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JP4871008B2 - 光ファイバケーブル - Google Patents

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本発明は、光通信網の幹線ケーブルなどとして使用される、経済性および中間後分岐性に優れた光ファイバケーブルに関する。
近年、インターネットなどが急速に普及する中、低損失で広帯域の光ファイバを用いた光通信網の構築が進められており、それに伴い、ケーブル中間部で外被を取り除き、光ファイバを取出して、所望の光ファイバを接続することができる、いわゆる中間後分岐対応の光ファイバケーブルのニーズが高まっている。
このような中間後分岐性を備えた光ファイバケーブルとしては、従来より、図4に示すような、スロットロッド1の外周に複数の溝(スロット)2を設け、これらの各溝2に光ファイバテープ心線3を複数枚積層して収納し、その外周に押えテープ4を巻き付け、さらにその上に外被5を設けたスロット型光ファイバケーブルが知られている。図4中、6および7は、それぞれ抗張力体および引き裂き紐を示している。
また、最近では、図5に示すような、光ファイバテープ心線3を複数枚積層し、その周囲に緩衝層8を設け、さらにその外側にポリエチレンなどのプラスチックの押出しにより外被9を施したものが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。このケーブルは、スロットを持たないことから、一般にスロットレス型光ファイバケーブルと称されており、スロット型光ファイバケーブルに比べ、構造が簡単で製造も容易であるため経済化を図ることができるという特徴を有している。図5中、61および71は、外被9内に埋め込まれた抗張力体および引き裂き紐を示している。
しかしながら、このスロットレス型光ファイバケーブルでは、前記スロット型光ファイバケーブルに比べ、心線の識別性に乏しいため、多心化が難しいとい問題があった。すなわち、図4に示すようなスロット型光ファイバケーブルでは、例えばスロットロッド1にトレーサマーク1aを付すことによりスロット相互の識別が可能となるため、光ファイバテープ心線3は各スロット毎に識別できればよく、したがって、多心化しても光ファイバテープ心線3の識別は容易である。これに対し、スロットレス型光ファイバケーブルでは、光ファイバテープ心線1のみで識別できるようにしなければならず、多心化には限度がある。ちなみに、従来は、光ファイバテープ心線3内の光ファイバ心線の色配列により識別している。
また、多心化した場合、スロットレス型光ファイバケーブルでは、多くの光ファイバテープ心線3がケーブルの中心にまとまって配置されるため、中心部に近い光ファイバテープ心線3は取出しにくいという問題があった。
特開2001−42182号公報
上述したように、いわゆるスロットレス型光ファイバケーブルは、スロット型光ファイバケーブルに比べ、構造が簡単で製造が容易であるため経済化を図ることができるという特徴を有するものの、心線の識別性や取出し性に乏しいため多心化が難しいとい問題があった。
本発明はこのような従来技術の課題に要望に応えるためになされたもので、経済性および中間後分岐性に優れ、しかも、心線の識別性、取出し性が良好で、容易に多心化を図ることができる光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
発明の光ファイバケーブルは、中心から放射方向に同幅で延在する4つの隔壁を有する断面十字状の介在と、前記介在の隔壁によって形成された4つの各区画に収納された光ファイバテープ心線と、前記介在および光ファイバテープ心線を一括被覆する外被とを具備するスロットレス型光ファイバケーブルであって、前記隔壁は、幅が0.5mm〜5.0mm、高さが2.0mm〜10.0mmであり、前記介在の各区画には、4心または8心の光ファイバテープ心線が複数、幅方向が各区画の一方の隔壁に平行で、隣接する区画内の光ファイバテープ心線の積層方向が互いに直交するように積層されて収納されていることを特徴とするものである。
本発明の光ファイバケーブルによれば、中心から放射方向に延在する隔壁を有する介在の隔壁間に光ファイバテープを収納するようにしたので、多心化した際の心線の識別や取出しが容易となる。しかも、製造が容易であるため、従来のスロットレス型光ファイバケーブルと同等の経済性を有する。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の光ファイバケーブル100の一実施形態を示す横断面図である。
