融着において十分なアンカー効果を得ることができるという効果がある。さらに、第3綿状体は、低融点繊維材料と高融点繊維材料との混合割合が第1綿状体と同じ割合で構成されているので、介設層を成形するにおいては別途綿状体を準備することなく、第1綿状体を利用することができるという効果がある。
【0065】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項1又は2に記載の内装カーペットの奏する効果に加え、低融点繊維材料だけが溶融する温度に加熱することによって、高融点繊維材料と低融点繊維材料とをその接触点で融着することができる。よって、高融点繊維材料と低融点繊維材料との混合割合を調整することにより、クッション層のクッション性、硬質層の剛性及び介設層から突出する高融点繊維材料の本数等を調整することができるという効果がある。
【0066】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項1からのいずれかに記載の内装カーペットの奏する効果に加え、一般的に使用されている芯鞘構造繊維を使用することができる。よって、繊維集積体を製造するにおいて、流通性、コストパフォーマンスに優れるという効果がある。
【0067】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項1からのいずれかに記載の内装カーペットの奏する効果に加え、クッション層における硬質層の反対側に融着される防水性を有する防水フィルムによって、フロアーパネル表面に結露した水分等がクッション層に吸引されることを防止することができるという効果がある。
【0068】
請求項記載の内装カーペットによれば、請求項記載の内装カーペットの奏する効果に加え、防水フィルムの第2層を形成する直鎖低密度ポリエチレンは、対油性、耐熱・耐寒性に優れる。よって、潤滑油や駆動グリス等が多く使用され、さらに真夏の渋滞時から真冬の降雪時まで広い温度範囲が想定される環境下にある場合においても、常に安定した防水性を維持することができるという効果がある。
【0069】
請求項記載の内装カーペットの製造方法によれば、クッション層及び硬質層と介設層とを備えた繊維集積体が仮成形工程により成形され、この繊維集積体とカーペットシートとを加圧工程により一体に成形することができる。よって、これらカーペットシート及び繊維集積体を例えば自動車へ取り付ける取付工程において、カーペットシートと繊維集積体とを別個に取り付ける必要がないので、取付工数を削減することができるという効果がある。更に、繊維集積体がカーペットシートに融着されていることにより、カーペットシートの形状保持性が向上するので、カーペットシートが波打ってしまう等によって外観が損なわれることを防止することができるという効果がある。
【0070】
また、繊維集積体の有するクッション層は、繊維材料が部分的に融着され、繊維材料間に十分な隙間が形成されている。即ち、クッション層に形成された疎密な空間によって、クッション層は騒音を吸音することができる。よって、侵入する騒音を低減することができるという効果がある。
【0071】
また、繊維集積体の有する硬質層は、繊維材料間の隙間が少なく(繊維材料同士の融着部分が多く)形成されているので、高い剛性を有している。よって、人間が内装カーペットを踏み込んだ際に感じるフロアーパネルの凹凸感を除去することができ、さらに、内装カーペットの沈み込みによる踏み込みの際の踏み心地の悪化を防止することができるという効果がある。更に、硬質層は、繊維同士の融着の度合いが十分確保された緻密層により形成されている。即ち、硬質層に形成された緻密層によって、硬質層は騒音を反射することができる。よって、侵入する騒音を低減することができるという効果がある。
【0072】
そして、積層工程において、第1綿状体及び第2綿状体の積層量を調整することによって、繊維集積体の厚さ寸法を調整することができる。よって、フロアーパネルから内装カーペットまでの距離を、繊維集積体の厚さ寸法を調整することによって、自由に設定することができるという効果がある。
【0073】
また、クッション層及び硬質層と介設層とを備えた繊維集積体を仮成形工程によって一体に成形することができる。この繊維集積体が備える介設層は、繊維状の形体を維持した高融点繊維材料が多い(即ち、介設層表面から突出する繊維状物の本数が多い)。よって、加圧工程において、この介設層とカーペットシートの裏面層とが融着される融着面では、裏面層内へ介設層の高融点繊維材料が埋入され、かかる高融点繊維材料の埋入によるアンカー効果により、繊維集積体をカーペットシートへ強固に融着することができるという効果がある。
【0074】
請求項記載の内装カーペットの製造方法によれば、請求項記載の内装カーペットの製造方法の奏する効果に加え、硬質層とクッション層、及び、そのクッション層における硬質層の反対側に融着された防水フィルムとを少なくとも備えた繊維集積体を仮成形工程によって一体に成形することができる。この繊維集積体が備える防水フィルムは、防水性を有している。よって、フロアーパネル表面に結露した水等がクッション層に吸引されることを防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である内装カーペットの斜視図である。
【図2】 図1のII−II線における部分断面図である。
【図3】 従来の内装カーペット及び嵩上げ材の部分断面図である。
【符号の説明】
1 内装カーペット
3 嵩上げ材(繊維集積体)
6 介設層
7 硬質層
8 クッション層
9 防水フィルム
10 表皮層
11 裏面層

Claims (8)

  1. 表面に積層される表皮層と、その表皮層の裏面側に融着された熱可塑性重合体からなる裏面層とを備えた内装カーペットにおいて、
