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JP6459833B2 - 光ファイバケーブル - Google Patents

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本発明は、光ファイバケーブルに関し、詳細には、複数枚の光ファイバテープ心線を収納する複数条の溝が形成されたスロットロッドを備えた光ファイバケーブルに関する。
光ファイバケーブルには、複数条の溝が形成されたスロットロッド(スペーサともいう)を備えたタイプが流通している。各溝には、複数本の光ファイバ心線を並列に配置した光ファイバテープ心線(以下、テープ心線と称する。)などを収納することができる。スロットロッドの中心にはテンションメンバが埋設されるのに対し、スロットロッドの外側は例えば押さえ巻きテープで巻かれ、さらにケーブル外被(シースともいう)で覆われる。
収納されたテープ心線が溝の側壁から圧力を受けると、マイクロベンドロスやマクロベンドロスが生じて光ファイバ心線の伝送特性が悪化する。これを避けるため、例えば、特許文献1には、テープ心線を溝内で自由に回転させる技術が開示されている。
特開2014−211511号公報
ところで、光ファイバケーブルが円弧状に曲げられると、テンションメンバが曲げ中心になり、テンションメンバよりも外側には引張応力が、内側には圧縮応力がそれぞれ生じ、この内側に位置したテープ心線には圧縮歪みが生ずる。このテープ心線が圧縮歪みをキャンセルするようにケーブル長手方向に移動可能であれば僅かな伝送損失で済む。
しかしながら、テープ心線を溝に高密度で実装した場合、テープ心線のケーブル長手方向の移動が困難になり、圧縮歪みに耐えきれなくなった箇所が溝の外側に飛び出してしまい、その部分にマクロベンドロスが発生する場合がある。そのため、テープ心線をスロットロッドの溝に高密度で実装してもマクロベンドロスの発生を抑制することが望まれる。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、テープ心線を溝に高密度で実装しても、マクロベンドロスの発生を抑えることができる光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光ファイバケーブルは、複数本の光ファイバ心線を並列に配置したテープ心線が複数集められた光ユニットと、複数の該光ユニットを収納する溝複数条有したスロットロッドと、張力が負荷されるテンションメンバと、前記スロットロッドの外側を被覆するケーブル外被とを備えた光ファイバケーブルであって、前記光ユニットは前記複数条ののそれぞれに複数収納する前に各々が予め撚られた状態で断面丸型形状にまとめられて前記溝に収納されると共に、前記溝の断面積に対する前記光ユニットの断面積から計算される該光ユニットの占有率が、25%以上60%以下であり、前記光ユニットの撚りピッチが前記溝の撚りピッチよりも短くされている。
上記によれば、テープ心線を溝に高密度で実装してもマクロベンドロスの発生を抑制できる。
本発明の第1実施形態による光ファイバケーブルの一例を示す図である。 光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。 間欠テープ心線の構造の一例を示す図である。 光ファイバケーブルを円弧状に曲げた状態を説明するための図である。 他の実施形態によるスロットロッドを説明するための図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一態様に係る光ファイバケーブルは、(1)複数本の光ファイバ心線を並列に配置したテープ心線が複数集められた光ユニットと、複数の該光ユニットを収納する溝複数条有したスロットロッドと、張力が負荷されるテンションメンバと、前記スロットロッドの外側を被覆するケーブル外被とを備えた光ファイバケーブルであって、前記光ユニットは前記複数条ののそれぞれに複数収納する前に各々が予め撚られた状態で断面丸型形状にまとめられて前記溝に収納されると共に、前記溝の断面積に対する前記光ユニットの断面積から計算される該光ユニットの占有率が、25%以上60%以下であり、前記光ユニットの撚りピッチが前記溝の撚りピッチよりも短くされている。予め撚られた光ユニットをスロットロッドの溝に収納することにより、テープ心線を溝に高密度で実装してもマクロベンドロスの発生を抑制できる。詳しくは、光ユニットが撚られた状態で、占有率を60%以下にすれば、ケーブルが円弧状に曲げられても圧縮歪みが一部の光ファイバ心線に集中することなく分散するため、マクロベンドロスの発生を抑制でき、ケーブル曲げ特性を改善できる。また、撚られた光ユニットでの占有率を25%以上にすれば、高密度化が図れる。これらの結果、テープ心線を溝に高密度で実装しても、光ファイバ心線の伝送損失を小さく抑えることができる。また、光ユニットの撚りピッチを溝の撚りピッチと同等あるいは長くした場合に比べて、圧縮歪みが分散するため、ケーブル曲げ特性を容易に改善することができる。