図1において、11は、中心から放射方向に延在する隔壁11aが4本周方向にほぼ等間隔で形成された、断面形状がほぼ十字状の、例えば高密度ポリエチレンなどの合成樹脂またはアルミなどの金属からなる介在を示している。すなわち、この介在11は、隔壁11aによりほぼ均等な断面積を有する4つの区画Dを形成するものである。この介在11の各隔壁11a間、すなわち、各区画Dには、複数本(図面の例では、4本)の光ファイバ心線12aを並列させ、その外周に一括被覆を施した光ファイバテープ心線12が複数枚(図面の例では、6枚または7枚)積層されて収納されている。これらの各区画D内に積層された光ファイバテープ心線12は、光ファイバテープ心線12内の光ファイバ心線12aの色配列などの周知の方法で、互いに識別可能とされている。また、これらの外周にはポリエチレンやポリ塩化ビニルなどの合成樹脂からなる外被13が一括被覆されている。
さらに、外被13内には、2本の鋼線あるいはFRP(繊維強化プラスチック)などからなる抗張力体14、14がケーブルの中心に対し互いに対称の位置になるように縦添えして埋め込まれ、また、これらの各抗張力体14からそれぞれ周方向にほぼ90°回転した位置に、それぞれ1本ずつ、計2本のポリエステルなどからなる引き裂き紐15、15が縦添えして埋め込まれている。すなわち、これらの2本の引き裂き紐15、15も、2本の抗張力体14、14と同様、ケーブルの中心に対し互いに対称の位置に埋め込まれている。そして、さらに、引き裂き紐15、15が埋め込まれている外被13の外周には凸部13a、13aが設けられており、これにより外部から引き裂き紐15、15の埋め込み位置がわかるようになっている。
このように構成される光ファイバケーブル100から、中間後分岐の際に光ファイバテープ心線12を取出す際には、外被13に設けられている凸部13a、13aを目安に外被13にカッターなどを用いて切り込みを入れて引き裂き紐15を取出し、これらの引き裂き紐15を外側に引っ張って外被13を引き裂くことにより、外被13が除去され、光ファイバテープ心線12が取出される。
本実施形態の光ファイバケーブル100においては、光ファイバテープ心線12が介在11の隔壁11aにより分画されて収納されており、1つの区画Dに収納されている光ファイバテープ心線12の数は少ないため、容易に取出すことができる。また、例えば、隔壁11aにトレーサマークを付したり着色した場合に、光ファイバテープ心線12は区画D毎に識別できればよく、1つの区画Dに収納されている光ファイバテープ心線12の数は少ないため、光ファイバテープ心線12の識別性も良好である。
さらに、この光ファイバケーブル100は、簡単な製造工程、すなわち、予め製造しておいた介在11と、所要枚数の光ファイバテープ心線12と、抗張力体14と、引き裂き紐15とを、押出し機に、介在11の各隔壁11a間に光ファイバテープ心線12を挿入しつつ、かつ、それらの周囲に抗張力体14と引き裂き紐15を沿わせた状態で導入し、外被13を形成する樹脂材料をパイプ状に、抗張力体14と引き裂き紐15が樹脂と一体化するように押出被覆することにより製造することができる。しかも、介在11は、スロット型光ファイバケーブルのスロットロッドのように高い精度が要求されることはないため、汎用の押出し機で容易に製造することができる。したがって、経済的に製造することができる。
なお、本発明において、介在11は、隔壁11aにより複数の区画を形成するものであればよく、したがって、隔壁11aの数や形状などは特に上記の例に限定されるものではなく、また、隔壁11aの幅tや高さhも特に限定されるものではない。しかしながら、光ファイバテープ心線12の取出し性、製造の容易さ、耐側圧特性などの観点からは、介在11は、3本〜8本程度の隔壁11aが周方向にほぼ等しい間隔で形成されているものが好ましく、上記のような断面十字状のものが特に好ましい。また、隔壁11aの幅tは、通常、0.5mm〜5.0mm程度であり、高さhは、2.0mm〜10.0mm程度である。