    高融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低融点繊維材料とを所定の割合で混合した第1綿状体を、前記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することにより成形されるクッション層と、前記低融点繊維材料の前記高融点繊維材料に対する混合割合が前記第1綿状体に比べて大きな第2綿状体を、前記クッション層に成形される前の前記第1綿状体に積層してその第1綿状体とともに前記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することにより成形される硬質層と、前記高融点繊維材料と前記低融点繊維材料との混合割合が前記第1綿状体と同じ割合で構成される第3綿状体を、前記硬質層に成形される前の第2綿状体に積層して、その第2綿状体及び前記クッション層に成形される前の第1綿状体とともに前記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することにより前記硬質層及び前記クッション層と一体に成形される介設層とを有する繊維集積体を備えており、
    この繊維集積体は、その介設層が前記裏面層における表皮層の反対側に融着され、前記硬質層が前記介設層と前記クッション層との間に設けられていることを特徴とする内装カーペット。
  2. 前記第1綿状体及び前記第3綿状体における前記低融点繊維材料の混合割合は、その第1綿状体の全重量に対する20重量%以上40重量%以下であり、前記第2綿状体における前記低融点繊維材料の混合割合は、その第2綿状体の全重量に対する60重量%以上100重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の内装カーペット。
  3. 前記低融点繊維材料は、前記高融点繊維材料より融点が低い熱可塑性重合体を少なくとも外表面に有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の内装カーペット。
  4. 前記低融点繊維材料は、その断面中央に設けられる芯部と、その芯部の外表面に周着される鞘部とを備え、その鞘部は前記芯部に比べて融点または軟化点が低い熱可塑性重合体で形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の内装カーペット。
  5. 前記繊維集積体は、防水性を有する防水フィルムを備えており、この防水フィルムは前記クッション層における前記硬質層の反対側に融着されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の内装カーペット。
  6. 前記防水フィルムは、ポリエステル系樹脂で形成された第1層と、直鎖低密度ポリエチレンで形成された第2層と、その第2層と第1層との間に設けられその第1及び第2層を接着するエチレン系樹脂で形成された接着層とを備えていることを特徴とする請求項載の内装カーペット。
  7. 高融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低融点繊維材料とを所定の割合で混合した第1綿状体及び前記低融点繊維材料の前記高融点繊維材料に対する混合割合が前記第1綿状体に比べて大きな第2綿状体を成形型内へ積層すると共に、前記高融点繊維材料と前記低融点繊維材料との混合割合が前記第1綿状体と同じ割合で構成される第3綿状体を前記第2綿状体における前記第1綿状体の反対側へ積層する積層工程と、
    その積層工程によって前記第1綿状体及び第2綿状体が積層されると共に第3綿状体が前記第2綿状体における前記第1綿状体の反対側へ積層された成形型を低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱し、前記第1綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより成形されるクッション層と前記第2綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより成形される硬質層と前記第3綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより前記クッション層及び前記硬質層と一体に成形される介設層とを有する繊維集積体を所定の形状に成形する仮成形工程と、
    その仮成形工程により成形された前記繊維集積体を成形型から取りだし加圧型内へ配置する配置工程と、
    表皮層と裏面層とが融着されたカーペットシートの裏面層側を加熱する加熱工程と、
    前記配置工程により加圧型へ配置された前記繊維集積体の介設層に前記加熱工程により加熱されたカーペットシートの裏面層側を向けて載置する載置工程と、
    その載置工程により前記繊維集積体と前記カーペットシートとが積層された加圧型を加圧して前記繊維集積体と前記カーペットシートとを融着し一体に成形する加圧工程とを備えていることを特徴とする内装カーペットの製造方法。
  8. 前記積層工程は、前記第1綿状体前記第2綿状体と第3綿状体とに加え、防水性を有する防水フィルムが前記第1綿状体における前記第2綿状体の反対側に積層されるように前記成形型へ投入するものであり、
    前記仮成形工程は、その積層工程によって前記防水フィルムが前記第1綿状体における前記第2綿状体の反対側に積層された成形型を低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱し、前記第1綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより成形されるクッション層と、前記第2綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより成形される硬質層と、前記第3綿状体の低融点繊維材料が溶融することにより前記クッション層及び前記硬質層と一体に成形される介設層と、前記クッション層における前記硬質層の反対側に融着される前記防水フィルムとを有する繊維集積体を所定の形状に成形することを特徴とする請求項記載の内装カーペットの製造方法。
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