(2)前記テープ心線は、隣り合う前記光ファイバ心線間の長手方向に連結部と非連結部が間欠的に形成されている。光ユニットを間欠テープ心線で構成すれば、一般的なテープ心線に比べて間欠テープ心線は柔軟性を有するため、占有率を上げることができる。(3)前記溝が、短周期のSZ軌跡と該短周期よりも長周期のSZ軌跡とを組み合わせて構成されている。ケーブルは、巻き崩れなどを防止するために、比較的高い張力で巻き取りドラム(図示省略)の胴部に巻き付けられ、上層のケーブルにかかる張力は、下層のケーブルの側圧になる。そこで、溝をSZ on SZの複合型に構成すれば、周期がランダム(一定ではない)になるため、ドラム巻き時にテープ心線に生ずる側圧のランダム化ができ、この点も側圧特性の改善に寄与する。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら、本発明による光ファイバケーブルの好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による光ファイバケーブルの一例を示す図、図2は、光ファイバケーブルの一例を示す断面図であり、図3は、間欠テープ心線の構造の一例を示す図である。
図1,2に示した光ファイバケーブル1は、SZ撚テープスロット型ケーブルであり、光ユニット17と、スロットロッド20と、例えばスロットロッド20の周囲に縦添えまたは横巻きで巻かれた押さえ巻きテープ30と、押さえ巻きテープ30の外側を被覆するケーブル外被31とを備えている。なお、図1は中間分岐した際の模式図であり、図2に示したケーブル外被31や押さえ巻きテープ30が部分的に除去され、スロットロッド20や、このスロットロッド20から垂れ下がった光ユニット17が見えている。また、スロット溝22の撚りピッチPは、反転部分、S撚り部分、反転部分、Z撚り部分、反転部分で構成されている。
図2に示すように、スロットロッド20は、その中心部にテンションメンバ21が埋設されている。テンションメンバ21は、引張り及び圧縮に対する耐力を有する線材、例えば、鋼線やFRP(Fiber Reinforced Plastics)などが用いられている。
また、スロットロッド20の外周面には、ケーブル長手方向に沿ってSZ状のスロット溝22が複数条(例えば5つ)形成されている。なお、スロット溝22が本発明の溝に相当する。
光ユニット17は、例えば12心の間欠テープ心線10を6枚積層して72心とし、さらに一方向の螺旋状に撚られ、識別用のバンドル材(図示省略)で束ねられている。なお、光ユニットは、一方向の螺旋状に撚られた構造の他、例えば周期的に反転する螺旋状のようなSZ状に撚り集めてもよい。
間欠テープ心線とは、複数本の光ファイバ心線が平行一列に配列され、隣り合う光ファイバ心線同士を連結部と非連結部により間欠的に連結してなるものである。具体的には、図3(A)は間欠テープ心線を配列方向に開いた状態を、図3(B)は図3(A)のB−B線矢視断面図をそれぞれ示しており、図示の間欠テープ心線10は、12心のテープ心線が2心毎に間欠的に接続されて構成されている。
図3(B)に示すように、各光ファイバ心線11の周囲には、紫外線硬化樹脂等によるテープ被覆14が設けられ、例えば2心を一体化した心線同士が連結部12と非連結部13により間欠的に連結されている。連結部12では、隣り合うテープ被覆14が連なり、非連結部13では、隣り合うテープ被覆14が連結されずに分離されている。
この間欠テープ心線に収容される光ファイバ心線は、標準外径125μmのガラスファイバに被覆外径250μm前後の被覆を施した光ファイバ素線と称されるものの外側に、さらに着色被覆を施したものであり、光ファイバ心線の収容数は任意である。なお、間欠テープ心線は、2心毎に連結部と非連結部を設けなくてもよく、例えば1心毎に連結部と非連結部で間欠的に連結してもよい。
図2で説明した各スロット溝22には、例えば一方向の螺旋状に予め撚られた状態の光ユニット17(72心)が例えば4束ずつ収納されており、5つのスロット溝22を備えた光ファイバケーブル1は1440心のケーブルを構成している。なお、光ユニットの撚り集めとスロットへの収納は同一工程で実施可能である。
スロットロッド20は、光ユニット17が飛び出さないように押さえ巻きテープ30で巻かれ、例えば丸型にまとめられている。
押さえ巻きテープ30は、例えば、不織布をテープ状に形成したものや、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材と不織布とを貼り合わせたもの等が用いられる。なお、押さえ巻きテープに吸水剤(例えば吸水パウダ)を付与してもよい。押さえ巻きテープを吸水層として機能させれば、間欠テープ心線などへの止水が可能になる。
押さえ巻きテープ30の外側は、例えばPE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)等で構成されたケーブル外被31で覆われ、例えば丸型に形成されている。
図4は、光ファイバケーブルを円弧状に曲げた状態を説明するための図である。