また、介在11は、長さ方向にストレートであっても、一方向に捻回されていてもよく、あるいは左右交互に捻回されていてもよい。しかしながら、光ファイバケーブルが振動した際の光ファイバテープ心線12の移動を防止する観点、および、ケーブルを曲げた場合の伝送特性の安定性からは、一方向または左右交互に捻回されていることが好ましい。捻回ピッチは、一方向の捻回の場合、400mm〜600mmとすることが好ましく、400mm未満では、製造作業性が低下し、600mmを超えると、心線移動抑制効果およびケーブルを曲げた場合の伝送特性の安定性が低下する。また、左右交互に捻回される場合、ピッチを150mm〜250mmとすることが好ましい。ピッチが150mm未満では、製造作業性が低下し、250mmを超えると、心線移動抑制効果およびケーブルを曲げた場合の伝送特性の安定性が低下する。
本発明においては、介在11の各隔壁11a間内に収納した光ファイバテープ心線12を、ケーブルを曲げた際の側圧から保護する目的で、図2に示すように、光ファイバテープ心線12の周囲に緩衝材16を充填するようにしてもよい。緩衝材16としては、例えばアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル系繊維、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)などの単繊維からなるヤーンやポリプロピレンのスプリットヤーンなどが使用される。また、ジェリーなども使用可能である。これらのなかでも、側圧に対する緩衝効果や充填の容易さなどの観点からは、ヤーンの使用が好ましく、特に、ポリプロピレンのスプリットヤーンが好ましい。このような緩衝材16は、ケーブル振動時の光ファイバテープ心線12の移動を防止する効果も併せ有する。緩衝材16としてヤーンを用いる場合、その充填方法は、縦添えおよび撚り込みのいずれであってもよいが、通常、図2に示すように、積層した光ファイバテープ心線12の外側、外被の内周面側に縦添えにより充填する方法が用いられる。
本発明においては、また、図3に示すように、上記実施形態の光ファイバケーブル100の外被13にケーブル支持線17を取り付けた構造としてもよく、また、図示は省略したが、ケーブル支持線の外周に上記実施形態の光ファイバケーブル100をらせん状に巻き付けた構造としてもよい。図3において、18は、ケーブル支持線17の外周に設けられた被覆部、19は、光ファイバケーブル100の外被13とケーブル支持線17の被覆部18とを結合する首部である。
これらの支持線付き光ファイバケーブルにおいても、前述した実施形態の光ファイバケーブル100と同様、光ファイバテープ心線12が介在11の隔壁11aにより分画されて収納されており、1つの区画Dに収納されている光ファイバテープ心線12の数は少ないため、容易に取出すことができる。また、例えば、隔壁11aにトレーサマークを付したり着色した場合に、光ファイバテープ心線12は区画D毎に識別できればよく、1つの区画Dに収納されている光ファイバテープ心線12の数は少ないため、光ファイバテープ心線12の識別性も良好である。さらに、製造は容易であり、経済的に製造することができる。
次に、本発明の実施例を具体的に記載するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜3
介在として、高密度ポリエチレンからなる隔壁の高さhが3.0mm、同幅tが1.0mmの断面十字状の介在を3本用意し、1本はストレートのまま、他の1本は一方向捻回(捻回ピッチ500mm)、残る1本は左右交互捻回(捻回ピッチ200mm)した。これらの3種の介在を用い、図1に示すような光ファイバケーブルを製造した。
すなわち、断面十字状の介在11の隔壁11aによって形成された4つの区画Dのうち、1つの区画Dに光ファイバテープ心線12を7枚、他の3つの区画Dにそれぞれ光ファイバテープ心線12を6枚ずつ収納するとともに、これらの周囲に2本の抗張力体14と2本の引き裂き紐15を沿わせた状態で、外被13用樹脂として、低密度ポリエチレンを押出被覆して、外径約10mm、外被厚さ約1.5mmの光ファイバケーブルを製造した。なお、光ファイバテープ心線12には、幅1.1mm、厚さ0.3mmの4心光ファイバテープ心線を用い、抗張力体14には、直径0.7mmの亜鉛めっき鋼線を用い、引き裂き紐15には、1000デニール3本撚りのポリエステル紐を用いた。
実施例4〜6
図2に示すように、介在11の4つの区画Dに、緩衝材16として5000デニールのポリプロピレンのスプリットヤーンを1本、光ファイバテープ心線12に縦添えして挿入するようにした以外は実施例1〜3と同様にして、光ファイバケーブルを製造した。