光ファイバケーブルを円弧状に曲げた場合、テンションメンバが曲げ中心になり、このテンションメンバよりも外側には引張応力が、内側には図4に矢印で示すような圧縮応力がそれぞれ生じ、この内側に位置したテープ心線には圧縮歪みが生ずる。このテープ心線が圧縮歪みをキャンセルするようにケーブル長手方向に移動可能であれば僅かな伝送損失で済む。
しかしながら、テープ心線をスロット溝に高密度で実装した場合、テープ心線のケーブル長手方向の移動が困難になり、圧縮歪みに耐えきれなくなった箇所がスロット溝の外側に飛び出してしまい、その部分にマクロベンドロスが発生する場合がある。
そこで、本実施形態では、図2で説明した例えば一方向の螺旋状に予め撚られた光ユニット17をスロット溝22に収納することで、テープ心線をスロット溝に高密度で実装してもマクロベンドロスの発生が抑制されるようにしている。
より詳しくは、図2で説明したスロット溝22の断面積に対する光ユニット17の断面積から計算される占有率(つまり、テープ心線総断面積/スロット溝断面積)を25%以上60%以下としている。なお、テープ心線総断面積には、図3で説明したテープ被覆14やテープ15の断面積も含まれる。また、光ユニット17の本数が増えるに連れて断面積も大きくなる。
そして、光ユニット17の撚りピッチを500mmに、スロット溝22の撚りピッチPを700mmにそれぞれ設定すると共に、占有率50%に設定し、光ファイバケーブル1にφ500mmの円弧状になるように曲げて伝送損失を測定した。
従来の光ファイバケーブル(撚らないテープ心線をスロット溝に収納したもの)を円弧状に曲げた場合、伝送損失(波長1550nm)が1dB/km以上になったのに対し、本実施形態の光ファイバケーブル1(撚った光ユニット17をスロット溝22に収納したもの)を円弧状に曲げた場合には、伝送損失が0.1dB/km以下になった。
また、上記占有率を変更して実験すると、撚った光ユニットで占有率が60%を超えた場合には伝送損失を抑制できなかった。これは、圧縮歪みに耐えきれなくなった箇所が外側に飛び出してマクロベンドロスが増加したためと考えられる。よって、占有率を60%以下にすれば、テープ心線をスロット溝に高密度で実装してもケーブル曲げ特性を改善できることが分かる。
一方、撚った光ユニットでの占有率が25%に満たない場合は、高密度化を図ることができない。
また、光ユニットを撚り集めることにより、一般的なテープ心線を用いても上記占有率を実現できるが、間欠テープ心線で構成すれば柔軟性を有するため、より容易に高密度化を図ることができる。
さらに、光ユニットの撚りピッチをスロット溝の撚りピッチよりも短くすれば、スロット溝の撚りピッチと同等あるいは長くした場合に比べて、より圧縮歪みが分散しやすくなるため、ケーブル曲げ特性の改善が、より容易になる。
図5は、他の実施形態によるスロットロッドを説明するための図である。
上記実施形態では、スロット溝を1種類の撚りピッチで構成したが、短周期の例えば正弦曲線からなるSZ軌跡と、この短周期よりも長周期の例えば正弦曲線からなるSZ軌跡とを組み合わせて構成してもよい(複合SZ型;SZ on SZともいう)。
具体的には、図5では、短周期のピッチPを700mmに設定し、長周期のピッチP’を9100mm程度に設定している。ケーブルは、巻き崩れなどを防止するために、比較的高い張力で巻き取りドラム(図示省略)の胴部に巻き付けられ、上層のケーブルにかかる張力が下層のケーブルの側圧になる。そこで、スロット溝を複合SZ型に構成すれば、周期がランダム(一定ではない)になるため、ドラム巻き時に間欠テープ心線に生ずる側圧のランダム化ができ、この点も側圧特性の改善に寄与する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…光ファイバケーブル、10…間欠テープ心線、11…光ファイバ心線、12…連結部、13…非連結部、14…テープ被覆、17…光ユニット、20…スロットロッド、21…テンションメンバ、22…スロット溝、23…スロットリブ、30…押さえ巻きテープ、31…ケーブル外被。

Claims (3)

  1. 複数本の光ファイバ心線を並列に配置したテープ心線が複数集められた光ユニットと、複数の該光ユニットを収納する溝複数条有したスロットロッドと、張力が負荷されるテンションメンバと、前記スロットロッドの外側を被覆するケーブル外被とを備えた光ファイバケーブルであって、
    前記光ユニットは前記複数条ののそれぞれに複数収納する前に各々が予め撚られた状態で断面丸型形状にまとめられて前記溝に収納されると共に、前記溝の断面積に対する前記光ユニットの断面積から計算される該光ユニットの占有率が、25%以上60%以下であり、
    前記光ユニットの撚りピッチが前記溝の撚りピッチよりも短くされている、光ファイバケーブル。
  2. 前記テープ心線は、隣り合う前記光ファイバ心線間の長手方向に連結部と非連結部が間欠的に形成されている、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記溝が、短周期のSZ軌跡と該短周期よりも長周期のSZ軌跡とを組み合わせて構成されている、請求項1または2に記載の光ファイバケーブル。
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