実施例7〜9
介在11として、ストレート、一方向捻回(捻回ピッチ500mm)、左右交互捻回(捻回ピッチ200mm)の3種の高密度ポリエチレンからなる隔壁の高さhが4.0mm、同幅tが1.0mmの断面十字状の介在を用い、また、光ファイバテープ心線12として、幅2.1mm、厚さ0.3mmの8心光ファイバテープ心線を用いるとともに、8心光ファイバテープ心線を介在11の4つの区画Dにそれぞれ10枚ずつ積層し収納するようにした以外は実施例1〜3と同様にして、外径約12mm、外被厚さ約1.5mmの光ファイバケーブルを製造した。
上記各実施例で得られた光ファイバケーブルの製造直後の伝送損失(λ=1.55μm)を測定した。また、中間後分岐時の光ファイバテープ心線の取出し性を評価するとともに、光ファイバテープ心線取出し時の損失変動(λ=1.55μm)を測定した。これらの結果を表1に示す。
なお、表1には、本発明との比較のために、図5に示したような従来タイプの光ファイバケーブルについて同様に試験した結果を比較例として併せ示す。この比較例の光ファイバケーブルは、実施例で用いたものと同様の4心光ファイバテープ心線を25枚整列集合し、その周囲に5000デニールのポリプロピレンのスプリットヤーンを6本縦添えし、さらにその周囲に、直径0.7mmの鋼線からなる2本の抗張力体と、1000デニール3本撚りのポリエステル紐からなる2本の引き裂き紐を沿わせた状態で、外被用樹脂として、低密度ポリエチレンを押出被覆して製造された外径約15mm、外被厚さ約1.5mmの光ファイバケーブルである。
Figure 0004871008
表1からも明らかなように、本発明に係る光ファイバケーブルは、中間後分岐時の光ファイバテープ心線の取出し性および心線の識別性が良好で、かつ、心線取出し時の損失変動も認められなかった。一方、比較例の光ファイバケーブルは、本発明に係る光ファイバケーブルと比べて、光ファイバテープ心線の取出し性および心線の識別性が不良で、また、心線取出し時の損失変動も認められた。
本発明の光ファイバケーブルの一実施形態を示す断面図である。 本発明の光ファイバケーブルの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の光ファイバケーブルのさらに他の実施形態を示す断面図である。 従来の光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。 従来の光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
符号の説明
11…介在、11a…隔壁、12…光ファイバテープ心線、13…外被、14…抗張力体、15…引き裂き紐、16…緩衝材、100…光ファイバケーブル

Claims (5)

  1. 中心から放射方向に同幅で延在する4つの隔壁を有する断面十字状の介在と、前記介在の隔壁によって形成された4つの各区画に収納された光ファイバテープ心線と、前記介在および光ファイバテープ心線を一括被覆する外被とを具備するスロットレス型光ファイバケーブルであって、
    前記隔壁は、幅が0.5mm〜5.0mm、高さが2.0mm〜10.0mmであり、前記介在の各区画には、4心または8心の光ファイバテープ心線が複数、幅方向が各区画の一方の隔壁に平行で、隣接する区画内の光ファイバテープ心線の積層方向が互いに直交するように積層されて収納されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 介在の各区画に光ファイバテープ心線とともに緩衝材が収納されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブル。
  3. 介在は、所定のピッチで捻回されていることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバケーブル。
  4. 介在は、400mm〜600mmピッチで一方向に捻回されていることを特徴とする請求項3記載の光ファイバケーブル。
  5. 介在は、150mm〜250mmピッチで左右交互に捻回されていることを特徴とする請求項3記載の光ファイバケーブル。
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